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マンパワー・プランニング問題に関する研究の総括と展望

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(1)

総合報告

マンパワー・プランニング問題

に関する研究の総括と展望

1

.

はじめに

1968年に出版された Ackoff と Sasieni の著書[

1

J

によれば,資源計画のうちで OR が一番使われないのは 人事(または労働力)に関した分野で、あると指摘してい る.しかしその後,欧米ではこの分野に関しての数学的 あるいは計量的モデルによる研究が活発に行なわれてい る. 広義のマンパワー・プランニングは労働力構成計画と 労働力調整計画からなる.労働力構成計画は要員計画等 の名のもとに研究されている.労働力調整計画はマンパ ワー要求を与件とする立場での研究であり,数学的ある いは計量的モデルによる研究の大部分はこの立場に立っ ている.この小論では,この立場でのマンパワー・プラ ンニング問題に関する研究の発展をふりかえり将来の課 題を考察する.なおここでは,日程計画や交替市IJ につい てのマンパワー・スケジューリングの問題は除く. マンパワー・プランニングに関する従来の研究は,大 きく分ければ,量的側面(たとえば人数,人員構成比率, 年齢分布等)に関する研究と質的側面(たとえばモティベ ーション,モラーノレ等)に関する研究に分けることがで きる.

2

.

量的側面に関する研究

量的側面に関する研究は,比較的マクロな立場での人 の組織計画の問題と,誰をどの仕事に割当てるかに関し てのマンージョブ・マッチング (man-job matching) の 問題に分けることができる.

2

.

1

人の組織計画問題 人の組織計画に関する従来の研究は,方法論的には解 析的モデルによるものとシミュレーション・モデノレによ るものに分けることができる.解析的モデルの主要なも のとしてはゴール・プログラミング (goal

programmュ

ing) モデル,横断的 (cross-sectional) モデル,縦断的 1979 年 2 月号

松田武彦・宇井徹雄

(longitudinal) モデルがある.

(

1

)

ゴール・プログラミング・モデル 1968年より Charnes と Cooper らは,人の組織計画 問題に|廻して,マルコフ・チェインとゴール・プログラ ミングの使用による一連の注目すべき研究 [6 ]一 [8J [10J ー [14J を発表している.彼らの研究では人の組織 をジョブ・タイプ(j ob-type) により分類し,マルコフ ・チェインの“状態"としてジョブ・タイプをとり,ジ ョブ・タイプ闘でのマンパワーの“推移率"をインプッ トして v 、る.そしてジョブ・タイプ別あるいはいくつか のジョブ・タイプをまとめたマンパワー・カテゴリ-1.liJ の人員につき将来の目標値が指定されるものとし,長期 的観点からの採用計画等の問題についてのゴール・プロ グラミング・モデノレを明らかにしている.文献 [6J で 提案されたモデルはつぎのようなものである. n= ジョブ・タイプの数 ai=f時点、 t=O にジョブ・タイプ i に属する人員数 a=[aiJ (nx 1) fk(t)= 時点 t において第 k 番目のマンパワー・カテ ゴリーに対する目標人員数 Ik=i彩 k 番目のマンパワー・カテコリーに属するジョ プ・タイプの集合 各ジョブ・タイプに属する人が単位期間経過後に組織 内の各ジョブ・タイプに推移する率と組織外に去る率は わかっているものとする. M= ジョブ・タイプ問の推移マトリクス 川,ft)i=Mt の第 t 行 外部からの採用については, "、くつかのマンパワ-

.

ソース (manpower sources) からの採用が考えられると して,ソースによって分けている. J

o

= 外部のマンパワー・ソースの集合 Xij(t)= 時点 t において第 j ソースからジョブ・タイ プ i に採用する人の数 Xi(t)=[X(j(t)J (nx

1

)

8

1

© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

そして

Ek+(t)

,

Ek-(t)= 時点 t において第 k 番目のマンパ ワー・カテゴリーの目標人員数に対する差異変数 μkt= 時点 t において第 h 番目のマンパワー・カテゴ リーの目標人員数達成に関するウエイト また人件費に関する ζF算上の制約が課されてし、る. B(t)= 時点 t における人件費に関する予算総額

c

;

(

t

)

=時点 t においてジョブ・タイプ i に属する l 人 当りのサラリー

c

T

(

t

)

=[C

,

(t)

, ...,

C

n(

t

)

J

そこで,予算上の制約内において,マンパワー・カテ ゴリー別の各時点、での目標人員数をできるだけ達成する ような採用者数 Xij(t) を決定するためのモデルはつぎ のようになる.

