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柿炭疽病菌の菌糸体発育に及ぼすphenol性物質の影響並びに同菌BAVENDAM反応について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

香川大学農学部学術報薯

柿炭痕病菌の菌糸体発育に及ぼすpbenol性物

質の影響並びに同菌BAVENDAM反応につし

谷 利

Effects of phenolic compounds on mycelialgrowth ofGloeosPoriumkakicausing

kakianthracnose,and BAVENDAM,s reactioh ofthe ca11Salfungusて Toshikazu TANI(Laboratory of Phytopathology)

(Received December24,1956) 169 Ⅰ 緒 柿は代襲的peIOXidase植物とされているから,そ・の東実はtannin以外に,多くのphenol他物質を含有している事 が予想せられる・叉,病原歯が柿果に侵入したため紅,より小分子のphenol性物質がtanmin の分解によりあるいは 新しく生成される可能性も考えられる・一・方叉,植物病原菌の発育に及ぼすphenol性物質の阻害力にほ著るしい差異 がある革も既によく知られているところである1従って,柿果の炭疫病に対する抵抗性の−・因としで,果肉phenol性 物質による菌の発育阻奮が考えられるので,その基礎的資料をうるために,培地中におけるphenol性物質の本菌発育 に.及ぼす影響について実験を行うと共に,同物質の酸化過程に・関与するphenoloxidaseについでもBAVENDAM反応 により観察した・叉,aSCO王b;cacidがphenol性物肇の作用並びにBAV苧NDAM反応に及ばす影響庭・ついても実験 し,2,3興味ある結果をえた・ここに.その大要を報告する・ 本文を草するに当り,指導と鞭捲をたまわった本研究室内藤中人教授,実験に協力せられた専攻生堀井隆司票に深謝 する ¶ 実験方法及び結果 1.pllemOl性物質添加培地における菌糸体の発育 本研究室で分灘したNo1号薗を供試したRICHARDS寒天培地を基本培地としpH6い0に調製して2匝l殺菌後, 寒天の凝固せぬ問に薬剤を添加してよく振擬し,再びpH6○に・調製後20分間コッホで殺菌した稀薄な薬剤区では薬 剤のacetone溶液を計浄蚤培地に填入し上その際対照区にほ等鼠のacetOneを添加したが,供試演庶の範囲内でほ, acetoneに.よる発育阻害は殆んどみとめられなかったnvitamin KB(2−me坤yトl,4−naphthoquinone)ほacetone に.懸 濁状態であったが,そのまま分注した」ぺトリ皿に250Cで5日培養後薗叢の直径を測定し,対照区を⊥00とした指数で 阻害度を比較した(第l図)l発育阻苔中央薬鼠molに・基づく各菜剤阻害力の強さほα−naphthol>vit・K8>pyro・ gallol>P−CreSOl>phenol>pyrocatechoi>hydroquinone>rcsorcinol>salicylic acid>phloroglucinol>gallic acidの 順であるが,発育を完全に・阻害する濃度も,pyrOCateCholと.phenol,及びpyrogallolとP・・CreSOlが逆になっている ほかほ上記序列に.−・致している 市販tannic acidも同時に供試したが,ユ,0り25%添加区はそれぞれ690,95n7の指数を示し,即ち他の発割に比 べてそ虻阻害カはあまり強くないものと言えよう本結果を同じく市販tanninに関する鋳方(2)の報告と比較するのに., 抑制ほ梢々低いが抑制力の高くない点でほ一徹している 2・本菌の示す’BAVEm址M反応 前項の実験において培地中に観察されたBAVE王ヾD・AM反応ほ.罪1表の通りである即ち,本薗ほⅠeSOJCinol,hydI0− quinone,ga11ic acid,tannic acid及びα1naphthol添加区に本反応を示す中でも,gallic acidとtannic acidの酸 化措ほ漆黒色で,曜病果病魔の色と.類似していた・本研究室で分離した他の4種類の蔚に・つレ、ても同反応を試みたが(第 2表),名分離歯とも1号菌と.同じ色の酸化帯を形成した 3・・pbe王101性物質の阻害力並びにBAVENDAM反応に及ぼ㌻aseorもic acidの影響 前項同様のpheno卜牲物質添加培地にaSCOrbic acidを泰如し,ユ〕舟t冒コッホで叔薗した低濃度区ほ水溶液紅して 所定此度に.なるよう培地に加え,又・その恭加温勅書地内p:13n〇1性勿贅と等molにしたなお旗作に.用いた蒸溜水,

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

ユ69

第8巻 第2号(1957)

Reagent concentration(mol)

Fig.1−−h−”Retardation of myceliaユgrowth of the calユSalfuzlguS by phcnoユic compounds in RICHARDS’synthetic medium.

