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犬の僧帽弁閉鎖不全症における心筋病変と血小板機能の検討

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Academic year: 2021

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Title 犬の僧帽弁閉鎖不全症における心筋病変と血小板機能の検討( 内容の要旨 ) Author(s) 田中, 綾 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第101号 Issue Date 2001-03-13 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2155 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科一及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 田 中 綾 (千葉県) 博士(獣医学) 獣医博甲第101号・ 平成13年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 犬の僧帽弁閉鎖不全症における心筋病変と血 小板機能の検討 主査 東京農工大学 教 授 山 根 副査 帯広畜産大学 教 授 山 田 副査■ 岩 手 大 学 教 授 首 藤 副査 東京農工大学 教 授 小久江 副査 岐 阜 大 学 教 痩 佐々木 久夫菜一美 義明 文 栄禁 論 文 の 内 容 の 要 旨 僧帽弁閉鎖不全症0瓜)は高齢犬において最も一般的な獲得性心疾患である。人におい ては僧帽弁閉鎖不全症において、血」、板の活性化による微小血栓が生じることにより各種 の病態をもたらすとされている。病理組戯学的には、心筋内の毛細血管が微小血栓により 塞栓されるとされている。大のh択においても心筋の変性、壊死、線維化は一般的にみら れる心筋病変であ■り、その原因は人と同様に血小板の関与が示唆されており、僧帽弁疾患 における心筋病変(心筋線維化)の発生予防のために抗血小板薬が使用されてきた。しか し、大のMRにおける微小血栓の形成とそれに伴う併発症を説明する研究は少ない。 本研究は、MRにおける心筋病変(心筋線線化)と血小板機能の関連について調べ、心 筋病変の発生機序を明らかにし治療に役立てることを目的に実施したものである。

第1章では、様々な病態の礁罷患犬における心飾の線維イヒの発生率とその形態に関す

る検索を実施した。病理組織学的検索およびコンピュータによる画像解析を実施し、病態 の程度に応じた線経化の進行を解明した。しかし、血栓形成に起因する置換性癖酎ヒは、 わずか4例のみに認められただけであり、むしろ、_心筋層にお号ナる線緑化の主体は、血管 周囲性線維化およびその発展型である問質性鰍ヒであった。以上の所見より礁にみら れた線緑化と微小血栓の塞栓との関連は否定的となった。 第2章では僧帽弁逆流が血小板機能に与える影響を調べるため、まず新しいパラメータ

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であるEPS(Enhancement of platelet sensitivity)の健常犬における適合性について検 討した。また同時に再現性についての検討も実施した。その結果、EPSは従来の最大凝集 率と比較しても臨床的に十分利用可能であることが確認された。 第3章では、健常犬とMR罷患犬における血小板凝集能の比較を行った。ほとんどのMR 羅患犬は、最大凝集率でもEPSでも血小板凝集能は低下レており、その程度は病態が重度 になるほど顕著であった。さらにE汚が病態の程度を分類する上でより感度が高いことも 判明した。血小板凝集能の低下は、僧帽弁逆流により持続的な刺激による血小板甲疲弊に よるものと推察された。本実験における結果は人における報告とは逆であり、重度な舵 犬ほど血小板の機能の低下が認められた。したがって、心筋線経化の原因が血小板凝集能 冗進によ■る微小血栓の形成によるものではないことが本実験結果からも示唆された。 第4章では、MRにおける血小板機能低下が血液逆流による持続的な刺激や破壊による ものかどうかを確認するために、MRの有無における血小板寿命をフローサイトメトリー にて測定した。僧帽弁腱乗切断により実験的MR犬を作成し、腱索切断前後における血小 板寿命を測左し比較した。結果として、すべての犬において腱索切断後に血小板寿命の減 少が認められた。このことは僧帽弁における逆流により血小板の破壊が起こっていること を示唆している。 .本実験において、当初予測された微小血栓形成による置換性線維化はあまり認められず、 この点では心筋の線維化と血小板とわ関連性において否定的であった。一方、礁におけ る心筋の線維化の発生機序に関してはアンギオテンシンⅡやカテコラミン、あるいは電解 質コノレチコイドといったホルモンの関与も報告されており、さらに血小板も、近年でiま止 血や血栓形成の役割だけでなく、炎症性細胞として機能することがわかってきており、血 小板のさ.まざまな炎症反応に対する関与も考慮すべきと思われる。本研究では礁犬にお ける心筋線経化の発生機序についてさらなる検討が必要である。 審 査 結 果 の 要 旨 僧帽弁閉鎖不全症(MR)_は高齢犬において最も一般的な獲得性心疾患である。 本疾患の発生率は加齢とともに増加していき、最終的には鬱血性心不全を引き

