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JICA パラグアイ事務所便り

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Academic year: 2021

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目次

新年のご挨拶 ... 1

【特集記事】日系社会が育てたゴマがパラグアイの小規模農家と日本の食卓を救う ... 2

【ボランティア活動紹介】学習意欲の向上に貢献! ... 5

【イベント報告】技術EXPO開催 ... 7

【パラグアイ文化紹介】カアクペの聖母 ... 8

2015 年 1 月 事務所の動き ... 10

JICA パラグアイ

事務所便り

No.87

2015 年 1 月号

アカティの丘‐グアイラ県

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1 新年のご挨拶 JICA パラグアイ事務所 所長 谷口 誠 新年明けましておめでとうごいます。 2015 年の干支は「未(ひつじ)」です。群れをなす羊は、 家族の安泰を示し、いつまでも平和に暮らすことを意味す る縁起の良い動物で、未年生まれの方は、「穏やかで人情 に厚い」と言われています。 今年も皆様にとって、ご健勝でご多幸な年であるようお 祈り申し上げます。 さて、昨年の重大ニュースに、パラグアイ大統領の日本 への公式訪問があります。 6 月 25 日に行われた首脳会談で安倍総理大臣は、①カル テス大統領が重視する「格差是正および持続的経済開発」を重点分野として支援していくこと。②移住 者・日系人が温かく迎えられてきたことへの深い謝意。③日パ間の投資促進に向けた取り組み。等々、 二国間伝統的友好関係を改めて確認するとともに、協力促進の観点から 16 項目からなる「日本・パラグ アイ共同声明」を公式発表しました。 また、昨年末に行われた第 47 回衆議院選挙では連立与党が三分の二の議席を獲得し、「アベノミクス」 を推進するための政策が実行されます。 安倍総理は引き続き、経済・外交・安全保障を重点課題として取り組んで行く方針を表明されています が、特に「地球儀を俯瞰した外交」戦略に基づき、「日本・パラグアイ共同声明」を推進するものと考え ています。 パラグアイでも、昨年オラシオ・カルテス大統領の政権が本格始動し、政治が安定し、滞っていた諸施 策・法案が促進され、また、経済も好調を維持するなど、良い年となりました。 JICA パラグアイ事務所は、農業振興(小農支援)、人材育成(職業訓練)、インフラ整備(上水道、地方道 路等)、日系社会支援等の分野で、パラグアイ社会発展への貢献を期待されています。 本年も、有償資金協力、無償資金協力、技術協力、JICA ボランティア活動を通じて、国際協力業務を強 力に推進してまいりますので、ご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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2 パラグアイの白ゴマ(エスコバ種) ゴマの花 白沢氏(さまざまなゴマ製品が展示さ れている白沢商工株式会社にて) 【特集記事】日系社会が育てたゴマがパラグアイの小規模農家と日本の食卓を救う JICA パラグアイ事務所 次長 伊藤 圭介 日本は世界有数のゴマ消費国。和食には欠かせない食材の一つだが、その ほとんどが輸入で、年間の輸入総量は約 16 万トン(注 1) に上る。輸入の ゴマの中でも、特に食用の白ゴマ生産を支えているのが中南米諸国だ。日本 は 2009 年の食用白ゴマ輸入の 90 パーセント以上をパラグアイ、グアテマラ、 ボリビアの 3 ヵ国に依存しており、そのうち 70 パーセント以上はパラグア イ産である。 パラグアイには現在、約 7,000 人の日系人が住んでいる。1936 年に約 300 人の日本人がパラグアイに移住して以来、主に農業や林業に貢献してきた。 今年 7 月から 8 月にかけて中南米を訪問した安倍晋三首相がブラジルで講演 し、「日系人が築いてきた信頼が中南米における日本に対する信頼の礎」と 言及したように、日系人の存在は、日本が中南米各国と信頼関係を醸成する 上での至宝といえる。中南米の中でも「大の親日国」パラグアイで、日系社 会がけん引したゴマ・ビジネスを紹介する。 ゴマのパイオニアは日系人 パラグアイにおけるゴマ栽培の歴史は 1990 年代初頭にさかのぼる。 小規模農家の貴重な現金収入源であった綿花の栽培が、価格低下な どの影響を受けて急激に減少、パラグアイ政府の小規模農家支援政 策も停滞していた。そんな中、パラグアイ経済をなんとかしたいと いう使命感から、綿花の代替作物として、ゴマ栽培を推進したのが、 現在「パラグアイゴマ輸出協会」の会長を務める白沢寿一氏だ。白 沢氏は 1958 年、家族と共に北海道からパラグアイに移住。1971 年 に白沢商工株式会社を設立し、農産物の輸出事業などを手掛けてい た。 「1980 年代後半から、弊社では四十数品種の白ゴマ試験栽培を通じ、日本市場に合った味の良い品種の 開発を進めていました。1990 年代初頭に、特にサンペドロ県(注 2)では、小規模農家の貧困が社会的 問題となっていました。綿花に代わる換金作物が求められていたことから、弊社では小規模農家を対象 に白ゴマの種子を配布し、栽培の技術指導を開始しました」と白沢氏は当時を振り返る。需要に先駆け て品種の開発を進めていたことに加え、社会情勢の変化などの追い風を受けて、現在、日本市場で評価 を受けている「エスコバ種」が市場に投入された。 東日本大震災が発生した 2011 年 3 月、パラグアイの多くの日系人から義援金が届いた。白沢氏は、被 災地の悲惨な状況を知るといち早く、同社の創立 40 周年パーティーを自粛し、そのために用意していた 10 万ドル(約 1,000 万円)を日本大使館経由で日本赤十字に寄付した。

