Japanese Physical Therapy Association
NII-Electronic Library Service
Japanese Physioal Therapy Assooiation
理 学 療 法 学 第11巻 第 6Ptt
351〜354
頁 (1984
年) (351
>症 例 研 究
ス フ゜リ
ント
を
用
いた
小 児 片 麻 痺
の つま み
動 作 訓 練
3
症 例
の経 験
一
一
.
一一
*米
田
稔
彦
* *一
馬場
喜
子
* * *・
中村
佳 枝
城 門 彰子
・尾
道
一
朗
1 .
は じ め に 手 指の ブル ソ ス トロー
ムス テー
ジ が3
ない し4の 小 児 片 麻 痺 患 者で は,
手 指の実 用 的 なつ ま み動 作は でき な い 。 そのため , お は じきやビー
玉な どをつ まむ 動 作 を 健 側手のみで行お う と し がち で あ り,
学 校や保 育の揚面に お い て も支 障をきたすこ と が多く あ る。
これ らの患 児に できるだけ 患 側 手でつ ま み動 作を行わせ ようとする目的 でス プリソ トを試 作t ,
有 効と思わ れ たの で考 察を加え て報 告す る。 皿.
ス プ リン トの概 要 試f
乍した スプ リソ ト は,
指 腹三点つ ま み (palmar tripodpinch or 魚エee
jaw
chuck grip) を 可 能にする 目的で母 指を対立位に し,
母 指 IP鬨節を伸展位に保つ た めthumbpostを長 くし た短また は長 対 立ス プ リン トに
,
示 指・
中 指の PIP 関節 とDIP
関節の屈 典を制限する ための fingerpieceをつ け加え た ものであ る (図
1,
図2
)。1
【[.
症 例 適 用し た症 例は3
症 例である。
利 ぎ手はすべ て府で,
年齢はス プ リン ト製 作時の もの で ある。 症例1
;8
歳 男 子 。 昭看「55
年 5 月25El,
入浴 中 右上下 肢の運動障 害と構 音障害が 出 現,
両 側 内頸 動脈 閉 塞に よ る右 片 麻 痺と診断された。 6丿弓24日,
理 学療 法 開始。
葱 識は清明,
全身 状 態は 良 好で,
感 覚障害お よ び高次 脳機* Pinch Training wi しh Splint for Hemiplegic Children
−
Report on 3 Caseg.
一
一
* *大阪大学 病院理 学療 法 部
Toshihlko Yeneda
,
RPT ; Osaka University Hospita1,
* * *
門 真 市立 くすの き 園
Yoshiko Baba, Yoshie Nakamura , Akiho Kido
,
IchiroOnomichi ・ Kusun 。ld
−
E1} 。f Kad 。ma City、
能 障 警は認め ら れ な かっ た。 右上下 肢の運 勁 機 能は ブル ン ス トP
一
ム ス テー
ジ で上肢 3,
下肢 3,
手 指 3で あっ た。 移 動は車 椅子に よ る 状態であっ た。 7月3
日,
独 歩 可能と な り, 7月25
日に は轢度の介 助にて階 段 昇降 可 能 と なっ たが,.
E
肢 機能に関して はあま り改善が みられな かっ た。
7 月29目,
人 阪 大学 脳神経外科 に て浅 倶II頭 動 脈・
中 大 脳動脈 吻合術 施行。 術後8
月14
口の時 点で ブル ン ス トP一
ム ス テー
ジ は上肢4,
ド肢 4,
手 指4 であ 図 1 図 2 N工 工一
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(
352
) 理 学 療 法 学 第11
巻 第 6号 り,
手 指の握 り動f
乍はhoek
graspの形で の同時 握り と 横つ まみ が可 能で,
随 意 的 手 指 伸 展は不可 能であっ た。
同 日ス プ リン トを 試作して指腹三点つ ま み動 作の訓練を 醐 始し た。
症 例2 : 5歳 男 子 。 昭 禾「.
55年10
月22日,
TIA 発 作 後1
悩 梗塞に至 り左片麻痺と な る.1
月310
, 理学 療 法 開始。 意 識は清明,
感覚障害は軽度であっ たが,
心疾患の合 併 が あ り,
安 静 時 呼 吸 数66/分,
脈 拍ユ44/分,
さ らに手 足 の指先に はチ ア ノー
ゼ が み ら れ,
全身 状態は 良好で は な かっ た。
筋緊 張は 上肢は 弛緩性,
下肢は.
