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(1)

「プログラムによる計測・制御」の指導に

タブレット端末を活用する授業の実践と評価

高木 薫

1,a)

室伏 春樹

2,b) 概要:平成20年1月の中央教育審議会答申において,社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改 善すべき事項として情報教育が挙げられ,文部科学省は平成22年度の新学習指導要領にて学校における教 育の情報化について一層の充実を図るために「教育の情報化に関する手引」を作成してタブレット端末な どのICT機器の利用の推進を示し,総合的な推進方策「教育の情報化ビジョン」として取りまとめ,主に タブレット端末を活用する授業の教育効果を検証している.「教育の情報化に関する手引」の中で,中学校 段階における情報教育の中心的な内容として中学校技術・家庭技術分野の「D情報に関する技術」の指導 項目が示されているが,「プログラムによる計測・制御」でタブレット端末を活用する授業の実践が報告さ れておらず,「プログラムによる計測・制御」の教材として市販されたものはない.そこで,筆者らはタブ レット端末を利用する「プログラムによる計測・制御」の教材を開発し,開発した教材を活用する授業の 実践を行い,開発した教材で「プログラムによる計測・制御」を指導できるか検証した.その結果開発し た教材は生徒の興味・関心を高める教材であることが明らかになり,従来の自律型ロボット教材の代替と して機能することが示唆された.

Practice and Evaluation of the Class in ”Automatic Measurements and

Controls via Computer Programs ” to Use Information Devices

Takaki Kaoru

1,a)

Murofushi Haruki

2,b)

Abstract: Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology has been promoting computer-ization of school education from 2011.In particular, verification of educational effect of students that use a information device has been demanded.On the other hand, a information device have not been rarely used in the technical education of junior high school, and it has not been used at all for ”Automatic Measurements and Controls via Computer Programs”.Therefore, we have developed a teaching material for the ”automatic measurement and control via computer program” to use information devices, and we were using a class-room practice to develop a teaching material.As a result, we developed a teaching material revealed by the evaluation that can increase the interest of the students.

1.

はじめに

スマートフォンやタブレット端末といったICT機器が

私たちの生活に普及する中,文部科学省は情報教育,教科 指導における情報通信技術の活用,校務の情報化を通した

1 静岡大学大学院教育学研究科学校教育研究専攻技術教育専修

Shizuoka University, 836 Ooya, Shizuoka, 422–8529, Japan

2 静岡大学教育学部技術講座

Shizuoka University, 836 Ooya, Shizuoka, 422–8529, Japan

a) [email protected] b) [email protected] 教育の質の向上を目的として「教育の情報化の手引」を作 成し,学校にICT機器を導入する具体的な進め方を解説し ている[1].また,「教育の情報化ビジョン」に基づき,タ ブレット端末や電子黒板などのICT機器を利用する授業 への教育効果が検証されている.タブレット端末とはタッ チパネルで操作が可能な板状のコンピュータであり,現在 市販されているタブレット端末はWi-FiやBluetoothなど の無線通信規格に対応し,カメラやマイクなどの各種セン サを備えているものが一般的である. 「教育の情報化の手引」の中では,中学校段階における

(2)

情報教育の中心的な内容として中学校技術・家庭技術分野 (以降,技術科)の「D情報に関する技術」が示されている. この中で,指導項目(1)情報通信ネットワークと情報モラ ルと(2)ディジタル作品の設計・制作で,タブレット端末 を活用する授業の実践が報告されているが,指導項目(3) プログラムによる計測・制御でタブレット端末を活用する 授業の実践が報告されておらず,プログラムによる計測・ 制御の教材として市販されたものはない. そこで筆者らは,学校現場に1人1台のタブレット端末 が整備されることを想定した技術科の「D情報に関する技 術」の指導項目(3)を指導できるタブレット端末を活用す る教材の開発を行った.この教材は,タブレット端末をコ ンピュータ,モータをアクチュエータ,タブレット端末の 傾き及び照度センサやロボットのセンサをセンサとして構 成した計測・制御システムである. 本研究では,筆者らが開発した教材を利用した授業実践 を検討し,その実践を報告する.これにより,開発した教 材の教育効果を明らかにする.