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3 ゴマの生産現場を頻繁に訪問し、農業 普及員や農家に技術指導を行うアジャ ラ教授(右) 現地での調査はパラグアイ関係者に高く 評価された。ホルヘ・ガッティーニ農牧 大臣(左)から感謝状を受け取る厚生労 働省の加地祥文調査団長(右) ゴマ生産の拡大と課題 白沢氏の努力が実り、「エスコバ」は日本市場で認められ、2000 年以降パラグアイから日本へのゴマ輸 出は急激に拡大した。そしてゴマ栽培農家は 1999 年には 5,000 世帯、 2005 年には 3 万 5,000 世帯に急増した。 急激な生産拡大の過程で、小規模農家がゴマという一つの作物に依 存するあまり、連作障害(注 3) などによる単位面積当たりの収量 の低下や交雑(注 4)による品質の低下といった問題が顕著になっ てきた。 こうした状況を受けて JICA は、2009 年 10 月から 2012 年 10 月にか けて「小規模ゴマ栽培農家支援のための優良種子生産強化プロジェ クト」 を実施。ゴマ栽培小規模農家への優良種子の安定供給や栽培 技術の改善を支援した。プロジェクトは「日本メキシコ・パートナ ーシップ・プログラム」(注 5)を活用して、日本、パラグアイ、メキシコの三角協力(注 6)で行われ た。パラグアイの国立アスンシオン大学農学部を主体として、ゴマ生産の知見を持つメキシコ農牧林研 究機構(INIFAP)が研修などを行い、優良種子の生産や栽培技術の向上に取り組んだ。 プロジェクトのパラグアイ側リーダーである国立アスンシオン大学のリーデル・アジャラ教授は、「ゴ マの品質や生産性の低下に対する問題意識が高まっている中でプロジェクトを開始しました。プロジェ クトを通じて大学の研究能力は確実に高まっています。これまでは優良種子の生産を中心に取り組んで きましたが、最近では連作による土壌肥沃度の低下など、プロジェクト開始当初には想定していなかっ た問題も出ており、今後は新たな課題にも取り組んでいく必要があります」と語る。 2012 年 12 月には、同プロジェクトのフェーズ II が始まった。フェーズ II では、土壌肥沃度の低下や 優良種子供給能力の強化などの課題に対応するために、土壌改良技術の開発や種子生産農家への技術指 導などに力を入れている。また市場のニーズを踏まえた成果を出すために、ゴマ輸出協会やゴマ生産者 組合など民間セクターとの連携を強め、産学官でゴマの生産・流通における課題を議論する場などを設 けている。 官民が連携して安全なゴマの供給を目指す 栽培上の課題を抱えつつも対日ゴマ輸出が着実に伸び続けていた 2008 年、パラグアイ産ゴマは新たな壁にぶつかった。残留農薬問題 だ。日本の残留農薬基準値を超える農薬がパラグアイ産ゴマから検 出されるという問題が発生。問題となったロットは日本国内への輸 入が認められなかった。 パラグアイ政府が散発的に発覚する残留農薬に危機感を募らせる 中、2013 年 11 月、白沢氏が会長を務めるパラグアイゴマ輸出協会 の尽力で、マリオ・レオン農牧省農業副大臣を団長とする官民一体 の代表団が日本を訪問。ゴマの輸入を手掛ける日本の商社、全国胡 麻加工組合連合会、厚生労働省などを訪問し、残留農薬問題につい

