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アカマツ花性分化の人工管理(V) : 花性分化と呼吸について

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Academic year: 2021

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アカマツ花性分化の人工管理(V)

花性分化と呼吸にっいて

橋詰隼人鳴取大挙農学部造桔学研究室)

Artific輌al Control of Sex Differentiation in Japanese Red P輌ne Strob玉li(V). On the Relation between Sex Differentiat輌on and Resp註at三〇n in St主obili.

       Hayato HASHIZUME

(Laboratory of S三1viculture, Facu姪アof Agriculture, Tottori University)

       1961年12月20日受理

1 緒 言  筆者はこれまでにアカマツ,クロマツの花性分化の人 工管理の方法,花性分化の形態的様式および花性分化を 支配する生理・生態的条件等について報告してきた が2−5)8−11),今回,花性分化と呼吸の関係とくに花性分 化期における雌花,雄花,雌性化花の発育と呼吸の変 化,さらに雌性化誘起に有効な人工処理の方法が花の呼 吸におよぼす影響についてしらべたのでその結梁を報告 する。  本稿を草するにあたり,原碕の校閲を賜わつた近藤芳 五郎致授に感謝の意を表する。 互 材料およひ測定方法  呼吸の測定にもちいた球花は3∼5月の花性分イヒ期に 8年生アカマツおよび13年生クロマツから採取した.呼 吸の測定にはワールブルグ検圧計をもちいた。1回の測 定にもちいた球花の鑓は測定の時鄭],時聞,温度等にょ って多少ことなる。その範囲は3∼30個(乾互20∼100 xng)である。なお試料の採取にあたつては個体差をなく するよう十分注意した。測定は1958年の実験は15℃で 垣援おこなつたが,1959年の実験はM/30燐酸緩衝液 (pH6.0)に試料を浮かせ,実験2以外は30℃で測定し

た。CO2の吸収剤には10%KOH溶液をもちいた。測

定時聞はn∬振20∼3G分で実験3以外は通常1時川とした。 測定の終つた試料は95℃で24時li混燥して乾重をもと め,乾玉1mgあるいは10mg当りの単位時間の酸素消 費量を算出した。なお測定は同一鍵験について4∼5回繰 返し,その平均値をとつた。       ∬ 結果および考察 鳥農学報,XW  1.花性分化期における花の呼i吸変化  3月上旬∼5月上旬の花性分化期におけるネεの呼吸変 化はF{g、1∼4にしめすごとくである。  Q3・o o【口 ρb刀 ミ’田 主彦 ≧か・。 日で さお 皇 、.。 £ 合 δ Fig、1. The change of respiration in Japanese red  pine strob三li during the period of the sex di{−  ferentiation. Oxygen uptake was measured at  15°C. ぷ《鳶 ゜聯.。 bβ’c 日≧  長 〉、ム・o ㌻壱 巨

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5

合 δ       Date Fig. 2. The change of respiτation ill Japanese red   pine strob三li during the period of the sex dif一   まerentiation. Oxyg頭uμake was measured at   30°C.  アカマツ:15°Cで直接測定した場合(Fig.1),雄花 の呼吸量は3月下旬から急激に増加し,花肪母細胞減数       ]962

(2)

惑 姦 ・織 諺

アカマソ花性分化の入ヱ管理(V)

(99) 分裂期直前こ最大にたつした。減数分裂期にはや、減少 したが,その後花粉形成期にやS増加の傾向がみられた。 しかし,間花の直前にはふたたび滅少した。雌花の呼吸 {召ま4月20日頃までは著しい変化がみられなかつた。し かし,開花期に急激に増加し,閉花期には減少した。入 工的に誘起された雌性イヒ花では雌花と大体同様の変化が みられた。30°C,]W30燐i酸緩衝液(pH6.0)で測定 した場合(F三g.2)も15°Cで直接測定した場合と大体 同じ傾向がみられた。雄花の呼荻巳は3月下句から■、速 に増加し,4月上旬花粉母細胞減数∠〕裂期直前に最大に たつした。その後,滅数分裂期にやや滅少し,花紛形成 期にふたたび増加した。雌ネ§の呼吸品も3月∨獅ηから急、 速}こ増加して開花期に最大にたつした。雄性化花では難 花と大体岡繰の変化がみられた。以上の結製から雄花と 雌花の呼阪iξを此軽iすると,花翰母ξ聞泡減数分多2期前は 雄花の呼吸⊇が離花のそれよりも大であつたが,分裂期  (3’o b力田 日bO 〕ゴ田 兵ら ご込2・° 日壱 ε一

