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電気聴覚の成因に関する研究

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2.E (女子讐學研究。第19馨r第1.2號頁29−34昭和24年9・月)

電氣聴感の成因に漏する研究

東京女子轡學專門學校生理學教室(圭任冨田教授)

フh

イシ

アヤ (受付、昭和23年3月6日)

亭流電流に依広聴毘を起し得ることに就ては既 に Volta(1800)の古くから知られている。又交 流刺戟による研究も欧米謙尋者,例へばJellinek

& Scheiberfi), SchLwenke(2>, Michelson(3), Gersuni&. Volokhov(4), Stevens(5)等に依って 行はれて來たQ三等の研究結果から何れも三三刺 戟に因って耳の何虚かに:振動が起ると考今,曲の 様な二二三二憂性の場所としては:殆んど專ら内耳 が考へられていた。共後Stevens&Davis(6)は 更に:考察を進めて,内耳のCorti氏器官が所謂 ピrpゾ効果を示し,其の爲に晋山刺戟に因ってぱ 乱作電流以外の電氣現象,所謂マ■ク・フォン効 果を呈し,叉逆に電氣回忌に因っては機械的振勧 を起して雛斑を嚢現するのであらうと主張してい るQ 我國に於いても佐藤⑦は之に蘭する詳細な研究 の結果,同じく電氣=斎響攣成の場所が内耳特に:蝸 牛殼或ぴは其の入口であらうと結論している。然 るに最近Stevens&Jones’(8,は種々¢)實験の結 果,電氣書響攣成の場所としては,内耳よりも寧 ろ中耳を考慮するのが安當癒あるといふ見解を獲. 表している。此の見解は℃rae豆k, Rawdon− Smlth&Sturdy(9)の交流刺戟は倍音を感じさ せるが,孚波整流を行ふか交流に直流を重齢すれ ば基言のみが淺るといふ研究から出獲したもので あっセ,鼓膜と四壁とが1個の蓄電器を構成して 之が静電的籏盤器の如く働絶するのであるとし た。然るに渡邊,中村及び林(1。)は耳疾患なき健 康者,中耳性難聴者及び内耳性難聴者に就いて電 氣聴畳を槍し,.之をAudiometerに依る聴力三 下成績と比較槍強した結果からStevens&∫on− esの詮に,左祖出來る事例を見出し得なかったこ とを報告しているg著者も亦之に關する研究を行 って幾らかの薪知見を得たのでi舷に報告せんとす る弐第である。

實四方彊逓びに成績

D從來の方法に依る電i氣聴毘細面

被槍耳を上に向ける様に頭を傾けて外姑道に約 1%の憂患水を充たし,之に細い銅線を纒面した 「マッチ」軸を脱脂綿で巻いて挿入し,之を刺戟 電極としたψ別に食盤水に浸した綿布を巻付けた 金属板を手に握って無關電極としたQ刺戟用交流 、としては50 ・)15000 cycle/sec蓮績可攣の稔周波

第 1圖

含∴…検叢計

v梱藻堅管電捷封

機振器を使用して之を第1圖の如き配線によって 電極へ導いた。其の嚢振周波数は維えすブラウン 管オッシログラフに抜って監硯し補正を加へた。 被検者12名申,聴畳域が極めて荻く直ちに痛み を訴へる者があり,又可総閾1葭電訓が絶えず攣動 一一’一一@2{ 一

(2)

して其の訴へに信用の藷けない者もあった。先づ 可聴閾直電墜を刺戟交流電朧實効値を三って乱し

た1例を第1表及び第2圃に示す。之は直流電康

E−OV 即ち直流を重三しなv・場合であって, 1500cycles/sec附近で聴篭感度は最高を示し, 其の爾側では低下し最低部即ち200 cycles!secで は聴畳と同時に痛みを訴へる様になるQ又高晋部 では3000 cycles/sec迄感度は一一旦急激に低下し た後,:再び才度の昇降を示し,1000cycles/secを 超えると更に急激な感度の低下を示している。此 め際皮膚面に於ける分極其の他に依る直流電流の

介入を避ける爲,第1圖に示した如く4Voltの

蓄電池を回路中に挿入して,ポテンショPt “一 4 一一 に依墨流検流計の指度を完杢に零に保つ様に調

整しだのであった。数に刺戟電極側に+2V叉

第 1表

は一一 2Vの直流電1肇を交流刺戟に重盛して交流 の可聴野饗電堅を選べた虚,この揚合には直流の 方向には關係なく著明な感度上昇が認められた。 且つ曲線は大盤に於いて直流を加へなV・場合と同 ’e傾向を示した(第1表及び第2圖の直流電厘

