住宅内におけるエネルギー消費量と省エネルギーライフスタイルに関する調査研究 [ PDF
4
0
0
全文
(2) に次いで多い。なお,照明用エネルギーは分電盤測定値 く影響するため,住宅により大きな差がある。また 2004 (各室の総エネルギー消費量)と個別機器測定値(照明 量は空調機の使用頻度,設定温度などの住まい方が大き を除く各室の機器別エネルギー消費量の合計)の差とし 年は2003年に比べ酷暑であったために冷房用エネルギー 消費量は増加している。照明用エネルギー消費量は住宅. て求めている。. 厨房用,冷蔵庫用,娯楽・情報用,家事・衛生用のエ 全体の 10%∼30%を示している。冷蔵庫エネルギー消費 ネルギー消費量の合計は,住宅全体の 11%∼25%でその 量は全住戸において冬季より夏季に増大する傾向がある。 内訳は居住者の住まい方と関係している。ただし,いず 3-2 年間エネルギー消費量 図 3 に各住戸の年間エネルギー消費量を示す。最もエ. れの住宅も厨房用は電磁調理器,冷蔵庫用,娯楽・情報. ネルギー消費量が多い戸建 02 邸は,最もエネルギー消費. 用はテレビの消費量が多い。. 夏季では,いずれの住宅も給湯用エネルギー消費量が 量が少ない戸建 04 邸の約 2 倍にも及ぶ。この原因として 最も多く,住宅全体の 14%∼58%になる。しかし,冬季 最も影響が大きいのは「家族人数の違い」である。 また,暖冷房の方法によってエネルギー消費量も大き. と比較すると,使用湯量が減少したためにエネルギー消. 費量自体は減少している。ただし,循環ホームバスを採 く変動することが分かる。暖房用では,エアコンのみを ,電気式床暖房を使用するか(戸 用した集合02は使用湯量 (お湯張り回数) が少ないため, 使用するか(戸建 04 邸) ,オイルヒーターを使用するか(戸建 06 邸) , 家族人数が同等の他の住戸に比べてエネルギー消費量は 建 05 邸) 抑えられている。なお,最も多い戸建 02 でも給湯用エネ エアコンと電気カーペットなどを併用するか,などとい ルギー消費量は 1.5GJ/月程度で,冬季の約 2 分の 1 に低 った使用機器の選択,またそれらの機器の使い方,冷房 減されている。この理由として使用湯量の減少と水温の 用では,エアコンに頼るか,通風などを積極的に利用す 上昇が挙げられる。なお,CO2HP 式給湯器を使用した戸 るか (戸建05邸) でエネルギー消費量は大きく増減する。 建 01 の 7 月の給湯用エネルギーは 0.34GJ/月で冬季の約 3 全住戸を通じて冷蔵庫のエネルギー消費量は全体の 10% 分の 1 である。戸建 01 のエネルギー消費量が低減した要 近く,照明用エネルギー消費量は 10~20%を占めている。 因として外気温度の上昇により給湯器のCOP が高くなっ 特に照明用は生活者が何気なく消費している感があるが, たことも考えられる。冷房用(空調用)エネルギーは,8 省エネルギーを図る上でこれらのエネルギー消費量を削 月は住宅全体の 8%∼34%である。 冷房用エネルギー消費 減するためのライフスタイルを検討する必要がある。 その他. 空調. 7. 7 エネルギー消費量[GJ]. 4. 戸建03. 戸建04. 戸建05. 戸建06. 集合01. 集合02. 戸建01. 集合03. 戸建02. 戸建04. 戸建05. 戸建06. 集合01. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 集合02. 集合03. (a)用途別エネルギー消費量. (a)用途別エネルギー消費量 100%. 100% エネルギー消費量の割合[%]. 80%. 60%. 40%. 20%. 80%. 60%. 電 力 欠 測. 全 欠 測. 40%. 20%. 戸建02. 戸建03. 戸建04. 戸建05. 戸建06. 集合01. 集合02. 戸建01. 集合03. (b)用途別エネルギー消費量の割合. 戸建02. 戸建03. 戸建04. 戸建05. 戸建06. 集合01. 集合02. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 戸建01. 2003年. 0%. 0% 2003年. エネルギー消費量の割合[%]. 戸建03. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 2004年. 2003年. 0 2004年. 1. 電 力 欠 測. 全 欠 測. 2. 2003年. 3. 0. 戸建02. その他. 5. 1. 戸建01. 家事・衛生. 6. 2004年. 2. 娯楽・情報. 2003年. 3. 冷蔵庫. 2004年. 4. 厨房. 2003年. 5. 照明. 2004年. 6. 給湯. 2003年. 家事・衛生. 2004年. 娯楽・情報. 2003年. 冷蔵庫. 2004年. 厨房. 2003年. 照明. 2004年. 給湯. 8. 2003年. エネルギー消費量[GJ]. 空調 8. 集合03. (b)用途別エネルギー消費量の割合 図 2 夏季の用途別エネルギー消費量(7 月). 図 1 冬季の用途別エネルギー消費量(1 月). 注)戸建 04 邸の 2004 年 7 月は全欠測 戸建 05 邸の 2004 年 7 月は電力欠測. 注)戸建 03 邸,戸建 04 邸の 2003 年 1 月の給湯用は欠測のため補 完している. 30-2.
