在宅医療の未来 〜安心!このまちに住んで良かった〜
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(2) 感想 (1) 2部の討論会の出演者をお願いするのにたいへん苦労しました。特に在宅で看取られた家族の方に 出演をお願いすることが最大の難関でした。 この介護者の出演がなかったら今回の企画は平凡なもので終わってしまったと思っています。出演い ただいた介護者はじめ出演者に感謝です。 (2) 介護者の方を取材する中で、患者に対する家族の思い、各職種の連携の大切さ、かかりつけ医とい い関係を構築することなどを学びました。そして、かかりつけ医は病気を治すことだけでなく、そ の患者の生活や生き方まで関わってほしいと願っています。 今回の事業を今後の在宅医療に活かしていきます。 (3) 今回、対象を地域住民としましたが、住民の反応が低く集客力が足りなかったことを反省していま す。地域住民をどう巻き込んでいくか今後の課題です。また、参加者を把握するために、入場整理 券を発行するなどの工夫が必要と感じました。 (4) 当水俣芦北地域在宅医療連携拠点事業所は、職員2名(うち1名は兼務)です。 イベントを開催する中で、2人では準備等は出来ないことばかりです。 しかし、今回は、多職種連携の意味から、各自治体、医療・介護関係団体など多くの職種が関わって いただきました。特に、熊本県介護支援専門協会水俣芦北支部は、総合司会や駐車場整理など、水俣 保健所は受付などスタッフとして協力いただきました。このような関係が構築されますと少ない職員 でも仕事がやりやすくなります。もちろん、逆の立場になれば協力は喜んで参加させていただきます。 (5) 今回の事業は、助成金30万円を先に入金していただき、事務や資金の運用面においておおいに助 かりました。 私は、永年補助金等を活用した事務の担当をしていますが、今回のような先に入金され、業務を遂行 するやり方は画期的なことと思っています。 あらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。 ポスター・チラシ. 2.
(3) プログラム. 在宅医療地域住民のつどい 3.
(4) ~在宅医療知っていますか。家で最期まで療養したい人に~ 日. 時. 平成26年10月26日(日)午後1時30分~3時30分. 会. 場. 水俣市総合もやい直しセンターもやい館ホール. 開会 主催者挨拶. 水俣市芦北郡医師会会長. 緒方. 来賓挨拶. 水俣市長. 様. 西田. 弘志. 圭治. 第1部 基調講演「在宅医療の話」~自宅で医療を受ける~ 演者. 森. 健一郎先生(水俣市芦北郡医師会理事:竹本医院院長). 休憩 第2部 討論会「在宅医療に取組んで」 演者. 平山. 貴子. (水俣市立総合医療センター: 医療ソーシャルワーカー). 座長. 大﨑. 美紀子. (きずなの里:ケアマネジャー). 岩井. 有里. (訪問看護ステーションはなみ:訪問看護師). 村上. ヒロ子. (介護者). 森. 健一郎先生(水俣市芦北郡医師会理事:竹本医院院長). 閉会 森健一郎先生プロフィール 昭和 48 年長崎大学医学部卒業、その後. 帝京大学付属病院、長崎大学医学部付属病院、長崎労災病院等を. へて平成 5 年竹本医院院長、平成 10 年水俣市芦北郡医師会理事、昭和 24 年生まれ、芦北町湯浦在住。. 主 催 水俣市芦北郡医師会 4.
(5) 主 管. 水俣芦北地域在宅医療連携拠点事業所. 共 催. 水俣・芦北郡市歯科医師会 センター. 芦北町地域包括支援センター. 業者連絡協議会 後 援. 水俣芦北薬剤師会. 熊本県看護協会水俣・芦北支部. 津奈木町地域包括支援センター. 水俣市地域包括支援. 水俣市介護保険サービス事. 熊本県介護支援専門協会水俣芦北支部. 熊本県水俣保健所. 水俣市. 芦北町 津奈木町. 水俣市社会福祉協議会. 芦北町社会福祉協議会. 木町社会福祉協議会 問合せ 水俣芦北地域在宅医療連携拠点事業所(水俣市浜 4051. 5. やすらぎ苑内. ℡84-9996). 津奈.
(6) この市民のつどいは、公益財団法人. 第1部. 第2部. 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成を受けています. 基調講演「在宅医療の話」~自宅で医療を受ける~. 討論会「在宅医療に取組んで」. 会場からの質問. 6.
(7) 第1部 基調講演「在宅医療の話」~自宅で医療を受ける~ 演者. 森. 健一郎先生(水俣市芦北郡医師会理事:竹本医院院長). 7.
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(16) (会議録) 第1部 基調講演「在宅医療の話」~自宅で医療を受ける~ 演者. 森. 健一郎先生(水俣市芦北郡医師会理事:竹本医院院長). 皆さん、こんにちは。 ただいま御紹介していただきました森健一郎です。 きょうは、在宅医療の話をさせていただきます。最初のタイトルに、在宅医療の話と いうことで、副題に、「自宅で医療を受ける」というふうに書きました。最初は、自宅 で医療を受けられるというふうな副題にしたのですが、受けられるというのは、受身み たいな感じになって、やっぱり今後は、在宅医療というのは、御本人ないし御家族の方 が積極的に受けたいというふうな気持ちになられた方がいいんじゃなかろうかと思い まして、受けるというふうな演題にかえさしていただきました。 国は、在宅医療を今どんどん進めているわけなんですけれども、それに従ったいろん な政策が立てられておりますので、在宅医療に関しては追い風になっているわけです。 ただ、きょうのお話は、それとは別に、在宅医療という、現在の状況ですね、それに ついてお話をして、少しでも在宅医療、在宅療養について理解を深めてもらえれば、私 もこれからやってみようかなという気持ちになられる方が増えるかもしれないという 期待を込めてお話をさせていただきたいと思っています。 きょうの話の内容は、まず、在宅療養の現在の状況について、大体お話して、その後、 私が行っております訪問診療について具体的に話をさせてもらって、最後に、実際かか わられた方についての話をしたいと思います。 最初にですね、皆さんぜひ理解していただきたいのは、かかりつけの先生にかかって おられる患者さん、こういう患者さんというのはお年を取られるに従ってだんだん通院 が困難になるんですね。そういうふうな場合、まず往診に関して、訪問診療でもいいん ですけれども、まずかかりつけの先生に相談をしてもらいたい。それが一点。 それから、もう一点は、これはある方のことをお話しますけれども、例えばがんの末 期の患者さんとか、それから慢性の病気ですね。慢性の病気でだんだん悪くなられて、 末期になられて、御本人は非常に重い状態ですね。そういう重い状態でも、御本人がや はり自宅で暮らしたい、それから家族の方もそれに添ってあげたいという気持ちがあっ た場合ですね、在宅療養が十分できるということを、きょうの話で理解していただきた いと思っています。 それでは、次、お願いします。 まず、これは熊本県の県民の方のアンケートなんですけれども、大体、治る見込みの ない病気と言われたときに、どこで過ごしたいかというふうな問いかけに対して、これ も当たり前のことなんでしょうけれども、50%弱の方が自宅で過ごしたいというふう 16.
