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平成28 年 3 月 15 日

藻類によるバイオ燃料製造の最新状況

光合成などにより脂質を生成する藻類は、脂 質を次世代のバイオディーゼル油などの原料と して開発が進められている。また、脂質を抽出 した後のバイオマスは、燃料や幅広い用途の原 料として注目を集めている。このように藻類の 活用は、地球温暖化対策および将来のエネルギ ー源確保のために各国で盛んに研究開発が進め られている。 米国を中心に、藻類の量産化の技術開発や商 業規模での量産システム確立に複数のプロジェ クトへの挑戦が進んでいる。しかしながら、 2014 年 7 月からの原油価格の大幅な下落によ り、石油製品価格は低迷している。その影響を 受け、バイオ燃料の販売価格も大幅に下落する など、同燃料製造業者にとっては厳しい状況が 続いている。 今回の報告では、厳しい環境の中で世界の主 要な藻類由来燃料油プロジェクトの最新状況を 報告する。なお、ドルは記載がない限りUS ドルとする。 1 藻類由来バイオ燃料の概況 2009 年末 米国では、藻類を原料とするバイオ燃料製造プロジェクトとして、デモ段階 1 件(Sapphire Energy 社)、パイロット段階 2 件(Solazyme 社、Algenol Biofuels 社)

の合計3 件がエネルギー省(DOE)の補助事業として認定され、本格的な取組みがスター トしている。 藻類を培養して多様な製品を製造するこのプロジェクトは、現在では30 前後が世界に 存在すると言われている。今回紹介するプロジェクトは、高付加価値製品(利益率の高い 健康補助食品、家畜・水産養殖の飼料など)の製造・販売に取組んでいるものである。しか しながら、バイオ燃料の製品販売または製品化に取組んでいるプロジェクトは、前述した 2015 年度

第 31 回

2 1 藻類由来バイオ燃料の概況 1 2 米国・カナダの状況 2 2-1 DOE の取組み状況 2 2-2 Solazyme 社 3 2-3 Sapphire Energy 社 4 2-4 Algenol Biofuels 社 5 2-5 Cellana社 5 2-6 Pond Biofuels 社 5 3 日本の状況 5 3-1 NEDO の開発事業 5 3-2 仙台市の研究開発 7 3-3 ユーグレナ社 7 4 その他の国の状況 8 4-1 Muradel Pty 社 8 4-2 Algae. Tec 社 8

4-3 Solar Biofuels Research Center 9

4-4 Fermentalg 社 9

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油価低迷もあり半数程度にとどまっている。この原油価格下落は、今でも底を打った状況 にあるとは言えず、藻類由来バイオ燃料に関する新たな投資には、開発各社とも慎重な態 度である(図1 参照)。 藻類由来バイオ燃料の開発プロジェクトは、生成油分含量の高い藍藻類を使用している 割合が多くなっている。個別プロジェクトでは、単位面積当たりの油分収率の高い株種の 選定、培養液の塩分濃度や温度などの生育条件、二酸化炭素(CO2)の供給方法、培養し た藻類の収穫方法およびバイオマスと油分との分離方法などが微妙に異なり、それぞれに 特徴のあるプロセスを構成している。 2014 年 10 月 Biofuenls Digest 誌によると、藻類由来バイオ燃料の製造コストは、1 ガ ロン(約3.78 ℓ)当たり 7 ドル弱である。主要コストとしては、培養池関連で 1.90 ドル、 収穫関連で1.30 ドル、藻株の接種システムで 0.69 ドルとしている。 DOE では、藻類由来バイオ燃料(ガソリン相当品)の製造コストを 2019 年までに 1 ガロン当たり5 ドル以下に、2030 年までに同 3 ドルまで下げる目標を設定している。な

お、GGE(Gallons of Gasoline Equivalent)は、ガソリン等価ガロン(1 ガロンのガソリ ンエネルギーに等しい代替燃料の量)を表している。 2 米国・カナダの状況 2-1 DOE の取組み状況 DOE によると、藻類由来油の生産性(単位面積当り)は、植物油の 60 倍以上となる とされており、将来的なバイオ燃料として大きな可能性を指摘している。また、最近では 管理された環境下で生育される藻類由来油の安全性および成長性が評価され、米国内でも 食用用途としても脚光を浴びつつある。 $1.5 $2.0 $2.5 $3.0 $3.5 $4.0 $4.5 $5.0 C o st p e r G G E E85 B99/B100 B20 Gasoline Diesel

