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マグダラのマリアの福音書

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マリアによる福音書

高柳雅弘

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マリアによる福音書

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目次

マリアによる福音書 3 †マリア福音書†(全文) 4 別の訳もあるので紹介するが、内容的には変わらない。 7 ★グノーシス主義について★ 10 キリストはマグダラのマリアと結婚していたかもしれない のテキストを発見 12

マリアによる福音書は、グノーシス主義の福音書文書の

1つである。

登場人物のマリハム(マリア)とは、内容からイエスの母マリアではなく明らかにマグダラのマ リアと考えられる。この故に本文書は『マグダラのマリアによる福音書』とも呼ばれる。  -Leo Praesen

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マリアによる福音書

マリアによる福音書は、グノーシス主義の福音書の書簡の一つ。登場人物のマリア(ミリア ム又はマリハム)とは主イエスの御母マリアではなくマグダラのマリアと考えられています。 それで「マグダラのマリアによる福音書」とも呼ばれています。初期キリスト教の『新約聖 書』の外典としてその存在が知られていました。

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†マリア福音書†(全文)

1∼6ページは欠損 「・・・それなら物質はいずれ解消するのですか、それとも、そうではないのですか。」
 救い主は答えた。
 「あらゆる本性、形づくられた総てのもの、あらゆる被造物はお互いが納びつき、内包し合っ て存在しているのであり、それらは全て、そのものの根源へと解消されていく。物質の本性 は、その本性の根源に解消される。聞く耳のある者は聞きなさい。」
 ペトロが彼に言った。
 「貴方は私たちに、全ての事を説明して下さいました。もうーつ、教えて下さい。この世の 罪とは何でしょうか。」
 救い主は答えた。
 「罪といったものは存在しない。しかし、姦 などの行為に染まる時、貴方がたは罪を創り 出す。罪と呼ばれるのは、それを犯す貴方がたなのだ。その為、善なるものが貴方がたの中 に、あらゆる本性のもとにやってきたのだ。その根源へと回帰させる為に。」
 彼は更に続けた。
 「だから、貴方がたは 病気になって、死んでいく。[自分を飲く]もの[を愛する]故に。心の ある者は理解しなさい。」
 「物質は、姿かたちを持たない熱情を生み出した。この熱情は本性に反するものから生じ、 全身に不安定さをもたらす。それ故に、私は貴方がたに言ったのだ。正しい勇気を持ちなさ い、と。そしてもし、おじけづいたなら、本性のさまざまな姿かたちを前にして、勇気を持 ちなさい。聞く耳のある者は聞きなさい。」
 祝福された人はそう言うと、彼らみなに言葉をかけて、こう言った。 「平和が貴方がたと共にあるように。私の平和を受け入れなさい。
 『見よ、ここだ』とか『見よ、あそこだ』と言う者たちに、惑わされてはならない。
 人の子は貴方がたの内にある。その後に従いなさい。求める者は見い出すだろう。行って、 王国の福音を宣ベ伝えなさい。 私が貴方がたに示した以上の事を、いかなる形であれ、押しつけるような事をしてはならな い。律法者のようなやり方で、規則を設けてはならない。さもないと、貴方がたが制約に縛

