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8章 学びの基本編                   TFUリエゾンゼミⅠ 学びのナビゲーション『    』

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Academic year: 2021

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- 1 - 6章 問題解決 TFU リエゾンゼミ・ナビ『学びと出会い』

1 PBL 授業について

〔1〕なぜ、PBL なのか?

PBL は身近な問題や事例を素材としながら、具体的な問題解決に向け てチーム学習を行っていく学習メソッドです。一般教養・専門分野の系 統的学習の大切さに変わりはありませんが、一方で社会的にも問題解決 が必要となっているようなリアルな問題に対峙し、その解決過程に参画 することで実践的思考を鍛える意義はますます高くなっていると言えま す。PBL は、その求められるテーマに対して、知識、汎用的スキル、態度 を、統合的に展開していくことに主眼を置く学習メソッドと言えるかも しれません。我々は、仮に本や講義で学んだ知識を持っていても、いざ 問題を解決しようとすると、すぐに自分の知識・情報を問題解決に向け て統合・応用できるかと言えば必ずしもそうではないのが現実かと思い ます。その有している知識あるいは不足している知識を補いながら、現 実的な問題解決過程に参加し応用していくには、一定の実践的なトレー ニングが必要になることは経験的にも理解することができます。いま、 PBL 学習に期待されているのは、問題解決に向けたレベルで知識を統合的 に展開していくことをはじめ、チーム内の相互作用の中で、相対的に学 習していくことで他者から学ぶ思考を身につけたり、そのために学習プ ロセスへ主体的・能動的に関わろうとする態度を涵養することにあると 言えます。

〔2〕

PBL とは?

PBL とは、少人数グループによる問題発見解決型(事例解決型、事業課 題解決型)の学習方法といえます。少し補足すると、そのプロセスには、 グループ討議、活動記録の作成、自己学習、成果報告までを含む統合的・ 創造的な学習に主眼を置いている実践形式の学習方法です。一般には、 「問題発見解決型学習(Problem-Based Learning)」や「プロジェクト型 学習(Project-Based Learning)」と呼ばれています。PBL では、学生が 学習の主体であり、教員は学習を支援する立場になります。ただし、教 □本学の教育理念は「行学 一如」です。周知の通り、 その意味は、理論と実践の 融合となります。その教育 方針を実現する一つの教 育メソッドとして、PBL 学 習は位置付けるられるで しょう。 □教育者のJ.デューイは 「自分自身の目で確かめ なくては・・・どのような 手段や方法がとられどの ような結果が得られたか を・・・誰も自分に代わっ て見る事は できないし、言葉で言われ て も 本 当 に は わ か ら な い。」という言葉を残して おり、この言葉からも実践 の重要性が理解すること で き ま す 。 (John Dewey,1938, 「 探 求 の 理 論」) □ファシリテーションの 詳細は、本テキスト第 6 章 10 節「ファシリテータ ーの役割を知ろう」を参照 してください。

5.問題発見・解決型学習(PBL)をやってみよう

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- 2 - 員が必要以上に学習過程に関わらないにしても、一つの区切りとなる学 習の終了時までは、継続的なファシリテーションを行っていくことにな ります。PBL においては、教員は適切な事例問題の提示と基本的な説明、 学生は少人数に分かれたグループ学習を効果的に進めながら、事例問題 の解決を図っていかなければなりません。

〔3〕本学のリエゾンゼミにおける PBL とは?

PBL は様々なレベル設定で取り組むことができる学習メソッドです。 基礎教養やごく一般的で身近な事例問題を取りあげて実際の問題解決に 取り組んでみることから、高度な専門教育を PBL で展開することも可能 です。本学のリエゾンゼミⅠで目指す内容は、前者の基礎的な PBL に位 置付けることができると思います。上級学年で学ぶ PBL の実践的展開(リ エゾンゼミⅡ)・専門演習(リエゾン・ゼミⅢ~Ⅳ)へのイントロダクショ ンとして、あるテーマに基づいて実際の問題解決プロセスをチーム学習 で経験してみることに主眼があると言えます。とりあげる事例問題につ いては、学部・学科の教育特色を踏まえたトピックスの設定や教員の専 門分野の中から、身近で社会的な事例問題を取りあげるなど幅広いテー マ設定での PBL が可能といえます。