起こす。人においては僧帽弁閉鎖不全症に串いて、血小板の活性化による微小

血栓が生じることにより各種の病態をもたらすとされてI\る。病理組織学的に

は、心筋内の毛細血管が微小血栓により峯栓され、その結果心筋病変やそれに

伴う不整脈などの発生が起こるとされている。象た、冠状動脈病変に起因しな

い心筋梗塞の中には、血小板の微小血栓が原由となっているものもあるといわ

れている。さらに僧帽弁疾患に掛ナる血栓症も報告されており、これらの病態 形成における血小板の関与が考えられている。一方、犬のMRにおいても心筋

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-226-の変性、壊死、線維化は一般的にみられる心筋病変であり、その原因は人と同 様に血小板の関与が示唆されており、僧帽弁疾患におけろ心筋病変(心筋線繹 化)の発生予防のためにアスピリンやジビリダモールなどの抗血小板薬が使用 されてきた。しかし、犬のMRにおける微小血栓の形成とそれに伴う併発症を 説明する研究は少ない。 本研究は、MRにおいてみられる心筋病変●(心筋線維化)と血小板機能の関

連について調べ、僧帽垂閉鎖不全症における心筋病変の発生棲序を明らかにし

治療に役立てることを目的に実施したものである。 1i様々な病態のMR羅患犬における心筋の線維化の発生率とその形態に関する 検索 病理組織学的検索およびコンピュータによる画像解析を実施し、病態の程度 にしたがって線線化が進行していることを解明した。しかし、琴推化の中で血

栓形成に起因するとされている置換性線維化は、わずか4例において認められ

ただけであった。むしろ、心筋層における線維化の主体は、血管周囲性線維化

およぴその発展型である問質性線推化であった。問質喋繰維化はまず、左心室

心内膜層で生じ、その後、弁膜症の程度が進むにつれて左心室空中間層、心外 膜層へと広がり、さらには右心室璧にまでおよぶことが観察された。偏光顕微 鏡による検索では、心筋線推の長軸方向に垂直に畠行する細い筋周膜線維が出 現し、既存の太い筋周膜線維の断裂-・細片化あるいは消失が観察された。病変 が進むに従い、拡大した心筋線維間のスペースには、心筋線維を取り囲む形で、 心筋線維の長軸方向にほぼ垂直に走行する細い線維性コラーゲンと、その細い 線推に直角に絡みつく太い筋周膜線結からなるメッシュワークが形成されてい た。以上の所見より心筋線推化は問質性のものであり、MRにみられた線維化 と微小血栓の塞栓との関連は否定的となった。 2.第2章ではEPSの健常犬・における適合性についての検討 血小板凝集能の測定を最大凝集率と新しいパラメータ・-である EPS(EnhancementofpJat占Ietsen?itivity)を用いて評価した。同時に血小板 数、EPS、最大凝集率の再現性についての検討も実施した。その結果、EPSは 臨床的に十分利用可能であることが確認された。 3.僧帽弁における逆流が血小板機能に与える影響