見か けの弛緩 性 (quasifiaccidity) を 墨 してい た。
運 動機 能は 反 射・
「柴に 共 同運 動が わずか に出現 する程 度で,
随 意 運 動は み ら れ なか っ た。
/1fil1B,
傾 斜 台で の起 立 訓 練 開 始。 こ の頃 よ り上 ド肢とも筋 緊 張 が 亢 進し て きた。
11月28H,
ス プ リン トを試 作して 指 腹三三点つ ま み 動 作の 訓練を開 始し た。 こ の時 点で は ブル ン ス い ・一
ム ス テー
ジは 上肢,
下 肢, 手 指と も3で,
手 指の握 り動作は全指同時 握りのみ が 可能であっ た。
さ らに,
手 関 節 馗 筋お よび 手 指 屈 筋の rigospasticity のため, 手 関 節は常に掌 屈 位, 手 指は軽度 屈 曲し た状 態であっ た。
症 例3 : 6歳 女 子。
昭和52年7 月 6E[,
痙 攣発 作 を 起 こし意 識不明と な る。 意 識 回復後,
右 片 麻 痺が顕 著に認 め ら れ た。
診断 名は 左内頸動脈 狭 窄に よる右 片麻痺であ っ た。 9月21 }1,
門 真市 立 くすのき 園に て 理学 療 法 開 始。 意 識は覚 醒 状 態で あ る が, 外 界に対 する注 意 力が著 し く低 下 して お り,
動 作に対 する意 志 発 動の障 害がみ ら れ た。
右一
ヒ下 肢 は痙性麻痺 を 呈 し,
内 反尖足 が著明で,
右上肢は廃 用手の状 態で あっ た。 移 動機 能と し て は介 助.
に て膝歩きがど うにかで ぎ る 程度であっ た。
以来,
同施 設に て機 能訓 練 を続 行し,
昭和53 年 2月には SLB 装着 し て独 歩が 可能と なっ た が, その後, 經攣発 作や感染症 な どに よ り一
進一
退 を繰 り返し た。
昭和57年2
月の 時 点 で は,
右 片 麻 痺 は すでに ブラ トー
に達 して お り,
精神 発 図.
3
達遅滞が み ら れ, 動 作全般にわ た っ てhypoactive
で,
運 勁 機 能は SLB 装 着で の独歩が 叮能な 程度 で止ま ワ て お り,
右上肢は ほ ぼ廃 用 手の ま ま であっ た。 ゾル ン ス ト卩一
ム ス テー
ジ は上 肢3 , 下 肢3,
手指 3で,
手 指の握 り 動 作は連 合 反 応を伴っ た全 指同時 握 りの形で あっ た。 上 下 肢の運 動は急激で,
やや失 調 性であ り,
固 有 感 覚 障 害 が ある よ うに思 わ れ た。 右 痙 性 片麻痺と意 志 発 動障害に ょる手 指のつ まみ動 作障害の改善を 目的と して,
ス プ リ ン ト装 着での 指腹三 点つ ま み 動 作の訓 練 を 開 始 七た。
N.
結 果 症 例1
で はス プリン ト装 着に よ り,
お は じきやボー
ル ペ ン を指 腹三 点つ ま み の形で保 持 するこ と が 可能と な り (図3,
図4),
さ らに release の訓 練も行うこと がで き た。
10日間の訓 練に よ り,
ス プ リソ ト装 着で の 詞点つ ま み と release に若干改 善がみ ら才した。
こ の ことは,
患 児 が麻痺のある手指に対し て 関 心 を 向 ける こ と に役 立っ た。
当初 患 児はつ ま み動作の 訓練に興味を 示 し,
好ん で 訓練を 行っ た が,
日常生活でり実用 性 が ない た め,
その 興味を 長続きさ せ る ことは 圏難であっ た。 図 4 図5
N工 工一
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ス プ リソ トを 用いた 小 児 片麻 痺の つ まみ動 作 訓練 (353) 図 6 図
7
図 8 症 例2に お い て も三 点つ ま みは r7∫能となっ た (図5) が,
動 作は手 関 節が掌 屈し て しまい,
屈 筋の 力が有 効に 働かず,
保持 力の低下 が み られ た。
その ため長 対 立副子 に作り換え たが,
確か に保持力は強 くなっ た もの の,
屈 筋を弛 緩させ て の reiease の訓 練は困 難となっ た (図6)。
症例 3で は 三点つ ま み (図7 :カ メ ラの キ ャ ッ プをつ まん で いる)や筒 握 り (図8
:棒 状の飴を握っ てい る) が可能と なっ たこ とに よ り,
患児が麻痺 してい る手 指に 興 味をもつ ようにな り, 訓 練に対して積 極 的に なっ た 。 その結 果, 動 作に対す る意 欲づけの効 果 も伴っ て,
上肢 全体の運 動も活 発と な り,
柄を太 くし たフ ォー
クやパ ン を 握っ て 口まで運べ るよ うにな り, 実 際の食 事 渤 作にお い て改善がみられた。 陳旧例であること や精 神発達遅 滞 がみ ら れ ること か らの予 測に反し て, ス プ リソ ト使 用が 最も有効であっ た症例とい え る。V .
