ケース10
49歳の女性、シックハウス症候群で通院中、1ヶ月前に、血液検査で異常を指
摘され、精査をしたところ、急性白血病と診断された。告知を受けた後、化学療法
を受けている。
2週間前から抑うつ気分とともに、不眠、集中困難、興味・関心の低下及び疲労
感を訴えるようになった。生きて行く自信もないと感じる時が多いとのことである。
この為か、患者は治療を受けたくないと言い始めた。
繰り返し化学療法の必要性、副作用、治療を受けなかった時の不利益及びその
他の治療法を説明した。
患者はその内容について十分理解したが、化学療法を拒否した。
医師と患者の関係はどうあるべきか
法的には・・・
医師患者関係は『準委任契約』である
医師患者関係は対等な契約関係であり、医師は患者の権利、
具体的には大切なことは
「
互いの協力が必要」
患者・・・医師への協力的な姿勢
向上、改善の為に助言を求める姿勢
医師・・・患者との信頼関係を築けるような姿勢
や整備された医療環境
治療に当たって、患者の意思確認の注意点
医師は患者が自己の疾患を理解して治療方針を選択できる
ようにしなければならない。
つまり、治療内容、患者側の因子、医療者側の因子、患者医
療者相互関係などが重要で、医療者側はこれまでの「指示」
から具体的に「支援」が求められている(アドヒアランス)。
今回の事例の場合、患者には抑うつ症状があるので、医師
はその点に注意して意思確認をとらなければならない。患者
が抑うつ症状の影響で自己の疾患を悲観的にとらえ過ぎな
いように気をつけるべきである。
臨床倫理の4分割表
Medical Indication (医学的適応)
(
Beneficience,Non-malficience:恩恵・無害)
1.診断と予後
2.治療目標の確認
3.医学の効用とリスク
4.無益性(futility)
Patient references (患者の意向)
(
Autonomy:自己決定の原則)
1.患者さんの判断能力
2.インフォームドコンセント
(コミュニケーションと信頼関係)
3.治療の拒否
4.事前の意思表示(Living Will)
5.代理決定 (代行判断、最善利益)
QOL (Well-Being:幸福追求)
1.QOLの定義と評価
(身体、心理、社会、スピリチュアル)
2.誰がどのような基準で決めるか
・偏見の危険
・何が患者にとって最善か
3.QOLに影響を及ぼす因子
Contextual Features (周囲の状況)
(
Justice-Utility:公平と効用)
1.家族や利害関係者
2.守秘義務
3.経済的側面、公共の利益
4.施設の方針、診療形態、研究教育
5.法律、慣習 、宗教
6.その他 (診療情報開示、医療事故)
医師の態度・説明法
傾聴とインフォームドコンセントとセカンドオピニオン
インフォームドコンセントとは・・・
「十分な説明を受けた上での患者の同意と承諾」を
意味する。医師から医療行為の性質、危険性、利益、
他の方法の危険性と利益について適切な説明を受
けた後、患者が理解、同意し、強制的ではなく自発
的に受諾をすること。
インフォームドコンセントの注意点
①情報の開示②十分な理解③意思決定④患者の同意
担当医師が患者より直接インフォームドコンセントを
得ること
医療従事者による患者の納得のいく説明が必要
説明には患者が理解できるような言葉で行う
医療従事者間で患者に関する情報を共有する
患者は同意を無条件で撤回することができる
インフォームドコンセントの例外
患者の同意を得る時間的余裕がないとき
患者が幼児や精神障害者など、自己の意思表明が
できないとき。ただし、家族等の代理人の同意は必
要で、さらに、できるだけ本人の同意を得るように勤
めなければ成らない。
セカンドオピニオン
治療を受けている患者が治療上の重要な意思決定
を行うに際して、それまでの診察経過、検査結果な
どの資料を元に他の医師の意見
(セカンドオピニオ
ン
)を求め、自分の意思決定の材料にすること。
<利点>
治療に関する多くの情報を得ることができ、他の施
設の治療法について知ることができる
診断や治療法に誤りがないかを確認できる
良好なパートナーシップを確立できる医師を選ぶこ
とができる
参考文献
サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (2010年版・第33版)
MEDIC MEDIA
臨床倫理学:臨床医学における倫理的決定のための実践的なアプローチ(1997)
新興医学出版
医療の基本ABC (2000) 日本医師会
3-B-5 画像記録
画像記録は、医療法施行規則により保存期
間は、2年間と定められている。
平成11年4月より、電子媒体による保存が
認められるようになった。
電子保存の3基準として、真正性、見読性、
保存性が確保されることが求められる。
①真正性:虚偽入力、書き換え、消去、混同の防止責任者の所在の明確化
②見読性:肉眼での見読が可能、直ちにフィルム表示が可能
③保存性:法令での保存期間内での復元可能な保存
7班 84番 松本 優輔
参考文献:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P20
3-B-6 退院時要約
患者の退院時に作成するもので、入院中の経過、治療内容、転帰などに
ついての要約を記載する。サマリー、退院時総括などと同義。
・診療録の一部として医療側の便宜のため作成され、患者への交付を前
提とはしていない。
※「医療法」第6条4の3で規定されている「退院療養計画書」は、患者が
退院後に様々なサービスを受けやすくするための文書であり、退院時要
約とは異なるものである。
7班 5番 安藤 洸平
参考文献:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P20
3‐
C-1 診断書
診断若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師
は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは
死産証書の交付の請求があった場合には、正当な
事由がなければ、これを拒んではならない
『医師法』第19条第2項
診断書の虚偽記載