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られる事になるだろう。」
 彼はそう言うと、彼らの元を去った。 弟子たちは悲しみに打ちひしがれ、泣き崩れて言った「異邦人の処に行って、人の子の王国 の福音を宣ベ伝えるといっても、どうすれば良いのだろう。あの方を許さなかった彼らが。 私たちを見逃す筈がない。」
 マリアは立ち上がって、彼らみなに挨拶し弟子たちにこう言った。
 「泣いたり、嘆いたり、疑いを抱いたりしてはいけません。あの方の祝福はあなたがたとと もにあり、今も守って下さっているのですから、むしろ、あの方の偉大さを称えましょう。 何故ならあの方に準備して頂いたお蔭で、私たちは真の人間になれたのですから。」
 マリアはそう言って、彼らの心を善なるものに向けさせた。そして彼らは[救い主]の言葉に ついて話し合いを始めた。
 ペトロがマリアに言った。
 「姉妹よ、救い主が他のどの女よりも貴方を愛した事を、私たちは知っています。
 貴方の覚えている救い主の言葉を、私たちに話して欲しい。貴方が知っていて私たちが知ら ない、私たちの聞いていない言葉を。」
 マリアは答えた
 「貴方がたに隠されている事を、私が貴方がたに明かしましょう。」
 彼女はこれらの言葉を彼らに話りはじめた。
 彼女は言った。
 「私は、幻のうちに主を見ました。そして、あの方に言いました。『主よ、今日、私は幻の うちに貴方を見ました。』と」
 「あの方は答えて、私に言いました。『貴方に、祝福があるように。貴方は私を見ても勧じ なかった。叡智のあるところに、富もあるのだ。』」
 「私は、あの方に言いました。『主よ、人は魂を通して幻を見るのでしょうか。それとも、 霊を通して見るのでしょうか。』」 「救い主は答えて言いました。『人が(幻を)見るのは魂を通してでも、霊を通してでもな い。その間にある叡智を通して幻を見ているのだ……。』」 「欲望が言った。『私は、お前が降りるのを見なかったが、今、お前が昇るのを見ている。 お前は私に属していながら、何故、私を欺くのか』」
 「魂は答えて言った。『私は貴方を見たが、貴方は私を見なかったし、私を知らなかった。
 貴方にとって私はただの衣であり、それで貴方は私の事が判らなかったのだ。』」


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「魂はそう言うと、歓喜のうちに去っていった。」
 「魂は、第三の権力の処にやゥで来た。無知と呼ばれるその権力は、魂に尋ねた。
 『どこに行くつもりだ。お前は、悪に支配されている。支配されているなら裁くな。』」
 「魂は言った。『貴方は、何故、私を裁くのか、私は裁いていないというのに。私は支配さ れていたが支配した事はなかった。私は知られていなかったが、私は知っていた。地のもの であれ、天のものであれ、いずれ消滅する全てを。』」
 「第三の権力を打ち負かすと、魂は上昇して行き、第四の権力に出会った。それは、七つの 姿をしていた。
 第ーの姿は闇、第二の姿は欲望、第三の姿は無知、第四の姿は死の願望、第五の姿は肉体の 王国、第六の姿は肉体の愚かな知恵、第七の姿は怒る者の知恵。
 これらが怒りの七つの権力である。」
 「これらの権力が魂に尋ねた。『人類を滅ぼす者よ、お前はどこから来るのだ。そして王国 の破壊者よ、どこに行こうとしているのか。』」
 「魂は答えて言った。『私を支配していたものは殺され、私を取り囲んでいたものは滅ぼさ れた。私の欲望は消え去り、無知は死んだ。
 ある世界のうちで、私は別の世界を通して、解き放たれた。そして像の内で、私は天の像を 通して自由となった。忘却の束縛はー時的なもの。
 これから私は、沈黙の中で、時の流れを通して、安息を得るのだ。』」
 マリアはそう言うと、沈黙した。
 救い主が彼女に語ったことは、これだけだったからだ。 アンデレが答えて、兄弟たちに言った。
 「彼女が言った事をどう思うか、考えを聞かせて欲しい。だが私は、救い主がこんな事を語っ たとは信じられない。これらの教えは、どう見てもおかしい」
 ペト口も同調して、他の者たちに、救い主について尋ねた。 「あの方は本当に、私たちの知らないところで、彼女と個人的に話をしたのだろうか。私た ちはみな、考えを改めて、彼女に向き合い、その言葉に耳を傾けるベきなのだろうか。あの 方は私たちよりも、彼女を気に入っておられたのだろうか。」
 マリアは涙を流しながら、ペトロに言った。
 「兄弟ぺトロよ、貴方はどう思っているのですか。
 私が自分で話を作りあげたか、救い主について嘘をついているとでも考えているのですか。」 レビが答えて、ペトロに言った。
 「ペトロ、貴方はいつも腹を立てている。いまも、この女を敵の如くみなしで言い争ってい

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る。
 救い主が彼女を相応しいと認めたなら、彼女を拒む貴方は、一体何者なのか。救い主は間違 い無く、彼女を良く御存知だ。そこで私たちよりも彼女を愛されたのだ。」
 「だから、私たちは己を恥じて、完璽な人間性を身に着け、そうなれるように努めるべきだ。 主がお命じになられたように。救い主の言った事を超えて法や規則を定める事なく、福音を 宣べ伝えるべきなのだ。」
 レビが、こう言うと彼らは教えを宣べ伝えるために去っていった。