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警 δ       Date Flg.3. The c細nge of respiration {n Japanese   black pine str・bi▲i during the peri・d・f the sex   differentlatiの. Oxygen uptaRe was measured   at 15°C. ? 亙 皇 ε ぎ 已 ☆ ξ 筆 巨 ) 皇

5

合 δ 6.0 5〔0 ち.0 3・O. ク炉c㌘ ユ.0        Date Fig.4. The Change Of reSpirati・n in JapaneSe   black pine str・bi王i during the peエlod of出e sex   differ頭tiat迦. Oxygen uptake was measured   at 30°C. 後は反対に雌花の呼吸蚤が大となる傾向がみられた。  クロマツ:15℃で直接測定した場合(Fig.3),雄花 のll乎吸}1丈3月中句から次第に増加し,花紛母栢1胞滅数 分裂期直前に最大となった。減数分裂期にはやや滅少し たが,花粉形成期にはふたたび増加の傾向がみられた。 しかし,1フd花の直肺こは減少した。雌花の呼吸量は4月 上旬までは著しい変化がみられなかつたが,4’月中旬頃 より急速に増加して開花期に最大にたっした。閉花期に は滅少した。雌性化花も雌花と同様4月中句から急速に 1呼吸叢をまし,開花期}こ最大となつた。30°C,M/30燐i 酸緩衝液(pH6.0)で測定した場合(封g.4),雄花の呼 吸変化は15°Cで直接測定した場合と大体同じ傾向がみ られ,花の発育にともなつて急速に増加して,花粉母細 胞滅数分裂直前と直後にピークがみられた。しかし,雌 花の呼吸は15℃で直接測定した場合とことなり,3月 上句から開花期まで著しい変化がみられなかつた。なお 雄花と雌花の呼吸星を比較すると,クロマツでは花性分 花期間をつうじて雄孔よりも雌花の呼政五が大であつ て,アカマツよりも一1司弱白に雌雄聞に差がみられた。  以上の結果で,15℃で直接測定した場合と00°C, M/30燐酸緩衝液上で測定した場合とで,呼汲の時期的 変化に多少相圧がみられる。後者の方法では,雄花の減 数分裂直後およびクロマツ雄花の開花期前における呼吸 量が前者の場合よりも一般1こ大となつている。これはお そらく測定温度あるいは緩街液の有無による測定条件の ちがいによるものと思われるが,しかし,球花の発育過程 (前報2・5)参照)と比較すると後者の条件で測定した場合 の方がよく一致する。すなわち,雄花の花粉母細胞減数 分裂直前における呼吸盛期は造胞組織増殖期から花務母 細胞形成期に相当する。また滅数分裂後における呼吸盛 期は花粉の形成・生長期と大体一致するものと思われる 。雄花の開花前から聞花期にわたる呼汲盛期は種鱗分化 期から胚珠の形成をへて開花までの時期に相当する。こ の時期には雌花はその各部の分化にともなつて急速に生 長する。  2.雄花の呼汲におよぼす温庭の影三  筆者は前報3)の実験で,花務母細胞滅数分裂直前に雄 花の着生した新条に紙製袋をかけ雌性化花の誘起に成功 した。その場合,袋掛によつて起る花性転換は袋掛によ る光の強さの減少と温度の変化に関係があるように思わ れることを述べた。したがつて,今回温度の変{ヒが雄花 の呼汲におよぼす影響についてしらぺた。  花紛母細胞滅数分裂直前の雄花をM膓30燐該緩衝液 (pI{6.0)に浮べ,15∼50℃の温乏範囲で呼荻を測定 したgアカマソ(Fig・5),クロマソ(Fig,6)ともに雄

