• 検索結果がありません。

縮小社会の“もうひとつの住まい方”

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "縮小社会の“もうひとつの住まい方”"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)54. 特集:人口減少時代の環境デザインを考える. 佐々木美貴 Sasaki Miki 愛知県立芸術大学. Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music. 第二部:活動報告. 縮小社会の“もうひとつの住まい方” 空き家の福祉活用 “Alternative Housing & Living”in a Shrinking Society:. Utilization of Vacant Homes for Welfare. 1.縮小社会で次を考える「もうひとつの住まい方」 1.1. はじめに. 2015年日本は人口増加の成長期に終わりを告げ人口減少社会へと変化し. た。縮小を続ける社会での課題の一つに、「人の住まない家」すなわち「空 き家」の増加がある。空き家による街に生まれる点々とした空洞化は、地域 の安心安全を脅かしている。今回の特集号「人口減少時代の環境デザインを 考える」では、2005年の設立から、人口減少・超高齢社会の住まい方につい て研究し提案をまとめてきた「もうひとつの住まい方推進協議会(以下、. AHLA)」(筆者が幹事・事務局を務める)の調査成果から報告する。AHLA. は、「住まい」を住む場だけで捉えるのでなく、共生・共同による“新しい” つながりを基軸とした地域社会を構築する「もうひとつの住まい方」を提示 し、社会状況の急激な変化の中で、縮小社会における「住まい方」の重要性 を社会に問い・発信してきた[注1]。 拡大し続けてきた社会が作り出した効率化のためのシステムが核家族化で ある。それは結果として多数の世帯を作り出した。その結果縮小する社会で は、人口が減るのと共に、家族がいない高齢者の一人暮らしの割合も増えて いく。その増加は、高齢化社会として地域でのコミュニティの崩壊も意味し ている。これからは、住まい方を見直すことで、人間本来のつながりを持っ た地域として縮小していく事が必要不可欠と考える。その「新しい住まい 方」の研究から、およそ100の活用事例を AHLA はこれまで社会に紹介して. きた。その中で近年、福祉を考慮した空き家活用も見られ、それは街の縮小 に合わせた「まちづくり」に大いに貢献している。その中から、地域を活性 化させる3事例を取り上げる[注2]。. 1.2. 事例 ─ 利用できなかった空き家・空き室を ─. 1つ目は、巨大団地の空き室利用で介護施設を開いた事例。団地全体を町. として考え、様々な仕組みを展開して、高齢者、子育て世代、すべての人の ケアを団地のみんなで担う。2つ目は、2階建て賃貸アパートをリフォーム 図1 パークサイド駒寄. 1)小林秀樹:縮小社会における都市・家族・住まいのゆ. くえ ─ J-Stage,住総研,研究論文集 No.38,2011年版. 2)認定 NPO 法人まちぽっと:空き家の福祉活用事例ガ. イドブック ─ ,H30年度国交省空き家対策の担い手 強化・連携モデル事業. して、障がい者のグループホームへの転用事例である。障がい者の方々に は、親元を離れ自立した生活を歩むための場所が不足している。老いた保護 者たちは、自分たちの死後の子どもの行く末をいつも気にかけている。その 要望に答えながら、地域で障害を持つ子達を見守っていく仕組みづくりを考 えた、賃貸アパートの障がい者グループホームである。3つ目は、江戸川区 の社会福祉協議会が区内9カ所(将来は15カ所)に設置した「なごみの家」.

