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Frontier Management Industrial Research

産 業 調 査 通信

vol.32. FEBRUARY 2018

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 消費全般 松 岡 真 宏 『バブル時のタクシーから透けて見える事』  テクノロジー関連業界 栗 山 史 『テレビ業界は活況を迎える!?』  中国担当 中 村 達 『中国に土地が無い』  電子デバイス・材料業界 村 田 朋 博 『半導体産業の活況について』  メディア・エンターテインメント業界 福田 聡一郎 『デジタルアイドルの挑戦』  小売業界 山 手 剛 人 『デジタル化のファンファーレが聞こえる』  ASEAN担当 毛 利 剛 実 『CR-V or アウトランダー(アセアン域内関税について)』  先端領域 本 橋 陽 介 『TOYOTAの革新的MaaS(Mobility As A Service)と次世代電池技術』 産業調査コラム p.5 今月のトピックス p.2  機械業界 水 野 英 之 『活況が続くロボット業界』

目次

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今月のトピックス

© 2018 Frontier Management Inc.

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機械業界: 『活況が続くロボット業界』

水野 英之 Hideyuki Mizuno シニア・アナリスト 2018年に入っても、ロボットの需要は依然として好調であ る。日本ロボット工業会では、2017年のロボット生産金額は 前年比28%増の9,000億円程度となり、2018年は初めて1兆円 を超えるとの予想を公表した。また、同工業会の会長である稲 葉善治氏(ファナック会長)は、今後5年程度で2兆円になる可 能性にも言及した。この背景には、人手不足、製品品質向上、 生産性改善に対応するために、中国などでロボット導入が加速 しているためだ。産業用ロボットの顧客としては、従来は自動 車向けが主体であったが、電機、医薬品、食品、化粧品の分野 などへと裾野が拡がっている。 産業用ロボットの分野では、日本メーカーの競争力は高く、 世界のロボット需要拡大の恩恵を享受している。各社のロボッ ト事業の売上高は、安川電機が31%増(17年4-12月)、ファ ナックが23%増(同)、不二越が53%増(17/11期)と大幅 伸長し、過去最高の売上高を計上している。18年度以降も、さ らなる成長のために、各社とも生産能力増強の動きも強めてい る。加えて、人工知能やIoTを活用したロボットのシステム面 での差別化も重要となっており、各社とも人工知能で技術力を 持つ企業との協業や資本提携なども通じてシステム・ソフト ウェア面での開発投資を積極化させている。 近年のロボットの需要は、構造的な要因(人手不足や生産性 改善への対応)と循環的な要因(製造業の生産拡大)が融合し て拡大局面にある。ただ、過去にもロボットの需要には調整局 面があった。これは、最終ユーザーである自動車や電機業界の 生産活動が停滞したときである。自動車、電機業界ともに、中 国市場への依存度が高まっており、今後の中国の製造業の生産 活動の動向には注視する必要がありそうだ。

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 日興証券株式会社(現、SMBC日興証券株式会社)に 入社し、同年、日興リサーチセンターに出向。INGベ アリング証券会社(現、マッコーリーキャピタル証券 会社、メリルリンチ日本証券を経て、2016年フロン ティア・マネジメント㈱に入社。  1987年から2016年までの29年間、セルサイドアナリ ストの経験を有する。1992年からは日興リサーチセン ター、INGベアリング証券会社(現、マッコーリー キャピタル証券会社)、メリルリンチ日本証券にて、 機械業界を約24年間にわたって担当した。

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参考:日本のロボット生産金額

情報は「日本ロボット工業会」より入手FMI作成

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200 400 600 800 1,000 1,200 1 9 87 1 9 88 1 9 89 1 9 90 1 9 91 1 9 92 1 9 93 1 9 94 1 9 95 1 9 96 1 9 97 1 9 98 1 9 99 2 0 00 2 0 01 2 0 02 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 2 0 10 2 0 11 2 0 12 2 0 13 2 0 14 2 0 15 2 0 16 2 0 17 2 0 18 E (10億円)