2.

研究背景

2.1 情報端末を活用する教育の推進 わが国では文部科学省によって教育の情報化が進めら れ,学校による教育に情報端末を利活用する取り組みが行 われている.平成20年の中央教育審議会答申の「幼稚園, 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要 領等の改善について(答申)」では,急速に進展する社会 の情報化に対応できるように,情報教育を子どもたちの発 達の段階に応じて改善し,学校におけるICT環境に関す る条件整備が必要であることが指摘されている[2].これ を受けて,平成20年度学習指導要領の改訂では教育内容 の主な改善事項として情報の活用や情報モラルなどの情報 教育を充実させることを重要事項としている.[3]そして, 平成22年10月に文部科学省が作成した「教育の情報化に 関する手引」では,教育の情報化の構成要素である情報教 育,教科指導におけるICT活用,校務の情報化の三点を通 して,教育の質の向上を目指すことが示され,平成32年 度に向けた教育の情報化に関する総合的な推進方策「教育 の情報化ビジョン」として取りまとめられた[4]. これに基づき,教育の情報化の推進のための取組として, 授業における情報通信技術の活用に関する実証研究及び調 査研究が実施されるようになった.平成23年度から25年 度までの3年間にわたって実施された「学びのイノベー ション事業」では,21世紀を生きる子どもたちに求められ る力を育む教育の実現を目的に,デジタル教科書・教材を 活用した教育の効果・影響の検証,指導方法の開発,モデ ルコンテンツの開発等が行われた[5].平成26年9月から 平成27年1月に実施された「ICTを活用した教育の推進 に資する実証事業」では,ICTを活用した教育効果の明確 化を目的として,タブレット端末を活用した授業の教育効 果が検証された[6]. この事業報告では,タブレット端末を活用した授業にお ける評価として以下の三点を挙げている. 児童生徒主体の授業を展開しやすくなる 児童生徒の考えが可視化され,集団思考や練り上げの 充実につながる 児童生徒のコミュニケーションの活性化,言語活動の 充実や,関心・意欲・態度,集中力,思考・判断・表 現の向上が見られる 例えば,熊本県高森町立高森中央小学校の実践である算 数の図形に関する授業では,タブレット端末のタッチパネ ルを利用し,図形の面積を求めるのに画面上で図形を切り 取って移動することや画面上に図形の欠けている部分を書 き込むことで,子どもの意見をより深くさせている.また, 熊本県高森町立高森中学校の実践である理科の音に関する 授業では,タブレット端末のマイク及び画面を利用し,音 の波形を確認して他者と波形を共有し,生徒が音の波形に 関する考察をすることが容易になった. しかし,今後のタブレット端末を活用する教育への課題 点として以下の三点を挙げている. タブレット端末を活用する授業設計が困難である 単元によって学習内容に合致するデジタルコンテンツ が不足している タブレット端末やネットワークの不具合による授業中 断のリカバリーが困難である 例えば,滋賀県草津市渋川小学校の実践では,タブレッ ト端末のハード面不具合により授業が中断することが挙げ られている.また,熊本県球磨郡山江村立山田小学校の実 践では,タブレット端末のネットワーク通信を利用した調 べ学習を行っているときに,それぞれの学習者の状況を把 握しにくく効果的に活用できる指導計画を検討する必要が あることが挙げられている. 2.2 タブレット端末を活用する技術科の授業 「教育の情報化に関する手引」では,中学校における情 報教育の中心的内容として,技術科の「D情報に関する技 術」の指導項目が示されている.この指導項目として,(1) 情報通信ネットワークと情報モラル,(2)ディジタル作品 の設計・制作,(3)プログラムによる計測・制御が示されて おり,小学校で身に付けた知識・技能を基にすべての生徒 に履修させることとしている[7]. この中で,指導項目(1)及び(2)では,タブレット端末を 利用する授業実践が行われている.例えば,指導項目(1) の授業として,三重県松坂市立三雲中学校ではフィッシン グ詐欺について体験型の学習が行われている[8].また,新 潟県上越教育大学附属中学校では内閣官房IT担当室が立 ち上げた「IT防災訓練」を利用した災害時の情報発信・収

