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交流印加電場に於ける誘電媒質の空洞電場

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Academic year: 2021

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9

交流印加電場に於ける誘電媒質の空洞電場

真  道

公  雄

  Cavity Field induced by the Applied Alternating Field in the Dielectric Medium Kimio Shindo  §1.まえがき  有極性媒質の誘電率を論ずる際に,分子を媒 質中の空洞の中心に双極子能率を有するものと 模型的に見なして,外部よりの印加電場により 空洞内部に誘起される空洞電場と,双極子能率 がまわりの媒質を分極し,それが逆に空洞中心 に誘起する反作用場とにより分子分極がおこる ものとして,Onsagerは,定性的によい理論を 導いた。しかし彼はただ静電場の場合のみ扱 い,交流印加電場の場合は扱っていない。それ にもかかおらず,その結果は交流電場の場合に も使われることがしばしばあるがこれは合理的 でないので,交流電場の際の理論を導こうと思 い,その手姶めとして,先ず空洞電場を求めて 見た。  §2.基礎方程式  誘電率ε(一般に復素数εノーiε1ノ)なる媒質 中に微小球(分子の大きさの程度)をくり抜い たものを考え,これにE。ppl eiwtなる電場を加 えるとき,この空洞の内外に生ずる電場を求め る。時間的変化があるのでMaxwellの基礎方 程式よりはじめねばならない。荷電密度,電流 密度を零に等置し,透磁率は1に等しとすれば 結局電場Eに対しては,

  戸峠禦一・

  div E=== O なる式を得る。所で系全体が因:]t eitotで時間に 依存していると考えられるから,微分方程式は  左_02あん1(21十3)(21十5)… (21十2k十1) となる。  印加電場に垂直なX,y成分は2軸への対称 性より,rとθの適当な函数Ei(r)θ)を仮定 すると, Ei.一E±(r, e)costh, Ei,一Ei(r, e)sin¢       ヨ   v・E+ε10E−o となる。空洞中心を原点とし,印加電場の方向

にX軸を有する直交座標系をとるとEの各成

分について上と同様な方程式を得る。例えば, E.に対しては,        ヨ

  〆盈+讐盈一〇

これを極座標で表現すると,次のようになる。

  謡〆が・謡。θ晶…θあ瓦

       ・誌φ鎚・プ盈一・

空洞内では真空であるから ε一1としてよい。 この際空洞外と区別するため盈をEi。と記す ことにする。これは印加電場の性質より考えて φには無関係となるから,球函数に展開すると         泓一Σ】α透(r)乃(COSθ)     1冨O となる。的は定数係数である。これを前式に代 入し,球函数の独立性により分離すれば 山雨五の一1(1十1rv))五の+ヂ海・一・ を得る。r→0で有限となる解は, 茜の一(ω/・)z〆 。§  (→k(ω/の2kr?k  _(1)

(2)

10 滋 大 紀 漢 薬  8  号 1 9 5 8 という形になる。これを球函数で展開すると, 次の形となる。b,は定数係数である。    ロ  Ei.一 Z]btgi(r) P、1(,。,e>COSφ,    Z=1       E・。 ・一 2]bigi(,)Pi’1。。,e)sinφ    1−1 これを基礎方程式に代入し球函数の独立性によ り分離すると,91(ηに対し 謡畷激の一1(1十1プ婆)勘㈹+讐もの一・ これ1: fi(r)のと全く同じであり従って, r→0 で有限な解として五(りと全く同じ解を得る。 以上まとめて,空洞内では,       Ei、一Σaifi(r) Pl〔,。,e)    1=O       E・.一2]b,fu)P,i(。。,。)cosφ    …(2)    1=1       Eiy一Σb,f,(r) Pll(c。se)sinφ    ♂=1  但し,五(ηは(i)であたえられる。 空洞外でも同様な方法でE,,,E,。, E、Vが求めら れるが,空洞内と異る点は,ε一ε,づε”なるこ とと,プ→。。で有限でなければならぬことであ る。結果は,    ロ  E、x・=Σ・4〆弓の.Pl(,。s9)    1=O    ロ  EeX一Σ]Bl、Fl(r)Pll(cose)cosφ       … (3)    1・=1    ね  E,y一Σ]BIF、(r)P、1(,。,9)sinφ    1・一1 但し,A,, Blは定数係数であり,  F、〈,)一exp{一∫ε巷(ω/c)r}(ω/の一e・1)ダ(’+1)    ×歯 1(1−1)’…’(1−k+1)    k“一〇k ! (21) (21−1)’”(21−k十 1)    ×(2isi(o/c)krk ・・・… (4) である。 さて,定数係数al,あ, Al, Blを決定するため に二つの条件を用いる。一つはdiv E−0他の 一つは境界条件である。  §3.条件divE−0 この条件を極座標で表現すると, t一,,i.o/S}.(r2sinOEr)+o−Oo(rsinOEo)

