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日本経済研究センター 産業ピックアップ 第 4 次産業革命 人口減少下の日本 (5) エレクトロニクス 1. 半導体は世界シェア低下 携帯電話や家電も減少 2. 電子部品の生産は IoT の普及により増加基調が続く 3. エレクトロニクス産業成長のカギは IoT の世界標準 1 半導

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本―

(5)エレクトロニクス

1. 半導体は世界シェア低下、携帯電話や家電も減少

2. 電子部品の生産は IoT の普及により増加基調が続く

3. エレクトロニクス産業成長のカギは IoT の世界標準

①半導体同様、他のエレクトロニクス製品も没落の可能性 かつてエレクトロニクス産業(電子部品・デバイス、家電製品)は、自動車産業と 並び日本の経済成長の両輪として高い国際競争力を誇っていた。その中心にあったの は半導体産業の成功である。総合電機産業では半導体部門で得られた利益が他部門に 投下されたこともあって大きな発展を遂げることができていた。だが、半導体産業は 技術革新が激しく、巨額の研究開発費や設備投資費の負担が必要で、常に大きな決断 を 迫 ら れ る ビ ジ ネ ス で あ る 。 日 本 の 半 導 体 産 業 は 世 界 半 導 体 市 場 の 拡 大 と は 裏 腹 に 2000年代以降、米国メーカーの巻き返しやアジアメーカーの台頭を許し、大きくシェ アを落としていくことになった。その結果、1980年代後半に半導体売上シェアのトッ プ10社のうち、6社を占めていた日本企業は、2016年には1社のみとなるなど没落し てしまった(図表5-1)。 図表5-1 半導体市場の成長と逆行して日本メーカーの多くが姿を消す (資料)WSTS、Gartnerを基に作成 シェア低下が危ぶまれ始めた1990年代頃より日本では産学官一体の研究組織の立ち 上げや共同研究プロジェクト(図表5-2)が数多く行われ、半導体産業の復権を目 指した時期があった。だが共同研究プロジェクトの実施は、半導体シェア低下に歯止 めをかけることには結びつかなかった。これは満足なマーケティングを行わずに研究 開発活動がなされ、「売れるものを作る研究」ではなかったことも要因として挙げられ る。この結果、多くの研究結果が蓄積されたが、その多くが企業ニーズに合致せず、 企業収益に貢献しなかった。 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 (億ドル) 【世界半導体出荷額】 (暦年) 【半導体売上シェア上位10社の変遷】 1989年 シェア 1999年 シェア 2016年 シェア NEC セミコンダクターズ 7.7% インテル 15.9% インテル 15.9% 東芝セミコンダクター 7.4% NEC セミコンダクターズ 5.5% 圏外 サムスン電子 セミコンダクターズ 11.8% 日立 セミコンダクターズ 6.2% 東芝セミコンダクター 4.5% クアルコム 4.5% モトローラ 半導体部門 5.5% サムスン電子 セミコンダクターズ 4.2% ハイニックス 4.2% テキサス・インスツルメンツ 4.8% テキサス・インスツルメンツ 4.2% ブロードコム 3.9% 富士通 セミコンダクターズ 4.8% 圏外 モトローラ セミコンダクターズ 3.8% マイクロン 3.7% 三菱電機 セミコンダクターズ 4.3% 圏外 日立 セミコンダクターズ 3.3% 圏外 テキサス・インスツルメンツ 3.5% インテル 4.2% インフィニオン・テクノロジーズ 3.1% 東芝セミコンダクター 3.0% 松下電器 セミコンダクターズ 3.1% 圏外 STマイクロエレクトロニクス 3.0% NXPセミコンダクターズ 2.7% フィリップス セミコンダクターズ 2.8% フィリップスセミコンダクターズ 3.0% メディアテック 2.6% 上位10社のシェア 50.8% 上位10社のシェア 50.5% 上位10社のシェア 55.8% 上位3社のシェア 21.3% 上位3社のシェア 25.9% 上位3社のシェア 32.2%