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2014 年 9 月 DOE は、藻類由来バイオ燃料の製造コストを 2019 年までに 1 ガロン(ガ ソリン相当品)当たり5ドル以下に低減するため、2,500 万ドルの補助金枠を設定した。 この計画は、藻類由来バイオマスからバイオディーゼル油およびジェット燃料の製造、藻 類由来油からの副製品として工業用化学製品の製造、バイオ系ポリマーおよびプロティン などの高付加価値製品を製造する予定である。これにより同事業の収益改善とともに稼働 率を上げ、製造コストを下げる狙いである。 2015 年 7 月 DOE からの補助金対象事業 6 プロジェクトが発表された。各プロジェク ト合計の補助金総額は、1,800 万ドルとなっており事業概要は下記のとおりである。

① Marine Algae Industrialization Consortium(North Carolina 州)

Duke 大学が中心に Hawaii 大学、Cornell 大学および Cellana 社などがパートナー

となっている。同プロジェクトは、520 万ドルの補助金を受けて、人間や家畜用の栄

養補助食品のような高付加価値製品の開発を行う計画である。なお、Cellana 社は、 2010 年に藻類由来の家畜飼料開発に取組んでいた実績がある。

② Producing Algae & Co-Products for Energy(Colorado 州)

Colorado 州立の Colorado School of Mines 大学が中心となり Los Alamos 国立研 究所、Reliance Industries (インド)などが参加している。同プロジェクトは、補助 金額は900 万ドルで、藻類由来バイオ燃料の持続可能性を高めるため、CO2吸収の最 大化、栄養剤や培養液の回収とリサイクルおよびバイオ発電での熱電併給システムの 研究を行う計画である。 ③ その他のプロジェクト その他4 プロジェクトへの補助金額は、各々100 万ドル以下となっている。

・発電所の排ガスからCO2吸収に係るプロジェクト(Global Algae Innovations)

・大気中のCO2を回収・高濃度化して、バイオマス生産性を向上させるプロジェク

ト(Arizona 州立大学)

・藻類作物の健全成長のために藻類生産池への異物侵入や感染を早期に自動検知す るシステムの構築(California 州立大学 San Diego 校)

・藻類の成長を阻害する侵入菌に対抗するバクテリアの開発(Lawrence Livermore 国立研究所) 2-2 Solazyme 社 Solazyme 社(2003 年創業、California 州)の技術は、再生可能植物由来(スクロース、 ブドウ糖、セルロース誘導体など)の糖類を原料とする変性藻類による嫌気性発酵法であ る。ステンレス製 培養容器内で、特殊な微細藻類の株種を用い、光合成を利用せずに油分 含有量の高い藻類を生成するものである。同社の米国およびブラジルの2 工場合わせて、 藻類由来油を年産10.2 万トンの規模で燃料油および食品添加物などを製造している。

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Bunge 社の子会社)と合弁会社 Solazyme Bunge Renewable Oil(SBRO)を設立し、 Bunge 社のブラジルにある砂糖工場に、年産 10 万トン(発酵槽:62.5m3)のバイオリフ ァイナリーを建設し2014 年 5 月から商業運転に入っている。 2012 年 SBRO 社は、原油価格の下落により採算が厳しくなっている燃料油用途から、 不飽和脂肪酸の特徴を生かした健康食品用途や食用油用途などの高付加価値製品分野へと 生産の重点の切替えを行うと発表した。この方針変更により、ブラジルの新設設備の稼働 率が上がらず、2015 年の売上見込みが予想を大幅に下回る可能性がある。

