東京女子医科大学看護学部紀要Vo.l3. 2000
〔原著〕
手術室看護の専門性とその獲得過程に関する研究
佐 藤 紀 子 傘 若 狭 紅 子 牟 土 蔵 愛 子 佐 藤 あ ゆ み … 西 田 文 子 … $ 遠 藤 和 子 $
RESEARCH ON THE SPECIALTY AND ACQUIRING PROCESS OF OPERATING ROOM NURSING EXPERTISE
N o r i k o SATO* Kouko WAKASA* A i k o TOKURA** Ayumi SATO**
本Fumiko NISHIDA**** Kazuko ENDO*
手術室における看護は「周手術期看護
J
の中に位置つけられて来たが、手術室看護の専門性については言及されておら ず、その意義や価値については暖昧なままであった。そこで、手術室看護の専門性を探る目的で、手術室で
8
年以上の経験を持つ看護婦10名、手術室看護管理者4
名、外科 医3
名に半信成的手法を用いてインタビュー調査を行った。その結果、手術室看護は、患者を中心として展開される看護としてとらえることができ、①専門的知識に裏付けられた 行 動 ② チ ー ム の 一 員 で 調 整 役 ③ マ ネ ジ メ ン 卜 能 力 の
3
つの側面によって特徴づけられることが明らかになった。また、看護婦が手術室で専門性を獲得する過程には、経年的キャリアアップに加えて熟達者へと到達するための質的変化 があること、熟達者のレベルに到達した看護婦はチームの中で柔軟に相補的な関係を形成していることが示唆された。
キーワード 手術室看護、専門性、熟練、獲得過程
A b s t r a c t
Although n u r s i n g i n o p e r a t i n g rooms h a s r a n k e d a s " p e r i o p e r a t i v e n u r s i n g "
,t h e s p e c i a l t y o f t h e n u r s i n g e x p e r t i s e h a s n o t b e e n d i s c u s s e d
,l e a v i n g i t s s i g n i f i c a n c e and v a l u e u n c l e a r
T h e r e f o r e
,u s i n g a p a r t i a l 1 y p r e ‑c o n f i g u r e d d e s i g n we i n t e r v i e w e d o p e r a t i n g room p e r s o n n e l
,who had more t h a n 8 y e a r s o f e x p e r i e n c e i n o p e r a t i n g rooms
,i n c l u d i n g
10s c r u b n u r s e s
,4head o p e r a t i n g n u r s e s
,and 3 s u r g e o n s .
The r e s u l t s r e v e a l e d t h a t t h e s p e c i a l t y o f o p e r a t i n g room n u r s i n g e x p e r t i s e was b a s e d on t h e n u r s i n g f o c u s e d on p a t i e n t s and i n c l u d e d
①a p p r o p r i a t e a c t i o n s s u p p o r t e d b y n u r s i n g e x p e r t i s e , ② working a s a member and a c o o r d i n a t o r o f a team
,and
③management c a p a b i l i t y . The r e s u l t s a l s o showed t h a t i n a d d i t i o n t o t h e i r advancement o f t h e c a r e e r o v e r t i m e t h e r e was a q u a l i t a t i v e s h i f t i n t h e n a t u r e o f n u r s e s t o a c q u i r e p r o f i c i e n c y d u r i n g t h e i r e x p e r t i s e a c q u i r i n g p r o c e s s