(3) 暖房. 冷房. 給湯. 照明. 厨房. 冷蔵庫. 娯楽・情報. 家事・衛生. 暖房. その他. 年間エネルギー消費量の割合[%]. 年間エネルギー消費量[GJ]. 70 60 50 40 30 20 10. 冷房. 給湯. 照明. 厨房. 冷蔵庫. 娯楽・情報. 家事・衛生. その他. 100% 80% 60% 40% 20% 0%. 0. 戸建01邸 戸建02邸 戸建03邸 戸建04邸 戸建05邸 戸建06邸 集合01邸 集合02邸 集合03邸. 戸建01邸 戸建02邸 戸建03邸 戸建04邸 戸建05邸 戸建06邸 集合01邸 集合02邸 集合03邸. (a)年間エネルギー消費量. (b)年間エネルギー消費量の用途別割合. 図 3 九州北部地区の年間エネルギー消費量 PVシステム発電量 PVシステム逆潮流量. を示す。PV システムの月積算電力発電量は 2003 年 10 月 に実測期間最大値となり,その値は 423 kWh/月である。 また実測期間最小値は2002 年12 月で160 kWh/月である。. 電力消費量[kWh]. 電力消費量(住宅全体). 図 4 に戸建 05 邸における PV システムの月積算発電量. 自家消費量(発電 - 逆潮流). 2000. 1000. 0 Nov. 2002. と,そして PV 発電量自体が少ないことが原因で PV シス テム依存率は低く, 冬季 (12 月∼2 月) での平均率は 11.3% である。しかし 5 月か 10 月にかけては発電量が多いこと. Jan. 2003. Feb.. Mar.. Apr.. May. Jun.. Jul.. Aug.. Sep.. Oct.. Nov.. Dec.. 戸建01邸. 戸建02邸. 戸建06邸. 集合01邸. 1.0 単位人数当たりの給湯用エネルギー消費量 [GJ/月・人]. 房用エネルギー消費量)が多いために売電量が少ないこ. Dec.. 図 4 戸建 05 邸の PV システムの月積算発電量. PV システム依存率[ (自家消費量)/(電力消費量(住. 年が 19.1%であった。冬季はエネルギー消費量(特に暖. 0.8. 0.6. 0.4. 0.2. 0.0 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 2002年 2003年 2004年. 図 5 単位人数当たりの給湯用エネルギー消費量. と電力消費量が少ないことから PV システム依存率は高 表 3 省エネライフスタイルの項目達成度の分布. く,平均 26%となっている。 図 5 に CO2HP 式給湯器と電気温水器の一人当たりのエ ネルギー消費量を示す。CO2HP 式給湯器のエネルギー消 費量は最大で 2003 年 1 月の 3.8MJ, 最小で 2003 年 7 月の 1.1MJ である。 冬季にエネルギー消費量が最大となるのは 「使用湯量の増加」 「市水温度の低下」 「外気温度の低下」 が原因として挙げられる。CO2HP 式給湯器は大気熱エネ ルギーを利用するため,外気温度の低い冬季では効率が 低下してエネルギー消費量の増加を招く。一方で,外気 温度が高い夏季では冬季に比べエネルギー消費量は 1/3 ∼1/4 に縮小されている。電気温水器のエネルギー消費量 は,1 月では 3.7∼6.3MJ,7 月では 2.4∼3.9MJ となってお り,CO2HP 式給湯器の省エネルギー性が確認できる。 4.. 住宅内の省エネライフスタイルの検討 「省エネルギーなライフスタイル」という言葉は意味. する範囲が非常に広い。本論文ではその言葉の定義を「住 宅内での生活において,従来のライフスタイルを大きく 崩すことなく様々な用途での省エネルギー性を追求した. 30-3. 70 60 50 40 30 20 10 0. 500. 傾向がある。. に最低 8.2%である。年平均値は 2003 年が 18.7%,2004. PVシステム依存率. 1500. 発電量は天候があまりよくない日が多い冬季に低下する. 宅全体) ) ]は,2004 年 8 月に最高 29.6%,2002 年 12 月. PVシステム自給率. PVシステム自給率[%] PVシステム依存率[%]. 3-3 省エネルギー機器の効果.
