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Webカウンセリングシステムの開発および心理データの可視化 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

タの可視化

著者

庄 ?亮

学位授与大学

東洋大学

取得学位

博士

学位の分野

工学

報告番号

32663甲第363号

学位授与年月日

2014-03-25

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006735/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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氏   名( 本 籍 地 ) 庄     亮(中国) 学 位 の 種 類 博士(工学) 報 告・ 学 位 記 番 号 甲第363号(甲工第102号) 学 位 記 授 与 の 日 付 平成26年3月25日 学 位 記 授 与 の 要 件 本学学位規則第3条第1項該当 学 位 論 文 題 目 Web カウンセリングシステムの開発および心理データの可視化 論 文 審 査 委 員 主査 教授 博士(理学) 土 田 賢 省 副査 教授 博士(工学) 上 原   稔 副査 教授 博士(工学) 木 本 伊 彦 【論文審査】  本研究では,Web カウンセリングシステムの開発を行っている.さらに,その開発の 中でカウンセラ-の業務を支援するための機能として,クライアントに関するデータの効 果的な提示の重要性を見い出し,分かりやすい心理データの可視化手法の一つとして,3 D螺旋表示法を提案し,具体的なデータに対し適用実験を行っている.  既存のインターネットを利用したカウンセリングサービスでは,メールのみの相談で あったり,個人情報の保護に関して不安を抱かせたり,システムのユーザインタフェース が必ずしも使いやすいものではないなどの問題点をもつシステムも少なくない.また,カ ウンセラーをユーザとして意識したものは少なく,カウンセラーへの支援機能をもつシス テムは殆ど見当たらない状況である.このようなことを背景として,本研究では,先行研 究の問題点を意識して,個人情報の保護に関する不安解消,システムのユーザインタフェー スがクライアントとカウンセラーの両方にとって使いやすくなることを目的として開発し ている.  まず,Web カウンセリングシステムの基本設計を行い,試作版を開発している.本シ ステムでは,すべての作業をサーバ上に置かれたデータベースを利用してやりとりを行い, 入力したメッセージが外部に漏れることのないように,すべてサーバの内部に貯蓄して管 理している.さらに,システムのユーザを,カウンセリングを受けるクライアント,カウ ンセリングを行うカウンセラー,システムの運用を行うシステム管理者の3つの種類に類 別し,各ユーザの種類ごとに異なる GUI(Graphical User Interface)を実現した点も特 徴の一つとしてあげられる.特に,コンピュータの専門家ではないクライアントとカウン セラーにとって使いやすいシステムとすることが重要と判断し,最初にクライアントがよ り使いやすくなるような GUI を中心としたヒューマンインタフェースの実現を目指し,

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次に,カウンセラーについては,カウンセリングの作業を支援する機能を検討し,開発を 進めている.  本システムのユーザとして想定されるクライアントには,精神的に課題をもつ人が多い ことが予想されることから,そのような人にも使いやすいシステムとするために,システ ムへのニーズを調査し因子分析を実施している.その結果,精神的課題を持った人は,精 神的課題を持ってない人よりも,システムへの信頼感,安全性を改善すること,カウンセ ラーの情報を詳しく被験者側へ提供すること,さらにデザインの改善を求めていることを 明らかにしている.これらの結果を踏まえて,Web カウンセリングシステムの実用版を 開発している.さらに,日本人向けの Web カウンセリングシステムを基にして国際版 Web カウンセリングシステムの試作版を開発している.開発に際し,因子分析を用いた オンラインカウンセリングとネットショッピングのニーズの把握について調査と比較を 行っている.その結果から,例えばデザインに関して,オンラインカウンセリングでは, 画面構成,ネットショッピングでは,字体の読みやすさが第一に求められており,一般的 な Web デザインとニーズが異なっていることが判明し,これらをデザインに反映してい る.また,この国際版 Web カウンセリングシステムを現地の人に違和感なくより使いや すいものにするために,特に GUI を中心として,デザインのニーズに関する分析の国際 比較も行っている.具体的には,中国在住の中国人と日本人を対象にして行ったアンケー ト結果の比較であり,その結果を基に国際版 Web カウンセリングシステムの実用版を開 発している.  次に,Web カウンセリングシステムがカウンセラーとって使いやすいものとするため に,カウンセリング作業を支援する機能についてカウンセラーとともに検討している.そ の結果,クライアントのカウンセリングの履歴データ,特に相談時期とその内容に関する データ,クライアントのプロファイル,特に性格(パーソナリティ)に関するデータ,こ れらのデータをカウンセラーに適宜,適切な形で提供することが有用な支援機能となりう ることが判明した.カウンセリングの履歴データは,年間を通して Web カウンセリング システムに蓄積されていく大量データである.クライアントのパーソナリティに関する データは,性格検査の結果のデータが想定される.性格検査は,パーソナリティを把握す るための心理検査であり,質問紙法,投影法,作業検査法に分類されるが,これらの各心 理検査の結果をクライアントのプロファイルデータとして格納する.質問紙法では,YG 性格検査,主要5因子性格検査,GHQ,S-H 式レジリエンス検査が,投影法では,バウム テスト,SCT 文章完成法テスト,P-F スタディが,作業検査法では内田クレペリン精神 検査が代表的である.カウンセラーは,これらのデータからユーザの状況を把握する必要 がある.これらのデータをただ単に数字の羅列のような形式で提示しただけでは,大量デー タでかつ各データの種類も異なるので,各データを比較しながらクライアントの特徴・状