,and t h o s e who r e a c h e d t o t h e p r o f i c i e n t ‑ l e v e l had f l e x i b l e and complementary r e l a t i o n s h i p w i t h o t h e r s i n a team
Key words: O p e r a t i n g room n u r s i n g
,S p e c i a l i t y
,A c q u i r i n g p r o c e s s
*
東京女子医科大学看護学部CTokyo Women's M e d i c a l U n i v e r s i t y
,S c h o o l o f N u r s i n g )
* *
聖母女子短期大学C S e i b oJ u n i o r C o l l e g e o f N u r s i n g )
* * *
東京女子医科大学病院CTokyo Women's M e d i c a l C n i v e r s i t y H o s p i t a
l)****山梨医科大学
CYamanashi M e d i c a l C o l l e g e )
n w J V
1.序
近年の医療技術の進歩はめさましく、特に外科領域に おける麻酔技術や手術療法の進歩は、さまざまな疾病の 治療をとおして人類の福祉に大きく貢献している。
手術療法における看護の役割は、術前・術中・術後を 通して、患者や家族に対し継続的にケアを提供すること であり、「周手術期の看護」として定義づけられている。 なかでも術中看護すなわち手術室における看護は、その 多くが患者が麻酔下にあるときに実施されること、家族 が共にいることができないなと閉鎖的で非常に特殊な場 での治療であること、手術の経過は常に予断が許されず 緊急事態になる可能性が高いことなとから、外来や病室 での看護とは異なる知識や技術、そして倫理性が求めら れていると考えられる。
しかしながら、現状において手術室看護の価値や意義 が明確になっていないことから、「手術室には看護がな い
H
手術室の経験だけでは看護婦としてはやっていけな いのではないか」と悩む看護婦・士(以下「看護婦」と する)たちの言葉を耳にすることもある。果たして手術 室看護に求められる知識や技能の熟練には、看護として のどのような価値や意義があるのだろうか。今回私たちは、手術室看護に携わる看護婦が自分自身 のもつ知識や技術の専門性と、手術室看護の価値や意義 についてとのように認識しているのかを探る目的で、半 梼成的手法を用いて面接調査を行った。併せて、手術室 看護管理者、医療チームの協働者として共に仕事をする 外科医に対しでも同様の調査を行いいくつかの知見を 得、考察を加えたので報告する。
E
文献検討P . Benner )
は看護婦の技能の習得段階には5
つの段階 があることを明らかにした。その中で、一般に、同じ職 場 で 数 年 間 経 験 を 積 ん だ 看 護 婦 は 「一人 前( Com.
p e t e n t ) J
の段階になること、「一人前」の段階になった 看護婦が看護の仕事に傾倒しさらに経験を積むことで「熟達者
( p r o f i c i e nt ) J
になり、「熟達者J
の看護婦がさ らに経験を積み洗練されると「エキスパート」となるこ とを指摘している。しかし、 「一人前」になる過程とは異 なり、看護婦誰でもが「熟達者」や「エキスパート」に なれるわけではなく、そこには質的な飛躍が必要である とされている。このBenner
の理論は、日本においてもい‑ 2 0
一くつかの研究で裏付けられている2)3)引。
手術室看護における専門性に関する我が国における研 究について、医学中央雑誌
CD‑ROM
を用いて検索した ところ、参考となる2
件の文献があった。深津は、手術室 看護婦への質問紙による調査の結果から、手術室看護婦 のキャリアと一般科看護婦のキャリアの相違について、「直接介助者 (器械出し)としての業務があることから、
手術室にローテーション後の看護婦は、それまでの経験 に関係なく、
1
年間は業務に慣れることが目標になるJ
5)ことを指摘している。また角等は、