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産業調査コラム

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消費全般:『バブル時のタクシーから透けて見える事』

 野村総合研究所、バークレイズ証券会社、UBS証券会 社、㈱産業再生機構を経て、2007年にフロンティア・ マネジメント㈱設立。  10年以上にわたり流通業界を中心に証券アナリストと して活動。㈱産業再生機構においては、地方百貨店で ある津松菱やうすい百貨店の事業再生に関与し、カネ ボウおよびダイエーの案件では、取締役として事業再 生に関与。  1999年に国内外の複数のアナリストランキングにおい て、小売部門でトップランキングを獲得。 松岡 真宏 Masahiro Matsuoka 代表取締役 主な著書 『小売業の最適戦略』(㈱日本経済新聞社 1998年) 『百貨店が復活する日』(㈱日経BP社 2000年) 『問屋と商社が復活する日』(㈱日経BP社 2001年) 『逆説の日本企業論』(㈱ダイヤモンド社 2003年) 『私的整理計画策定の実務』共著(㈱商事法務 2011年) 『流通業の「常識」を疑え!』共著(㈱日本経済新聞出版社 2012年) 『ジャッジメントイノベーション』共著(㈱ダイヤモンド社 2013年) 『時間資本主義の到来』(㈱草思社 2014年) 『「時間消費」で勝つ!』共著(㈱日本経済新聞出版社 2015年) 『宅配がなくなる日 同時性解消の社会論』共著(㈱日本経済新聞出版社 2017年) 荻野目洋子さんの『ダンシングヒーロー』の人気が再燃して いる。この曲は、日本のバブルのきっかけとなったプラザ合意 (1985年9月)の2か月後に発売されており、30年を経た今と なっては80年代後半のバブル経済の象徴的存在となっている。 酒席などでバブル当時の話になると、必ずと言ってよいほど 「タクシーがつかまらなかった」というネタが披露される。ど の都市に行ってもタクシーに余剰感がある昨今、いかにバブル 経済が凄かったかという文脈で語られることが多い。 しかし、数字で見ると異なる景色が見えてくる。当時、タク シーは値上げがなく、参入規制も強かった。価格メカニズムが 働いていなかったのだ。 東京の初乗りタクシー運賃は継続的に値上げされたが、 1984年の値上げ(430円→480円)以降1990年まで一切値上 げされなかった。84年に1万円を突破した日経平均は90年年初 には4万円近い水準となったし、男子の大卒初任給も84年の13 万円前後から90年には18万円前後へと40%上昇した。同期間 の消費者物価指数も10%前後上昇した。 値上げがなかったバブル時のタクシーは、相対的に値下げが されたに等しい。しかも、台数が増えなかったのだから、タク シーがつかまらなかったのは至極当然である。当時のタクシー 問題は、バブルが主原因ではなく、産業構造だったと思えてく る。昨今の物流やサービス業の人手不足問題も、のちのち振り 返ると産業構造の問題だったと気づく時が来るのではなかろう か。

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テクノロジー関連業界:『テレビ業界は活況を迎える!?』

栗山 史 Hitoshi Kuriyama 産業調査部長 2017年、主にエアコン・白物家電を主力とする民生用電機 機器国内出荷額は2兆3479億円で2%増。一方、TV等映像機器 や車載機器等を主力とする民生用電子機器は1兆2869億円で 2%減。過去日系企業が世界的に変革をリードし花形だった映 像機器は、出荷額6225億円(4%減)となり、ピークの2010 年(3兆375億円)の2割水準まで落ち込んでいる。 白物家電が新たなアイディアや、AI/IoT/ロボティクスなど の技術を応用しながら着実な進化・変革を遂げ、平均単価を上 昇させながら金額市場を拡大させている(残念ながら外資系が リードの印象)一方、AV機器においてはIT関連機器とそれを 応用したサービスに市場を取られ、薄型TV普及一巡で市場が 大きく縮小した後、停滞感が否めない。 個人的に東京オリンピック開催へ向け映像機器・テレビ市場 は急速に拡大する可能性があると予測する。最大の理由は買い 替え需要。薄型テレビの耐用年数・稼働台数・各年インチ別出 荷台数・購入動機などを見ると、今後2年間のオリンピックを 代表とするイベント・4K放送の多チャンネル本格開始・大画 面化・低価格化、などが一気に買い替えを促す可能性がある。 2017年わずか427万台だったテレビ出荷台数は、2018年後 半-2020年前半にかけ、出荷台数は3000万台を突破する可能 性もある。その場合、日本人は割高でもピュアな日系メーカー 機種を選ぶケースが多く、ソニー、パナソニックは久々にテレ ビ事業が大きな収益をあげる可能性があろう。