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4 セミナーで講演する高田社長。日本のゴ ママーケットへの関心は高く、約 150 人 のパラグアイのゴマ産業関係者が参加 て協議した。 その際、代表団はパラグアイにおける残留農薬検査プロセスの診断への協力を JICA に依頼。それを受 けて JICA は、2014 年 9 月、厚生労働省の協力を得てパラグアイに調査団を派遣した。2 週間という短期 間の調査にもかかわらず、調査団はゴマのトレーサビリティー(注 7)と残留農薬検査能力の改善などを 提言。パラグアイ政府は現在、この提言を踏まえて対策を検討している。 また、JICA は 2014 年 3 月、「ゴマ国際セミナー」をパラグアイの首 都アスンシオンで開催した。日本の商社やゴマ加工企業の関係者が 登壇し、残留農薬基準をはじめとする日本の消費者が求めるゴマの 品質を、パラグアイのゴマ生産農家や農業普及員などのゴマ生産関 係者に伝えた。 セミナーで講演した、加工ゴマ製品を製造・販売するカタギ食品株 式会社(大阪府寝屋川市)の高田直幸代表取締役社長は、「パラグア イのエスコバ種は味の優れた白ゴマです。今後も高品質を維持して、 安定供給に努めていただきたい」とパラグアイのゴマ生産関係者に エールを送った。 「食料輸入大国」日本が、海外から安全な食料を安定的に調達するためには、官民が連携して輸出国と の強固な協力関係を構築する必要がある。「農業大国」のパラグアイで、日系社会がそのけん引役となっ ていることは頼もしい。 パラグアイの日系社会は、ゴマ栽培だけではなく、今や世界第 6 位の生産量を誇るほどに成長した大豆 生産のパイオニアでもある。また野菜栽培を始めたことで、パラグアイ人に野菜を食べる習慣が広がる など、同国の農業技術の普及に大きく貢献してきた。 JICA は、パラグアイの日系社会を同国の開発のための重要なパートナーとして位置付け、民間セクター とも連携しながら、安全なゴマの生産、輸出への支援を通じて、パラグアイ貧困層の生計向上と日本の 食料の安全保障を目指している。 (注 1)2010~2013 年の平均は 15 万 6,000 トン。 (注 2)北部のサンペドロ県、コンセプシオン県、東部のカニンデジュ県が主な生産県だが、近年の価格上昇により、栽培 地域は拡大している。 (注 3)同じ作物を連作して栽培することにより、病害虫が多くなったり、土壌の養分が不足したりして、作物の生育が悪 くなること。 (注 4)異品種間で交配が行われること。 (注 5)かつて援助を受けていた開発途上国が、援助する側へ移行し、日本と対等の立場で協力して他の途上国を援助する 事業。日本はメキシコをはじめ 12 ヵ国とパートナーシップ・プログラム、あるいはそれに類する文書を締結している。 (注 6)途上国が相互に協力して援助を実施するのが「南南協力」、南南協力を先進国などが支援するのが「三角協力」。 (注 7)追跡可能性。調査団はパラグアイ国内でのゴマ農薬汚染発生源を追跡できる仕組みの構築を提言している。

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5 高瀬 SV 講義を聞く生徒たち 【ボランティア活動紹介】学習意欲の向上に貢献! ~CITEC が工業高校で特別講座~ JICA パラグアイ事務所 ボランティア班 岡山 香織 NGO ジャパンデスク 大石 未来 昨年 10 月 31 日、アスンシオン近郊にあるフェルナンド・デ・ラ・モラ工業高校で、同高校のメカトロ ニクス・コースの生徒を対象にアスンシオン大学工学部電力・制御研究室(CITEC)によるメカトロニク ス特別講座が行われました。 この特別講座は、同校に通う息子の学習意欲低下を懸念す る 1 人の母親の訴えがきっかけとなりました。同校は高校 としては珍しくメカトロニクス・コースを有するものの、 機材等の不足により生徒の興味を十分に引き出せておら ず、息子さんは退学も考えていたとのことです。 母親から JICA に対し、何らかの支援をして欲しいと強い 申し出があり、メカトロニクスが専門の高瀬義彦シニア海 外ボランティア(SV)と、高瀬 SV の配属先である CITEC に特別講座を依頼したところ快く引き受けていただき、実 現することになりました。 当日、初めに高瀬 SV が日本のメカトロニクスを紹 介しました。その中で、メカトロニクスが日本で生 まれたこと、技術者たち子供時代には『鉄腕アトム』 をつくりたいと思っていたこと、プリウス、自動改 札装置、新幹線、ヒューマノイド・ロボット、世界 1 速いエレベーター等にメカトロニクスの技術が使 われていることなどが説明されました。 次に、CITEC 出身で、現在同研究室で研究を続ける レオナルド・カレーラスさんが、CITEC で進めてい る太陽光発電装置について説明を行いました。カレ ーラスさんはまた、自分の生い立ちについても話し てくれました。家族がカレーラスさんのためにより よい学習環境を求めて何度か引っ越しまでしてくれたそうです。カレーラスさんは家族への感謝を述べ るとともに、「パラグアイで裕福でない家庭の子供が高校を卒業する割合は多くなく、工業高校で勉強し ている君たちは、すごく恵まれている。色々問題を抱えているようだけど、一つ一つ解決していくこと を覚えていくこと」と生徒を励ましました。