(3)

集のシミュレーションを通して,安否情報の発信方法や避 難所マップ作成などの授業が行われている[9].また,指 導項目(2)の授業として,岡山県新見市立哲西中学校の生 物育成の授業では定植時の作業を写真撮影したり,生育 記録の入力に利用したりする授業が行われている[10].ま た,奈良教育大学附属中学校では,レゴ・ブロックを利用 たロボット製作による機構学習で,設計時の参考になる動 画や静止画を参照,機構の動作確認や試作・試運転段階に おいて動画記録をするために利用したりする実践やミニ四 駆の製作・改良によるエネルギー変換学習で,改良したミ ニ四駆のラップタイムや速度を調査する授業が行われてい る[11],[12]. しかし,(3)プログラムによる計測・制御を指導するため にタブレット端末を活用する授業実践は報告されておらず, 教材として市販されているものはほとんどない.例えば, LEGO社が発売しているレゴマインドストームEV3[13]で は,タブレット端末上でプログラムを作成でき,ロボット のセンサを利用した計測が可能である.しかし,プログラ ムの実行時にはタブレット端末のセンサを利用することが できないため,タブレット端末の活用が図れない.また, iPhoneを接続して動作するRomo[14]はタブレット端末上 でプログラムを作成でき,プログラムの実行時にはiPhone のカメラを利用することができる.しかし,タブレット端 末を利用した制御を行うためにはiPhone5以降のiOSに対 応したスマートフォンが別途必要となる.そのため,これ らの製品ではタブレット端末を活用する授業実践は困難で ある. 2.3 従来の「プログラミングによる計測・制御」の教材 従来の「プログラミングによる計測・制御」の教材とし て利用されていた自律型制御ロボット教材の概略を図1に 示す.自律型制御ロボット教材の多くは,パーソナルコン ピュータとロボットのに搭載されるプログラム実行用のコ ンピュータ,両者をつなぐインターフェースで構成されて いる.ここで,プログラムの実行およびセンサの計測を行 う計測・制御システムはロボットに搭載されたプログラム 実行コンピュータとアクチュエータであるモータ,各種セ ンサによって構成される.パーソナルコンピュータは実行 用のコンピュータにプログラムを書き込むために利用さ れる. プログラムの作成用コンピュータとして,パーソナルコ ンピュータの代わりにタブレット端末を利用するだけでは, タブレット端末を活用するとは言えない.タブレット端末 を活用するためにはタッチパネルや様々なセンサといった 機能を利用することが必要であると考える.なぜならば, パーソナルコンピュータの代わりに利用するだけならば, タブレット端末を使う意図がなく,必要性が失われるため である. 図1 従来の教材用ロボットの概略

Fig. 1 System configuration of a conventional educational robots. 2.4 タブレット端末を活用する教材の開発 タブレット端末を活用する「プログラムによる計測・制 御」の教材として,タブレット端末を取り入れた計測・制 御システムを開発した. 開発した教材の構成を図2.本教材は,タブレット端末 のセンサやロボットのセンサを利用した計測を行い,タブ レット端末をコンピュータ,ロボットのモータをアクチュ エータとして制御することができる計測・制御システムで ある.タブレット端末とロボットはインターフェースで あるBluetoothで互いに通信しており,タブレット端末は Bluetoothを介してロボットのモータやセンサをプログラ ム実行時に利用することができる. 2.4.1 タブレット端末の役割 本教材におけるタブレット端末の役割は,プログラムの 作成とプログラムの実行およびタブレット端末のセンサを 利用した計測である. 本教材でタブレット端末を活用する点として,プログラ ムの作成環境と実行環境を一体化できる点とタッチパネ ル,センサといったタブレット端末の機能を活用する点が 挙げられる.プログラムの作成環境と実行環境を一体化す ることで,ロボットにプログラムを送信する時間がなく, ロボットがなくてもプログラムを実行できるため,生徒が 集中して取り組むことができると考えられる.また,タブ レット端末の機能活用として,プログラムの作成時にタブ レット端末の入力インターフェースを利用することでプロ グラムの作製を直感的な操作で行えたり,プログラムの実 行時にタブレットに搭載しているセンサを使った分岐条件 の設定ができるため,タブレット端末ならではの計測・制 御学習が展開できると考えられる. タブレット端末の計測・制御用アプリケーションは,プ ログラムの構造作成画面とロボットのモータの出力設定画 面で構成されており,これらの画面を行き来してプログラ ムの三制御構造を記述する. プログラムの構造作成画面では,三制御構造における分 岐制御及び反復制御の記述を行う.実際のアプリケーショ ンの画面を図3に示す.この画面では,円図形と矢印を使

