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La Societe Japonaise de Didactique du Francais (Comment développer l enseignement secondaire du français au Japon? Réseau franco-japonais des lycées (

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日仏高校交流ネットワーク コリブリ 報告(2)

― 短期留学生,長期留学生を迎えて,送って ―

(Comment développer l’enseignement secondaire

du français au Japon ?

―Réseau franco-japonais des lycées (COLIBRI) ― )

山崎吉朗,橘木芳徳,櫻木千尋,

ジャン=フランソワ・ロシャール

YAMAZAKI Yoshiro, T

ACHIBANAKI Yoshinori,

SAKURAGI Chihiro, Jean-François R

OCHARD Résumé

Pour développer l’enseignement du français au niveau secondaire, nous avons entrepris en 2003 sur l’initiative du Service culturel de l’Ambassade de France au Ja-pon, d’établir un réseau franco-japonais des lycées, qui a pour mission d’organiser et de coordonner des échanges de lycéens entre les établissements japonais enseignant le français et ceux de France où on enseigne le japonais. Les échanges envisagés sont de deux types : courts (trois semaines) ou longs (une année scolaire).

Ce réseau, qui regroupe actuellement 23 lycées au Japon et 17 en France, permet effectivement de motiver davantage les lycéens de part et d’autre à travers ces échan-ges.

A l’automne dernier, nous avons accueilli 33 lycéens français dans dix lycées ja-ponais et ce printemps autant de lycéens jaja-ponais sont partis en échange, dans huit lycées français, ce qui prouve que le réseau franco-japonais fonctionne de façon très satisfaisante.

Nous avons effectué, jusqu’à présent, plus de 60 cas d’échanges, auxquels ont participé, au total, 123 lycéens français et japonais. Ils ont fait une expérience très précieuse à travers leur vie scolaire en fréquentant le lycée de leur correspondant(e) respectif(ve) et aussi à travers la vie quotidienne dans leur famille d’accueil.

mots clefs

Echange international, enseignement secondaire, études à l’étranger, expérience in-terculturelle.

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1 はじめに  昨年度に引き続き,今年度も日仏高校ネットワーク Colibri (以下コリブ リ)の報告を行う。昨年度は成立までの過程を中心に報告したが,今年度は 3年目を迎えた長期留学,2年目を迎えた短期留学について報告する。 2 コリブリとは  前回の報告と少し重なるところもあるが,まず,コリブリとはどういう組 織なのか,どのような経緯で組織化されてきたのかを記しておく。 2.1 組織の説明  コリブリは,暁星中高,カリタス女子中高,伊奈学園総合高校の教員と日 本私学教育研究所の専任研究員が中心となり,短期,及び長期の留学の支援 をしている組織である。2002 年末,フランス大使館文化部の発案で発足した。 現在は,フランス教育省国際関係協力課,日本の文部科学省国際教育課の理 解と支援のもとに,日本でフランス語を教える日本の教育機関とフランスで 日本語を教えるフランスの教育機関で構成している。本学会での発表,フラ ンス語を設置している高校を対象とした関東,関西での数回にわたる会合な どの活動により,2008 年 3 月現在,日本側で 23 校,フランス側で 17 校が 加盟している。この組織の最大の目的は,前述のように留学推進だが,いま まで組織することができなかった中等教育のフランス語教育全体の組織作り という意義も大きい。第一外国語,第二外国語の高校の違いも,公立,私立 の違いもない組織を作っているということである。前述のメンバーで構成し た組織委員会は,現在は実行委員会となり,留学生受け入れをした数校の教 員も加わっている。留学した生徒の延べ人数は,短期留学は日本からが 60 名, フランスからが 53 名,長期留学は日本からが 5 名,フランスからが 5 名と なっている。総計 123 名の日仏の生徒がコリブリで留学したことになる。  コリブリ ( = COLIBRI) という名称は フランス語で中学を意味する Col-lège と高校を意味する Lycée,それに Bonnes Relations Internationales (良 き国際関係) の語呂合わせから生まれた。この単語の意味である「はちどり」 は,小柄ながら極めて活発な小鳥であるが,まさにコリブリの活動は,中等 教育でのフランス語教育に対する逆風の中で,逆の追い風のひとつとなって いると言えよう。  コリブリでは日仏共同でフランス語,日本語の憲章を作成している。昨年 度掲載したので,今回は詳細は省略し,概略を述べる。 <加盟校>