(17) な考えを持っておられるわけなんですね。ただし、家で過ごすというのは、やっぱり家 の人に迷惑がかかる、それから急に悪くなった場合に不安であるというふうなことで、 在宅を思い切れないというふうな現状があります。 次、お願いします。 これは別のアンケートなんですね。このアンケートは、芦北・水俣地区のがんを患わ れている患者さんの御本人、それから御家族にアンケートを取った結果です。ここで注 目していただきたいのは、御家族の方が御本人の思いをやっぱりなるべくかなえてあげ たいというふうな方が多いということなんですね。したがいまして、こういうような結 果から言いますと、御本人の思いの解消、それから御家族の思いをかなえてあげるよう なことができれば、在宅で療養される方もふえるんではないかというふうに思います。 そういうふうな意味で、きょうはまたお話を進めさせていただきたいと思っています。 じゃ、次、お願いします。 絵がですね、非常に重要な絵、これをよく理解していただければと思います。 これはですね、御本人が在宅医療をされる場合、現状でどういうふうな体制になって いるかということを、かなり抜けがあるかもしれませんけれども、私なりにまとめまし た。 一つ一つ御説明をさせていただきたいと思います。 まず、在宅に移行される流れについてお話をします。 一つの流れはですね、急性期病院というのがありますけれども、急性期病院で治療さ れている方、先ほどお話したように、その中でがんにかかられて、末期になられた方で すね。それから慢性の病気、例えば非常に悪い心臓の病気とかですね、肺の病気とか、 あるわけなんですけど、その方たちの中で、先ほどお話したように、病院ではなくて、 自宅で何とか過ごしたいと、家族の人もそうさしてあげたいというふうな方がおられま す。そういう方が在宅に向かわれるわけです。というのが一つの流れですね。 その場合ですね、ここに病診連携室というのがあります。この病診連携室の方がです ね、そういう思いにそって在宅に向けてのいろんな職種の人を集めてもらって、退院に 向けて調整をするんです。きょうの後からのシンポジウムで実際その方が発表されるわ けですけれども、その意味で病診連携室というのは非常に重要な役割を持っておられま す。急性期病院、ここで一番大きなのは水俣市総合医療センターです。そこに入院され て、退院の後の心配がある方もおられると思います。ぜひこういうふうな部署があると いうことを理解してもらって、御自分だけで悩まれるんではなくて、相談されればいい んではないかということでお話ししました。 もう一つの流れは、これにはちょっと書いてないですけれども、かかりつけにかかっ ている患者さんが在宅療養に移行される場合です。これは先ほどお話したように、ずっ と通院されている方がですね、多くはやはり歩くのが不自由になったりとかですね、最 近非常に多くなったんですけれども、認知症ですね、認知症になられて、通院がはかば 17.
(18) かしくないという方がおられるわけですけれども、そういう方が在宅療養に移られると いうふうな流れです。実際には、圧倒的にこの 2 番目の状況の方が多いわけですね。 そういうふうな流れということをまず理解してもらいたいです。それで、在宅に帰ら れるとですね、在宅医療というのは、医療的な面の御本人の支えですね。ここに書いて いますいろんな職種の方が関わります。私はこの中で訪問診療というところを担ってい るわけですね。ほかに訪問歯科診療とか、訪問看護、薬剤師等、リハビリテーション、 栄養士訪問あります。こういうふうなところで医療的な面を支えてあげるわけですね。 もう一つはですね、生活面のやっぱり支えが必要です。それが在宅介護ですね。皆さ ん御存じのように、デイサービスによく通っておられます。それから自宅に行かれるサ ービスとしては、ホームヘルプサービスですね。それから御家族の方がほかに用事があ ったりしていれないというときのための短期入所サービスとかですね。在宅介護の中に もですね、訪問看護、訪問リハビリテーションというのがあります。こういうふうなで すね、在宅医療、それから在宅介護というふうなことを有効に使うことによって、やっ ぱり在宅で御本人らしく生活できるのかもしれないし、家族の方の負担も少し軽くなる のかもしれないというふうな状況なんですね。 もう一つですね、ここに在宅医療拠点、それから地域包括、これは支援が抜けてます けど、支援センターというのがあります。これはどうふうな機能かというとですね、在 宅医療拠点というのは、先ほど緒方先生からも御説明がありましたけれども、最近でき た事業です。この事業は、この地区では医師会が行っております。詳しいことはまた担 当の方が説明されると思いますけれども、在宅医療拠点というのは、医療的な面からの 支援が主になってくるわけです。例えば、往診の問題とかですね、そういうふうなとこ ろをうまい具合に調整するという機能を果たされるということですね。 それから地域包括支援センターというのは、皆さん御存じだと思いますけれども、か なり前からあったわけですね。基本的には、在宅介護、いろんなサービスというのがあ りますけれども、そういうふうなサービスをどういうふうに組み合わせたら在宅での療 養がうまいことできるかというふうなことを調整するという事で、それだけではありま せんけれども、大きな役割を果たされていると思います。 その中で、その調整をされる役割の方を在宅介護支援専門員というふうに言います。 現時点では大体在宅医療を受けておられる方はほとんど介護保険を利用されています。 したがいまして、担当者会議を開いて、その中でサービスを提供する事業所の方、私た ちも参加します。それで医療的な面、それから介護的な面をどういうふうにしたら一番 この人にとってよいのかというふうな会議をしていくわけですね。そういう意味で介護 支援専門員というのは非常に重要な役割を持っておられます。先ほどお話した急性期病 院の中の病診連携室で調整するかた、先ほどちょっと言い忘れましたけど、職種として は、医療ソーシャルワーカーというふうに言われておられますが、そういうふうな役割 を果たされています。 18.
