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研究経過報告

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Academic year: 2021

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1

大阪大学 宮本裕司

2018年6月18日大阪北部地震

免震建物の調査

2018.07.25

日本建築学会近畿支部大阪北部地震被害調査速報会

大阪北部地震

・発生日時:2018年6月18日午前7時58分

・震源地:大阪府北部(北緯34.8度、東経135.6度)、震源深さ:約13km

・地震の規模(マグニチュード):6.1

震源位置

震源地

K-NET高槻

K-NET高槻の地震波とスペクトル

2018年6月18日_K-NET高槻EW 2016年4月14日_熊本地震_KiK-net益城EW 2016年4月16日_熊本地震_KiK-net益城EW 1995年1月17日_兵庫県南部地震_JMA神戸NS (a) 加速度応答スペクトル(減衰5%) (b) 擬似速度応答スペクトル(減衰5%) 0 100 200 300 400 0 1 2 3 擬似 速 度応答スペクトル (c m /s) 周期(s) 0 1000 2000 3000 4000 0 1 2 3 加 速 度 応答スペクトル (c m /s 2) 周期(s) -1200 1200 0 10 20 30 40 50 60 加速度 (cm/s 2) 時刻(s) -1200 1200 0 10 20 30 40 50 60 加速度 (cm/s 2) 時刻(s) -1200 1200 0 10 20 30 40 50 60 加速度 (cm /s 2) 時刻(s) -1200 1200 0 10 20 30 40 50 60 加速度 (cm /s 2) 時刻(s) 794 925 1157 818 (a) 2018年6月18日_K-NET高槻EW (b) 2016年4月14日_熊本地震_KiK-net益城EW (c) 2016年4月16日_熊本地震_KiK-net益城EW (d) 1995年1月17日_兵庫県南部地震_JMA神戸NS

0

50

100

150

0

1

2

3

4

5

擬似速度応答ス ペ ク ト ル (c m / s) 周期(s)

擬似速度応答スペクトルの比較(K-NET高槻、減衰5%)

告示スペクトル(稀)

告示スペクトル(極稀)

EW

NS

0

2

4

6

8

10

0

1

2

3

4

5

相対変位 応答ス ペ ク ト ル (c m ) 周期(s)

相対変位応答スペクトル(K-NET高槻、減衰10%と20%)

EW (

h

=10%)

EW (

h

=20%)

NS (

h

=20%)

NS (

h

=10%)

K-NET高槻の応答スペクトル

(2)

2

□ 現地調査日: 2018年6月22日(金)

□ 調査内容:

震度6弱を計測した高槻市、茨木市、枚方市に建つ

免震建物の外観、建物内、免震装置、聞き取り調査を実施

□ 調査者:

大阪大学宮本研究室

宮本裕司、川辺秀憲、中野尊治、佐藤綾香

建築都市耐震研究所

田村和夫(元千葉工大)

*本調査は、日本免震構造協会との共同で行われたものである。

□ 速報版:

宮本裕司(大阪大)ほか:平成 30 年 6 月 18 日大阪府北部の地震での

免震建物の地震後調査 (速報) (高槻市、茨木市、枚方市地域)

http://www.arch.eng.osaka-u.ac.jp/labo-miyamoto/

免震建物の分類

震度6弱

地域

共同住宅、事務所又は店舗、病院、消防署、物流倉庫等

大阪北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市: 約60棟

建物用途

大阪北区

(33)

茨木市

(13)

枚方市

(10)

高槻市(3)

免震建物の地域別棟数

共同住宅

(32)

事務所

又は店舗

(15)

病院(4)

消防署、電算センター

物流倉庫(各2)

その他(2)

免震建物の用途

調査概要

調査範囲

調査内容

調査対象

6月22日(金)の現地調査と調査情報の収集

震度6弱を計測した高槻市、茨木市、枚方市

に建つ免震建物7か所12棟

K-NET高槻

高槻市

茨木市

枚方市駅周辺

震源地

大阪北区の免震建物

計33棟

*現在、調査結果を収集中(特に、共同住宅)

(3)