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― 図表5-2 半導体関連の共同組織・研究プロジェクト一覧 (資料)武田計測先端知識財団『半導体業界の動向とカラクリ』、湯之上隆『日本型モノづくり の敗北』等を基に作成 シェアが低迷している半導体産業であるが、現在でも日本のエレクトロニクス産業 のなかでは大きなウエートを占めている。なかでも大きな生産量を占めているのが、 記憶装置であるメモリだ。メモリは、コンピューターが処理するデジタルデータを保 持する機能を担っており、家電製品やクレジットカード、交通系電子マネーの Suica など様々な製品に搭載されている。「IHS Technology」の世界の IoT デバイス数の推 移及び予測によれば、今後もメモリが組み込まれた IoT デバイス数は大きく増加して いく(図表5-3右)。現在はスマホ向けのメモリ以外にもデータセンター向けの需要 が旺盛で、今後も成長が期待される分野である。「IC Insights」の IC 市場の年間成 長率予測(図表5-3左)によれば、2016 年から 2021 年までの集積回路(IC)の世界 市場の成長率は 4.9%と高い成長が予測されているが、なかでもメモリ市場の成長率は 年間 7.3%と予測され、他の分野と比べて特に高い。 組織 開始 終了 概要 超LSI技術研究組合 1976年 1980年 DRAM 1Mメモリの基礎開発(当時16K) 富士通、日立、三菱、日電、東芝 各社平均20名 つくば半導体コンソーシアム(TSC) 2006年4月 2011年3月 複数プロジェクトを一元マネージメントする (株)半導体理工学研究センター 1995年12月 2016年5月 通称:STARC 大学、国内外の研究機関 国内主要半導体メーカーの出資による (株)半導体先端テクノロジーズ 1996年2月 2011年6月 通称:Selete 産業界コンソーシアム 超先端電子技術開発機構 1996年2月 2013年3月 通称:ASET 先端電子技術分野における産業界の共通基盤技術開発 先端SoC基盤技術開発 2002年7月 2005年9月 通称:ASPLA システムLSI開発の設計環境整備と開発プラットフォームの構築(ファウンドリー) 次世代半導体材料技術研究組合 2003年4月 ― 通称:CASMAT 極端紫外線露光システム技術開発機構 2002年5月 ― 通称:EUVA 企業9社による露光装置技術の早期確立 産業技術総合研究所 2001年4月 ― 通称:AIST つくばイノベーションアリーナ 2009年 ― 通称:TIA 先端ナノプロセス基盤開発センター 2011年 ― 通称:EIDEC 極端紫外線露光システム用マスク基盤、同リソグラフィー基盤技術の研究開発 プロジェクト一覧 開始 終了 概要

HALCA 2001年9月 2004年3月 Highly Agile Line Concept Advancement ミニファブ構築技術、新規生産方式の開発 高効率次世代半導体製造システム技術開発助成事業

DIIN(2DIIN) 2001年4月 2007年3月 New Intelligence for IC Differentiation 顧客ニーズ瞬時製品化対応新生産方式の創出マイクロ波励起高密度プラズマ装置の開発 あすか(ASUKA)プロジェクト 2001年4月 2006年3月 DRAMからSoCへの転換 0.1~0.07㎛のSoC開発 あすかⅡ(ASUKAⅡ)プロジェクト 2006年4月 2011年3月 国際競争力の発展、ニーズに先駆けた先行R&D、継続的イノベーション設計基盤技術力強化 MIRAI(みらい)プロジェクト(3期) 2001年4月 2010年3月 半導体LSI技術について情報通信機器の高機能化 低消費電力等を満たす次世代のシステムLSI等の基盤技術開発 産学官連携による共同開発