Tablel.NBAVENDAM’sIeaCtipn of the causalfungus grown on culture media containing phenolic compounds

Reagent concentration Color reaction Color of oxidation zone Reagent added Pbenol かCresoI Salycilic acid Py【Oea土echoI ResorcinoI Hydroquinone PyIOgalloI PhloroglucinoI Gallic acid α・NapbtboI Tannic acid M/100∼M/320〇 M/40〕{−M/ユ.6CO M/25㌣M/40つ M/.三○〕∼M/3200 M/50∼M/10〕 M/50∼M/300 M/40〇∼M/64∝) M/25∼M/10つ M/25 M/32C〉つ 1%∼0.5% 一⋮=≠‖骨 帆一≠ + ≠ apIicot鴇 apIicot鴇 daIk brown blue puIple daIk bIOWn キTIle Roya王Ho∫ticultufalSociety:Horticu】tllral(0lorC】1a鳥,ユ93∈∋

Table2′−BAVENDAM:’s reactionりf someisolates grown on culture media containing phenoユic compounds

BAVENDAM′s reaction 工)ays necessary to pIOduce oxidation zone Reagent Reagent

added concent【ation 1 2 3 4 5 Isolate No 1 2 3 4 5 Isolate No.

♪・CIeSOI M/6∞、 Hy山OquiIlOne M/1∞ †ト ♯ 」十 ≠ 」十 3 Gal1ic acid M/25 廿 ≠ +卜 ≠ +ト 3 α・NaphtI10i M/40∞ + + + ≠ + 10

一33ヱ

一3 4 3 一3 4 7 一3 3 3

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(3)

170 香川大学農学部学術報告

Table3.叫Effect of ascorbic acid to retarding action of phenolic compounds and BAVENDAM,s reaction

BAVENDAMTs reaction of mycelial growth

Reagent Reagent

added concentration present AscoIbic acid absent contIOl★ present absent Ascorbic acid

♪・CIeSOI M/600 48 HydI oquinone M/1∞ 36い3 Pyroga1loI M/800 4a9 Gallic acid M/25 7l.4 α・NapbtboI M/40∞ 一10フいフ 4β ヰ5± 5 3 88 OU 9 1 2 4 1 8 ㌻甘 Ⅷ ≠+ 一一一一−

