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ドイツ連邦憲法裁判所論(6) 利用統計を見る

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(1)

ドイツ連邦憲法裁判所論(6)

著者名(日)

クラウス,シュライヒ[著]/名雪,健二[訳]

雑誌名

東洋法学

38

1

ページ

309-342

発行年

1994-09-10

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000547/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

[翻 訳]

ドイッ連邦憲法裁判所論

︵六︶

クラウス・

名  雪

シュライヒ著

健  二訳

C

憲法訴願の受理︵連邦憲法裁判所法第九三a条︶ 目  次 一 裁判所事務局によるコ般記録簿﹂での登録 二 裁判官委員会による受理の拒否︵連邦憲法裁判所法第九三a条第一一項・第三項︶ 三 部会による受理︵連邦憲法裁判所法第九三a条第四項︶ 四 受理手続の評価  e 不受理決定”本案決定ではない  ⇔ 連邦憲法裁判所法第九三a条第三項と第四項の関係  口 憲法訴願の二重機能。個別的権利保護の保障と憲法の維持  四 基準となる観点一連邦憲法裁判所の憲法上根本的な問題への集中 東 洋 法 学 三〇九

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ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶ 三一〇  憲法訴願は、決定のために明示的な受理を必要とする︵ボン基本法第九四条第二項第二段との関係で、連邦憲法裁判所法 第九三a条第一項︶。他の手続規定にも、この形態がある。例えば、一九七五年現在の民事訴訟法第五五四b条により、 上告裁判所は、﹁法律事件が基本的な意義を有しない場合に、上告の受理を拒否する﹂ことができる。  ここで、はっきりとしなければならないのは、この叙述の目次と違って、受理手続が適格性の審査に先行するということであ る。憲法訴願の適格性の有無は、受理手続の中である程度の役割を演じうるが、憲法訴願の受理能力は適格要件の一部ではな い。        パ   連邦憲法裁判所法第九三a条による受理手続ーまたはより具象的には、﹁憲法訴願の選択﹂、﹁憲法訴願手続におけ          ハ       ハ  る訴えの方法への障害﹂の設立、﹁關門制度﹂ーは、その役割をうまく全うしてはいない。この﹁連邦憲法裁判所の        洪水に対する安全弁﹂は、当該憲法裁判所による取り扱いが不可解であり、かつ恣意的である。それは、個々の当事        者の観点からは富籔での賭に似ている。そして、受理手続の規則は、憲法訴願の本質と任務および連邦憲法裁判所と その他の裁判所との関係を非常に異論のある仕方でのみ規定する。  以上のような論証の現代性を過大評価してはならない。すでに、へーベルリンは、一八世紀の末に帝室裁判所に関して、その 裁判所から最終判決をうることが﹁富籔の三組﹂の当たりに等しいといっている。ヴァイマール時代には、﹁ライヒ国事裁判所        での大混雑﹂という大見だしが新聞にあった。  受理手続に関する議論は、かなり複雑になった。この手続は、一九五六年に初めて連邦憲法裁判所法に導入された。 以前には、連邦憲法裁判所法第二四条が、それに相応する選択機能を果たした。一九五六年以来、受理手続には、さ

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         ︵鋤︶ まざまな変化があった。 しかしながら、今日の議論には、いまだ以前の段階の響きがまざっている。

一 裁判所事務局による﹁一般記録簿﹂でのみの登録

 憲法訴願が届けられたときは、一九七八年現在の連邦憲法裁判所規則第五九条第二a項、第六〇条第一項および第二項によっ て、憲法訴願が不適格で、または明らかに見込がない場合、まず部会の手続記録簿にではなくて、﹁一般記録簿﹂にのみ登録さ れる。連邦憲法裁判所の部会参事官、つまり、裁判官の資格をもった裁判官ではない公務員︵連邦憲法裁判所規則第一二条第一項︶        ︵鰯︶ が、それについて判定する。その公務員は、﹁教示書﹂をもって、その見解を訴願人に通知する。訴願人は、この法的側面に関 する教示に基づいて、みずからが裁判官の決定を求めるかどうかをある期間内にもう一度陳述することができるし、しなければ ならない。訴願人がその決定を求めるならば、その憲法訴願は、受理された手続となり、手続記録簿にも記載され、そうでなけ れば、それは処理されたものとみなされる。  連邦憲法裁判所規則によるこの予備手続は、当該規則の文言︵﹁決定﹂︶および教示書の実際上の効果にも拘わらず、裁判官で        はない公務員による予備決定として資格づけられるべきではない。そうでなければ、それは、確かに憲法違反である。その予備       ︵珊︶ 決定は、﹁法的側面を熟知した上で、訴願人をして手続の継続を自己の責任で再考させる法的事情への提示﹂として資格づけら れるべきである。しかしながら、訴願人が教示に基づいて、その﹁自己の責任﹂を実際にも果たしうるように、二人の部会参事         官が年に何千件にも昇る憲法訴願において、いかに正しい教示を与えることができるかという問題が残る。多くの訴願人が、裁 判所事務局による教示書を裁判所の最終的な決定と考えるのではなかろうかという問題も、未解決である。 東 洋 法 学 三一

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ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶ 三一二 二 裁判官委員会による受理の拒否︵連邦憲法裁判所法第九三a条第二項・第三項︶  一年度ごとに、その都度任用される三名の裁判官からなる委員会−各部会にはいくつかのこのような委員会が存 在するがーは、﹁憲法訴願が不適格であり、または他の理由から成功の見込が十分でない場合﹂︵連邦憲法裁判所法第 九三a条第三項︶に、﹁予備審査﹂︵連邦憲法裁判所法第九三a条第二項︶の範囲内で、三名の同意決定により憲法訴願の 受理を拒否しうる。裁判官委員会の決定については上告しえないゆえに、形式的に確定力がある。憲法訴願のおよそ 九七パーセントが、これらの﹁三人委員会﹂によって処理される。三六件の憲法訴願のうちの一つだけが、部会にも     へ  たらされる。これらの委員会の決定は、理由づけられる必要はない︵連邦憲法裁判所法第九三a条第五項︶。たまにしか        パ  行われないこの不受理決定の判例集での公表については、部会が決定する︵連邦憲法裁判所規則第一一コ条第二項︶。これ        らの決定は、むしろ法律雑誌に掲載される。  前述の数字は、司法的保障の観点の下で、裁判官委員会手続の重要性を証明する。その結果、とくに実際面から多       ハ  く批判されている裁判官の決定の質に関して十分な公表を欠いているため、判断しがたい。 三 部会による受理︵連邦憲法裁判所法第九三a条第四項︶  委員会が受理を拒否しなかったとき、部会は、その受理に関して決定しなければならない。部会は、憲法訴願が憲 法上の問題の解明︵客観的重要性︶に期待をもたせることができ、または訴願人にその決定の拒否によって重大な、か