(

1

.

1

)

min L

;

L; μkt

[E

k

+

(

t

)

+Ek-(t)

J

k t

s

u

b

j

e

c

t

t

o

(

1

.2

)

L

;

L

;

L; 日1t-')iXj(d

-Ek+(t) +Ek-(t)

íe1k 宮=,JeJo n

(

1

.

3)

L

;

L

;

L

;

ci(t)(Mh)iXj( τ) i=l 智 =1JeJO ~B(t)

-cT(t)Mta

(

1

.

4) XJ(d 注 O

(

1

.

5)

Ek+(t)

,

Ek-(t) 二三 O ここ tこ,

(

1

.6

)

g/

c

(

t

)=jic(t)-

L

;

(Mt)ia

ie1k

=gk(

t

)

なお Charnes と Cooper らの一連のモデルは OCMM

(

O

f

f

i

c

e

o

f

C

i

v

i

l

i

a

n

Manpower

Management) との 協同研究により開発したものであり, OCMM モデルと よばれている. Charnes と Cooper らのモテソレでは推移率をインプ ットとしているが, Clough ら [1 7]は,軍隊のパイロ ットに関するマンパワー・システムの研究から,推移率 をインプットとして与えるのではなく,採用者数と推移 者数の双方をアウトプットとするようなゴール・プログ ラミング・モデルを提案し, Price ら [52J は Clough らのモデルの応用による成功例を報告している. なお Clough らのモデルで 知変数として扱つているのでで、,多期問を考え Tたこ場合, シ ステムを示す式は非線形となる.そこで彼らのモデルは 単位期間モデルとなっている.これに対して,松田と宇 井 [40J はマンパワー・システムを職務系列によるサブ システム,職務系列と職務等級によるサブシステム,職 務系列と職務等級と在職期間によるサブシステムに分け ることにより,採用者数と推移者数の双方をアウトプッ トとし,かっ多期間にわたっての optimization を考慮 したモデルを提案している. また Patz

[

5

0

J

[51J はいくつかのレベルからなる組 織を対象とし,組織構成員を現在属しているレベルおよ びそのレベルに属している期間と組織に属している期間 の三次元により分類し,昇進ポリシーの反映としてのマ ンパワー・フローを研究するとともに,定常状態におけ るマンパワー・フローを前提とした場合のゴール・プロ グラミング・モデルによる研究を発表している.その後 Charnes と Cooper ら [15J はマンパワー・プランニ ングの意思決定と予算配分の意思決定のインテグレート につき報告し,また文献 [16J では,彼らの研究のまと めを報告している.ところで終身雇用制を原則とする日 本的組織においては人材開発が重要なテーマの一つであ るが, この点に関して松田と宇井 [41J は人材開発を考 慮した非常に長期的な観点からの,定常状態マンパワー .プランニング・モデルを提案している. ( 2 ) 横断的モデル 横断的モデルはしばしばマルコプ・モデノレともよばれ る.つまりマンパワー・システムは一般にいくつかのク ラスやグレイド (grade) からなるわけだが,そのクラス 聞でのマンパワーの推移をマルコフ・チェインとしてと らえることによりマルコフ・モデルとよばれる.しかし クラス聞でのマンパワーの推移はマンパワー・ポリシー により確定的な割合として決められるものであるので, マルコフ・モデルとよぶのは適当ではないとし,フラグ ショナル・フロー(fractional flow) モデルとよぷ場合 もある. 1968年に Vroom と MacCrimmon [60J はマルコ フ・チェイン・モデルによる人の組織計画の検討方法に つき報告した.そしてその後 Nielsen [4日らによって マノレコブ・チェインの応用がし、くつか報告されている.