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 加盟校は,原則として日本でフランス語を教えている日本の高校とフラン スで日本語を教えているフランスの高校である。学校としての参加なので, 校長の署名を必要としている。姉妹校協定とは異なり,加盟に対する義務は なく,留学生の受け入れや,自校生徒の留学は義務ではない。あくまで希望 が出たら,受け入れや留学ができるということである。 <「交換」留学制度>  コリブリではあくまで「家庭間での交換」留学を基本としている。留学生 を受け入れた生徒は,原則として受け入れた留学生の家庭に留学することに なる。それぞれの学校の交換と共に家庭も交換するということになる。この 点がコリブリ交換留学の最大の特徴といえる。 <費用>  入学金と授業料について「受け入れる教育機関の入学金と授業料は免除さ れる。所属教育機関の授業料は,各校,あるいは教育委員会等の留学規則に 基づくものとする」と規定している。日仏双方の家庭での入学金,授業料の 負担はないということである。渡航費や自分のお小遣いは留学生の自己負担 であるが,現地での生活費はホストファミリーの負担としている。  もちろん,通常の留学でかかる,留学斡旋団体への支払いはいっさいない。 すべて各校の教員のボランティアによって実施されているのである。当然各 校の教員の負担は大きいので,負担の軽減や分散が今後の課題である。 3 短期留学の実施  短期留学では,まず,秋にフランスの高校生が来日し,3 月に日本の高校 生が渡仏するという年間スケジュールで動いている。これはフランスの新学 期が 9 月で,日本の新学期が 4 月という新学期の相違と共に,フランスでの 6月の大学入学検定試験(バカロレア)に配慮して企画したものである。日 本人生徒としては受け入れた留学生の家庭にホームステイができるので,大 きな安心感を本人,家庭に与えるということができる。事実,コリブリの交 換留学システムに対するアンケートでの回答の中には,「受け入れた子の家 庭にステイできて精神的に安心。」という意見があった。3週間とはいえ, 未成年である子供を海外に送り出す両親としては,受け入れた生徒の家庭に 留学できるという意義は大きいのであろう。  1 回目(2006 年)は 10 月 30 日(31 日)から 11 月 18 日までの 20 日間 (19 日間),2 回目(2007 年)は,10 月 28 日(日)から 11 月 17 日(土)ま での 20 日間,フランス側から日本へ留学した。一方,日本側の留学の日程,

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期間は,主に日本の学校の事情で,学校によって異なっている。一年目は, 最初は 1 月 27 日∼ 2 月 11 日,最後が 3 月 13 日∼ 4 月 7 日となり,期間も 16日間から 25 日間の留学となった。 2 年目も同様で,最初は 1 月 26 日か ら 2 月 18 日で,最後が 3 月 21 日から 4 月 5 日となり,14 日間から 24 日間 の留学となった。学校によって学期末試験の時期が大きく異なっている上に, それぞれの学校や個人の事情も加わって,フランスからの生徒と比較すると, かなりばらばらな留学となっており,統一は難しい。  以下に,全体の流れを示す。 Table 1 (短期留学の流れ) 月 内容 4∼ 5 月下旬 フランス側派遣留学生募集・決定 日本側受入れ家庭募集・決定 日仏交換留学生パートナー決定 7月 個人情報交換 8∼ 9 月 各家庭間でのやりとり 10月中旬 オリエンテーション(日本側受け入れ家庭対象) 10月下旬 フランス人留学生日本到着 フランス大使館によるレセプション(フランス人留学 生,受け入れ家庭対象) 10月下旬∼ 11 月中旬 各学校で短期留学・ホームステイ(3週間) アンケート実施(帰国前実施/日・仏学生対象) 11月下旬 フランス人留学生帰国/日本側派遣期間調整開始 ∼ 1 月下旬 フライト決定 2月 オリエンテーション(日本側派遣家庭対象) 3月(学年末試験終了後)∼ 3月下旬(4 月上旬) 各学校で短期留学・ホームステイ(3週間) 3月下旬(4 月上旬) 日本人留学生帰国 4月 アンケート実施(日本人留学生対象) 3.1 フランス人留学生への指導の強化  フランス人留学生への指導に関して,1回目の時は,各校に対して細かい 指示を出すことはせず,受け入れ各校に任せることになった。その結果,学 校によってはいくつかのトラブルが生じ,終了後に開いた実行委員会の反省 会で,それらの主たる要因は,文化の違いに対する説明不足ではないかとい う結論に達した。そこで,2 回目はその反省を活かし,フランス人留学生に 対し,コリブリとして統一した指導を行えるようにした。受け入れ前に各校 にオリエンテーション用資料を電子メールで配布し,各校での指導を統一し

