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Linux市場の動向と今後の展開

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Academic year: 2021

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Linuxとはオープンソースソフトウェア(以下、オープンソ ース)のOSであり、近年、WindowsやUNIXサーバ市場を中 心に、第三のOSとしてシェアを拡大しつつある。稼動実績を 蓄積したことから、今Linuxを取り巻く環境は大きく変化しよ うとしており、またその用途も多様化している。Webサーバ などフロントエンドでの利用から、データベースサーバ(以下、 DBサーバ)やアプリケーションサーバ(以下、APサーバ) といったバックエンドでの基幹システムとして利用される例も 増えてきた。本稿では、上記分類ごとの技術的な概要や今後の 動向について説明する。 2002年度のサーバ市場は前年に比べ若干落ち込んだもの の、Linux搭載IA(インテル・アーキテクチャ)サーバだけは 堅調な伸びを見せている(図1参照)。また、IDC Japanによ る市場予測をみると、2002年度の国内サーバ市場内におけ る L i n u x サ ー バ の 出 荷 台 数 シ ェ ア は 、 7 . 3 % で あ っ た が 、 2006年には、15%まで増加するとしている。こうした背景 には、電子政府や電子自治体がシステムのプラットフォームの 選択肢としてLinuxを選ぶという機運が高まってきたことがあ げられる。これは特定のベンダによる寡占的な状況への危惧が Linuxの推進という形になって現れているとも言える。市場と いうものは進化を求めるものであり、寡占化に対しては何らか の反発が生まれるものである。こうした反発とは市場の活性化 を望む声でもあり、ここではLinuxによってITの長期的かつ持 続的な革新が期待されているのである。こうした市場の活性化 を求める力がLinuxを推進している可能性があることは、認識 する必要があるだろう。 また、IAサーバ市場自体への期待もある。32bit IAアーキ テクチャが今後64bit IAアーキテクチャに発展する可能性が あるという点である。このことが、IAサーバをプラットフォ

1. はじめに

2. Linux市場の状況

Linux市場の動向と今後の展開

Trend in the Linux Market and the Future Deployment

山下 昌人

Masato Yamashita

サーバ市場において現在Linuxが利用されている分野について、また今後導入が予想される分野について述べ

るとともに、今後の展開を考える上での問題点について説明していく。またLinuxを取り巻く世界が今後どのよ

うに変化していくのかについて、現在の市場動向を踏まえ今後の展開についても概観していく。

概要

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000(台数) NEC 日本IBM 富士通 デルコンピュータ 日本HP 日立製作所 2002年度実績 2003年度目標 7800 10800 7400 13800 4600 5900 4300 5500 3600 6500 2500 3200 図1 日本市場における主なLinuxを搭載したIAサーバの出荷実績(1)

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40周年記念

第2号

I N T E C T E C H N I C A L J O U R N A L

2003

ームとしているLinuxにとって有利に働くと予想することがで きる。 ユーザから見た場合、Linuxに期待するものとしては、まず コストの削減が挙げられる(図2参照)。TCO(Total Cost of Ownership)の観点では、現在のWindowsやUNIXの環境 と単純に比べることは難しい。しかし、OSとしてのコストや、 IAサーバを選択することによって目に見えて削減できる部分 がある以上、Linuxを使用することでTCOの削減を実現できる 可能性があることは事実である。 また、信頼性という面でもLinuxに対するユーザの期待は大 きく、UNIX環境と比べて安定性や信頼性を比較しても遜色は ほとんど見られない。その他の導入理由として、オープンソー スであるから、という声も一部聞かれる。ベンダに依存する製 品への抵抗感や、もしくは、オープンソースそのものへの、今 後の期待感の現れであるといえるかもしれない。 現在の情報システムは、ハードウェア、OS、ソフトウェア といったシンプルな構成だけではなく、より複雑な要素から構 成されているものが数多く存在する(図3参照)。複雑な要素 とはWebサービス、SBC(Server Based Computing)、 APサーバなどに見られるようにOSの上位で動くものである ため、これまでのOS上で単一のアプリケーションが動作する といった環境から、さまざまなコンポーネントの結合により、 複合したサービスを提供するという環境に移行しつつある。こ のような高度化、複雑化したシステムへの対応として、OSと 上位要素とを切り離したシステムとして提供するという方法が ある。複雑な要素への対応という観点からみると、OSとして はそれ自身が複雑で高度なものより、シンプルかつコンパクト なOSのほうがより対応しやすく、この場合のOSとしてLinux は最有力なものとなる可能性が高いのである。 これまで、Linuxの適用といえばエッジサーバやインフラ系 においての適用が中心であった。参考としてLinuxエッジサー バでの主な利用ソフトウェアを示す(表1参照)。 ここにあるように、Linuxサーバといえば、Webサーバやメ ールサーバ、ファイルサーバといった周辺的な単機能システム を中心に進んできた。しかしここにきて、先進ユーザを中心に 基幹システムのプラットフォームとしても取り入れだしてき た。業務システムに使われる各種サーバの機能分野ごとの Linux利用状況を示す(図4参照)。ここで注目されるのは、3 階層システムのミドル層を担う「APサーバ」や、同バックエ ンド層の「DBサーバ」への適用率がファイル/メールサーバ などと同様の水準に達していることである。このデータは社内