Forbes

[22J は採用と昇進の関係につき連立一次方稜式 モデルにより考察している. 1973年に発表された Bartholomew

[4

J と Davies [18J の研究はその後のこの分野の研究に少なからず影 響を与えている. Davies による研究はつぎのようなも のである. k= グレイドの数 J川=任意の時点にグレイド i からグレイド j へ推移 する者の割合 却i= 任意の時点にグレイド i からシステムを去る者の 割合 九 (n)= ステップ n においてグレイド i に入る新入者 の割合 的 (n)= ステップ n においてグレイド i にいる者のシ ステム全体の人数に対する割合 とすれば,

(3)

k ( 2)

I

:

Pi;+wi=

1 j=1

(3)

x(n+ l} =x(n)P+x(n) 叩'p(n+l)

x(n)=[xdn)

, …,

x

d

l

l

)

J

w=[加h … ,

w d

p(n)

=[p1(n)

,

,

Pk(n)J

P=[ρり J

(kxk)

式(

3

)から式 (4 )が導かれる. n

(

4) x(n)

=x(O) 日 {P十日'p(m)) 骨1. =1 ここで P と却が与えられ,要求される構造が♂で与 えられたとき,現在の構造から何ステップで到達可能 (attainability) であるかという問題や,要求された構造 に到達できたとき,何ステップの周期で維持可能 (main­ tainability) であるか等の問題について研究している. また文献 [19J で・は,各グレードか L 、くつかのグループ にまとめられ,グル{プ別の人員構成割合が決まってい るとの条件がついた場合について研究している. 現在構造と将来構造の問題につき,

Vajda

[57]はシ ンプレックス・アルゴリズムと双対シンプレックス・ア ルゴリズムを使ってその関係を検討している. マルコブ・モデルは有効で、あるが,人事ポリシーの評 価のためには,たとえばスタッフの年齢分布,スタップ の過去の経験等に関する情報が必要である.そこで、 Glen [23J はスタップの過去の経験を組織における夜職期間 でとらえ,マルコフ・モデルを使った場合の各グレイド におけるスタッフの在職期間の平均値と標準偏差の計算 方法を示している.ところでこれらの研究では組織を去 る者の割合についてはわかっているものとしているが, この割合の予測につき,

Vassiliou

[58J は英国におけ る 2 つの大企業のデータを使って実証的に研究してい る. 最適ポリシーの決定に関する問題も当然考えられるわ けだが, Grinold と Stanford [24J は,フラグショナ ル・フロ{・モデルの名のもとに,いくつかの制約(た とえばシステムの成長制約,予算制約,生産性制約等) を満足し,スタッフに関するコストの最小化を目的関数 としたモデノレを提案し,最適な採用ポリシーを求めると ともに,昇進ポリシ{と給与ポリシーを変化させた場合 の比較検討について研究している. 横断的モデルで、は推移を割合で、示すのが一般的で‘ある が, Dudding と Price [21J は, 主1・進ルートが決まっ ている場合,採用人員と各昇進ノレートに乗る人員数を求 めるためのマンパワー・フロー・モデノレを提案してい る. 1979 年 2 月号 最近 Hayne と Marshall [28J はマルコフ・モデル の状態として二次元の状態(たとえばグレイドと組織で の在職期間,あるいはグレイドとグレイドでの在職期間) を考慮したマンパワー・フロー・モデルを提案し,モデ ルの数学的性質を考察している.なおマンパワー・プラ ンニングへのマノレコフ・モデノレの応用については高橋 [55J によりその一部が紹介されている.

(

3

)

縦断的モデル マノレ 2 フ・モデルで、は,一般にクラス聞での人の推移 は時間的に独立であるとの仮定に立っている.すなわち 推移が特定のクラスに属する時間に関係しないとしてい る.これに対して推移が時間に独立でないとしてとらえ たものが縦断的モデルで、ある.

Marshall [

3

6

J

I主マルコフ・モ 5' ノレとコーホート (cohort) モデルを理論的に比較するとともに,

Univerュ

s

i

t

y

0

1

California a

t

Berkeley における学生の在籍 者数の予測について実証的に比較し,コーホート・モデ ノレの有効性を主張した. ここでコーホートとはあるシス テムの[司じグラスに同じ時に入ってくる人の集まりのこ とであり,コーホートが異なればその後の推移が異なる として\,、る. なおコーホート・モデルについては増田 [37]がマルコフ・モデノレとの関係で紹介している. 1976年に Grinold らは縦断的モデルに関する研究 [25J [26J を発表した.文献 [25J ではコーホートにかわり チェイー/(chain) という用語が使われているが,その後 出版された Grinold と Marshall の著書 [27]によれ ば,イー/ブローがし、くつかのカテゴリーに区分され,こ のカテコリーはチェインとかコーホート等とよばれると なっている. さて Grinold による縦断的モデノレとはつぎ のようなものである. 離散的時点を t=... ,

