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初代図書館長市島春城生誕150年記念事業

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Academic year: 2022

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2010年3月、総合学術情報センター2階ホール

(中央図書館入口前)に、あらたな図書館のシンボ ルが誕生した。「春城市島謙吉像」である。ただそ の名を聞いても、ピンと来ない方も多いのではな いか。後述するように、市島謙吉(号・春城)は 早稲田大学の初代図書館長であり、その功績は一 大学の図書館長にとどまるものではなく、これま でも図書館では折に触れ企画展示等を開催してき た。近年は生地である新潟県でも顕彰活動が盛ん だが、その知名度は決して高くはない。そんな春 城を見直そうと、彼の生誕150年にあたる2010年に はさまざまな記念事業が企画、実行に移された。

本稿では銅像設置等の企画を振り返るとともに、

あらためてその生涯と業績をまとめてみたい。

<春城の生涯>

市島春城(1860〜1944)は越後国(現在の新潟県)

の豪農であった市島家(市嶋とも)の分家である 角市市島家の出身で、東京大学在学中に小野梓を 通じて大隈重信の知遇を得、その縁あって立憲改 進党にも早くから参加、また早稲田大学の前身で ある東京専門学校の創立、運営にも関与した。そ の後、衆議院議員などを経、1902年に早稲田大学 と改称された本学の初代図書館長となり、1917年 まで15年のながきにわたり資料収集とその保存、

公開に尽力し、今日の早稲田大学図書館の基礎を 築くとともに、近代日本図書館界の発展に活躍し た。その一方で春城は多彩な趣味人であり、近世 日本の文化、思想の研究者でもあった。

<春城関係の寄付・寄贈>

ここでは近年の寄付、寄贈について簡単に触れ ておこう。春城の遺族や関係者と大学、図書館と の交流については別稿(1)を参照されたい。

まず2008年には春城の遠縁にあたる本校校友の 旗野裕之氏(2)から、図書館宛に多額のご寄付をいた だいた。今回の銅像設置も旗野氏のご寄付と校友 会新潟県支部のみなさんのご芳志によっている。

さらに、今回の記念事業を通じて早稲田での春城 資料の収蔵状況を知った川又和子氏、智氏からは、

春城の子息、 氏関係の資料を多数ご寄贈いただ いた。既存の春城資料の中に 氏関連のものはほ とんど含まれておらず、今回の寄贈が、春城や市 島家研究に益するところは大きい。この場を借り てあらためて御礼申し上げたい。

<記念事業の概要>

○銅像設置と展覧会開催

大学には大隈はもちろん、高田早苗、坪内逍遙 らの銅像がすでに存在するが、春城の像はなく、

その制作を大学、特に図書館関係者は待ち望んで いた。その思いがあればこそ、旗野氏からの寄付 の有効な活用方法として春城像の制作が提案され たのも自然なことであった。

検討の結果、銅像のイメージは図書館長時代の 写真をモデルとし、設置場所は中央図書館2階入 口前に決定した。制作を文学学術院で教鞭をとっ ていらっしゃる櫻庭裕介先生に依頼したが、先生 はこれまでにも学内や系属校に設置された大隈重 信や小野梓の銅像を手がけており、今回の春城像 制作についてもお願いすることとした次第である。

また、台座正面に据える題字「春城市島謙吉像」

は、加藤哲夫図書館長(当時)に揮毫をお願いし た。

初代図書館長市島春城生誕150年記念事業

藤 原   秀 之(資料管理課長)

左から森氏、矢吹氏、片山市長、白井総長、奥島前総長、加藤館長

(肩書はいずれも当時)

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この間、市島宗家の邸宅(市島邸)を県の文化 財として公開、活用している新潟県新発田市より、

邸内の資料調査や、大学とのさまざまな交流を希 望する申し出があり、2009年11月には図書館を含 む大学関係者が新発田市を訪問し、今後の交流に ついての意見交換や資料調査、講演会などをおこ なった。後述のように大学から新発田市に春城像 が寄贈されたのも、こうした双方の交流があって のことである。