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た。口頭での指導ではばらつきが出るので,実行委員会のメンバーである伊 奈学園総合高校の先生を中心に留学生に配布するプリントを作成した。これ は,同校の日本人教員が作成した日本語での文章を元に,同校のフランス人 教員と日本人教員が共同で作成したものである。このプリントを使って,各 校でオリエンテーションをしたおかげか,2 年目は各学校での大きな問題と いうのは報告されていない。以下に配布した文章を載せておくが,フランス 語の文の下に,最初に作成した日本人教員のメモを載せておく。項目によっ て,日本語とフランス語の量が異なり,説明の仕方に違いがあって,興味深い。

De bons conseils pour un séjour réussi au Japon

1 « Les Français montrent leurs sentiments ; les Japonais les devinent. »

 Afin de conserver de bons rapports avec autrui, les Japonais ont généralement ten-dance à ne pas exprimer clairement leurs sentiments par des mots. Ils préfèrent de loin observer autrui afin de deviner leurs sentiments ; il s’agit donc davantage de faire preuve d’attention et d’anticipation envers les personnes environnantes.

フランスは「表現の文化」・日本は「察しの文化」  日本人は,和を尊び,自分の気持ちをはっきり伝えることをあまり好みません。相 手が考えていることをこちらから察して気遣いすることを大切と考えます。周りの日 本人が自分に何も言わないからといって,満足しているとは限りません。周りの人の 顔の表情や発言や場の空気から,周りの人の気持ちを察する,日本式のコミュニケー ションに今回は挑戦してみませんか?

2 « Le Japon, pays de la politesse et du remerciement. »

Faisons attention à ne pas oublier les courbettes, ainsi que les mots. 日本は礼儀や謙虚な姿勢を重んじる国です     → あいさつや「ありがとう」「ごめんなさい」の言葉を大切にしましょう。  ・明るく笑顔で挨拶しましょう。  ・お礼を言う時:何度か繰り返して言うといいでしょう。   ex 貰った時とその人とお別れする時  ・ 相手の気分を害してしまった時:言い訳は大変嫌われます。悪気がなかったとし ても,まずはしっかり謝り,その後で,悪気はなかったことを説明しましょう。 3 « Tâchons au maximum de communiquer en japonais ! »

日本語で積極的にコミュニケーションを取ろう!