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臼oo) 橋  詰  隼  人

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急 ’8 ≧ 日 勺 百 bO 日 、 ξ 苫

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良 巴 合 δ          Tαnperat田e Fig.5. Effect・f temperature・n theτespi主ati・n   of male stτobil輌in Japanese red pine.   5.o 百宕 bβ.饗 鐸』°

睾℃・。 ε 皇

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警 δ 2,0 LO

25  30  35 Temperature 50下訂 Fig.6. Effect of temperature on the respiration   of male strobili in Japanese black pine. 花の呼敷量は35℃までは温度の上テ1・にともなつてほぼ 直線的に増加した。40℃で最高にたっしたが,50℃で は急減した。  前報3)の観測結準から,花性分化期に袋掛をした場合 ,袋内の最高温度は最高気温の9∼23°Cに対しパラフ ィソ紙で17∼35°C,セロフアンでは21∼41°Cにたっ した。したがつて,袋掛によつて花の呼汲はかなり促造 されるものと思われる。

 3.雄花の呼吸におよぼすNa・NAAの影響

 前報10−1Dの実験で,花粉母細胞減数分裂直前に雄花 の着生した新条にナフタレン酢酸ソーダ10ppm溶液を 噴霧して花の雌性化を誘起することができた。したがつ て,今回Na・NAAが雄花の呼吸におよぼす影響につい てしらべた。  花粉母細胞減数分裂盲∬の雄花を1∼500ppmの濃度の Na・NAA水溶液}こ浮べ30℃で呼吸をil{1定した。対照区 として蒸溜水を使用した。アカマツ(Fig,7)では, 否 島 ’田 津 拾 勺 お ㌣ 雲 合 日

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・’m∠”     つρ5     ∵bo      1・5      各9・         T三me in.houズs Fig.7. Effect oξNa・NAA on the respiration   of rnale strobili in Japanese red茎)ine.    ●一一喝ガ駄1字 (120  く」−4蔦以10騨

§識難

』畑 § 量 : … ○        弐・5    .    25          Time垣hours  F三g.8.Effect of Na・NAA on the respiration    of male strobili in Japanese black pine. Na・NAAによる呼吸促進がほとんどみられず,高濃度 ではかえつて抑制された。しかし,クロマツ(F三9.8)で は㌫濃度では抑lli‖されたが,1∼100ppmで呼吸が促進 された。呼吸の促進は10ppmが最も大で,対照に比し て約15%酸素の吸収口が増加した。  以上のようにNa・NAAによる呼荻促進はアカマツよ りもクロマツで認められ,その濃度も雌性化花誘起に有 効な濃度と一致した。筆者の経験では一般にアカマツよ りもクロマツでNa・NAAによる花の雌性化が起りやす い。また前述の花性分化期における雌花と雄花の呼吸量

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アカマソ花性分化の人工管理(V)