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況をカウンセラーが抽出することは非常に困難である.このような問題に対処するための ソルーションの一つとして,データの可視化が有効と判断し,本研究では,上記のような 多種・多様な心理データを3D グラフで可視化する手法を提案している.具体的には, Processing プロジェクトを用いた螺旋形状の3D グラフ表示を実現している.提案した3D 螺旋表示では,項目ごとに数量に応じて色付けして,螺旋全体を回転させることで,全体 的な傾向や特徴を視覚的に把握することが可能となるようにしている.解析した定量的な 結果の数値だけからでは掴みにくい,各データの傾向などの情報を直感的に分かりやすく 提示するためのものである.  提案した3D 螺旋表示を Web カウンセリングシステムにおける履歴データ,具体的には, クライアントの相談内容に関するデータに適用している.一年分の相談内容を, X 軸方向 と Y 軸方向で作られる平面とほぼ平行の平面上に一周期分として表示し, Z 軸方向に時 系列・年代順に並べて配置した.その結果,一年間を通じてどのような時期(季節,月) に相談量が多くなっているか,そしてその相談内容の詳細も同時に容易に把握することが できるようになっている.  次に,本3D グラフ表示を質問紙法と投影法の結果に応用している.質問紙法については, GHQ28項目版と S-H 式レジリエンス検査,投影法については,SCT 文章完成法テスト, これらの各心理検査の結果を可視化の対象としている.ただし,SCT 文章完成法テスト は記述式の検査であるので,回答の文章に対してテキストマイニングを行った結果を可視 化の対象データとしている.各心理検査の結果の可視化だけでなく,異なる心理検査の結 果を組み合わせた可視化も試みている.本3D 螺旋表示では,数量的な傾向は3D 螺旋を ズームアウトして,詳細な内容は3D 螺旋をズームインして見ることができ,一つの画面 で対話的な操作で多角的にデータおよびデータ間の関係をみることができるようになって いる.また,異なる心理検査の結果を組み合わせた可視化の例では,例えば,S-H 式レ ジリエンス検査の A(家族,友人,同僚などの周囲の人たちからの支援や協力などの度合 に対する本人の感じ方)項目の値が高い人は,形容詞の肯定の量が否定よりも多く,A 項 目の値が低い人は,否定の量の方が多い傾向あることを容易に把握することが可能となっ ている.  さらに,本3D 螺旋表示を作業検査法の結果に応用している.作業検査法については, 内田クレペリン精神検査を可視化の対象とした.内田クレペリン精神検査の結果はデータ が読みづらく,解釈も難しいとされている心理検査の一つである.このデータを3D 螺旋 表示で読みやすく,解釈を分かりやすくするために,色を効果的に使うようにした.しか し,カウンセラーの中に色覚問題をもつ人がいることから,3D 螺旋表示の GUI のデザイ ンにはカラーバリアフリーを取り入れて,すべてのカウンセラーが使いやすくなるように 考慮している.