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つ避けることのできない不利益︵主観的重要性︶が生ずる場合に、これを受理する。二名の裁判官が受理に賛成するこ とで十分である︵連邦憲法裁判所法第九三a条第四項︶。  そこで、連邦憲法裁判所は、常設裁判、または同じような事件において、すでに決定がある場合に、決定を拒否す る。これらの場合には、憲法訴願がこの裁判により根拠があったかどうかは、未解決のままである。しかしながら、        連邦憲法裁判所は、訴願人に重大な不利益が生ずる場合に、その事件を決定する。それゆえに、憲法訴願の受理は、 客観的、かつ主観的重要性を欠いたため、些細な事件において拒否されうる。そこで、時折、明らかに理由のある憲       パ  法訴願も、不受理となる。  連邦憲法裁判所は、まず四〇マルタに達せず、また、交通違反登録簿に登録されていない交通の秩序違反による罰金を連邦憲 法裁判所法第九三a条第四項の意味における軽微な不利益とみなした。一九八二年の道路交通法の改正により、罰金の金額が 八○マルクに上げられた。それでも、連邦憲法裁判所は、  相変わらず、違反登録簿の登録なしに  そのことについても、        重大な不利益とみなしていない。  受理の拒否は、理由づけを必要としない︵連邦憲法裁判所法第九三a条第五項︶。しかしながら、その決定は、たびた び理由づけられ、時折公表もされる。  普通、憲法訴願の受理は、その後で下される憲法訴願の決定においては明記されるわけではない。それでも、例え        ば、﹁二名の裁判官が⋮⋮見解である﹂という言い方をもって明記した場合、裁判官の多数が、受理させた二名の裁判 官の見解とは係わりのないことを表明するつもりであったかどうか頭を悩ますことになる。 東 洋 法 学 三一三

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ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶ 三一四

四 受理手続の評価

 e 不受理決定H本案決定ではない  連邦憲法裁判所法第九三a条による受理手続について引き続いて行われている議論も、裁判官委員会の使用の実際 も、明解な、かつ重要な出発点を忘れさせた。すなわち、  憲法訴願の受理の拒否に関する決定は、事件の決定を意味するわけではない。  確かに、最初の印象は、逆である。つまり、受理に関する決定の基準である連邦憲法裁判所法第九三a条第三項︵不 適格性と成功への十分な見込︶は、本案決定にとっても重要となる基準である。また、裁判官委員会の決定は、個別的事 件にとって、部会の本案決定におよぶ調停機能を有しうる。というのは、理由づけにおいて、しばしば事件について 論及されるわけであるからである。一定の問題に対する一連の︵公表された︶裁判官委員会の決定は、実際には、部会 決定とほぼ同じように憲法上の問題の解決をもたらしうる。他の裁判所も、それに準拠するはずである。            それでもやはり、憲法訴願の不受理の場合、憲法訴願が未決定のままであるという法律学上の出発点が、主張され るべきである。部会の単なる委員会が全くの略式の、かつ大雑把な手続において決定するということが受理手続の中 心にあるのではなくて、委員会が部会をして拘束力をもって事件に関して決定せしめることを拒否するということが、 受理手続の中心にある。裁判官委員会の決定は、連邦憲法裁判所法第三一条の意味における実質的な確定力や拘束力     パ  を有しない。その点において、決定は、連邦憲法裁判所法第二四条による却下と異なる。却下は、決定のための憲法

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       ゐ  訴願の受理後、初めて下されうる正式な裁判所の決定である。裁判官委員会は、部会と違って﹁連邦憲法裁判所その もの﹂ではない。裁判官委員会は、この﹁予備審査﹂に関してのみ連邦憲法裁判所である︵連邦憲法裁判所法第九三a 条第二項︶。そうでなければ、裁判官委員会の人事についても問題とされるべきであり、部会において顧慮される同じ ︵政治的︶均衡が要求されるべきであろう。  不受理決定は、その形態において、より明確にこの出発点を配慮すべきである。不受理決定は、簡単に理由づけられる本案決 定と同じようになされるべきではない。連邦憲法裁判所規則第一一二条第二項による判例集におけるその時折の公表が疑義に遭 遇する。判例集の付録の中で、不受理決定にとっては、妥当な場所である。学問や論説は、裁判官委員会の決定をその議論に含        パ  めることを断念すべきである︵しかしながら、このことは、連邦憲法裁判所自体がこれらの決定の理由の中で、重要な事件問題 について意見を述べ、またはその他の決定において[未公表の]裁判官委貝会の決定を引き合いにだすことを断念する場合にの み可能である︶。受理手続をもっと明確な、また、もっと首尾一貫したものにするために、連邦憲法裁判所が不受理決定を理由 づけしない方がいいとさえ提議したいほどである。連邦憲法裁判所法第九三a条第五項第一段により、それは、理由づけを必要 としない。立法者が連邦憲法判所に理由づけを不可能にすべきであるかどうかを、議論すべきである。そうすれば、連邦憲法裁 判所は、事件について何かを述べようとする場合に、本案決定を部会によってなすことを強制させられるようになる。  ⇔ 連邦憲法裁判所法第九三a条第三項と第四項の関係  連邦憲法裁判所法第九三a条第四項に基づく部会による決定受理の機能は、第九三a条第三項に基づく裁判官委員 会による不受理との関係で、議論されている。         シュリンクによると、まず裁判官委員会が第三項により拒否に関して判定するが、受理を拒否しないならば、第四項第一段に 東 洋 法 学 三一五

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三一六 より部会がそれについて、しかも、結局は第三項の基準により新たに判定する。部会が憲法訴願の適格性、または成功の見込に ついて迷うときに、そのとき二名の裁判官が第四項第二段により、事件の客観的、または主観的重要性︵第四項第二段の基準︶を 主張することによって、部会での議論を打ち切ることができ、つまり、予備審査を終了させることができる。それによって、二 名の裁判官が、憲法訴願の部会による決定のための受理を強制する。そうすれば、第九四a条第四項第二段、第九四a条第四項 第一段による不受理に先んずる機能を有することになる。この解釈によれば、第九四a条第四項第二段は、訴願人の本案決定に よる個別的権利保護への機会を強める。  私見によれば、規範の文言は、すでにこの個別的権利保護にたしかに有利な解釈の誘因とはならないと思う。連邦 憲法裁判所法第九三a条は、別なように解釈されるべきである。すなわち、第一項によれば、憲法訴願は、受理を必 要とする。第二項および第三項により、適格性と成功の見込の基準に基づいて拒否となりうる予備審査が、裁判官委 員会に委ねられている。これらの基準による拒否が行われないならば、当然ながら、全部会は、第四項第一段を用い て、もう一度同じ問題に関して決定はしない。部会は、むしろ、憲法訴願が不適格で、または明らかに理由がないと いう︵﹁委員会が受理を拒否しなかったならば⋮⋮﹂︶その委員会の決定を前提にする。それから、部会は、第四項により 別なこと︵﹁⋮−ば、部会は、受理に関して決定する﹂︶、すなわち、部会が憲法訴願1その適格性とその十分な成功への 見込があるという前提の下にーに関して決定したか否かの問題について決定する。そして、この決定に際して、第 九三a条第四項第二段は、客観的、または主観的重要性という二つの基準を提供する。権利保護は、この解釈におい て、より制限的である。すなわち、主観的に重要ではない憲法訴願が客観的にも重要ではない場合に、不受理となり うるのである。しかしながら、権利保護の考えは、この解釈においてもなお、ある程度慎重に配慮される。つまり、