 周りの人達は,皆さんが日本語の勉強をしに来ていると見ています。それなのに, 英語ばかりに頼り,積極的に関わろうとしないとがっかりするでしょう。

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れてきます。焦らずに周りの人の日本語を赤ん坊のように根気強く真似て,少しずつ 日本語に慣れていきましょう。こまめにメモを取る姿勢も大切です。

4 « A chaque maison ses règles. »

各家庭でルールがあります。そのルールを尊重して生活しましょう。

 ex。 堅い雰囲気の家なのか,気取らない家なのか,どんな家族なのかよく見極めま しょう。

5 « Tout ce qui est à moi n’est pas forcément à toi. »

 Ce qui n’a pas forcément d’importance à vos yeux en a peut-être pour d’autres.  Si vous souhaitez utiliser ou emprunter quelque chose, n’oubliez jamais de demander la permission :

家族のものに安易に触らないようにしましょう。例えペン1本でもです!   使いたい時は,必ず家族に許可を得ましょう。

  「∼を借りてもいいですか?」「∼を使ってもいいですか?」   「∼したいのですが,どうしたらいいですか?」

6 « A l’école, on fait comme tout le monde ! »

Quand vous allez commencer les cours, essayez autant que possible de vous com-porter comme tous les autres élèves. Si on vous demande de faire des choses que vous n’avez jamais faites auparavant : essayez ! Si vous ne comprenez pas le cours, tentez de passer le temps utilement, en recopiant ce qu’il y a écrit au tableau, ou en cherchant les mots dans le dictionnaire. Tentez, à votre niveau, de vous rendre chaque moment profitable.

学校では基本的に周りの生徒と同じことをしてください。

 やったことがないことでも,挑戦してみましょう。授業は分からないなりにも黒板 に書かれたことを写したり,分からない言葉を辞書で調べたりして,自分なりに出来 ることを探しましょう。

7  « Apprenons grâce aux différences culturelles. »

Souvent, vous serez sûrement très étonné de certains aspects du mode de vie des Japonais, et vous ressentirez fréquemment des chocs culturels. Mais ces chocs, ces expériences, sont en tous points positifs. Apprenons à nous amuser de ces différences sans oublier de les respecter et de tenter de les comprendre. Donc, n’hésitez pas à po-ser des questions sur ce qui vous préoccupe.

Enfin, il ne faut pas perdre de vue que se confronter à une autre vision des choses, c’est aussi une bonne occasion de mieux comprendre sa propre culture.

文化の違いを楽しみましょう!

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の違いを楽しんでしまいましょう。違う文化を尊重し,理解しようとする姿勢を忘れ ずに。疑問に思うことがあれば,積極的に質問してみましょう。また,自分の国フラ ンスの文化を客観的に考えることが出来る良いチャンスですよ! 3.2 組み合わせ  日仏の高校の組み合わせというのはたいへんな作業で,日本側の代表とフ ランス側の代表が連日のように連絡し合って,ようやく決まっている。例と して,今年度の日仏高校の組み合わせ表を掲載しておく。複数受け入れてい る学校には複数の学校の生徒を受け入れるように割り振っている。 table 2 (日仏高校の組み合わせ) 高校名 カミーユ・ クローデ ル(パリ) ジャン・ ド・ラ・フ ォンテー ヌ(パリ) ラシーヌ (パリ) ジョルジ ュ・クレマ ンソー(ラ ンス) モンテベ ッロ(リー ル) オノレ・ド ーミエ(マ ルセイユ) オノレ・デ ティエン ヌ・ドルヴ (ニース) 計 カリタス女 子(神奈川) 1 1 1 1 4 聖ドミニコ (東京) 1 1 暁星(東京) 1 2 2 5 聖ウルスラ (宮城) 1 1 伊奈学園総 合(埼玉) 2 1 3 千里(大阪) 3 3 松原(大阪) 2 2 不来方 (岩手) 1 2 1 4 宝塚西 (兵庫) 2 2 神奈川総合 (神奈川) 1 3 4 8 計 8 6 2 2 7 7 1 33  前年度と比較してみると,総留学生数 33 名(+ 5),日本側参加校 10 校 (+ 2),フランス側参加校7校(± 0)である(かっこ内は前年度からの増減)。 今年度新たに参加した日本の学校は,聖ドミニコ,暁星,聖ウルスラ,千里 の 4 校である。4 校加わり,2 校減ったので,最終的に 2 校増えた。フラン ス側参加校は,ラシーヌ(パリ)と,ジョルジュ・クレマンソー(ランス), オノレ・デティエンヌ・ドルヴ(ニース)の 3 校が新たに参加した。3 校減り,

