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人を超す方が乳がんで命を落としており これは 1970 年の約 4 倍となっている ( 図 2) このままでは 2015 年の死亡数は 11,500 人と推測されている アメリカ イギリスをはじめとする欧米諸国では 乳がん発症率は増加しているものの死亡率は1995 年から減少傾向が続いている これは

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Academic year: 2021

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Mammography

—アナログからデジタルへ—

Mammography — From Analog System to Digital System —

論 文

東北大学病院 診療技術部 放射線部門 斎  政博 Masahiro Sai

Key Words: Digital Mammography, DMIST, FPD, Soft Copy Diagnosis, PACS

日本において乳がんが女性のがんの部位別罹患率の第1位を占めるなか、乳がん検診の重要性はますます高くなってきている。 2000年に導入された乳がんのマンモグラフィ検診では、アナログシステムによる検診が中心に行われ、精度管理も確立したもの となっている。近年開発が著しいデジタルマンモグラフィにおいては、検診効率のアップとさらなる将来性を見据えた研究がなさ れている状況にある。これらを踏まえ、本稿ではデジタルマンモグラフィに関する研究から最近のデジタルマンモグラフィ装置の 概要について述べる。

Nowadays when the breast cancer among women occupies the top rank of the morbidity rate in Japan, the importance of the chest cancer examination is becoming higher and higher. In the breast cancer examinations by mammography which was introduced in 2000, most of them are conducted with analog systems, and their precision control has been proved. In the meantime, in the digital mammography which shows remarkable progress in recent years, studies are going on for im-proved examination efficiency and development for future possibilities. Looking at these movements, this paper describes the study on the digital mammography as well as the outline of recent mammographic systems.

1.はじめに

近年、日本人の乳がんの罹患率は年々増加傾向にあり、現 在では約23人に1人の割合で罹患すると言われている。乳が ん検診の重要性はアナログシステムを中心に確立されたもの となっているが、近年普及が高まっているデジタルマンモグ ラフィにおいての評価は始まったばかりである。これらを踏ま えて、今回はデジタルマンモグラフィにおける現在の状況、さ らには今後のデジタルマンモグラフィについて述べる。

2.わが国の乳がん事情

乳がんは、欧米先進国のほとんどの国で女性のがん罹患 率・死亡率の第1位を占めている。従来、わが国では欧米に比 べると罹患率は少なかったが、近年その数は増加傾向にあり、 女性のがんの部位別罹患率は乳がんが第1位となっている(図 1)。その数は現在40,000人/年が罹患し、2015年には48,000 人/年が罹患すると言われている。死亡数は2005年では1万 図1:部位別罹患率予測 女 Females 人口10万対 Rate per 100,000 全癌発症:62万人/年(2004年度厚生労働省発表) 48000人/年 40000人/年

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準を満たし、線量(3mGy以下)および画質基準を満たすこと が定められ、マンモグラフィ撮影技術および精度管理に関す る基本講習プログラムに準じた講習会を修了した診療放射線 技師が撮影することが望ましいとされている。また、読影室 の照度やシャウカステンの輝度に十分配慮するなど、読影環 境を整えた上で、視触診と同時併用で読影を行い、十分な経 験を有する医師(マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が 開催する読影講習会またはこれに準ずる講習会を修了してい ることが望ましい)による読影を行うことを原則としている。

4.わが国のデジタルマンモグラフィの現状

最近、デジタルマンモグラフィ装置の普及は目覚ましいも のがあり、3,800台を超える仕様基準を満たした装置のうち、 デジタル装置が60%以上を占めている状況にある。デジタル 装置も以前はCR(computed radiography)を用いたデジタ ルマンモグラフィ装置が大半を占めていたものの、最近、各 メーカーからFPDを搭載したデジタルマンモグラフィ装置が 発売されるようになり、約10%を占めている。仕様基準を満 たした装置のうち、NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中 央委員会の施設認定を取得している施設は3割程度である1) 図3に現在使用されているデジタルマンモグラフィ装置の一 覧を示す2)