(4) 新たなライフスタイル」とする。. 空調・換気 照明 . 1500. 厨房 娯楽・情報. 給湯 家事・衛生. 数ある省エネライフスタイルの項目の中で,実際その 項目が行動に移せるのかどうかということは重要なこと 照明:点灯時間を短くする. である。実測対象住戸に省エネライフスタイルを実施し. 調理:鍋は底の広いものを使う. エネルギー削減量[MJ/年]. てもらい,それに関するアンケート調査を行った。実施 期間中の達成度を 5 段階(1:実行せず,2:わずかに実 行した,3:時々実行した,4:かなり実行した,5:完全 に実行した)で評価してもらう。 表 3 に省エネライフスタイルの実行達成度の分布を示. 1000 風呂:入浴後はフタを閉める. 空調:冷房設定温度を高く設定する 冷蔵庫:放熱面に物をのせない. 500. す。各用途,各項目において分布は様々である。 「給湯の. 温水洗浄便座: 季節に合わせて設定温度を変更する. テレビ:非使用時は 主電源を切る ビデオ:非使用時はコンセントを抜く 給湯:湯の設定温度を 調整する(洗面). 湯を沸騰させて利用する」や「冷凍食品は自然解凍して. 冷蔵庫:熱いものは常温で 冷ましてから入れる. 使う」は達成率が 1 に近く,実施は困難であると思われ る。. 調理:電気ポットを使用しない. 洗濯機:まとめ洗いをする 冷蔵庫:物を詰め込み過ぎ ないようにする. 庫の「放熱面に物をのせない」風呂の「入浴後はフタを. 給湯:湯の設定温度を 調節する(厨房). 0 3. 図 6 に実行達成度(3∼5)とエネルギー削減量の関係 を示す。調理の「鍋は底の広いものを使用する」や冷蔵. 空調:非使用時にはコンセントを抜く. 4 実行達成度. テレビ:音量を上げすぎない 冷蔵庫:扉の開閉時間を ようにする 短くする 空調:こまめにエアフィルター を掃除する. 5 調理:鍋底の水滴を 拭き取ってから火にかける. 図 6 エネルギー削減量と実行達成度の関係. 閉める」は実行達成度が高く,エネルギー削減量も多い. (実行達成度 3∼5). ことから実施可能な項目の一つであると思われる。 図 7(a) (b)に実在住戸が省エネライフスタイルを実 施した場合のエネルギー消費量の変化を示す。戸建 02 邸. 暖房 冷蔵庫. では冷房用,照明用,冷蔵庫用で高いエネルギー削減率 動を実施しているが,照明用,冷蔵庫用に関する項目は あまり実施できていない。しかし総エネルギー消費量が 多いために,少し実施しただけでその効果が表れている。 エネルギー消費量が多い住戸では,毎日省エネライフス タイルを完全に実施することは不可能でも,少し意識し て生活を行えばエネルギーは削減することができると予. 給湯 家事・衛生. 照明 その他. 厨房. 70 年間エネルギー消費量[GJ/年]. を示している。この住戸では冷房用は意識して省エネ行. 冷房 娯楽・情報. 3.4 1.7 4.8 4.9 6.2. 60 50 40. 7.9. 6.9. 30 20. 27.7. 26.6. 3.3 3.3. 2.7 3.3. 従来. 実施後. 10 0. 想される。集合 02 邸では,省エネライフスタイルを実施. 3.4 1.6 4.7 4.2 6.2. すると各用途で 10%以上の削減率を達成している。特に,. (a)戸建 02 邸. 娯楽・情報用では 42%のエネルギー削減率を示している。 暖房 冷蔵庫. テレビの「使用時間を短くする」は 3 で,それ以外の項 目は 4 と高い割合で実行しているためである。これ以外 果がエネルギー削減率の高さにつながっている。 5.. おわりに 本論文では,九州北部地区における住宅のエネルギー. 消費量を季節別,年別に様々な角度から考察を行った。 また省エネライフスタイルを実施した際のエネルギー削 減量と,各項目に対する実行達成率の関係を考察した。 今後の課題として,今回削減量が算出できなかった項目 についての考察,また季節毎で考察しなければならない 省エネ項目(暖房用や給湯用)についても考察を行うこ. 給湯 家事・衛生. 照明 その他. 厨房. 40 年間エネルギー消費量[GJ/年]. の用途でも比較的高い実行達成度を示しており,その結. 冷房 娯楽・情報. 30. 3.4 1.1 1.0 3.9. 25. 6.1. 35. 20. 6.1 5.0. 15 10. 3.4 1.0 0.6 3.0. 4.2. 12.9. 11.4. 1.5 1.5. 1.1 1.5. 従来. 実施後. 5 0. (b)集合 01 邸 図 7 省エネライフスタイルを実施した場合の年間. とが挙げられる。. エネルギー消費量の変化. 30-4.
(5)
関連したドキュメント
注)○のあるものを使用すること。
● ボタンまたは ボタンどちらかを押す。 上げる 冷房 暖房 下げる. 運転 暖房準備 冷房 暖房
エネルギー大消費地である東京の責務として、世界をリードする低炭素都市を実 現するため、都内のエネルギー消費量を 2030 年までに 2000 年比 38%削減、温室 効果ガス排出量を
備考 1.「処方」欄には、薬名、分量、用法及び用量を記載すること。
利用している暖房機器について今冬の使用開始月と使用終了月(見込) 、今冬の使用日 数(見込)
2012 年度時点では、我が国は年間約 13.6 億トンの天然資源を消費しているが、その
2012 年度時点では、我が国は年間約 13.6 億トンの天然資源を消費しているが、その
使用済自動車に搭載されているエアコンディショナーに冷媒としてフロン類が含まれている かどうかを確認する次の体制を記入してください。 (1又は2に○印をつけてください。 )