(2) デザイン学研究特集号  Vol.28-2 No.104. である。商店街の空き店舗活用と居場所作りをあわせ持ちながら、国が提唱 する地域共生社会を構築するために、地域の課題と人々の連携をつなげなが ら、まちづくり、まち育ての取り組みとなっている。 この3つの事例は、今まで、空き家活用でも見過ごされていた物件にも、 利用の光が差してきたことに重要な意味がある。福祉からの空き家活用で、 地域社会へ与えるインパクトは大きな流れを作り出している。今後の展開を 考察し報告する。. 2.団地の空室が介護施設にもなる!「ぐるんとびー」 2.1. 全国初. 湘南ライフタウン(1992年に建築家の黒川紀章氏が都市計画)に位置する. 「湘南ライフタウンパークサイド駒寄(UR 都市機構) 」は総戸数239戸の11 図2 ぐるんとびー 入り口付近. 階建て賃貸マンションである。2015年8月に、日本で初めて団地のひと部屋 を小規模多機能ホームに改修して小規模多機能型居宅介護事業を展開する. 「ぐるんとびー駒寄」が開設した。周辺にはエレベーターのない5階建て賃 貸マンションが多く、シングルマザー等が多く住んでいる。一方で、「ぐる んとびー」のあるマンションにはエレベーターがあり、既住者の高齢化に加 え、高齢者の引越が多く、高齢化率90%くらいである。そんな現代の日本の 社会課題の縮図のような地域で、「ぐるんとびー」は、地域の子どもから高 齢者まで、関わる全ての人が健康になる、最後まで地域で無理せず暮し続け られる、地域コミュニティに根ざした新しい介護事業を目指している。当初 マンションの空き室を開設のために改修したのは床の張り替えのみ。壁は自 分たちで塗り替えるなどして初期費用は最低限に抑え200万円ほどである。. 2.2. 団地が1つの町会に. 3LDK、93㎡の一室にオープンして2年が経過した2017年時点で、利用. 者29名が登録し、そのうち通い15名泊まり5名という。スタッフは、看護師 図3 ぐるんとびー 内部. 4名、理学療法士3名、作業療法士2名、ケアマネ3名を含む常勤11名、非 常勤21名で運営している。このうち子育て中のシングルマザーが半数以上と いうのが驚きだ。代表の菅原健介さんは、「利用者は要支援1から要介護5 の人だけでなく、子どもから高齢者まで団地の住民みんなだととらえてい る。」現状の日本の介護施設は、そこで何かをやらせるのが大半を占める中、 「ぐるんとびー」では、これまでの生活を助けるのが本来の介護であると、 施設利用者の趣味の活動を続けられるようにサポートすることを重視してい る。買物ができなくなったら、そこで買物できるように手助けする。その人 と街をつなげていきながら、生活の中で身体機能の改善をみてあげること。. 図4 右が菅原さんと利用者、スタッフ. それが、本来の小規模多機能の介護施設の役割と考える。「私たちが、小規 模多機能で目指しているのは、[みんなで一緒に]なので、3ヶ月の赤ちゃ んも出勤。仕事作業中のお母さんが、場合によっては、利用者さんも連れて 自宅に洗濯物を取り込みに行く。近所の子ども達も来て、自分の子も来る。 それを(要介護の高齢者も含めて)みんなが見てくれる。高齢者の介護を団 地の子どもが手伝ってくれる。そうして介護が日常生活の中でわかってく る。」と菅原さんは話す。認知症になっても、これまでの趣味のフラダンス、 水泳、卓球。ドトールでコーヒーを飲む。など要望はさまざまだが、その人 のやりたいことに寄り添って、残りの時間を楽しく有意義に暮して、自分ら. 図5 プールの利用 図提供:(株)ぐるんとびー. しく生きて日々をおくる。. 55.

(3) 56. 特集:人口減少時代の環境デザインを考える. 2.3. 原点はデンマーク. 「ぐるんとびー」の介護の原点は、デンマークでの中・. 高校での留学の経験から影響を受けている。「ニコライ・ グルントヴィ」とは、デンマーク建国の父。教育者、作曲 家、牧師でもある。デンマークでは、『子どもは国の宝で あり、それは自分たちの老後を支える社会資源でもある』 と捉えて国、町全体としても子育てしている。また、高齢 者ケアでは、胃瘻、食事介助は本人が望まない場合は虐待 になるので行わない。病院でも、食堂は自分で、食事を棚 からとり、食べるものは自分で管理する。自分らしく生き るとは、自分自身も生活共同体の一部として、生き方を含 めて責任を持ち、その中で自由に選択できる意思があるこ とが重要なのである。