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本―

図表5-3 世界の IoT デバイス数は急速に伸び、IC 市場も高い成長が見込まれる

(資料)IHS Technology、IC Insights

世界市場の拡大を受け、今後も国内のメモリ生産は年率3%の増産が続くものと予 測する(図表5-4)。もっとも国内生産量の伸びは市場成長率を下回る水準で推移す ることになるため、世界シェアの低下を招くことになる。半導体市場では、徐々に海 外の上位企業が占める市場シェアの拡大が続いており、世界シェアが低下すれば価格 競争力を失い、激しい国際競争の中で生産を維持することは困難であると考えられ、 国内でのメモリ生産は 2030 年までに撤退を余儀なくされる可能性もある。 図表5-4 メモリの増産は続くも、伸び率は低い (注)17 年以降は、当センター第 44 回中期経済予測の世界経済成長率予測より推計。 (資料)経済産業省『生産動態統計』 エレクトロニクス産業では、上記で説明したメモリ(電子管、半導体素子及び集積 回路)以外にも多くの品目で減産が続いており、電子部品や電池以外の国内生産は縮 小が続いている(図表5-5)。 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 メモリ アナログ マイクロコン ポーネント ロジック IC市場全体 (%) 【IC市場の年間成長率予測(2016~2021年)】 0 50 100 150 200 250 300 350 13 14 15 16 17 18 19 20 (暦年) 【世界のIoTデバイス数の推移及び予測】 軍事・宇宙・航空 自動車 医療 産業用途 コンピューター コンシューマー 通信 予測 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 0 5 10 15 20 25 30 35 40(億個) (%) 【メモリ生産個数の予測】 メモリ生産個数 生産個数の伸び(右目盛) 00年代 10-14 15 16 17 20 25 30 予測 (暦年)

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― 図表5-5 多くの品目で減産が目立つエレクトロニクス産業 (資料)経済産業省『生産動態統計』 2013 年以降、エレクトロニクス産業をけん引してきたのはスマートフォン(スマホ) の普及である。スマホの世界シェアは、米国アップルや韓国サムスンが主導権を握っ ており、最近では中国メーカーや台湾メーカーの存在も大きくなっている。ガラパゴ ス携帯とも呼ばれた国産携帯電話は、フィーチャーフォンの時代には年間生産台数が 6,000 万台弱となるなど花形産業であった。しかし、スマホの普及が始まると一転して 生産台数は減少していった。現在のスマホ市場では日系メーカーの存在感は薄く、ま た日系メーカーのスマホの多くは中国等で生産されており、国内では一部の機種が国 内向けに生産されている。さらには世界のモバイル OS では、Android がシェア7割程 度と優勢であるが、国内ではアップルが大きなシェアを占めており、日系メーカーの スマホは国内でも競争力に乏しい(図表5-6)。 図表5-6 携帯電話は輸入に依存、国内シェアはアップルが高い (資料)財務省『貿易統計』、IDC JAPAN さらに今後は人口減少の影響も加わり、携帯電話の国内生産は 2030 年を迎えるまで に終了するものと予測する(図表5-7)。 0 2 4 6 8 民生用電気機械器具 民生用電子機械器具 電子部品 電子管、半導体素子及び集積回路 電子計算機 電池 通信機械器具及び無線応用装置 (兆円) 【エレクトロニクス産業の生産動向】 2016年 2012年 2008年 2004年 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2007 2010 2013 2016 (兆円) 【携帯・その他無線回線網用携帯電話の輸出入推移】 輸出 輸入 アップル 39.5% ソニー 11.9% シャープ 11.7% 京セラ 11.1% 富士通 9.9% その他 15.9% 【ベンダー別国内携帯電話出荷シェア(17年3Q)】 (暦年)

