1999年度日本オペレーションズ・リサーチ学会 春季研究発表会
2−D−6
生産・輸送問題に対するファジィ計画とゲーム論による利益およびコスト分配
一事例研究−
01202665 広島大学坂和正敏 SAKAWAMasatoshi
O1403974 広島大学 *西崎一郎 NISHIZAKIIchiro OlO12595 (株)住建産業 植村芳雄 UEMURAYoshio 1. はじめに 本論文では,建材メーカにおける現実の生産・輸送問 題を取り上げ,既存の複数の生産拠点(工場)で複数の 製品を製造し,かつその生産拠点自身が需要地でもある 状況のもとで生産・輸送計画を考察する・最初に,各生 産拠点での生産能力と需要の条件のもとで生産コストと 輸送コストの合計を最小にする生産・輸送計画を決定す る問題を定式化する.さらに,工場の生産量や製品供給 量の満足度を考慮したファジィ生産・輸送計画問題を考 察する.最後に,複数の拠点が協調して作成した生産・ 輸送計画による利益やコストの分配問題に対して,協力 ゲームの解に基づく分配計画を与える. Tlm mmmin∑∑cた鶴+∑∑桐刑
た=1た1 i=1j=1,≠i (1a) s.t.ェたi≦鳥i,た=1,…,m;盲=1,…,m (1b) m∬た‘≧∑y叛,
J=1,≠i た=1,…,明電,J=1,・‥,m m m∬たi−∑粧+∑捗≧5拓
j=1,≠i J=1,≠i た=1,…,m;3,J=1,…,m O≦∬たi∈Z,0≦師直∈Z, た=1,‥りれ;も,J=1,…,m Tl∑軌≦肌‘j,盲,j=1,…,m
た=1 ▼l叫叫−1)+1≦∑粧,
た=1 亀,J=1,…,m O≦叫∈Z,宜,J=1,…,m (1c) (1d) 2.生産・輸送計画 2.1 定式化 本論文では建材メーカにおける実際の生産・輸送問題 を取り上げる.全国で複数の拠点があり,各拠点では複 数種類の製品の生産と販売が同時に行われ,需要に満た ない製品は他の拠点から輸送されるものとする.問題の 定式化において,次の記号が用いられる. 定数 gたi:拠点豆での製品αたの需要. fl‘:拠点豆での製品αたの生産能力. qH:拠点盲での製品αたの単位生産コスト. 毎‥拠点豆からjへ輸送する1製品当たりの輸送 コスト.ただし,すべての製品に対して同一の輸送 コストを仮定する. 決定変数目的関数(1a)は生産コストと輸送コストの総和であり,
制約式(1b)は,拠点豆での製品αたの生産量はその拠
点の生産能力fliより小さいか等しいことを表し,制約式(1c)は,拠点宜での製品恥の生産量はその拠点か
ら送り出す総輸送量以上であることを表し,制約式(1d)
は,拠点盲での製品恥の供給量は需要量5たiより大
きいか等しいことを表し,制約式(1e)は,拠点盲での 製品αたの生産量および拠点宜からjへの製品αたの輸送量は非負の整数であることを表しており,Zは整数の
集合を表す.制約(1f)は各拠点間の製品の総輸送量は
トラック叫台での輸送可能量以下という制約で,制約 (1g)は各拠点間の製品の総輸送量はトラック(叫−1) 台での輸送可能量以上という制約であり,制約(1h)は トラックの台数に対する非負整数制約である.このように定式化された問題からは,生産能力の上限
で生産し,需要予測に一致した製品の供給を行い,その
∬た‘:拠点盲での製品恥の生産量. 裾:拠点宜からブへの製品αたの輸送量. 叫:拠点豆からjへ輸送する容量〟のトラック の台数 −194− © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.ような状況の下で総コストが最小化された解が与えら れる. る[4,2】・ 各拠点を協力ゲームにおけるプレイヤーとし,その集 合を〃=(1,.‥,m)とする・Ⅳの部分集合βを提携 と呼ぶ・このとき,各提携gの値γ(g)は問題(1)に対 して,目的関数を5に属する拠点のみのコストの総和と し,制約式に関してもぶに属する拠点のみの制約とし た問題の最適解から計算される.得られた最適解に従っ て,各製品は各拠点で生産され,拠点間で輸送されると する.各拠点では,需要量だけ製品が供給され,それら の製品は当該拠点の生産コストと他の拠点から輸送され た製品のコストを考慮した価格で販売されるとする. また,ある提携βに関して,βに関する問題は実行 不可能となる場合があり,単にその間題の最適値,すな わちコストをv(β)にすると,需要を満足できない提携 に対するペナルティーを考慮できない.そのため,需要 に満たない製品に対して,機会損失が生じるとして利益 から差し引き,各提携の合計の利益を計算する.