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災害対策支援要請に基づく広島市内土砂 ため池災害現地調査報告 農研機構農村工学研究所 堀俊和上席研究員 中里裕臣上席研究員 正田大輔主任研究員 1. 調査期間 2014 年 9 月 1 日 ~9 月 2 日 2. 経緯広島市北部で発生した2014 年 8 月 20 日未明の豪雨による土砂災害について

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Academic year: 2021

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災害対策支援要請に基づく広島市内土砂・ため池災害現地調査報告 農研機構 農村工学研究所 堀 俊和上席研究員、中里裕臣上席研究員、正田大輔主任研究員 1.調査期間 2014 年 9 月 1 日~9 月 2 日 2.経緯 広島市北部で発生した2014 年8 月20 日未明の豪雨による土砂災害について、中国四国農政局防災課 から8 月29 日に農村工学研究所に対して災害対策支援要請があり、農林水産省農村振興局防災課災害対 策室長らの現地調査に同行し、9 月1 日~2 日にかけて中国四国農政局、広島県及び広島市と合同で災害 調査を実施した。 3.災害概要 広島市北部で 20 日未明、1 時 間に100mmを超える猛烈な 雨(安佐北区三入東で121mm、 同区可部町上原で115mm)が降り、 広範囲にわたって土石流などが 発生した。三入のアメダスデータ に よ れ ば 、7 月 の 月 間 雨 量 248.5mm は平年値(1981-2010) 288.9mm と同程度であったが、 8 月の平年月間雨量143.1mm の ところ、すでに8 月1 日から 19 日までの総 図1 広島市安佐北区三入におけるアメダスデータ 雨量は 264.5mm に達しており、20 日の日雨量は 224mm に及び、特に 1:00 から 4:00 の 3 時間雨量は 209mm に達した(図1)。この 8 月 20 日の 1:00-4:00 の 3 時間降水量分布において 150-200mm/3h の範囲と斜面崩壊・土石流の発生範囲がほぼ一致しており、この局所的豪雨が発災範囲を規定したとさ れる(松四,2014)。 被災地域には後期白亜紀(9000~7000 万年前)の広島花崗岩が広く分布し、安佐北区八木の阿武山な どの高標高部には接触変成を受けたジュラ紀付加帯堆積岩類が分布し、可部市街地の東方には花崗岩と同 時期の高田流紋岩が分布する(産総研,2014)。花崗岩の表層は風化によりマサ化し脆弱化しており、 1999 年6 月にも被災地周辺で豪雨による多数の斜面崩壊・土石流が発生した。 今回の災害により、死者74 名、負傷者44 名(消防庁調べ:9/24 現在)の人的被害があった。

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4.調査場所 調査場所は下記の6 地点である(図2)①は9 月1 日、②~⑥は9 月2 日に調査した。 ①八木用水(安佐南区八木地区) ②中村下ため池(安佐北区可部東地区) ③可部三入南2 丁目池(安佐北区三入南地区) ④浄円寺ため池(安佐南区山本地区) ⑤農地・農業用施設(安佐北区三入東地区) ⑥根の谷川の堰(安佐北区可部東地区) 図2 調査位置図(基図出典:国土地理院写真判読図を貼り合わせ)