E=2V参照)。陣痛溝橋は直流を重賦してもし

なくても略々 一一定(2∼3V)である。蝕に於て興

周波数

200 300 400 500 600 ・ 700 800 geo 1000 工250 1500 1750 2000 2500 3000 3500’ 4000 4500 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11COO 聴箆 閾 (V) 直流電塵OC直流電躍’2V 痛畳閾(V)

エ.17 i1.15 2βO

l O。67 0。56 2.48 0。60 0。19 2。60 0e44 ・ Og19 2。70

0.31 …0.087 2.70

。β・1・e23

0。40 1 0。26 2密7〔}

0.30.iO.25

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第 2圖

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2V迄又は其の逆の方向に憂化すると,OVの

近1,C於て著明な倍旧を聴くといふことであって

に期しては既にCraeik等が指適している所で

るが,更に刺戟周波藪と感議する晋の高さとの 係に就いては第3圃の如き装置を用ひて2,3, 實験を試みた。即ち電氣聴畳に召する劇戟装置 前述のものと全く同一であるが別に第2の稔周 畿振器を用ぴて受話器を凶作させ其の振動を骨 導に依って同時に耳へ導いた。.叉ブラウン管オ .一 30 一thndi

(3)

31, 第13 圖

In一一i@TT一’一〇”

貌騰輪

ツシログラフの時間軸同期回路に第2護振器の交 流を加べるととに依って爾酸振器周波敷の異同を 監話し得る様にした。斯くして雨垂振器を同時に 操作させ・一一方は電氣刺戟による書を,他方は振動 晋を同時に洞一盛槍者に聴かせると,爾身振器の 周波数が完全に一致した時ICは完全な融合を生じ 叉血振器の周波数が僅少な差を生じた時には其の 差に相面する直音を聴取した。之に依って電氣聴 畳による音の高さが完全に刺戟周波数に依存する ことは音刺戟に叱る場合と全く同様であることを 確め得た。 家に同一装置(第3圖)を用ぴて所謂 best− beat の方法によつ七倍喬の感壷金度を亡した。 i)est−bea.tの方法とは恰りを生じている2書の強 度が等しい時に最も導く捻を聞くといふ事實から 被検者に第2晋を重油し,且つ第2音の周波激並 びに彊度を磁化して捻の最強口占を求め,底面宵中 に於ける各部分点の感豊彊度を求め様とするもの

である・本實験に於ては第2説して用ぴ㍗髄

導の周波藪特性が明かでないために定量的成果は 得られなかったが,三三聴箆に於ては相差弼度の 第2調和倍音を聞くこと,、而も刺戟交流に直流電 罐を重爵しない場合の方が飴計に尽く之を聞くこ とカミ知られた⊂、 II)絶縁小極板を用ひた電氣聴骨實験 第1實験により得た威績から電氣晋響攣成を灘 三三引力に:よるものとするstevens等の説ξ矛 盾する結果は認められない。然しsteves等の詮 が正しいと椴定すれば外弓道叉は其の附近に絶縁 した小極板置いて一極となし,別に無關電極を手 に握芝之に充分強大な交流電訓を與へたとしても 同様鼓膜と小極板の聞の静電的引力に依って糖畳 を起し得る筈であると考へて次の如き方法で實験

を開始した絶縁小極板としては直径約8mm長さ

約8rnmの丁丁管の一端を金驕圓板で閉ぢ,之を エンパ■ヤ・一チユ・V一ブ内に固定したものを用ひ た。之の閉塞端を内側にして第4圃の如く外聴道 筆硯に挿入して電極とした。無關電極は前述のも

〈C

x5

第 4 圖 斜月桑 のと同じであるQ.斯くして可鋸閾値面面を戯した 結;果は第2表及び第5,第6圃中に直流電屡E篇

OVを以って示した如くセあって,感度は第1實

験即ち外聴道に食給水を入れた場合に比して著し

く劣るが刺戟三厩1⑪乃至20Vに於ては曲線は

400∼600cycles/sec附近に於て著明な谷を示して いるQ即ち400(・600cycles附近に於て聴箆感度 が優れていることを示している。次に刺戟電極に

