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冬季水田雑草群落の植生解析 1. 類似度百分率による群落の座標づけと区分-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

冬季水田雑草群落の植生解析

1一.額似度百分率に.よる群落の座標づけと区分

末 広 喜代−

〒760 高松市幸町1−1 香川大学教育学部生物学教室

VegetationAnalysis ofWinter WeedComunitiesin PaddyField

lOrdination andClassification ofComunities withPercentage Similarity

Kiyokazu StJEHIRO,βわ極わαg エαわorα己Orツ,ダαC碕γq/点血cαわ0几, 助gαぴαU花わer叫γ,乃ゐαmαと8昆760,Jqpα几 ベて合計してまとめた結果を利用した。その際 に+の階級についてほ,それぞれの種について 5ケ所のうちのいずれかに1以上の階級がある ときほ+・を無視して合計し,十の階級しかない ときは合計値を+としている。 調査資料の解析ほ,まず,次の式であらわさ れる調査地間の類似度百分率(PS)を80ケ所 の調査地について計算した。 は じ め に 以前に香川生物学会の捻会(第37回総会,1985) で,和気(1975)によって調査された水田跡の 冬季植生の植生調査資料を解析してその結果を 口頭発表したことがある。そのときは,和気の 区分による(乾)地区の資料と(湿)地区の資 料しか解析に用いなかった。今回,これまでに 行われた香川県下の植生調査結果を解析するた めに作成したパソコン用プログラムの動作チェ ックもかねて,和気の上記資料をもう一度解析 しなおした。その際に,(乾)(湿)地区だけ でなく,和気(1975)によるすべての調査資料 を解析対象にした。作成したパソコンプログラ ムそのものに.ついてほ別の梯会に.詳しく紹介す るつもりだが,今回ほ,ほぼ第37回の総会で発 表したのと同じ解析方法によって解析したかぎ りの結果について報告する。 調査資料と解析方法 解析対象とした植生調査資料ほ和気(1975) が1975年1月25日から1月31日までの間に,丸 亀市,善通寺市,満渡町,琴平町の2市2町の 80ケ所の水田でえたものである。それぞれの水 田で1m2のコドラ・−トを5ケ所とり,被度調査 を行っている。被度は5,4,3,2,1およ び+の6階級の区分をしている。同じ水田でも コドラ1一トをとった場所によって違いがあるも のと考えられるが,解析にほ5ケ所の被度をす 2∑min(扇,γi) P S = ∑(ズi+γi) ここで,ズiおよびγiほそれぞれ2つの調査 地,ⅩおよびYにおけるi種の畳をあらわし, min(ズi,γi)は2つの調査地のi種の畳のう ち小さい値をとることをあらわす。2つの調査 地の畳のうち小さいはうの値をすべての種につ いて積算した値を両調査他の量をあわせた値を すべての種について積算した値で割ることによ つて2つの調査地間のPS傾がえられる。PS の値ほ2つの調査地のすべての種の畳が完全に 一・致すれば1となり,全く一・致しないときは0 となる。通常ほ上式によってえられるPSの備 に100をかけた値が類似度百分率として用いら れるが,ここでほ上式でえられる値をそのまま もちいた。調査値の畳として,それぞれの水田 の5ケ所の被度の合計値をもちいた。そのとき, +ほ01として計算した。 え.られたPS値をもとにして,Bray&Curtis (1957)の方法で調査地の座標づけを行った。

(2)

区分によると乾地区に属し,142ほ湿地区に属 する。この2つの調査地をⅩ軸の両端にとると, Ⅹ軸の中心付近に座標づけられるが最もPS値 の小さい組合せとして,調査地番号110と151 の調査地がえらはれた。110ほ乾地区に属し, 151は普通地区に属する。同じく,この2つの 調査地をY軸の両端にとり,すべての調査地を 座標づけると図1のようになった。また,えら れたデンドログラムほ図2にしめした◇ デソド ログラムによれば80ケ所の調査地ほ大きく4つ のブル・−プに分けることができる。調査地番号 103から136までの16ケ所をふくむグル・−プを Aグル、−プ,104から120までの51ケ所をふく むグル・−プをBグル1−プ,115から177までの 9ケ所をふくむグル・−プをCグル・−・プ,112か ら179までの4ケ所をふくむグル、−プをDグル −・プとすることにする。グル・−プを連結すると 座標づけのⅩ軸の両端にはお互いの間の額似度 百分率の最も小さい2つの調査地をとった。Ⅹ 軸の中心から最も近い調査地を5つ選び出し, それらの5種間でお互いの類似度百分率が最も 小さい2つの調査地の組合せを選び,Y軸の両 端とした。 さらに,Mountford(1962)の平均連結法 よって類似度百分率をもちいて調査地間のデン ドログラムを作成し,それをもとに調査地のグ ル・−・プわけを行った。これらの詳しい解析方法 ほ,書良(1959),伊藤(1977),木元(1976) などを参照されたい。 結果と考察 PS値を計算すると調査地番号168と142の 間の値が最も小さく,PS−1ほ0.9916となっ た。168の調査地は和気(1975)の土壌乾湿度 ●