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八名の裁判官のうち二名は、主観的重要性への指摘をもって、その部会をして本案の決定を強制せしめることができ る。外見的に理由のある憲法訴願を不利の程度によらず、主観的に重要と考えることも裁判官の自由である。逆に、 裁判官は明らかに理由はないが、裁判官委員会によって拒否されなかった憲法訴願にも、不利の程度によらず主観的 重要性を否定することができる。  この解釈によると、︵第三項の基準による不受理に関して、部会の新たな決定の意味における︶独自の意味が、第四項第一段にはな い。第四項第一段は、むしろ、第一項の出発点を繰り返すゆえに、第二段との関係においてだけ規則の内容をもち、部会が第四 項により、次のような場合に︵のみ︶憲法訴願を受理するという意味に解釈されるべきである。すなわち、二名の裁判官は、︵不 明確な︶憲法問題の解明が決定によって期待されるべきであり、そうでなければ、訴願人に重大な不利益が迫っているという見 解にある場合にはである。  目 憲法訴願の二重機能”個別的権利保護の保障と憲法の維持  連邦憲法裁判所法第九三a条の解釈は、憲法訴願の機能に関して、基礎的決定がその背後に隠れているので、ある 程度注意するに値する。  連邦憲法裁判所は、右に述べたように、個別的基本権の擁護において尽くすわけではなく、客観的憲法を維持する 機能をも有するという憲法訴願の﹁二重機能﹂を強調した。﹁決疑論的破棄効果﹂と並んで、それは、﹁一般的教育効        果﹂を有する︵ツヴァイゲルト︶。それは、﹁客観的憲法の特殊な法的保護手段﹂を兼ねる。そこで、例えば、連邦憲法 裁判所は、i特殊な状況ではあったがー当該憲法裁判所の機能と憲法訴願の客観的機能を妨げるから、憲法訴願

    東洋法学       

三一七

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三一八         を不適格と宣言したことがある。連邦憲法裁判所は、憲法訴願の二重機能を強調した。すなわち、他方のために一方 を放棄したわけではない。しかしながら、二重機能のこの見解の下で、個別的事件において、結局訴願人にとってわ ずかにすぎない不利益な事件における権利保護機能は、完全に後退することができるし、また、後退しな廿ればなら ないように、この二つの機能との間での衡量もありうる。理由のある憲法訴願も、主観的に重要ではないことにより ︵いわゆる些細な事件︶、不受理となりうるという裁判がそれに基づく。連邦憲法裁判所法第九三a条第四項は、この基 準に関する決定を裁判官委員会にではなくて、部会だけに委任する。連邦憲法裁判所法は、ここで相対的利害関係と の取り扱いにおいてかなりの慎重さを示す。  二重機能の考えないしその考えを基礎とする衡量の可能性に対して、憲法訴願が権利保護の手段  ﹁基本権擁護の手段﹂1 ーとして、一九六九年の文言におけるボン基本法第九三条第一項第四a号によって保障されるという断固とした抗議がある。ま た、ボン基本法第九四条第二項第二段は、特別な受理手続をカバーするが、憲法訴願の主観的機能に負担をかけたかたちでの拒          ハ  否基準をカバーしない。そこで、ボン基本法第九三条第一項第四a号は、1基本権に限ってー当該基本法第一九条第四項の 類似項目とされる。  ここでは、現行法の解釈は、必ずしも、簡単ではない。ボン基本法第九三条第一項第四a号が導入されたのは、一 九六九年であった。憲法制定権者が権利保護の考えを実現しようとしたという明確なあかしを、当時の立法手続から        ゆ はみいだせない。憲法訴願は、当時あった姿で、つまり、連邦憲法裁判所の二重機能的見解にそって、一九六九年に ボン基本法に加えられたといってもよかろう。しかし、逆に、憲法改正権者が一九六九年の新追加条項をもって、憲

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法訴願を訴訟上の基本権として憲法上確定し︵﹁各人が⋮−提起しうる憲法訴願﹂︶、かつ個別的権利保護機能において、 連邦憲法裁判所法に対して、これを確固たるものにした。私は、ボン基本法第九四条第二項第二段を考慮して、前者 の見解に傾いている。ボン基本法第九四条第二項第二段は、概して受理手続だけではなくて、受理ないし拒否に関す る客観的および主観的重要性の個別的基準をもカバーする。これらの基準は、一九六九年の憲法制定権者にはわかっ ていたので、それらを︵暗黙のうちに︶受け入れたのであろう。         民事訴訟法第五五四b条に関する連邦憲法裁判所の決定からは、前記に反することはみいだせない。そこで、連邦憲法裁判所 は、民事事件での上告の受理が最終的に成功の見込があるならば、﹁裁判所の負担をみずから制御することの理由から﹂拒否さ れてはならないということを決定した。なぜならば、民事訴訟法の意味における上告は、立法者によって権利保護の手段として       ハ  形成されたからである。確かに、この決定において、連邦憲法裁判所が全く憲法訴願の範囲内で、当該憲法裁判所の異なった裁 判に触れなかったのは奇妙である。しかし、民事訴訟法において、法律上の手段として設けられた上告に関する決定iそし て、連邦憲法裁判所の決定が﹁ここで問題になっている種類﹂の上告だけを取り扱う  からは、通常の法律上の手段として設 けられていない憲法訴願についての結論は絶対的ではない。なぜならば、ボン基本法第一九条第四項の意味にもおける国家の司         法上の保護義務は、遅くとも上告の決定をもって満たされるからである。憲法訴願は、もはや、そこには含まれない。憲法訴願 は、審級を継続させる法律上の手段ではない。  したがって、決定のための受理を裁判所の自由裁量に任せないが、本案決定をわずかにすぎない権利保護のすべて の事件にではなくて、客観的、または主観的重要性の事件においてのみ保障するという連邦憲法裁判所法第九三a条         の現在の規定は、ボン基本法第九三条第一項第四a号と一致するであろう。  四 基準となる観点H連邦憲法裁判所の憲法上根本的な問題への集中 東 洋 法 学 一三九

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三二〇  受理手続の現在の法的状況は、初めに話したように、両方とも満足させるものではない。すなわち、連邦憲法裁判 所は、自己負担を加重と考え、訴願人は、部会の決定をうるわずかな機会に鑑みて挫折させられる。二重機能の考え は、訴願における受理手続の性質を未決定のままにしておく。権利保護を求める者は、連邦憲法裁判所において、﹁超       パぜ 審級﹂として計算できるかどうかをはっきりと区別することができなければならないという妥当な要求をだした。  その答えは、決定のために受理されなかった憲法訴願の統計に鑑み、権利保護を求める者が実際問題として計算す ることができないということだけのようである。部会によって決定された憲法訴願の統計は、連邦憲法裁判所が決定       ハ  に至った事件の選択において、個別的権利保護の観点を全体として二次的なものとして取り扱うという印象を与える。 すなわち、次第に増え提出される憲法訴願の数i過去一〇年で、それは倍以上になった  および受理手続の最初 の時期での欠陥、それから次から次と変わっていく規則にも拘わらず、連邦憲法裁判所は、ずっと、多かれ少なかれ 変わらぬ憲法訴願の数を両部会において、毎年審議し決定した。つまり、受理手続の法律上の形成およびその在り方 は、連邦憲法裁判所の実際にとって、明らかにほとんど効果をもたらさない。連邦憲法裁判所は、明白に質を量に優 先し、その決定の数をその作業能力に基づいて制限する。連邦憲法裁判所は、他の裁判所に許可していないものを行      使する。私見によれば、連邦憲法裁判所のこの方針をやめさせるべきではなくて、むしろ連邦憲法裁判所に憲法訴願 の不受理を一層容易にすべきである。権利保護と国家の司法義務のため、憲法訴願の二重機能の考えを放棄するより は、受理手続に関して、むしろその振り子は別の側へ傾くべきである。すなわち、ある事件に、また、それに限定さ        ど れて﹁憲法上根本的に意味をもつ﹂法問題を取り扱い、かつ押し進める連邦憲法裁判所の本来の任務を果たすための

