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リモートセンシング情報による水田転換畑作小麦の生育診断

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Academic year: 2021

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Title

リモートセンシング情報による水田転換畑作小麦の生育診

断( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

田中, 真哉

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第492号

Issue Date

2008-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/23499

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 田 中 真 哉 (長野県) 博士(農学) 農博甲第492号 平成20年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物環境科学専攻 岐阜大学 リモートセンシング情報による水田転換畑作小麦の生 育診断 主査 岐阜大学 教 授 副査 岐阜大学 教 副査 信州大学 教 副査 静岡大学 教 授 授 授 侃一人 均 修 正 山 川 藤 田 秋 宮 加 澤 論 文 の 内 容 の 要 旨 近年のリモートセンシング技術の向上により,作物の生育診断,特にバイオマスや葉 面積などの推定技術は実用の域に達している。今,リモートセンシングで最も期待され る診断技術は品質の早期推定である。わが国では小麦(乃ゾ才ノc∽舶∫£Jy皿L.)の滴費 丑は増加傾向にあり,また,水稲の生産調整を受けて栽培面積も増加していることから その重要性が増している。しかし,日本の温暖で雨量の多い気候条件や排水性の悪い水 田における生育環境は,小麦の栽培環境として劣悪なため,その子実品質は諸外国産と 比べて劣る。とりわけ子実タンパク含有率は多くの栽培圃場で不足しているが,これは 出穂後の追肥によって向上させることが可能なた軌低タンパクと予想される圃場を事 前に把握し,適切な追肥を行うことが子実の品質向上にとって有効である。 小麦の出穂期から開花期におけろ菓身クロロフィル濃度(・gCm.21eaf)は子実タン パク含有率と高い相関がある。このため,リモートヤンシング技術によって′j、麦畑のク ロロフィル濃度を見積もることで,′J、麦の子実タンパク含有率を広域にわたって面的に 評価し,栽培管理へり情報を提供することが可能になる。そこで本論文では,リモート センシング技術を用いて,出穂から開花期における小麦の葉身クロロフィル濃度を推定 する手法を開発することを目的として研究を行った。 1)クロロフィル濃度推定手法の開発 出穂直後の小麦の葉身クロロフィル濃度を推定する手法を開発するために,岐阜県農 業技術センターの精密試験圃場における地上での可視・近赤外ハイパースペクトレ反射

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-116-計測実験と葉緑素計SPAD・・502による計測を行った。葉身クロロフィル濃度はサブサン プルの分析から得られた検量線によっでSPAD値から換算した。 5nm間隔に変換した分光反射係数は,利用可能なすべての波長における反射係数を式 α.1・.ガ.2)/(ガ.1・斤.2)に代入し,クロロフィル濃度に対する線形回帰モデルをあてはめ た場合の決定係数を比較した結果,赤及び青波長帯の組み合わせrbMⅣⅠによってクロ ロフィル濃度との間に高い決定係数(ヂ,0.6)を得た。これを既存の植生指数mVI, TCARI/OSAVIと比較したところ,クロロフィル濃度に対してrbNDⅤⅠによって最も高い決 定係数を得られたこと(2006年:∫ち0.701,・2007年‥メ=0.802),また,2年分の計測デ ータ間で二乗平均平方根誤差(蝕SE)が最も′j、さかったことから,本研究で開発した植 生指数rbM)ⅤⅠは小麦クロロフィル濃度の推定に有効であることが明らかになった。 本手法を衛星観測へと拡張することを考え,地上での計測で得られた分光反射係数を ALOS/AVNIR・2での広い帯域幅に合わせ,シミュレーション比較した。その結果,広帯 域幅で計算した場合においてもクロロフィル濃度との間に高い決定係数を得たことか ら(メ=0.789),衛星観測においても本手法を適用できる可能性が示された。 2)クロロフィル濃度推定手法の検証と航空機ハイパースペクトルデータへの適用 rbNDVIのクロロフィル浪度推定における有効性について検証を行うため,栽培条件の 大きく異なる岐阜県海津市の鹿家栽培圃場において得られた地上超多波長分光反射係 数データ及び航空機ハイパースペクトルデータを解析した。 地上での計測実験では,rbNDVIが栽培条件や土壌の異なる実際の農家圃場においても 精度よくクロロフィル濃度を推定できることが分かった_(メ=0.731)。また,精密試験圃 場での得られた推定式をそのまま農家圃場でも適用することができた。航空機ハイパー スペクトルデータにrbM)ⅤⅠを適用した場合においてもその決定係数は高く(2006年: ノ=0.424,2007年:メ=0.447),2年分のデータ間でRMSEが最小であったことから,rbNDVI の有効性が確認された。一しかし,生育の著しく不良な場所においては推定誤差が大きく なる可能性があり,今度の検討課題となった。 rbNDVIは可視域の波長を用いることから.大気による散乱・吸収の影響が懸念される。 しかしl本研究において大気の放射伝達コード6Sによる大気補正と反射率マッチング を適用することで,これらの問題を解決することが分かり,小麦のクロロフィル濃度の 推定に利用することが可能であると判断された。 上記の結果を基に,.航空機ハイパースペクトルデータから,クロロフィル渡度の空間 分布マップを作成した。クロロフィル濃度の空間分布マップによって,対象域全体での クロロフィル濃度のばらつきと一筆の圃場内における空間的なばらつきを視覚的に強 調することができた。このマップによって,低タンパクと予想される圃場や場所を容易 に抽出す・ることが可能であると考えられ,圃場での追肥など精密虚業への基礎的な情報 として提供することができた。