2.1 ユーザの視点

2.2

技術的視点

低コスト 信頼性 スケーラビリティ その他 14% 7% 40% TechRepublic survey調べ 39% 図2 ユーザのLinux導入理由 Web Services Application Application Server SBC Backup Database Management Operating System CPU/MEM Storage 図3 インフラストラクチャの主な構成要素 エッジサーバとしての 主なLinux適用分野 主なLinux対応ソフトウェア Webサーバ Apache Proxyサーバ squid ファイルサーバ Samba メールサーバ Sendmail、Postfix、qmail ファイアウォール iptables/ipchains DNSサーバ bind FTPサーバ wu-ftpd 表1 エッジサーバでのLinux適用分野

3. エンタープライズLinux

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増えているようである。 Webサーバなどのフロント系サーバとしての導入が進んだ Linuxであるが、現在広がりつつあるのが、DBサーバ市場で ある。PostgreSQLなどのオープンソースとLinuxを組み合 わせることで、比較的安価にシステムを構築でき、また高機能、 高信頼性も実現できるものであるとして期待されている。 また、LinuxのDBサーバ進出の要素として外すことができ ないのが、Oracle 9i Real Application Clusters(RAC) である。Webサーバのような静的コンテンツは比較的容易に クラスタ技術が適用できるが、DBサーバのように動的に更新 されるデータは、各サーバ間でデータの同期をとることが重要 であり処理が複雑になる。ここではRACでのクラスタリング についての解説を行う。 RACはシステムの可用性、拡張性を向上することを目的と したクラスタシステムであり、高速ネットワークで接続された サーバと、各サーバで共有するディスクで構成されるクラスタ システム上で動作し、共有ディスクにある一つのデータベース を複数ノードで共用して処理を行う。RACの主な特徴につい て以下に記述する。 (2)スケーラビリティ 待機系システムとは異なり、全てのノードでインスタ ンスが同時に稼動でき、同一ディスク装置へのアクセス が可能なため、全ノードの資源を有効に活用することが できる。また、Cache Fusion機能により、アプリケー ションコードを変更することなくノードを追加すること が可能となり、性能面でもほぼリニアなスループットの 向上が期待できる(図6参照)。 デスクトップ/クライアント環境 ファイル/プリントサーバ メール/グループウェアサーバ Webサーバ アプリケーションサーバ データベースサーバ クラスタサーバ ネットワーク運用管理サーバ NASなどネットワークストレージ FW/VPNなどのセキュリティ 開発環境のプラットフォーム 高速演算/科学計算 0 10 20 30 40 50 60 70 複数回答(%) Linux適用済み Linux適用予定 19 16 40 25 45 25 65 24 39 28 43 31 8 16 18 19 5 11 19 22 20 13 5 6 図4 業務システムへのLinux適用状況(4) サーバ サーバ サーバ 共有ディスク装置 障害時にも継続して稼働 図5 RACの特徴1 サーバ サーバ サーバ サーバ サーバ 共有ディスク装置 負荷分散による スループット向上 サーバの追加による拡張 図6 RACの特徴2