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 これらの内容を本学位論文では,以下のように全9章の構成でまとめている. 第1章「はじめに」  本章では,本研究の背景と目的について述べ,論文の概要について述べている. 第2章「準備」  本章では,準備として,Web カウンセリングシステムの開発のベースとなる,JSP &サー ブレット,アプリケーションサーバ,Web サーバ,データベースサーバ,メールサーバ と SSL について解説している.次に,可視化について本研究と関連する研究および本研 究の可視化の実装に採用したプロジェクト Processing を述べている.  さらに,本研究の可視化の対象とした心理データに関連する質問紙法,投影法,作業検 査法について述べる. 第3章「Web カウンセリングシステムの構築」  本章では,まず,先行研究から既存のカウンセリングシステムとその問題点を説明して いる.次に,本研究における Web カウンセリングシステムの特徴と構造を述べている. 本システムは,オープンソースソフトウェアを基本としている.具体的には,メールサー バ,データベースサーバ,アプリケーションサーバを各々構築し,さらにそれらを連動さ せシステムの統合化をはかっている.メールサーバには Postfix,データベースサーバに は MySQL,アプリケーションサーバには Tomcat を採用している.また,本システムの 各機能にも触れている. 第4章「Web カウンセリングシステムの評価および改善」  本章では,Web カウンセリングシステムの評価とその改善による実用版の開発につい て述べている.  まず,Web カウンセリングシステムのユーザとして想定される人が使いやすいシステ ムとなるために被験者79人に対して Web カウンセリングシステムを実際に使用してもら いながら,Web カウンセリングについてのアンケートを実施している.あわせて,この 被験者79人は精神的に課題を持っている人と持っていない人を分けるために,心理検査 を行った.アンケートと心理検査の項目および検査結果を集計し,Web カウンセリング へのニーズに関して,4因子を想定し因子分析を行っている.これらの,因子分析結果を 基に精神的に課題をもっている人も使いやすくなるように Web カウンセリングシステム の改善を行い,実用版を開発している.  次に,将来の Web カウンセリングシステムの国際版の開発のために Web カウンセリン グシステムのデザインのニーズに関する分析の国際比較を行っている.被験者91人(中 国人52人と日本人39人,すべての被験者は中国に在住している)に対して Web カウンセ リングシステムのデザインについてのアンケートを実施している.具体的な質問カテゴ リーは,“背景の色”,“文字の大きさ”,“強調文字の色”の三つである.アンケートの集

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計データには分散分析を適用し日本と中国の差異を数値化している.これらの結果をもと に実用版 Web カウンセリングシステムを開発している. 第5章「3D 螺旋表示によるデータの可視化手法」  本章では,3D 螺旋表示によるデータの可視化手法を提案している.特に螺旋の周期性 の特徴を利用したデータの可視化について述べている. 第6章「Web カウンセリング時の相談内容に関するデータの可視化」  本章では,提案した3D 螺旋表示による Web カウンセリングシステムにおける履歴デー タ,具体的には,クライアントの相談内容に関するデータの可視化について述べている. 本テストデータはカウンセラーの長期の臨床経験にもとつくものである.その可視化にお いては,一年分の相談内容を, X 軸方向と Y 軸方向で作られる平面とほぼ平行の平面上 に一周期分として表示し, Z 軸方向に時系列・年代順に並べて配置している.その結果, 螺旋の周期性が用いて一年間を通じてどのような時期(季節,月)に相談量が多くなって いるかは,3D 螺旋表示をズームアウトし,回転することで容易に視覚的に読み取ること ができている.そして,その相談内容の詳細も3D 螺旋表示をズームインすることで容易 に把握することができることが説明されている. 第7章「質問紙法と投影法および SCT の可視化」  本章では,本3D 螺旋表示の質問紙法と投影法の結果への応用について述べている.実 際に54人の被験者に質問紙法と投影法の心理検査を行った結果のデータを対象とした.質 問紙法については,GHQ28項目版と S-H 式レジリエンス検査,投影法については,SCT 文章完成法テスト,これらの各心理検査の結果を可視化の対象としている.ただし,SCT 文章完成法テストは記述式の検査であるので,回答の文章に対してテキストマイニングを 行った結果を可視化の対象データとしている.心理検査ごとの結果の可視化だけでなく, 異なる心理検査の結果を組み合わせた可視化も試みている.本3D 螺旋表示では,数量的 な傾向は3D 螺旋をズームアウトして,詳細な内容は3D 螺旋をズームインして見ること ができ,一つの画面で対話的な操作で多角的にデータおよびデータ間の関係をみることが できるようになっている.また,異なる心理検査の結果を組み合わせた可視化の例では, 例えば,S-H 式レジリエンス検査の A(家族,友人,同僚などの周囲の人たちからの支 援や協力などの度合に対する本人の感じ方)項目の値が高い人は,形容詞の肯定の量が否 定よりも多く,A 項目の値が低い人は,否定の量の方が多い傾向あることを容易に把握す ることができたことが述べられている. 第8章「作業検査法の可視化」  本章では,本3D 螺旋表示の作業検査法の結果への応用について述べている.作業検査 法については,内田クレペリン精神検査を可視化の対象としている.内田クレペリン精神 検査の結果はデータが読みづらく,解釈も難しいとされている心理検査の一つである.こ