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― 図表5-7 携帯電話は国内生産が終了すると見込まれる (注)17 年以降は、社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(中位予測値)、日本経済 研究センター『第 44 回中期経済予測』の雇用者報酬より推計。 (資料)経済産業省『生産動態統計』 国内では人口とともに世帯数も減少していく。世帯数の減少は特に白物家電の生産 台数に大きな影響を及ぼすことになるだろう。白物家電を代表して、冷蔵庫の国内生 産台数を見てみよう。国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数将来推計によれ ば、一般世帯総数は 2019 年まで増加を続けるものの、その後は減少に転じる見通しで ある。また現状では冷蔵庫の世界需要は頭打ちで、国産冷蔵庫の輸出状況も 200 億円 程度で大きな変化は見られないが、輸入が急速に伸び、国産冷蔵庫の生産は大きく減 少している(図表5-8)。 図表5-8 冷蔵庫の世界需要は頭打ちで輸出は増加せず (資料)日本電機工業会『白物家電5品目の世界需要調査』、財務省『貿易統計』 実際に、冷蔵庫の国内生産台数は減少しており、2004 年の 300 万台から 2016 年には 186 万台まで生産が縮小している。今後も減産基調は続くものとみられるが、2019 年 以降は世帯数も減少に転じることから徐々に減産が加速するだろう。2020 年以降は、 年率5~9%程度の減少が続くものと予測する(図表5-9)。 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000(万台) (%) 【携帯電話生産台数の予測】 携帯電話の国内生産台数 生産台数の伸び(右目盛) 30 25 20 00年代 90年代 16 17 予測 10-14 15 (暦年) -6 -4 -2 0 2 4 6 6500 7000 7500 8000 8500 9000 9500 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (%) 【冷蔵庫の世界需要推移】 台数 増加率(右目盛) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1992 1998 2004 2010 2016 (億円) 【冷蔵庫の輸出、輸入推移】 輸出 輸入 (暦年) (暦年) (万台)

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― 図表5-9 冷蔵庫の生産台数は 2030 年には半分に減少 (注)17 年以降は、社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数将来推計、 日本経済研究センタ ー中期予測(2017)の民間最終消費支出より推計。 (資料)経済産業省『生産動態統計』 ②IoT の進展でコンデンサ数は増加 スマホの国内生産は維持が困難となる見通しであるが、スマホに搭載される電子部 品の多くは日系電子部品メーカーが生産しており、国内の電子部品産業は輸出向けが 好調である。液晶素子やコンデンサ、イメージセンサーなどで日系メーカーが高いシ ェアを維持している。特にコンデンサはスマホ以外にも自動車など様々な電子機器で 利用されており、今後 IoT の普及が加速していけば、コンデンサの生産は 2030 年まで 増加するものと予測する。年率7~8%程度の伸びを維持し、2030 年には3兆個近く まで達する見込みである(図表5-10)。 図表5-10 固定コンデンサ生産個数は 2030 年に約 3 兆個へ (注)17 年以降は、日本経済研究センター中期予測(2017)の日本の GDP 成長率より推計。 (資料)経済産業省『生産動態統計』 ③各社が医療や車載、IoT 向けデバイスを中心に取り組みを強化 第4次産業革命を目前に控えた中で、エレクトロニクスを取り巻く環境は再び大き -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500(万台) (%) 【冷蔵庫生産台数の予測】 冷蔵庫の国内生産台数 生産台数の伸び(右目盛) 30 25 20 90年代 00年代 10-14 15 16 17 予測 (暦年) 0 3 6 9 12 15 18 21 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5(兆個) (%) (暦年) 【コンデンサ生産個数の予測】 コンデンサの国内生産個数 生産個数の伸び(右目盛) 90年代 00年代 17 20 25 30 予測 10-14 15 16

