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オーストリア情勢月報
(2018年9月)
1.主要経済指標
2.経済情勢
3.政治・社会情勢
4.外交関係
在オーストリア日本国大使館
(注)本資料は 9 月 30 日までに入手した最新のデータ及び情報に基づき作成。2
1.主要経済指標
(1)一般統計
2017 年 2017 年 2018 年 出典 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 (単位) 実質 GDP 成長率 2.6 2.4〔1.0〕 3.7〔0.9〕 2.7〔0.3〕 1(a,b) 労働 標準賃金指数上昇率 1.5 1.6 1.6 1.6 2.3 2.3 2.4 2.5 2.6 2.6* 2.6* 2.6* 1(a,b) 失業率 5.5 5.4 5.4 5.4 5.2 5.0 5.0 4.8 4.6 4.7* 4.9* 4.8* 1(a) 消費 小売売上高上昇率(自動車除く) 2.9 0.9 4.2 1.5 4.0 1.9 4.7 0.9 0.2 4.6 1.4* 1(a,b) 自動車新規登録台数上昇率 6.2 9.7 12.6 -0.4 8.8 4.2 -6.8 11.5 -0.2 5.2 9.1 23.2 1(a,b) 企業 生産指数上昇率 4.4 4.6 5.4 0.0 7.3 6.7 5.2 4.6 7.0 6.7* 4.8* 1(a,b) 製造業景況指数 61 71 71 71 2(c) 倒産件数上昇率 -2.8 6.4〔19.9〕 3.9〔-1.2〕 -3.2〔-8.5〕 5.4〔-2.8〕 3(a,b) 国外 貿易収支(通関ベース) -56.0 -4.5 -1.0 -7.8 -2.5* -1.5* -5.5* -3.2* -7.7* -1.5* 1(d) 輸 出 1,419 127 132 107 119* 118* 137* 123* 123* 132* 1(d) 輸 入 1,475 132 133 115 122* 120* 142* 126* 130* 133* 1(d) 経常収支 72.2 23.5 53.2 9.9 4(d) 外国人旅行客数 2,946 179 111 248 269 315 300 155 207 245 378 379* 1(e) 日本人旅行客数 ウィーンへの日本人旅行客数 20.8 12.0 2.0 1.2 1.5 0.9 1.3 1.0 1.0 0.6 1.2 0.9 1.5 1.1 1.3 0.8 2.0 1.2 2.3 1.3 2.5 1.2 - 1.5* 1(e) 5(e) 物価 消費者物価指数(CPI)上昇率 2.1 2.2 2.3 2.2 1.8 1.8 1.9 1.8 1.9 2.0 2.1 2.2* 1(a,b) 出典 :1.オーストリア統計局,2.オーストリア産業連盟,3.オーストリア融資保護連盟,4.オーストリア国立銀行,5.ウィーン観光局 (単位):(a) %,(b) 前年同期比〔括弧内は前期比〕,(c) 「良いという回答の割合」-「悪いという回答の割合」,(d) 億ユーロ,(e) 万人 *暫定値 ・オーストリア統計局は 2017 年の実質 GDP 成長率を+3.0%から+2.6%へと 0.4 ポイント下方修正。EU 平均及びユーロ圏平均は共に+2.4%,ドイツは+2.2%。 ・8 月の自動車新規登録台数は前年同月比 23.2%増(自家用車は同 31.3%増)。9 月からの EU の燃費計算基準変更に伴う規格消費税上昇への懸念に起因。 ・上半期の輸出は前年同期比 5.8%増の約 751 億ユーロ,輸入は同 5.1%増の約 773 億ユーロ。貿易赤字は同 15.2%減の約 22 億ユーロ。 ・3
(2)広域概観
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
出典:ウィーン国際経済研究所,オーストリア経済研究所 (注 1)HICP:(欧州)消費者物価指数 (注 2)実質 GDP 成長率と HICP 上昇率は前年比 (注 3)2018 年と 2019 年は予測値2017 年
4.3%
2.4%
2.9%
チェコ
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
2017 年
4.7%
1.6%
4.9%
ポーランド
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
2017 年
3.4%
1.4%
8.1%
スロバキア
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