         +ゐ(剣一・

この盈はr方向の電場成分,Eo, EPtもそれ それθ,φの増加方向の電場成分である。それ 等を前に得たX,or, x成分を合成して求める と,球函数の漸化式を利用して,空洞内では, Er = il.ii,titli?ili(r’1[1{ai + (1+ 1)bt}Pi−i   +(1+1){二一砺}.Pl+1] 莇一 擶[{a・+(1+・)b・}P’・一・   一{の一砺}Pll+1]  便宜上,al, b,を次の様に変換しておく。

ll要脚   }…(・)

これをE。,Eeに代入し,それを更に前の式に 代入し,球函数の漸化式を使って整理すると,

瓢{晶β{謳一(1+・)筋匹

  +2差、a・ (Sl.r2ft + (i一・)司班

   1詰唯船(1・・)rOIPii

  一書偽{El.r2za+(i−i)rfi}P・・一・・〕一・ ここでPllの項のみ分離すると, (  1−1Q1一 3) (21一 1)耐房四一z祠 ・(、1+、)空、1一、)a・{謳・(1一・)rrt} 一(   1十1Q1十1)(21十3)β{馳一(1+・)rfi} 一(   1十2Q1十3)(21十5)暫時伽・(1+・)帽  一〇 これにfi(りの式(1)を代入し,この関係が恒等的 に成立することより,rの同次項の係数の和が 零になることを利用する。rl+1及び〆+3の項 を分離すると,次の関係式を得る。(これ以上 の次数の項を分離しても等価な関係しか得られ ない)     1−1 wttl−3)(21一一1 Z(21+1)Pi−2 whtl−3)(i21−oPi−2+lai=一〇     1−1        (6)

M2’

一興婦・

狽狽戟│1)(21+1)ai+futl+1+(il+3)L)Bi α,β等は下添字が負になれば零とみなすことに

(3)

交流印加電場に於ける誘電媒質の空洞電場 (真道) 11 すれば,㈲は瑳1のあらゆる値にて成立する。 空洞外でもdi▽E−Oの条件はよく似た形とな るが,動脛函数が異るため結果は少し違って来 る。この場合も係数を Ag十 (1十 1)Bi == h ∠4r18戸δ∂ と変換して,       1十2  (1十1)6,十          h+2=0      4(21+3) (1+・)あ+、銑鍛鴇)隔一・ 一翁、暢(,、些、沖 ’ii’ ?C}zlS(ill!&lri一(ii’(i2)i+3)5i

・4細結謬綜&、+、)隔一・

} (7) (8) これ等の式も」≧1のあらゆる場合に成立する。 γ,δ等の下添字が負になれぽ適宜零とみなせば よい。  さて,この場合は空洞内の場合と異り互に独 立な関係式が三つ得られた。この最初の二つの 式より優1に対して,δ,及γz+2が必ず零に なることが分る。即ち,     r3−k一・・一一一一一〇  6, =一 S., 一一 6,,, 一一 6,一 一・…一 ==一 o  結局γ。,γ1,γ2,δoのみが未定である。これ等 と,空洞内の定数係数at,防(al,あと同じこ と)とをきめ叡こは境界条件によらねばならぬ。  §4.三界条件  球状空洞の境界面に於ては,それに垂直な電 場成分一Erは内と外とで次の関係にある。  Eir = e(Ee + Eappl)r このEir等を前節に導入した表現法で記せば, ,Xoo D. CSltlf?iili(”’i[io−iPi−i+(i+i)Bipi+,]   一・揖島[lhP,.・+(1+・)ti 1]Pl+1]   + EEappz Pl  但しaは空洞半径である。この式より乃の 項のみ分離すれば 晶五・・㈹の・・+、差、f・一・(rt・β・一・