(19) 私たち医者が行うのは訪問診療です。訪問診療ではですね、様々な疾患によって通院 困難になった患者さんに対して、24時間体制で定期的に訪問診療を行うことというこ とです。なかなか難しいんですけれども、この24時間体制というのがですね、患者さ ん、それから家族の方にとっては不安に思う、先ほども出てきた急変した時に対し、少 し安心になるような体制ではないかというふうに思います。 今お話したことで、大体の流れというのは一応理解していただけたでしょうか。何と いうんでしょうかね、一つは、やっぱり在宅療養を希望している方がまだまだおられる んではないかということが一つ。それから在宅療養がなかなか広ろまらない要因ですね、 そこら辺を今の体制で、少しでも軽くできるんではなかろうかというふうなことをわか っていただけたでしょうか。 なかなか細かいところは難しいところがあるんですけど、大まかな点を理解していた だければというふうに思っています。 最初のところの講演が終わりまして、次に、私のところでやっている在宅医療につい てお話をします。 どこの医療機関でも同じようなことをやっているというふうには思わないでくださ い。ただ、私がやっていることはこういうことであって、これくらいまでやれるという ふうなことをちょっとわかってもらえればと思います。 私のところはですね、湯浦にあります有床診療所です。有床診療所というのは、ベッ ドを持っている診療所です。診療時間が午前9時から午後にかけて外来の患者さんを診 ております。うちは、以前はいつ来ていただいてもよかったんですけど、最近は予約制 治療です。したがいまして、大体外来の時間帯はこれにおさまっています。 その後ですね、大体午後4時ぐらいから午後5時半ぐらいまで訪問診療をいたしてい ます。大体患者さんはですね、1日当たり少ないときで3名ぐらい、多い時で7、8名 から10名ぐらいを訪問します。 次、お願いします。 訪問している患者さんの状況ですけれども、総数が64名ですね。この方たちを1人 で診ております。私は、うちの名前は竹本医院なんですけど、私は森なんですが、ちょ っとしたことで名前を変えることになりまして、私が来る前は私の母がやっておりまし たんですけども、・・・実の親子です。間違えないようにしてください。私の母の時代 から訪問診療をやっておりまして、訪問診療は当然の流れなんですね。そのときは大体 十数名ぐらいでした。私が引き継いで大体今で二十数年なんですけれども、これだけに ふえました。最近の特徴はですね、施設の方を診ることが多くなったんですよね。施設 から依頼が来まして、訪問診療が非常に多くなっています。自宅の方が33名です。大 体自宅の方の数としては30名前後で、数年間は経過しておりますし、ほかの訪問診療 の状況を見てみますとですね、大体30名ぐらいがぎりぎりではないかというふうに思 っています。 19.
(20) 年齢は非常に多岐にわたっていますけど、54歳から102歳ですね。性別は特に女 性が多いです。というふうな状況です。 ここで施設ですけれども、どういうふうな施設かといいますとですね、一つはグルー プホームですね。それからもう一つは、最近ふえています介護付きの有料老人ホーム、 こういうところが増えているというふうに思います。特別養護老人ホームとかですね、 老人保健施設には、ドクターの方がおられますので、行く事はありません。 次、お願いします。 これがですね、一番最初に十分お話したんですけれども、どういう経緯で在宅に変わ られるかですね、一つは、やっぱりかかりつけであった患者さんが徐々に体力が弱って きて、通院ができなくなった場合ですね。開業医で訪問診療する場合には、このタイプ の移行というのが圧倒的に多いんですね。そういうことをまず理解してもらえればと思 います。こういう方は比較的安定されている方が多いんですね。ただ、足が悪くて通院 できないということが主で往診になっています。比較的安定されている方が多い。した がいましてですね、あんまり、後からお話するような、訪問看護師がはいる場面とかで すね、あまりなくて、どちらかといったら、介護面、それはデイサービスであったりと かですね、訪問サービスであったりとか、そういうふうなところで在宅療養を続けてい る方が多いということなんですね。 それから2番目はですね、病院から在宅医療が必要な患者さんを紹介された場合、こ の場合は、また以前にお話したように、例えばがんの患者さんで、末期になって、なか なか治療もできない、それから慢性の患者さんで、病院でいろいろ治療されるけど、末 期になってなかなかいい治療もないというふうな方々の中から、在宅を希望される方、 それからそういう思いを家族の方が受け入れられる方が在宅に帰られます。こういう方 はですね、重症ですから、医療的な処置というのは非常にやっぱり多くなります。そう いう意味で、訪問診療を行いますし、それからこういう方こそ訪問看護ですね、訪問看 護の役割が非常に大きいというふうに言えます。 そういう関係で在宅の方に移られるということなんですね。 じゃ次、お願いいたします。 これがですね、うちで、自宅でですね、在宅医療を受けている患者さんの疾患です。 最近の傾向としては、やはり認知症の方が多くなったんですね。認知症の人が何で問 題かというと、来られる日にちがわからなくなるんですよ。それから薬の飲み方がどう も不安定になられる。というふうなことで、やはり御本人に任せておいたんでは、なか なか通院が難しいということになります。 2番目はですね、神経難病、運動器障害というのは、要するに腰が非常に悪いとか、 膝がものすごく悪くて、もう歩くのに大変ということで、通院が難しくなってきたりす るんですね。 それから、脳血管障害後遺症というのは、脳卒中などで移動が困難という患者さんで 20.
(21) すね。 病気そのものを見てもらえればですね、やはり通院が困難な状況にあるということは おわかりになると思うんですよね。ここに記した患者さんは、従来からうちにかかって いる患者さんです。したがいまして、さっきお話したように、かかりつけの私のところ にずっと通っている方が認知症になったり、それから足腰が悪くなったりして通院が困 難になってしまって訪問診療になってしまった方達です。 次、お願いします。 その方たちの要介護度を示します。結構軽い方もおられるんですけれども、ほとんど の方が何らかのサービスを受けておられます。何でこう要介護度を示したかというと、 やはり要支援ないし要介護であれば、御自分だけで多分公共のバスとかですね、それか らある程度の距離を歩いて通院というのは多分難しいんじゃないかと思うんですね。そ うするとどうなるかといいますと、家族の方が送迎してくれるか、ないしはタクシーを 利用して通院ということになります。ただ、みんなの方がそうできるとは限りません。 そうなると、通院されなくなったり、それから薬だけ取りに来られるというふうな状況 になります。それでいいんでしょうかということなんですね。そういうことで訪問診療 に入るわけなんですけれども。こういう方にとっての訪問診療のメリットですかね、利 点というか、それを考えてみました。 一番はですね、やっぱり継続的に医者の目で診れるというふうなことが第1番です。 2番目はですね、家族が時間が取れる。それは送迎しなくていいわけですから、取れる 点ですね。それから3番目は、経済的な面なんですけれども、遠くの方はですね、タク シーを使って往復何千円もかかるんです。そういうこともあります。 もう一つはですね、この会が始まる前に、熊本県の訪問診療の実態のDVDがあった んですけども、その中でですね、やっぱり訪問してもらえると安心であるというふうな ことを言われています。したがいまして、やはり御本人にとって訪問診療というのは、 安心感につながるんではないかというふうに私は考えています。 次、お願いします。 訪問診療が始まる前に、いろいろ配るわけなんですけれども、どの方にも、この案内 をお配りします。24時間対応している事をお知らせしています。 これはちょっと古い絵になるんですれども、2年前に在宅医療の話をするときがあっ て、そのときに、患者さんがどういうふうなところにおられるかまとめたわけなんです。 おおまかには現在と変わりありません。一番真ん中の黒の白ぬきまるが当院で、点線が 大体半径5キロ圏内です。大体5キロ圏内が多いわけなんですけれども、中には、片道 20分ぐらいかかるところもあります。 次、お願いします。 往診車は2台ありまして、1台はリフト付き、1台は普通の軽自動車です。今は介護 タクシーの方は増えてきて、リフト付きは余り使うことはなかったんですけれども、以 21.