その利 益から正規化された利得を計算し,提携βの値u(5)と し,ゲーム(Ⅳ,γ)を考える・協力ゲームの解である仁 【6】を適用し,全体提携Ⅳに対する問題の最適解から計 算される利益を各拠点に分配する.仁は必ず存在し,唯 一に定まるという望ましい性質をもっているので,本問 題における分配計画の良い候補となると考えられる[3】・ 全国の複数の拠点間の協力に基づく生産・輸送計画 によって生じる利益およびコストが,上述の協力ゲーム (Ⅳ,γ)とその解の概念である仁を適用することによって 各拠点に分配される. 参考文献 【1】R.E.BellmanandL・A・Zadeh,“Decisionmakingina fu2:Zyenvironment,”Mana9ementScience,VOl・17,Pp・ 209−215,1970. 【2】Ⅰ.Curiel,Cooper8軌e Gαme耶IeOryαれdAppg盲cα如れβ, Kl11WerAcademicPublishers,Dordrecht,1997・ 【3]M・Maschler,“T中ebargainingset,kernelandnucleo− lus,”in:R.JAumannandS・HartEds・,Handbookqf Gamemeory,VOl・1,Ch・18,pp・59ト667,EIsevierSci− encePublishers,1992. 【4】G・Owen,“Onthecoreoflinear productiongames,” 〟α兢emαま血JPmタrαmm亀mg,VOl.9,pp.358−370,1975・ 【5】M.Sakawa,凡zzy geねα乃d九ferαC抽e肌J扇0わec血e Optimization,Plen11mPress,NewYbrk,1993・ 【6]D.Schmeidler,“Then11Cleolusofacharacteristicfunc−
tion game,け SLAMJournalon Applied Mathematicsl VOl.17,pp.1163−1170,1969・ 【7】H.−].Zimmermann,Fbzzyprogrammingandlinearpro− grammlngWithseveralobjectivefunctions,凡zzySets α乃d∫y∫£e〝古β,VOltl,pp・45−55,1978・ 3.ファジィ生産・輸送計画 現実に起こる生産・輸送問題では,とくに需要や生産 能力の数値は予測,あるいは設備設計時に計画した値が 用いられ,使用できる数値が必ずしも適切でない場合が ある.そのようなときには特定の数値を用いて定式化す るよりも,目的関数や制約式の満足の度合いを考慮した ファジィ目標やファジィ制約を導入した定式化や,パラ メータのあいまい性を考慮するためにファジィパラメー タを含む定式化が有効になると考えられる.本節では, 生産・輸送計画問題において,生産量や製品供給の満足 度を考慮してファジィ目標やファジィ制約を導入した定 式化を行う. 各拠点での需要は士β(100β%)の変動があり,生 産能力に関しては最大の生産能力に対して実際には 一夕(10qp%)まで変動する可能性があるとする・目的 関数値である総コストに対しては,過去の経験から目標 値zoと許容幅dヱを決めるものとする. 前節で考察した複数製品をトラックで輸送するとして 定式化した問題(1)に対して,需要と生産能力が含まれ ている制約条件式と,目的関数に対して,ファジィ目標 を導入し,メンバシップ関数の重み付け和が採用された Be11manandZadeh[1】による凸ファジィ決定に従うこ とによってファジィ生産・輸送計画問題を定式化する. ファジィ生産・輸送計画では,各拠点での生産能力に 対して余裕をもたせ,需要予測より多めの製品供給がな された上で,総コストを最小化する解が示される. 4.協力ゲームによる利益およぴコストの分配 これまでの節では,生産と輸送のコストを最小にする 生産・輸送計画,あるいは生産量や製品供給の満足度を 考慮した上でのコスト最小化による生産・輸送計画を考 察してきた.このことは,各拠点間の協調を基礎として 生産・輸送計画が決定されることを意味する.しかし, 各拠点に独立性の高い事業部があると考えると合理的 なコストあるいは利益の分配が保証されなければ,その ような協調を維持することは困難になる.そこで,本節 では複数の拠点で協調して生産と輸送のコストを最小に する生産・輸送計画を最適化の手法によって立案した結 果,その計画に基づいて予想される利益やコストを協力 ゲームの考えを利用して各拠点に分配する問題を考察す −195− © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.