3

調査結果の一覧

免 震 建 物 A B C D E F G 建 設 地 高槻市 枚方市 枚方市 茨木市 高槻市 茨木市 高槻市 用   途 消防施設1 消防施設2 医療施設1 事務所ビル 物流倉庫 集合住宅 医療施設2 構   造 RC RC RC S一部SRC 柱RC、梁S RC RC 階   数 6 5 13地下1 7 5 9〜14 (6棟) 9 建 物 状 況 ・建物被害なし ・天井エアコン周り の天井ボードに軽微 な破損 ・玄関入口部エキス パンションで目違い があり ・免震建物入口と外 構の間で5mm程度の ずれ ・建物被害なし ・鋼材ダンパーの残留 変形は認められない ・建物外観、内部とも目 立った被害なし ・免震部と非免震部のエ キスパンションに僅かの ずれ ・建物被害なし ・建物外周エキスパンショ ンのせり上りによる目違い ・免震層下げ振りにより、 東方向に約5mmの残留ずれ ・ダウンライトが落下 ・天井ボードに軽微な破損 ・冷凍機(屋上)の防音パ ネルの外れ ・外観から建物被害は 確認されず ・建物外周エキスパン ション部の損傷なし ・外観から建物被害は 確認されず ・建物外周部のグレー チング周辺で損傷(コ ンクリートの欠け、床 タイルの浮き上がり) ・建物被害なし ・別棟(耐震)との渡 り廊下部のエキスパン ション部での止水ゴム が外れた イ ン フ ラ 状 況 ・ライフライン (EV、水道、ガス、 電気)、建物機能と も維持 ・ライフライン(EV、 水道、ガス、電気)、 建物機能とも維持 ・EVがすべて停止した が、2~3時間後に復旧 ・地下2階から地上4階ま で断水、2時間後に復旧 ・断水のため放射線治療 の機器が一時停止 ・建物機能を維持 ・ライフラインの機能維持 ・翌日より営業再開 (当日は従業員が出勤 できず休業状態) ・ライフラインの機能 維持 ・ライフラインの機能 維持 ・ライフラインの機能 維持 ・EVが停止したが、自 動復旧(耐震の別棟は 数時間止まったまま だった) 近 隣 状 況 ・非免震車庫棟の外 装材に軽微な破損 ・周辺建物に目立っ た被害はなし ・古い木造2階建てア パートの壁に亀裂や、 周辺家屋の屋根瓦の破 損やずれ ・テナントビルの窓ガ ラスの破損 同左 ・周辺建物に目立った被害 なし ・木造家屋の瓦屋根が破損 していた ・周辺建物に大きな被 害なし、ただし、ブ ルーシートを屋根にか けている家屋あり ・道路面に山谷あり 居 住 者 、 管 理 者 の 話 ・上下方向に数回の 衝撃あり、水平方向 の揺れは大きくな かった ・EVが緊急停止した が、閉じ込めは発生 せず ・屋内の消火器が転 倒 ・室内の本やパソコ ンの移動、落下はほ ぼゼロ ・初めに下から突き上 げる動き、その後東西 に何往復か揺れた。 20cmくらい変位したよ うに体感 ・机上のものは落下せ ず、荷物が数個ラック から落下したのみ ・1階入口前の免震建 物と通路のジョイント 部に詰まっていたゴミ が出ていたのを確認 ・あまり揺れておらず、 ふわふわとした感じがし た ・上下方向の衝撃があった が、水平方向の揺れは小さ かった ・倉庫内の物品が2,3落 下した程度で、目立っ た被害なし ・上下方向の衝撃は あったが、家具の転倒 や備品の落下はなかっ た ・近隣の同規模の集合 住宅(非免震)は、外 観上は目立った被害は なかったが、室内では 背丈ほどの仏壇の転 倒、食器棚の転倒、階 段室のひび割れ多数 ・上下方向の衝撃はあ り(大きな音が鳴っ た)、水平はほとんど 気にならなかった ・家具の転倒はなかっ た(写真立てすら倒れ なかった) ・隣接する耐震棟は、 書棚などの家具の転倒 などが多々あった.免震 構造にして良かった ・入院者からも特に不 安の声もなかった 罫 書 き 両振幅で東西方向約 5.3cm、南北方向約 7cmの振幅 南西方向に一つのルー プで、両振幅で約 11cm、片振幅で約7cm の振幅 片振幅で北西方向約8cm、 南東方向約2cmの振幅 片振幅で4.5cm,両振幅 で8.5cm程度 そ の 他 敷地内の震度計で震度5強を計測