7
年以上の経験のあ る手術室看護婦の術中の様子をビデオに撮り分析した結 果、直接介助者が術中に用いる看護技術については、「① 清潔を保持する技術 ②感染防止のための技術 ③場を 読みとる技術④先を読む技術 ⑤効率的に器械を取り 扱う技術J
6)があることを見出した。 ー方、手術室看護の 専門性に関しては、前述の深海が文献検討の中から「手 術中の患者の安全性の確保、急変時の判断と対応、チー ムプレーの推進J
の3
点をがあることを指摘している1)。また、海外文献について
CINAHL
を用いて検索した結 果、l o p e r a t i n g roomsJ
とI exper
tJの両方を含む論文 が1 5
件抽出された。その中で、手術室看護に求められる 専門化された技能があることへ2 1
世紀には手術室看護 がより一層注目を集めることとなりその技術が評価され るであろうこと引が示唆されている。目 研 究 目 的
手術室看護の専門性とはとのようなものであるのかを 明らかにする。
N . 研究方法
1.用語の定義
本研究で用いる用語を
P .Benner
lO)の理論をもとに以 下のように定義する。一人前
(Competent)
:同じ病棟で最低2
年は勤務した看 護婦の持つ臨床技能。指導者のサポートなしに計画的に 仕事ができ、量・質ともに一定の仕事を担える能力を持 つ。熟達者
( Pr o f i c i e n t )
:具体的な現象を抽象化できるよう になった段階。複雑な状況にある患者のマネジメン卜が でき、経験に裏付けられた実践知や直感を駆使する。一 人前からは質的に飛躍する。2
研究対象手術室看護婦(手術室において8年以上の経験を持つ)
1 0
名手術室看護管理者
4
名外科系医師(10数 年 の 経 験 を 持 つ 3名
3
研 究 期 間1999 年 6 月 ~2000 年 4 月
4.研 究 方 法
1
) 手 術 室 看 護 の 経 験 を 持 つ 看 護 婦 を 含 む 研 究 メ ン バ 一 間で、「手術室看護の専門性とはなにか」についてブレー ンストーミングを行う。その内容をもとに質問項目を検 討する。2 )
研究対象者に対し、グループあるいは個人に 対する面接調査を行う。面接は半機成的な手法を用い、1)で 検 討 し た 内 容 を 質 問 項 目 と し て 用 い た 。 面 接 調 査 における質問項目は以下に示すとおりである。
①手 術 室 看 護 の 専 門 性 と は と の よ う な も の か。
②どのくらい経験を積めば一人前になると考えるか。
③新 人看護婦が手術室に配属されるメリッ卜・デメリ ットは何か。
④手術室看護婦に求められる資質やセンスとはどのよ うなものか。
3)面接内容を対象者の承諾を得てテープに録音し、逐語 記録を起こしデータとする。
4)デ ー タ を コ ー デ ィ ン グ し 中 心 的 な カ テ ゴ リ ー を 抽 出 するとともに、カテゴリー聞の関係性について検討する。
5)看護婦・看護管理者・医師のデータの分析結果を基に、
手術室看護の専門性を明らかにする。
V 結 果
ここでは、「面接調査で手術室看護婦・看護管理者7外 科医により語られた内容」、「手術室看護婦が考える手術 室看護の専門性」、「手術室看護におけるキャリアアップ の過程」について分析した。
1 .
面接調査で語られた内容について 1)看護婦1 0
人の看護婦から得られたデータから抽出されたコー ドは485件であった (表1)。 関連のあるコードを収束し 分類した結果「手術室看護の専門性」に関する内容の他 に、「キャリアアップH
手 術 室 看 護 の 専 門 性H
手術室の 特 徴H
チーム医療H
業務内容と管理体制」の4
つのカテ唱aAOFU
東京女子医科大学看護学部紀要Vo.l3. 2000
ゴリーと、各カテゴリーに属する
22
のサブカテゴリーを 識別することができた。特に、「手術室看護の専門性」と「キャリアアップ」とに関するコードが多く、全体の
72
%を占めていた。
表1 手術室看護婦が語った内容敵値件 カテゴリー ザブカテゴリー 件数 E十 キャリアアップ 経験年数 日
成長過程 109 学習の仕方 13
評価 17 185 (38.0
選 択 27
手術室との相性 3 将来の目標 2 心情え、姿'号、態度 B 手術室看護の尊門性 全体 99
外回り 32 162 (33.4) 器相提出し 31
手術室の特徴 場の特徴 22 求められる知梅 6
44 (9.1)
勤務体制 2
病繍との違い 14
チーム医療 チーム全体 16 8日(14.0) 医師のこと 52
