2007年આ月に住宅金融公庫から独立行政法人住宅 金融支援機構に生まれ変わり11年目を迎えました。 【フラット35】は制度創設以来多くのお客さまにご 利用いただき、2017年અ月末時点で買取型について は86万戸、残高13.6兆円を超えました。この間、政 府の経済対策をはじめとした多くの制度拡充が行わ れてきました。ここでは、機構に生まれ変わってか らの主な制度拡充の概要と機構の取組についてご紹 介します。
1 返済期間に応じた金利の設定
【フラット35】は民間金融機関と住宅金融支援機 構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の 住宅ローンですが、2007年10月から返済期間(20年 以下・21年以上)に応じた金利が設定されるように なりました。返済期間20年以下の場合は【フラット 20】と呼ばれ、短い返済期間で金利と総返済額を 抑えたいと考えるお客さまにご利用いただいていま す。(資料ઃ)2 多くの制度拡充が行われた2009年度
2008年ઋ月15日にアメリカのリーマン・ブラザー ズの破綻に端を発した世界金融危機による景気悪 化・住宅着工の低迷等を背景に、2009年度に入って 矢継ぎ早に【フラット35】の制度拡充が実施され ました。 2009年ઇ月、省エネ性能、耐震性能等に優れた住 宅取得を支援する制度である【フラット35】Sの金 利引下げ期間をઇ年間から10年間に拡充。ઈ月に は、長期優良住宅等のさらに優良な住宅取得を強力 に支援する【フラット35】S(20年金利引下げタイ プ)が追加されました。このほか、融資率(物件価 額に占める【フラット35】の借入額の割合)の上限 をઋ割から10割に引き上げる変更や長期優良住宅を 対象とした最長50年の全期間固定金利の住宅ローン 【フラット50】の導入、借換えの融資対象化等が実 施されました。(資料) 景気悪化が鮮明になっていく中、内需の柱である 住宅投資を刺激することを目的に政府が講じた経済 対策、補正予算に伴う【フラット35】の制度拡充の 意味を、機構職員一人ひとりが重く受け止め、住宅 市場を下支えするために、お客さまへの周知だけで なく、金融機関や住宅事業者の皆さまに制度拡充内 容をご理解いただくための周知活動、勉強会の実施 等にも注力しました。3 【フラット35】Sの金利引下げ幅の拡
大(当初10年間 年▲0.3%→年▲1.0%)
2009年12月に策定された「明日の安心と成長のた めの緊急経済対策」と2009年度第二次補正予算にお 住宅金融支援機構 個人業務部長仲田 正徳
(なかた まさのり) 1984年東京理科大学理工学部卒、同年住宅金融公庫入庫。住宅金 融支援機構移行後はCS推進部長、九州支店長、業務推進部長を経 て、2017年આ月より現職。 年 1.09 % 21年以上 【フラット35】 年 1.45 % 年 1.01 % 20年以下 【フラット20】 融資率ઋ割超 融資率ઋ割以下 最頻金利 返済期間等 年 1.53 % 資料ઃ 【フラット20】と【フラット35】の金利(2017年ઈ月)【フラット35】
【フラット35】の制度変遷と
住宅金融支援機構の取組
いて、【フラット35】Sの当初10年間の金利引下げ 幅を年0.3%から年1.0%に拡大する制度拡充が実施 されました(2010年月15日以後の資金受取分から 実施し、2010年12月30日までの時限措置)。(資料અ) デフレ進行に伴う実質金利上昇の下、【フラット 35】の金利を引き下げ、支払利息を軽減させるこ とにより住宅投資の抜本的拡大を図ることを目的と した経済対策メニューであり、目的達成に資するた め、機構では経済対策に伴う【フラット35】の制度 拡充の周知を従来以上に積極的に行いました。拡充 されたこの制度の適用期限は、2010年ઋ月に策定さ れた「新成長戦略実現に向けたઅ段構えの経済対策」 においてઃ年延長されましたが、想定を上回るお申 込みをいただいたことから、અヶ月前倒しの2011年 ઋ月30日で申込受付を終了しました。 この経済対策に基づく【フラット35】Sの金利引 下げ幅拡大等が功を奏し、2010年度の新設住宅着工 戸数は約82万戸と前年度に比べて増加に転じ、2011 年度も約84万戸と更に増加しました。