Solazyme 社は、Archer Daniels Midland 社(Iowa 州)の工場内に年産 2 万トンの製 造設備を2014 年初頭から運転していた。2015 年第 3 四半期に同事業から撤退したことを 発表した。理由としては、Bunge 社との取組みを更に拡大するため、運転コストの安いブ ラジル工場の運転改善に注力するとしている。 この結果、同社の製造体制は、2012 年夏に稼働した年産 2,000 トンの工場(Illinois 州)の2 ヶ所となる。製品展開としては、世界 22 ヶ国で展開する化粧品、潤滑油および 生分解性の金属加工油などにも拡大している。藻類により生成したトリグリセライドは、 植物油に性状が似ており、藻類から高収率で回収された油分はエステル転移反応によりバ イオディーゼル油へ、水素化処理により再生可能ディーゼル油やジェット燃料となる。 2-3 Sapphire Energy 社 Sapphire 社(2007 年創業、California 州)の技術は、耕作不適合地を利用した培養池 で、特殊な藻類を用いて光合成による藻類由来油を製造する方法である。製造規模は、当 初2015 年計画では藻類由来油 100 BPD の製造と報告している。製品は、当初バイオ燃料 の製造を中心に据えていたが、現在は栄養補助食品および家畜飼料などに注力している。 同社は、DOE の補助事業(2009 年 12 月)としてプロジェクトに取組み、米国農務省 (USDA)から債務保証枠を得て、商業化に向けて技術実証と規模の拡大を行っていた。 同社は、藻類由来バイオ燃料の研究開発に関し、今まで3 億ドル以上を投資している。 2015 年初頭 同社は、原油価格が$50/bbl レベルではバイオ燃料油製造で経営を支える ことが困難であるとしていた。同社は、当面の事業目標を燃料油製造と技術的には大きな 違いがない、高付加価値製品である食用油および栄養補助食品の製造に切替えた。世界的 な栄養補助食品市場への参入のため、商業生産への確立をあげている。なお2015年2月 製 造コストは、1 ガロン当り 26 ドルを超えていると報じられている。 同社の量産技術デモ工場(約20 エーカー:約 8.1ha)は、計画通りに 2012 年 5 月か ら試運転を開始し、2012 年 8 月に本格運転を開始している。商用装置の建設は 2017 年ま でに行うことを考えており、100 エーカーまで拡大する計画である。 種蒔きから油分抽出までは、平均で約14 日間要する連続プロセスであり、GHG(温室

効果ガス、Green House Gas)削減率は石油製品に対して約 70%である。培養池は 10 エ ーカー(約4ha)毎に仕切られた 100 エーカーを 1 区画とし、3 区画から構成されている。

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藻類から油分抽出は、熱と圧力をかけ化学薬品も用いて行う。また残留固形バイオマスは、 家畜の飼料などに製品化されるとともに、嫌気性消化プロセスによりメタンガスを製造し バイオリファイナリーのエネルギー源として用いられる。また一部は、栄養剤として培養 池に戻される。 2-4 Algenol Biofuels 社 Algenol 社(2006 年創業、Florida 州)の採用技術は、光合成培養によりエタノールを 優先して生成する特殊酵素で変性した藍藻を用い、生成したエタノールを培養液である海 水中に溶解させて回収する。エタノール分離後の藻類バイオマスは、バイオディーゼル油 およびジェット燃料などに変換する二段ステップ方式を採用している。

同社は、事業パートナーとして、BioFields 社(メキシコ)および Reliance Industries (インド)の米国子会社と組んでいる。2014 年 11 月 デモ設備が Jamnagar 製油所(イ ンド)近郊に完成し、現在運転中である。 2-5 Cellana 社 Cellana 社(2004 年創業、Carifornia 州)の技術は、特異性を持つ藻類を用いて光合 成培養による藻類由来油の製造である。 同社のデモ工場(Hawaii 州)は、2009 年から操業を開始しており、海洋微細藻類を 用いて光合成によりω-3EPA(エイコサペンタエン酸)および DHA(ドコサヘキサエン 酸)、動物飼料およびバイオ燃料(原料)などを製造している。同社は、量産設備の建設 に関して世界中を候補に検討中とされている。 2-6 Pond Biofuels 社

Pond 社(2007 年創業、Canada)の技術は、大型プラントからの燃焼排ガス中の CO2 を原料に、成長が早く安定して使用できる藻類株を使用し、光合成で藻類を培養する方 法を採用している。製品はバイオディーゼル油であるが、副生油およびバイオマスを幅

広く高付加価値製品へ展開することを考え、CO2吸収によるGHG 排出枠の販売も考え

ている。

2014 年 7 月 Pond 社は、St. Marys Cement 社の工場内(Ontario 州)にパイロット

プラントを設置し、同工場の排ガスを原料にバイオリアクター(容量:2.5kℓ)を利用し 培養試験を行っている。同社では、藻類1kg の生産により CO2の発生を2kg 抑制できて いるとしている。 3 日本の状況 3-1 NEDO の開発事業 IHI、神戸大学および ちとせ研究所は、2012 年度から独立行政法人 新エネルギー・