2017 年
4.0%
2.4%
4.2%
ハンガリー
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
2017 年
2.9%
1.3%
11.2%
クロアチア
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
2017 年
4.9%
1.6%
6.6%
スロベニア
2018 年
3.7%
2.3%
2.4%
2019 年
3.3%
2.0%
2.3%
2018 年
3.8%
2.1%
4.3%
2019 年
3.5%
2.1%
4.2%
2018 年
3.8%
2.8%
6.8%
2019 年
4.2%
2.5%
6.3%
2018 年
4.0%
2.8%
3.7%
2019 年
2.8%
2.9%
3.6%
2018 年
2.5%
1.6%
9.8%
2019 年
2.7%
1.6%
9.0%
2018 年
4.8%
1.8%
5.8%
2019 年
3.7%
1.8%
5.4%
実質 GDP 成長率
HICP 上昇率
失業率
オーストリア
2017 年
3.0%
2.2%
5.5%
2018 年
3.2%
2.1%
5.1%
2019 年
2.2%
2.1%
5.0%
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2.経済情勢(プレスリリース・報道)
①「オーストリア政府が英国ヒンクリー・ポイント C 原発建設への国家補助金支給承認に反対して欧州裁判所に控訴」 9 月 3 日,オーストリア政府は,欧州委による英国ヒンクリー・ポイント C 原発建設に対する国家補助金支給の承認が EU 法に違反するとして,欧州裁判 所に控訴することを閣議決定した。2015 年 1 月にオーストリア政府は欧州裁判所に訴状を提出し,2018 年 7 月 12 日に欧州裁判所がオーストリアの訴えを退 けたために,これを不服として控訴期限の 9 月 13 日前に対応を協議したものである。オーストリア政府は,国家補助金が域内共通の利益に役立ち,且つ重 要産業の発展に寄与する場合のみ許可されるところ,原発建設はこれに該当しない上,採算の合わない原発への国家補助金の支給は電力市場における競争を 阻害するという見解であり,これが欧州裁判所の審議で考慮されなかったと理由付けしている。オーストリア政府は 2 月にハンガリー・パクシュ原発拡張に 対しても同様の訴状を欧州裁判所に提出している。 オーストリア首相府,オーストリア持続性・観光省(3 日,5 日付) ②「オーストリア政府がロート・ヴァイス・ロートカードの改革を閣議決定」 9 月 12 日,オーストリア政府は,域外外国人の就労のための在留資格であるロート・ヴァイス・ロートカードの改革を閣議決定した。同閣議決定による と,申請時に必要となっている居住証明の提出を廃止するなど,手続きに係る官僚主義的な障害を撤廃し,年齢への重点を弱めるなど,点数制システムを緩 和する。また,人材不足職種のカテゴリーについては,現行では全国レベルで職種が指定されているが,2019 年1月1日から地域レベルで職種を指定する。 この改革は 9 月 19 日に開催されたオーストリア政府と労使代表による「雇用サミット」で確認され,「雇用サミット」ではさらにオーストリア・ビジネス・ エージェンシー(ABA)がオーストリア在外公館商務部の協力を得て,人材不足職種で国外から域内外国人を人材募集することでも合意された。オーストリ アでは技能労働者が 15 万人以上不足し,好景気にもかかわらず失業者数が高いレベル(約 35 万人)を維持している原因となっていることから,オーストリ ア政府は技能労働者を確保するために今回の措置を実施するものである。なお,オーストリア政府はロート・ヴァイス・ロートカードの改革と同時に,難民 申請者の職業訓練の廃止も閣議決定しており,今回の措置はその穴埋めの意味も持つ。 オーストリア首相府,オーストリア・デジタル化・経済立地省,オーストリア労働・社会・保健・消費者保護省,各紙(12 日,19 日,20 日付) ③「ウィーン証券取引所が東アジアの銘柄の売買を開始」 ウィーン証券取引所は 9 月 13 日から,「グローバル・マーケット」で東アジアの株式の売買を開始した。売買を開始したのは日本,中国,韓国,台湾,イ ンドの合計 33 銘柄で,ソニー(日本),アリババ・グループ(中国),サムスン電子(韓国),TSMC(台湾),タタ・モーターズ(インド)などの大企業が中 心である。