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        時間と余裕がなければならない。ボン基本法第一条第三項−基本権は、直接に効力のある法として拘束するーお よび当該基本法第一九条第四項は、憲法訴願を国家の司法義務に含めることを余儀なくさせるものではない。基本権 の領域における国家の司法義務も、︵ボン基本法第一〇〇条第一項による疑義提示義務を含めて︶裁判所の任務である。そ れによって、基本権が、権利保護の観点で十分に補強されている。  これに関連して、一九世紀における上告にも、本来客観的機能が与えられたということが思いだされる。そして、一九七五年         の文言における民事訴訟法第五五四b条も、一部において、それに戻ろうとした。つまり、訴訟当事者の個別的権利保護の要求 には、二つの審級で十分であるという考えであった。上告は、まず個別的事件における不平の除去のためにではなくて、法的統 一のために役立たなければならなかった。オットー・べールによると、上告は、﹁管轄の⋮⋮法的統一の維持に不可避的に必要        なものへの極端な制限において﹂のみこの目的を達成しえた。プロイセンの一八三三年一二月一四日の上告および無効の異議申          ︵佃﹀ 立てに関する命令第四条は、﹁通常の法律上の手段が許され﹂ず、取消が要求される判決が﹁法原則﹂、または主要な訴訟規定に 違反する場合に、のちの上告に相応するプロイセン上級裁判所への無効の異議申立てを想定した。同命令第一〇条によると、無 効の異議申立てをなすことは、取消が要求される判決の執行を妨げない。憲法訴願という﹁特別な﹂法律上の救済とびっくりす るほど類似している。  無効の異議申立てが憲法訴願と類似するという見解をとるならば、権利保護は、実際には、反射的に起こるにすぎ        ず、訴願人がいわば送迎サービスをなすゆえに、その個別的権利保護の要求が手続開始のための﹁道具とされ﹂るこ とになる。プロイセンの法務大臣は、当時、無効の異議申立てに関して、次のようにコメントした。すなわち、﹁無効 の異議申立ては、当事者からも持ち込まれるものであるが、それは間違った法原理が起こるということを阻止しなけ       パ  ればならない目的をもつものである﹂。つまり、それは、数字的にみて、唯一の重要な判決に対する憲法訴願の範囲内 東 洋 法 学 三二一

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶       三二二 における連邦憲法裁判所の基本権にかかわるもっぱらの任務である。それに対して、個別的事件の中で、基本権の効 力を確保することは、主として他の裁判所の任務である。﹁裁判所による基本権上の規範と基準の遵守を確保すること       ハ  だけが、連邦憲法裁判所に義務づけられている﹂が、これは、通例、1もう一つ最後の上告に関する一九世紀の言         い回しをかりるとー具体的にではなくて、抽象的にのみゆえに、裁判所そのものの裁判を考慮に入れた場合にのみ 可能である。  これらの論述の結論として、ただちに憲法訴願の二重機能という考えを放棄し、その代わりに、憲法の客観的解明 と発展の機能のみおよび連邦憲法裁判所の決定しようとする事件への自由の選択権のために、そういう考えを主張す るわけではない。個々の特別な事件のある場合に、または一定の分野において、連邦憲法裁判所がボン基本法第一〇 三条第一項による法律上の聴聞に関して、また、恣意的な裁判所の決定の場合にこれを行うように、個別的権利保護 の保障という観点を強調することを妨げる理由はない。しかしながら、多数の憲法訴願に鑑み、個別的事件における 権利の保護を保障する憲法訴願の機能を強調し、それによって、市民に過剰な期待を起こし、かつ裁判所にとって、 決定のための憲法訴願の受理の拒否を困難なものにすることは最善策ではないと指摘しておきたいと思う。  裁判所というのは、具体的な個別的事件をもって、その客観的機能を行使し、つまり、個別的事件の正義のために も尽くす。抽象的規範審査の手続においてのみ、この関係は訴訟上存在しない。ここで、連邦憲法裁判所法第九三a 条による受理手続において、決定のために受理される事件がどの︵適格な︶基準に基づいて選択され、また、選択され るべきであるかということだけを論じたのである。

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   D 決  定  連邦憲法裁判所は、問題となった措置が憲法違反であり、また、その措置が憲法違反に基づき、少なくともそのこ        パ  とに基づきうる限り、憲法訴願を認める。  連邦憲法裁判所法第九五条第二項により、連邦憲法裁判所は、判決を破棄し、事件を権限ある裁判所に差し戻すこ とができる。規範が成功裡に憲法訴願の対象となったとき、当該規範は、連邦憲法裁判所法第九五条第三項第一段に より、無効と宣言される。それについては、第五部以下参照。       パ 

   E 判決に対する憲法訴願における連邦憲法裁判所の審査範囲

       目  次       一 連邦憲法裁判所は、超上告裁判所ではない      二 連邦憲法裁判所による事後審査の限定された範囲       e 個別的事件の事実認定と評価の審査       口 判決内容の審査        ⑥ 基本権の単純法の解釈と適用への影響        ㈲ 審査基準の具体化         ㈱ 単純法の解釈と適用における基本権にかかわる欠陥          O 裁判官が認識しなかった︵不足︶

    東洋法学       

三二三

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ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      ◎ 裁判官が﹁根本的に﹂誤解した︵評価の欠陥︶     ㈲ 決定による基本権侵害     @ 客観的にみて是認しえないゆえに、恣意的な裁判所の決定     ㈹ 裁判官の法形成に対する憲法的限界の超越     ㈹ それ以外の観点      e  ﹁流動的限界﹂      ◎ 基本権への干渉の濃度     ㈹ 裁判についての文献上の批判   口 裁判所の手続の審査︵以下次号︶   四 根拠となった法律の審査  三 審査範囲の決定に際しての憲法上の準則 三二四  連邦憲法裁判所は、判決に対する憲法訴願の範囲内で、他の裁判所の最終審の確定力ある判決を事後審査する。連 邦憲法裁判所は、裁判所の判決をどの程度、その妥当性に関して事後審査しうるかというしばしば議論される問題が   ハ  生じる。すなわち、連邦憲法裁判所は、判決が単純法︵制定法、法規命令等︶により、﹃妥当﹄かどうかを審査しない。 それは、あくまでも、﹃専門裁判所﹄の任務であるという。連邦憲法裁判所は、裁判所の判決が﹃狭義の憲法﹄に違反 し、つまり、﹁裁判所が、いわゆる単純法の解釈および適用において、憲法に違反し、とくに恣意の禁止︵ボン基本法        第三条第一項︶を無視したかどうか﹂だけを審査する。﹁連邦憲法裁判所は、専門裁判所の解釈の結果がボン基本法によ

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      パ  って設けられた限界を超える⋮⋮場合に、初めて修正しうる﹂という。  これらの言い回しは方向性を示すが、問題や疑問をも残す。ちなみに、その場合、議論の対象となっているのは、 もはや憲法訴願の適格性の問題ではなく、否もっと一般的に狭義における訴訟法上の問題ではなく、憲法の範囲と﹁単 純法﹂への放射的効果という実質的な問題である。それゆえに、審査範囲が、憲法訴願の根拠の有無の関係において、 初めて提起される。それにも拘わらず、当該問題の解決が憲法裁判とその他の裁判との捉え方ゆえに、広義における 訴訟上の観点によって規定されるので、憲法訴願の根拠の有無をここで取り扱わなければならない。  用語について。ここでの問題に関しては、﹁審査範囲﹂といい、それに対して、立法との関係における審査範囲については、 ﹁審査の比重﹂という。この用語が、一般化された。ここでは、それを受け入れる。両方の場合は、もともと審査の比重である ゆえに、この用語は恣意的である。         狭義の憲法という言い回しは、以下のことにとって重要な役割を演じ、または演じた。しかし、それは、言葉とし て失策である。狭義の憲法は、単純法、またはその他の法と対照的な憲法ないしその基本権をいう。それゆえに、憲        パ  法ないし基本権の内部にある固有な部分、または固有な性質をいうのではなくて、むしろ、﹁実質的憲法の固有の根拠﹂        ないしその都度主張される権利の﹁憲法上とくに保障される範囲﹂をいう。ちなみに、第一部会は、暗黙のうちにこ       パ  の言い回しを使用しなくなってきているが、第二部会はその言い回しをいまだ使用している。 東 洋 法 学 三二五