健常犬とMR羅琴犬における血小板凝集能の比較を行った。その結果、従来

の報告から予想された結果とは大きく異なり、-ほとんどのMR羅患犬は、最大 凝集率でもEPSでも血小板凝集能は低下しており、その程度は病婁が重度にな

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るほど顕著であった。さらにEPSの方が病態の程度を分類する上でより感度が 高いことも判明した。本実験において重度なMR犬ほど、血小板凝集能が低下 していたことは、僧帽弁逆流により持続的な刺激が血小板に加わり、血小板の 疲弊が起きていたものと推察された。人におけ.る多くの研究では僧帽弁逆流に よる二次的な刺激は血小板の凝集能を高めるとされている。しかし、本実験に おける結果はその逆であり、重度なMR犬ほど、血小板の楼能の冗進ではなく 低下が認められた。したがって、心筋線維化の原因が血小板凝集能冗進による 微小血栓の形成によるものではないことが本実験結果からも示唆された。 4.MRの逆流による血小板寿命への影響 第3章までの結果より、MRにおける血小板機能低下が血小板凝集能測定に より確認されたため、この機能低下が血液逆流による持続的な刺激や破壊によ るものかどうかを確認するために、MRの有無における血小板寿命をビオテン 化の手法を用いてフローサイトメトリーにて測定し、MRによる乱流が血小板 寿命に与える影響を評価した。僧帽弁腱乗切断により実験的MR犬を作成し、 腱索切断前後における血小板寿命を測定し比較した。結果として、すべての犬 において腱索切断後に血小板寿命の減少が認められた。このことは僧帽弁にお ける逆流により血小板は持続的な刺激に曝され、血小板の破壊が起こっている ことを示唆している。 本研究により、犬におけるMRにおける心筋の線維化が、今まで考えられて いたような血小板の活性化によってできた微小血栓に起因するものではないと いうことが確認された。心筋の線維化の鹿困としては、むしろ内分泌性の因子 が関与していることが示唆された。また、MRにおける血小板の消耗が、凝集 能および寿命の面から確認された。これらの知見は、MRの病態形成における 微小血栓形成以外の面からの血小板の関わりの可能性を示唆するものである。 以上!こついて、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究 科の学位論文として十分価値のあるものと認めた。 学位論文の基礎となる学術論文 1・田中 綾,舘野信治,柴崎 哲,城下幸仁,山痕義久(1997)犬の各種心 疾患における血小板凝集能の検討.動物債床医学6:ア∵21

2・Tanaka,R・,Yamane,Y・(ZOOO)PIatelet aggregationin dogs with

mitraJvaJveregurgitation・AmericanJourna,ofVeterina、ryResearch 61:1248-1251

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-228-既発表学術論文

1. 菅井 龍,菅井純子,北島裕子,田中 綾,柴埼 哲,城下幸仁,鈴木 馨,

丸尾幸嗣,山根義久(1997)ハスキー犬の血管肉腫に併発した心タンボ ナーデの1症例.動物厚床医学5:21-27

2・Shiroshita,Y・,Tanaka;R・,Shibaz?ki,A・,Yamane,Y・(1999)Accura?y

Ofa portabIe bIood gasanafyzerincorporating optodes forcanine

・bldod.Journa(ofVeterinarylnternaf Medicine13:597-600 3.田中

綾,永島由紀子,星克一郎,柴崎哲,山根義久(19991一デタッチヤ

プルコイルを用いた犬の動脈管開存症の1治験例.動物臨床医学8:29-34 「 4. shiroshita,Y.,Tanaka,R.,Shibazaki,A.,Yamane,Y.(2000) RetrospectivestudyofcIinicaJcompIicationsoccurringafterarteriaf PunCtureSinllldog畠.Ve.terinaryRecord146:16-9 5・Nagashima,Y・,=osh川・,Tanaka,R・,Shibazaki,丸,KdnnoIK"

Machida,N・,Yamane,Y・(2000)AcaSヂOfovarianandretrOPeri

toneaJt$ratOmainadog・TheJournaJof Veterinary MedicaIScience 62:793-795

6・Tanaka,R.,Hoshi,K.,Yamane,Y.(2001)Partiatresectionofbladder

in a bitch with・urinary retention after surgJCat eXCision of vagIna‡

参照

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