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 大和証券㈱、ゴールドマン・サックス証券会社、メリ ルリンチ日本証券㈱、アライアンス・バーンスタイン ㈱等を経て、2012年にフロンティア・マネジメント㈱ に入社。  22年間、一貫してテクノロジー関係のアナリスト業務 に従事。家電業界、総合電機、電子部品、精密機器、 ゲーム業界等、国内テクノロジー関連企業をほぼ網羅。 その他、医薬品・小売り・繊維・サービス等の生活関 連産業、電子素材等を含む川上のテクノロジー関連業 界、汎用化学等へも調査対象を拡大。  1994年以降、日経金融新聞「アナリスト人気ランキン グ」や米国「Institutional Investor」誌等のアナリス トランキングでは、ほぼトップ3の座を継続。

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中国担当:『中国に土地が無い』

中村 達 Toru Nakamura マネージング・ディレクター もちろん、中国に土地はある。全て国有地だからと言う事 では無い。工業用地が制限されているのである。 世界をリードする製造業国へと環境改善への国家方針から外資、 民族系問わず製造ラインへの改善要求、場合により操業停止の 措置を受けるケースが出ている。 これ以外に、特に上海、北京等大都市では従来工場がある地 域で企業登記の経営期限内に移転の可能性が促されている話も 聞く。 住宅価格上昇抑制と環境改善、ITなど新産業、商業拡大に工 場地が住宅、商用地に変更となる場合、金銭補償での『立ち退 き』となりうる。これは近隣地区でも上記と同じ理由が発生す る事から政府も代替地の提供が出来ない為である。他省、市へ 移転となる企業は育成した現地幹部社員の雇用継続できるかを 検討せねばならず、影響は大きい。 更に工業用地使用権の年限が上海以外でも工業圏等で試験的 に50年から20年に規定変更する都市が増えてきている。(北 京、山東省臨沂、四川省成都、広東省広州、浙江省舟山な ど。)土地コスト以外に20年ごとに企業経営の見直しとなる。 製造業においては、販売に有利なだけでなく地域の選定、ま たより厳格化する当局の工場監査に対応できる工場建設と管理 が必要となる。 これから経営期限を迎える既存企業も新規進出する企業に とっても、日本同様、それ以上に工場と、その人材も含めた投 資につき早期の検討が重要になると考える。

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 ㈱トーメン(現、豊田通商㈱)に入社、食料本部勤務。 Tomen Corporation do Brasil ltda.サンパウロ本社、 Tomen(America)Corp.シカゴ支店、㈱トーメン食 料本部、東棉(北京)駐在事務所に勤務。東棉(北 京)(大連)駐在事務所所長、東棉天津有限公司 総 経理を経て豊田通商㈱との合併。豊田通商(天津)有 限公司 副総経理に就任。豊田通商㈱食料本部食品部、 食料事業部に勤務。その後、サンヨー食品㈱海外事業 部勤務。2014年にフロンティア・マネジメント㈱に入 社。  豊田通商㈱入社後は、食料本部にて畜産、食品、食糧 トレーディング、同海外法人にてマネジメント、現地 でのトレーディング、新規ビジネス開発業務に従事。  豊田通商㈱食品部部長としては、投資案件立案や実行 に従事するとともに、各関連企業取締役として企業運 営を行う。  サンヨー食品㈱では、海外事業部部長として米国、中 国事業管理を行う。

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電子デバイス・材料業界:『半導体産業の活況について』

 大和証券㈱、㈱大和総研、モルガン・スタンレー証券 会社を経て、2009年にフロンティア・マネジメント㈱ 入社。  大和証券㈱、㈱大和総研では、通信機器、半導体、半 導体製造装置、ソフトウエア産業の調査を担当、モル ガン・スタンレー証券会社では、電子部品の調査を開 始、産業アナリストとして17年の経験を有する。  2001年に日経アナリストランキングで1位になるなど、 各種ランキングで上位に名を連ねる。 村田 朋博 Tomohiro Murata マネージング・ディレクター 主な著書 『電子部品だけがなぜ強い』(日本経済新聞出版社 2011年) 『経営危機には給料を増やす!』(日本経済新聞出版社 2013年) 『電子部品 営業利益率20%のビジネスモデル』(日本経済新聞出版社 2016年) 半導体産業が活況である。業界団体のWSTSによれば、 2017暦年の世界の半導体産業は4087億ドル(前年比+21%、 +700億ドル)となった。半導体そのものはもちろん、ウエ ハーなど多くの部材、半導体製造装置など、サプライチェーン の殆どにおいてモノ不足が伝えられている。 振り返ってみると、世界の半導体産業は2010年2983億ドル から2016年3389億ドルまでの6年間は僅か年率2%成長に過ぎ なかった。筆者も、半導体産業の巨大化、また、主要顧客の一 つであるスマート・フォーンを含む携帯電話の成熟により、半 導体産業は(短期的変動はともかく)長期での高成長は難しい とみていたし、業界コンセンサスであったと思われる。 そこで、2017年の数字を改めて見てみよう。製品別では、 メモリーは1223億ドル(+60%、+450億ドル)。従って、 メモリーを除くと成長率は+9%とさほど高くはない。メモ リーは需給逼迫による価格上昇要因が大きく、(定義が難しい が)実質的な成長率は20%程度であった可能性がある。また、 メモリー以外でも、メモリー程ではないものの価格上昇効果が 出ているであろう。 すなわち、半導体産業の活況は、6年間にわたる低成長期間 の設備投資抑制が大きく貢献している可能性があるということ である。もちろん、本質的な要因(自動車の電動化および自動 化、IoT、ロボット等)はあるにせよ、この事実は認識してお くべきと考える。