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別の訳もあるので紹介するが、内容的には変わらない。

マリアの福音書(ベルリン写本)の日本語訳! 〔 〕は、原文では欠落していて、学者が補ったもの。 1 (1~6頁は欠落) 2 .物質の本性 
 「...それなら[物質]はまったく破壊されるのでしょうか、されないのでしょうか」。
 救済者が答えた、「一切の本性、すべての形ある物、すべての被造物は相互に関連して存在 する。そし て再びそれらはそれ自身のあるべき根源へと解体していく。物質の本性は、そ の本性に属するところ のものへと解体されるからである。聞く耳のある者は聞くべし!」。 3. 罪の本性と善き方 それからペトロが彼に言った、「あなたはすべての問題を説明してこられました。もう一 つわたしたちに教えてください。世の罪とは何でしょうか」
 救済者が答えた、「罪といったようなものは存在しない。むしろ、あなたがた白身が罪を 生み出しているのである。それは、罪と呼ばれる姦 の本性と一致した行動をとるときに生 じる。このような理 由により善なる方があなたがたの中に、あらゆる本性に属する(善なる もの)を求めて来たのである。 それはその根源にそれを据えるであろう」。 それから続け て、彼は言った、「なぜ、あなたがたは病気になり、そして死ぬのか。それは、[自分] を[惑 わす]ものを[あなたがたが愛しているからである]。考える[者は誰でも][これらの事柄]を熟 考 するがよい!
 物質が情念を生んだ。情念には似姿がない。それは本性に反するものに由来しているからで ある。 それによって、心をかき乱す錯乱が体全体に生じたのである。このようなわけで、 わたしはあなたが たに言ったのである。『心満ち足りているがよい。たとえ不満や反感が 残っても、本性のもう一方の似 姿の前(だけ)でも満足と恭順を示すがよい』と。聞く耳のあ る者は聞くべし!」。 4 .教済著の別れの言葉 祝福された方はこれらのことを一言ってから、彼らすべてに別れの言葉を告げた。「あな

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たがたに平安があるように! わたしの平安をあなたがた白身のうちに得るように! 『ほらこ こに!』『ほらあそこに!』と言ってあなたがたを惑わすもののために警戒しなさい。まこと の人の子は、あなたがたの内側に存在するのだから。それに従いなさい! 求める者は見出す であろう。
 それだから、行って、王国の福音を宣べ伝えなさい。わたしがあなたがたのために定めたも の以外 にいかなる規則も定めることを[する]な。法制定者のように法を発布することもする な。さもなけれ ば、あなたがたはその法によって支配されることになる」。 これらのこと を語り終えてから、彼は彼らから離れた。 5. マリア、他の弟子たちを慰める。 
 しかし、彼らは心を痛め、激しく泣いた。彼らは言った、「わたしたちは、よその土地へ行っ てまことの人の子の王国の福音をどんな仕方で宣べ伝えることができるだろう。彼らはあの 方を容赦しなかった。どうして、わたしたちを容赦するなどということがあるだろう」。 そのときマリアが立ち上がった。彼女は彼ら全員に挨拶して、彼女の兄弟・姉妹たちに言っ た 5「泣くのはよしなさい。めそめそしないで心を強くもちなさい! あの方の恵みがあなた がたすべてにあり、 あなたがたをかばってくださるのですから。 むしろ、わたしたちはあ の方の偉大さをほめたたえるべ きなのです。 あの方はわたしたちのために道を備え、わた したちをまことの人間にしてくださったの ですから」。
 マリアはこれらのことを言ってから、彼らの心を善なる方へむけさせた。 すると、彼らは 救済者の言葉について論じ始めた。 6 ペトロ、マリアに教えるように頼む。 ペトロがマリアに言った、「姉妹よ、救済者が他のすべての女性たちよりもあなたを深く 愛しておられたことをわたしたちは知っています。あなたが覚えている救済者の多くの言葉、 あなたが知ってい て、わたしたちの聞かなかった言葉をわたしたちに話してください」。 マリアが答えた、「あなたがたには隠されている言葉を教えましょう」。4 そして、彼女は 彼らに語 り始めた。 7 .幻視と知性 彼女は言った、「わたしは主を幻の中に見たのです。そしてわたしはあの方に言いました、 『主よ、わたしは今日あなたを幻の中に見ました』。 あの方はわたしに答えました、『わ たしを見て動揺しないとは、あなたは何とすばらしい! 心のあるところには、宝があるので す』。 わたしはあの方に言いました、『それでは主よ、幻を見る者は魂〈によって〉見る のでしょうか、〈それとも〉霊によって見るのでしょうか』。 救済者が答えた、『人が幻 を見るのは魂によってでもなく霊によってでもない。むしろ、その二つの間にある知性によっ て見るので、[そして、]それが[...』]。 8 (11~14 頁は欠落)