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― 既存の優位性とのズレにいち早く対応しなければならない。今、ビッグデータやクラ ウド、ブロックチェーン、自動運転など、新たに様々な領域で破壊的なイノベーショ ンが進みつつある。競争のプラットフォームが変わり、既存製品に代わる新たな製品 も多数生まれるだろう。そこでは、これまで積み上げてきた技術やノウハウが通用し なくなる。アイデアや技術に優位性があるうちに市場が必要とする技術を見極め、抽 出することで、標的とするカテゴリーで自社が新たなプラットフォームを確立してし まわなければならない。そのためには、得意分野への集中を強化すべきだ。既に総合 電機メーカーというカテゴリーは意味をなさなくなりつつある(図表5-11)。 図表5-11 各メーカーの強化分野 (資料)各社有価証券報告書より作成 家電メーカーも得意分野への集中を進め、特定分野においてグローバル市場での存 在感を高めようとする動きがみられる。例えば、パナソニックは燃料電池の領域で技 術の標準基盤を築き上げようとしている。またソニーはカメラモジュールと VR(バー パナソニック ・連結子会社の車載用ミラー・ソフトウェア技術を活用し次世代システム開発強化。 ・車載電池は日米中3極での生産体制を拡充。またデバイスでは車載・産業向けへのシフトを加速。 ソニー ・モバイル向けカメラモジュールの強化及び、IoT分野の新規領域開拓とPS4のエコシステム・VRコンテンツの拡充。 ・スタートアップ企業への資本参加を通じた人工知能技術開発。 シャープ ・家電メーカーからIoT企業へ転換(「AIoT戦略推進室」と「8Kエコシステム戦略推進室」を新設)。 ・独自商品・特徴デバイスの創出と販売強化。中国に家電研究開発センター開設。 日立製作所 ・社会イノベーション事業のグローバル展開を加速。 ・IoTプラットフォームLumada(ルマーダ)を活用し経営課題解決支援及び、人工知能等中長期的な強化分野の開拓。 富士通 ・ビッグデータ解析とセキュリティ強化によるテクノロジーサービス及びクラウドサービスの提供。・医療分野でのAI技術の実装。 三菱電機 ・発電機、交通システム、昇降機などの基幹製品の競争力強化とFA及び自動車機器、パワーデバイス等の増産強化。

NEC ・AI、IoT領域での技術ブランド「NEC the WISE」の立上と協業、産学連携強化。

・データサイエンスとICTプラットフォーム技術及び、サイバーセキュリティー、IT事業の強化。

ルネサスエレクトロニクス ・自動車、産業向け事業強化(パワーマネージメント関係の強化とマイコン、アナログ、パワー半導体のセットを提供)。

アルプス電気 ・車載市場とモバイル市場を収益の両輪とする(車載、モバイル、EHII市場に注力)。

・センサと通信モジュールの融合、スマホ融合型商品、Human Machine Interfaceの比率向上。

京セラ ・ハイエンド端末向けと車載関連注力。 ・M&A、協業による通信、車載、エネルギー、医療市場での業容拡大及び融合ソフト開発強化。 日本電産 ・「精密小型モータ」「家電・商業・産業用製品」「車載用製品」での基盤確立(素材、工法、ロボット、自動化設備の先行具現化)。・スマホ高機能化(5G)と車載電装化進展に伴うコンデンサ需要増による成長。 ローム ・自動車関連市場、産業機械関連市場(京都で医療機器開発)、海外系顧客への販売強化。・デジタル制御内蔵のIC、多機能LEDドライバIC等デジタル技術の融合及び、センサ関連デバイスのラインアップ強化。 オムロン ・FA、ヘルスケア、モビリティー、エネルギーマネージメント事業強化。 ・IoT、ロボティクス分野でのコア技術の確立と画像センサ制御コントロールの親和性強化 (画像センシング技術のカメラモジュールとの一体化) TDK ・センサ事業を強化(国外センサ関連会社の買収と組織統合を実施)。 ・ICT、自動車、産業機器、エネルギーを重点事業(クアルコムと合弁会社を設立しIoT市場での製品開発加速) 村田製作所 ・自動車、エネルギー(ソニーより電池事業譲渡を受けエネルギー分野の中核に)、医療分野に注力。 ・センサ通信技術を融合したIoT向け新製品開発(データセンタ等における新製品開発)。 ディスプレイメーカー ジャパンディスプレイ ・OLEDディスプレイ技術確立とVR、医療、教育、産業用モニター等、新規市場への応用展開。 ・ノンモバイルディスプレイビジネスの生産比率50%目標と有機EL、シートLCD等の次世代技術開発。 東京エレクトロン ・有機ELディスプレイ製造装置の開発。・東京エレクトロン山梨(株)と東京エレクトロン東北(株)を統合。 SCREEN ・エネルギー、検査計測、ライフサイエンス、プリンテッドエレクトロニクス分野での成長。 ・車載用パワーデバイス、MEMS製品向けの200mmウエハー以下での装置の高機能化。 アドバンテスト ・非メモリ半導体用テストシステムの販売強化。 日立ハイテクノロジーズ ・科学医療システム、電子デバイスシステム、産業システム分野の強化。 ・インフラと2次電池等の産業インフラの一体運営による事業強化。 部品メーカー 製造装置メーカー 家電メーカー