物品請求と管理 3 .務内容と管理体制 医師との細墾 3
担当手術 3 26 (5.4)
役割 3
│管璽俸制 14
総合計 485 (100.0)
「手術室看護の専門性」のサフカテゴリーには、「器械出 し」と「外回り」それぞれについての内容と双方に共通 する「全体」としての内容とが含まれていた。また「キ ャリアアップに閲するもの」のサブカテゴリーは「経験 年 数
J r
成 長 過 程H
学 習 の 仕 方H
卒業時、選択した職場 であったか(表では 選択"と表現)Jr
手術室との相性 や今後の心構え」などであった。2)看 護 管 理 者
看護管理者から得られたデータから抽出されたコート、
は
269
件であった(表2 )
。これらのコードは8
つのカテ 表2
看護管理者が語った内容敏値件(怖) カTゴ1)‑ サブカテゴリー 件数 E十 キャリアアップ 経E費年量買 20
成長過緯 17
学習の仕方 12 59 (21.9)
選 択 7
手術室との相性 3 手術室看
1 1
の尊門性 全体 32外回り 17 59 (21.9) 器械出し 10
手術室の特徴 場の特徴 20
求められる知滋 11 39 (14.5) 病織との遣い 8
手術室看護の線題や 変 革 12
34 (12.6)
展 望 課題 10
経営への貢献 6
│認定看鰻師 6
手術支のス骨ッフィング 19 ( 7.0) チーム医療 13 (4.8) 管理者としての関わり 15 ( 5.6) その他 31 (11.5) 総合計 269 (1∞0)
コリーに分類された。「キャリアアップ
J 1
手術室看護の 専門性J 1
手術室の特徴J1
チーム医療」の4
つのカテゴ リーについては看護婦の結果と同じものであった。その 他に「手術室看護の課題や展望H
手術室のスタッフイン クH
管理者としてのかかわりJ 1
その他」の4
つがあった。その中で特徴的なこととして、管理者たちは特に外回 りの役割は看護婦としてのマネジメン卜能力が要求され ると指摘している。外回りを任せられる看護婦はその技 能を他の部門でも活用することができるし、他の部門で マネジメント能力を発揮している看護婦には外回りの仕 事を任せることができる。
3 )
外科医医師から得られたデータから抽出されたコードは
1 7 5
件であった(表3 )
。これらのコードは9
つのカテゴリー に分類された。「キャリアアップJ I
手術室看護の専門性」「手術室の特徴
J1
チーム医療」については看護婦・看護 管理者の結果と同様であった。その他に、「医師自身のこ とJ I
病院の管理体制H
アメリカの手術室看護J
の5
つが あった。その中で特徴的なこととして、医師たちは手術室は病 棟や外来とは異なる場で医師自身が非常に緊張してお り、医師が術野に専念できるように配慮されることを強 く望んでいると語っていた。
表
3
外科医が語った内容数値件(判)
カァゴリー サブカテゴリー 件 数 計 キャリアアップ 新人看護婦 10
3‑4年の看護婦 7 22 (12.6) ベテラン看護婦 5
業務内容 │医師との調聾
3 ( 17)
教育十旨導 2
手術支の特徴 16 ( 9.1) アメリカの手術室のこと 18 (103) 手術室看穫の尊門性全体 16
外回り 11 59 (33.7) 器繰出し 32
チーム医療 6 (3.4) 医師のこと 圭手盆術皇中笠の心理 .16
焦 点 14 44 (25.1)
自分の篠術 7 困ること 7
翁院の管理体制 1 (0.6) 病練との遣い 6 (3.4) 総 合 計 175 (100.0)
2 .
手術室看護婦が考える手術室看護の専門性について (1J
内は実際に語られた内容)手術室看護婦が考える手術室看護の専門性には、個人 に焦点が当てられたものと、チームの?見.~でとらえられ
︒ ︐
unJhu
たちのがあった(表
4 )
。これら2
群にはそれぞれ『行動』『考え克・気持ち~ w知識』の
3
つの側面が含まれていた。また、看護婦たちは語るという行為について 「今考えて みると、新人時代はつらかった
H
改めて考えると、これ が専門性なのかな」という表現をしながら、自分自身の 成長過程と、現在の仕事ぶりや認識について語っていた。2
時間の予定で開始したが、予定時聞が来ても話がとぎ れず、生き生きと体験を語っていた。1)専門性について個人に焦点が当てられたもの 個人に関連する内容で『行動』に関しては、「全体を把 握した行動
J1
肝が据わっている冷静さJ 1
秒単位の機敏 な行動J
['リズムやタイミングを合わせるJ I