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9. 魂の上昇 
 「それを...」。
 「すると、欲望が言った、『わたしはお前が下降するのを見なかった。でも今わたしは、お 前が上昇 するのを見る。いったい、お前はわたしに属しているのに、なぜ偽りを言うの か』。魂が答えた、『わたしはあなたを見た。あなたはわたしを見たこともなければ、わた しを知りもしな い。あなたは、(わたしが身につけていた)着物をわたしの(真の)自己と(とり 違えて)しまった。そし て、あなたはわたしを認識しなかった』」。 「これらのことを言ったあと、魂は大いに喜んで去って行った」。
 「さらにまた、それは、無知と呼ばれる第三の勢力のところにやって来た。[それは]魂に注 意深く 問いただして言った、『こへ向かってお前は行こうとしているのか。お前は邪悪に よって拘束されてい る。いかにもお前は拘束されている! 人を裁いてはいけない!』」。
 「それで、魂は言った、『わたしは人を裁くなどしたことがないので言うが、あなたはなぜ わたしを 裁いているのか。わたしは(いかなるものも)拘束したことはないのに、拘束されて きた。わたしは知 られてこなかったのに、わたしは、地上のものであれ天上のものであれ、 すべては解体されることを 認識してきた』」。
 「魂は第三の勢力を打ち破って、上昇し、第四の勢力と出会った。それには七つの姿があっ た。第 一の姿は暗闇。第二は欲望。第三は無知。第四は死への熱望。第五は肉の王国。第 六は肉の愚かな知 恵。第七は怒れる者の知恵。これらが怒りの七つの勢力たちである」。 「それらが魂を審問した、『お前がやって来たのは、どこからか、殺人者よ。そして、お前 が向かっ ているのはどこなのか、空間の征服者よ』」。
 「魂は言い返した、『わたしを拘束するものは根絶された。わたしを包囲するものは撲滅さ れた。そ して、わたしの欲望は終わりとなった。無知は死んだ。世界にあって、わたしが 拘束から解かれたの は、世界からであり、[そして]範型の中にあって、上なる範型からであ り、また、時間の中にある忘 却の鎖(から)である。これから先、アイオーンのしかるべき時 のために、わたしは沈黙のうちに休息 を受けよう』」。 マリアはこれらのことを言ってから、沈黙した。救済者が彼女に語ったのはここまでであっ たから。 10. マリアの教えをめぐる弟子たちの論争 アンデレが答えて兄弟たちと姉妹たちに話しかけた、「彼女が語った事柄について、あなた がたに言 いたいことがあれば、言うがよい。わたしに関する限り、救済者がこのようなこ とを言ったとは信じ られない。これらの教えはなじみのない考え方である」。
 ペトロが答えて、同じような懸念を持ち出した。彼は救済者について彼らに尋ねた、「あの 方がわた したちには隠れて内密に女と話したのか。わたしたちのほうが向きを変えて、彼 女に聴くことになる のか。あの方は、わたしたちをとびこえて彼女を選んだのか」。
 そのとき、[マ]リアが泣き、そして、ペトロに言った、「わたしの兄弟ペトロよ、あなたは 何を想像 しているのですか。わたしがこのようなことを自分一人で勝手に考えたり、ある いは、救済者につい てわたしが虚偽を語っているとでも思っているのですか」。


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レビが答えて、ペトロに言った、「ペトロよ、あなたは前々から怒りっぽい人だ。いまわた しには、 あなたはまるで敵対者にたいするようにこの女性に議論をしかけている。もし救 済者が彼女を価値あ る人としたのであれば、彼女を拒否するあなたはいったい何者なの か。 たしかに、救済者の彼女に関する知識は完全に信用に値する。あの方がわたしたちよ り彼女の方を愛したのはもっともである。
 むしろ、わたしたちは恥じ入るべきなのだ。 わたしたちは完全な人間を身に纏い、あの方 がわた したちに命じたように、わたしたち白身まことの人間を身につけ、福音の告知に向 かうべきなのだ。 救済者が語ったこととは違う規則や法は、一切定めないで」。[彼はこれ らの]こと[を言った]後、彼らは教える[ために]、そして宣教するために出て行った。
 