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3校増えたので,参加総数に変化はなかった。 アンケート調査  留学生の受け入れをした日本人生徒対象に,受け入れ終了後,以下のアン ケートを実施した。 Ⅰ 学校生活について 1. 受入れ前に受け入れ先の生徒と事前交流をしましたか。また,その手段について もお知らせください。 2. 今回の交流でどのようなことを望まれていたでしょうか?また,それは実現した でしょうか? 3. 学校での留学生の時間割は,どのように組まれていましたか。その時間割につい てどのように思いますか。 4. これからフランスに短期留学をするにあたって,フランス人生徒,また家庭に望 むことはありますか。 Ⅱ 家庭生活について 5. 留学生を受け入れるにあたって特別準備をしたことはありますか。また準備をし ておけばよかったことと思われることはありますか。 6.留学生が持ってくればよかったと思えるものは何かありますか? 7.一番楽しかった思い出は何ですか。 8.文化の違いを感じた出来事はありましたか。 9.留学生が一番楽しんでいたことは何だと思いますか。 10.受入れて良かったことは何ですか。 11. 受入れて難しかったことは何ですか。 12.難しいことがあった場合,どのように解決しましたか。 Ⅲ 全般について 13. このコリブリ短期留学プログラムをどのように思いますか。自由に書いてくださ い。(システム,期間,改善点など) 14. 今回の受け入れがフランス語の学習にどのようなよい影響を与えたでしょうか。 15.受入れ前の不安や心配はありましたか。 16. 今後フランス人学生を受け入れる家庭や学生にアドバイスを書いてください。 <ご家庭のみなさま>  3週間の受け入れお疲れさまでございました。今回の受け入れ,コリブリ交換留学 についてご意見,アドバイス等ございましたら,お書きください。  アンケートも2回のデータが蓄積されてきたので,今後,データマイニン グの手法を入れた統計分析を行い,報告する予定だが,本報告では,今年度 のアンケートの中から生徒への影響として二つの項目だけ紹介しておく。Ⅱ 10の「受け入れて良かったことは何ですか」,Ⅲ 14 の「今回の受け入れが フランス語の学習にどのようなよい影響を与えたでしょうか」についての回

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答である。 <Ⅱ 10 「受け入れて良かったことは何ですか」>  「色々なことを知ることができた。フランス語だけでなく,英語の勉強にもなった。」  「異文化交流が実体験としてできたし,外国の雰囲気に少し免疫がついた気がする。」  「家族にも他国の文化を知ってもらうことができたこと。また,こちらの文化も教 えることができたこと。」  「同年代のフランス人の考えが聞けてよかった。」  「同年代の学生の生活や興味のあることなどを知ることができたこと。」  「留学生を受け入れ,共に生活したことで。日本の文化について色々再発見があっ たこと。」  「フランス語の向上と世界が見られたこと。風俗,習慣,文化の違いを感じたこと。」  「外国人が身近に思えるようになったことです。それは他の家族も同じだと思いま す。兄弟にとっても良かったです。」  「自分の家庭や生活について見直す機会になりました。兄妹達も協力してくれて, 一緒に食卓を囲むことが多かったです。」  「フランス人(外国人)ということですごく大変なイメージでしたが,それは日本 人があまりに国際感覚に乏しいことなのだと思えたことです。外国人も同じ人間,自 分たちと何も変わらないと実感できました。」  「いつも一緒ですごく仲良くなれました。また授業では,習っていない言葉等を教 えてもらったりしました。」 <Ⅲ 14 「今回の受け入れがフランス語の学習にどのようなよい影響を与えたでしょ うか」>  「生活に直接使えるフランス語を学ぶことができ,さらなる語学力の向上が必要だ と感じ,自らの勉学の意欲をかきたててくれた。」  「僕のフランス語の間違った部分を指摘し,説明し,直してくれたのでとても勉強 になりました。」  「自分はこれによりよくフランスがすきになりました。」  「自分のフランス語がどの程度通じるのか確認できました。会話する上で辞書を開 かざるを得ないので,そこでまた学習できました。」  「自然と「フランス語はこういう風に言うのかな?」と頭で考えるようになりました。 また,今後のフランス語の授業がすごく楽しみになってきました。」  「家庭では自分以外にはほとんどフランス語が通じないので,「今何て言ってたの?」 と聞かれることがたびたびあり,そういうときに ( 通訳ってこんな感じなのかな ) と 少しわかったような気がしました。」  また,受け入れ校の一つのカリタス女子高校では,4名の留学生を受け入 れた高1,高2のクラスでのアンケートを実施した。受け入れクラスとし ての意見として興味深い。留学生と話す機会を持った生徒は,高1で 93%, 高2で 97%だった。ほぼすべての生徒が留学生と話す機会を持ったことに