100Vの直流電工を重豊して同様の實験を試み

たe其a)成績は第2表及こド第5,第6隔日中,直流 電堅E ・一 ZOOVを以つで示してある部分である◎ 本威績に於て聴畳感度は著しく良好となると共に 曲線の谷は 1000 cyclcs!sec附近及び 7000 cycles/sec附近佐耳に於一。・lt.k 3500 cycles/sec 附近)に著明である、,’ ウ牢固直流電塵の極性の攣 化が曲線に及ぼす影響は殆んど認め得なかつ旗L,

考察遊びにiZI)電氣吾響攣威の,

機序姦決定する諸欝読

響づ從來の方法に依る諸難聴に似て刺戟周波轍 と電氣聴講によるtttの高さとの驕係が昔刺戟の場

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劇戟周誠教一._

第 2 表 1 周波数 200 300 400 500 600 700 800 9.00 1000 1250 1500 1750 2000 2500 3000 3500 (J左)聴寛閾(V) 直流電塵・1直流電蟹

ov 71 looV

30.3 18.6 12。魂 10.4 8.5 13.2 14.2 19.5 21.6 24.5 27.2 2503 26.8,’ 38.0 21.8 、2ユ。2 12eO 2.9 ” le55 0.85 0.68 0.35 0.25 0.18 0.18 0.18 0.36 0.57 1a68 1.60 0.80 0.48 (右)聴箆閾(V) 直流電露 直流電墜

OV 1 100V

20 13 8.6 808 9.4 ’ 10.2 14.1 16 22 29 42 34 26 22 17 20 3el ユ。85 0.95 0.32. e.29 0.25 0.11 0.08 e.11 0.19 0.28 0.63 0.94 2.28 2.67 1e67 4000 4500 ’ 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 20.6 20.5 35.5 ’57e3 O.87 ユ。87 1.57 1.00 0.62 0.60 ユ。00 1.62 7.00 14 20 44 43 ・ 51 O.86 0e72 0.63 0.34 ’ O.30 0.42 0.92 1.00 1.70 合と全く同様であるととが分つた。若し電氣刺戟 が直接内耳に作用して鍵神経を刺戟するものであ ると假定すれば書の高さの感1箆が斯様に嚴密に普 刺戟に‡るものと一致するといふ事實の理解に苦 しむのであつて,上記の實瞼威績から電氣聰畳に 關係する現象は少くとも聴紳経に入る前に行われ ゐものと推定することが出來るQ叉實験成績から 老へると第2調和倍音を聴くといふ事實は聴畳器 の機構中何戯・が蓄電器を形成して,其の爾極板 一一一一一@32. 一

(5)

33 1用に静電墜が加はるものとすれば電氣晋響動成の 機構は一悠詮面出i騰るし,Stevens & Jonesの主 張の論櫨が有ると認められる。故にこの假定の下 に第2實験を行ったのである参,外聴道に食盤水 を醸して行った第1實験に於て直流の重聾がなけ れば著明に第2倍晋を聴くといふごとは絶縁小極 板を使用した場合も細く同檬であったJ直流電堅。

を10qvか、らOVにする時は完全に1オクターブ

だけ音階が上昇した様に感じるが,直流電罐の重 豊のなV・時,例へばNcycles/secの交流刺戟を

用ひた出合の閾随曲線が2Ncycles/secの昔に

興する閾値曲線であることは,第5,第6圖の

E=0マの曲線を周波敷2倍の位置まで移動して・ .(破線を以て示す)100Vの直流電堅を重軽し)iz 場合の曲線と比較すると谷の位置が極めてよく合 致することが明らかである。一絶縁小極板を用ひる と以上の如くなるが,外蕪道に食甚水を注入した 揚餅に於ける重爵電堅の有無が曲線の示す傾向に 著明な相違を齎らさない事實(第2圃参照)は, 寧ろ痛畳閾値の低い爲に充分な直流電堅を加へ得 なかった所に原因を求むべきであらう。要するに