2 PBL の基本的構成

〔1〕事例問題の選択・提示・解説

リエゾンゼミⅠで取り組む PBL は、基本的には教員が選択した事例問 題の提示を受け、教員からのファシリテーションを受けながら進んでい きます。しかし、教員は事例問題について、こと細かに知識を教示した り、問題の解決過程に深くかかわる存在ではないということを教員・学 生双方が確認しておく必要があります。あくまでも、PBL における学習の 主体は学生であり、教員は適宜文献・資料の紹介を行いながらファシリ テーションを行っていく存在です。ただし、事例問題の概要や基本的な 枠組みや概念説明については、問題解決過程にスムーズに入っていける よう、ファシリテーターは一定の役割を自覚しなければなりません。こ こでは、事例の適切な理解、問題点の把握等を通して、全体が共通の理 解にたち、グループの議論に入っていけるような工夫と配慮が必要にな ります。 □PBL 学習は、医学・看護 教育においては、専門教育 の中にとり入れられてお り、その意義と可能性につ いて認識が広がってきて いるのが現状です。

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〔2〕自己紹介・コミュニケーション

PBL を進めていく上でメンバー間の関係の質を高めることは学習を効果 的に進めていくうえでも不可欠な要素と言えます。関係の質を高める方 法は、様々ありますが、本リエゾンゼミテキストでも、「アイスブレーク」 「ファシリテーション」「ワールドカフェ」等、参考になる方法論が解説 されていますので参考にしてほしいと思います。ここでは、全体的かつ 基本的な留意事項に関して列挙することに留めたいと思います。①名 前・基本的なパーソナリティはもちろんですが、不安・緊張している自 分の状況等も含めてメンバーに自己紹介できれば、メンバー間の距離感 は縮まるものと考えます。また、提示されたトピックスに対する自分の 簡単な意見等を述べるのも一つの自己表現になるかもしれません。②メ ンバー間で気持ち良く意見を出し合えるような、肯定的な雰囲気作りを 一人ひとりが心がけみることは大切です。③意見が出たならば必ずリア クションを示すことも心がけましょう。

〔3〕自己学習と計画的学習

PBL は、講義の時間内で完結する学習形態ではありません。事例問題の 検討に際して、グループで議論することから始まり、それを記録するこ とで、自己学習の検討材料にしていくことも必要になります。また、議 論の中で明らかになった問題解決に必要な知識や統計資料等の学習資源 を収集分析することや、時間的制約の中で見通しをもって計画的に学習 を進めていくことも大切な要素になってきます。そのためにも、グルー プで行った議論の記録を残し、グループで段階ごとの情報を共有しなが ら、個々の役割分担を図りながら、学習を進めていくことが重要になり ます。

〔4〕成果報告の準備と成果報告

グループで学習した内容について、どのような道筋を経て問題解決に 至ったかを学習活動の成果として報告することは大事な学習プロセスで す。問題解決とは、皆さんの英知の結集を論理的に整除したところに成 立する一つの成果に他なりません。そのプロセスは、周囲に説明するこ とによって客観的な評価を受け、より確かな成果となるものです。もち ろん、チーム内による問題解決過程について、チーム外の皆さんに説明 することは客観性を求められますし、平易で工夫を施した資料づくりを 心掛けることも大切になります。最終段階となる成果報告については、 □アイスブレークの詳細 については、本テキスト第 5 章 6 節「アイスブレーク をやってみよう」を参照し てください。 □ワールドカフェの詳細 については、本テキスト第 6 章 1 節「ワールドカフェ をやってみよう」を参照し てください。 □慣れないとは思います が、みんなで積極的に議論 をしながら、その中で他者 と恊働で学びを創造して いくという行為は、とても ダイナミックな行為です。 いま改めて学生に求めら れている学びは、PBL を通 しての問題設定とそのプ ロセスにおける議論を通 して社会における学びを 経験することと言えます。 □プレゼン資料作成の詳 細については、本テキスト 第 4 章 3 節「パワーポイン トで発表のスライドをつ くってみよう」を参照して ください。 □プレゼンテーションの 詳細んついては、本テキス ト第 3 章 10 節「プレゼン テーションをやってみよ う」を参照してください。