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6 メカトロニクス・コースの 2 年生 生い立ちを話すカレーラスさん 受講した生徒は、「メカトロニクスでいろんなこと が出来るって事を知れてよかった。日本でロボット が実際に会社にいる話はすごいと思ったし、車とか 新幹線とか、自動改札機にも活用されているとは知 らなかった。世界一速いエレベーターも初めて聞い た。今日のプレゼンテーションで最初のやる気がま た戻ってきた。それに、太陽パネルの話も興味深か った。地方だけでなく、ここ(都市)でも停電がよ くあるからいろんなことに使えるって思う。そのほ かにもアスンシオン大学が協力してくれる話も出 ていたし、今日の講義をアレンジしてくれた JICA にはすごく感謝している」と興奮した様子で話しま した。 同高校のアルシデス・バルデス校長も生徒に対し、「皆さんのモチベーションを上げるための講義だっ たけど、私のモチベーションが上がっちゃいました。これからみんなで頑張っていこう」とエールを送 りました。 今回の特別講座では、2 つの大切なことに気づかされました。1 つは、高校生の「学びたい」という意 欲の高さです。環境さえ整えば、生徒たちはどんどん知識を吸収し、将来パラグアイの発展に貢献して いくのではないかと思いました。もう 1 つは我が子を思う親の偉大さです。JICA に支援を訴えてきた母 親、カレーラスさんのご家族、そういった思いが子供たちの未来を支えていくのだと感じました。

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7 感謝の言葉を受ける富安 SV どの作品も生徒の技能がキラリ 【イベント報告】技術 EXPO 開催 JICA パラグアイ事務所 総務班 根岸 マリオ 昨年の 11 月 14 日、サンロレンソ市にある職業能力開発局(SNPP)の日本パラグアイ促進能力センター (CPP-JP)が主催する技術 EXPO が開催されました。このイベントでは、短期大学コース各科の生徒が、 同センターにて習得した技術や知識を応用したプロジェクトや研究等を発表しました。同センターには 昨年 12 月まで、JICA のシニア海外ボランティアとして富安浩(SV)が派遣されていました。 同イベントの開会式には SNPP のラモン・マシエ ル総局長や、労働・雇用・社会保障省のギジェル モ・ソサ大臣が出席。また、同センターで活動し ていた富安 SV に対し、生徒代表からこれまでの活 動に対する感謝の言葉が述べられ、マシエル総局 長とソサ大臣からは記念品が授与されました。 富安 SV は 2012 年の 4 月より同センターに赴任し、 生徒や教師に、産業用コントローラー(PLC)につ いての指導を中心に活動を行っていました。 自動制御技術は、世界の様々な産業において通用する 技術ですが、パラグアイには、同技術を習得した技能 者は多くありません。そのため EXPO では、富安 SV が 担当した PLC 制御を応用したプロジェクトがひときわ 注目を浴びていました。 近年、南米の生産業の拠点として注目を集めているパ ラグアイ。今後も国の発展に伴い、同センターの役割、 そして同センターの卒業生たちの役割は、ますます大 きくなっていくことでしょう。