役所に提出される診断書の記載内容に虚偽があっ
た場合は、虚偽診断書作成罪が成立する
(対象とな
るのは役所に提出する診断書のみである点に留意)
7班 6番 伊賀 賢一
参考文献:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P23
3-C-2 出生証明書
出生に立ち会った場合に、これを証明するために作成す
る書類
根拠法・・・医師法、保健師助産師看護師法、戸籍法
交付者・・・医師、助産師
出生証明書は、出産に立ち会った者のうち、医師、助産
師、その他の者の順序で作成(戸籍法『第49条』)
7班 24番 亀井 優衣子
参考文献:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P23
3-C-3 死産証書
根拠法は医師法、保助看法。
妊娠4月(満12週)以降の死産児の分娩に
立ち会った際、その死産児に対する医学的判
断を証明するために作成する書類。
交付者は医師と助産師
。
7班 26番 木戸上 知弘
参考文献: サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P23
3-C-4 死胎検案書
根拠法 : 医師法・保健師助産師看護師法
要約 : 立ち会っていない分娩における死産児に対する
医学的判断を証明するために作成する書類。
交付者 : 医師・助産師
届出 : 死産届出として死胎検案書を添え、市町村長、
又は特別区・政令指定都市の区長に提出
(期限は
7日以内)
7班 29番 古形 修平
参考文献: サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P23・P226
3
-C-5 死亡診断書
死亡診断書は診察継続中の患者が、その診察の係る疾患
で死亡した場合に交付する
受診後24時間以内に診察中の疾患で死亡した場合は、異状
がない限り、改めて死後診察しなくても、死亡診断書を交付
できる
受診後24時間を越えても、診療に係る傷病で死亡したことが
予期できる場合であれば、まず診察を行い、その上で生前に
診察していた傷病が死因と判定できれば、死亡診断書を交
付できる
死亡診断書
(死体検案書)の意義
①人間の死亡を医学的、法律的に証明する
(事実証明の文章)
②わが国の死因統計作成の資料となる
③刑事、民事事件等の証拠、補償・保険等の認定・査
定の資料に使うことができる
7班 67番 橋本耕太郎
参考文献: サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P25
3-C-6 死体検案書
診療中でない人の死体、または他の医師が
診療していた患者の死体に対する医学的判
断を証明するために作成する書類。医師のみ
が発行できる文書。
死体を検案して、異常があると認められる場
合は、
24時間以内に所轄警察署に届け出る。
7班 107番 渡辺 優
参考文献: サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (
2010年版・第33版) MEDIC MEDIA P23・P25
臨床倫理の4分割に当てはめると…
Medical Indication(医学的適応)
化学療法による白血病の治療
抑うつ症状の改善
Patient Preferences(患者の選好)
インフォムドコンセントは行えているが
患者は抑うつ気分
→治療に対する正しい判断能力
を有しているとはいえない
QOL(生きる事の質)
シックハウス症候群と急性白血病
抑うつ症状の改善
化学療法の副作用
Contextual Features (周囲の状況)
2つの疾患の治療で治療費がかさむ
*このケースの場合、家族の有無及び
社会での立場等の情報が不足
インフォームドコンセント(2)
2度目のインフォームドコンセントは、患者の精神状況(抑う
つ症状)を見ると適正に行えていない可能性
⇒この状態は「インフォームドコンセントの例外」にあてはま
るのでは??
インフォームドコンセントの例外:患者の同意を得るのに時
間的余裕が無い場合や、幼児や精神障害者など、自己の意
思表明ができないとき
このような場合、インフォムドコンセントの場に患者の家族に
同席してもらった方がよいと考える
患者の精神状態
急性白血病の病名告知後の患者の精神状態のケ
アは適切に行われていたのか?
⇒告知時に精神科医や臨床心理士等のメンタルヘ
ルスに詳しい人員を同席すべき
⇒出来ればこの段階で、患者側も家族に同席して
もらった方がいいと思われる
化学療法中の精神状態のケアの仕方は?
⇒入院中であれば化学療法と同時にカウンセリン
グも受けられるように治療方針を組む
カウンセリング
自殺総合対策大綱(自殺対策基本法に基づいて作
成された、政府の指針)においてはカウンセリング
室の設置などがうたわれているが…
⇒本当に抑うつ症状のある人は自発的にカウンセ
リング室に行くのか?
入院中であればカウンセラーが患者を伺うほうが効
果的だと思われる
家族もカウンセリングを受けることで、患者への接し
方を学ぶ事が出来る
今後の出来る対策として(1)
精神科医のもとで抑うつ症状を改善
…このケースにおいては、急性白血病の治療にあ
たる前に、患者が「健常な精神状態」でインフォーム
ドコンセントに臨むことが出来るようにするのが先決
抑うつ症状改善後も治療を拒否する場合
…医師の職務として治療の必要性を訴えることは
出来るが、患者が了承しない限り治療不可能
⇒患者家族からも治療の重要性を訴えてもらえる
ように配慮する
今後の出来る対策として(2)
病院側の対策として
⇒患者にストレスを与えるような告知の時やインフォームドコ
ンセントの時は、臨床心理士等を同席させるなどのマニュア
ルの作成
⇒告知の際の医師の話し方や態度についての指導及び勉強
会を、定期的に病院単位で開く
⇒患者が精神疾患を患っている時、どの様な症状が出ていれ
ば「インフォムードコンセントの例外」にあたるのかをマニュア
ル化する
参考文献
サブノート 保健医療論・公衆衛生学 (2010年版・第33版)
MEDIC MEDIA
臨床倫理学:臨床医学における倫理的決定のための実践的なアプローチ
(2006年・第5版) 新興医学出版
医療の基本ABC (2000) 日本医師会