5.デジタルマンモグラフィの診断能力

デジタルマンモグラフィとスクリーンフィルム(SF)マンモ グラフィの診断能力を比較した試験、いわゆるデジタルマン モグラフィ臨床試験(DMIST:The Digital Mammographic Imaging Screening Trial)3)の概要を紹介する。全米33カ所 人を超す方が乳がんで命を落としており、これは1970年の約 4倍となっている(図 2)。このままでは 2015 年の死亡数は 11,500人と推測されている。アメリカ・イギリスをはじめとす る欧米諸国では、乳がん発症率は増加しているものの死亡率 は1995年から減少傾向が続いている。これはマンモグラフィ 検診の普及や啓蒙運動により、早期のうちに治療に取り掛か ることができるようになったためである。わが国でも検診の 受診率の向上と精度の高い検診が不可欠であると言える。

3.乳がん検診の現況

2000年3月、第4次老人保健事業によりマンモグラフィ検 診が導入され(いわゆる老健法第65号)、2004年には40歳代 へのマンモグラフィ導入が 行われ、2006 年の老老発第 0331003号では検診実施機関が行わなければならない精度管 理や、市町村および検診実施機関に検診事業の評価を求める ようになっている。実施機関の基準としては、乳房X線撮影 装置(マンモグラフィ)が日本医学放射線学会の定める仕様基 図2:乳がん死亡の推移 死亡 者 数 死亡者数 1955 1965 1975 1985 1995 2005 2000 4000 6000 8000 10000 12000 1,572 1,966 3,262 4,922 7,763 10,720 図3:国内で主に使用されているデジタルマンモグラフィ機器 メーカー 装置名 ターゲット フィルタ 変換方式 濃度分解能 ピクセルサイズ パネルサイズ(cm) 1画像当りの容量 GE Senographe ※1 2000D

Mo・Rh Mo・Rh 間接 14bit 100(㎛) 19.2╳23 9MB Senographe DS

SIEMENS MAMMOMATNovation ※2 Mo・W Mo・Rh 直接 14bit 70(㎛) 23╳29 16MB/26MB 18╳24

日立(LORAD) LORAD Selenia Mo Mo・Rh 直接 14bit 70(㎛) 24╳29 16MB/26MB 18╳24

島津(Planmed) SEPIO※3 NUANCE DT Mo Mo・Rh 直接 14bit 85(㎛) 17.4╳23.9 11MB DR装置 メーカー 装置名 濃度分解能 ピクセルサイズ 1画像当りの容量 富士フィルム FCR PROFECT CS 10bit 50(㎛) 約32MB コニカミノルタ Mermaid(MGU-100B) REGIUS190 12bit 25(㎛) 約134MB 43.75(㎛) 約44MB REGIUS190 コダック コダックダイレクトビュー CR850 システム CR950 システム 12bit 48.5(㎛) 37.2MB アグファ・ゲバルト CR75.0CR25.0 12bit 50(㎛) 32.8 MB CR装置

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において、乳癌の徴候のない49,528人の女性が登録され、 2001年10月にスタートした。その結果によると、デジタルマ ンモグラフィとSFマンモグラフィとでは全体の診断精度は ほぼ同じであった。特に次の被検者に対して、デジタルマン モグラフィの精度は顕著に高かった(図4)。①50歳以下の女 性、②不均一高濃度および高濃度の乳房の女性、③閉経前お よび閉経直前直後の女性である。また、デジタルマンモグラ フィとSFマンモグラフィでは同程度の特異性を示し、それぞ れ7%のリコール率であった。 今回の結果に限らず、デジタルマンモグラフィにはSFマン モグラフィにはない特徴がある。イメージを簡単に見られる こと、読影を助けるCAD(computer-aided diagnosis)などソ フトウェアが充実していること、さらにはネットワーク転送、 イメージの検索取得、サーバーへの保存などが可能なことが 挙げられる。