菅原さんは、日本の現制度の欠点も 指摘する、介護も包括報酬の階層で分けているが、介護の 内容で大変さは分けられない。その人のやりたいことを、 図 6 未来構想図 図提供:ぐるんとびー. みんながサポートできるような体制を作る。例えばプール に行きたければ、プールの運営の人など、それぞれが、助け合うことで、そ の負担も分けられる。現状の介護報酬を介護度の階層で分ける方式では、個 人の尊厳は極力抑えられてしまい、横並びに同じことをすることになる。そ れを、一人一人の要望を補助する方式であれば、高齢者が、街に出かけ、活 動することで地域全体に活動場所が広がり、利用で地域が活性化して行くの である。またそれは長い目で見れば、高齢者の社会保障費を削減することに つながる。これからの縮小社会では、まちづくりに、互いの公助の考えを用 いた介護で商店、自治体、町会を巻き込み、介護の負担をみんなで分け合う 事で、まちづくりとして地域社会の運営を大きく進展させると考える。 「ぐるんとびー」の2023年未来構想には、団地内での福祉ファンドで介護・. 図7 オルシェ飯山満(はさま)外観. 介護予防だけでなく、御用聞き、託児、食事など多世代向けのサービスが無 料で利用できる仕組みを作り始めている。これが成立すれば、日本中の団地の 空き家と住宅に困っている地域の問題を解決できると菅原さんは熱く語った。. 3.木造賃貸アパートを障がい者グループホームへ 3.1. 孤独死の解消に. 「不動産業で孤独死が何件かあり、高齢の居住者に何かがあっても、我々. は住居不法侵入になるので、住居に入れない。孤独死を防ぐには、1つの建 物に共用のリビングと個別の寝室があれば、出てこなければ誰かが気づいて 図8 オルシェ飯山満 改修後図面 図提供:京葉エステート株式会社. くれる。アパートのグループホーム利用が解決策になる。」京葉エステート 株式会代表取締役の高橋さんが、不動産業をしてお世話になった地域に何か 恩返しができることをしたいと模索した結果であった。. 3.2. 障がい者用グループホーム. オルシェ飯山満(はさま)はアパートをリノベーションして1階は高齢者. 専用シェアハウス、2階に障がい者グループホームを設置している。各階2. DK が4戸ずつの共同住宅既存の間取りを活かし、水回りの効率的な配置に. より、最低限の工事範囲で計画されている。また、左右に水回りが分かれて 配置されたため、2階のグループホームは、真ん中に仕切り壁を設けて男女 を分け、2事業所として運営を行っている。2階建て賃貸アパートは、空き 図9 オルシェ飯山満(はさま)内観. 家率が高い物件の一つでもある。一棟丸ごとリフォームを行い、利用目的を.

(4) デザイン学研究特集号  Vol.28-2 No.104. 変更して、寄宿舎として法人に一括貸をすることで、不足していた障がい者 のグループホームを安価で提供できることになった。また、その見守りも法 人内のスタッフで運営する事ができ、貸主となる大家への負担も軽減され る。障がい者の保護者の老後の不安も解消される。街中で暮らすことがで き、社会の一員となった彼らには、街へ出て活動する自由が得られる。. 3.3. 住居と仕事場のあいだに. 次に高橋さんは、近隣のクリーニング工場で就労している障がい者が仕事. の後に立ち寄る場となる「塚田のなかにわプロジェクト」を計画。ここは、 図10 塚田なかにわプロジェクト第1期. 一時的な安息・快汗と家族の一時的な休息を目的にサービスを提供する。保 護者の日常的な負担を減らすために年中無休で運営する。施設内には卓球 場、ピアノ、パソコン室、と健康のため快汗運動器具を備えている。また、 音楽隊の編成などのリクレーションを通して地域社会への参加につながる長 期的な支援を目指している。 賃貸物件の空き家率が増えている中で、中古のアパート・住宅を一棟丸ご とリノベーション利用して、福祉への転換を図ることは、たくさんの連携を 産み、地域活性を担っている。賃貸物件としての需要が少なくなっている賃 貸アパートの利用方法としては、画期的なものである。特に供給の少ない障. 図11 卓球台、パソコン等を備える. がい者用のグループホームへ利用は待ち望まれていたものである。自立した 住まいと生活に仕事がある。障がい者も仕事と住まいとの両立があってこ そ、安心して生きていける。このグループホームは、彼らも一般の人も何ら 変わりない毎日を過ごせる社会にしたいとの思いを実現させた。