2010年2月、完成した銅像を中央図書館2階入 口前に設置、3月5日の除幕式を迎えた。当日は、

白井克彦総長、奥島孝康前総長(いずれも当時)

が列席、歴代の図書館長のみなさんにもお出でい ただいた。春城の関係者としては森治子氏(宗家 縁者)、矢吹彰男氏(春城令孫)、さらには新潟か ら片山吉忠氏(新発田市長)、北村泰作氏(校友会 新潟県支部長)、その他校友会の方々も多数出席し てくださり、銅像前の図書館2階ホールは多くの 人でにぎわった。

除幕式の後、参観者には『生誕150年記念 市島 春城展』(3月5日〜5月26日、於:展示室)をご覧い ただいた。図書館長としての春城だけでなく、政 治家、ジャーナリスト、随筆家など多面的な春城 の活躍を、春城自身の言葉を通して紹介する展示 に、多くの来場者が足を止め、じっくりとご覧に なっていた。

○『図書館紀要』記念号発刊

おなじく3月には『早稲田大学図書館紀要』57 号を「生誕150年記念・市島春城特集」とし、角市 市島家当主である市島真二氏ほか関係各位から玉 稿をお寄せいただいた。こちらは全文をWEB上 でも公開しているので参照されたい。(3)

○新発田市の銅像設置と展覧会開催

前述のように春城や市島家に関する調査、顕彰 活動は新発田市でも盛んであり、本学との交流も 積極的に推進しようとしている。それをうけ、大 学は図書館に設置したものと同じ像を新発田市に 寄贈することとし、2010年7月17日、前述の市島 邸で除幕式が挙行された。式には田内秀昭常任理 事(当時)、加藤図書館長ほか大学関係者も参加し、

地元関係者との交流を深めた。市島邸と新発田市 内の「まちの駅」で開催された『市島春城展』に は図書館からも多くの資料を出陳し、他に地元の

関係者が所蔵する資料に今回の企画を進める中で あらたに発見された資料も加え、充実した展示内 容になり、8月末の会期末まで多くの人びとでに ぎわったとのことである。

○第12回図書館総合展 市島春城展

春城関連企画の最後は、11月の図書館総合展(11 月24日〜11月26日、於:パシフィコ横浜)である。

ここ数年、同展に図書館として独自のブースを設 置し、古典籍総合データベースの紹介とともに、

図書館関連の展示をしてきたが、今年は迷うこと なく市島春城展とした。会場の関係から現物を出 陳することは難しく、あらたに作成した写真パネ ルを中心に構成した。会場は内外の図書館関係者 で溢れており、当館のブースにも会期中1000人以 上の人が足を運んでくれたが、想像どおり春城に ついて知っている人は少なく、展示を興味深そう にご覧になっている姿が多く見られた。

市島春城については、大学内でもいまだ知名度 は低い。しかし、その業績は高田早苗や小野梓、

坪内逍遙などと並んでも遜色ないものがある。早 稲田大学、とりわけ図書館が今日あるのも、春城 の努力の賜物と言ってもよいかもしれない。

今回の記念事業が、多くの人びとが春城のこと を知り、考えるきっかけとなれば幸いである。

(1)「市島春城生誕150年記念関連事業について」『早稲田大学図書館年報』2009 年度版:

http://www.wul.waseda.ac.jp/Libraries/nenpo/2009/nenpo2009.pdf (2)旗野裕之氏は1944年に理工学部応用金属学科を卒業。図書館だけでなく、理

工学部へも多大なるご支援をいただいていたが、2008年逝去された。ご冥福 をお祈りするとともに、ご芳志にあらためて感謝申し上げる。

(3)http://www.wul.waseda.ac.jp/Libraries/kiyou/k̲index06.html 市島邸に設置された春城像

参照

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