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産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用 技術開発事業」として、高い炭化水素油の生産能力を持つ遺伝子組換えによる高速増殖 型ボツリオコッカス(榎本藻)を用いた研究開発に取り組んでいる。 プロジェクト発足当初からの重要課題は、製造 コストダウンである。課題対策として、藻の品 種改良による藻粒径および浮上性の向上に成功 した。2013 年度には、IHI 横浜事業所内に 100 ㎡規模での屋外安定培養技術を確立し、2015 年 5 月には鹿児島市に建設した 1,500 ㎡の屋外試 験設備での大規模培養に成功したと発表した (写真1 参照)。同プロジェクトは、このように 応用研究から商用実証段階にきている。 大規模培養では、栄養となる糖類を添加せずに、光合成のみで藻体の安定的増殖に成 功したと報告している。今後は、通年での安定的な量産技術の向上に取組むとともに、 プロセス改良による更なるコスト低減技術の開発を進める計画である。 本プロジェクトでは、海外での事業展開を想定して事業実施場所の選定も並行して進 めるとしており、ジェット燃料を中心とした実用化を目指している。 2011 年 8 月 IHI、ジーン・アンド・ジーンテクノロジー(G&GT)および ちとせ研究 所の3 社が共同で、本格的な藻類バイオ燃料の開発を行うために IHI NeoG Algae 合同 会社を設立している。 IHI は、水処理施設や食品工場の排水設備などで多数の設計施工実績を有している。 またG&GT 社は、高速増殖型ボツリオコッカス(榎本藻)を発見している。ちとせ研究 所は、微生物の育種や培養の技術を保有している。 NEDO の委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」としては、 IHI グループを含めて 4 件のプロジェクトが実施されており概要を下記する。 ① 電源開発(J-Power)・東京農工大・日揮グループ 2013 年度からの事業で、微細藻株として海洋珪藻を用い、ジェット燃料生産を目 的とするプロジェクトである。北九州市若松区に10 ㎡の円形実証設備を 20 基設置 し、藻類の連続培養試験を実施し屋外培養条件の確立などに取組んでいる。 ② デンソー・中央大・クボタ・出光興産グループ 2011 年度からの事業で、NEDO 事業を母体に発展・拡大して取組んでいるプロ ジェクトである。野外培養に有利な微細藻体のシュードココミクサを用いて、ジェ ット燃料やディーゼル油を製造することを目的としている。同グループでは、愛知 県で60 ㎡の培養槽を用いて試験培養を実施している。 写真1:屋外試験設備(出所:IHI)

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③ DIC・神戸大・基礎生物学研究所グループ 2012 年度からの事業で、微細藻体として海産性のクラミドモナスを用い、ジェッ ト燃料生産を目的とするプロジェクトである。25 ㎡の屋外培養槽を用いて、屋外培 養条件の最適化などに取組み中である。 3-2 仙台市の研究開発 仙台市では、2012 年度から筑波大学および東北大学と連携し、生活排水を用いて藻類 バイオマスを培養し、石油成分を生成する研究開発に取組んでいる。同市は、震災復興計 画の重点事業として省エネ・新エネプロジェクトを掲げ、その一つとして被災した南蒲生浄 化センターを拠点に本事業に取組んでいる。同事業は、文部科学省の「東北復興のための クリーンエネルギー研究開発推進事業」にも採択されている。 筑波大学は藻類バイオマスの生産技術の確立、東北大学は藻類バイオマスからの油分抽 出・精製技術等の確立、仙台市は下水処理場を中心とした研究協力を担うことになっている。 現在は、システム構築のための基礎実験および生産設備最適化のためのデータ取得を実施 している。 使用藻類としては、増殖スピードが速くクロロフィルを持たない(光合成を行わない) 従属栄養型のオーランチオキトリウムにより、下水や汚泥に含まれる有機物を取込み油脂 の生産を行う。光合成を行うボツリオコッカスにより、下水処理水中に含まれる窒素やリ ンを栄養分として利用し油分を生成する。 震災復興に係るプロジェクトは、福島県再生可能エネルギー次世代技術開発事業として 「土着藻類によるバイオマス生産技術の開発」を2013 年に筑波大学を中心に設立された 一般社団法人 藻類産業創成コンソーシアムが受託した。南相馬市の津波被災地において、 次世代に向けた土着の藻類バイオマスの大量生産に関する研究開発に取組んでいる。 2015 年 8 月 屋外培養設備などの主要施設が完成している。使用藻類は、脂肪酸系炭化 水素を体内に蓄積しうるデスモデスムス属の緑藻およびディクティオスフェリウム属の緑 藻である。 3-3 ユーグレナ社 ユーグレナ社は、ミドリムシを中心とした微細藻類に関 する研究開発および生産・販売等を展開している。なお、ミ ドリムシはユーグレナと称されることも多く、ユーグレナ 科ミドリムシ属に分類され、鞭毛(べんもう)運動する動 物的性質を持ちながら同時に植物として葉緑体を持ち光合 成を行う単細胞生物である(写真2 参照)。 2015 年 12 月 同社は、2020 年までに藻類由来油を原料とするジェット燃料の実用化を 写真2 ミドリムシ (出所:ユーグレナ)