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のデータを3D 螺旋表示で読みやすく,解釈を分かりやすくするために,色を効果的に使 うようにしている.それらは,2D グラフの形状だけを表示したものよりも,カウンセラー は色のパターンの方が覚えやすいと考えられる.しかし,カウンセラーの中に色覚問題を もつ人がいることから,3D 螺旋表示の GUI のデザインにはカラーバリアフリーを取り入 れて,すべてのカウンセラーが使いやすくなるように考慮している. 第9章「まとめと今後の課題」  本論文で述べた事項の結論のまとめと今後の課題について述べている. 【審査結果】  本研究では,Web カウンセリングシステムの開発およびカウンセラー支援を目的とし た心理データの可視化手法がテーマである.  Web カウンセリングシステムの開発においては,メールカウンセリングなども含めた コンピュータを用いたカウンセリングの先行研究,既存サービスをサーベイし,問題点を 分析し,それらの結果を設計に活かしている.既存システムの多くで,メールを採用して いるが,当事者以外が開発・運用している一般の Web メール等を採用している場合が多 く,個人情報の流出などに関して,責任者の所在が明確でない.あるいは,メールシステ ムのダウンや誤動作等に関して技術的に対応できない,クライアントからの機能の変更・ 追加要求に応じられないなどの欠点をもつ.これらのことが,クライアントに個人情報の 保護に関して不安を抱かせる要因の一部になっていると思われる.本研究では,オープン ソースソフトウェアを基本として,メールサーバには Postfix,データベースサーバには MySQL,アプリケーションサーバには Tomcat,Web サーバは Apache を採用して,各々 を構築し,さらにそれらを連動させシステムの統合化をはかっている.その結果,開発者 がシステム全てを十分に把握し,管理・運用している.そして,すべての作業をサーバ上 に置かれたデータベースを利用してやりとりを行い,入力したメッセージが外部に漏れる ことのないように,すべてサーバの内部に貯蓄して管理している.これらは,個人情報の 保護に不安を抱かせないために工夫した点として,本システムの特徴の一つと言える.さ らに,システムのユーザを,カウンセリングを受けるクライアント,カウンセリングを行 うカウンセラー,システムの運用を行うシステム管理者の3つの種類に類別し,各ユーザ の種類ごとに異なる GUI(Graphical User Interface)を実現した点も特徴の一つである. コンピュータの専門家ではないクライアントとカウンセラーにとって使いやすいシステム にすることは重要である.先行研究では,カウンセラーをユーザとして意識したものは少 なく,カウンセラーへの支援機能をもつシステムは殆ど見当たらない状況である.カウン セラーが使いやすく,支援機能の活用により,効率的かつ効果的なカウンセリングが提供 できれば,最終的にはクライアントへの高品質のカウンセリングサービスにつながると思