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なる。異文化に対する興味が高まったと答えた生徒は,高1で 86%,高2 で 80%だった。学習につながる外国語を学ぶ上で良い刺激となった生徒は, 高1で 93%,高2で 95%だった。異文化に興味を持ち,外国語を学ぶ上で 刺激になった生徒が大半を占め,生徒達にとって留学生受け入れは有意義で あったと言うことができるだろう。  また,記述回答もいくつか載せておく。  「フランス語で物事を説明する時に学校の授業で習った単語や熟語を覚えることが でき,頭で文をすぐに組み立てられるようになりました。発音に関しても毎日本場の フランス語を聞くことで少し良くなったような気がします。」  「自分がフランスへ行った時に,フランス人にこんなに日本語を話させるなんて面 倒くさい,などと思われないよう,もっとフランス語を話し,理解できるようになり たいと思いました。まずは普段体験できない生活に十分に浸り,1つでも多くのこと を吸収したいです。  「学校や家庭で,完璧ではなくてもなるべく辞書なしで過ごせるようになりたいと, もっとフランス語を勉強しようという気になりました。」 5 長期留学  長期交換留学(9 ∼ 10 ヶ月)は,短期留学の前年の 2005 年にスタート し,現在まで5組を成立させている。日本側参加校として暁星中高(東京), カリタス女子中高(神奈川),不来方高校(岩手),またフランス側参加校 は,Lycée Jean de la Fontaine (Paris), Lycée Honoré Daumier (Marseille), Antoine Watteau (Valenciennes), Magendie (Bordeaux) である。

 一番参加者の多いカリタス女子高校を例にして現在までの長期留学につい て説明しておく。 1 2006 年 9 月∼ 2007 年 6 月:マルセイユの生徒受け入れ   2007 年 9 月∼ 2008 年 6 月:カリタスの生徒がマルセイユに留学中 2 2006 年 9 月∼ 2007 年 6 月:カリタスの生徒がヴァランシエンヌに留学   2007 年 9 月∼ 2008 年 6 月:ヴァランシエンヌの生徒がカリタスに留学中 3 2007 年 9 月∼ 2007 年 12 月:カリタスの生徒がヴァランシエンヌに留学   2008 年 1 月∼ 3 月:ヴァランシエンヌの生徒がカリタスに留学中  1,2 は双方共に 10 ヶ月の留学で,パターンはちょうど逆になっている。 1はまずフランスから日本に留学して,次に日本からフランスへの留学をし た。2 はその逆である。双方の希望に合わせてこのようになった。  3 は,短い期間となり,双方共に約 3 ヶ月の留学である。後述するように, 今後のパターンとしては,1 年近い長期の留学より,3 ヶ月位の留学の方が