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― チャルリアリティ)の領域での基盤を確立する動きがみられる。そして、このような 得意分野への集中の後に必要なことは、得意分野を核とした多角化だ。現在、最終製 品事業は厳しい状況にあるが、日系メーカーは電子部品をアップルやサムスンなどの メーカーに供給している。今後 IoT のけん引役となる自動車や医療関連でも最終製品 の核となる機能を持った部品の開発が必要だ。部品メーカーにはセンサ技術の優位性 を生かし、センサと通信技術の親和性を強化して融合させる動きがみられる。このよ うにモジュール化した環境下で、いかに世界標準となる共通仕様を提供できるかが重 要だろう。イノベーションを技術革新と捉え、独自の技術を深化させることで高付加 価値化された製品を開発する発想を転換し、M&A なども活用して必要な技術を確立し、 選択した集中領域を組み合わせる多角化を行うことで、得意技術同士を結びつけ、的 確に市場ニーズを反映させた、新たな価値を作り出す必要がある。 <予測方法について> ・メモリの生産個数:実績については、経済産業省の生産動態統計の生産個数を採用。 サンプル期間は 2000 年から 2016 年までとした。2017 年以降に ついては、日本経済研究センター『第 44 回中期経済予測』の世 界経済成長率の伸び率より算出した。 ・携帯電話の生産台数:実績については、経済産業省の生産動態統計の生産台数を採 用。サンプル期間は 1993 年から 2016 年までとした。2017 年 以降については、社会保障・人口問題研究所の日本の将来推 計人口(中位予測値)の伸び率、日本経済研究センター『第 44 回中期経済予測』の雇用者報酬の伸び率より算出した。 ・冷蔵庫の生産台数:実績については、経済産業省の生産動態統計の生産台数を採用。 サンプル期間は 1993 年から 2016 年までとした。2017 年以降に ついては、社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数将来推計 の世帯数伸び率、日本経済研究センター『第 44 回中期経済予測』 の民間最終消費支出伸び率より算出した。 ・コンデンサの生産個数:実績については、経済産業省の生産動態統計の生産個数を 採用。サンプル期間は 1993 年から 2016 年までとした。2017 年以降については、日本経済研究センター『第 44 回中期経 済予測』の日本の GDP 成長率より算出した。

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日本経済研究センター 2017.12 産業ピックアップ―第4次産業革命、人口減少下の日本― <参考文献> 泉田良輔(2013)『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』 大西康之(2017)『東芝解体 電機メーカーが消える日』 佐藤文昭(2017)『日本の電機産業失敗の教訓』 総務省(2017)『平成29年版情報通信白書』 西村吉雄(2014)『電子立国は、なぜ凋落したか』 日本経済研究センター(2017)『成長の芽を見出せない日本経済―賃金配分低く 投資 も加速せず―、第44回(標準シナリオ)中期経済予測(2017-2030年度)』 みずほ銀行産業調査部(2016)『日本産業の中期見通し』 湯之上隆(2012)『電気・半導体大崩壊の教訓』 湯之上隆(2013)『日本型モノづくりの敗北』

参照

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