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われる.このカウンセラーの使いやすさと支援機能の実現に関しては,カウンセラーと協 働で基本設計するなど,ユーザとしてのカウンセラーを取りこんだアジャイルソフトウェ ア開発を行っている.一方,クライアントに対しては,精神的に課題をもつ人が多いこと を想定し,そのような人にも使いやすいシステムとするために,システムへのニーズを調 査し因子分析を実施している.その結果,精神的課題を持った人は,精神的課題を持って ない人よりも,システムへの信頼感,安全性を改善すること,カウンセラーの情報を詳し く被験者側へ提供すること,さらにデザインの改善を求めていることを明らかにした.こ れらの結果を踏まえて,Web カウンセリングシステムの実用版を開発している.実用版は, 実際の病院のホームページで一定期間運用された.  この他,Web カウンセリングシステムの要求分析では,GUIデザインを中心として, 一般のオンラインショッピングと Web カウンセリングシステムのニーズを比較している. その結果,両方ともデザインと安全性の2つの因子が表れている.第1因子はどちらも同 じ“デザイン”であったが,Web カウンセリングシステムでは,画面構成,ネットショッ ピングでは,字体の読みやすさが求められており,同じ“デザイン”という因子でも内容 は異なっている.これらをシステム開発に反映している.国際版 Web カウンセリングシ ステムに関しては,中国人と日本人にアンケート調査を行い,調査結果を統計的に分析し ている.その結果,強調文字の色で中国人と日本人で有意な差があり,中国人は日本人よ りも赤い文字に注目する傾向があることを明らかにしている.このように,Web カウン セリングシステムの開発では,先行研究の問題点を解決すべく,カウンセラーと協働のア ジャイルソフトウェア開発を行い,要求分析では,想定されるユーザのアンケート調査と その結果に対する統計的分析に基づいた方法を採用している.本システムは,病院の HP で一定期間実際に使用され実用性も保証されたが,上記のオープンソフトウェアを利用し た開発手法も似たようなシステム構築を行おうとする者に参考となる成果と言える.  さらに,本研究では,カウンセラーを支援する機能として,心理データの可視化手法を 提案している.提案する可視化手法は独創的で3D螺旋表示である.先ず,提案した3D 螺旋表示を Web カウンセリングシステムにおける履歴データ,具体的には,クライアン トの相談内容に関するデータに適用している.一年分の相談内容を, X 軸方向と Y 軸方 向で作られる平面とほぼ平行の平面上に一周期分として表示し, Z 軸方向に時系列・年代 順に並べて配置している.その結果,一年間を通じてどのような時期(季節,月)に相談 量が多くなっているか,そしてその相談内容の詳細も同時に容易に把握することができる ようになっている.本3D 螺旋表示を質問紙法と投影法の結果に応用している.各心理検 査の結果の可視化だけでなく,異なる心理検査の結果を組み合わせた可視化も試みている. 各心理検査の結果は項目が多く,データの形式も数値だけでなく非数値も含んでおり, 2D グラフでの表示では,一つのグラフで特徴等を即座に把握するは難しく,複数の2D グ

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ラフ,さらに定性的なデータの表なども用意して,画面を切り替えてみる操作が必要になっ てくると思われる.しかし,本3D 螺旋表示では,数量的な傾向は3D 螺旋をズームアウ トして,詳細な内容は3D 螺旋をズームインして見ることができ,一つの画面で対話的な 操作で多角的にデータおよびデータ間の関係をみることができるようになっている.さら に,本3D 螺旋表示を内田クレペリン精神検査に応用している.内田クレペリン精神検査 の結果はデータが読みづらく,解釈も難しいとされている心理検査の一つである.このデー タを3D 螺旋表示で読みやすく,解釈を分かりやすくするために,色を効果的に使うよう にしている.そして,カウンセラーの中に色覚問題をもつ人がいることから,3D 螺旋表 示の GUI のデザインにはカラーバリアフリーを取り入れて,すべてのカウンセラーが使 いやすくなるように考慮している.各応用の結果から3D螺旋表示の有効性が検証されて いる.3D螺旋表示による複雑で多様なデータの可視化手法は庄氏の独創性の高い研究成 果であり,英語原著論文として発表されている.  以上のように,庄氏の研究は,工学研究科(情報システム専攻)の博士学位審査基準に 照らしても妥当な研究内容であると認められる.庄氏の博士後期課程在学中における本研 究に関連する業績としては,筆頭著者としての英文原著論文1編,国際会議講究録1編(全 て査読有)等がある.これらの業績は情報システム専攻事前審査会において課程博士の学 位申請要件を満たしていることが確認された.さらに,続く3回の学位審査会において厳 正に審査した結果,博士論文としてふさわしいものであると判断され,情報システム専攻 において承認された.  前述の専攻内学位審査会において口述試験および学力試験(外国語・専門)を実施した ところ,同氏の学力が博士学位にふさわしいものであると認められた.英文論文をはじめ とする研究業績は,同氏が外国語を使いこなし,専門に対する深い造詣を有する傍証でも ある. 従って,所定の試験結果と論文評価に基づき,本審査委員会は全員一致をもって庄 亮氏 の博士学位請求論文は,本学博士学位を授与するに相応しいものと判断する.

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