第1實験成績と第II實験成績とは質的には同し

であるとみることが出來る。 以上の如き考察の結果から一慮は絶縁小極板と 鼓膜との闇の静電的引力が覆面聴畳の原因と』も考 へられるのであるが,實強剛に相遇した次の事柄 即ち,1)絶縁電極を饒り密に外聴道に挿入する よりも少し緩やかに:挿入した:方が聞こえが良V・こ 『と,2)電極め維縁度が陰り完全でない方が完全 な場合より妻徳こえが良い。挿入電極を絶縁するに 用ひたエンパイヤーチx・・一ブに塗るニスが充分乾 燥して縄髄帆が高まった場合,或は電極の構造を 攣へて硝子の尖端を球歌に閉ぢ之に水銀を入れて 電極とした寄合の如く絶縁度を高めると反って聴 こえが悪くなる。雄馬の事實から寧ろ電極附近に 於て何等かの原因で振動が生じ之によって撫付が 機現するのではないかとの疑ぴが生じたので次の 如き諸實験を行って,この鮎を槍糊してみた。 1)縄縁懸極板を外聴道に挿入しないで外聴道 に近い皮膚面に接腸させてみる。此の揚合もやば b晋感箆を生じた。2)絶縁小極板を外聴道に挿、 入するか又は皮膚画に接燭させておき其の近くに 第3者の耳を近づけると欝が聴こえる。3)身罷 任意の皮膚面例ぺば揖指と示指との聞に極板を旧 く忌んで之を耳へ近づけるとやは砂替が聞こえ る。4)極板の絶縁禮としてゴム,.セルロイドを 用ひた揚言も前記の場合と同様で且何れの場合も 極板と皮膚面との接燭がない限り昔は一こえな い。5)前記の硝子電極を用ぴた實験では直流予 兆を重聾しても,叉軍なる交流刺戟だけを用ぴて も其の感度の上に著しい攣化㌃見なかった。6) 硝子電極の外面を食盤水其他の電解質で漁潤させ そ)と,昔ヵミ非常1に一級弱とな;るカ、又.は全く溝失す るQ之に反し流動パラフィン等の絶縁性物質で漁 .潤させた時は,丁丁感度に著明な攣化は認められ なV・6以上の諸事實から,絶縁電極を挿入した場 合の三七蕪畳が電極下部の皮膚面の振動にあるこ とは疑ひの飴地がない。然.し之が皮膚と電極との 間の箪なる静電的引力に因るものであるとすれば 二二聴畳の彊さは,電極と皮膚面との有効面積に 開係するとしても電極と皮膚面との接隅如何は里 門係の筈である。斯くして第∬實験による電i氣

蕪二二現の機序として∫ohnsen−Rahbeck効果

一による電氣音響二二を確定畳なものと見るに至っ た。Johnsen−R碑hbeck効果とは導膿と牛導禮と の間に三三を加へると,其の闘に彊い吸引力が現 われるといふ現象であって,やはり 一一種の静電的 な力により生起する所のものである。 この考へを上記丁半に當嵌めれば二二と見平し 得る皮膚と,不完全絶縁艦であるため孚導艘であ る電極絶縁罷との闇に吸引力が働き,其の振動的

二化が音を襲するのであると考へることが出下

る。三二1實験に於ける如く外聴道に食二水を充 した丁合の三無音響即成機序が第11實験(?二合 と同様であるか否かは今後の研究に侯つものであ

るが,著者の研究によってSfevens&Jonesの

結論する所以外に電氣聴二二現ゐ機序として更に 別の可能性を附加し得た次第である。

1)電i氣聴麹:を生起させる電氣二言i響攣成の揚所 一一

R3一

(6)

を從來考へられていた様な内耳性のものとするこ とは誤りと思はれる。 2)鼓膜と岬壁との間の翻電的効果に因るもの であるとするStevens&;Jonesの主張は一慮首 肯せられる可き根擦が見出されるQ 3)然し更に著者の研究によって外聴道の皮膚・ 面が電氣音響達成の場所となり得るとの可能性が 提示せられた。 欄貸すろ1こ當り絡女台御懇篤なる御指導並1C∫et:御校 閲抽三つれ恩師冨田敏授に心から7Sる感謝祉捧げる ものであるQ 文 献

1) Jelinek & Sek.eiber : Winer 1〈一L Wschr.

43。ユ930

2) Schwencke : Umschau. 35. 1931 3)Mfch elson :Umschau.35.工931

4) Gersuni&Volokhov ; J. physiol. 89. 1637

5)Stevens:J. Acous. Soc。 A血er。’8。1937

6) Stevens & Davis : Hearing. New York.

John Wiley & Sons 1938

7)佐藤:「大日本耳鼻 46。昭和15

.8) Stevens & Johes:」. Acous. Soc. Amer.

ユ0。 1939∼40

9) Craeik. Rawdon−Smith & Sturdy :

J. physiol. 90. 1637 10)波邊●中寄ホ及林:慶雁ミ旧事’22. 昭和 =17

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