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-117-これらのことから,本研究で開発した出穂から開花期におけるクロロフィル濃度の推 定手法は,従来の時間と労力のかかる地上での詳細な計測に代わる方経として評価でき ると結論づけられた。 審 査 結 果 の 要 旨 小麦は本来、冷涼な半乾燥地帯が栽培適地とされているが、日本では水田の転

換畑に栽培されることが多い。岐阜県産小麦は高温多湿な栽培条件のため、一般

に子実の品質が低く評価されている。しかし、近年、小麦国内生産の必要性が高

まり、同時k高品質小麦の生産に期待が寄せられている。小麦の品質は子実中の

タンパク含有率や粉色などによってランク付けされているが、水田転作′J、麦は概 して子実のタンパク含有率が低いとされている。小麦の子実タンパク含有率は、 出穂から開花期における窒素の実肥によって改善できることが知られている。し かし、施肥すべき畑を検出するためには、化学分析などによるタンパク含有率の

調査が必要で、多大な時間と費用・労力がかかる。人工衛星データを使った米の

品質(おいしさ)判定は北海道ですでに実用化されているが、実際には登塾期の葉 色から判断するため、結果を当該年の栽培管理には反映できない。 そこで本研究では、子実のタンパク含有率に高い相関のある菓身クロロフィル 濃度を、出穂から開花期に圃場でリモートセンシング情報によって検出する方法 を検討した。まず、岐阜県農業技術センターの水稲収穫後の精密圃場で、施肥条 件を変えて栽培した小麦を、出穂から開花期にかけて地上型超多波長分光放射計 (Hyperspectralradiometer)で計測し、その時の葉身クロロフィル含有率との 関係を調べた。その結果、赤と青色の波長を使った新しい植生指数(rbNDVI)が 有効なことを発見した(第2章)。 この結果を実際の農家圃場に適用して広域的に検証するため、2年間にわたって 県南部の海津市の水田転換小麦作地帯で航空機を使った圃場観測を行った。航空 機搭載センサで得られた結果と、腱家圃場の薬身クロロフィル含有率の関係を解 析した。従来から用いられている2つの植生指数と比較したところ、rbIのⅤⅠが最 も安定して良い結果を出したことから、実際の農家で栽培される小麦に対しても

適用できると判断した。また、rbNDVI式によって航空機観測地域のクロロフィル

分布図も作成することができた(第3章)。 この技術は、小麦品質(子実タンパク含有率)向上に役立てることができるほ か、圃場内の生育のばらつきも判るため、精密農業にも利用できる。さらに、森 林などの活性識別にも利用できるなど、広い応用が期待できる。また、2年前に打 ち上げられたALOS衛星(だいち)のAVNIR-2センサでは、育と赤の波長が計測さ れていることから、衛星観測への適用にも期待がもてる。

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ー118-以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の 学位論文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる論文は、以下に発表した。 1.田中真哉・後藤誠二朗・牧雅康・秋山侃・村元靖典・吉田一昭,2007.新 しい植生指数"rb川)ⅤⅠ"による冬小麦の葉身クロロフィル濃度の早期推定,シス テム農学,23巻4号,pp.297-303. 2.田中真哉・後藤誠二朗・牧雅康・秋山侃・村元靖典・吉田一昭.出穂から 開花期における地上及び航空機ハイパースペクトルデータを用いた′j、麦の菓身 クロロフィル浪度の推定とその評価,写真測量とリモートセンシング,印刷 中.

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