(22) 前はそういうのがなくて、結構使いました。1台は訪問診療、1台は訪問看護用に確保 しております。 次、お願いします。 在宅でできる医療的なものはどういうことかということを説明します。 点滴はおわかりですよね。経管栄養というのは、鼻からチューブを入れて、栄養をつ ける状況なんですけど。吸引と吸入ですね。のどの奥に溜まった痰をとったり、痰が切 れやすくなるように、吸ってもらうということです。このストーマというのは、要する に、人工肛門がありますね。そこの空いたところをストーマと言うわけですね。そこは 毎日管理する必要があるんです。胃瘻というのは、食べられなくなった患者さんに、直 接、胃に穴を開けて、そこから栄養を入れると。在宅酸素療法ですね。在宅人工呼吸、 こういっためったにありませんが以前、やはり側索硬化症といってですね、呼吸ができ なくなるという、皆さんも御存じと思いますけれども、そういう方は人工呼吸器をつけ ないと生きれないんです。在宅中心静脈栄養というのは、大きな血管から管を入れて、 そこから栄養を補給するということですね。緩和ケアというのは、要するにがんの方の 強い痛みを治療で和らげてあげるというふうなことになります。 次、お願いします。 検査はなかなかできませんけれども、こういうふうな検査ができるということですね。 次、お願いします。 これが実際の心電計です。 次、お願いします。 これがレントゲンです。結構重いんですね。 次、お願いします。 これが超音波検査ですね。 最近では手のひらに乗るくらいのサイズのものが発売されています。高いのは高いん ですけどね。 次、お願いします。 これがパルスオキシメーターです。血液の中の酸素がどのくらいの量かというのを見 る簡単な器械ですよね。 次、お願いします。 これが在宅酸素療法です。御存じと思います。この酸素療法が導入されてからやっぱ り在宅生活がしやすくなったというふうに思います。実際に酸素が自宅で吸えるわけで すから。これは非常に在宅医療にとっては大きな機械ではないかというふうに思います。 ちょっと見ていただいておわかりなると思うんですけど、全部を持って行けるんですね。 そういうことで、おそらくこういうふうな機械というのは、だんだんだんだん小型化し ていくんで、在宅医療についてはいいことじゃないかというふうに思います。 これで私のところでやっている訪問診療の内容についてお話をしました。 22.
(23) 最後にですね、この後のシンポジウムでも話されると思いますけれども、その患者さ んについてお話をして終わりたいと思います。 次、お願いします。 この方はですね、やはり先ほどの流れとしては、病院におられて、そして末期の状態 で、なかなか積極的な治療もできないということで、在宅に帰えられた方なんですね。 詳しいことは、後ほど、先ほど御紹介した病診連携室の医療ソーシャルワーカーの方、 それから介護支援専門員の方ですね、それと訪問看護の方、それから最後に御家族の方 が発表されますので、そのときに理解してもらえればというふうに思います。 御本人は74歳の男性です。平成23年の4月に進行胃がんの手術を医療センターの 方で受けられています。ことしの2月になりまして、胃がんが再発されて、外科に入院 されるということですね。いろんな検査をされているわけなんですけれども、全体にが んが広がっておりまして、積極的な治療はできないということですね。症状を少し和ら げて上げるために人工肛門をつくっておられます。それからなかなか食事が入らなかっ たんで、栄養確保のために中心静脈栄養、首のところから太い管を入れまして、そこか ら栄養を補うというふうな状況ですね。そういうふうなことで生活されていたわけなん ですけれども、御本人の状況を見られてですね、御家族の方が、こういう状態だったら 何とか家で看たいというふうな強い希望からですね、病診連携室に相談されて、その段 階で病院の医師とか、関係職種の人、それから、これから在宅医療するわけなんで、在 宅医療に関係するような訪問看護の方とか、私、それから、包括支援センターの介護支 援専門員の方が集まって、退院後のこと相談する退院調整会議が開かれ、それをやって、 6月2日に退院されました。 次、お願いします。 在宅の生活はですね、御本人が退院された日に私は訪問をいたしました。御本人の状 況はですね、これは重症です。いつ変化するかわからないような状態ですね。先ほどち ょっと言い忘れましたけど、大体2カ月の経過で亡くなられたわけです。その経過から 言っても大体重症であることがおわかりになると思いますね。御本人はベッド上におら れまして、首のところから管が入っていて、24時間点滴をされている状況。何で苦し まれた状態か、一つは癌による痛みですよね。もう一つは、御本人はどうしても口から 食べたいというふうな気持ちが強い、それに沿ったような対応を医療センターの方から してもらってましたんで、引き続きそれは在宅でもしてもらいました。その2点に関し て、なるべく症状を和らげてあげようと、それが緩和ケアになるんですけど、そういう ふうなことをこちらとして主にしていきました。本当にですね、何というですかね、亡 くなる直前だったんですけど、急に呼吸困難になられてですね、これはどうしようかな と思ったんですけども、どうもやっぱり、治療したら治る、治るというか、症状が軽く なる可能性もあるんではないかなという、私自身は判断しまして、夜遅かったんですけ ど、御本人、御家族と相談して、緊急に医療センターに入院してもらいました。医療セ 23.
(24) ンターの方にはですね、少し強力な治療をしてもらって、症状が軽くなったんですね。 その段階でまた在宅に復帰されたわけなんですけれども、復帰されたときの状況は今で も思いますけども、非常にこう安心されて、この状態だったらもうちょっと長生きされ るかなと思ったんですけど、退院されて翌日から意識状態と呼吸状態が悪くなって、そ して2日して亡くなられたというふうな経過です。 詳しいことはまた後ほどのシンポジウムの中でお話をされると思います。 次、お願いいたします。 この方の在宅医療の状況なんですけども、訪問診療は1週間に1回となっています。 ただ、往診、この往診というのは、御家族の方、あるいは訪問看護の方からですね、こ ういうことがあるからちょっと診てくださいというふうなことでいくのが往診なんで すね。そういうことで大体7回ぐらい往診をいたしました。何よりも御本人の苦痛を取 ってあげるための往診です。それからほんとに重要なのは訪問看護なんですね。訪問看 護の方は、この方は中心静脈をされているんで、その交換が毎日あります。それから先 ほどお話したように、御本人の状態は重いということなんで、状態がいつ変わるかわか りませんから、そういうふうな意味で訪問看護の方は連日入っておられるというふうな 状況です。 次、お願いします。 7月に訪問看護をどういうふうに入ったかというふうなことを示しております。2つ 丸は2回1日に訪問されているということなんですね。大体訪問時間というのは、時間 的には30分から1時間、それが基準になっているそうです。ただし御本人の状況次第 では、長いときは3時間ぐらいおられたんですね、3時間ぐらい。御本人の病状の把握 と、それから、こういうときはこういうような処置をしてくださいという、あらかじめ、 こちらから話し合いをしてありますから、そういうふうな処置をしてもらう。それから、 もう一つはですね、これも後からお話されると思うんですけど、やっぱり家族の人のケ アというんですかね、そういう面もこういった重症の方の訪問看護は非常に重要なこと なんですね。 一応この方の場合は、療養する上で訪問看護の重要性というのは非常に高いというこ とを細かくお話をしました。 大体ゆっくりしゃべって、間でいろいろ休みを入れたら、ちょうど45分くらいにな りましたんで、これで終わらしていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手). 第2部 討論会「在宅医療に取組んで」. 24.
