• 検索結果がありません。

「腎線維化」特集号について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「腎線維化」特集号について"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 臓器線維化は創傷治癒における一つの転帰であり,傷害や炎症が遷延化した場合に,構築が破壊され た組織の修復・再生が不完全となるため,機能ユニットの欠落部分が細胞外基質と少数の間質細胞に よって補填される現象である。あらゆる臓器の慢性疾患や老化による機能不全状態において普遍的に認 められる組織変化であり(例:肝硬変,虚血性心疾患など),腎臓においてはステージの進行した慢性腎 臓病における腎線維化がそれにあたる。  腎線維化は慢性腎臓病の原疾患にかかわらずその腎機能低下に強く連関することから,末期腎不全へ の進行を阻止するための良い治療標的と考えられる。腎線維化の進展には蛋白尿や虚血・低酸素による 尿細管上皮細胞を代表とする腎構成細胞の病的な活性化が関与しており,NFκB 経路などの細胞内情報 伝達系を介して,TGF-β1などの線維化促進性のメディエータが産生・放出され,間質領域に線維芽細胞 や筋線維芽細胞が誘導されて病巣が形成される。この腎線維化病巣を舞台としたシナリオの主役である (筋)線維芽細胞の由来やその誘導メカニズムに関しては,多くの新しい知見が報告されている。また治 療介入のポイントとしては,線維化抑制性のメディエータ産生を誘導する細胞内情報伝達系の賦活化 (例:bardoxolone methyl による Nrf2 経路の活性化)や線維化促進性メディエータの作用阻害(例:ピル フェニドンによる TGF-β1作用の阻害)などが想定され,さまざまな基礎・臨床研究が進行中である。さ らに腎線維化の進展・消退を定量的に評価するためには,現状では腎生検が必須であるが,今後はより 低侵襲性の画像検査(例:機能的 MRI)やバイオマーカーによる評価が期待されている。  広範囲にわたる腎臓病研究のフィールドにおいて,腎線維化は特に実り多い分野であり,日本の研究 者が世界をリードしている点でも重要である。そこで今回,日本腎臓学会誌で腎線維化の特集が組まれ, 日進月歩のこの分野の現状を第一線の日本人研究者による日本語の総説で俯瞰できることは,学会員に とって貴重なことであり,われわれも編者として関与できることを光栄に思う。次ページから続く本特 集号の章立てをご覧いただければ一目瞭然,若手から中堅研究者によるいずれ劣らぬ力作の総説が並ん でおり,そのいずれもが自ら世界に発信した情報を基に論旨を展開しているのは壮観といえる。ただし, 腎線維化の分野にあまり馴染みのない読者に向けて一言申し添えておくと,現役の研究者による総説と いうことで,さまざまな情報に関して,第三者的・中立的な立場というよりは,自らの信じる仮説と実 験結果に沿った解釈となっている部分が少なからずあり,総説ごとに腎線維化に関する主張が微妙に異 なっていることから,読後に多少の混乱を招くかもしれない。この点は,腎線維化の研究が発展途上, 現在進行形であることからある程度は致し方なく,また当然のことながら各総説の内容が最終結論では ないことから,編者の方針として最大限に筆者の主張を尊重し,あえて画一化しないこととした。以上 をご承知おきいただいたうえで,知的興奮を味わいながら本特集号をお読みいただければ幸いである。 日腎会誌 2015;57(7):1186.

特集:腎線維化

「腎線維化」特集号について

埼玉医科大学腎臓内科  岡田浩一 京都大学腎臓内科学  柳田素子

参照

関連したドキュメント

直腸,結腸癌あるいは乳癌などに比し難治で手術治癒

 がんは日本人の死因の上位にあり、その対策が急がれ

添付)。これらの成果より、ケモカインを介した炎症・免疫細胞の制御は腎線維

(注妬)精神分裂病の特有の経過型で、病勢憎悪、病勢推進と訳されている。つまり多くの場合、分裂病の経過は病が完全に治癒せずして、病状が悪化するため、この用語が用いられている。(参考『新版精神医

4)線大地間 TNR が機器ケースにアースされている場合は、A に漏電遮断器を使用するか又は、C に TNR

<警告> •

 我が国における肝硬変の原因としては,C型 やB型といった肝炎ウイルスによるものが最も 多い(図

熱が異品である場合(?)それの働きがあるから展体性にとっては遅充の破壊があることに基づいて妥当とさ