(4)

2 開発した教材用ロボットの概略

Fig. 2 System configuration of educational robots.

3 プログラムの構造作成画

Fig. 3 Screen to create the structure of the program.

4 モータの出力設定画面

Fig. 4 Screen for setting the output of the motor.

用してプログラムの構造を作成することができる.円図形 はロボットの動作を表し,矢印はロボットの動作を変化さ せる条件を表している. ロボットのモータ出力設定画面では,三制御構造におけ る順次制御の記述を行う.実際のアプリケーションの画面 を図4に示す.この画面では,ロボットの左モータと右 モータの出力を正転8ビット,逆転8ビットの分解能で設 定することができる. 2.4.2 ロボットの機能 本教材におけるロボットの外観を図5,部品の一覧を表 1に示す. 本教材のロボットの機能は,アクチュエータの制御及 図5 ロボットの外観

Fig. 5 Appearance of the robot.

1 部品の一覧

Table 1 Parts List of robot

部品 個数(個) Arduino 1 Bluetooth USBドングル 1 PIC24FJ64GB004小型マイコン基板SBDBT 1 モータードライバIC 2 DCモータ 2 フォトトランジスタ 1 測距センサ 1 びロボットに搭載したセンサを利用した計測である.ア クチュエータの制御では,タブレット端末からアクチュ エータの制御信号をBluetoothで受信し,アクチュエータ を制御する.ロボットに搭載したセンサを利用した計測で は,ロボットのアナログ入力に接続したセンサの計測値を Bluetoothでタブレット端末に送信する.

3.

教育効果の検討と検証

3.1 期待される教育効果 開発した教材により,技術科における評価の4観点に対 応した教育効果が期待される.技術における評価の4観点 とは,関心・意欲・態度,工夫・創造,技能,知識・理解で ある.関心・意欲・態度では,教材のシステム構成を利用 したロボットの制御を通して,身近にある計測・制御シス テムとの関連に気づくことやロボットを制御するプログラ ムに興味を持つことができると考えられる.工夫・創造で は,タブレット端末上でプログラムの動作確認を行うこと を通して,課題に応じたプログラムの改善を図ることがで きると考えられる.技能では,アプリケーションを利用し たプログラムの構造作成,モータ出力の設定,タブレット 端末のセンサを使った計測活動を通して三制御構造の順次, 反復及び分岐制御を組み合わせたロボットのプログラムを 作成でき,プログラムに反映させることを目的としたセン サの値の測定ができると考えられる.知識・理解では,教 材の構成を利用したロボットの制御やプログラムの作成を 通して,情報処理の手順である順次,反復及び分岐制御に

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2 題材目標の評価規準

Table 2 Evaluation criteria.