(25) 演者. 平山. 貴子. (水俣市立総合医療センター:医療ソーシャルワーカ ー). 座長 森健一郎. 大﨑. 美紀子. (きずなの里:ケアマネジャー). 岩井. 有里. (訪問看護ステーションはなみ:訪問看護師). 村上. ヒロ子. (介護者). 森. 健一郎先生(水俣市芦北郡医師会理事:竹本医院院長). それでは、まず最初に、水俣市立総合医療センターの医療ソーシャルワーカ. ーですね、先ほどもちょっとお話しましたけど、こういうふうな重症の方が退院される ときは、退院後のことを見据えて、かなり細かく打ち合わせする必要があるわけですね。 その中で、キーパンーソンのような方が平山さんです。 それでは、平山さん、よろしくお願いいたします。 平山貴子. 皆さん、こんにちは。. 国保水俣市立医療センターで医療ソーシャルワーカーをしております平山です。よろ しくお願いいたします。 まず、私が所属しています地域支援センターについて、簡単に紹介をさせていただき ます。 この写真は、地域支援センタースタッフと医療センターで認定を受けていますくまモ ンを一緒に載せてみました。 地域支援センターは、所長の丸山副院長を筆頭に、計8名で行っております。地域支 援センターはよろず相談所のような役割で、外来、入院を問わず、困ったことや不安な ことなどがあった際に、自由に立ち寄って相談ができる場所と思っていただけたらと思 います。 院内での体制、在宅に向けての体制ということで、私たちの仕事としては、患者様、 御家族を中心に、病院内の医師、外来や病棟看護師、リハビリスタッフなど、各専門医 療スタッフが関わりを持たせていただき、その後、青色のラインが示すように、各専門 医療スタッフがチームとして連携が図れるようなパイプ役となり、患者様、御家族に寄 り添った支援を行っていきます。 在宅に向けての支援体制としては、院内の体制に加えて、患者様、御家族が安心して 在宅で生活ができるよう、もう一つ大きな支援の輪を広げてお手伝いをさせていただい ています。画面を見ていただくとわかると思いますが、かかりつけ医、ケアマネージャ ー、訪問看護ステーションの看護師さんなど、在宅を支えていただくたくさんの方々と 一緒に患者様を、また御家族の方を支えさせていただいています。 今回、村上さんとの関わりの中で、私の方が介入させていただいた状況を説明させて いただきたいと思います。 25.
(26) 御家族の希望としては、主治医から病症説明を受けられ、余命1カ月ほどと理解され ており、残された時間をなるべく家で見てあげたいと強く思われていました。村上さん 自身は、主治医から病名の説明は受けておられましたが、余命の告知は受けておられな かったために、御家族の思いを聞かれても、こんな状態で家に帰られるだろうか、この まま病院にいた方がよいのではないかと、自宅退院については迷われ、病室では時々奥 様の方に、なんでお前たちは帰そうとするのかなどとお話をされたり、日に日に表情も 乏しくなられ、口数も減っていかれました。村上さんの迷いの要因としては、村上さん の身体的な状況を、肺気腫のために在宅酸素を利用されていること、人工肛門を造設さ れたことでストーマ管理が必要となったこと、また、がんの増大により嘔吐や嘔気症状 を認めるため、食事を口からすることができず、24時間持続点滴をしなければならな い状況で、医療面においてのケアが必要な状態でした。 村上さんと御家族の不安な点としては、大きく分けて、1、自宅退院後、在宅支援は 何かあるのかどうか、2、ケアの仕方はどうしたらよいのだろうか、3、自宅退院後、 病気や症状を診てもらえるのだろうかということでした。そのために、自宅退院に向け ての支援として、まず、1番、介護保険の活用として、入院期間中に介護保険の見直し を行い、きずなの里大﨑ケアマネージャーさんに相談をさせてもらいました。2、ケア の仕方については、今回の入院から人工肛門の管理が必要となったため、御家族に説明 を行い、何度も病室で一緒に練習を行いました。3、スタッフ対応の医療体制の調整に ついては、竹本医院の森先生、訪問看護ステーションはなみの岩井訪問看護師さんに、 御本人、そして御家族の思いをお伝えし、現在の状況等の説明を行いながら、自宅退院 後の訪問診療、訪問看護の導入について相談を行っていきました。 退院前の顔合わせと称して、安心して在宅で生活ができるように、総勢11名で調整 会議を行いました。調整会議に参加したメンバーは、御参照ください。 調整会議の内容としては、入院中の村上様の状況を中心に説明し、退院後、自宅で看 取りを行う上での不安な点、対応の仕方などについて詳しく話し合いを行いました。詳 細は紙をごらんください。 調整会議の後、御家族、スタッフ全員で病室を訪問させていただきました。村上さん は、病状の進行や余命の告知を受けておられなかったので、自宅に戻られることについ ては、とっても消極的でしたが、御家族から、先生たちと話して、6月2日には退院が できるようになったから帰ろうと声かけをしていただき、本日、ステージ上におられま す森院長先生、大﨑ケアマネージャー、岩井看護師の方から、村上さんの方に、2日に、 村上さん、帰っていいから、私たちがすぐに駆けつけますからねと言葉かけをしてくだ さったことで、自宅に戻ってからも、支えてもらえる体制があるということを実感され、 村上さんの迷いもなくなりました。そして、6月2日、自宅退院の日を迎えられ、在宅 酸素、24時間の点滴をされながら、息子さんの運転のもと、笑顔で、私たちスタッフ に手をずっと振って自宅の方に戻られました。 26.