 マリアによる[福]音書

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★グノーシス主義について★ 
 古代の宗教・思想の一つ。
 物質と霊の二元論。グノーシスとは、古代ギリシア語で、認識・知識を意味する言葉。
 知識によって真の神に到達出来るとしたもの。
 代表的なグノーシス主義の宗教はマニ教や、カタリ派、ボゴミール派など。
 グノーシス主義とは何であるかという学術的な定義は、紀元2世紀から3世紀頃のキリスト教 グノーシス体系を「グノーシス主義(Gnostizismus)」と定義し、これを含めたより広い意 味での秘教的知識の歴史的カテゴリーを「グノーシス」として定義した。
 物質からなる肉体を悪とする結果、道徳に関して、2つの対極的な立場が現れた。一方では 禁欲主義となって、他方では、非禁欲主義となって現れた。
 前者は、マニ教に見られるように禁欲的な生き方を教え、後者は、霊は肉体とは別存在であ るので、肉体において犯した罪悪の影響を受けないという論理の下に、不道徳を欲しいまま にするというものです。
 4世紀の神学者・アウグスチヌスが、キリストに回心する前に心惹かれたのは、前者の禁欲 的な方であったと言われています。 ★グノーシス主義について(下記ウィキペディアより抜粋カテゴリ:グノーシス主義)★
 グノーシス主義において一般的に認められるものは、「反宇宙的
 二元論(Anti-cosmic dualism)」と呼ばれる世界の把握の仕方、世界観である。反宇宙的 二元論の「反宇宙的」とは、否定的な秩序が存在するこの世界を受け入れない、認めないと いう思想あるいは実存の立場である。

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反宇宙論
 グノーシス主義は、地上の生の悲惨さは、この宇宙が「悪の宇宙」であるが故と考えた。現 象的に率直に、真 に、迷妄や希望的観測を排して世界を眺めるとき、この宇宙はまさに「善 の宇宙」などではなく「悪の宇宙」に他ならないと考えた。これがグノーシス主義の「反宇 宙」論である。 二元論
 宇宙が本来的に悪の宇宙であって、既存の諸宗教・思想の伝える神や神々が善であるという のは、誤 であるとグノーシス主義では考えた。ここでは、「善」と「悪」の対立が二元論 的に把握されている。善とされる神々も、彼らがこの悪である世界の原因であれば、実は悪 の神、「偽の神」である。しかしその場合、どこかに「真の神」が存在し「真の世界」が存 在するはずである。
 悪の世界はまた「物質」で構成されており、それ故に物質は悪である。また物質で造られた 肉体も悪である。物質に対し、「霊」あるいは「イデアー」こそは真の存在であり世界であ る。このように、善と悪、真の神と偽の神、また霊と肉体、イデアーと物質と云う「二元論」 が、グノーシス主義の基本的な世界観であり、「反宇宙論」と合わさって、このような思想 を、「反宇宙的二元論」と呼ぶ。 グノーシス主義の研究史を通じて、この思想の理解については2つの根本的に異なる立場が 存在している。一方はグノーシス主義をキリスト教とは別個の、オリエントに起源を持つ「東 方」の宗教であるとし、その非キリスト教的側面を強調する姿勢である。もう一方はグノー シス主義をキリスト教内部の異端、あるいはギリシャ哲学に影響を受けた宗教哲学の出発点 としてキリスト教史のなかに位置づけようとする姿勢である。今日では、グノーシス主義を キリスト教とは別個の宗教思想であると考える立場が主流である。 グノーシス主義に関する初期のキリスト教文献、初期教会教父たちによる種々の異端反 文 書の中において、グノーシス主義はキリスト教内部の異端思想として扱われている。リヨン のエレナイオス、オリゲネス、エウセビオスなどがグノーシス主義を主要な対象として、正 統信仰擁護の著作を残している。彼らの著作から、初期の聖書解釈やキリスト教神学の成立 にグノーシス主義の影響が多大であること、そしておそらく彼らの時代には、グノーシス主 義的なキリスト教文献は正統信仰の著作を量において上回っていたと考えられている。 ルネサンスの時代には、新プラトン主義と『ヘルメス文書』がヨーロッパで流行した。今日 では『ヘルメス文書』に含まれるいくつかの著作はグノーシス主義のものであったことが明