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メディア・エンターテインメント業界: 『デジタルアイドルの挑戦』

福田 聡一郎 Soichiro Fukuda シニア・アナリスト 前々回はバーチャルユーチューバー、前回はライブビジネス を採り上げたが、エンターテインメント業界では、3DCGを用 いてその2つを融合した新しい「デジタルアイドル」の挑戦が 見られる。 ソニーミュージックは、AKB48等のプロデュース実績を持つ 秋元康氏とタッグを組み、「22/7」を展開中。ソニーミュー ジックの主力事業である音楽、アニメ、ライブ等を融合させた 多面展開を行う予定。 講談社は、3DCG技術に長けたポリゴンピクチュアズと組み、 「Hop Step Sing!」を開発。まずはVR映像を展開し、ライ ブイベントや企業の広告キャラクターなどを計画している。 プロレスゲームを得意とするユークスは、元コナミの「ラブ ライブ」のプロデューサー内田明理氏を起用して、デジタル男 性アイドルグループを、ライブイベントをメインとして展開す る「AR Performers」というプロジェクトを展開している。 顕著な「コト消費」であり中期的な市場拡大が見込まれるラ イブイベントを主要展開先とすることで、デジタルアイドルへ の没入感を増幅させる新しい「デジタルアイドル」の挑戦が、 新市場を確立できるかが注目される。 そのためには、3DCGであるから可能なVR等の積極活用によ り、従来のライブでは実現できない新しいエンターテインメン ト性の提案が必要不可欠と考えられる。各社の新しい挑戦を注 視していきたい。

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 三井信託銀行㈱(現、三井住友信託銀行㈱)、興銀証券㈱ (現、みずほ証券㈱)、日興ソロモン・スミスバーニー証 券会社(現、シティグループ証券)、マイクロソフト㈱ (現、日本マイクロソフト㈱)、日興シティグループ証券 ㈱(現、シティグループ証券)、フィールズ㈱を経て、 2016年にフロンティア・マネジメント㈱に入社。  1998年から2016年までの18年間、アナリスト業務および 事業会社にて、一貫してエンターテインメント業界に携わ る。セルサイド・アナリストとしては、エンターテインメ ント業界の他、メディア業界、インターネット業界、IT サービス業界のリサーチも担当。  2003年から2005年に在籍したマイクロソフト㈱では、同 社のゲーム機Xbox360の日本ローンチ戦略、およびオンラ インサービス「Xbox Live」のマーケティング戦略を担当。 2014年から2016年に在籍したフィールズ㈱では、IR、お よびゲーム系子会社管理を担当。