(27) 一応、私の方が介入させていただいた経過を報告させていただきました。(拍手) 森健一郎. どうもありがとうございました。. 続いてですね、今、お話の中にありましたケアマネージャー、介護支援員の大﨑さん に発表してもらいます。 大﨑さんは、退院された後もですね、いろんな調整というふうな意味で非常に重要な 役割を果たされております。 よろしくお願いいたします。 大﨑美紀子. 皆さん、こんにちは。. 芦北町社会福祉協議会に勤務しております大﨑と言います。 社会福祉協議会の居宅介護支援事業所でケアマネージャーとして勤務しております。 これちょっと簡単にですね、御存じの方もいらっしゃるかと思いますけれども、ケア マネージャーの仕事について、少し御説明をしておきたいと思います。 ケアマネージャーは、介護保険法という法律がございますけれども、介護保険法によ って、要支援、または要介護認定を受けた方の介護に関する相談、援助を行っておりま す。認定を受けられた御本人様、またはその御家族の方と面接を行って、本人さんや御 家族の方が不安に思っていらっしゃることや、問題点などをお聞きして、その方にどの ような介護サービスが必要かなどの相談を行っております。その後必要な介護サービス を利用できるように、かかりつけの先生であったり、サービス事業所の方との調整を行 います。その際、ケアプランを作成するなどの業務を行っております。 それでは、少し話が反れましたけれども、これまで私の方でも、在宅医療を希望され る方を数名ではありますが、担当させていただいております。私自身担当ケースも少な くて、経験が余りありませんけれども、病院の先生を初め、訪問看護師の方など、福祉 との連携を図ってくださるケースがほとんどのように感じています。 村上さんの場合もですね、入院中に平山さんが区分変更申請をしてくださって、要介 護認定を受けられていらっしゃいましたし、平山さんの協力もあって、退院前の話し合 いから森先生を初め、訪問看護師の岩井さんなども調整会議の段階から参加をしてくだ さいましたので、その点では、体制もすごく整ってスムーズに退院後の生活が送ること ができたのではないかと思いました。 村上さんの場合は、ちょっと医療的なことの支援の方が大きかったと思うんですが、 必要な福祉道具の選定とかですね、訪問看護師の岩井さんの協力や連携があって、スム ーズに導入、交換などもできていたように思います。 在宅医療となると、おうちで、住み慣れたおうちで生活ができるといういい点もある と思いますけれども、やはり御家族の方の負担とか疲れなどの問題もあると思いますの で、やはり在宅で生活をされるに当たっては、かかりつけの先生であったり、訪問看護 27.
(28) 師さん、またはケアマネージャーですね、とにかく関わる方に遠慮なく相談をされてい かれるのがいいのではないかと思います。 以上、私の方から退院されてからの生活について報告させていただきます。(拍手) 森健一郎. どうもありがとうございました。. 続きましてですね、訪問看護ステーションはなみの岩井さんに話をしていただくわけ なんですけれども、やはりこういうふうに非常に、何回も繰り返しますけれども、こう いう重症な方の在宅生活を支えるというか、かなりの部分が訪問看護師の人なんですね。 そういう目で見て、本当の24時間体制で関わってもらえたと思うんです。燃え尽きな いように、こちらも見とったんですけれども、じゃ、岩井さん、よろしくお願いいたし ます。 岩井有里. 御紹介ありがとうございます。. 訪問看護ステーションはなみの岩井と申します。よろしくお願いいたします。 まず最初に、事務所の御紹介をさせていただきます。 訪問看護ステーションはなみ、去年の11月1日に設立しました。看護師3名、医療 事務1名の小さなステーションです。平均利用者数が月に21名、平均訪問件数が月に 205件、1年間で在宅で看取らせていただいた患者様は10名になっておりました。 皆様、訪問看護ってお聞きになられたことがあられるでしょうか。私なりに、訪問看 護とは、在宅で病気を抱え、療養されている方のもとへ看護師が出向き、病状や療養上 の支援を行うというふうに表現してみました。 あと、訪問看護の内容としては、病状の観察、医療処置や治療上の看護、療養生活の 相談と支援、介護相談と支援、緩和ケア、痛みを和らげながら御本人の希望に沿った看 護を行います。認知症の看護、認知症の方への医療的対応や家族の対応の仕方などをお 伝えしております。あと看護師レベルでできるリハビリテーション、身体保清、社会資 源の活用、介護する上で必要とされるサービスの紹介をさせていただいております。あ と、短期間のデイケア、主治医を初めその方が在宅生活を送られるに当たり関係する職 種の連携です、私たちは最後まで自分らしく生きたいと思われている方の在宅支援活動 を精いっぱいサポートさせていただいております。 次に、村上さんとの関わりをまとめさせていただきました。 家族さんの思いは、残された時間をなるべく家で看てあげたいという思いで、退院調 整会議を経て在宅に変えてもらいました。出現した症状としては、吐き気、食欲不振、 排尿、病気からの痛み、浮腫、倦怠感、呼吸困難などが見られました。そこで、訪問看 護師の役割として、看護方針を普通の看護とともに、医療依存度が高いのか、安心して 在宅で過ごすことができるとしました。毎日のケアとしては、病状の観察及び情報収集、 24時間の持続点滴管理、創処置、内服管理、酸素管理、吸入、マッサージ、身体保清、 28.
(29) 主治医への状態報告、訴えへの対応、介護相談をさせていただいておりました。 まとめとしまして、病気の進行により次に次に症状がプラスされ、私たちから見れば、 おつらいだろうなという状態の中でも、一家の大黒柱として、家族を心配されたり、孫 との思い出話をされたりと、大切な時間を過ごされました。奥様には、夫として口調が 強くなられていましたが、奥様は、夜間1時間置きの排尿介助、昼は何か食べられない のかと工夫し料理を作られたりと、睡眠不足の中、本当に献身的な介護の姿を見せてい ただきました。その大切な時間を少しでも楽に過ごせるように、また、介護しやすいよ うにと考え、工夫する作業を行うために訪問看護師は訪問させてもらっているように思 います。 何か大きな決断をするとき、訪問看護師の持つ医療的知識と経験に基づく選択肢をお 伝えし、決断していただくのは御本人、そして御家族です。その過程を大切にしながら、 その人がその人らしく最後まで生きれるように、寄り添い、お手伝いをさせてもらって いるように思います。 在宅医療は簡単ではないかもしれません。家族さんが担う介護や不安は大きいと思い ますが、それゆえに家で過ごせてよかった、家で看取れてよかったという思いは深く心 に残るような気がします。村上さんに関わらせていただいて、強く感じました。 あと、前後するのですが、訪問看護のいい点を挙げてみました。 利用者の方からいただく言葉として、住み慣れた家にいて、病院と同じ看護が受けら れる、不安なとき、電話をしたらすぐに来てもらえる、不安なとき、そばにいてもらえ てよかった、状態に合わせて生活しやすいようにアドバイスをもらえる、来てもらえる と安心。訪問看護師から見たいい点として、訪問の時間その人に集中できる、訪問する ことを楽しみに待ってもらっている、家で看取ることができた達成感が家族さんに得ら れる、大変だったけど、やれることはやったという思いが家族さんには自然と生まれる ような気がします。 次に、訪問看護の不安な点ですが、一番不安なのは、看護師不足です。水俣・芦北地 区は、人材の確保が非常に難しくなっています。それゆえに、燃え尽き症候群も心配で す。熱心に考えるためにストレスがたまり、看護師自身が体調を崩してしまうというこ とを心配しております。あと、老老介護、御家族の御高齢の御夫婦二人暮らしの世帯が 多くなっていまして、介護されている方が倒れたり、病気になられたりというので、在 宅生活が厳しくなって、施設入所を余儀なくされるというケース、状況も考えられます。 最後に、在宅医療に取り組んでみたいと思われている方へのアドバイスとして、先ほ ど基調講演の中でも森先生がお話をされたと思いますが、とにかくかかりつけの医師、 看護師に気持ちを伝えていただく。こんなことをお医者さんに言ったら失礼になるんじ ゃないかとか、お医者さんから言われないから家に帰るのは無理なんだろう、そういう 気持ちはちょっと隣に置いてもらって、こんな状態で家に連れて帰りたくても帰れない と不安に思われている方もいらっしゃると思うので、とにかく地域連携室の方、ケアマ 29.