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5.調査結果 (1)八木用水(調査地点①) ①江戸時代中期に太田川下流の右岸地域のかんがい用に作られた八木用水(広島市祇園町外二ヶ町土 地改良区管理、水路長16km、受益面積14ha)は、近年では防火用水や地域排水の機能も併せ持つ。 本用水は、北西側の阿武山山腹斜面で発生した複数の土石流により土砂で埋積された。 ②緑井駅付近から梅林駅付近(写真1)では国土交通省により堆砂除去が行われたが、今後、しば らく間、土砂の流入が継続する可能性があり、土砂の水路外への排砂対策の検討が必要である。 ③八木8丁目付近から太田川橋西詰め交差点の下流付近では、水路に約40cmの堆砂があった(写真 2)。水路の両岸に住宅が隣接している箇所が多くあった。重機が入らない箇所においては、土砂 の固結を防ぐための流路、排砂の確保が必要である。また,今後の豪雨を考慮した排水方法につい て確認しておく必要がある。 ④太田川橋西詰め交差点付近のすぐ上流部で、土石流により水路が埋没していた。この上流部で は、大雨により湛水する可能性があるため(写真3)、必要な排水手段を検討しておく必要があ る。 ⑤水路埋没箇所の土砂撤去および水路の整備が間に合わない場合に備え、来年度の灌漑用水(受益 農地14ha)を、どこから確保するのか検討する必要がある。 ⑥9月26日現在の八木用水は、一ヶ月間の復旧作業により通水断面が確保されつつある状況にある。 写真 1 土砂流入と除去作業状況 写真2 40cm の堆砂 写真3 降雨後の湛水状況 緑井八丁目付近 八木 8 丁目付近 大田川橋西詰北側 (2)ため池 ①中村下池(安佐北区可部東:調査地点②)では、土石流が貯水池を直撃して堤体を越破し、堤体の 一部が決壊したものの、堤体の大部分は残存した。土石流の一部を受け止めており、下流への土石 流被害の一部を軽減したといえる。土石流により堤体が変形していることから、復旧にあたって は,堆砂除去だけでなく、体の復旧についても調査・検討する必要がある(写真4)。 ②可部三入南2丁目池(安佐北区三入南:調査地点③)のため池では、土石流が貯水池を直撃したも のの、余盛り高が高かったため、堤体越流は発生せず堤体に大きな損傷は認められなかった。ため 池が下流直下の住宅への土石流被害を防止したといえる(写真5,6)。復旧にあたっては、堆砂 除去が必要であるが、復旧後の湛水の際には漏水等の異常が発生しないか監視が必要である。 ③浄円寺ため池(安佐南区山本地区:調査地点④)では、豪雨により堤体上流斜面の波返しコンクリ ートの背面の天端が陥没し、上流斜面法肩のフェンスが落ち込んだ(写真7)。周辺に土石流は発 生していない。復旧にあたっては、災害時の貯水位操作を確認、波返しコンクリートの根入れ部分 の確認を行って、被災原因を特定し、復旧範囲を決定する必要がある。

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④今回の中村下池や可部三入南2丁目池のため池では、ため池上流の沢で土石流が発生したものの、 土砂の大半または全てを受け止め、下流域への土砂流入量を抑止または防止した。過去の土石流を 伴うため池の災害では、2010 年に山口県で発生した土石流でも、長尾ため池で土砂を受け止めた ため、下流の住宅や新幹線の大きな被害を免れた事例がある。一方、2004 年の台風23号により淡路 島で決壊したため池では、土石流による上流のため池が完全に破堤し、下流のため池が連鎖的に決 壊して多大な被害が発生した場合もある。このように、土石流とともにため池が完全に破堤すれ ば、土砂被害は拡大して下流域を襲うが、ため池の堤体が土石流を受け止めれば、下流域の被害を 大幅に軽減できる可能性がある。今後は、ため池上流域の土石流の危険度を考慮したリスク評価や 対策 を行っていく必要がある。 写真4 堤体変形と漏水 写真5 土石流を受け止め,直下流の住宅への 土石流を受け止めた中村下池 被害を防いだ可部三入南2丁目池 写真6 被害を免れた家屋 写真7 堤体上流の陥没 浄円寺ため池 (3)農地・農業用施設(安佐北区三入東地区)の被害 ①土石流により、農地に大量の土砂が流入するとともに、住宅にも土砂が流れ込んだ(写真8, 調査地点⑤)。 ②河川に流入した土石流や増水によりコンクリート製の固定堰タイプの頭首工が破堤した。コン クリートの内部で細粒分が流出しており、老朽化が進んでいた(写真9,調査地点⑥)。 直下の住宅 下流法先

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写真8 土石流による家屋・農地被害状況 写真9 根の谷川の頭首工の被災状況 安佐北区三入東 安佐北区可部東 参考サイト 松四雄騎(2014) 2014 年広島豪雨災害時の斜面崩壊・土石流について(速報その 2: 降雨と崩壊の分布) http://www.slope.dpri.kyoto-u.ac.jp/disaster_reports/20140820Hiroshima/201408Hiroshima_Rep2.ht ml 産総研地質調査総合センター(2014) 平成26 年8 月20 日に広島市で発生した土石流及び斜面崩壊の発生 地に関する地質情報。https://www.gsj.jp/hazards/landslide/20140820-hiroshima.html

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