龍Phenolic compounds absent

器具等はあらかじめ殺菌しておいた.歯音の発育は250C5日後に測定し,BAVENDAM:反応は毎日10日間観察した

(欝3表ト

α−naphthol及びpyrogallol培地においては,aSCOrbicacid添加により菜剤の阻害力は著る

α・naphthol培地でほBAVENDAM反応が消滅して:いる.しかしhydIOquinone培地では,酸化帯は消滅するが阻害力 にほ変化がない1酸化帯の消滅ほこのはかgallic acid培地でもみられたなおP∼CreSOl及びgal1ic acid培地では抑 制力の増加を示しているが,これは必ずしも各ぺトリ皿共通の傾向ではなかったので有志的な差異とほ考えられない Ⅱ 考 察 本薗ほpH6‖0のRIC‡IARDS寒天培地中でα−naPhthol,Vit.K8及びpyrogallolに.より著るしく発育を阻害さ れ,1,−CreSOl,CateChoI,Phenol及びhydroquinoneによっても比較的低濃度で抑制される・叉,柿tanninのShibuol を棉成する分子と考えられている(11)phlozoglucinolと.galticacidほ.他のPhenol性物質に此ぺてその 弱いようであるい この事ほ,柿果中のtannin含量と抵抗性の問に相関性が見出せない事実く2,12)とも・一致して興味が ある・全般的に.みて,本実験結果からほ薬剤の菌体発育阻害力と.−OH基の数,あるいは位置との関係は見出せないよ うである」糸井(3)ほ.杓挽物=必備㈹の発育に及ぼすpolyphenol成分の影響を明らかにしているが,それらの示す抗 菌性ほ必ずしも本実験結果と−敬していないこれほ供試菌の相違濫.よるものであろう phenol怪物貿の阻害力に影響する要素の−てっとして,これら物質の酵素的酸化還元による変化が考えられるl即ら RIC=ら(8)によれほ,1accaseの活性な阻害しないphenoIsほIaccaseにより酸化されてquinonesとなり無毒化す る一一一L方,ScHAAL ら(9)ほquinone型のカがphenol丑ほりもSiYePiomycesscabies に対しで毒性が弓糾、と報告して いる∩ このように.,Phenoloxidaseの存在下でphenol怪物質ほquinone壁肱変化して薗に対する作用力を減少ある いほ僧加するようである・一・方又,phenoloxidaseがphenol怪物貿に働いて酸化が起ったとき,aSCOrbicacidが酸 化物として再びphenol型に還元する車が知られているしたがって,phenol怪物貿の菌に対する作用は,,phenol OXidaseとaSCOrbic acidの関連下に考えられなけれぼなるまい・I本薗が或種のphenol怪物質な酵素的に酸化する能 力を看する軍ほ本実験のBavendan反応より明らかであるが,柿果中には又phenoloxidase(11)及び多鼠のaSCOrbic acid の存在が知られているしたがって,phenoloxidaseと.ascorbic acidに.よるphenol性物質の酵素的酸化と酸 化物の還元が本菌の発育に如何に影響を及ぼすものであるかを,aSCOIもicacidを添加した数種の pbenol性物質含有 培地について明らかとしたそれによれば,α−naPhthol及びPyrOgallolの阻害力はaSCOrbic acidの存在により著る しく減少する.その場合,α・naphthol培地でほBAVENDAM反応が消滅しているから,酵素的に酸化されたα一Lnaph・ tholは再びascorbic acidに.よって還元されるものと推察される‖α−naphthol培地におけるこの現象はScHAALら(9) の説に一致しているようであるが,hydroquinone培地ではBAVENDAM反応が消滅するにもかかわらず阻害力の減少 がみられず,叉木菌のBAVENDAM反応に関与しないと思われるpyrOgallolがascorbic acidの存在によりその阻害 力を半減している事実ほ,aSCOrbic acid が単に.quinone−phenolの反応過程にのみ関与するものではない車を暗示し ているように思う.いずれにしても,aSCOrbjc acidは,菌に.及ぼす或種のphenol性物質の作用に影響を与えるよう であり,in vivoにおけるその存在は重要な意味をもつものと推測される

BAVENDAM反応に関与する酵素として,1accaseと tyrOSinase が知られているが,樋口く1)によれは,α・naphthol ほIaccaseが,又P・CteSOlはty【OSinaseが反応する本菌はα−naphthol培地紅明瞭な酸化帯を生じ,P・CreSOi増

(4)

第8巻 第2骨(通57) 1フ1 地では形成しないのであるから,本菌ほIaccase、を体外に分泌するものと思う 田中(11)に.よれほ,柿果肉ではquer■Cetinのような3′,4rのイ立置に・・OH基をもつ物質の酸化還元が行われ,呼吸系に 介入すると考えられている.したがって,不菌酵素紅よるpbenoト牲物質の酸化現象ほ直療喪主の代謝に影響する可能 性あるものと.考えられる 永田(6)ほ,茶菓に炭療病菌が侵入すると,抵坪牲品種の曜病部にtanninの集積が起り,gal事icacidの増加する歩か

