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都市化と気管支喘息

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Academic year: 2021

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88 (第一内科)○片山 道夫・滝沢 敬夫 要旨:近代産業の発達に伴い種々の呼吸器疾患の増 加が指摘されている.一方近年本邦においては,呼吸 細気管支に病変の主恩をおくび野性汎細気管支炎が注 目を集めている. 本症では中枢部気道にも病変を伴うことが指摘され ており,更に本症の特徴像である末槍気道病変の成立 機序については明らかでない.私共は今回主たる公害 物質であるNOxをラットに曝露させ,中枢並びに末 梢気道病変を比較検討することにより,末梢気道病変 の成立機序を解明することを目的に実験を施行した. 対象と方法:8周齢の雄ラット20匹を用い10匹を実 験群,10匹を対照群とし実験則は容積500」のNO2曝露

チャンバー内で濃度50ppmのNO2に1日5時間,1

日間(5匹)及び3日間(5匹)曝露し,その葉気管 支と終末,呼吸細気管支を,光顕並びに走査型電顕を 用いて観察を行なった.対照群ではNO2のかわりに空 気内で同じ時間曝露を施行し同様に観察した.光顕観 察では,各気道において再現性の高い2∼4個口評価 基準を採択し病変の程度に応じ0∼3点の4段階のス コアを設定し,それらの総和をCosioらの提唱する Total Pathologic Score(TPS)として表現した. 結果:終末細気管支,呼吸細気管支の末梢気道では 曝露時間が増加するに従い病変の程度は高度になり, TPSも増加した.これに対し葉気管支レベルの中枢部 気道では1日曝露群に比して3日曝露群で病変の程度 は却って弱く,TPSも対照群に近く,走査型電顕にお ける評価でも同様の結果を示した. 考察:NO2刺激により末梢気道ではその傷害が蓄 積傾向を示すのに対し中枢部気道は刺激に対する抵抗 性を容易に獲得することがうかがわれた.この様に刺 激に対する反応態度が各気道レベルで相異することは 気道病態の成り立ち,進展を考える上にも極めて重要 と考える. 〔総 説〕 13.都市化と気管支喘息 (第1衛生)香川 順 疫学的にみると気管支喘息の有病率と都市化との間 に関連がみられるが,都市化を構成するどの様な因子 が気管支喘息の有病率に関与しているかについてはよ く分っていない.ところで都市化の構成要因の一つで ある大気汚染も気管支喘息の自然史に関与していると 考えられるが,現在のところどの様なことが調べられ ているかについて総説を試みたい. 1.疫学的研究 気管支喘息の動向 文部省の学校保健統計調査報告書をもとに分析して みると,1)全国平均では42年に比し,58年には,幼稚 園児では男が1.5倍,女が3.4倍,小学校学童では男が 2.2倍,女が2.6倍,中学校生徒では男が3.8倍,女が42 倍,高等学校生徒では男が1.1倍,女が2.9倍と増加. 2)都道府県別にみると東京周辺,大阪周辺,広島,福 岡での増加が顕著.3)年齢別にみると,42年頃には, 年齢の増加にともない被患率の低下がみられていたの が,年度を重ねるにつれ11歳頃まで低下がみられなく なり,小学校時代での寛解がみられなくなってきたこ と,などが判明した. また最近環境庁がATS・DLD質問票で行なった調 査結果でも類似の傾向が観察され,学童の喘息様症状 の有症率と大気汚染度,特に二酸化窒素濃度との間に 有意な相関が示されている. II.実験的研究 主要大気汚染物質であるオゾン,二酸化窒素,二酸 化硫黄,浮遊粒子状物質について,動物および人への 実験的負荷研究が気道反応性および感染抵抗性への影 響を中心に調べられているが,これらの知見をもとに .と記の疫学調査結果が,気管支喘息の病因と照らし合 せて考察した時どの程度説明可能なのかについて考察 を試みてみると,大気汚染物質は気管支喘息の増悪因 子としては十分考えられるが,発症因子としての可能 性は現在の知識では何とも言えないのが現状である. 448一

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