罫書きの例(高槻市、医療施設)

建物調査の総括

1. ほぼ全ての免震建物は、外観、内部とも目立っ

た損傷はなく、エキスパンションでのズレがみ

られる程度。一部の建物でライフライン、エレ

ベータが一時停止。

2. 書棚、家具の転倒や、机上のIT機器の落下は

なく、キャスタ—付き事務機器の移動などは

あった。

3. 消防施設、医療施設では、ライフラインが地震

後もほぼ健全で、救急医療、救援救助活動に当

たることできた。

4. 罫書き記録は、最大で

両振幅13cm、片振幅8cm

程度。

居住者の話し

1. 下からの突き上げによる衝撃を強く感じたが、

横揺れはそれ程感じなかった。

2. 共同住宅の居住者からは、揺れに対する恐怖を

あまり感じることは無かった。ニュースで震源地

が直下であったことや地震の大きさを知った。

3. 近隣の非免震の共同住宅では、壁のひび割れや、

家具、書棚、食器棚の転倒があり、室内が散乱

した。

* 改めて免震建物の効果を確認。

(4)

4

調査結果(消防署1)

地震時の状況

罫書き記録

JR高槻駅

(RC造、6階)

両振幅で東西方向約5.3cm

南北方向約7cm

・上下方向に数回の衝撃があったが、

水平方向の揺れはほとんど感じなかった

・ライフライン(EV、水道、ガス、電気)は無事

・室内の本やPCの移動、落下はほぼなし

消防署1

K-NET高槻

・地震後、すぐに消防署としての機能を発揮

調査結果(消防署1)

免震棟

非免震棟

エアコン周りの天井ボードの損傷

免震層の残留変位(5mm)

内壁パネルの損傷

外壁タイルの損傷

調査結果(病院1)

(RC造、13階地下1階)

・EV、水道(地下2Fから地上4F)が停止

しかし、数時間後に復旧

・水を使う治療機器が一時使用停止した

が、すぐに病院としての機能を発揮

・あまり揺れた実感がなく、ふわふわと

した感じがした

枚方市駅

病院1

地震時の状況

・免震部と非免震部のエキスパンション

に僅かのずれ

調査結果(病院1)

免震棟

非免震棟

柱頭周りの天井材

壁の亀裂

階段と壁の接合部

パッキンの剥がれ

花壇の亀裂

(5)

5

調査結果(事務所ビル)

(S造一部SRC、7階)

・屋内のダウンライトが落下

・罫書き:

北西約8cm、南東2cm、

両振幅10cm

罫書き記録

JR茨木駅

事務所

・建物外周エキスパンションのせり

上がりによる目違い

地震時の状況

・天井ボードに軽微な破損

調査結果(集合住宅、倉庫)

(RC造、6棟)

9〜14階

(柱RC梁S造、5階)

共同住宅

物流倉庫

外構コンクリートの破損

・周辺の非免震住宅では家具の転倒

・階段室の壁のひび割れ

・免震建物の被害はほとんど無し

・倉庫は品物が幾つか落下した程度

・当日の営業は従業員が出勤できず

休業

中央公会堂

(国指定重要文化財)

社員寮(大東市)

通天閣

(国の登録有形文化財)

6弱(大阪市北区)

5弱(大東市)

4(浪速区)

・外構ドライエリア出屋

根の損傷程度

・ 復元文化財の損傷なし

・EV自動停止

・ほとんど被害なし

・展望階の商品が2、3

個落下した程度

・EV自動停止

・罫書き(片振幅で北西

32mm、南東24mm)