3.1 DBサーバへの適用

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このように高い可用性とスケーラビリティを同時に実現する RACはLinuxのスケールアウト指向にマッチしており、また、 商用UNIXやWindowsと比較して、低コストで構築できるた め、注目を集めている。これまでLinuxでのDBサーバという と、小規模なものが大半であったが、RACとの組み合わせに より、大規模システムへの適用も可能となった。その為、DB サーバ市場において広い範囲をカバーできるようになった Linuxは、今後さらに導入が進むと考えられる。 APサーバへのLinuxの適用は、これから市場が広がってい く分野であるとして注目されている。特にミドルウェアを利用 してシステムを構築している場合は移行が簡単であるため、今 後は移行を中心に進んでいくと考えられる。現時点では、 LinuxをAPサーバとして構築している事例はそれほど多くな いが、主要APサーバのほとんどが、Linux対応となっており、 今後導入が進んでいくであろうと考えられている。主要な商用 APサーバ製品の一覧を示す(表2参照)。 この他に、オープンソースであるTomcatがAPサーバ市場 で高いシェアを占めている。Linux上でのAPサーバの性能/拡 張性評価の結果として、商用APサーバとTomcatの比較を示 す(図7参照)。 これを見ると、商用APサーバに比べて性能では遜色ないこ とがわかる。ただし高負荷時にはパフォーマンスが劣化しやす いという傾向になっている。また、商用製品には、標準的な機 能以外に、高性能なJDBC(Java Database Connectivity) ドライバの付属など価格相応の付加価値があり、一概に標準的 な機能での性能だけでは比べられない部分も存在する。 前述の繰り返しであるが、Linux上でのAPサーバに関して はこれから導入が進んでいく分野である。APサーバベンダは、 現時点で多くのシェアを誇っているTomcatとの互換性や操作 性を考慮する一方で、他の製品(商用APサーバも含め)との 差別化を図っていくと思われる。今後も最新技術の動向ととも にベンダの動向に注目していく必要がある。 Linuxを基幹システムに適用するには、ハードウェア的な拡 張/可用性向上が欠かせないが、今のところ、Linuxにおいて は、64bit IAサーバ等にスケールアップするというよりも、 クラスタリングを使用したスケールアウトによる拡張が主流と なっている。クラスタソフトウェアの一つであるLifeKeeper によるHA(High Availability)クラスタは、そういったニー ズに合致したソリューションであり、非常に注目されている。 HAクラスタとは複数のサーバマシンを使用して冗長化させる ことにより、システムの停止時間を最小限に抑え、業務の可用 性を向上させるクラスタシステムである。LifeKeeperを使用 したシステムの基本的な構成例を示す(図8参照)。 LinuxでのHAクラスタは、信頼性はもちろんのこと、コス トパフォーマンスに非常に優れている。UNIXクラスタで構築 したシステムに比べ、大幅なコスト削減が可能となっている。

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3.2 APサーバへの適用

3.3 クラスタによる信頼性向

製品名 BEA WebLogic Borland Enterprise Server IBM WebSphere Oracle9iAS Sun ONE Application Server

メーカー BEA Borland IBM Oracle Sun

Microsystems 対応ディストリ ビューション RedHat, MiracleLinux RedHat RedHat, SuSEなど RedHat, MiracleLinux RedHat

管理ツール Web GUI 専用GUI Web GUI Web GUI Web GUI

表2 Linux対応の主要な商用APサーバ一覧 120 100 80 60 40 20 0 Page/sec 0 1 2 3 4 5 6 7 Linux上でのAPサーバ性能比較 多重度 Tomcat 商用 APサーバ 図7 Linux上で動く、商用APサーバとTomcatの性能比較(6) Server2 Server1 アプリケーションA アプリケーションB アプリケーションA ハートビート パブリックLAN TCP TTY アプリケーションB 図8 LifeKeeperのシステム構成例(7)