観点 評価規準 関 心 意 欲 態度 1 タブレット型端末とロボットで構成されて いる計測・制御システムの学習を通して, 身近にある計測・制御システムの構成との 関連に気付き,説明しようとしている 2 ロボットを制御するプログラムに興味を持 ち,課題に応じてプログラムを制作して計 測・制御システムを活用しようとしている 工 夫 創造 1 子どもが学習した内容や発見した情報をも とに,課題に応じたプログラムに改善する ことができる 技能 1 順次,反復及び分岐制御を組み合わせて, 課題に適したロボットのプログラムを制作 できる 2 プログラムに反映させることを目的とし て,センサの値を測定できる 知 識 理解 1 情報処理の手順である順次,反復及び分岐 制御についての知識を身に付けることがで きる 2 計測・制御システムにおける構成や,計測・ 制御システムにおけるプログラムの役割に ついて理解することができる ついての知識を身につけ,計測・制御システムにおける構 成やプログラムの役割について理解できると考えられる. 3.2 授業実践 開発した教材を利用する授業の指導案を作成し,中学校 で実践を行った.実施対象は,静岡大学教育学部附属静岡 中学校3年生の男子15名である.実施期間は,平成27年 4月∼9月までの総合的な学習の時間で行った. 本授業の題材目標は,「タブレットでロボットを自在に 動かすプログラムを作ろう」である.題材目標の評価規準 を表2に示す.この評価規準は,前節で示した期待される 教育効果に沿って設定した. 次に,評価基準を図3に示す.この評価基準は,題材目 標を達成したと判断する生徒の状況として(A)十分満足で きる生徒の状況と(B)概ね満足できる生徒の状況を設定し た.(A)十分満足できる生徒の状況は,教員が題材目標を 達成したと判断する理想的な生徒の状況である.また,(B) 概ね満足できる生徒の状況は,教員が題材目標を達成した と判断する最低限の生徒の状況である. 授業の題材展開を図6示す.授業を全4段階で実施す る.第1段階の目標は「ロボットで図形を描くプログラム を作成しよう」とし,生徒はタブレット端末のアプリケー ションの使い方を覚えつつ,反復制御を利用してロボット で図形を描くプログラムを作成する.第1段階の課題は, ロボットの先端に装着したペンで図形を描くプログラムを 作成する.この課題を達成するプログラムには,図形を描 表3 評価基準

Table 3 Evaluation standard.

観点 概ね満足できる(B)と 評価した生徒の状況 十分満足できる(A)と 評価した生徒の状況 関 心 意 欲 態度 1 タ ブ レ ッ ト 型 端 末 と ロ ボットで構成されている 計測・制御システムを説 明しようとしている タ ブ レ ッ ト 型 端 末 と ロ ボットで構成されている 計測・制御システムから, 社会で利用されている計 測・制御システムについ て説明しようとしている 2 ロボットを制御するプロ グラムに興味を持ち,プ ログラムを作成しようと している. ロボットを制御するプロ グラムに興味を持ち,プ ログラムの役割と機能に ついて社会で利用されて いる計測・制御システム から説明しようとしてい る 工 夫 創造 1 既習事項やセンサーの測 定値をもとに,プログラ ムを変更することができ る 既習事項や他の学習で得 た情報をもとに,課題に 応じたプログラムに改善 することができる 技能 1 順次,分岐及び反復制御 を利用したプログラムを, サンプルプログラムをも とに作成できる 課題に応じたセンサーを 選択し,順次,分岐及び 反復制御を利用したプロ グラムを作成できる 2 センサーから得た計測値 を,プログラムに反映さ せることができる. センサーから得た計測値 を,センサーの特性を考 慮して,プログラムに反 映させることができる 知 識 理解 1 作成したプログラムを用 いて情報処理の手順であ る順次,分岐及び反復制 御について説明すること ができる 作成したプログラムを用 いて情報処理の手順を説 明したり,情報処理の手 順とロボットの動作から プログラムの働きを説明 することができる 2 計測・制御システムにお ける構成について,タブ レット型端末とロボット の役割から説明できる 計測・制御システムにお ける構成や,その中での プログラムによる情報の 処理を説明することがで きる

(6)

6 題材展開

Fig. 6 Subjects deployment.