4 東日本大震災からの復興と住宅の省
CO
2対策推進を目的とした【フラット
35】Sエコの実施
2011年અ月11日に発生した東日本大震災からの復 興と住宅の省CO2対策を推進するため、2011年度第 三次補正予算において、省エネ性能に優れた住宅に ついて、【フラット35】Sの当初ઇ年間の金利引下 げ幅を年0.3%から年1.0%(東日本大震災の被災地 以外は年0.7%)に拡大する【フラット35】Sエコ が実施されました(2011年12月ઃ日以後の資金受取 分から実施し、2012年10月31日までの時限措置)。 機構では、2010年月からの【フラット35】Sの 金利引下げ幅拡大の周知活動等において、金利引下 げメリットに加えて、省エネ性能等に優れた住宅取 得の重要性を訴求してきました。2020年度までの段 階的な省エネ基準適合義務化が議論される中、省エ ネ基準に対応していない住宅事業者さまに将来の省 エネ基準適合義務化を見据えた対応のご提案等、【フ 資料 2009年ઈ月制度拡充チラシ 資料અ 2010年月制度拡充チラシラット35】の枠を超えた活動にも取り組んできま した。経済対策に伴う制度拡充と相まって、【フラッ ト35】の申請戸数に占める【フラット35】Sの割 合が高まる等、金利引下げを通じた質の高い住宅取 得が広がってきた時期でした。(資料આ)
5 住宅市場活性化等のための【フラット
35】S金利引下げ幅拡大(年▲0.3%
→年▲0.6%)
2014年આ月に実施された消費税率引上げに伴う駆 け込み需要の反動減による個人消費の低迷等、足下 の景気状況に対応するため、2014年12月に策定され た「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」と 2014年度補正予算において、【フラット35】Sの当 初一定期間の金利引下げ幅を拡大(年▲0.3%→年 ▲0.6%)すること等が決まりました(2015年月ઋ 日以後の資金受取分から実施し、2016年ઃ月29日ま での時限措置)。この制度拡充により、住宅市場活 性化の推進と質の高い住宅取得の支援に取り組んで 参りました。(資料ઇ)6 【フラット35(リフォーム一体型)】、
【フラット35】リノベの創設
2016年અ月に策定された住生活基本計画(全国計 画)において、「既存住宅の流通と空き家の利活用を 促進し、住宅ストック活用型市場への転換を加速」 がポイントのひとつに掲げられており、近年、リフ ォーム・既存住宅流通等の住宅ストック活用型市場 への転換が重要な政策課題になっています。これを 受けて、2015年度予算で【フラット35(リフォーム 一体型)】、2016年度予算で【フラット35】リノベの つの新制度が創設されました。【フラット35(リ フォーム一体型)】は、既存住宅の購入と併せて行う リフォーム資金についても【フラット35】で借入 れできる制度、【フラット35】リノベは既存住宅の 購入に際してリフォームにより省エネ性能等を一定 以上向上させる場合等に【フラット35】の金利を 資料આ 【フラット35】Sの申請戸数割合の推移 ᵑᵖᵃ ᵒᵗᵃ ᵖᵕᵃ ᵗᵏᵃ ᵖᵒᵃ ᵑᵎᵃ ᵒᵎᵃ ᵓᵎᵃ ᵔᵎᵃ ᵕᵎᵃ ᵖᵎᵃ ᵗᵎᵃ ᵏᵎᵎᵃ ᵎ ᵐᵎᵊᵎᵎᵎ ᵒᵎᵊᵎᵎᵎ ᵔᵎᵊᵎᵎᵎ ᵖᵎᵊᵎᵎᵎ ᵏᵎᵎᵊᵎᵎᵎ ᵏᵐᵎᵊᵎᵎᵎ ᵏᵒᵎᵊᵎᵎᵎ ᵏᵔᵎᵊᵎᵎᵎ ᵏᵖᵎᵊᵎᵎᵎ ίৎὸ ὺ ẔἧἻἕἚᾂᾄẕဎᛪৎૠ ẔἧἻἕἚᾂᾄẕᾢဎᛪৎૠ ẔἧἻἕἚᾂᾄẕᾢлӳ 資料ઇ 2015年月制度拡充チラシ【フラット35】
一定期間、年0.6%引き下げる制度です。特に【フラ ット35】リノベは、【フラット35】を活用した性 能向上リフォーム推進モデル事業として機構が独自 に実施するもので、既存住宅・リフォーム市場の活 性化、住宅ストックの質の向上を図ることを目的と して取り組んでいます。(資料ઈ)