。 旬

0142 C ¢ ¢

0.6

0.8

1.0

Ⅹ 軸 O

G2

図1.調査群落の座標づけ結果.囲中の記号の違いはデンドログラムによって分けた グル・−プの遣いをしめす.黒丸はAグループ,白丸はBグル1−プ,中黒丸はCグ ル・−プ,半黒丸はDグ′レープに所属する調査地をしめす.左肩に数字があるのは Ⅹ軸およびY軸の両端にとった調査地の番号をしめす. −28−

(3)

Bケル、一・プ

Aグループ

Dグル、−プ

112 119 160 179 0.く

0.2

1.0

0.8 0.6

グループ間の関係

享≒司

0.6

0.4 0.2

1.0

0.8 0.6

0.4

図2 調査群落間の関係をしめすデンドログラムの結果.A∼Dは4つにグループ分けし たときのグループ名を,デソドログラムの下のスケールほ類似度百分率の値をしめす.

(4)

きの類似度百分率の最小値は112をふくむ2ケ 所と160をふくむ2ケ所を連結したときの02839 であり,かなり類似度は低い。図1には4つの グル、・・・・・プにふくまれる調査地をそれぞれ異なっ たマ・−クでしめしている。図1をみるとAグル ・−・プの調査地は座標の左上に位†匿づけられ,B グル・−プの調査地は座標の右下に位置づけられ, CグループおよびDグループの調査地ほ両グル ープの中間に位置づけられることがわかる。 図1のように座標づけされ,図2のようにデ ンドログラムが作成されても,これだけでほ座 標づけやグループ分けの結果が満足の行くもの であるかどうかを判断することほできない。そ のため,4つのグル・−・プごとにそれぞれの出現 種の被度の平均を計算した。その結果は表1に しめした。表1に.は全調査地を基準とした出現 頻度が20%以上をしめる17種についてしめした。 被度の平均値が他のグループより大きい種とし て,Aグル1−プでほスズメノカタビラ,ナズナ, ホウキギクの3種が,Bグル・−ブではスズメノ チッポウ, ハハコグサ,ハタケゴケ,レソゲ, ヤハズノェソドゥ,タガラシの6種が,Cグル ・−ブではクネッケバナ,オ■オアレチノギク,ト キワハゼ,ノミノフスマ,ツメクサ,オランダ ミ ミナグサ,ヒメムカシ′ヨ∴モギの7種が,Dグ ル・−プでほセリの1種のみがあげられる。これ らの種の中で最も被度の高い種,すなわち,A グル・−プのスズメノカタビラ,Bグ′レー・プのス ズメノテッポウ,Cグ′レープのクネッケバナ, Dグル・−プのセリほそれぞれのグループの群落 を代表する優占種ということができる。ただし, Dグル・−プではセリよりもむしろスズメノチッ ポウのほうが平均被度ほ高い。蹄似度百分率の 計算はすべての出現種を対象にしているが,こ 表1デンドログラムをもとに群落を4つのグル・一プに分けたときのグル−・プ 構成種の被度の平均値.全体の出現頻度が20%以上のものについてしめす、 グ ル、− プ 名 A B C D 捻出現 ふくまれるワク数 16 51 9 4 ワク数 スズメノカタビラ 16い75 2.13 193 003 66 ナ ズ ナ 2.76 066 2.11 000 29 ホ ウ キ ギ ク 029 012 018 0 03 42 スズメノチッポウ 8.83 17.28 ハ ハ コ グ サ 0…09 O 20 ハ タ ケ ゴ ケ 2,76 3..03 レ ン ゲ 045 0.98 ヤハズノエンドウ 0.28 O 38 1 3 3 8 6 0 0 1 6 1 7 0 ■1 0 0 4 ︵U l⊥ ∩ひ ︵U α 5 0 5 5 0 0 0 3 5 0 3 3 8 3 7 2 3 1 0 7 2 6 7 6 007 0.27 022 タ ガ ラ シ′ ク ネ ッ ケ バ ナ オオ・アレチノギク ト キ ワ ハ ゼ ノ ミ ノ フ ス、マ ツ メ ク サ オ・ランダミ ミナグサ ヒメムカショモギ 371 1.27 1089 3.71 3“42 5 22 0 01 0 01 0.71 1.08 0.66 2。13 0。02 022 0.36 026 027 2.01 005 015 019 5 3 5 7 0 0 1 0 0 7 6 1 6 3 2 3 5 8 6 5 3 7 9 0.13 024 057

(5)