  一・嚇恥・γ観・1表恥・δ司

  十SEap.i6’i ’’’’”(9)

但し最後の項のO’llはクロネッ割目のデルタ記 号で係数のδ♂とは異る。(9)の式VX 1:≧0のあら ゆる値に対して成立する。  次に境界面に隔て,面の接線方向の電場成分 Eoは,内と外とで次の関係にある。  盈。一(E,+E・xrpl)o このEie等も前節の表現法で記せば, il.i, iStliillili ‘”’i[aiP 1i−i 一 x?iP 1i+i] =iZooP=,Sltli2ilti‘)1[hPii”im6iPii+i]一ErrppiPii この式よりPllの項を分離すると,

癬・・+r鱈β〔

一華γ一己δ一恥・δ・一一(・・)

この式も1>0のあらゆる値に対して成立する。  (9),⑩をα1+、,/?i.iについての連立方程式と みれば,122の場合では右辺にあるnやδ♂は 前節に述べたようにすべて零となるので,α1+1, βi..,も零となる。即ち,      a3 == a4=・・・… ==O  /?,一i9,,一一P,・一,(1),一・一・・一一==一〇  結局αo,αt,α2,βoのみが未定に残る。この 未定係数α。,αユ,偽,β。,γ0,γ、,γ,・,δ。を決定す るため先ず,⑥の第一式にて,1・・ 1とすれぽ第 一項は自動的に消え直ちにαi−0を得る。叉, ⑧の第三式にて1−1とすれば,第一項は自動 的に消え,第三,第四項はδ,=δ3−0なること より消えて,γ、一〇を得る。次に⑥の第一式に

て吐け・・,肌身嬬⑧の第一式で

1−0とするとγ2一一6δ。を得これ等を,(9)⑩で 1−1としたものに代入すると,これ等はもは やβoとγoのみについての連立方程式となりそ れをとけばβ。とγ。がきまるが,元来b。=一B。 一〇だったから,実はβ。一α。=・・a。又δ。一γ。一A。 なのである。最終的に必要なのは空洞中心の電 場なのでa⑪のみ求めておくと,       (18ε潟(の/5)EaPPl ao ==E{!b㈹一ゐ㈹/30}{12最、。,/5−F。、の} Ii llt711]ll il1711i:」71151FIII(o 1(q)+foc(L)/15}{6E.,ca)/5+Foco}(11)

(4)

12 滋 大 紀 要 第  8  号 1 9 5 8 又,α,・一a。/6及β,一〇より ・・J及ろ・箭を得る・これ等を(・)に代 入すると, E・e−a・{みの+脅ξ㌦・・} Eix == gr8 f2 (r)Pi:7 (c.se) cos O 塒翻のP1・・c・・e・si・φ となる。空洞中心に於ては,r→0として,        (18ε最(の/5) Eio=    ε{fo(の一プ∼(α)/30}{12易(a)/5−F(}(の} +{f。、(a,+f,、a,/・5}腿㈹/5+嗣娠 ここでfやFに(1)④の形を入れ(ω/のaが極 微小なることを利用して近似式をつくれぽ E・e2:、1皐、〔    37e−221十   30 (2 e +1)(讐)㌔〕鯨 となる。ω→0にて静電場の場合のOnsager の空洞電場{3ε/(2ε+1)}E、pμに一致すること は明かである。  §5.あとがき  一応交流印加電場の際の空洞電場を求め得た が,その結果は,非常に高周波(即ちω∼c/a ∼1017c/s位)にならなければ殆ど静電場の時 と変らないので,これを用いて交流印加電場の 場合の復素誘電率ε=ε!一iε” と周波数ω/2π との関係を導くのは,無理なようである。それ に交流電場の際,反作用場を如何に扱うかとい うことも相当困難である。しかし空洞模型で, どの程度まで解明出来るかということは,興味 ある問題である。 1. L. Onsager: J. Amer. Chem. Soc. 58 (1936) 1486  」叉はH.Frδhlich=Theory of Dielectrics, Oxford.  (1949)

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