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らかにされている。19世紀後半から20世紀半ばには、コプト語で書かれたグノーシス文献が 相次いで公刊され、研究資料はだいぶ整えられた。

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キリストはマグダラのマリアと結婚していたかもしれない のテキストを発見

映画にもなった小説ダ・ヴィンチ・コードではイエス・キリストがマグダラのマリアと結婚 していた、という描写が出てきますが、ハーバード大学のKaren Kingさんはイエス・キリス トが「私の妻」と発言している文章が書かれたパピルスを発見ました。この文章は同時に 「Mary(マリア)」についても言及しており、これはマグダラのマリアを指していると推測 され、キリスト教徒たちに衝撃を与えています。 パピルスには33語の言葉が不完全な14行の文章によって書かれているので、厳密に読み取 るのは難しいとのこと。Kingさんはパピルスから以下の8つの文章を拾い集めました。

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(1) “not [to] me. My mother gave to me li[fe] … ”(「私にではない。母は私に命を与えた ……」)

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(3) deny. Mary is worthy of it(そうではない。マリアはそれにふさわしい) (4) ” Jesus said to them, “My wife(」イエスは彼らに言った、「私の妻は)

(5) she will be able to be my disciple(彼女は私の弟子となることができるだろう) (6) Let wicked people swell up(邪悪な人々を増えさせています)

(7) As for me, I dwell with her in order to (私の場合、彼女と共に暮らしています) (8) an image(一つのイメージ)

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彼女の分析によると、(3)に書かれている「Mary(マリア)」は「おそらく」マグダラのマ リアであり、イエスが弟子からマリアを守っている描写であると推測されています。そして (4)にある「My wife(妻)」と、そして(5)の「she(彼女)」は同じくマグダラのマリアを 示しているとのこと。この文書は書物の1ページだった可能性もありますが、いずれにして もこれは初めてにして唯一の、イエス・キリストが結婚していたことを描写する古代文書で す。

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Kingさんは2010年に手稿コレクターから「グノーシス派の福音書を手に入れたのですが、そ の中にイエスと彼の弟子、そしてマグダラのマリアについての文書が含まれていました。写 真を送るので見てくれますか?」というメールを受けとったそうです。詳しい情報と写真を 受け取った後もで彼女は偽物ではないか、と疑っていたそうですが、パピルス学で高名な ニューヨーク大学のRoger Bagnallさんに写真を送ったところ、「信じていい。それは本物 である」という返事をもらったとのこと。 しかし、Kingさんはこの破片が実際にイエス・キリストが結婚していた、ということの証拠 だとは主張していません。彼女の分析によれば福音書はイエス・キリストの生涯(そして来 世)を文書化したものであり、多くの福音書はイエスの磔の後、紀元2世紀にギリシャで書 かれたと考えられています。そしてその2世紀ほど後に古代エジプト語に訳されたため、イ エスの結婚の証拠としては不十分なのです。

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この破片が明らかにしたことはもっと微妙で複雑なことです。パピルスからわかるように、 初期のキリスト教徒たちは彼らに教えを説いたイエス・キリストを崇高で、知的であり、妻 のあるものとして書いていました。しかもそれはただの妻でなはく、新訳聖書の中でもっと も言及された女性、マグダラのマリアの可能性があるのです。Kingさんによれば、この発見 が提示する疑問とは「どうしてイエス・キリストが独身であるという文献だけが生き残った のか?」ということ、そしてイエスがマグダラのマリアや、その他の女性と親密な関係にあっ たという文書は残っていないのか?ということです。これは単なる偶然なのか、それともキ リスト教徒たちにとって独身こそが理想だったからなのか、明らかではありません。 なお、パピルスはまだインクを調べるなどの科学的試験を終えておらず、この発見の重要性 は「このパピルスは本物である」という仮説の上に成り立っていることはKingさん自身も述 べています。彼女は今後、スペクトル分析などの科学的試験を行った後、「The Gospel of Jesus’s Wife(イエスの妻の福音書)」という論文を発表する予定だそうです。

参照

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