(30) ネージャー、訪問看護ステーションの看護師などへお話をされてください。順番なんて どうでもいいんです。まずは自分の思いを伝えてみることから始めてください。医療、 介護関係者はその思いをどうにかしてあげたいと思っております。 以上です。御静聴ありがとうございました。(拍手) 森健一郎. どうもありがとうございました。. これで大体関わってもらわれた職種の人にお話をしていただきました。 最後のまとめとしてですね、やはり一番大変なのは家族の方なんですね。そういう意 味できょうは御本人の奥様に来ていただいておりますので、まとめとしてのお話をして いただきたいというふうに思います。 どうぞよろしくお願いいたします。 村上ヒロ子. こんにちは。. とても緊張しております。お聞き苦しい点があると思いますけども、よろしくお願い します。 芦北町湯浦から参りました村上ヒロ子と申します。 主人の在宅医療で経験したことをお話させていただきたいと思います。 私は、主人を26年7月24日、自宅で看取りました。74歳でした。病名は胃がん です。胃がんの発覚は23年4月で、それまでは肺気腫を患っていましたので、体の不 調を訴えておりましたけども、そっちの方ばっかりと思っておりました。そのときには、 1週間ないし10日ぐらい、食べると胃につかえるような感じで吐き気がすると訴えま した。今までに口にしたことがない症状でしたので、芦北クリニックにて胃カメラの検 査をしました。結果は、胃のすべてががんに侵されているとのことでした。頭の中が真 っ白になりました。 医療センターに紹介をいただき、手術、入院というふうになり、手術は無事終了しま したが、胃の3分の2の摘出、がん細胞は全摘出できなかったということで、今後は再 発、転移は覚悟しておいてくださいとの主治医からの説明でした。 術後の治療は、毎月1回の抗がん剤治療で、初めの半年は、4日ないし1週間の入院 を要する抗がん剤投与、その後は外来での抗がん剤治療にきり変わりました。治療中の 主人の症状は、事前に説明されていた副作用で、髪が抜け落ちたり、便秘、下痢などが ありました。そのころ主人は胃の辺りのしこり、痛みも訴えておりましたが、副作用の 影響だろうと、主人はもちろん、私たちも思っていました。つらそうなきつい表情を見 るたびに、絶対よくなると信じて、息子と2人で励まして頑張りました。 そのようにして治療を続けていく中、26年2月、下痢が1カ月以上続き、主人も今 までとは状況が違うということを言い出し、再び検査をお願いしました。検査の結果、 すでに腸関係へのがんの転移でした。処置として、人工肛門、ステロイドを投与してい 30.
(31) ただきました。そして、主治医より、今後の治療は、がんの転移がひどいため、食事、 栄養摂取は静脈からの点滴のみ、がんの進行、転移をとめることはできません。このま まの状態で1カ月でしょうと伝えられました。 次なる力は、それでも奇跡が起きることを信じて、毎日病院に行き、できる限り明る く振る舞い、励ましました。しかし、病状を100%主人に告げることのできないもど かしさやがんに対しての治療処置ができないということにしても、毎月の医療費の負担、 何よりも会話も少なくなっていき、考え込んでいく主人の姿を見る中で、私の頭の中も マイナス思考でいっぱいになりました。そのとき、家族で話し合い、何とか家に連れて 帰って看るということはできないかという意見から、私の父のときに大変お世話になっ ていた岩井さんをすぐに思いつき、医療センターソーシャルワーカーの平山さんに相談 いたしました。 平山さんから、現在の在宅医療の説明を受けて、家族の希望であった自宅で看たいと いう気持ちを、看れるという強い気持ちにさせていただきました。主人にも伝え、帰ろ うかね、帰ってみるかと言いましたので、平山さんがすべて手配してくださいまして、 在宅医療サービスを受けることになりました。 いよいよ退院の日、3カ月ぶりの我が家に帰ったのと同時に、ふらつく足取りで、点 滴を引っ張りながら、部屋じゅうを一回りしました。そのときの嬉しそうな安心した表 情は今でも忘れることはできません。食事の方は、おかげさまで人工肛門の排便がスム ーズにいっていましたので、ある程度好きなものを口から食べさせることができました。 柔らかく、本人好みに煮込んだうどん、特にアイスクリームの白くまを好んで食べまし た。好きなものを好きなときにあげられるということは、本当に在宅医療をやってよか ったと思うところです。 訪問医は森先生に、訪問看護ステーションはなみから岩井さんを中心に毎朝10時に 1時間、ないし2時間、3人の方で、私が慣れるまで午後からも訪問していただきまし た。主人の症状を考えると、いつ急変してもおかしくない状態でしたので、本当に心強 かったです。主人の場合は、24時間の点滴でしたので、家族も常に心がけていました。 一度点滴が落ちていないのに気づき、すぐに連絡をし、深夜にもかかわらず飛んできて いただきました。ありがたくて胸が熱くなりました。在宅医療ならではのことと思いま す。また、岩井さんには、私の心のケアまでもしていただきました。 家で看ることは、正直、24時間気を抜けませんでした。睡眠時間も多くは取れませ ん。覚悟はしていましたが、大変でした。最後は息苦しい様子も時々見られましたが、 静かに眠るように旅立っていきました。 在宅医療を終えて思うことは、本当に連れて帰ってきた方がよかったのか、心の葛藤 もありましたが、今では在宅医療で最後まで常にそばにいて介護できたことを最高に幸 せに思っています。 主人に、家族に感謝いたします。 31.