・罫書き(西方向に片振

幅32mm)

・地震観測データ

・罫書き記録

・地震観測データ

免震レトロフィット

震度

被害

記録

X(EW) Y(NS) Z(UD)

2階

72.1

58.1

345.5

1階

129.2

163.5

262.9

X(EW) Y(NS) Z(UD)

屋上階 127.6 100.6 271.4

地下階 178.3 116.1

54.0

社員寮 最大加速度値 (Gal)

通天閣 最大加速度値 (Gal)

外観

免震レトロフィット建物の位置

通天閣

中央公会堂

社員寮

(大東市)

(6)

6

大阪市中央公会堂

(2002年免震改修)

(鉛プラグ入りゴム、高減衰ゴム、鋼棒ダンパー)

ドライエリア出屋根下接触部破損

小集会室天井漆喰一部剥落

罫書きの調査(7月9日実施)

エレベーター停止の告知

(S+レンガ造、3階)

内部の状況

(中央公会堂)

復元改修

した文化財の天井材、

シャンデリア、ステンド

グラス等の損傷無し

(通天閣)

商品2,3個

が落下した程度で、展示

品、備品の損傷無し

(写真はHPから)

加速度計

けがき式変位計

社員寮

(2016年免震改修)

:

中間階免震(高減衰ゴム、滑り支承)

1階NS 2階NS 1階EW 2階EW 0 200 400 600 800 1000 0 1 2 3 4 5 加 速 度 応答 スペクトル (cm /s 2) 周期(s)

加速度応答スペクトルh=5% (1階、2階)

加速度波形(NS方向)

2階:58.1Gal

1階:163.5Gal

(RC+S造、3階)

通天閣

(2015年免震改修)

(天然ゴム、オイルダンパー)

0 100 200 300 400 500 600 0 1 2 3 4 5 加 速 度 応答 スペクトル (cm /s 2) 周期(s) 地下NS 屋上NS 地下EW 屋上EW

加速度応答スペクトルh=5% (地下階、屋上階)

(S造、6階地下1階)

高さ:108m

:地震計

-200 0 200 0 10 20 30 40 50 60

Ac

c.

(cm

/s

²)

Time(s)

MAX: 178.29(cm/s²)

NS

-120 0 120 0 10 20 30 40 50 60

Ac

c.

(cm

/s

²)

Time(s)

MAX: 116.12(cm/s²)

EW

-60 0 60 0 10 20 30 40 50 60

Ac

c.

(cm

/s

²)

Time(s)

MAX: 54(cm/s²)

UD

-150 0 150 0 10 20 30 40 50 60

Ac

c.

(cm

/s

²)

Time(s)

MAX: 127.63(cm/s²)

NS

-150 0 150 0 10 20 30 40 50 60

Ac

c.

(cm

/s

²)

Time(s)

MAX: 100.62(cm/s²)

EW

-300 0 300 0 10 20 30 40 50 60

Ac

c.

(cm

/s

²)

Time(s)

MAX: 271.44(cm/s²)

UD

加速度波形(NS方向)

屋上階

地下階

127.6Gal

178.3Gal

(7)

7

調査のまとめ

1.先ず、今回の地震は

レベル1相当

の大きさの内陸直下地

震で、地震の少ない大阪で発生。

免震装置とダンパの正常な稼働と、免震効果

を確認。

2.各種免震建物(共同住宅、医療施設、消防施設、事務所、レ

トロフィット)の

機能維持と居住者への安心感

を提供。

3.ただし、建物として健全でも、エレベータやライフライ

ンの停止、交通網の寸断等で、機能を一時継続できない建

物も有り。⇒

完全な「建物機能を維持」

することの難し

さ。

*今回の地震経験を活かして、レベル2越え大地震時での

被害シナリオを考え、早急に備える必要有り。

最後に、

本調査に協力して頂いた関係者に御礼致します。

また、

・地震観測記録を提供して頂いた建物。

大鉄工業みとせ寮、通天閣

・防災科研K-NET、KiK-net、気象庁の観測記録

を使用。

記して謝意を表します。

参照

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