-2

,

-1

,

0

,

1

,

2

,

...とし, 時間区間 (t ー 1 , tJ を期間 t とよぶ n= マンパワー・カテゴリーの数 s(

t

)

=

=

[

S

1

(t),

,

sn (t )J= 時点 t における各カテゴ リーでのマンパワー・ストック ニュー・マンパワーのインフローは h 種類のチェイン のいずれかに区分される.

g(t)'=[g1(t)

,

gdt)J= 期間 t における各チェイ γ へのインフロー カテゴリーとチェインの聞の関係は (m+ 1) 個の非負 のマトリクスによって構成される.ここで (m+l) とは 1 人の人がシステムに所属する時間の最大数である.そ のマトリクスとは P(O) ,

P( 1)

,

P(m) であり,お のおのは (nxk) 次元である.つまり,

P(U) =[Pij(U)] (

n

xk)

ρij(U)= 期間 t-u にチェイ γj に入り時点 t にカテ

9

3

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(4)

t 叫 1 一一一一L一一一一“一一一一一」 O L

g

(

Q

)

P(t) バ!t--m)

P(m)

1'(t+l) ι( -1) g(1) 1'(t-1) t-) ----一一ー一一ーーームーーー一一一一」一一一 。 ;It' 1'(()1 図 1 インフローと推移マトリクス ゴリに所属している人の割合 そこでモデルの基本方程式はつぎのようになる. (ラ ) s(t)=P(O)g(t)+P (J )g(t ー 1)+ …

...+P(m)g(t-m)

f

o

r

a

l

l

t

つぎに t孟0 なら過去 , t註!なら将来とすれば,過去 の意思決定の遺産 (legacy) はつぎのようになる.

(6) 1

(

t)=P(t)g(O)+P(t+1

)g( ー 1)+ … ・・・ +P(m)g(t-m)

=0

i

f

t>m

将来のマンパワー・ストックは遺産と将来のインフロ ーの和として示すことができるから

(

7) s

(

t

)

=l

(t)+

I

:

P(t-u)g(u)

u.=o 上記の関係を図で示せば図!のようになる. そして,ストッグとインフローについての制約を満足 し,ストッグとインフローについての将来のコストを現 在に割引き,割引コスト関数を最小にするための,無限 期聞を通じてのインフローの選択問題の形にモデルを定 式化し , g(t) と s(t) の値につき研究している. ここでマンパワー・カテゴリーとチェインの把握の仕 方およびマトリクス P(u) について,簡単のため大学生 の場合をとりあげ若干の例を紹介しよう. [例 1

]

2 年制の短期大学の場合,学生は 1 年生 (F) と 2 年生( S) の 2 つのカテゴリーに分けることができる. 学生は資格を得て卒業する (G) か中退するか (D) であ る.そこでつぎのような 7 つのチェインを考えることが できる. チェイン 1

1

2

3

4 5

6

7

IFSG FFSG FSSG FD FFD FSD FFSD

この場合,マトリクス P(u) はつぎの通りとなる.

P(叶;;;;;;;]

P(l)=[:;:;; 。;]

P(2)=[::::::!]

[例 2

]

例 1 でチェイン 1 ,

2

,

3 をまとめ新たにチェ イン 1 とし,残りをまとめチェイン 2 とする.そして, 新チェイン l の 2/3 のフローは旧チェイン 1 の経路をた f;(t -1J 1'(1, どり,旧チェイン 2 と 3 は各 1/6 であり,また新チェイ ン 2 のフローは,旧チェイン 4 ,

5

,

6

,

7 の経路をい ずれも 1/4 の割合でたどるものとすれば,この場合のマ トリクス P(u) はつぎの通りとなる.

r

l

1

1

~,., r占訂

r

O

0

1

P(

0

)

= I

~ ~

I P( 1

)

= 1

:

~

I P( 2

)

= I

~ ~

I

LO OJ L~

t

J .

l

!

