Title
Long Term Change in Landslides and Sediment Yield Estimation
Method in a Mountainous Catchment( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
DHAKAL, AMBIKA
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第436号
Issue Date
2007-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/21368
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 DHAEALAMBIXA (ネパール王国) 博士(農学) 農博甲第436号 平成19年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物環境科学専攻 静岡大学
Long恥rm ChangeinLandslides and Sediment Yield Estimation Methodin a Mountainous
Catchment (山地流域における崩壊地の長期変化と流出土砂量の 評価方法に関する研究) 主査 静岡大学 教 授 副査 静岡大学 助教授 副査 岐阜大学 教 授 副査 信州大学 教 授 智 宏 修 曜 興 屋 坂 松 原 土 逢 戸 北 論 文 の 内 容 の 要 旨 山地流域に多く存在する崩壊地は,流域における土砂生産に大きく関わっている。こ のため,流域を対象とした流出土砂量の予測には、流域内の崩壊地の長期的な変化に関 する情報の取得が必要である。しかしながら、これに関する研軍事例は乏しく,わが国 においては現在のところ,広域的な山地流域における土砂生産量を定量的に予測できる 適切なモデルは見られない。本研究では,先ず山地流域で生起する斜面崩壊地に関する 分布や生成とその消長について長期的な推移を調べ,降雨や森林伐採を因子として、崩 壊地の面積的な推移を定量的に検討した。次に,このような地表被覆データとともに数 値標高データ(10メートル格子間隔),土壌データ,降雨データを用いて,USLE式と SDR式を適用して,モデル流域の流出土砂量を評価し、流域出口に設置されたダム堆 砂土砂量と対比検討をおこなった。本研究で使用したモデル流域は、山地流域として典 型的な大井川上流に位置する井川ダム流域であり,そこでは長期的なダム堆積土砂量の データを有している。解析には空中写真を用い,デジタルデータである既存のGISを併 用した。
その結果,流域内の崩壊面積は1964年で約2,7$0,000ポと最も多く、全流域面積に対
して2%を占めており,‖ほ5年の一時的な増加を除き減少傾向を示していた。崩壊地 の年平均減少率は,個数にして0.07個/km2,面積では195m2/bn2であった。また, 崩壊地が発生してから約10年で崩壊面積が約半分になることが分かった。降雨と森林ー59-伐採の関係を分析すると,1gさ5年の一時的な増加には帥0Ⅱ皿を超える連続降雨量が関 連していた。森林伐採地面積と崩壊地面積の変化を時系列対比したものの,明瞭な関係 は認められなかったが,伐採地内に起きた崩壊地は,それぞれの伐採期間に生じた新規 崩壊地の約4割∼6割の面積を占め,伐採後5年∼10年間に崩壊が生じやすい傾向があ ることが分かった。 次に,研究対象流域をモデルとして解析期間で最も新しい1997年を対象にUSLE式 とSDR式を用いて流出土砂量を評価した。USLE式により流域内の土地利用別に年単 位の侵食土砂量を評価し総侵食土砂量を求めところ,534,909m3であった。この内,河 川に流出する土砂量をVan0miモデルとUSDAモデルを用いSDR式の概念により評価 したところ,64,18如8∼139,076m3となった。一方,同年に井川ダムに堆積した土砂量 (ダム堆積空隙率を除く)は118,200m3∼137,900m3と推定されるので,VanOniSDR モデルに基づく評価流出土砂量が実測によるダム堆砂土砂量に最も近い値を示すこと がわかった。 本研究結果が示すように,提案モデルは,井川ダム流域では1997年の堆砂データと 良好な一致を示したが、今後は,長期にわたる解析や他の山地流域においても明らかに する必要があり,さらなる研究の積み重ねと検討が必要と考える。 審 査 結 果 の 要 旨 山地流域に多く存在する崩壊地は、流域における土砂生産に大きく関わっている。 このため,流域単位の流出土砂量の予測には,流域内の崩壊地の長期的な変化に関す る情報と山地河川における運搬方法の評価が必要であるが,研究事例は乏しく,広域 的な山地流域における土砂生産量を定量的に予測できる適切なモデルは見られない。 このような背景から,本研究は,静岡県を流下する大井川の上流に位置する井川ダ ム流域を対象に,山地流域からの経年的な土砂生産量を定量的に予測できる評価方法
を考究したものである。そこで,先ず山地流嘘で生起する斜面崩壊地に関する分布や
生成とその消長について長期的な推移を調べ,降雨や森林伐採を因子として,崩壊地 の面積的な推移を定量的に検討した。次に,このような地表被覆データとともに数値 標高データ,土壌データ,降雨データを用いて,USLE式(UniversalSoilLoss Equation)とSDR式(Sediment DeliveryRatio)を適用し,モデル流域の流出土砂 量を評価し,流域出口に設置されたダム堆砂土砂量を定量的に対比し,検討をおこな った。 その結果,以下に示す内容に取りまとめた。 1.崩壊地の経年変化:流域内の崩壊面積は1964年で約2,780,000rぱと最も多く, 全流域面積に対して2%を占めていた。崩壊面積は1964年をピークに1885年の一時 的な増加を除き,減少傾向にあった。崩壊個数は1964年の783個からピークとなる 1975年の1,036個まで増加し,その後は減少していた。崩壊地の年平均減少率は,個 数にして0.07個/km2,面積では195m2/km2であった。また,崩壊地が発生してか ら約10年で崩壊面積は約半分になることが分かった。 2.降雨と森林伐採の関係:流域内では,崩壊地面積の一時的な増加があり,これに は,降雨強度ではなく連続降雨が関連していた。伐採地面積と崩壊地面積の変化を時-60-系列対比しても明瞭な関係を示さないが,伐採地内に起きた崩壊地は,それぞれの伐 採期間に生じた新規崩壊地の約4∼6割の面積を占め,伐採後5年∼10年間に崩壊が 生じやすい傾向があることが分かった。 3.USLE式による侵食土砂量の評価:1997年を対象にUSLE式を用いて土地利用 別に年単位の侵食土砂量を評価し、総侵食土砂量を評価したところ年間534,909m3で あった。 4.SDRモデルによる運搬量:ⅥlnOniモデルとUSDAモデルから流出土砂率は 11∼26%と評価された。これにより流出土砂量は,得られた侵食土砂量にこの係数を 乗じ64,189m3∼139,076m3と評価される。他方,同年の井jlげム堆積土砂量(ダム堆 積空隙率を除く)は,118,200m3∼137,900m3と推定されるので,両者を対比すると, Vano血モデルによる評価流出土砂量が,実測によるダム堆砂土砂量に最も近い値を示 すことがわかった。 5.今後の展望:提案する評価方法は,井川ダム流域の1997年の堆砂データとは良 好な一致を示した。今後は,長期にわたる解析や他の山地流域においても適用し,そ の結果を明らかにし,さらなる研究の積み重ねと検討が必要と考える。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論 文として十分価値あるものと認めた。