RF タグを利用したホームロボット用の収納システム
金沢大学 ○二宮 洋介,関 啓明,神谷 好承,疋津 正利
Storage System Using RF Tags for Home Robot
Kanazawa University ○Yosuke Ninomiya,Hiroaki Seki,Yoshitsugu Kamiya,Masatoshi Hikizu The objective of this study is to construct the storage system by a home robot, which brings or puts away objects in the house. Detection of object’s position is important to realize such system. Detection by image or ultrasonic sensors is influenced by occlusion, brightness, dirt, etc. Therefore, position detection by RF tags attached on objects is proposed. Position is estimated from electromagnetic field of a RF tag measured by 3-axis antenna on a robot.
1. はじめに
近年,高齢化・少子化に伴って介護や生活を支援する家庭 用ロボットの開発が盛んに行われている.このようなロボッ トが家庭内で作業する為には,どの対象物がどこにあるかを 知ることが重要である.位置検出システムには画像や超音波 などを使った物があるが,遮蔽や汚れ,明るさ等の影響を受 けやすいという問題がある.そこで,本研究では電磁波によ り非接触で対象物の情報を得るRFタグを利用した位置検出 法を提案する.
2. RFタグを利用した収納システム
ロボットに家庭内にある物を指定すれば,それを持って来 させたり,所定の場所に片付けさせたりする図1 のような収 納システムを考えている.対象物にはRFタグを内蔵もしくは 貼り付けて固有のIDを持たせておく.RFタグから発信され る信号のIDを読み取る事により,容易に対象物が何であるか が分かる.さらに,RFタグからの電磁波の強度ベクトルを測 定することで,RFタグ(対象物)の相対的な位置姿勢も検出で きる.
図1 家庭用ロボットによる収納システム
3. RFタグの電磁界強度ベクトル
例えば,テキサスインスツルメンツ社製の RI-TRP-WR2P などのRFタグでは,RFタグに内蔵され電磁波を発信するア ンテナはコイルアンテナである.このアンテナには指向性が あり,ロボットアームに 3 軸コイルアンテナを取り付けて電 磁波の強度ベクトルを検出すると,その強度はRFタグとの相 対位置・姿勢によって大きく異なる.このことを逆に利用し,
電磁波強度の違いからRFタグの位置姿勢を推定する.なお,
コイルアンテナであるため,電波の強度は磁界の強度となる.
まず,ロボットアーム上の3 軸アンテナの中心における磁 界強度ベクトルH=(HX,HY,HZ)TとRFタグの位置姿勢との関 係を表現する.図2のように3軸アンテナの中心を原点とす る座標系をΣ0とする.座標系Σ0からみて,RFタグの位置姿 勢がP(x,y,z,φ,θ),r=(x,y,z)Tであるとする.
図2 座標系
また,3軸アンテナ座標系と原点を同じにしてx軸をタグ(コイ ル)の軸方向に平行にタグ座標系Σtをとる.座標系Σ0からΣt
への変換行列0Rtとその逆行列tR0は
となり(S:sinの略,C:cosの略),タグ座標系におけるタグ 位置rt=(xt,yt,zt)Tは,
となる. タグ座標系のx軸とタグを含む平面Aを考えると,
平面A上の原点における磁界ベクトルのr方向とそれに垂直 な方向の成分HrとHαは次式のようになる.ただしmはタグ の磁気双極子モーメント,μは空気中の透磁率である.
平面Aの傾き より,タグ座標系における磁界 ベクトルHt=(Htx,Hty,Htz)Tは,
(5)
(6)
T (1)
t t
t
R R
C S
S S C C S
S C S C C
R
0 00
,
0
⎟ =
⎟ ⎟
⎠
⎞
⎜ ⎜
⎜
⎝
⎛
−
−
=
θ θ
θ φ φ θ φ
θ φ φ θ φ
r
r
t=
tR
0 (2)t t t
r x
z y r
H KS r
H KC
2 2 1 3
3 , , tan
2 +
=
=
= α α α α − (3)
( )
( )
( )
⎪⎪
⎪⎪
⎩
⎪⎪
⎪⎪
⎨
⎧
= +
=
= +
=
−
=
−
=
β α α β
α α α
β α α β
α α α
α α
α α
S S r C S K C H S H H
C S r C C K C H S H H
r C S K H C H H
r tz
r ty
r tx
3 3 2 3
3 3
1
3 (4)
2 2 2
4m r x y z
K= , = + +
πµ
) / ( tan−1 zt yt
β
=2006 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集
−847−
K39
となる.そして3軸アンテナ座標系における磁界ベクトルH はHtを用いて次のように表される.