後ろにも目 があるような行動」などが挙げられていた。f
考え方・気 持ち』に関しては、「看護が分かると意欲が出るJ 1
よい 手術、短時間の手術は患者のためH
患者にとって安らぐ 存在でありたし、」という姿勢、『知識J
に関しては「手術 の進行・手)1頂J
['予測されることと起こったときの機序」「合併症の予防・安全な体位」などが必要なこととして挙 げられている。
手術室看護婦は、まず個人で技を磨くことが必要であ り、そこには知識に裏付けられた行動が求められている と考えていることが分かる。
2)専門性についてチームの視点でとらえられたもの チームの視点でとらえられた内容で『行動
J
に関して は、第l
に「チームの一員としてのコミュニケーション、場づくり
H
察知して行動、書葉以外のコミュニケーショ ンJ
なと、自分の存在が他者の動きに影響をうえること への認識がある。また、1 4 ‑ 5
人の言うことの優先順位を 判断するH
医師と意見交換が行える」なと、看護婦とし ての役割を果たすための行動もあった。『考え方・気持 ち』では「患者中心の考え方をするH
看護婦は患者の代弁者である」と考え、「医師に外回りはできなL、
J
と看護 婦の役割を認識している。 『知識』としては、「全体の流 れをつかむことJ
['手術の進行、手11頃」と併せて、「医師 の使う器械、性格や癖」までも含めた気遣いをしている ことが挙げられている。つまり、個人としての技をチームの中でどう活用し、
看護の役割をどう果たすのかに焦点が当たっていた。
3
手術室看護におけるキャリアアップの過程について 1)手術室における専門性の獲得過程 (1J
内は、実際に語られた内容)
手術室における専門性の獲得については、以下のよう な過程があることが確認された。
東京女子医科大学看護学部紀要VoJ.3. 2000
表4 手術室看護婦が考える手術室看護の専門性
個 人 に 関 連 し た も の
全 且 し た 行 動
肝 が 据 わ っ て い る 冷 静 さ 秒 単 位 の 機 敏 な 対 応
リ ズ ム や タ イ ミ ン グ を 合 わ せ ら れ る
ス ム ー ズ な 行 動 、 的 確 な 行 動 手 を 披 か な い 宮 薫 以 外 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ニ ヘ 察 知 し て 動 く
r r
重力 勘 が い い セ ン ス が あ る 合 併 症 を 予 防 す る 行 動マ ー ュ アJレ に な い 判 断 を 迫 ら れ る 優 先 度 を 即 断 し て い る 、 そ の 場 で 即 対 応
自 分 の エ リ ア に 責 任 を 持 つ 〈 清 潔 管 理 〉 自 分 な り に 考 え て 準 備 す る
後 ろ に も 目 が あ る よ う な 行 動 使 い な が ら 器 械 を 整 理 す る 看 護 が わ か る と 意 欲 が 出 る
よ い 手 術 短 時 間 の 手 術Iま 患 者 の た め 患 者 に と っ て 安 ら ぐ 存 在 で あ り た い 性 格 も 関 係 す る
経 験 年 散 だ け で は な い
麻 酔 導 入 ま で の 対 応 に や り が い 考 え 方 基 本 を 抑 え れ ば 外 回 りIま で き る 気 持 ち 器 械 出 し が い い と 手 術 時 聞 が 短 縮 す る
ち ゃ ん と 覚 え な い と 器 械 出 し は で き な い 最 近 つ か な い 手 術 は 自 信 が な い 器 械 出 し は 集 中 力 が 必 要
器 械 を 使 え る よ う に し て お く 責 任 が あ る 頭 の 中 が 整 理 さ れ て い る
セ ン ス の よ さ 〈 好 き 嫌 い よ く 見 る 、 臨 む 姿 瞥 〉 漫 然 と し た 器 械 出 し は 誰 で も で き る
手 術 の 進 行 . 手11頂
器 械 、 機 材 の 種 顕 使 い 方 置 き 場 所 予 測 さ れ る こ と と 起 こ っ た と き の 機 序 と 対 応 知 臓 合 併 症 の 予 防 安 全 な 体 位
街身体中のの体構造温聞、三節主 ド ク タ ー 的 知 臓
新卒で手術室に配属された看護婦の多くは、「恐ろしい
場所 J 1
なじめなL、J 1
宇宙語が飛び交っている」とカル チャーショックを受ける。「器械の名前を覚えるのに精4杯な状況の中で、怒られる、怒鳴られる」体験をする。
