小杉賢一朗・山川陽祐・正岡直也・水山高久 堤大三・多田泰之
土壌水分計付貫入抵抗試験機を
用いた表層崩壊発生危険箇所の
同様の地形を呈する斜面でも,表層崩壊が発生する部分としない部分
があり,崩壊位置の正確な予測は容易でない。
2004年 三重県宮川村
地形からは水の集中が起こりえない,凸型斜面で発生する表層崩2004年 三重県宮川村
崩壊斜面を踏査すると,岩の割れ目などからの湧水が頻繁に見つかり,
実は水が集まりやすい場所であったことが分かる。このような,土層の
内部に隠された集水性の高い部位の存在は,崩壊が発生する以前に,
1993年 鹿児島吉松町
(地頭薗先生提供)
研究の背景
表層崩壊の予測精度を向上させるためには,土層の内部構造,
特に土層内の水の集中に関する情報を得ることが不可欠。
水の集中に関する情報を得るには,斜面土壌水分の空間分布
研究の背景(つづき)
従来の土壌水分計測方法 ① 土壌サンプリング+秤量法 手間と時間がかかる。かつ,破壊的計測。 ② 土壌水分計の埋設 データの空間分解能がセンサーの数に規定(一点数万~ 数十万円) 測器の設置に手間と時間がかかる → 機動性× ③ 非接触計測技術(電気探査,地中レーダーなど) 土壌水分以外の特性が計測値に影響する (キャリブレーションが難しい)研究の概要・目標
崩壊発生斜面や緑化対象斜面で頻繁に行われている 貫入試験に着目 貫入試験機のロッドの先端に小型の土壌水分計を取 り付け,貫入抵抗を測定しながら土壌水分の鉛直分布 を計測する測器を開発 → 斜面の土層構造と水分分布を同時に迅速に把握 → 表層崩壊発生危険箇所の予測精度の向上Nc 0 50 100 150 200 Depth (cm ) 0 10 20 30 40 50
貫入試験機
(長谷川式土壌貫入計)
50 cm 錘 2 kg 先端コーン 直径20 mm 角度60° 2 kgの錘を高さ50 cmから落下さ せ,その衝撃で金属ロッドを土層 内に貫入させる 貫入の「し難さ(貫入抵抗値)」から, 土壌硬度や土層の厚さを計測する 10 cm貫入するのに何回 錘を落とす必要があるか 土層 基岩 (長谷川式貫入計のNh値は,Nc値のおよそ2倍)TDR式水分計の原理
λ
≡
=
κ
L
ct
soil2
2 / 1比誘電率:κ
水
:
80
土粒子
:3~5
空気
:
1
同軸ケーブル 電磁波:時間 t で往復土壌
センサー: 長さ L(10~30 cm)の 金属棒 シーリングCPMP先端部の様子 12 mm 3 mm 20 mm Steel rod Coaxial cable (50 Ω) 20 mm 16 mm Cone Plastic ring 60° Plastic ring 2 mm 3.5 mm Groove 72 mm 20 mm 15 mm 12 mm 16 mm 4 mm 0.5 mm Stainless wire φ = 0.55 mm Acrylic column Conductor wire Ground wire 42 mm CPMP全体の様子 〈計測性能〉貫入抵抗値:100 drop/10cm以上; 最大貫入深:500 cm
比誘電率(水分) 貫入抵抗(硬さ) ←深 さ 0 比誘電率・貫入抵抗の それぞれの鉛直分布が得られる
よくわかる
CPMP
講座
by 正岡直也砂防堰堤堆砂地での検証実験
貫入試験痕に沿って土層を掘削 既成の水分計で含水率の鉛直分 布を計測
まとめ:CPMPの改良
水分計付貫入試験機 (CPMP)の改良を行った結果, 実用に堪えうる強度を持つに至った。また,深度5mま での計測が可能になった。 CPMPにより計測された貫入抵抗値は,既往測器によ る計測値と良好に一致し,土壌の乾燥密度と高い相関 を示した。 CPMPにより計測された土壌含水率は,秤量法による 実測値や既往測器による計測値と良好な一致を示し た。CPMPは,斜面土層内の水分分布を迅速かつ詳 細に計測する上で,有用な測器である。電気探査との比較
滋賀県南部の花崗岩を母材とする森林斜面
電気探査との比較 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -5 0 5 10 15 Holizontal distance (m) Vertical d istance (m) CPMP Soil-bedrock interface Ground surface Stream Geology : granite
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -5 0 5 10 15 Dielectric constant Horizontal distance (m) Vertical distance (m) 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 D ept h ( cm ) 0 100 200 300 400 500 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 a b c d e Penetration resistance Dielectric constant
Penetration resistance (drop/10cm) Dielectric constant 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 f a b c d e f g h i j k l m n o p q CPMP 比誘電率の空間分布
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -5 0 5 10 15 Dielectric constant Horizontal distance (m) Vertical distance (m) a b c d e f g h i j k l m n o p q 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 D ept h ( cm ) 0 100 200 300 400 500 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 g i k m o Penetration resistance Dielectric constant
Penetration resistance (drop/10cm) Dielectric constant
0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -5 0 5 10 15 100 200 300 400 500 700 900 1200 1500 1800 2200 2600 3000 3500 4000 5000 7000 10000 (ohm-m) Horizontal distance (m) Vertical distance (m) Soil-bedrock interface Electric resistivity 電気探査 比抵抗の空間分布
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 -5 0 5 10 15 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -5 0 5 10 15 100 200 300 400 500 700 900 1200 1500 1800 2200 2600 3000 3500 4000 5000 7000 10000 (ohm-m) Dielectric constant Electric resistivity Horizontal distance (m) Vertical distance (m) CPMP 比誘電率の空間分布 電気探査 比抵抗の空間分布
まとめ:電気探査との比較
CPMPでは,電気探査では把握が難しい土層-基岩境 界面や地下水面の位置を正確に把握することが可能 である。 電気探査では,CPMPの計測が不能な基岩内部の特 徴を把握することが可能である。 表層崩壊の対象となる土層の詳細な構造をCPMPで 解明し,その下の岩盤環境の大まかな特徴を電気探 査で把握する。地中レーダー(Ground Penetrating Radar)との比較 送信アンテナ 受信アンテナ 地表面 地中物性 境界面 地中物性 境界面 - 振幅値 + 記録時間 測定記録(反射波形) 2 1 2 1
κ
κ
κ
κ
+
−
=
R
反射係数: κa κb κc地中レーダー(Ground Penetrating Radar)との比較 地中物性不連続面 アンテナ 走査方向 異物 (空洞・水みち等) 測定データ 時間 電磁波伝播速度 空気中での光の速度 比誘電率 深度
κ
/
c
V
=
地表面地中レーダー(Ground Penetrating Radar)との比較
200MHzアンテナ使用 探査深度 ~3 m
地中レーダー(Ground Penetrating Radar)との比較 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 De p th ( cm) 0 100 200 300 0 10 20 30 40 50 60 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 A B C D E
Penetration resistance (drop/10cm) Dielectric constant 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 60 F Penetration resistance Dielectric constant Ground water table
A B C D E F Reflection time (ns ) Depth (m ) ※比誘電率(κ)を9.0と仮定 Ground surface 地中レーダー 反射振幅の空間分布
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -5 0 5 10 15 Ground surface Reflection time (ns ) Depth (m ) CPMP 比誘電率の空間分布 地中レーダー 反射振幅の空間分布