4. RFタグの位置姿勢検出法
RFタグの位置(x,y,z,φ,θ)の5変数を求めるには図3 の様に3軸アンテナの位置を変え2ヶ所でH(3変数×2)を測
定し(H1,H2),逆に解けばよいが,解析的には求められない.
図3 2ヶ所での磁界強度ベクトルの測定
そこで,ある評価関数f(X)の傾きから,f(X)の最小値を収束演 算により求める最急降下法を用いて数値計算を行う.
2ヶ所(間隔S)の3軸アンテナで測定した磁界強度ベクトル H1,H2とRFタグがXi=(x,y,z,φ,θ)iTにあるとして理論か ら求めた磁界強度ベクトルh1,h2が一致する点で,評価関数
f(X)が最小値0をとるように,f(X)を次のように置く.
磁界の強度がタグからの距離の3乗に反比例して減少する 影響を少なくするため,評価関数は理論値と測定値の差を磁 界の強度で割っている.適当な初期位置X0を与えて,このXi+1
の計算を繰り返し行い,f(X)≒0に収束したとき,Xi+1を推定 したRFタグの位置姿勢とする.
5. RFタグの位置姿勢の検出シミュレーション
RFタグの位置姿勢の検出のシミュレーションを行った.ま ず,RFタグの位置姿勢を設定し,その磁界強度ベクトルの理
論値(H1,H2)を求め,測定値の代わりに用いる.次に,最急
降下法の初期値X0を与え,収束計算を行い,RFタグの位置 姿勢の収束値Xi+1を求める.表1にいくつかの位置でのシミ ュレーション結果を示す.
表1 シミュレーション結果 初期値X0:(500,0,0,0,0) (x,y,z,φ,θ)
上段:真の位置姿勢 x,y,z:[mm]
下段:収束演算結果 φ,θ:[rad]
姿勢ベクトル の差 [rad]
収束ステップ数 終了条件 f(X)<10-7
(200.0,300.0,400.0,0.523,-0.523) (200.0,302.1,398.3,0.534,5.769)
0.0131 838671
(-300.0,200.0,100.0,0.628,4.398) (-300.1,200.1,99.82,3.768,5.027)
0.0008 207327
(-50.00,80.00,-100.0,0.262,0.524) (-49.99,80.01,-100.0,6.545,0.524)
0.0002 13923
位置姿勢のうち 1 変数のみかえて,収束計算を行った時の 収束誤差を図4~6に示す.
アンテナから離れるにつれ誤差が大きくなっているが,いず れにせよ対象物を把握するには十分な精度で収束している.
図4 位置xをかえた時の収束結果の誤差
図5 位置yをかえたときの収束結果の誤差
図6 姿勢φを変えたときの収束結果の誤差(姿勢ベクトル)
6 まとめ
対象物に内蔵したRFタグの電磁波の強度ベクトルからRF タグの 3 次元位置姿勢を検出する方法を提案し,シミュレー ションを行って 3 次元位置姿勢が推定できることを示した.
今後は,実際にRFタグのセンサシステムを構築する予定であ る.
参考文献
1)梅谷他,”複数の環境添付型記憶媒体を用いた物体の位置姿 勢推定”,日本ロボット学会誌,vol.23,No.1,pp84~94,2005
t
t
H
R H =
0k は定数 z
y
x , , , , )
iT, (
X , ) f(X k - X
X
i+1=
i∇
i i= φ θ
2 2 2
2 2
2
2 6 2 5 2 4 2
1 2
1 2
1
2 3 2 2 2 1
H H H
f f f H H H
f f f f
z y x z y
x + +
+ + +
+ +
+
= +
⎪⎩
⎪⎨
⎧
−
=
−
=
−
=
) , , , , ( f
) , , , , ( f
) , , , , ( f
1 1 3
1 1 2
1 1 1
θ φ
θ φ
θ φ z y x h H
z y x h H
z y x h H
z z
y y
x x
⎪⎩
⎪⎨
⎧
−
−
=
−
−
=
−
−
=
) , , , , ( f
) , , , , ( f
) , , , , ( f
2 2 6
2 2 5
2 2 4
θ φ
θ φ
θ φ z y S x h H
z y S x h H
z y S x h H
z z
y y
x x
(7)
(8)
(9)
真の位置姿勢:(0,y,100,0,0)
-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
0 100 200 300 400 500
error [mm]
y [mm]
error_x error_y error_z
真の位置姿勢:(0,500,0,φ,0) -0.5
-0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500
error [mm]
x [mm]
error_x error_y error_z 真の位置姿勢:(x,100,0,0,0)
0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01
error [rad]
π/2 3π/2 2π
φ [rad]
2006 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集
−848−