器械出しがうまくできず泣き出してしまった新人看護婦 時代に、術者から「涙で不潔になる」と言われ、どうし て自分はこんなところに配属になったのだろうと暗浩と した気持ちになったと語った看護婦もいた。しばらくす ると「涙も出なくなりやって行くしかなL、」と達観する ようになる。「ひとり立ちできるようになるには
l
年かか るJ o 2
年目は1 1
年目の経験を自分のものにしていく期 間J o 3
年目になると「イメージしながら応用できる」よ うになり、「周囲からも認められる」ようになる。「医師 に対し時には待って下さ L、」と言えるようになる。 4かチ ー ム に 関 連 し た も の
チ ム の 員 と し て コ ミ ュ . ケ シ ョ ン 〈 場 作 り 〉
全 体 の え て 配 置 す る
4 ‑ 5人 の い う 」 と の 僅 安 、 し て い る 不 必 要 な こ と あ と で も よ い 」 と を 判 断 し て 伝 達 察 知 し て 行 動 言 葉 以 外 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 医 師 と 意 見 交 換 が で き る 般 然 と し た 輝 度 で 行 動 医 師 の 術 中 の 簡 を よ く 聞 い て い る
医 師 に 気 遣 い を す る 相 手 に 合 わ せ て 行 動 す る 医 師 に リ ズ ム や タ イ ミ ン グ を 合 わ せ ら れ る 医 師 の 気 分 や 機 嫌 を 見 る 、 怒 ら せ な し 、 医 師 「 心 毘 を か け さ せ な い よ う 「 す る 医 師 へ の 言 葉 遣 い に 気 を 使 う 麻 酔 科 医 師 の 官 わ れ る 前 に 薬 を 準 備 麻 酔 科 医 師 の 技 量 を 把 握 し て 介 助 言 わ れ な く て も ピ シ ッ と 出 す の は 最 高 外 国 り は や り が い が あ る
外 回 り は 全 体 の 流 れ と 先 が わ か る 外 回 り は 外 部 と の 聞 整 能 力 が 必 要 医 師 に 外 回 り は で き な い
患 者 中 心 の 考 え 方 を す る 宥 瞳 婦 は 患 者 の 代 弁 者 で あ る 医 師 に 気 持 ち よ く 手 術 を し て ほ し い 医 師 を 怒 ら せ な い よ う に す る
ガ ー ゼ カ ウ ン ト が 合 わ な い と 気 を 使 う 医 師 に 待 っ て も ら う こ と も 大 事 ス タ ッ フ 聞 の 聞 整 を す る
全 体 の 流 れ と そ れ ぞ れ の 役 割 外 部 と の 連 絡 間 整 方 法 手 術 の 進 行 守 手 順
医 師 の 使 う 器 械 、 性 格 や 蔀 麻 酔 科 医 の 技 量
ら
5
年目は「一人前以上になれるかどうかの分かれ日」の 時期である。この時期は「個人差が広がりJ 1
落ち着く」時期でもあるが、「後輩や学生への指導の役割も担う」よ うになり、「ジレンマを感じたりする」こともあるが、「手 術室全体を見ることができる」ようになる人も多い。
6
から7
年目では「患者の全体が見える」ようになり、「麻 酔医との連携がスムース」になり、「自信を持って仕事が できる」ようになる。手術室看護は大きく「器械出し(手洗い/直接介助)j と「外回り(間接介助)Jに役割を分担している。この三 つはチームワークを図りながら、しかもそれぞれが異な る役割を責任もって拘うことが求められている。
2 ) I
器械出し」としての専門性の獲得過程器械出しとして一通りのことができるようになるには
‑ 23 ‑
器械出しは術者が術野に集中できるように気配りし、安 全でなおかっ手術時聞が短くなるように熟練を積んでい く。これらの吾護婦の行動は、すべてが患者へのケアに
1 3
年程度の期間が必要」である。器械出しに求められる 技術には、「自分で考えられ、術式の変更が予測でき」、「言われなくても器械がぴしっと出せる的確さ」、「秒単位
繋がっている。
従来、手術室看護の役割については、直接介助看護婦 という言葉が示すように術者への介助であり、間接介助 看護者は術者や直接介助看護省の介助をすることである とされてきた1Il。あるいは、間接介助看護者は「患者中 心」に調整をするが直接介助看護者は術者の介助をする という考え方も示されている12)。しかし、直接介助、間 接介助という言葉そのものが使われなくなりつつあり、
器械出し(手洗L、)、外国りと呼ばれるようになってきた ことからも推察できるように、介助という役割から主体 的な役割
l