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まだまだ充分とは言えない。優れたミドルウェアの登場 が今後のキーとなるであろう。 (2)IAサーバ以外のプラットフォームでの動作。 Linuxというと、IAサーバで動くものというイメージ があるが、今後はさらに様々なプラットフォームに移植 されていく必要があるだろう。 Linuxを取り巻く環境は今後さらに充実していくと考えられ ており、技術的に優れたものも多数登場してくるであろう。し かし問題が全くないわけではない。ここでは今後Linuxがさら に普及していく上での課題、注意点等を挙げておく。 Linuxをビジネスの一部として考える場合、オープンソース というライセンス形態には注意する必要がある。オープンソー スとは厳密に言うとただ単にソフトウェアコードが閲覧および 変更可能であることを表すわけではない。再配布の自由や、ソ ースコードの配布、派生ソフトウェアなどについて定めた「オ ープンソースの定義」を満たすものがそれにあたる(原文の最 新版はhttp://www.opensource.org/docs/definition.html から入手可能)。注意すべきは、各オープンソースプロジェク ト毎にライセンス形態が異なる点である。Linuxに限ったもの ではないが、GPL、Lesser GPL、Apache、Mozilla、BSD、 modified BSDなど、オープンソースの各種ライセンスがど のようになっているかを正確に把握しておく必要がある。GPL (General Public License)に関して言えば、2次著作物も GPLライセンスを採用しなければならない、という特徴を持っ ており、この解釈によってはLinux市場全体を縮小させる可能 性もあると危惧されている。また、UNIXの知的財産をLinux に不正流用されたと主張する訴訟問題も発生している。これに 関してはまだ決着はついていないが、訴訟元から約1,500社 のLinux採用企業に対して、知的所有権侵害の警告文書を送付 するなどの動きも見られており、目の離せない状況である。訴 フィックスの提供は、コミュニティに依存してしまう。この点 は、障害対応の体制としてソースレベルでの問題解析力を、デ ィストリビュータベンダ、SIerなど利用者側で有する必要が あることと利用者側で発見した問題点の修正はコミュニティへ 要求し修正を待つ必要があることを意味する。この点をビジネ ス推進上のリスクとして認識する必要がある。 急速に伸びつつある市場では技術者の不足が常に問題にされ るが、Linuxに関しても技術者不足を指摘する声は大きく、 Linux導入を阻む要素として挙げられるケースは多い。しかし 現在多くの企業で、技術者の育成、教育に力をいれており、ま たベンダやディストリビュータのサポート体制も徐々に整って きている。今後、市場が成熟していくにつれ、技術者不足の問 題は解決されていくだろうと考えられている。 Linux市場はまだまだ発展途上であり、未成熟である。しか し、現在のLinuxの盛り上がりは数年前のブームとは違い、一 段階上での盛り上がりである。Linuxは使えるのか、といった 議論から、どのようにしてLinuxを使うのか、という段階にシ フトしてきているのである。言い換えれば、Linuxを使ってシ ステムを構築できる、という状況から、Linuxを使ってシステ ムを構築する、という状況に移ってきたとも言える。これは Linuxを利用することによるメリットがより明確になり、実現 のための技術的要素が揃いつつあるからこその状況である。 当社でも、Linuxを重要な技術戦略の一つとしてとらえ、技 術者の育成など継続した取り組みを行っている。 参考文献 (1)日経システムプロバイダー:“売れ行きチェックLinuxサ ーバ”,(2003.5.15)

(2)IDC Japan 株式会社:“国内Linuxサーバ市場動向を発表”、 IDC Japan プレスリリース,(2003)

4.

Linuxの課題

4.1 ライセンス形態

4.3 Linux技術者

(6)

http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20030317Apr. html

(3)亦賀忠明:“Linux市場分析 ‐ なぜ今Linuxなのか”、 ガートナーレポート,(2003)

(4)@ITサイト Linux Squareフォーラム”第8回 読者調査結果 発表∼Linux用DB/APサーバ市場に変化の兆しか!?∼ (2003/1/21調べ)”http://www.atmarkit.co.jp/ (5)村中孝:“LinuxにおけるDBサーバの可用性向上”,(2002) http:// japan.internet.com/ (6)NRI野村総合研究所:“第12回ソフトウェア開発環境 専門セミナー SD-7 資料”,(2003) (7)株式会社テンアートニ:製品情報 http://www.10art-ni.co.jp/product/lifekeeper/index.html (8)野口建治:“Linuxでどこまで基幹系に!? 業界最新事情 を踏まえ実例のご紹介”,基幹システム再構築セミナー 2003、株式会社大塚商会,(2003) (9)八田 真行:“「オープンソースの定義」の意義”,(2003) http://japan.linux.com/ (10)野堀久司:“LinuxマーケットにおけるIBMブランドの戦 略と各種プログラムのご紹介”,Linuxビジネス・フォー ラム、日本IBM株式会社,(2003)

40周年記念

第2号

I N T E C T E C H N I C A L J O U R N A L

2003

山下 昌人

Masato Yamashita ・技術本部

・Enterprise Project Management System 導入プロジェクトに従事

参照

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