考 察 こ の ス プ リン トは他 動 的に 想 指 を対 立 位に伸展保 持し
,
示指とIir指の PIP 関 節とDIP 関節の屈 曲を制 限 することに よ り, 手 指の外 来 属 筋 (extrinsic
flexors
) の共 同運 動 性の収 縮 力を力 源と して指 腹三 点つ まみを可 能1こ しよ うとするもの である。 し た が っ て, 適 応は手 指の ブ ル ン ス ト卩一
ムステー
ジ が3
に達した 片 麻 痺で,
手 指の 関節に拘 縮 がない症 例で ある。
た だ し,
手指屈筋群の筋 緊 張が高く,強度の痙性あるい は固 縮 痙’
「生(rigospaSticity ) を 呈する 揚合は適応 とな ら ない 。 そ の 理由は, 筋 緊 張 が高 すぎ る 場 合,
ス プ リソ ト に よっ て 手 指 を 他動的に保 持 するの が困難であり, もし保持で きた と して も, つ ま み動作の 準備とし ての手 指 屈 筋の リラ クセー
シ ョ ンが で き ないため,
訓 練が不 可能と な る か らであ る。
ま た症例2
の よ うに心疾患の合併があ り, 全 身 状 態の良好でない 症 例で はあまり効 果は期 待で きない。
症例 1の場合,
最初患児はつ ま み勤作訓練に興 味を 示 した が,
そ れ を長 続 き させ ることは困難であっ た。
その ため,
患 児の好 む もの を用い ることや,
実 際の動 作に結 びつ けるよ うな工 夫が必 要で ある。 症 例3
で は,
患 児の 好 む 棒 状の飴 やパ ソを用いた り , 実 際の食事で フ i一
ク を 握る動 作に お い て ス プ リン トを使 用 させ る ことに よ り,
訓 練 効 果を上 げる こと がで きた。
こ の こ とか ら,
こ の ス プリン トに よ る訓 練は,
つ まみ動 作や握 り動 作 を行 わ せ ること を通し て麻 痺 側の手 指に対 する関心 を高め る とい う役 割が 大 き く,
そ れゆえ, 精 神発 達 遅 滞や固 有 感 覚障 害な どに よ り運 動障害を麻 痺の程 度 以上に大 き く見 せ て い る症例に おい て よ り効 果的である と考 え られ る。
小児 片 麻 癖におい て は多か れ少な か れ麻 痺 側を無 視 す る とい う傾 向 があり, そのため にも 両手 動 作の訓 練が大 切である が,
その際こ の よ う なスプ リソ トを用いて患側 手 指の勤 作を少しで も 容易に し て お くこと が有 益で あ る と考 えら れ る。W
.
ま と め 1) 小 児 片 麻 痺3
症 例に対 立ス プリン トを 装 着 させ,
つ ま み動 作 訓 練を行っ た。
2) 適 応は手 指の ブル ソ ス ト v一
ム ス テー
ジが 3に達 し, 関 節 拘 縮がな く,
筋 緊 張の あま り高 くない症 例であ る。
3
) こ の ス プ リン トに よ る訓 練の主 な効 果は, つ ま み N工 工一
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(354)
nv\'ttwtt;t'ifi
ee11XIee6{}
'
ent?igmaLbCexpt"l="IIrt'6,e.IEOeeJdhl}rrr.bb6at
℃ 2) Malick,M.H.: Manual on Dynamic'
to
igo
ing
with Thermoplastic Materials(2nd
ed,),
・,
rmarville RehabilitationCenter,Plttsburgh,1979.as
g
N
wt
3)Malick,M,H,:
Manual on StaticHandSplinting'1,) Brunnstrom,S.
Cdel<.riHesma'
'ff},Nrwc''ffix):
JtAilfi(4th
ect,),Harmarville
RehabilitationCenter,OmethasN;,
warva'811Ik"za,
1974,
tsburgh, 1979,
<Abstract>
Pinch
Training withSplint
forHemiplegic
Children.
Report
on3
YONEDA,
T. et al.'
Hemiplegic children vrhese Brunnstrom Reeovery Stageof the Hancl
is
3cr4
can not perforrnticalpinch rnovernents. So they are apt to pinchobjects such as marbles, glassbeadsand othes by the
unaffected hand onLy and to
disregard
thefunc'tienal
capacity of the atTected hand. And then they wiil
have
troubles in activlties of schoolliving
and inplayingwith other children,'
Vkreconducted the pinehtraining
by
using an oppenens splint t'orthree hemiplEqic.children Theyshowed bettermentof pinch movements by wearing the splint and were motivated to the functional
ing of the affeeted upper limb,This training with splint should beapplied tothe ease whose Brunnstrom. Recevery
Stage
of theHand
hasattained 3at leastand that has nojoint
contractures of hand and fitigers. without too much hypertonicity.The main effect of this training with splint isto enhance the child'sterest on activities performed by the atTected
hand
through pinch movements.Two-hand activity training islmportantinthe mcvernent therapy of hemiplegicchild, Itisconsiderecl.,
useful as a preparatory training to two-hand activity to faclLi±ate finemovements of the affected