(101) 湯 の差はアカマツよりもクロマツで大である。これらの事 実は樹種による相這を示すものと思われる。   植物の生殖器官におけるガス代謝および性の発現とガ ス代謝の関係についての研ノ竃は比較灼づ一くない。坂村12) }こよると才琶1ま日琶才ε{1参鶏」に至ると呈ヒんなn壬{汲をするカ㍉ }司 一の花の中でも,その器鳶によつて呼吸度を異にする. 呼吸度の大なるものから順序にあげると,雌蕊,雄蕊, 芳弄「, 才じ滋とえ丈る。 彗1’性7ヒをつ{ナる雌凝目司鳥議江物で毛)雌 才じと刻鋳ヒのガスイ・C請打こち力三し、力三みら牽しることτま本系吉果力・ らも明らかである。また雌雄異株植物では閲1木と雄木に よりガス代謝に差異があることが報告されている。斎 藤6)がいチヨウ,ポプラの葉で測定した結果では,雌木 は雄木よりも酸素の吸収羅が大であつた。同綜な粘堅は BOURI)£AU1)が」%♪∼‘々‘∫zτ6〃zzzZぼ4cぷの薬で測疋した 場合にも認められている。 田 要 約   アカマソ・クロマツの花艘分化期におiナる花の呼吸変 イヒおよび田ξ輻ヒイヒ才ピ誘∫已}こ有効な処理カミ嚢匡《ピの1;壬1薮|こおよ ぼす影乞:についてしらべた。  1.アカマツおよびクロマソの雄花の呼吸は花初母細 胎{》戎数夕}裂婁切の菌f(造雛]紅亙織叱曽殖ハ{目∼]ε粉母細1}掲形麺父燭]) とその直後 (ネヒ元狛戊杉成担玉戊 ζこ装菜其}ヨカ;みらえVた。 雌]ピの臼壬 吸は閉花の約1カ月前(種鱗創始期)から開花期にかけ て増大した。   2. クロマツの雌花の呼吸量は花性分化期をつうじて 雄花のそれよりも大であつ.た。しかし,アカマツでは花 粉幻:細胞滅数分裂期後に雄花よりも雌花の呼吸量が大と なつた。   3.アカマツおよびクロマツの雄花の呼吸は温度の上 昇にともなって増加し,40℃で最大にたつした。  4. クロマソの雄花の呼吸は低濃度(1∼100ppm)の Na・NAAにょって促進された。しかし,アカマツでは 低濃度でもほとんど促進されなかつた。 参 考 文 献    斎藤・近藤・橋詰・62回日林大講集,98∼100,       1953、 g)  ・  ・  :63回日林大講集,128∼129,       1954. 10)斎藤・橋店:アカマソに閲する研究論文集,91∼94       1954. 11)  ・  :66回日林大講集,93∼96,1956. 12ノ坂村:}直物生理挙,354,1947. 1)BouRDEAu,P.F.:For.Sci,4:331∼334,1958、 2)橋,f}:鳥取農学会報,13:141∼149,1961. 3)  :烏大農演報,2:1∼8,1961. 4)     :、島大農{爽軽], 2:9∼13, 1961. 5) 一一: El}氷言志, 43:297∼305, 1961. 6)斎藤1樹木坐理,107,1952、 7)SAITo,Y.:Jour. Fac. Agr. Tbttor三Univ.,3       :1∼29, 1957. 8)        “

Summary

診    The change of respira口on in Japanese red pine and black pine strobili during the period of the sex differentiation(fr。m March to May)and the e〔fect of effective artificial treatments for the iaduc. tion of feminized strobili on the resp輌ration of the male stτobili were studied. The results obtained are summarized as folbws: 1.In J・p・n・・e red pine and black pin…xyg・n upt・k・・f m・le st・・bili w・・vig…us・t tw・p・・i。d,, i.e. b・f・・e(th・peri・d・f f・・ぬh・m・晦licati・n・f・p…9・n・us ce▲1・t・th・f・・m・ti・n・f p。11。n mother ceユ]s) and immed三ate]y after (d〕e peエ」od of pollen formation) the t三me of Ineiosjs of po王1eロ m・ther cells. Oxyg・n upt・ke・壬f・m・1・・t・・bili in・・e・sed f・・m・b・ut・m・nth b・正・・e fl・w・加g tim。 (the time of hlitiatioll of ovu玉iferous scales)to the flowering time. 2.Oxygen upt・ke・f壬emale str・bili・f J・p・nese b茎ack pine was significantly g・e・ter than th。t。f male strobili during the period of the sex differentiation. In Japaneseτed pille, however, such dif, ference apPeared after the time of meiosis of pollen mother cells.  3. Oxygen uptake of male s仕obili of Japanese red pine and black pine increased with the rise of temperature andτeached a maximum at 4G℃. 4.Ox}・gen・pt・k・・f m・1・・t・・bili・壬J・p・nese black pin・w・・p・・m・t・d by・・dium・lpha−n・phth。. leneacetate(Na・NAA)at concentrations of l to 100 ppm,畑t that of Japanese red pine was almost ullaffected by Na・NAA of lower c⑩centrations.

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