ソニー以外の日本の銘柄は東芝,パナソニック,キヤノン,任天堂,トヨタ自動車,日産自動車,ソフトバンクである。これにより「グローバル・ マーケット」では日本の 8 銘柄を含む世界 24 ヶ国の合計 571 銘柄が取引されることとなった。2017 年夏に設立された「グローバル・マーケット」では,ユ ーロ建てで安価な手数料により,ウィーン証券取引所の取引時間内に国外の銘柄を売買することが可能になっている。 ウィーン証券取引所,トレンド誌(13 日付)5 ④「オーストリアが域内で水素研究のイニシアチブを推進」 9 月 17~18 日にリンツで開催された欧州非公式エネルギー相理事会で,議長国のオーストリアは「水素イニシアチブ」を提案し,EU 加盟国及び EFTA 加盟 国のうちの合計 25 ヶ国及び欧州委員会が同イニシアチブに署名した(とりわけ英国,スロバキア,ノルウェーが署名せず)。同イニシアチブは「未来の技術 として水素の生産及び利用を推進する」という内容で,とりわけ「再生可能エネルギー由来の電力を貯蔵する技術としての水素の研究」が盛り込まれた。ケ スティンガー・オーストリア持続性・観光相は「光,降水,風が不足した時を想定して,再生可能エネルギーを備蓄することは大きな挑戦である。水素は燃 料目的としてのみならず,エネルギー貯蔵目的としても重要な役割を果たす可能性を秘めている」旨説明した。 オーストリア持続性・観光省,各紙(18 日付) ⑤「ウィーン州の日本人旅行客数が 8 月に前年同月比 15%増加」 ウィーン観光局の発表によると,ウィーン州の 8 月の旅行客数は前年同月比 5.3%増の約 75 万人(旅行客宿泊数は同 4.5%増の約 172 万泊)と好調であった。 ドイツ人とロシア人が若干減少したものの,主要国からの旅行客は軒並み増加し,とりわけアジアからの旅行客の増加(同 13.4%増)が顕著であった。日本 人は旅行客数が同 15.2%増の 1 万 5,055 人,旅行客宿泊数が同 19.4%増の 3 万 4,275 泊を記録した。 ウィーン観光局(20 日付) ⑥「オーストリアの電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は 74%」 オーストリア・デジタル化・経済立地省のエネルギー管理機関である E-CONTROL によると,オーストリアにおいて国から助成を受けている再生可能エネル ギー(エコ電力)の全電力供給に占める割合は 2016 年の 16.8%から 2017 年に 17.9%へと増加した。発電量の内訳を見ると,風力が同 17%増,太陽光が同 15% 増,バイオマスが同 1%増となった一方,マイクロ水力は同 8%減で,バイオガスは前年と変化がなかった。これに国から助成を受けていない水力等の再生可 能エネルギーを含めると,全電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は 2016 年の 71%から 2017 年に 74%へと増加した。オーストリア政府は直近の気候 戦略で同割合を 2030 年までに 100%とすることを目標にしている。 E-CONTROL,各紙(24 日付) ⑦「オーストリアの 2017 年の財政赤字は対 GDP 比 0.8%」 オーストリア統計局の発表によると,オーストリアの 2017 年の財政赤字は約 29 億ユーロで,これにより対 GDP 比財政赤字は 2016 年の 1.6%から 0.8%へと 縮小した。内訳は連邦が約 33 億ユーロ,市町村(ウィーンを含む)が約 2 億ユーロの赤字となった一方,州は約 2 億ユーロ,社会保険基金は約 4 億ユーロ の黒字となった。また,2017 年末現在の累積債務は約 2,897 億ユーロで,対 GDP 比累積債務は 2016 年末の 83.0%から 78.3%へと縮小した。 オーストリア統計局(27 日付)
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3.政治・社会情勢(プレスリリース・報道)