(32) 最後に、いろいろ御支援いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。(拍手) 森健一郎. 村上さんの御苦労がしのばれたと思います。. 御本人の心情とかですね、御家族の御苦労というのを何か聞かれて、皆さん、どうで しょうか、胸を打たれたんじゃないでしょうかね。 村上さんには本当にきょうの会議に出席いただいて、お話していただいて、本当に感 謝いたします。どうもありがとうございました。(拍手) それではですね、一応発表していただきましたので、あと20分ほど時間があります。 まず、出席して、発表していただいた方で、言い残したことはありませんでしょうか。 なければ、こっちから質問せにゃいかんのですけど。どなたか、一応発表されたんで、 心の半分はほっとされたんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうかね。大体 今の発表で状況というか、皆さん、おわかりだと思ったんですけど、いかがでしょうか。 なければ1人ずつお名前を言いましょうか。 平山さん、どうですか。 平山貴子. 先ほどの話に付け加えてお話したかったのは、岩井さんの方からもお話をさ. れているんですけども、今後在宅医療について取り組んでみたいというふうに、今回の 話を聞いて思っていただいた方がいたらですね、まず相談ができる窓口があるというこ とを知っていただければと思います。1人で抱え込まずにですね、ここにいますスタッ フもですけども、病院の方でもお話を聞かせていただくことができますし、例えば実名 を言ってお話をすることができないなと、ちょっと心配だなという方の場合は、匿名で も電話で御相談いただければ、私たちが知り得る限りの知識はお伝えすることができる と思いますので、そういうことがあったら御利用していただければと思います。 森健一郎. どうもありがとうございました。. その点はちょっとお聞きしたいと思ったんですけれども、やっぱり急性期病院という のは治療をする病院であってですね、それが主になるわけなんですけど、ただ、治療し たことによって、患者様の様態というか、生活能力というのが落ちる可能性があるわけ ですね。家族の方に関しても、御本人についての、やっぱり退院後はどうなるんだろう かというふうな心配を持っておられる方がやっぱり多いんじゃないかという印象を持 っています。そういう意味で医療連携室というのは非常に大きな役割を示すと思います ので、これでどんどんどんどん相談事例が多くなって、燃え尽きになっても困るんです けど、そこら辺は病院全体で考えていただけるんではないかということで、急性期病院 ではですね、医療連携室というのは、退院に向けた点に関して非常に重要な部署である ということを認識してもらえればというふうに思います。 大﨑さん、何かありませんでしょうか。 32.
(33) 大﨑美紀子. それでは、きょうのお話をさせていただいた村上さんに関しては、先ほど. もお話したように、医療的に支援をやってることの方が多くて、福祉用具の御利用をい ただいて、エアーマットを使って床ずれを予防してというところで、私の方も介入をさ せていただきましたけれども、もちろん担当させていただく中で、医療支援が強い方ば かりじゃなくて、先ほど先生の基調講演の中にもありましたけれども、在宅医療ではな くて、在宅介護の御希望が強い方ももちろん必要な方もいらっしゃいます。ケアマネー ジャーの方では、そういう在宅介護、先ほどありましたけども、訪問介護とか、通所介 護とかですね、そちらの方の支援もあわせて、もちろん医療との連携もあわせて行って いくこともしておりますので、やはりなったときには、どこにだれにとかを迷わずにで すね、先生にでも、ケアマネージャーにでも、とにかく相談をしていただけると一番い いのかなというのは思っております。 森健一郎. どうもありがとうございました。. 私の最初の話の中で、私たちの開業医がやっている訪問診療というのは、大体安定さ れている方が多くて、やっぱり、ただ介護保険というのは、ほとんど全員利用されてい る、ということは生活障がいを持っておられるということなんですね。そういう意味で いろんな介護サービスを受けておられるわけなんですけれども、その中でのやっぱりキ ーパーソンが介護施設員の方であって、その方が、先ほどお話したように、担当者会議 というのを開いて、その中で医療も介護も一緒に集まって、その人にとって一番いい方 法というのを話し合って、それを大崎さんなり、介護支援専門員の方がまとめていくと いうふうな形になります。 ただ、今回、非常に医療処置が多い方の場合ですね、私自身は最初の印象で、介護の 部分はどうも入られんのじゃないか、どの程度入るのかというような感じを持っとった んですけども、福祉用具というような面で非常に介入されてくるわけなんですね。した がって、医療処置が多いからといってですね、介護の方が入らないということではなく て、介護でできることをやっぱり十分やってあげるということが必要かなという印象を 持ちました。 それでよろしいでしょうか。 それでは、岩井さん、いかがですか。 岩井有里. なんかもう燃え尽きてるんですけれども。. 村上さんのケースで、とても助かったのが、ベッドを、退院される前にもう借りてい らっしゃったんですね、介護保険で。けど、どうしても体位を楽にするために、ちょっ とベッドを変更、ツーモーターからスリーモーターに変更してもらった方がいいんじゃ ないかというので、あとエアーマットの導入であったり、そういうところがとてもパン 33.
(34) パアーンと早く動いていただいて、とても助かりました。がんの患者さんに限らず、慢 性期の方も、一日、明日でいいですかと言われるのはちょっと厳しいところがあって、 一日でも床ずれ、褥瘡ができてですね、そこの福祉用具のスムーズな導入というのは、 とても業者の方には時間が遅くなったりなんですけれども、すぐ入れていただいて、ス ムーズな連携が取れてるなと思ったところでもありました。 ありがとうございました。この場をおかりして。以上です。 森健一郎. どうもありがとうございました。. 岩井さんにはちょっと一つだけ質問がありました。 私は常日頃認知症の方の医療もやっているわけなんですけれども、認知症の方の在宅 というのは、家族の方は非常に大変なんですね。それで、先ほど認知症医療ということ を言われたんですけど、一番はやっぱり御本人と、それから認知症の方こそ家族の方の 支援というのは非常に重要だと思うんですけど、そこら辺で何か御意見ないですか。 岩井有里. 認知症の方ですね。すみませんね、私の考えで申し訳ないんですけれども、. 以前、先生ともお話をさせていただいて、認知症の方というのはどんどん進んでいく、 症状が進んでいくと、悲観的になられたり、顔を覚えていただけなかったりというのが あるんですね。そこで、ちょっと物忘れが入ったかなとか、認知症の症状が少し出始め てきている段階で、できれば医療を受けての訪問看護を入れていただいて、経過が進ん でいっても、顔見知りの関係が医療的にできているというところはとても進行した後で もいい結果に結びつくんじゃなかと、希望を常々思ってまして、なかなか早めに訪問看 護を導入するとなると、家族さんが、いやまだよかろうと思われるところもあるんです ね。そこを先生方のお力で入れていただいて、仕事をさせていただければと思っており ます。ちょっと質問とは違うかもしれませんが。 森健一郎. いえ、十分答えになっています。ありがとうございました。. 村上さんには、先ほどお話いただいたんで、それに尽きると思いますけれども。今回 ですね、御無理を言って発表していただいたんですけど、この発表する、お話をされる ということに対して、なかなかこういう場面で発表される方は少ないんですけど、それ でもやっぱり言ってみたいというふうな、こう何というんですかね、動機というか、こ れがあったからやっぱり私は発表したいというふうなことがもしあればですね、ちょっ とお話していただければと思っております。 村上ヒロ子. すいません、私事ですけど、主人は宮城県の人間だったんですけども、4. 0数年前に、私は地元なんですけど。家族5人でこちらに帰ってきました。その当時は しばらくやっぱり、40数年前ですから、地域になじむ、解け込むことで大分苦労した 34.
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