.

~J [例 3] 4 年制大学の学部生は l 年生 2 年生, 3 年生, 4 年生の 4 つのカテゴリーに分けられる.入学生は l 年 生として入学する者 2 年生として入学する者 3 年生 として入学する者, 4 年生として入学する者に分けられ, これをチェインとする.カリフォルニア大学パークレ{ ・キャンパスでの事例研究 [27]によれば,この場合の マトリクス P(u) はつぎのようになっている.

1

1

0 0 Ol

10 1 0 01

P

(

0

)

=

I

V • V V

I

10 0 1 01

10 0 0 1

1

10.254

1

0.584

P(I)=I

10.009

10.012

(2)=1

0

.

2

1

0

10.454

10.009

10.007

p(3)=1 日27

1

0

.

2

8

1

10.318

0.118

0.622 0.265

0.039 0.493

0.013

0.189 0.138

0.337 0.192

0.003

0.022 0.033

0.130 0.042

0.003

0.005 0.005

0

.

0

3

1

0.008

10.004

10.008

P(4)=1

10.033

10.152

10.003

10.003

P(5)=1

10.009 0.004 0

.

0

0

1

1

0

.

0

3

1

0.010 0.003

ハ U 'iq コ ハUnu n u n u n u n U 1ι 弓 t n u n u nunu nU ハ u q コ qJ4 ‘ R ノ nununUTA nununU ハU nU ハ Ununu 「 Illli--!11111L 一一

)

K U

(

P

(5)

このような縦断的モデルは仕事との関係におけるマン パワー・プランニング問題の研究からではなく,大学に おける学生のフローに関する研究からスタートしている [49]. またこのモデルで、は (m+1) 伺の推移マトリグス P(u) を求めるために非常に多くのデータを必要とする. しかし組織内で、の人の推移についてのこのような把握の 仕方がより現実的である場合もあろう.たとえばこのモ デルによる資格制度の検討が考えられよう.なお最近出 版された Grinold と Marshall の著書 [27J では横断 的モデルと縦断的モデルおよびハイブリッド・モデルと しての二次元のマルコフ・モデルとセミ・マルゴブ・モ デルにつき解説している. (4 ) その他の解析的モテツレ 研究テーマあるいは方法に関していくつかの興味ある 研究が発表されている.テーマに関しては,採用者数決 定問題において,採用者数を決定するためのテストが必 ずしも完全でない点に着目した Kao と Rowan の研究 [32J ,昇進の問題を確率過程としてとらえ,個人の昇進 の可能性を問題とした Dill らの研究 [20J ,教育・訓練 部門への採用者数決定問題に関する Balinsky と Reis man の研究 [2 J ,ラーニングによる生産性を考慮した Li lien と Rao の研究口日, スタッフの年齢分布と採 用・昇進ポリシーの検討方法を示した Keenay らの研究 [3 3J がある. また方法に関しては,再生理論の適用に よる採用,退職,昇進についての Bartholomew の研究

[

3

J

[4

J ,教育・訓練の問題に関して再生理論を応用 した Robinson の研究 [53],長期的観点からの昇進問 題につき保険統計のライフ・テーブル(l ife table) テク ニックを応用した Jones の研究 [29J [30J がある.

(

5

)

シミュレーション・モテソレ 昇進計画,採用計画を検討するためのシミュレーショ ン・モデルもいくつか報告されている.これらは事例研 究をベースとしている.ある大企業における事例研究に もとづく Lewin の報告[34J , ある銀行における事例 研究をベースとした Jones らの報告口 1J ,電々公社に おける事例 [47J [48J 等がある. また文献 [46J では 人事シミュレーションの利用方法につき解説している.

2

.

2

マンージョブ・マ .y チング問題 n 人の人と n 例の仕事があるとき,誰をどの仕事に;別 当てるのがよし、かといったタイプのマンージョブ・マッ チング問題は, OR では割当問題として台くから研究さ れてきた.割当問題では一般にある人をある仕事に割当 てた場合のパーブォーマンスを直接的に評価しようとす るわけだが,実際にはそのような情報を得ることはかな り困難なことであろう.それが作業部門でなく間後部門 ないしは管理部門の場合はなおさらである.この点に若 1979 年 2 月号 日し Charnes と Cooper ら [9J は各仕事の要求す る能力についてのいくつかの属性 (attribute) とその程 度,および各個人のそれらについての情報をもとにして の人と仕事の対応に関する研究を発表している.