けるようにモータの出力と反復回数を設定する必要がある. 第2段階の目標は「タブレットがロボットのハンドルに なるプログラムを作成しよう」とし,生徒はタブレット端末 のセンサを利用した計測と分岐制御を利用してロボットを 制御するプログラムを作成する.この段階で使用したコー スを図7に示す.第2段階の課題は,スタートからゴール までを前進後退を駆使して走り,ゴールの車庫に後退して 入れる.この課題を達成するプログラムには,前進や後退 といったモータの出力設定とタブレットのセンサを利用し たロボットの制御が必要となる.この第2段階までで評価 基準の(B)を満たすことができる. 第3段階は「自分以外の人でもロボットを操作できるプ ログラムを作成しよう」とし,生徒はこれまで学習したこ とを振り返りつつ,ロボットのセンサを利用した計測と分 岐制御を利用してロボットを制御するプログラムを作成す る.この段階で使用したコースは第2段階と同様である. 第3段階の課題は,第2段階に加えて,ロボットを車庫に 入ったら自動的に停車する.この課題を達成するプログラ ムには,第2段階で必要となるプログラムに加えてロボッ トのセンサを利用したロボットの制御が必要となる.この 段階は,前段階で評価基準(B)を満たしている生徒は評価 基準の(A)にすることができ,満たしていない生徒でも評 価基準(B)を満たすことができる. 第4段階は本題材の学習のまとめを行う.まとめでは, 3.3 授業の検証 生徒への事前・中間期アンケート及び生徒が制作したプ ログラムから,実施した授業での生徒の関心・意欲・態度 を検証した. 事前アンケートは第1段階の授業が始まる前,中間期ア ンケートは第2段階終了時に行い,関心及び意欲について 調査した.質問内容は「1授業の目標は面白そうなものだ と思う」「2授業の目標は難しそうなものだと思う」の2点 である.質問の回答は5件法で,5・4を肯定,3を中立, 2・1を否定として集計した.質問1の回答を図8,質問2 の回答を図9に示す.質問1では事前・中間期アンケート 図7 第2段階および第3段階で使用したコース

Fig. 7 Courses used in class.

ともに生徒全員が肯定的な回答を示した.従って,授業の 目標に対する生徒の関心は高く,継続して高い状態を維持 しているといえる.また,質問2では有意な差は出なかっ たが,事前から中間期にかけて肯定的な回答が減少し,否 定的な回答が増加した.従って,生徒は当初授業の目標を 難しく感じていたが,習熟によって難しく感じなくなった といえる. 生徒が作成したプログラムを確認すると,生徒が課題に 適したプログラムを作成しようとする点が見られた.図10 に生徒Aが作成したプログラムを示す.このプログラム の概要は,タブレット端末を一方向に傾けることでロボッ トがその方向に曲がり,ロボットの照度センサに応じてロ ボットの動作が停止し,タブレット端末の照度センサに応 じてプログラムが終了する.このプログラムの特徴は,タ ブレット端末やロボットのセンサを複数利用してタブレッ ト端末の一方向の傾きでロボットを制御しようとしている ことである.また,ロボットの動作に合わせて円図形の名 前を設定していることである.この他の例として,図11に 生徒Bが作成したプログラムを示す.このプログラムの概 要は,タブレット端末を一方向に傾けることでロボットが その方向に曲がり,さらに傾けるとロボットの移動速度が 上がり,一方向に傾けつつ別方向に傾けることでさらにロ ボットの動きが変化する.このプログラムの特徴は,生徒 Aの特徴に加えて,タブレット端末のセンサを複数組み合 わせてタブレット端末の2方向以上の傾きでロボットを制 御しようとしていることが挙げられる.次に,図12に生 徒Cが作成したプログラムを示す.このプログラムの概要 は,生徒Bのプログラムに加えてタブレット端末の照度セ ンサに応じて車庫入れ動作を行う.このプログラムの特徴 は,生徒Bの特徴に加えて,「車庫入れ」というロボット の特別な動作を円図形として分離していることである.以 上のことから,同じ課題に対しても生徒によって様々な工 夫が見られるとともに,タブレット端末を活用する姿が明 らかになった.また,これにより従来の教材用ロボットの 代替として充分な機能を持っていることが示唆された.

(7)

8 質問1の回答

Fig. 8 Answer of Question 1 answer.

9 質問2の回答

Fig. 9 Answer of Question 2 answer.

10 生徒Aが作成したプログラム

Fig. 10 Examples of programs that students A have created.