6.デジタルマンモグラフィの概要

デジタルマンモグラフィにおいて、ダイナミックレンジの 広さはその特徴のひとつとされ、乳房のような吸収の大きく 異なる組織では、皮膚面から脂肪、そして乳腺組織までの データを取得することができ、処理を最適化することによっ て画像上に描出することができる。他の利点は、FPD(flat panel detector)においてほぼリアルタイムに画像を確認でき 検査のスループットが良くなること、画像データの保管が容 易であること、遠隔画像診断が可能であること、CADの可能 性があることなどが挙げられる。受光系は検出方式の違いに より、大きく分けてCRとFPD 4)に分けられるが、FPDはさ らに変換方式の違いにより直接変換方式FPD、間接変換方 式FPDに分けられる。今まではCRを用いたデジタルマンモ グラフィが主流であったが、最近では各メーカーからFPDを 搭載したデジタルマンモグラフィ装置が発売され、近い将来 には主流になると思われる。 直接変換方式FPDは、X線情報をX線変換膜によって直 接電気信号に変換する方式である。X線変換膜にはアモル ファスセレン(a-Se)が用いられる。X線発生器から放射され たX線は、被写体を透過した後a-Seに入射する。a-Se層では 入射されたX線量に応じた電荷(正孔-電子対)が励起され、 発生した電荷はa-Se層の表面に設置した電極間に電界が生 じていれば、電子正孔対をX線の強弱に応じた電気信号とし て取り出すことができる(図5)。 間接変換方式FPDは、X線情報を蛍光体によって一旦光 に変換した後、フォトダイオードで光を電気信号に変換する 方式である。この蛍光体はヨウ化セシウム(CsI)結晶が用い られ、フォトダイオードとしてはアモルファスシリコン(a-Si) が用いられる(図6)。フォトダイオードの優れた光検出機能を 利用できるといったメリットを有する反面、光拡散による空 間分解能の低下が課題とされているが、CsIは針状または柱 状結晶構造を有しているため、側方への蛍光の広がりを最小 限に抑え、空間分解能の低下をできるだけ少なくすることが できる(図7)。 図4:DMISTにおけるがん検出率 検出の感度 被験者全体 :デジタルとSFの間に統計的有意差は無い。 サブグループ:SFに比べデジタルの方が、検出感度が顕著に高かった。 70% 78% 72% 70% 70% 51% 50% 55% 40% 45% 50% 55% 60% 65% 70% 75% 80% デンスブレスト それぞれのグループの検出感度 デジタルマンモグラフィ SFマンモグラフィ 閉経前及び 閉経直後 被験者全体 50歳以下 図5:直接変換方式 E X-ray Power Supply Dielectric Bias Electrode Collection Electrode Selenium TFT Switch aSeは、X線エネルギーを吸 収する際、X線の強度に応じ て結晶内に電子正孔対を遊離 する 電極間に電界が生じていれば電子正孔対をX線の強弱に応じた電気信号として取り出す 図6:間接変換方式 Light Quanta Photodiode

Control Line TFT Switch CsI(Tl) X-ray CsI 針状結晶 図7:X線検出機構の違い レーザー光 フォトマル 輝尽性蛍光体層 支持体層 レーザー光が拡散 X線 Csl(柱状結晶構造) 蛍光はあまり広がらない + − X線 電気信号 HV − + 電界 CRシステム 間接変換方式 直接変換方式 拡散の要素がない

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7.LORAD M-Ⅳ Seleniaの導入

院内の電子カルテ化・PACS化構想により、2007年2月に 直接変換方式 FPD搭載デジタルマンモグラフィ装置 LO-RAD M-Ⅳ Seleniaが導入された。最大の導入目的は次期医 療情報システムに必須となる電子カルテ化、PACS化に対応 するためである。当院のマンモグラフィに関係するシステム 構成は図8に示すとおりである。3台のデジタルマンモグラ フィ装置を使用しているが、Selenia以外の装置は、各メー カーからの受託研究用として導入しているものである。Sele-niaに搭載されている直接変換方式FPDは、前項で述べたよ うにX線変換に蛍光体を用いないため、光の拡散の影響がな く空間分解能に優れている。図9に画像取得フローを示す。 撮影後、次撮影まで約40秒程度を要すが、アナログシステム と比較すれば格段にスループットの良いシステムと言える。 また、ディテクタサイズ24╳29cmのパネルではポジショニ ングにかなり影響を及ぼすと思われたが、スマートパドルシ ステム(図10)により、従来のポジショニング法で十分対応可 能であった。画質については他のデジタルマンモグラフィ装 置と比較し、直接変換方式FPDによる高い解像力により石灰 図8:当院のシステム構成  