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行うため、実証プラントを横浜市に設置すると発表した。実証プラントは、Chevron 社の アイソコンバージョンプロセス技術供与によるものである。同プラントは、2018 年前半の 稼働を予定しており、ジェット燃料(年間製造量:125kℓ)を製造する。投資額は約 30 億円であり、ジェット燃料として使用するのに必須条件であるASTM International認証 取得を計画している。このプロジェクトは、全日空(ジェット燃料の共同研究)、千代田化 工建設(プラントの建設)および伊藤忠エネクス(原料調達)と連携して行う。 実用化へは、石油由来のジェット燃料の約10 倍とされる価格をどう下げるかが最大の 課題と言われている。今回の実証プラントで製造するジェット燃料は、10%混合で全日空 が国内線で使用する計画である。 2016 年 1 月 ユーグレナ社は、「バイオマス産業都市」として選定された佐賀市と共同 研究を行うことも合意している。同市の下水浄化センターから排出される有機物を多く含 む処理水および清掃センターから回収するCO2などを活用した高効率な藻類培養に取組 む計画である。2016 年 4 月 同市の清掃工場に隣接する形で藻類培養工場が建設される予 定である。 4 その他の国の状況 4-1 Muradel Pty 社

Muradel 社(2010 年創業、オーストラリア)は、Adelaide 大学、Murdoch 大学およ びSQC Pty 社が 500 万豪ドル(約 4.3 億円)のプロジェクト費用で設立した合弁企業で ある。オーストラリアの地の利を生かして、採算性のある大規模な藻類事業の遂行が目的 である。 2014 年 同社は、4,000 ㎡の培養池デモプラント(Western Australia 州)を運転中で、 今後は250 倍に拡大し、バイオ燃料の一種であるグリーンクルードオイル(GCO)を年 産25 万 kℓ生産する計画している。デモプラント建設には 1,070 万豪ドルを掛ける予定で ある。2013 年 2 月 同社は、同国 再生可能エネルギー庁から 440 万豪ドルの補助金を受 けたほか、地元州政府などから経済的な支援がされている。 技術的には、オープンポンド(開放型培養池)で含塩水を用いて藻類を培養し、収穫し た藻類を亜臨界水反応器(200 気圧、350℃)で熱水処理液化により GCO を製造する。現 在は、原料としては安価な固形バイオマスを使用して熱水処理液化でGCO を製造し、精 製してバイオディール油などのバイオ燃料を製造している。生成藻類は、より付加価値の 高い製品分野の原料として使用する計画である。 4-2 Algae.Tec 社 Algae.Tec 社は(2007 年創業、オーストラリア)、藻類の量産により持続可能なバイオ燃 料およびプロティンなどの食品製造を目指している。2015 年 4 月 同社は、栄養補助食品 分野への参入を発表している。

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同社の技術は、輸送用コンテナ(長 さ:40ft)に光合成で培養するための チューブを収納し、コンテナを必要に 応じて複数基設置することで生産量を 拡大する方式である(図2 参照)。藻 類由来バイオ燃料価格は、原油価格が 80$/bbl の時に 40$/bbl が可能と報告 していたが、現在の状況は不明である。

2012 年 同社は、製造技術紹介用プラント(New South Wales 州)を 4 百万豪ドル掛 けて設置した。プラントは、エタノール工場設備に隣接して設置されており、エタノール 発酵槽から発生するCO2を回収して藻類製造設備の原料として供給している。2015 年 4 月 藻類の生産性は、十分な高いレベルで実証されていると報告されている。 2011 年 同社は、Atlanta 市(米国) に 18,000ft2(約1,700 ㎡)の設備を設置しており、 プラントとしてはオーストラリアに設置したものと同じと報告されている。製品は、栄養 補助食品である。 2015 年 同社は、Cumming(米国)に小型商業プラント(藻類年産 50 トン)を設置し 運転を開始しており、製品は栄養補助食品用途に出荷されている。同社は、今後製造能力 は年産1 万トンの商業プラントの建設を検討している。また、株主でもある Reliance Group(インド)と協力して、2015 年末 Jamnagar 製油所(インド)にコンテナ 7 基か らなるプラントを設置している。 2015 年 同社は、Sydney市近郊の大型石炭火力発電所に設備を設置し、排出CO2量削 減とともに燃料製造を目指す計画が発表されている。