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小売業界: 『デジタル化のファンファーレが聞こえる』

この1週間に筆者が見聞したニュースは、国内外の流通業界 におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の本格的 な幕開けを感じさせるものであった。 米アマゾン・ドットコムは1月22日、本拠地のシアトルに無 人コンビニ「アマゾン・ゴー」を開業した。最新の機械学習や センサー技術を搭載した無人店舗は、従来のショッピング体験 とは一線を画するものだ。中国においても、大手IT企業が無人 店舗の展開を続々と開始している。既存の小売業にとってDX とは「Eコマース」という新たな脅威とほぼ同義語であったが、 今後は「無人店舗」という競合とも対峙していかねばならない。 同26日には、米ウォルマートと楽天の業務提携というニュー スが飛び込んできた。ウォルマートの子会社である西友と楽天 が「楽天西友ネットスーパー」を共同設立して、新しいネット スーパー事業を開始するようだ。西友はこれまで店舗からの商 品配送と専用倉庫からの配送という2タイプの食品ECビジネス を手掛けていたが、昨年11月末をもって、専用センターからの 商品配送の会員受付を終了していた。正直なところ筆者はなぜ 西友が専用センター起点のECから撤退したのか理解できな かったのだが、今回の発表でようやく腑に落ちたところである。 DXの荒波を既存の小売業が生き抜くには、これまでの成功 体験、事業モデル、さらには自らの組織体をも否定して、再構 築していく必要がある。これは並大抵のことでなく、社内ベン チャーのような仕組みで新規事業を内製化するのは至難の業だ (筆者が知る小売業では数少ない社内ベンチャー成功事例は無 印良品とGUである)。そうした閉塞感を打破するためには、自 前主義を脱ぎ捨て、外部連携やオープンイノベーションに目を 向けることも一計である。

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山手 剛人 Taketo Yamate シニア・アナリスト  1999年にウォーバーグ・ディロン・リード証券会社 (現UBS証券会社)に入社。2003年に同社株式調査 部で小売セクター担当のシニア・アナリストに就任。 2010年にクレディ・スイス証券会社に移籍。小売セク ター担当のアナリストと消費関連産業の調査グループ リーダーを兼務。2017年にフロンティア・マネジメン ト(株)に入社。  1999年から2017年までの18年間、消費産業(小売、 食品、消費財)の産業・企業調査に従事。50社以上の 上場企業の株式格付を担当。  UBS証券会社では2002年に史上最年少でシニア・アナ リスト(食品、消費財セクター担当)に就任。 日経 ヴェリタス「人気アナリストランキング」では継続的 に上位にランクイン(最高順位は2010年の総合小売セ クターで2位)。 『宅配がなくなる日 同時性解消の社会論』共著(㈱日本経済新聞出版社 2017年) 主な著書

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ASEAN担当: 『CR-V or アウトランダー(アセアン域内関税について)』

毛利 剛実 Takemi Mori シニア・ディレクター ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー。2018年1月よ りこれら4か国はASEAN域内での関税がほぼ撤廃された。とり わけ注目されていたのは、ベトナムの自動車輸入関税(30%)、 当該撤廃を睨み、隣国タイ産の日系自動車が多く流入されるこ とが想起された。筆者のベトナムの知人も、「タイ産のホンダ CR-Vが安く買えるようになるので、それまで新車を買うのは 待つつもりだ」と昨年言っていた。しかし2017年10月にベト ナム国内で制定された新規則(品質保証認証・検査義務等/ 2018年1月施行)によって輸入手続きを複雑化・長期化、「非 関税障壁」と批判の声があがる。 他方、自国での生産技術・能力拡大を促すとの点から見れば、 類似の非関税障壁を課すインドネシアにおいて、近年自動車生 産機能が拡大傾向にあることは、全く無関係ではないだろう。 タイでは2017年に計199万台の自動車が生産されたが(前年 比+2%)、うち国内向け86万台(同+11%)、輸出向け113 万台(同△4%)と、輸出向けが前年比で縮小した。他方、イ ンドネシアでの生産台数は122万台と前年比+3%と対照的な 結果であった。 1月に入り、ベトナム政府は三菱自工と電気自動車(EV)の 研究開発で提携を発表した。三菱自工では現地生産も視野に入 れている模様である。三菱自工を含む日産ルノーグループの域 内戦略の一端ともいえ、これらOEM各社の戦略は、周辺部品 メーカー・素材メーカーの動きも深く影響を与えることになろ う。ベトナムの知人が「ベトナム産のPHV三菱アウトランダー まで待つ」というか次回聞いてみようと思う。

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 ㈱日本興業銀行(現、㈱みずほ銀行)に入行、香港上 海銀行(東京支店)、独立系マーチャントバンクを経 て、2014年フロンティア・マネジメント㈱に入社。  企業調査部門で小売業種を担当、1997年のアジア通貨 危機後のアジア進出日系企業の財務支援プロジェクト を主目的とし、1998年~2006年までタイを中心とし た東南アジア域内で、通貨スワップや現地通貨建て起 債環境整備などに関与。  香港上海銀行では、コマーシャルバンキング部門で日 系企業・アジア企業のカバレッジを担当。  ベンチャーキャピタルとアドバイザリー業務を行う独 立系マーチャントバンクでは、燃料小売ベンチャーの 事業再生や、映像コンテンツ運営ベンチャーの知財 カーブアウト(英国ファンドへの売却)などをアレン ジ。

