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図書館所蔵資料のデジタル化の現状と課題

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Academic year: 2022

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はじめに

図書館が5年計画ですすめる古典籍総合データベ ース構築作業も2005年4月にプロジェクト室を設置 してから3年を経、いよいよこれからは後半戦であ る。そこで、本事業の立案から今日までを改めて振 り返り、今後の課題を考えてゆきたいと思う。

貴重書のデジタル化については1991年に中央図書 館が新たに開館した直後から検討の対象となってい たように思う。それが2004年になってようやく具体 的な方法を検討できる状況となり、目録規則や WINEへの入力基準の決定、さらには画像データの 持ち方まで、他に参考とするものもあまり無い状態 の中で検討を加え、翌年4月に正式にプロジェクト 室が設置される頃にはなんとか作業体制を整えるこ とができた。それからの3年、はじまるまでは紆余 曲折あっても、はじまってしまえば後は勢いで事業 を進めてきた感が無いとはいえない。データの公開 をはじめたのが2005年12月であり、それから2年半、

これまでに処理対象とした件数は14万点以上に達し ている。書誌点検、画像撮影・後処理などもあるの で、そのすべての画像が公開されているわけではな いが、今後より重要性の高い資料を優先的に処理を 進め、公開してゆきたいと考えている。

2007年度の成果

本事業については、2005年3月の本誌72号誌上で その概要を説明し、その後も『図書館年報』や『図 書館紀要』、さらには本誌上でも逐次進捗状況をお 知らせしているので、具体的な作業内容や数値につ いてあらためて申し上げることはないが、ひとまず 2007年度の作業内容についてこれまでのように概略 を述べておく。

事業の開始当初から、館蔵資料の主要な部分を順 次作業対象としてきた。当初は5年計画の中で主要

な資料を分散して作業することで全体のバランスを とってはどうか、とも考えていたが、より目立つ資 料、利用頻度の高い資料から公開することで一般へ のアピール材料としようとしたわけである。初年度 の洋学資料、昨年の江戸文学と、いずれも早稲田大 学図書館が誇る貴重な資料群である。2007年度もそ れにならい日本の古文書を主とした歴史資料を中心 に作業を進めた。周知のとおり、図書館には国宝2 件、重要文化財5件が収蔵されている。その一つが 初年度に公開した洋学資料のうちの「大槻玄沢関係 資料」であり、2件の国宝(「礼記子本疏義」「玉篇」) はいずれも中国唐時代の古写本である。そして残る 4件の重要文化財はすべて日本の古文書であり、1 つが田中光顕旧蔵の「東大寺薬師院文書」、他の3 件は第9代図書館長である荻野三七彦名誉教授が文 学部在職中に収集した多くの古文書の中に含まれて いる。2007年はそれらの古文書を核として、歴史、

伝記に分類される資料を主な作業対象とした。その

図書館所蔵資料のデジタル化の現状と課題

藤 原   秀 之(調査役)

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結果、2007年10月に公開した新ポータルサイトは

「資料でたどる日本の歴史」と言う、主題を真正面 に据えた標題のものとなった。

今後の課題

ただ、果たしてそうした貴重書を公開してきた ことをどれだけの人に知ってもらえただろうか。

確かに現在特別資料室に対する古書・貴重書の利 用についての問い合わせの多くが「古典籍DBを 見て」という典拠情報によっており、その反響の 大きさを肌で感じることもある。また、ポータル サイト公開に当たってはその都度プレスリリース を行ない、それに対して少数ではあるが反応もあ った。しかし、その数は決して多いとはいえない。

古典籍、貴重書のデジタル化のニュースはしばし ば耳にするが、その中で本データベースに触れら れる機会はほとんどなく、認知度は決して高いも のとは言えないだろう。ひとたび使ってみれば、

内容・量・質ともに他に見劣りするものではない し、作業場所を見学にくる他機関の人々から驚嘆 の声を聞くことも多い。しかし、どうもそこで止 まってしまっているようである。公開しました、

あとは勝手に使ってください、というのでは決し て図書館としての役割を果したことにはならない だろう。「知る人ぞ知る」データベースでは死蔵し ているのと五十歩百歩である。どうしたら「古典 籍総合データベース」の認知度をあげることがで きるか、今後はその点についても考えなくてはな らない。加えて、これまでは利用者がそれぞれ必 要な情報を検索し、必要な部分を適宜利用してき たわけだが、図書館の側から画像や書誌情報の有 効な利用方法というものを積極的に提案してゆく 必要があるのかもしれない。単にデータ(書誌・

画像とも)を見せるだけではなく、どんな見せ方、

使い方が考えられるだろうか。

2007年のテーマとした古文書を含め、古典籍は 将来に受け継ぐべき貴重な財産であり、閲覧には 制限を加えざるを得ない。これまでは「原本代替 資料」として影印(写真)資料や翻刻資料が重要 な役割を担ってきたが、古典籍データベース構築 の大きな理由の一つもそこにあった。ただ、紙に

印刷したものも、データベースで公開している資 料も、現物資料の迫力には到底及ばない。一方、

現物は手に取ることができなくとも、紙なら手軽 に持ち運ぶことができ、データベースなら必要な 部分を拡大したり、プリントアウトすることでさ まざまな応用が可能である。それぞれに長所、短 所のある資料の閲覧方法について、展覧会という 場で実体験してもらうことで、資料のより有効な 利用法を考えるきっかけとなれば、との思いから、

2008年3月〜5月の展覧会では「館蔵資料でたど る日本の歴史」と題し、ポータルサイトで公開し た資料を中心に現物を展示、またパンフレットも いつもよりも充実させ、紙、電子媒体、現物とい う3つの視点から資料をみてもらうこととした。現 在公開中のこの展示にどのような反響があるか、

今から楽しみである。

2007年度までに洋学、江戸文学、古文書と図書 館の誇る貴重書の主要な部分の多くがすでに作業 対象となり、データベース上で公開されている。

今後はそれ以外のかなり地味な部分が残っている。

本データベースについて広く一般の認知度を高め、

その存在意義を示すためには今後一層の努力、工 夫が必要であろう。

参照

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