LORAD Selenia MERMAID※4

REGIUS※6 Vstage MODEL 190 DRYPRO※5793 MammoRead (東陽テクニカ) 放射線科 MammoRead (東陽テクニカ) Natural VIEW※11 (日立メディコ) 乳腺外科 MAMMOMAT 3000 NOVA FCR※7 PROFECT CS DRYPIX※9 7000 opdima mammotome※8 EV Confirm (PSP) WeVIEW※10 server (日立メディコ) 検像システム 画像 サーバー 図9:Seleniaにおける画像取得フロー RIS(患者情報・オーダー情報) Selenia(情報取得) ポジショニング 画像取得 撮影 プリンタ 画像ビュワー 画像サーバー 10秒程度 40秒程度 検像システム 図10:LORAD M-Ⅳ Selenia の特徴

MLO撮影時 2.5cm移動 ディテクタサイズ(24╳29cm) 画像取得ディテクタサイズ(18╳24cm)

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化の描出能に優れている。図11にSeleniaと他のデジタルマ ンモグラフィ装置で撮影した標本画像を示すが、Seleniaの ほうが、石灰化の辺縁まで高解像度で描出することができる。

8.おわりに

国内のマンモグラフィ装置の半数以上がデジタル化してい る現在、デジタルマンモグラフィの普及は今後ますます拍車 がかかると思われる。しかし、デジタル化されたとしても、画 質を左右するのはポジショニングを含めた撮影技術であり、 大きな影響を及ぼすことは言うまでもない。究極のシステムと 言われたアナログ画像を超えるためには、デジタルマンモグ ラフィの特性を十分に引き出して、良好な画像を確得するこ とが重要である。導入にあたっては、種々のデジタル装置が存 在するが、性能的にはそれぞれ十分なものを持っており、その 施設のコンセプトを踏まえて検討するべきである。現在はま だ研究段階ではあるが、今後衛星回線を使用したテレマンモ グラフィやデジタルトモシンセシス(Digital Tomosynthesis) (図12)といったデジタルマンモグラフィを利用した画像診断 にも期待する。2007年の北米放射線学会(RSNA)においても 数多くの臨床データが展示されており、注目度の大きさがう かがえる(図13)。特に乳腺の重なり部分における病変の描出 は有用であると言える(図14)。これらの新しい技術が、さら なるマンモグラフィにおける診断能の向上とさらには乳がん 死亡率の低下に寄与することを望む。 図11:臨床画像の比較 Selenia 炎症性乳癌 他機種 ※1 Senographeはゼネラル・エレクトリック・カンパニイの登録商標 です。 ※2 MAMMOMATはジーメンス アクチエンゲゼルシヤフトの登録商標 です。 ※3 SEPIOは株式会社島津製作所の登録商標です。 ※4 MERMAID、※6 REGIUSはコニカミノルタエムジー株式会社の 登録商標です。 ※5 DRYPROはコニカ株式会社の登録商標です。 ※7 FCR、※9 DRYPIXは富士フイルム株式会社の登録商標です。 ※8 mammotomeはジョンソンアンドジョンソンの登録商標です。 ※10 WeVIEWは株式会社日立メディコの登録商標です。 ※11 Natural VIEWは株式会社日立製作所の登録商標です。

参考文献

1) 福田 護 : 本学会のこれからの活動. 日本乳癌検診学会誌, 17(1) : 5-7, 2008. 2) 大内憲明・編 : 実践 デジタルマンモグラフィ(基礎から 診断まで), 8-9, 中山書店, 2006.

3) Pisano ED, et al. Diagnostic performance of digital versus film mammography for breast-cancer screen-ing. N Engl J Med 2005, 353 : 1773-1783, 2005.

4) Pisano ED, et al. : Digital Mammography. Radiology, 234. 353-362, 2005.

図 12:デジタルトモシンセシスシステム

図 13:トモシンセシスの原理

Incident x-rays

Images as seen on cassette or digital detector

2D

図 14:通常の画像とトモシンセシスの画像の比較

2Dに比べ、3Dの方が乳腺の重なり部分の描出能が優れている。 3D

図 14:通常の画像とトモシンセシスの画像の比較

参照

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