7 低金利環境下で史上最低金利を更新、
保証型の再開
2016年は、日銀のマイナス金利政策の影響等もあ り、住宅ローン金利は軒並み低下傾向にありました。 【フラット35】についても、ઊ月には年0.90%(返 済期間21年以上、融資率ઋ割以下)となり、史上最 低金利を更新しました。(資料ઉ) また、2014年અ月以降、新規受付の休止が続いて いた保証型についても、2016年度は機関が新規受 付を再開いただき、【フラット35】の商品ラインナ ップが更に充実しました。8 【フラット35】子育て支援型・地域活
性化型の創設
「ニッポン一億総活躍プラン」、「まち・ひと・しご と創生基本方針2016」における地方創生等の推進に 向けて、「子育て支援」、「UIJターン」及び「コン パクトシティ形成」の施策を実施している地方公共 団体と機構が連携し、地方公共団体による財政的支 援と併せて、【フラット35】の金利を当初ઇ年間年 資料ઈ 【フラット35】リノベチラシ 資料ઉ 【フラット35】の金利推移(返済期間21年以上、融資率ઋ割以下) ᵎᵌᵓ ᵏᵌᵎ ᵏᵌᵓ ᵐᵌᵎ ᵐᵌᵓ ᵑᵌᵎ ᵏ ᵐᵎᵏᵏ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵕ ᵖ ᵗᵏᵎᵏᵏᵏᵐᵏ ᵐᵎᵏᵐ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵕ ᵖ ᵗᵏᵎᵏᵏᵏᵐᵏ ᵐᵎᵏᵑ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵕ ᵖ ᵗᵏᵎᵏᵏᵏᵐᵏ ᵐᵎᵏᵒ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵕ ᵖ ᵗᵏᵎᵏᵏᵏᵐᵏ ᵐᵎᵏᵓ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵕ ᵖ ᵗᵏᵎᵏᵏᵏᵐᵏ ᵐᵎᵏᵔ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵕ ᵖ ᵗᵏᵎᵏᵏᵏᵐᵏ ᵐᵎᵏᵕ ᵐ ᵑ ᵒ ᵓ ᵔ ᵆᵃᵇ ࠰ᵎᵌᵗᵎᵃ Ӫɥஇ˯М ᵐᵎᵏᵔ࠰ᾇஉ இ᫁М0.25%引き下げる【フラット35】子育て支援型・地 域活性化型を2017年આ月に創設しました。地方公共 団体と連携して地方創生等を推進するという従来の 【フラット35】にはなかった観点での取組です。地 方公共団体との協定締結数は、2017年ઇ月25日現在 で55団体となっています。(資料ઊ) また、機構の現場である支店等においても、地方 創生等への取組として、2016年度から各支店等に地 域連携の業務を位置付け、今年度から担当部署の名 称を「地域営業グループ」に変更しました。業務に ついても、【フラット35】だけでなく、サービス付 き高齢者向け賃貸住宅融資、高齢者向けリバースモ ーゲージ型住宅融資、マンション管理組合を対象と した共用部分リフォーム融資、災害復興住宅融資等、 幅広い機構の融資メニューで、地域課題の解決に向 けて取り組んでいます。
9 更なる制度拡充、機構の取組
今年10月からは、【フラット35】の団体信用生命 保険が大きく変わります。団信の加入に必要な費用 を住宅ローンの月々の返済金に含めた団信付きの 【フラット35】になります。また、死亡以外の保障 内容も、身体障害者手帳の交付や介護認定等公的制 度と関連付けることにより、お客さまに分かりやす くすると同時に保障内容も充実します。(資料ઋ) 機構になって10年間の取組を振り返ると、社会経 済情勢の変化に対応した制度拡充とその周知に尽力 して参りました。とりわけ、金融機関、住宅事業者、 適合証明機関の皆さまをはじめとした関係者の皆さ まのご協力により、多大な成果を上げることができ ました。 2016年અ月に策定された住生活基本計画(全国計 画)において、機構には「新たな住宅循環システム の構築や建替え・リフォームによる安全で質の高い 住宅への更新等に対応した住宅ローンの供給を支援 する役割が期待される。」とされています。こうし た期待に応え、お客さまに支持され続けられるよう 商品改善の努力を継続し、住宅金融市場における先 導的な取組の担い手としての役割を果たすことがで きるよう、より一層の努力を重ねて参ります。 資料ઊ 【フラット35】子育て支援型のイメージᏊ⫱䛶ᨭᆺ 䠄Ꮚ⫱䛶ᨭ䠅