11 生徒Bが作成したプログラム

Fig. 11 Examples of programs that students B have created.

12 生徒Cが作成したプログラム

Fig. 12 Examples of programs that students C have created.

4.

まとめ

筆者らが開発した教材を利用する授業実践を検討し,技 術科の「D情報に関する技術」の指導項目(3)にタブレッ ト端末を活用する授業実践の検証を行った.授業実践の検 討では,開発した教材を利用することで得られる教育効果 を検討し,題材目標と題材目標に沿った評価規準及び評価 基準を設定し,授業の題材展開を作成した.そして,作成 した題材展開を使用して静岡大学教育学部附属静岡中学 校にて授業実践を行った.授業実践の検証では,生徒に対 して事前・中期アンケートを行い,生徒の関心及び意欲に ついて調査した.また,生徒が作成したプログラムを調査 し,プログラムの作成意欲や態度について調査した.授業 実践を検証した結果,本教材を使った授業での生徒の表れ として,授業の目標に対して関心が高い状態で継続し,課 題に適したプログラムを作成しようとする意欲や態度が見 られた. 謝辞 本研究の一部は,科学研究費補助金若手研究(B)課題番 号25780524の支援によるものです. 参考文献 [1] 文部科学省,「教育の情報化に関する手引」について 入手先⟨http://www.mext.go.jp/a menu/shotou/ zyouhou/1259413.htm (最終アクセス平成27年9月11日) [2] 文部科学省,幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別 支援学校の学習指導要領等の改善について(答申) 入手先⟨http://www.mext.go.jp/b menu/shingi/chukyo/ chukyo0/toushin/ icsFiles/afieldfile/2009/05/12/ 1216828 1.pdf (最終アクセス平成27年9月11日) [3] 文部科学省,学習指導要領のポイント 入手先⟨http://www.mext.go.jp/a menu/shotou/ new-cs/youryou/1304385.htm (最終アクセス平成27年9月11日) [4] 文部科学省,教育の情報化ビジョン∼21世紀にふさわし い学びと学校の創造を目指して∼

(8)

入手先⟨http://www.mext.go.jp/b menu/houdou/23 /04/ icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305484 01 1.pdf (最終アクセス平成27年9月11日) [5] 文部科学省,学びのイノベーション事業 入手先⟨http://jouhouka.mext.go.jp/school/innovation/⟩ (最終アクセス平成27年9月11日) [6] 文部科学省,ICTを活用した教育の推進に資する実証事 業 報告書 入手先⟨http://jouhouka.mext.go.jp/school/ ict substantiation/pdf/wg1houkoku.pdf (最終アクセス平成27年9月11日) [7] 文部科学省,中学校学習指導要領解説 技術・家庭編 ,pp.32-37(平成20年4月) [8] 松阪市,[平成24年度松阪市]フューチャースクール推 進事業成果報告書,p.88(平成25年3月) [9] 国立大学法人上越教育大学,平成24年度フューチャース クール推進事業成果報告書,p.157(平成25年3月) [10] 和歌山市,平成24年度フューチャースクール推進事業成 果報告書,p.297(平成25年3月) [11] 葉山泰三,谷口義昭:タブレット型コンピュータを活用し た技術の授業実践研究−レゴ・ブロックを用いたロボット 製作の授業−,奈良教育大学紀要,第61巻,第1号(人 文・社会),pp.177-182(平成24年) [12] 吉田誠,北埜貴文:中学校「技術・家庭科」におけるタブレッ ト型情報端末を活用したミニ四駆の指導,奈良教育大学教 職大学院研究紀要「学校教育実践研究」,Vol.5,pp.71-76(平 成25年) [13] LEGO,教育版レゴRマインドストーム⃝EV3R 入 手 先 ⟨https://education.lego.com/ja-jp/preschool-and-school/secondary/mindstorms-education-ev3 (最終アクセス平成27年9月11日) [14] ロモティブ社,Romo公式サイト 入手先⟨http://www.romotive.jp⟩ (最終アクセス平成27年9月11日)

参照

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