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留学する生徒にとってよいのではないかという意見も出ている。  実は,3 年目を迎え,長期留学の難しさも出てきているのである。一般の 留学の場合,一つの学校が 1 年間留学生を受け入れる場合は,だいたい 3 つ 位の家庭で受け入れる場合が多い。すなわち,一つの家庭で留学生を預かる のは,3-4 ヶ月ということになる。見ず知らずの留学生を受け入れる訳なの で,留学生同士と共に家庭との相性もあるし,我が子のように扱うといって も,気を遣わない訳にはいかない。フランスではバカロレア,日本では受験 との重なりも生じる場合がある。1 年という長さになるといろいろな問題が 生じて来るのである。また,一般の留学では,メンタルな面をサポートする 担当者がいる訳だが,コリブリの場合,それらの役割は受け入れ校の教員や コリブリ実行委員会のメンバーが果たすことになり,負担は大きい。もちろ ん大きな問題を生じないケースもあったが,長期留学については,小手先の 指導では運営ができないので,今後の検討課題となっている。 今後もより よい解決策を探って行きたい。 6 報告集作成  1年目の短期留学に参加した生徒,また,昨年(2007 年度)実施され た « Allons en France1»に選ばれた 2 名の生徒達の書いた報告集を,「第一回 コリブリ短期交換留学報告集/ Allons en France 2006 報告」と題して作成 した。日本では違う学校に通っている生徒たちが互いに協力して書いた,す べての日程についての報告と,個人の記録で構成されている。違う環境で学 んでいる生徒たちが,フランスの各地区の学校に行ってそれぞれ学んでいる 姿は感動的であるし,コリブリの意義そのものだと実感できる報告集である。 参加した生徒自身による記録を残すことは大切である。それを第一回目から 実施できたのはたいへん意義深いと考えている。この報告集は,カリタス女 子高校の教員,生徒が協力して作成したものである。 7 今後の展望  さまざまな問題が生じながらも,実行委員会,日仏の受け入れ各校,フラ ンス大使館の緊密な連携協力により,なんとか飛行を続けている。関係各位 からはたいへん評価する言葉を頂いているが,ボランティアによる運営を続 けていくのはたいへんである。それを支えているのは,関わっている教員の, 1 フランス外務省主催で,1998 年に開始した。世界各国の高校生をフランスに集め, 約 10 日間,さまざまな活動や交流を行う企画。

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フランス語教育に対する情熱,フランス語を学習している生徒達への思いに 他ならない。日本側は非常勤講師も多く,時間のみならず,身銭を削って国 際交流に貢献している。  その教員の情熱に答える為にも,今後は,教員の交換ということも考えて いる。相手の学校で,日本人は日本語を,フランス人はフランス語を教える 2週間があってもよいのではないかと考えているのである。現在はまだ,夢 のレベルであるが,何とか実現させたい。教員にも恩恵があって,さらに組 織が強化されるというのが我々実行委員会の考えである。そしてこの飛行を 長く続けていきたい。 参照文献 臼山利信 (1999),「日本の中等教育における英語以外の外国語教育」,東京大 学大学院人文社会系研究科米重文樹研究室,pp. 1-97. 田中陽子 (2002),「日本における英語以外の外国語教育の現状の外観ならび に EU の言語教育の理念と対策及び EU 加盟国の言語教育の状況の瞥 見」,『言語文化論研究』(九州大学大学院言語文化研究院),pp. 95-116. 山崎吉朗 (2001),「中等教育における英語以外の外国語教育についての調査 分析」,『フランス語教育』(日本フランス語教育学会),29 号,pp. 66-76. 山崎吉朗,橘木芳徳,櫻木千尋,Jean-Francois Rochard (2007)「中等教育 におけるフランス語教育の活性化に関する実践報告 ― 日仏高校交流ネ ットワーク "Colibri" について ― (Comment développer l’enseignement secondaire du français au Japon ? - Réseau franco-japonais des lycées (COLIBRI) - ) 」,Revue japonaise de didactique du français, Vol. 2, nº1 Etudes didactiques, pp. 274-286.

山崎吉朗 編 (2007),「中等教育における英語以外の語学教育」,『調査資料集』 (日本私学教育研究所),243 号,pp. 1-96.

(財団法人日本私学教育研究所,暁星高校, カリタス女子中高学校,フランス大使館)

参照

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