Charュ

nes と Cooper らは全体をどう評価するかに関して 3 つの方式を提案しているが,それらのうちの 1 つの方式 によりこの問題を定式化すれば,つぎのようなゴール・ プログヲミング・モデノレになるとしている.

(

8

.

1

) min

L

:

L

:

Uり

s

u

b

j

e

c

t

t

o

(

8

.

2

)

L

:

XiSaSj-Uij++Uij-=rij

(

8

.

3

)

L

:

xis=

1

(

8

.

4

)

L

:

x

i

s

= 1

rij= 仕事 i の第 j 番目の属性についての要求水準 (i=l~n, j=l~k) a

st

= 人 s の第 t 番目の属性についての能力水準 (s=l~n , t=l~k) {い人 s を仕事 z へ割当てる場合 X;O=¥ 山 ¥0 :人 s を仕事 i へ割当てない場合

U ij+

,

Uij-註0, Uり +xUiF=O

Charnes と Cooper らのモデルは多属性 (multi­ attribute) 割当モデルであるが, Srinivasan と Thomp­

son

[54J はこれらの標準的な割当問題あるいはボトル ネックの割当問題への再定式化に関する研究を発表して いる.宇井 [56J は Charnes と Cooper らのモデルを 参考にし,資格制度と職場集問を媒介とするような日本 的な組織における従業員配置問題に関するモデルとその 解法を提案している. この問題については能力面の評価のみならずモティベ ーション面からの評価も大切である.その場合Charnes と Cooper ら [16J も指摘しているように, 行動科学 等による知識が必要となろう.

3

.

質的側面に関する研究 いくつかの代替的ポリシーに対して組織構成員の意欲 と能力がどのようになり,その結果個人の業績あるいは 組織の業績がどのようになるかを明らかにすることが問 題となる.このような問題に対する数学的あるいは計量 的モデルによる研究はわずかではあるが,つぎのような ものがある. Miller と Haire [44J は 1 人の監仔者と 多数の部下からなるワーク・グループを前提とし院侍 者と部下の関係の個々の問題についてはアナリテイカル なアプ 1コーチによるモデルを考え, ワーク・グループ全 体としてのモデノレを構成しシミュレーションに上り代

9

5

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(6)

替的報酬ポリシーを比較研究しようとしている.

Weber

[

6

1

J

[62J は Vroom [59J による個人の行動モデルを ベースとし Bonini 流のアプローチ [5 J により,組 織全体のシミュレーション・モデルを構成し,採用,昇 進,昇給,訓練等の問題についての代替的ポリシーを全 体的な立場で検討している.また松田と諸昼[39J は配 置および昇進決定ノレーノレに関して日本的なものとアメリ カ的なものを区別し,組織全体のシミュレーション・モ デルを使って,人事決定ルールの違いが組織業績にどの ように影響をおよぼすかを検討している.

4

.