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ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶ 三二六

一 連邦憲法裁判所は、超上告裁判所ではない

 裁判所の判決に対する連邦憲法裁判所の審査範囲を規定するためには、以下の論述が出発点となる。  連邦憲法裁判所は、︵さらなる︶上告審ではない。すなわち、憲法訴願それ自体も﹁付加的﹂ではなくて、﹁特別な﹂ 法律上の救済手段であるように、連邦憲法裁判所も他の裁判所の判決を全面的にその合法性について事後審査する﹁超        上告裁判所﹂ではない。        ハ   連邦憲法裁判所が﹃超上告裁判所﹄︵そして、ちなみに加えて、超事実審︶に押し込めるないし押し込められてはなら ないという指摘をもっての限界づけは、当該憲法裁判所が単純法を除いた、つまり、狭義の憲法だけを審査するとい う別の指摘が、最終的には当該憲法裁判所の事後審査を限界づけるのに不十分であるため必要である。すなわち、工      覇︶      ︵鰯︶ ルフェス判決以来の連邦憲法裁判所自体の裁判によると、ーそして、拙書の中で、もう三度この現象に遭遇するの で、加えてそれを三たび説明する必要はなかろうが  裁判所を含む公権力によるすべての法律違反それ自体は基本 権の違反行為である。つまり、単純法違反のため誤った判決が、実際的には、法律上の根拠なしに下されるゆえに、 当該基本権に違反する。なぜならば、基本権へのすべての干渉は、ーそして、市民に負担を加えるどんなものも基 本権の干渉であり、ともかく包括的基本権としてのボン基本法第二条第一項の干渉であるのだが1法律上の根拠を 必要とし、これはの合憲で妥当でなければならないゆえに、適用できるものでなければならず、また、旬当該干渉を カバーし、ゆえに個別的事件においても適用できるものでなければならない。それゆえに、法に違反する干渉は、基

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本権違反でもあり、単純法によって法に違反し、かつ負担を加える判決それ自体  解釈的にみてーは常に基本権 にも違反する。  連邦憲法裁判所が超上告裁判所として活動し、単に法律に違反する決定を憲法にも違反する決定とみなした例がある。連邦憲 法裁判所判例集第四一巻三一一三頁︵三二七頁︶において、連邦憲法裁判所は、刑事訴訟法第四三条ー期間は、﹁その日の満了で﹂ 終わる  を解釈した。区裁判所および地方裁判所の考えと違って、期問満了が行政官庁の業務時間ではなくて、その日の二四 時に終わる。両裁判所の明らかに誤った解釈  その﹁日﹂は、業務時間をもって終わるのではあるまいかーは、説得力のな いものとみなされるゆえに、ボン基本法第一九条第四項、第一〇三条第一項違反と主張される。  連邦憲法裁判所判例集第六 三巻二六六頁︵二八二頁以下︶においては、弁護士資格を応募した者の評価︵憲法忠誠︶が、問題であった。連邦憲法裁判所は、 連邦弁護士法第七条第五号︵﹁値しない﹂︶について、連邦通常裁判所よりはより限定的な解釈をした。﹁連邦憲法裁判所は、連 邦通常裁判所によって行われた法律の解釈と置き換えて、成立史や法律体系を引き合いにだした別のより狭い解釈を行う。︵専 門︶裁判所には、立法者の決定を解釈の仕方で訂正し、立法者の意図した程度よりも基本権を制限することが憲法によって禁止 されているということを理由に、かような仕方が正当化されてはいるが⋮⋮、これは超上告とはどのように異なったものであろ  ︵瑠︶ うか﹂。ジーモンの少数意見︵前掲二九八頁︶は、部会の決定がその理由づけに対して、それは実質的憲法の固有の理由によって ではなくて、単純法の解釈によって支えられているということを指摘する。ジーモンは、結果において、その決定に賛成し、固 有の憲法上の理由づけを補う。  連邦憲法裁判所判例集第一八巻八五頁︵九二頁︶の指導的決定において、連邦憲法裁判所は、叙述した結論をすでに 認め、そして、慎重とはいえ次のように論及した。すなわち、﹁不当な決定があるいは敗訴した者の基本権に触れるこ        ︵娚︶ とを理由に、裁判所の決定に対する制限のない法的な事後審査﹂について、連邦憲法裁判所が反対意見を述べる。要        ︵欄︶ するに、連邦憲法裁判所は、実体法からみて、﹁超上告へのスリップに対する確かな支え﹂がないと認める。審査範囲 東 洋 法 学 三二七

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三二八 の制限は、﹁非超上告﹂や﹁狭義の憲法だけ﹂という言い回しをもって予告せられうるだけで、理由づけられえない。 それ以上の制限基準なしに、連邦憲法裁判所は、たとえその決定が﹃狭義の憲法﹄に制限したとしても、単純法を基 準にして他の裁判所の判決を審査する権限をもつはずである。  しかしながら、かような広範な審査権限は、その本来の機能および他の裁判所との関係における憲法に基づいた任         ハ        務の配分と矛盾する。制限基準に対して、出発点となるのは、この機能的な観点である。その際、連邦憲法裁判所に 審査を委ねるために、他の裁判所に対して憲法の遵守と実効の任務の縮小を目指すわけではない。憲法違反に対して       ハ  市民を擁護することが、あらゆる裁判所に同じ比重で信託されている。その意味において、﹁任務の平行性﹂が存在す る。その狙いは、連邦憲法裁判所の機能性を保護しながら、各種の裁判所間の任務の意義ある配分である。

  二 連邦憲法裁判所による事後審査の限定された範囲

 連邦憲法裁判所は、各裁判所の決定を限定された範囲でのみ事後審査する。連邦憲法裁判所は、憲法訴願の目的に 応じて、この審査範囲を区別する。  H 個別的事件の事実認定と評価の審査  一般的には、まず次のことがいえる。つまり、﹁手続の形成、事実の認定と評価、単純法の解釈とその個別的事件ヘ        ハ  の適用は、一般的に管轄のある裁判所のみが担当であり、連邦憲法裁判所による事後審査から除外される﹂。連邦憲法 裁判所は、必ずしも、これらの確認を尊重するわけではない。裁判所︵のみ︶が担当するようなはっきりとした叙述

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        は、これが﹁原則的に裁判所の担当﹂であり、かつ事態の評価が憲法上﹁限定的にのみ事後審査されうる﹂というよ うに制限される。したがって、極めて高い干渉の比重の場合に、連邦憲法裁判所は、裁判所によって行われた個別的        事件の評価を自己のものによって取り替えることを権限づけられていると思ったこともある。  ⇔ 判決内容の審査   ㈲ 基本権の単純法の解釈と適用への影響  ここでは、とくに、憲法訴願は、基本権に違反する解釈あるいは裁判所による個別的事件での法律の基本権に違反 する適用、または両方に対して行われる場合が対象となる。その根拠には、基礎的な考案がある。すなわち、基本権 は、法規範の効力のためではなく、その解釈と適用のための基準でもある。  ﹁なぜならば、ボン基本法は、国内の最高法として法規範の効力の有無に対する基準だけではない⋮⋮。内容的に       ハ  も、これらの法規範のすべてが、ボン基本法と一致して解釈されなければならない﹂。規範の解釈は、憲法に適合しな ければならないし、または憲法に方向づけられなければならない。単純法の解釈と適用にとっては、憲法上の限界が  ハ       パ  ある。裁判所は、基本権の、例えば、民法などの規定への影響︵﹁放射的効果﹂︶をも考慮しなければならない。規範を 個別的事件に適用することに関しても、同様である。  そこで、判決に対する憲法訴願において、審査過程が場合によって二つの段階に分けられる。規範が憲法に違反せ ず、かつ無効ではないということが前もって確認された後で、その過程は、第一に規範の憲法に適合した︵﹁抽象的﹂︶ 解釈︵基本権の﹁放射的効果﹂︶および第二に規範の個別的事件への憲法に適合して︵﹁具体的に﹂︶適用することである。