4-3 Solar BioFuels Research Center

Solar BioFuels Research Center(オーストラリア)は、Queensland 大学構内に同州

政府が支援する「微細藻類から持続可能な燃料などを開発する国際的研究協力プログラム」

遂行のため設置されている。本プログラムには、同州政府とNeste Oil(フィンランド)、

KBR(米国)、Siemens(独)、Cement Australia などの企業と Queensland 大学、Karlsruhe 工業大学およびBielefeld 大学(独)の各大学が参加している。 2013 年 パイロットプラントを建設したと報告されているが、2014 年以降の成果報告 書はわずか1報のみである。 4-4 Fermentalg 社 Fermentalg 社(2009 年設立、フランス)は、微細藻類を用いて藻類油およびプロテ ィンの製造や研究を行っている。同社は、製品用途によりコンソーシアムを設け、幅広い 図2 コンテナ培養方式(出所:Algae.Tec)

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取組みを実施中である。 同社を含むフランス企業が主要メンバーとなり、公的助成も含めた3,120 万 EU の予算 で、安価な石油代替原料の量産製造技術の確立を、5 年間の目標で取組み中である。また 1,460 万 EU の予算で、750ℓの培養槽を用い糖類やセルロース類を使用して、微細藻類を 工業的に製造する検討を2016 年までの予定で実施中である。 Fermentalg 社は、80 ㎥の工業化デモ装置を設置予定で、微細藻類を用いてワイン製造 やサトウキビの残渣物などを原料に、バイオプラスチックス、工業用潤滑油およびジェッ ト燃料を含む工業用燃料などを製造することを検討中である。 5 まとめ 次世代型のバイオ燃料として期待されている藻類由来油は、2009 年頃から各国政府の 資金的な支援もあり多数の研究開発プロジェクトが立ち上がっている。基礎研究から商業 化を目指すプロセス開発まで幅広い取組みが行われ、輸送用燃料としての品質実証試験も 多数行われてきた。 既に藻類由来のディーゼル油およびジェット燃料は、実証試験が行われて使用上問題な いことが確認されている。しかしながら、2014 年夏以降 原油価格の急激な下落により、 藻類由来油を輸送用燃料として本格的に使用するには、製造コストの面でさらなるコスト ダウンが必要になっている。 藻類油製造の各プロジェクトは、研究開発助成金が減額または終了した後の経営状況は 厳しく、事業の安定化のため高付加価値製品の商品化への取組みが加速している。特に藻 類由来油は、農薬や殺虫剤の影響を受けず(無農薬)に培養できるため、農薬を使用した 農業生産品より安全性が高いことが指摘されている。また副製品のバイオマスは、水産資 源の保護や畜産用の穀物飼料節減に寄与するなど副次的な効果も大きいことから、燃料用 途以外の展開への期待感も大きい。 当面は、各プロジェクトともに高付加価値製品の生産ならびに販売に取組みながら、よ り生産性の高い藻類株の選定や創出を行う方針である。また生産技術の改良などにより、 課題である製造コストの削減にも取組むと考えられる。関連設備メーカーでは、培養液か らのバイオマス分離や新たな油分抽出設備の提案も数多く、今後の動きに注目していく必 要がある。

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<参考資料> http://energy.gov/eere/bioenergy/articles/algenol-announces-commercial-algal-ethanol-fuel-partnership http://energy.gov/eere/videos/energy-101-algae-fuel http://energy.gov/sites/prod/files/2014/07/f17/Energy101Dialogue1_0.pdf http://algaebiomass.org/ http://www.biofuelstp.eu/algae-aquatic-biomass.html http://arena.gov.au/project/advancing-marine-microalgae-biofuel-to-commercialisation/ http://arena.gov.au/files/2015/12/Muradel-final-report.pdf http://www.renewableenergyworld.com/articles/2015/07/what-s-up-with-the-algae-biofuels-industry.html 本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分 析したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは[email protected] までお願いします。

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次回のJPEC レポート(2015 年度 第 32 回)は、「石油産業改革で飛躍目指す中国独立 系精製企業」を予定しています。

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