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先端領域: 『TOYOTAの革新的MaaS(Mobility As A Service)と次世代電池技術』

本橋 陽介 Yosuke Motohashi シニア・ディレクター すっかり自動車技術の発表会となったCES2018で、 Google-WaymoやAppleの攻勢に対して守勢に回っていた印象 もあったTOYOTAが豊田章夫社長自らe-Palette Conceptを発 表。やきもきしてきたTOYOTAファンをほっとさせ、TOYOTA を叩いて仕事を得る評論家諸氏を黙らせたのは間違いない。 MaaS専用EVとして発表されたe-Paletteは、車体自体に加 え、制御インタフェースがオープンプラットフォームとなって いる。モビリティサービスパートナーとして、Amazon、Didi 、 Pizza Hut、Uber、技術パートナーとしてDidi 、マツダ(ロー タリーエンジンを活用した発電機)、Uber が参加する。アラ イアンス陣営は単なるコンセプトに留まらないビジネス化への 「本気」を示している。MaaSについて、ここまで明確なビジ ネスモデルを示したものは識者の記憶する限り皆無だ。 TOYOTAは2020年の東京オリンピック・パラリンピックで この車両の運行を予定している。自動車業界にとって2年間と いうのは相当の自信が無ければ示せないタイムラインだ。 今回の発表に補助線があるとすればそれは次世代電池技術だ。 昨年12/13に豊田社長とパナソニック都賀社長が角形リチウム 領域での協業検討開始を発表した。両社合弁でプライムアース EVエナジーを20年も前に設立しており、角形の先には2020年 代前半の全個体電池投入を見ている。実はこの席で豊田社長は 「2030年をメドに世界販売台数の50%以上をEVや燃料電池車 (FCV)といった電動車にする計画」も発表している。電動車 にとって基幹テクノロジーである電池に関して一定の目途が 立ったことで、コンセプト、ユースケース、アライアンスを一 気に発表する準備が整ったということだろう。生煮えの技術的 裏付けでアドバルーンを打ち上げる競合と一線を画すTOYOTA に、真の「ものづくり」企業の気概・誇りを見た。

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 2001年にアクセンチュア㈱に入社。2012年にフロン ティア・マネジメント㈱に入社。  アクセンチュア㈱では、製造・流通業のコンサルタン トとして、構想立案から業務プロセスの導入・定着化 及びIT導入までを一貫して支援。上海オフィスとの協 働プロジェクトなどに関与。全社予算管理、マーチャ ンダイジング改革、経営効率改善、事業再構築、全社 ITマネジメント、サプライチェーンマネジメント等に 経験を持つ。  フロンティア・マネジメント㈱では、化学、材料、電 子部品、機械、自動車OEM・自動車部品、エレクトロ ニクスなど製造業中心に、長期ビジョンや新規事業探 索などの戦略策定及び実行支援、中期経営計画策定な どを責任者として推進。その他、教育、エンタテイン メント、金融など各種サービス産業への戦略策定支援 や中央省庁委託事業等に従事。  M&Aアドバイザーとして、エレクトロニクスメーカや 住宅メーカー、電子部品材料、自動車部品企業等にお けるM&A戦略策定やビジネスDDなどのエクゼキュー ションに関与し、日立製作所による日立セキュリティ サービス株式の綜合警備保障(ALSOK)への譲渡など を担当。 コンサルティング部門における人工知能、IoTなど先 進テクノロジー領域におけるリサーチ、知見蓄積やデ リバリーメソッド開発のリーダー。

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ディスクレーマー

本資料は、閲覧者の参考に資することを唯一の目的として作成、提出されたものであり、他の一切の目的のために作成されたものではありません。 本資料は、現時点で一般に入手可能な公開情報を、弊社においてその正確性および網羅性等を独自に検証することなく作成されており、具体的案件 の検討の基礎となる各前提事実、仮定およびその他情報等に関して弊社が対外的に意見を表明するものではありません。法律、会計、税務等の専門 領域に関する検討に関しましては、弁護士、公認会計士、税理士等の各専門家にご相談・ご確認されますようお願い致します。 本資料の著作権はフロンティア・マネジメント株式会社に帰属します。

参照

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