    東洋法学       

三二九

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三三〇  連邦憲法裁判所は、その判決理由をますますこの図式に応じて組み立てている。例えば、連邦憲法裁判所判例集第六四巻四五 頁︵六七頁−六八頁、七一頁︶”﹁憲法上異議を唱えられることのできないこの法律解釈に基づく法の適用によっても、地方裁判 所および連邦通常裁判所が訴願人の基本権を制限しなかった﹂ということで、刑事訴訟法第二四四条第二項は、ボン基本法と︸ 致する。ー連邦憲法裁判所判例集第六四巻二六一頁︵二八O頁︶  勾留休暇一﹁上級地方裁判所は、これによって、法律を 憲法に適合したかたちで解釈した。しかしながら、上級地方裁判所は、これらの個別的事件にそれを適用するにあたって、ボン 基本法第一条第一項との関係における当該基本法第二条第一項の範囲を誤って判断した﹂。  規範の憲法に適合する解釈においても、規範の憲法に適合する適用においても、個々の基本権の担い手︵例えば、官 庁に対するデモ参加者︶の基本権の考慮か、それとも相反する基本権︵デモ参加者と道路交通の関係者︶の衡量のどちらか        がありうる。連邦憲法裁判所は、後述のように、その審査範囲を普通これらの選択肢に応じて区別しない。  私法の規範の解釈および適用においても、基本権の適用ないし考慮がありうる。基本権は、基本権能力ある私法上 の主体間の法律関係においても、私法の解釈されうる規範を通じてのみではあっても効果を発揮する︵いわゆる基本権         ︵州︶       ︵脇︶ の間接的第三者効力︶。民事裁判所の決定に対する憲法訴願の範囲内て、連邦憲法裁判所は、民事裁判官が基本権を十分 に遵守したかどうかを事後審査する。私人相互の関係において、原則として、その都度あらゆる関係者に基本権が帰 属する︵例えば、所有者と貸主︶。それゆえ、結局、たえず異なった基本権の主張が互いに衡量されなければならず、こ れはまた、規範解釈の抽象的レベルなのか、それとも個別的事件における規範適用の具体的レベルなのかのどちらか である。関係する私的な権利主体には、同じ基本権︵例えば、発行者とジャーナリスト間の争いにおけるボン基本法第五条 第一項︶か、それとも異なった基本権︵ジャーナリストのボン基本法第五条第一項と攻撃された個人の当該基本法第二条第一

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項より生ずる自己決定権︶かが帰属しうる。1連邦憲法裁判所は、裁判所の基本権上のこれらの衡量をもその審査に 含める。   @ 審査基準の具体化  前述の単純法の解釈と適用におよぶ基本権の影響について、連邦憲法裁判所は、審査範囲を限定するために、すで に述べた﹁狭義の憲法﹂という言い回しを展開した。すなわち、         ﹁裁判所が狭義の憲法に違反した場合にのみ、連邦憲法裁判所は、憲法訴願に基づいて介入しうる﹂。  連邦憲法裁判所が﹁上告裁判所﹂とは違って、他か裁判所の確定力ある決定を一般的内容的に審査しないで、まさ に﹁︵狭義の︶憲法﹂の違反だけを事後審査するという二つの叙述を、当該憲法裁判所は、以下のごとく具体化した。 繰り返しではあるが、あえていうと、その具体化は、﹁狭義の憲法﹂という言い回しがそのキーワードだけを与えてい ても、審査範囲の規定と限界に関する基準を提供しないから、必要になったのである。    ㈲ 単純法の解釈と適用における基本権にかかわる欠陥  連邦憲法裁判所は、単純法の解釈と適用の過程、とくに、場合によっては、必要な基本権間の衡量において、基本 権上の欠陥があるかどうかを審査する。すなわち、  連邦憲法裁判所判例集第三〇巻一七三頁︵一八八頁︶の連邦憲法裁判所の有名な﹁メフィスト事件の言い回し﹂は、 ﹁しかしながら、異議申立ての対象となっている各裁判所の民法上の規範の適用における決定は、訴願人がその違反 を非難した基本権の意義を根本的に誤認したことによるか、それとも解釈の決定自体が主張された基本権に違反する

    東洋法学       

三三一

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三三二 かということを当該憲法裁判所は審査しなければならない﹂と言っている。  この原則は、さらにいくつかの段階において具体化される。すなわち、    O 裁判官が認識しなかった︵不足︶  判決に対する憲法訴願は、裁判官が法の解釈および適用において、基本権が影響しないし相容れない基本権領域の 衡量があるということを認識しなかった場合に、認められる。計画法上の原則を模範にして、この場合に関し、基本 権の適用または衡量の欠損ないし不足ということがいえる。つまり、ここでの重点は、裁判所が基本権領域に触れて いるということを認識しなかったため、基本権が決定過程において十分に考慮されなかったということにある。この        パ  ようなことは、各裁判所が連邦憲法裁判所の裁判を引用する習慣をつけたので、今日めったに起こらない。  連邦憲法裁判所判例集第四三巻一三〇頁”訴願人は、パンフレットで行われた事実の主張と評価のため、政治的誹殿により有 罪とされた。世論が関心のある問題に関する精神的な闘争であったにも拘わらず、判決では、ボン基本法第五条には全く論及さ れていない。それゆえに、憲法訴願が、認められた。  連邦憲法裁判所判例集第五九巻二三一頁︵二七〇頁以下︶i放送局の嘱託事件一﹁裁判所がこの憲法上の状況を認識しなか ったので、労働法をもボン基本法第五条第一項第二段に﹃照らして﹄解釈・適用しなかった。それゆえに、本採用の決定に至っ た基準が、憲法の原則と一致するかどうかのどんな審査をも行わないままになった﹂。    ⇔ 裁判官が﹁根本的に﹂誤解した︵評価の欠陥︶  判決に対する憲法訴願は、法の解釈ないし適用が﹁とくにその保護領域に関する基本権の意義を根本的に誤認した こと﹂による場合に、認められる。この場合に関して、基本権の適用、または衡量における評価の欠陥ということが