まとめと将来の課題 マンパワー・プランニング問題に関する研究は,大き く分ければ量的側面に関する研究と質的側面に関する研 究に分けられる.量的側面に関する研究ではマンパワー をクラス別の人数や人員構成比率でとらえ,人の組織計 画を検討する研究と,マンパワーを各個人の能力でとら え,仕事への割当を検討する研究がある.質的側面に関 する研究ではモティベーションが主たる研究テーマとな る. ところで人数や構成比率をテ -7 とした研究は,マン パワー・プランニングのために必要ではあるが,マンパ ワー・プランニングが単なる人の組織計画ではなく,仕 事に関する人の組織計画であるかぎり,それだけでは十 分でない.業績や意欲,能力といった側面を総合的に評 価することが必要となろう.つまり量的側面に関する研 究と質的側面に関する研究の統合が将来の課題の i つと なろう. マンパワー・プランニング問題の研究に当って,業績 や意欲,能力といった側面を評価するためには,組織の 構造特性と運用特性の問題が関係してくることになる. とくに日本においては日本的組織の特徴としての漠構造 性向口8J をもっ組織におけるマンパワー・プランニン グのあり方が重要なテーマとなろう.そこでマンパワー ・プランニングと組織の構造特性,逮用特性の関係の解 明が将来の課題の 1 つとなろう. マンパワー・プランニング問題に関する研究は欧米で は多くの研究者により活発に研究されつつあるが, 日本 で・は発表された論文がきわめて少ない. この点について は,欧米では職務中心であるが日本では人中心であり, 欧米のようにはし、かないとし、う指摘もあろう.しかし逆 にそうであるがゆえに日本人と日本的組織を前提とした マンパワー・プランニングに関する研究が必要となると もいえよう.そして資源の少ない日本にとってマンパワ ーは貴重な資源の 1 つで、あるという点から,また日本的 経営の特徴としての終身雇用制といった点からも, 日本 人と日本的組織を前提とし,量的側面と意欲や能力開発 の側面を統合し,かっ長期的観点に立ったマンパワー・ プランニングについての研究の重要性が指摘できょう. われわれは勤労意欲に関する意識構造を把握するため アンケートによる調査を実施し分析した [42]. また最 近は組織の漠構造性向とマンパワー・プランニングの関 係を調べるため,勤労意欲に関する分析結果を含むシミ ュレーション・モデルを構築し,それを用いた研究 [43J を進めている. (本レポートは昭和 53年日本 OR 学会春季研究発表会 において発表したものである) 参芳文献

[

1

J Ackoff

,

R

.

L

.

and Sasieni

,

M. W. :

Fundaュ

mentals o

f

Operations Research. John Wiley

&

Sons

,

1968

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支部ニュース

九州支部

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特別テーマについて 今回は,企業からの積極的な発表を期待して「経符と ORJ というテーマを設けた次第です.過去の発表事例 を散見するに理論的な展開の事例が多く,また参加者も 教育関係者が圧倒的に多いこと等を考慮した場合,時に は企業からの事例研究また問題解決するに必要な技法の 要求等を訴えた論文が発表される機会があってもよいの ではないかという配慮を行ないました.この意志を掛酌 され,企業からも多数参加されることを望みます.これ が OR 学会の発展にもつながるものと確信いたします.

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2

)

特別講演について 今回は九州支部のローカルティーを出すために講演者 は九州在住の人に依頼したわけです.その一人は昭和日 年に開校した[産業医科大学学長」の士屋健三郎氏であ ります.同博士は基礎医学の権威者でありますが,

OR

との関連性を考慮して「産業医学の動向 J というテ{マ 1979 年 2 月号 で講演していただくことにしています.また同氏は医学 教育にも熱心であり,同校の内容等を含めた PR 活動も 行なわれますので,医学に興味をもっ子弟を有される方 には有意義な裏話にもなるかと思います.もう一人は西 日本新聞社,解説委員長の益田憲吉氏であります.同氏 は九州地域の政経やドル問題に造詣が深く,また講演経 験が豊富で,素人にもわかりやすく興味をそそる話し方 で聴衆を引きつける独持の話法を有されておられます. 以上簡単に特別講演会の企画について紹介しましたがご 期待ください.

(

3

)

見学会について 遠路,九州まで、きていただくことを考えて,企画して みました.したがいまして俗に言う“趣味と実益を兼ね る"ということを狙L 、省エネルギーを意図した地熱発 電所の工場見学と九州の名所ともいうべき中九州の観光 を目的としてコースを設定しております.また時節を考 慮しその後の行動の出発点と考えられます別府を解散地 と決めたわけです.ここは宮崎地方または!危児品への交 通も便利であり,春休みを利用しての旅行には格別の場 所だと考えております.乗物は貸切りパスを利用するこ とにしております.定員になり次第締切りますので早目 に事務局まで申し込んでください.

(

4

)

その他 皆様の積極的参加を期待するために支部としては,会 場,会場への乗物,旅館等の不便をなくすために,一応 指定旅館(サンスカイホテル TEL

(093)-521-0123)

を設け,会場と旅館の付:復には貸切りパスを配車するこ と十こし、ナこしまし 7こ. もちろん研究会を立派にするためには,発表内容の充 実が第ーであります.この為には会員各位の協力が必要 であります,主催者側としましては本部との術後な連携 のもとに準備を進めておりますので春季研究会が成功す るよう皆様と一緒になって祈りたし、ものです.

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参照

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