獲得へと、手術室看護は変遷してきている。言 い換えると、手術室看護に携わる看護婦は、器械出し・外 回りのとの役割を担っていても常に患者を中心に看護を の機敏な反応H
手を抜かなL、J 1
集中力H
リズムやタイミングが合わせられる
J 1
センスの良さ」が挙げられる。3 ) 1
外回り」としての専門性の獲得過程「最低
5
年以上のキャリア」が必要である。外回り看護 婦には「場を創り上げるマネジメント能力H
緊急時の迅 速な状況判断力と行動力」が求められる。必要とされる 技術は、「術野の状況や器械出しの役割を知ったとで」、「物言わぬ患者のニードをキャッチし」、「チーム内の調整 ができ
J
、「複数の外科医、麻酔医、器械出しとの良い関 係が作れる」ことが挙げられる。V I.考
察展開することを自分の仕事として位置づけており、その ことが看護婦としての自信と誇りに繋がり、手術室看護 婦としての専門性を成長させる基盤になっていると考え
られる。
手術室看護の専門性について
以上の結果から整理すると、手術室看護の専門性とは
「患者を中心に展開される看護」であり、それを特徴づけ るものとして「専門的知識に裏付けられた行動
H
チームの一員でかつ調整役
J r
マネジメン卜能力」の3
つの側面2 )
手術室看護の専門性を特徴づける3
つの側面①専門的知識に裏付けられた行動
手術室では、特殊な知識として手術の進行や手順、器 械や材料の種類と用途、それらの器械の管理方法や保管 場所、人体の解剖と手術侵襲に関連した生体反応、安全 な体位の取り方なとに加え、日々開発される新しい術式 やそれに伴い必要とされる知識をもつことが求められて いる。またそれらは多くの診療科を網羅する範囲に広が っており、専門の科の手術のみを担当する医師の知識と があることが明らかになった(図1)。
1)患者を中心に展開される看護
手術室看護婦は「手術を受ける患者に安心して手術を 受けてもらうために
J
I1分でもl
秒でも早く家族の元に 帰すことができるようにJ
と考えながら、仕事をしてい る。傍創や麻痩を予防するための体位の工夫は、時には 術者との真剣な討論をしながら慎重に実施されている。は異なる知識でもある。時には術中に「あの器械をもっ てきて
J
と弓ーわれ、その器械が何であるのかを判断し医 師に提供する場面もある。また、多くの器械や診療材料 を把握し、それらを管理し、過不足無く準備する綴密さ も求められている。内容は詳細で正確さを求められ、行 動は迅速で的確であることが求められる。これらは患者 にとって大きな侵襲である麻酔や手術が行われるために 求められることであり、手術を担当する医師も病棟とは 異なる緊迫した状況で治療を行っているためと考えるこ~IG367年
年民 パ
V4
局〉
とができる。
②チームの一員でかつ調整役
手術を行うメンパーはその時限りのメンバーであり、
それぞれは担うべき役割を明確にもっている。結果の
3
の1)で述べたように、新人時代は医師から怒鳴られ、泣くこともできない体験をする。しかしそれは、ある意味
‑ 2 4 ‑
年3 2
l
新 人
手術室看護の専門性とその獲得過程
仁亘与
図 1
融問遺書への質的置化・
1
経 年 的 キ ャ リ ア ア ッ プ
で手術室という場では必然的な場面でもあり、そう語っ た看護婦も今ではリズミカルに円滑に器械出しができる 自分に誇りを感じているo これは高度な治療の場では 人りひとりの役割が大きく、代替できない状況があるこ
とから生じている状況と考えることができる。
この役割の遂行には責任を果たすことだけでなく、構 成メンバーと協調を図っていくことが必要である。図
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に示したように、新人時代は他のメンバーに支援された り役割の 一部を代行されることもあるが、熟練していく 過程では他のメンバーに対し相補的に支援できるように
なっていく。これはオーケス卜ラの
1
つの楽器のように、明確なパートを担いつつ全体の調和を図っていくような ものと考えることができる。
近海等は「医療チームの連携」を生み出す病棟看護婦 の技術として、 「場を読みとる技術
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手配する技術H 演
出する技術J r
補佐する技術J r
場づくりをする技術」の5
つを挙げている13)。今回の研究の結果から、手術室に おいて経験を積んだ看護婦たちが生み出している技術に ついても同様な結果が得られたと考えることができる。③マネジメント能力