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     いえる。ここでの重点は、﹁根本的に﹂という文言にある。  ﹁基本権上の規範および基準の遵守を各裁判所によって確保させることだけが、連邦憲法裁判所に義務づけられる。連邦憲法 裁判所は、この範囲内で問題となった決定がボン基本法第五条第一項第二段の意味、とくにその保護領域の範囲に関し根本的に 誤認したことにより、かつ具体的事件にとっても、かなりの重要性がある解釈の欠陥が認められるかどうかを審査しなければな       ︵棚︶ らない︵連邦憲法裁判所判例集第四二巻一四三頁[一四八頁]︶﹂。  裁判所に対する連邦憲法裁判所の審査範囲に関して、﹁根本的﹂という文言は、コロンブスの卵になっている。すな       パ  わち、連邦憲法裁判所は、各裁判所が基本権を完全にあらゆる詳細において、かつ望ましい程度に実現したかどうか を事後審査しない。そうでなければ、判決の法律適合性を含めた内容的な審査となり、それによって、連邦憲法裁判 所は、他の裁判所と取り代わることになる。連邦憲法裁判所が事後審査するのは、各裁判所が基本権を﹃根本的に﹄ 正しく取り扱っているかどうかである。それがどういう意味であるかは、不明のままである。その他の制限的、かつ 限定的な言い方も、これ以上に明確ではない。例えば、連邦憲法裁判所は、﹁当該憲法裁判所が是正しなければならな         い客観的憲法違反の限界に達する﹂場合に、問題となった判決を破棄する。具体的事件にとって、﹁かなり重要な﹂意 味が必要である。  連邦憲法裁判所判例集第三四巻二三八頁Hある裁判所が秘密に制作されたテープ録音の利用を許されるべきと考え、その際、 個人の侵すことのできない私的生活形態の領域への基本権の意味を、その衡量にあたって、抽象的な不法行為の非難に基づいて ではなくて、具体的な行為の不法に基づいて行うべきと誤認した。  連邦憲法裁判所判例集第七巻一九八頁  リュート事件u裁判所︵地方裁判所︶は、ボイコットの呼びかけをやめさせる判決 東 洋 法 学 三三三

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三三四 を下した。しかしながら、これは、ボン基本法第五条によって保障された。それゆえに、連邦憲法裁判所は、この点について、 ボン基本法第五条第一項の意味の誤認とみなした。  連邦憲法裁判所判例集第三〇巻一七三頁ーメフィスト事件 タラウス・マンの﹁メフィスト﹂という本の裁判所による出版 禁止に対して、憲法訴願が行われた。民事裁判所は、この事件で、﹁第一条第一項と第五条第三項第一段によって擁護されてい る領域との間に緊張関係があり、かつこれが衡量により解決されなければならないということを認識した﹂。部会における可否 同数のため、その決定は、基本権の根本的に誤った見解に基づいたことの裁判を下すことができなかった。  連邦憲法裁判所判例集第六〇巻三四八頁︵三五七頁︶  庇護権事件一﹁上級地方裁判所が引渡手続に対するボン基本法第一 六条第二項第二段の基本権の意味と効果を誤認したことから、訴願の対象となっている決定は、その基本権上の保障と適合しな い﹂。  憲法訴願の存在および憲法上の衡量にそれを限定することから生ずる危険は、みすごすことができない。すなわち、 憲法訴願は、あまりにも、訴願人をも裁判所をも、憲法訴願の範囲内で非難し、かつ根拠づけることを可能とするた めに、単純法の問題に憲法上の意義を背負わせるように誘導せざるをえない。そこで、単純法の解釈と適用によって 簡単に結果をえることができたにも拘わらず、しばしば﹁狭義の﹂憲法の論議が行われる。これは、単純法の解釈上         の完足性と実用性を不安定にする。このディレンマからの大胆な逃げ道はない。憲法訴願の廃止は、あまりにも高い 代償となる。    ㈹ 決定による基本権侵害          連邦憲法裁判所は、解釈の結果、または決定が主張された基本権を制限するかどうかをも審査する。解釈の結果ないし決定に よる基本権違反は、実際問題として、欠陥が普通すでに、解釈、または適用過程自体において現われるので、独自の役割を演じ

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ていない。実際、決定は、恣意の禁止に違反した場合にのみ、独自に基本権に違反する︵㈹以下参照︶。  連邦憲法裁判所判例集第三五巻二〇二頁︵二一九頁︶において、連邦憲法裁判所は、結果そのものも基本権に違反しうると強 調するが、個別的な審査においてそれをまた取り上げるのではなくて、すでにある衡量の欠陥のため、憲法訴願を認める。    @ 客観的にみて是認しえないゆえに、恣意的な裁判所の決定  その他に、判決に対する憲法訴願は、次の場合にも認められる。すなわち、法解釈、または法適用がボン基本法を    パ  貰く考えの分別のある評価において、もはや理解できないゆえに、決定が偏見のある考慮に基づくという結論をださ         ざるをえない場合にはである。連邦憲法裁判所は、とにかく是認しえないゆえに、客観的に恣意的な決定という言い       ハ  方を使っている。ここで、ボン基本法第三条第一項の恣意の禁止が、審査基準としてあげられる。  連邦憲法裁判所判例集第四二巻六四頁︵七二頁︶。分割競売の手続において、競売を指揮する司法補助官は、土地所有者に、 最後にだされた競売のつけねが土地の価値︵二、OOOマルタの競売のつけね、土地の価値を差し引いたのち一二〇、OOOマ ルタを超えた︶と全くつり合わないということを指摘しなかった。民事訴訟法第一三九条違反が、受訴裁判所によって否定され た。この解釈は、恣意の禁止に違反した。  連邦憲法裁判所判例集第六二巻三三八頁︵三四七頁︶  刑事弁護人の記録閲覧権事件H﹁異なった見解に余地を残さない明 白な、かつはっきりした法状態に鑑みて、訴願の対象となった決定は、記録閲覧権の恣意的な制限を意味する﹂。  本来、単純法違反しかないにも拘わらず、ここに憲法訴願の根拠がある。審査基準としては、ボン基本法第三条第 一項がもちだされる。著しい解釈および適用の欠陥のための裁判所の判決の破棄をもって、連邦憲法裁判所は、みず から定立した審査範囲の限界を超える。連邦憲法裁判所は、各裁判所が全く機能しない場合に、﹁緊急権限﹂を主張す 東 洋 法 学 三三五

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三三六    る。それによって、明らかに正しくないことを除去するチャンスを利用する。連邦憲法裁判所は、そのために批判さ れるわけではない。    ㈹ 裁判官の法形成に対する憲法的限界の超越  連邦憲法裁判所の見解によると、裁判所が法律の留保の範囲を誤ったゆえに、法治国家原理を侵害した場合に、判 決の破棄は、前述のグループに明瞭に分類されうるわけではない。これらの問題は、文献上、たいてい裁判官法ない       ハゆ し裁判官の法形成の概念の下で総括される。連邦憲法裁判所は、裁判官法ないし裁判官の法形成の憲法的限界が守ら れたかどうかを審査する。前述の是認しえない解釈問題のグループヘの移行は、流動的である。連邦憲法裁判所のこ の裁判の憲法的根拠は、裁判官の解釈ないし法形成によって、実際的には明示的な法律上の措置を必要とした新たな 基本権干渉の要件が創造されるということである。  この論証は、察するところ、ある裁判所が前憲法的慣習法に基づいて、弁護人を排除した事件において初めて使用される。そ の場合、異議を申し立てられた判決が破棄された。連邦通常裁判所の決定は、解釈によって慣習法からうることができなかった       パ  大前提に基づく、と。その限りにおいて、連邦通常裁判所は、新たな干渉の要件を創造したという。  裁判官法のその時その時の憲法的限界を正確に決めるのは、非常に難しい。それは、連邦憲法裁判所の言い回しか ら、すでに明らかとなる。すなわち、﹁しかしながら、明示的な規範を含んだ措置の欠陥は、必ずしも、職務の遂行を 制限する裁判所の決定がボン基本法第一二条第一項第二段の要件に矛盾するということを意味するわけではない。規 則の全体からも、裁判および文献におけるその解釈を考慮すれば、十分明示的、かつ法律の留保の要件に適った職務