䡚䛂ᕼᮃฟ⏕⋡䠍䠊䠔䛃䛻ྥ䛡䛯㏆ᒃ䞉ྠᒃ➼䛾ᐇ⌧䡚 䛆䝅䝙䜰ୡᖏ䛇 䛆Ꮚ⫱䛶ୡᖏ䛇 ㏆ᒃ䞉ྠᒃ 資料ઋ 2017年10月団信リニューアルチラシ【フラット35】
2017年度 આ月 ઈ月 10月 2007年度 【フラット35】の主な制度拡充等 2012年度 融資率上限の引上げ(ઋ割→10割)(買取型) 月 2013年度 【フラット35】Sの金利引下げ幅拡大(年▲0.3%→年▲0.6%)〈〜2016年ઃ月〉 融資率ઋ割超の場合に、融資率ઋ割以下の場合と比べて上乗せしている金利の引下げ(年 +0.44%→年+0.13%)(買取型)〈〜2016年ઃ月〉 月 2014年度 【フラット35(リフォーム一体型)】・【ダブルフラット】(買取型)の創設 【フラット35】Sの金利引下げ幅拡大(年▲0.3%→年▲0.6%)、融資率ઋ割超の場合の上 乗せ金利引下げ(年+0.44%→年+0.13%)(買取型)の受付期間終了 આ月 ઃ月 2015年度 性能向上リフォームが実施された住宅等について一定期間金利を引き下げる(年▲0.6%) 【フラット35】リノベの創設 10月 2016年度 「子育て支援」、「UIJターン」及び「コンパクトシティ形成」に係る施策を実施している地 方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、当初ઇ年間金利を引き下げる(年▲0.25%)【フ ラット35】子育て支援型・地域活性化型の創設 【フラット35】Sの金利引下げ幅の変更(年▲0.3%→年▲0.25%) 【フラット35】が団信付きの住宅ローンに(買取型) આ月 10月 独立行政法人住宅金融支援機構設立 融資率上限の引上げ(ઊ割→ઋ割)(買取型) 【フラット35】Sの対象住宅に「耐久性・可変性に優れた住宅」等を追加 保証型を【フラット35】Sの対象に 保留地の融資対象化(買取型) 返済期間(20年以下、21年以上)に応じた融資金利の設定(買取型) 定期借地権付き住宅の前払賃料の融資対象化(買取型) 【フラット35】Sの対象住宅に「中古住宅特有の基準」を追加 ઃ月 2008年度 【フラット35】Sの金利引下げ期間の延長(ઇ年間→10年間)〈〜2012年અ月〉 【フラット35】Sに長期優良住宅等、「20年金利引下げタイプ」を追加〈〜2012年અ月〉 融資率上限の引上げ(ઋ割→10割)(買取型)〈〜2012年અ月〉 借換えの融資対象化(買取型) 長期優良住宅を対象とした【フラット50】の取扱開始(買取型) 【フラット35】Sの当初10年間の金利引下げ幅拡大(年▲0.3%→年▲1.0%)〈〜2010年12 月〉 ઇ月 ઈ月 月 2009年度 【フラット35】Sの当初10年間の金利引下げ幅拡大(年▲0.3%→年▲1.0%)の実施期間 をઃ年延長〈〜2010年12月→〜2011年12月〉 ઋ月 2010年度 【フラット35】Sの当初10年間の金利引下げ幅拡大(年▲0.3%→年▲1.0%)の実施期間 をઅヶ月前倒しで終了〈〜2011年12月→〜2011年ઋ月〉 省エネルギー性に優れた住宅について当初ઇ年間の金利引下げ幅を拡大する(年▲0.3% →年▲1.0%(東日本大震災の被災地以外は年▲0.7%))【フラット35】Sエコの取扱開始 〈〜2012年10月〉 ઋ月 12月 2011年度 【フラット35】Sエコ以外の融資率上限の引下げ(10割→ઋ割)(買取型) 【フラット35】Sエコ以外の【フラット35】Sの金利引下げ期間の縮小(10年間・20年間 →ઇ年間・10年間) 【フラット35】Sエコの受付期間終了→【フラット35】Sの金利引下げ幅 年▲0.3%、金 利引下げ期間ઇ年間・10年間、【フラット35】の融資率上限ઋ割に(買取型) આ月 10月