それ以外の白丸は普通地区である。図3をみる とかなりのはらつきほあるが,図の左のはうに 乾地区およびやや乾地区の調査地が座標づけら れ,右のはうに湿地区およびやや湿地区が座腰 づけられる傾向にあることがわかる。 Aグ′レープの調査地16ケ所のうち688%が乾 およびやや乾地区で,12ノノ5%が湿およびやや湿 地区であった。またBグループの調査地のうち 19.69乙が乾およびやや乾地区で,451%が湿お よびやや湿地区であった。このことより,スズ メノカタビラで代表されるAグループの調査地 ほどちらかといえば乾燥した水田で,スズメノ テッポウで代表されるBグループの調査地ほど ちらかといえば湿った水田であることになる。 Cグル−ブでは9ケ所のうち22.2%がやや乾地 区で,556%が湿およびやや湿地区であり,A, B両グル・−プより湿った水田に多く見られる。 だが,表1よりCグル1−プを代表するクネッケ れらの平均被度の高い種の被度の大きさによっ て各調査地がどのグル・−プに.所属するかが決っ てくるものと考えられる。 和気(1975)は今回の解析の対象とした原資 料をとる前に,湿っているほどスズメノチッポ ウが多く,乾燥するにしたがってスズメノカタ ビラが多くなると予想していた。グル・−・プ分け の結果はその予想が正しかったことを一面では 裏付けることになっている。和気(1975)は調 査地を土襲水分条件によって,乾,やや乾,普 通,やや湿,湿の5つの地区に分けている。こ れらの区分ほ特に土壌の含水量を調べたもので ほなく主観的なものであるとことわっているが, 調査地の環境条件の大ざっばな指標にはなるも のと考えられる。図1でしめした座標づけされ た調査地に,この区分を記入したのが図3であ る。図3では乾地区とやや乾地区∵をまとめて黒 丸で,湿地区とやや湿地区を中黒丸でしめした。 0

● ● 0◎

●● ヽ

◎ 旬

◎● 0 ◎ lU ● ● ● ○ ♂ ●○ ●一 ● ●

0.6

0.8

1.0

Ⅹ 軸 O

G2

0..4

図3 調査地の土壌乾湿度条件,黒丸は乾およびやや乾地区,中黒丸は湿およびやや 湿地区に属する調査地をしめす.

(6)

バナがBグル・−プよりAグル・一プに多いことか ら座標づけの結果どおりA,Bの中間のグルー プと考えられる。Dグル・−プに属する4つの調 査地のうち3つが湿地区の,残りの1つがやや 湿地区の水田であり,Bグル−・プよりさらに湿 った水田の群落であるといえるが,Cグル、−プ と同じようにA,B両グル−プの中間に座標づ けられている。Dグル・−・プに属する調査地はわ ずか4地点と少ないためにこのような結果がえ られたものと考えられる。また,Dグル・−プが まとめられたときの類似度百分率ほ0.284と他 のグル−−プがまとめられたときにくらぺて小さ く,グル・−プ内の類似性ほあまり高くない。こ のようなセリで代表されるDグループに属する ような群落の調査資料をもっと多く集めてより 詳しく解析する必要がある。各グ′レープの平均 出現種数はAグル・−・プが1019種,Bグ′レⅧ−プ が10.69種,Cグル・−プが1556種,Dグル・− プが9日75種であった。Cグループが最も種数が 多く,Dグル・−プが最も種数が少ない。 図1でしめされた各調査地の具体的な座標上 の位置や表1で示された平均被庶の具体的な数 億のような細かい結果の違いはあるものの,以 上の結果の大筋ほ香川生物学会の総会で発表し た乾地区と湿地区の29地点の植生調査結果より 解析した結果とはとんど同じである。したがっ て調査資料の多少に関わらず以上の結果ほかな りの妥当性をもっているものと考えられる。 要 約 和気(1975)によってえられた冬季水田跡雑

草群落の植生調査資料を,群落間の類似度百分

率をもちいて,BI・ay−Curtis(1957)の方法に よる群落の座標づけとMontford(1962)の平 均連結浩によるデンドログラムの作成を行うこ とによって解析した。デンドログラムの結果か ら調査群落ほスズメノカタビラ,スズメノチッ ポウ,クネッケバナ,セリで代表される4つの グル・−プに分けることができた。これらのグル ・−プほほぼ別々の位層に座標づけられ,スズメ ノカタビラで代表されるグル・−プはどちらかと いえは乾燥した,スズメノチッポウで代表され るグループはどちらかといえば湿った水田によ く見られた。クネッケバナ,セリで代表される 群落は両者の中間に位置づけられた。 文 献 Bray,).R.andJ.T.Curtis.1957”An ordid nation of the upland for・eStCOmmunities Of southern Wisconsin.Ecol.MoTWg.27: 325−349. 伊藤秀三.1977.群落の組成研究.伊藤秀三(編) 「群落の組成と構造」:1−75.朝倉書店, 東京. 木元新作.1976,動物群集研究法l一多様性と 種類組成−.192pp…共立出版,東京. 吉良竜夫.1959い植物共同体の分析と総合.沼 田其(編)「植物生態学〔1〕」:380−429古 今書院,東京. Mountford,M.D.1962Anindex of simi_ 1arityand ̄its applicationto classificatory

problem.In P.W.Murphy(Ed.),jケogress £花Soig Zoo∼噌γ:43−・50Butterworths, London.〔木元(1976)より再引用〕 和気俊郎.1975水田あと他の冬季植生.香川 県の植生 2:37−82(謄写印刷) 一32−

参照

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