ら,g叫1icacid含有量が直接抵抗性と関係がある浴しいとんている・このはか,寄主組織に薗の発育を阻害するpbenol

怪物質が含まれているとする報告ほあるカ苧(4,去,7′13)多くの研究者はこれが寄主内で直療菌を阻害して抵抗性の原周を なすものでほないと考えてい畠ようであるく10)‖本薗に対して.寄主のphenol性物質が如何なる役割をはたしているか は今後の研究にまちたい 摘 要 11RIClIARDS培地に各種phenol性物質及びVitaminⅨ8をそれぞれ添加して,柿炭痕病菌の菌叢発育に及ぼす 影響を明らかにした・菜剤の種類によって阻害力は著るしく異なるが,Shibuolの構成分子とされているga11icacid 及びphloIOg王ucinoiほ概して阻害力が弱い 2= 本歯は,α・naphthol培地でBAVENDAM反応を示すがb−CreSOl培地では示さないので,培地中にIaccaseな 分泌するものと思う1本反応はreSOrCinol,hydroqui血ne,gal1icacid及びtannicacid培地でもみられた・ 3い aSCOrbic acid添加培地では,pyrOgallol及びα−naphtholの阻害力ほ著るしく減少するr しかし,この現象は b−CreSOl及びhydroquinoneにおいてほみられず,又ascolbicacidの存在に.より.培地のBAVENDAM反応は消 する・以iの事実ほ,柿果に存在するascorbicacidが∴菌に及ぼすphenol性物質の作用に対して∴重要な意味をも つ事を示唆しているものと思う 331∼64(1944〉(Cカβ玖A坤リ39,23∞了,・1945) (8)RICZI,St,HoRSFALL,,.,GL:myiq?aihn,42・473 (1952)(Abst・). (9)ScIIAAL,LG・,JoHNSON,G・:my10Path・・45・ 626∼628(1955)・ (10)下村徹,山口昭.戊谷郁三,平井馬三:日植病報・ 20,4フ∼53(ユ955). (11)田中正三:化学,g,818∼821(1954)・ (1辺 谷利一:未発表・ (1劫 豊田栄,土井養二,後藤和夫:日植病報・18,162 (1954)(講演要旨) 引 用 文 献 (1)礪口隆昌,北村和久:日林誌.35,350∼354(1953). (2ト鈴方釆彦:柿の重要寄生性病書紀関する病理並に治 病学的研究,12フ∼168.東京,賛質堂(1942) (3)糸井節美:日植病報,28,38(1955)(講演要膚) (4)国枝鉱造,藤井良民:日植病報,19,16フ,(嘩5) (講演要旨). (5)西田吃二:日林誌,33,390∼393(1951)・ (6)永田利美:日植病臥19,65(1954)(講嘩要畠)・ (7)RENNERFERT,Eり:肋♂d.5毎げ∂γざ抽ね〝ざ≠, R畠s u m色

Thepresent paperdeals withthere印1ti、Of experimentsonsomephysiologicalcharacters of Gloeo・

坤OYiumkakiinthesyntheticmediumcontain頓gphenoliccompounds・

1..11phenoliccompoundsandvitaminKiwerearrangedasfollowsinorderofthei=etaLdinge鮎ctive・

ness on mycelialgrowthofthepathogen;α・lnaphthol>vit」Ks>pyrogallol,b・CIeSOl>phenol,pyrOCateChol> hydroquinone>resorcinol>sa−icylicacid>phloroglucinol>gallicacid… Gal1icacidand phloroglucinoIwhich

havebeenthoughttobecomponent partsofshibuolretarded the growth sli幽tly more than did other

血ags.

2.BytheBAVENDAM・sculturemethodlaccasereactionofthecausalfunguswaspositive・Substrates,

suchasresorcinol,hydzoquinone,gallicacid,tannicacidandα・・naphtholreactedpositivelyshowingoxidation

2;Onein agar medium

3.In medium containing ascorbic acid some phenolic compounds were detoxi&edlHowever,Other

phenoliccompoundsdidnotdecreasetheirtoxicityinspiteofthepresenceofascorbicacidlWhereascorbic

acid exists,BAVENDAM,s reactiondisappearedinallmediacontaining materialswhich were positivein

BAVENDAM,s reaction

Thesefactssuggestthatfungitoxicityandenzymaticoxidationofphenoliccompoundsmaybeinnuenced

by ascorbic acidwhichis containedinkakifruit.

参照

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