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8 信仰の町、 カアクペ市 大聖堂の建設は 1945 年に開始 【パラグアイ文化紹介】カアクペの聖母 12 月 8 日は、パラグアイ国を代表する宗教的な祭日「カアクペの聖 母の日」です。カアクペの聖母は、奇跡の聖母、パラグアイの守護聖 母とも呼ばれ、毎年カアクペ聖母の日には、聖母を収める大聖堂前は 巡礼の達成と心願成就のお礼を唱える多くのカトリック信者で埋め尽 くされます。 今回のニュースレターでは、全人口の 80%以上がカトリック信者と いわれるパラグアイ人にとって非常に大切な、この「カアクペの聖母」 について、ご紹介します。 カアクペの聖母の起源は、フランシスコ会の宣教師が伝道活動を行っていた 1600 年代にさかのぼります。 当時は、スペイン人が持ち込んだ新しい宗教を受け入れる“グアラニー族”と、 フランシスコ会を悪の使いと恐れていた“ンバジャエス族”との間で抗争が絶え ませんでした。 ある日、ンバジャエス族のグループに追われ、死地に追い詰められた一人のグアラニー族の青年が、と っさに大木の陰に隠れました。その時青年は、聖母のことを思い出し、こう祈ります:「助けてくれたら この大木であなたの像を彫ります!」。するとンバジャエス族は青年に気づくことなく去っていきました。 聖母に助けられた青年は感謝の気持ちを込め、約束通り大木から聖母の像を二体彫り、一体をトバティ 市の教会に納め、もう一体を自分の家に安置し、毎日聖母に祈りをささげたそうです。 (※トバティ市に納められた聖母像は、後に敵部族の襲撃により破壊されてしまったそうです。) 時は流れ、聖母はまた奇跡を起こします。 ある年、同地域は大洪水に襲われ、甚大な被害を受けました。フランシスコ会の神父は、これ以上の被 害が出ないよう聖母に祈りを捧げました。すると、洪水は見る見るうちに引いていき、大きな湖となり、 ウパカライ湖となりました。洪水が収まったのち、そのウパカライ湖の岸辺で、一体の聖母像が見つか ります。見つけた拾い主は、洪水をおさめてくれた聖母のために小さな祭壇をつくりました。奇跡を起 こす聖母の話はパラグアイ各地に広がり、聖母像に祈りを捧げたいとその祭壇まで訪れる巡礼者はだん だん増えていきます。1765 年 12 月 8 日には聖母を祭る祈祷所が建てられ、巡礼を行う習わしは現在まで 残り、「カアクペの聖母の日」となりました。 現在でも、カアクペ市まで徒歩で巡礼する人がほとんどですが、中には 熱心な信者もおり、頭に重み(レンガや石等)を載せて歩く人もいれば、 大きな十字架を背負いながら歩く人、更には、ひざだけで歩く人もいま す。 霊験あらたかといわれるカアクペ巡礼。12 月にパラグアイにお越しの際 は、是非体験されてはいかがでしょうか。

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【関連 URL】

 世界 HOT アングル

「ボランティアがつなぐ、日本とパラグアイ」(川東秀樹 JV) http://www2.jica.go.jp/hotangle/america/paraguay/001258.html

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10 2015 年 1 月 事務所の動き 1/5 JICA パラグアイ事務所業務開始 1/7 JOCV 26 年度 3 次隊着任(3 名) ※理学療法士、障害児・者支援、看護師の 3 名が着任します。 1/11-26 残留農薬検査本邦研修(SENAVE 2 名) ※パラグアイの農業検査機関である SENAVE より 2 名の研修員が、日本で残留農薬の検 査技術等を学びます。 1/19-2/12 KATUPYRY(注 1)プロジェクト運営指導/ヤシレタ情報収集調査 ※農村開発分野の専門員が JICA 本部より来訪します。 1/21 プライマリーヘルスケアプロジェクト保健情報活用短期専門家着任 1/23 安全対策連絡協議会開催 ボランティア活動報告会開催 ※2015 年より新たに開催することとなりました、ボランティアによる活動報告会の第 一回が開催されます。 1/31-2/7 FOPROLEI プロジェクト(注 2)在外研修(ボリビア) ※パラグアイから 4 名の隊員が参加し、ボリビアで畜産を学びます。 (注 1)技術協力「イタプア県・カアサパ県におけるテリトリアル・アプローチ実施体制強化のための農村開発プロジ ェクト」 (注 2)イタプア県における小規模酪農家強化プロジェクト ボランティアグループ型派遣

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JICA パラグアイ事務所

Edificio CITIBANK CENTER Piso 5

Mcal. López 3794 esq. Cruz del Chaco

TEL. +595-21-608400/4 FAX +595-21-608406/7

E-mail: pg_oso_rep@jica.go.jp

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参照

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