①「ファスマン教育・科学・研究相が学校のデジタル化のためのマスタープラン構想を発表」 9 月 5 日,ファスマン・オーストリア教育・科学・研究相は,学校のデジタル化のためのマスタープラン構想を閣議で発表した。24%の学校で無線ランが 接続されておらず,5~8 年生で授業にラップトップを導入している学校が約 10%のみという現状の中で,同マスタープランは段階的かつ網羅的にデジタル化 を推進することを目標とし,ソフトウェア(デジタル化の教育カリキュラムへの盛り込み),ハードウェア(基本的な設備の充実),教員教育の三つの柱から 構成される。オーストリア政府は,2019 年夏学期前までに同マスタープランを作成し,2023 年までに実施に移していく考えである。 オーストリア首相府,オーストリア教育・科学・研究省(5 日付) ②「オーストリアで最低生活保障受給者の増加が鈍化」 オーストリア統計局によると,2017 年のオーストリアにおける最低生活保障受給者数(年平均)は前年比 0.1%増の約 30 万 8,000 人であった。これにより, 難民流入等に起因する近年の上昇(2015 年は同 10.9%増,2016 年は同 8.1%増)がストップした。その際,2017 年もウィーン州が全体の 57%を占め,同州に 集中する構造に変化はない。受給者に占める外国人の割合は 49%で,うち 31%は認定難民であった。また,女性の割合は 51%,子供の割合は 35%であった。 オーストリア統計局(6 日付) ③「ニースル・ブルゲンラント州首相が引退を表明」 9 月 8 日,ブルゲンラント州社民党(同州第一党)は同州オーバーヴァルト市で党大会を開催し,ドスコツィル同州財務担当参事(48歳)を同州社民党 党首に選出する人事を 98.4%の賛成によって承認した。これによりドスコツィル参事は同日付で同州党首に就任することとなった。また,2019 年 2 月 28 日 の臨時党大会でドスコツィル同州参事を同州首相に選出する人事が承認される予定である。現職のニースル同州党首(同州首相)は 6 月に「ドスコツィル参 事への同州党首引き継ぎの段取りについて 2019 年初めに話し合いたい」という意向を示していたが,これが前倒しされた形となった。67 歳のニースル同州 党首は,「本日の党大会は同州社民党の世代交代を告げるものである」と引退の理由について説明した。次期同州議会選挙は 2020 年に予定されており,ニー スル同州党首は同年の任期満了を前にして同州首相を退任することになる。 ブルゲンラント州社民党,クリアー紙(8 日付) ④「オーストリアが 2018 年統合報告書を公表」 オーストリア外務省が公表した「2018 年統合報告書」によると,オーストリアの人口に占める外国人の割合は 2008 年 1 月 1 日から 2018 年 1 月 1 日の 10 年間に 10%から 15.8%へと増加した。その際,失業者に占める外国人の割合は 31%,最低生活保障受給者に占める外国人の割合は 49%と人口に占める割合より 大幅に高くなっており(2017 年),外国人統合の難しさが反映される結果となった。また,外国人の割合は幼稚園児童で 32%,小・中・高等学校生徒で 15% と高く,ドイツ語を日常会話に使っていない生徒の割合は 25%(ウィーン州で 51%)に達している(2016/17 年学期)。 オーストリア外務省(13 日付)7 ⑤「オーストリア人の半数が国民党の移民・統合政策を支持」 国民議会選挙を仮想した直近の世論調査によると,国民党の支持率は 34%と安定している。社民党は前月比 1 ポイント減の 28%,自由党は同 2 ポイント増 の 25%となっている。NEOS は 7%,緑の党は 4%,リスト・ピルツは 1%。その際,オーストリア人の 51%が国民党の移民・統合政策を支持すると回答し,自由 党(41%)及び社民党(30%)を大きく上回った。他方,計画されている保健改革について,57%が「患者が犠牲になる」と回答,「患者は犠牲にならない」と 回答したのは 30%にとどまった。社民党の党首に内定したレンディ=ヴァーグナー氏については,32%が「ケルン党首より良い」,28%が「ケルン党首と同等」, 9%が「ケルン党首より悪い」と回答した。 プロフィール誌(15 日,22 日,29 日付) ⑥「ケルン社民党党首が辞任を表明」 9 月 18 日,ケルン社民党党首は党首を辞任し,2019 年 5 月の欧州議会議員選挙に際する社民党筆頭候補を目指す旨表明した。これを受け,社民党幹部会 は 22 日,ケルン党首の後任としてレンディ=ヴァーグナー国民議会議員を指名した。社民党役員会が 25 日にこの指名を承認したことから,11 月 24~25 日 の社民党大会で正式にケルン党首は退任し,レンディ=ヴァーグナー新党首が誕生することになる。また,役員会は同時にレンディ=ヴァーグナー議員を社 民党党首代行とすることも承認し,同議員は実質的に党の実権を握った。ケルン党首は 2016 年 5 月に党首に就任したばかりであった(党首就任以降,2017 年 12 月まで首相を務めた)。 社民党(20 日,21 日,22 日,26 日付)
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