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- 4 - 問題解決及びその過程のまとめ、プレゼン資料の作成、プレゼンテーシ ョン、他者からの評価・フィードバックを得るという学習の重要なプロ セスということになります。

3 PBL の基本的な進め方

基本的には、下記の図「PBL 実施手順(参考例)」①~

⑥に沿って進めていきます。以下、要点をあげ概説します。

〔1〕1回目の講義

イントロダクションにおいて、PBL について基本的な説明を行います (1 PBL 授業について〔1〕-〔3〕参照)。また、講義スケジュールと講 義内・講義外で必要になる学習について、さらに①~⑥の各段階の意義・ 内容・評価ポイント等について説明を行います(2PBL の基本的構成〔1〕 -〔3〕参照)。4 人から 6 人程度でグループを編成した上で、問題事例の 提示・解説を行い、グループの議論に移ります。(ここまで 30 分程度) 各グループの討議状況を見ながら、必要に応じてコメント・ヒント等で 適宜ファシリテーションを行うと効果的です。あくまでも、教員は学習 を支援する立場ですので、「なぜ、そう考えるのか」、「なぜ、そう言える のか」等の質問や説明を求めながら思考を前進させるような関わりが必 要になってきます。教員はファシリテーターとして、効果的な質問をし ながら、議論を促進したり、問題点を明確化すること、また行き詰って いるチームにヒントを出していくことなどが求められます。

〔2〕2回目以降の講義

事例問題を討議したら、記録することを通して、議論を整理・要点化 して、自己学習で行う作業を明確化する必要があります。また、議論の 内容を丁寧に記録することで、情報を蓄積していくだけではなく、その 後の作業を効果的に進めていく上で有益な情報としてまとめていくこと が重要です。自己学習とグループの議論、教員からのコメント・ヒント の繰り返しの中で、問題解決に向けた議論内容がブラッシュアップされ ていきます。その意味では、方法によって、全体の知的創発が起こるダ イナミックな場面と位置付けることができると思います。

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〔3〕教員からのフィードバックと評価

基本的には、問題事例の提示(問題の理解・基本概念の理解)を行え ば、実際の問題解決に向けて議論を開始します。ここで重要なのは、問 題全体の構造的理解であり、時間的な制約がある中での PBL になるので、 ある程度は教員の関与が必要になります。事例問題の概説、基本情報の 提供、基本概念の解説など、議論が適切に方向づけられるようなファシ リテーションが必要になります。また、議論の様子を見守りながら、適 宜時間をとり、コメントやヒントで議論を活性化することも必要になっ てきます。 PBL実施手順(参考例) ④ 自 己 学 習 ⑥ 成 果 報 告 ① イ ン ト ロ ダ ク シ ョ ン ② 問 題 事 例 の 提 示 ③ グ ル ー プ セ ッ シ ョ ン 問 題 事 例 の 解 説 ・ 基 本 概 念 等 の 説 明 討 議 に よ る 問 題 点 の 抽 出 と 解 決 策 の 検 討 ③ の 記 録 作 成 ・ 情 報 収 集 ⑤ グ ル ー プ セ ッ シ ョ ン ④ の 報 告 ・ 再 討 議 ・ ま と め 問 題 解 決 ・ 課 題 の 提 示 ・ 4 人 ~ 6 人 単 位 の チ ー ム づ く り ・ ① ~ ⑥ の プ ロ セ ス と 基 本 的 マ ナ ー の 説 明 ⑤→④→⑤は事例問題の難易度、進捗状況に よって要調整※何度か繰り返す場合が多い 15分程 15分程 20分程×2 <第1回目の講義> <第2回目の講義> ↓ <第3回目の講義> ↓ <第4回目の講義> グループの議論を記録に残していくよう、 メモ作成についてはみんなで分担しよう。 思いがけない発見や解決策 が出て、ワクワクするわ。 グループ学習といっても、共通する大事な点 については、みんなで考えることが大事だよ ね。 何が問題の本質なのかをグループで しっかり議論することは大切だね。

参照

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