特に外回りの役割には、全体を把握し運営していくマ ネジメント能力が求められている。これは看護管理者た ちが「外回りをきちんとできる看護婦は病棟でもそれな りに動ける
H
病棟でそれなりにやってきた看護婦は器械 出しはできなくても外国りはできる」と語っているよう に、外向りの看護婦は患者の代弁者として術後に支障が 生じないような術前からの管理を行い、麻酔医ともカを 合わせ、手術の進行に伴う術者や器械出しに対応し、外 部との連絡を取り、順調に手術が行われるように配慮し ている。このようなマネジメント能力は、手術室内での 看護を超えた、すべての領域の吾護婦に共涌して求めら れる能力であると考えることができる。2.手術室看護婦が手術看護について語ることの意味 本研究の結果からも看護婦が実践の場で用いている知 識は、「普遍性
J r
論理性J r
客観性」に裳付けられる「科 学の知」というよりは、むしろ「コスモロジーJ r
シンボ リズムH
パフォーマンスjで表される「臨床の知J
14)で あると考えることができる。「臨床の知」は、使われる場 によって異なり (コスモロジーの知)、 多義性があり(シ ンボリズムの知)、しかも相E
作用の中で用いられる知 (/~ フォーマンスの知)である。また、 看-護婦が臨床で経 験を積むということは、技能を修得し技能を身体に根ざ したものとして獲得するという意味で非常に重要なことF hυ
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東京女チ医科大学看護学部紀要
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l.3 . 2 0 0 0
である。しかし、身体に根さした知は暗黙知として個人 の中で埋もれてしまう傾向があり、その暗黙知は看護婦 たちが語ることにより言語化され、看護婦共通の知識と することができる。本研究の結果から、手術室看護婦が 自らの体験を語ることで自己の成長過程を振り返り、手 術室看護の専門性について言及したことの意味は大きい
と考える。
V I . 結 語
本研究の結果から、以下のことが示唆された。
1.手術室看護婦が考える手術室看護の専門性は「患告を 中心に展開される看護」であることが明らかになった。
2 . r
患者を中心に展開される看護」は以下の3
つの側面 で特徴づけられている。①専門的知識に裏付けられた行動
②チームの一員でかっ調整役
③マネジメン卜能力
3 .
手術室看護婦としての専門性を獲得する過程には、経 年的キャリアアップに加え熟達者へと到達するための質 的な変化がある。4
熟達者のレベルに到達した看護婦は、チームの中で柔 軟に相補的な関係を形成している。本研究をまとめるにあたり、それぞれの成長の過程と 手術看護に対する考えや気持ちを語って下さった
1 0
名 の看護婦のみなさま、管理者のおよび外科医の立場から 本研究に対し貴重なご意見をいただいた4
施設の婦長、外科医のみなさまに心より感謝いたします。
1 ) P . B e n n e r : rrom N o v i c e t o E x p e r t ‑E x c e l l e n c e a n d Power i n C l i n i c a l N u r s i n g P r a c t i c e . 1 9 8 4 .
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2 )
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5 )
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6
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7)
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8) N e r s o n ‑ S . F . : U s i n g a d u l t l e a r n i n g p r i n c i p l e s f o r p e r i o p e r a t i v e o r i e n t a t i o n programs
,AORN
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医療チームの連携J
を生み出す看護婦の技術.看護研究.