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       パ       ロ 遂行の規定が明らかとなりうる﹂。  他方、裁判官は、実際的には、法律によってもはやカバーされない新たな干渉の要件が創造されるほどに、法律を 拡大解釈することは許されない。それでも、裁判官がそれを行うならば、それは、法治国家原理との関係における基 本権違反である。なぜならば、裁判所には、﹁立法者の決定を解釈の方法で先取りし、かつ立法者によって定められた        パ  範囲を超えて基本権を制限することが憲法上禁止されている﹂。異議を申し立てられた判決は、裁判所が﹁正義および       あレ 法律的拘束の憲法原則を考慮して、創造的な法解釈に設けられた限界を明らかに超え﹂た場合には憲法違反である。  連邦憲法裁判所判例集第三四巻二六九頁  ゾラヤ事件で、連邦憲法裁判所は、一般的人格権の重大な侵害において、民法第 二五三条に反して、精神的損害にとっても金銭賠償が要求されうるとする民事裁判所の裁判が裁判官法の憲法的限界を超えな いゆえに、ボン基本法に一致すると決定した。  それに対して、連邦労働裁判所は、連邦憲法裁判所判例集第六五巻一八二頁の連邦憲法裁判所の見解によると、社会計画補償 が破産の場合、破産請求として破産法第六一条第一項第一号よりも先の順位を与えられるべきであるというその裁判をもって、         裁判官法の限界を超えたと同時に、ボン基本法第二〇条第三項の法治国家原則を侵害した。  連邦憲法裁判所判例集第六一巻六八頁︵七三頁−七四頁︶によると、ノルトライン匪ヴェストファーレン州の市町村令第二四 条、第三〇条に基づく地方自治体の代理の禁止を同じ事務所の他の弁護士に拡大することには、曖昧でなくはっきりした法的基 礎が必要であった。それは、受訴裁判所の見解と違って、その規則からみいだすことができなかった。それゆえに、法治国家原 則が、侵害された。       ︵蝦       ︵媚︶  基本権の干渉は、教会、または職業別団体などの現存する規範に基づいているが、法律の留保が国会によって発布 された国家的法律を必要とする場合に、一層はっきりした法治国家原則の違反がある。これらの要件には、当該規範 東 洋 法 学 三三七

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三三八 が不十分である。    ㈹ それ以外の観点  連邦憲法裁判所の他の裁判所に対する審査範囲は、さらに二つの別な主要な観点によって規定される。すなわち、    O  ﹁流動的限界﹂  連邦憲法裁判所は、︼つには、当該憲法裁判所による裁判所の決定についての審査の限界が﹁固定的に、かつ不変 的に設けられない﹂ということを強調する。個別的事件の特別な状態を考慮するためのある余地が、当該裁判所には       パむ 残されていなければならない。それは、これまでにあげられた基準がいずれにせよ固定的な限界を設けるのには適し ていないので、意外なことではないであろう。しかしながら、連邦憲法裁判所が1妥当なことに1干渉するか否 かの選択を残しておきたいというところにその趣旨がある。    ⇔ 基本権への干渉の濃度  加えて、連邦憲法裁判所は、裁判所の決定の個別的事件における基本権の制限が強くなればなるほど憲法的審査が 詳しくなりうるという原則を展開した。つまり、当該裁判所の裁判に対する憲法裁判所の憲法的干渉は、裁判所の判 決による市民の基本権に対する干渉の重さに比例すべきである。ラジオ放送での侮辱の方がテレビ放送での侮辱より 重大とみなされるゆえに、連邦憲法裁判所により広範囲な審査を行わせる。もっとも高度な干渉の程度において、連 邦憲法裁判所は、審査された裁判所に代わって、事件をみずから最終的に評価し、決定する。連邦憲法裁判所にいわ せると、﹁とくに、基本権の制限の程度が重要である⋮⋮。民事裁判所の判決が、結果において、敗訴した者の基本権

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領域を強く制限すればするほど、この干渉の根拠に厳格な要件が求められるべきであり、したがって、当該憲法裁判 所の事後審査の可能性はより広範囲である。もっとも高い干渉の程度の事件においては、民事裁判所によって行われ        た評価に代わって、当該憲法裁判所が評価を行う権限がある﹂。基本権へのとくに高度な干渉においては、﹁すでに個々       パ   の解釈の欠陥が憲法上重要でありうる﹂。  連邦憲法裁判所判例集第三五巻三〇二頁  レーバッハ事件H釈放前にある有名な殺人事件の囚人に関するドキュメンタリ i。連邦憲法裁判所は、それによって、囚人の社会復帰が困難になることを恐れ、具体的事件における人格の自由な発展をテレ ビの情報の自由と放送の自由より優先させる。  連邦憲法裁判所判例集第六〇巻七九頁︵九一頁︶i保護監督権事件.﹁子供が両親からその意思に反して引き離されるなら ば、これは、ボン基本法第六条第二項第一段の両親の権利に対して想像しうるもっとも高度な干渉である⋮⋮。異議を申し立て られた決定に、基本権の意義を根本的に誤解した認識に基づく欠陥が認められるかどうかと並んで、個々の解釈の欠陥をも無視 されえない﹂。         この裁判に対して、疑義をいわざるをえない。その結果としては、ある憲法訴願が詳しく審査されなかったため、 場合によっては却下されるゆえに、裁判所の判決が合憲と認められ、別の憲法訴願が高度な基本権制限のために、詳 細に審査されたので認められるということが起こりうる。公の意見論争における人格権侵害のためのエップラーとベ       パ  ルによる憲法訴願に対する同じ日に下された決定が、それに関する例である。審査範囲は、実質的な結果に効果をお よぼす。これは、基準を曖昧にする。連邦憲法裁判所は、﹁詳しく﹂審査しようとしないものを審査すべきではない。 受理手続と適格要件をもって、連邦憲法裁判所は、本案決定を完全に控える可能性を十分に有する。 東 洋 法 学 三三九

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    ドイツ連邦憲法裁判所論︵六︶      三四〇            ㈹ 裁判についての文献上の批判  判決に対する憲法訴願の範囲内での連邦憲法裁判所の審査範囲の制限という問題が、文献上幅広く論議された。裁 判は批判され、独自の構想が提起される。ここでは、多数の構想をも十分に叙述する、ましてや、その構想の発想が まちまちであるだけに、それを論及する余地はない。いくつかの観点を指摘することに留めたいと思う。  ﹁狭義の憲法﹂についての基本的な論文の中で、パピーアは、直接的な︵憲法の優位と留保に関係する︶憲法違反と間       パ  接的な︵法律適合性の違反だけを含む︶憲法違反を区別する。直接的な憲法違反の場合だけ、憲法訴願が成功すべきであ る。法の適用における基本権の対立の衡量、基本権に内在する制限の適用、または相当性の原則に関して、欠陥のあ る裁判所の決定が︵直接的︶憲法違反たるべきではなく、法律適合性の原則だけに違反するということが、連邦憲法裁 判所の審査権能から除外されるべきであるという。       パ   ヴァルトナーは、直接的な基本権違反と間接的な基本権違反を区別する。この区別の出発点は、ルップ・フォン・         ブリュネックの少数意見である。すなわち、二つには、法の適用が、当該基本権とその他の法的価値との間の衡量を 必要とする場合と、一方では、民事法領域の中でだけ行われる法の適用が結果においてのみ基本権領域に影響をおよ ぽす︵例えば、民法により土地所有者がAであるかBであるかに関する決定が間違っているならば、これは、結果において、ボ ン基本法第一四条第一項によって擁護される敗訴した者の所有権に関係する︶場合とが区別されるべきである﹂。それによる と、間接的な基本権違反は、個別的事件において対立する基本権との間の衡量が行われることなく、単純法が︵どんな 基本権への影響もなく︶誤って適用されたので、ボン基本法第二条第一項、またはその他の基本権が結果的に侵害され

参照

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