さらに、日 常の息抜きも、普通の人と同じく、スポーツをしたり、一人で何かを楽しん だり、そんな時間も今まで障がい者の方達には無かったのだと、「なかにわ プロジェクト」を見て初めて解った。様々な人が共に楽しく暮す日常を作る には、誰もが工夫した考えを実現できる地域社会があることが重要だ。. 4.なごみの家 ─ 地域共生社会構築のための活動拠点 4.1. 地域共生社会づくりを江戸川区流で. 東京・江戸川区は平成28年(2016年)に誰もが住み慣れた地域で暮らせる. ことを目指す「地域共生社会づくり」の拠点として、区内の3カ所に「なご みの家」を開設した。現在は区内9ヶ所に設置しているが、今後、連合町会 の区域を基本に15圏域に広げる予定である。(地域包括支援センター「熟年 相談室」はすでに15の圏域に設置済みである。)今後のなごみの家活用イ 図12 落ち着きのある「くつろぐ空間」. メージは、地域の住民が活動拠点として、集いや、相談、地域活動をその地 域に合わせた方法で作り上げてくことである。ここで注目するのは、事業の コンセプトの一つに「空き家空き店舗の活用」があるため、新規で建設せ ず、商店会などにある空き店舗を、なごみの家として活用していることと、 全てを一気につくるのではなく、数年かけて区内15箇所設置を目指している 点である。それは、まちづくりのために住民と折り合いをつけながら、各地 域の芽を育てていくようなプロセスを踏むことも重要な目的だからだ。. 4.2. なごみの家 開設までの経緯. 2015年(平成27年)8月、2025年までに江戸川区独自の地域包括ケアシス. テムの5つの要素を一体的に構築する為に、福祉部、都市開発部、健康部、 町会・自治会と全庁的に取り組む検討が始まった。その中で、区内に地域の 拠点を設置する考え方に至った。そして、江戸川区独自の地域包括ケアシス テムの意義を以下の4つのポイントにまとめた。. 57.

(5) 58. 特集:人口減少時代の環境デザインを考える. ・住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることを支援 する。 ・高齢者に限らず、障害者や子どもを含む地域のすべての 住民のための仕組。 ・地域の実情に応じて地域の自主性や主体性に基づき作り 上げる。 ・住民が参画して、専門職、関係機関、行政が目的とプロ セスを共有し、めざす「わがまち」の姿を実現する。 この4つの意義から、平成28年5月には、「なごみの家」 を地域包括ケアシステムの拠点として設置・開設すること に至り、その後、地域包括ケアシステムの考え方を包含し た地域共生社会づくりの拠点として運営することになっ 図13 地域共生社会への取り組み 図提供:江戸川区社会福祉協議会. た。. 4.3. なごみの家の活動 ⑴ 居場所・通いの場. 誰もが気軽に集いふれあえ、話ができる地域交流の居場所。また、小学生 から高校生までを対象とした学習支援や、子どもから高齢者まで。誰もが集 える「なごみの家食堂」を実施。 ⑵ なんでも相談 福祉・医療に精通した専門職を配置し、子どもから熟年者まで障害の有無 に関わらず、あらゆる相談に対応。 ⑶ 地域のネットワークづくり 町会・自治会、医療・介護関係者、民生・児童委員、警察・消防などが協 力して、地域の支え合い・助け合いの支援を行い、地域の課題解決を図るた めのネットワークづくりを進める。 なごみの家の運営は、最初の3カ所(小岩、松江北、長島桑川)が社会福 図14 なごみの家 松江北. 祉協議会の直営。残りの6ヶ所(北小岩、鹿骨、瑞江、. 西南部、小松川平. 井、一之江)は社協から民間事業者に運営を委託している。年間委託費は 1ヶ所およそ2,400万円である。. 4.4. なごみの家 松江北. 建物;鉄筋コンクリート3階建て 1階部分使用 延床面積;約97.2㎡ 家賃;237,600円/月 改修費用;8,760,000円. 開所日;平成28年5月. 商店街通りに面した元眼科医院を借り受け、契約上、スケルトンにする前 図15 子ども、高齢者の交流 図提供:なごみの家. にトイレとキッチンは残してもらう。また、誰でも利用できるトイレを増設 したため床面を嵩上げしてスロープが必要となった。改修費用は全体で860 万円程かかった。また、ここの家賃は237,600円/月である。. 予定した開設日に間に合わせるために、急遽工事を始め、近隣からお叱り. の苦情も寄せられた。その後、地域住民の理解を得るために誠心誠意、寄り 添う努力を続けてきている。今は商店街の方が、「なごみの家」でお茶でも 飲んで帰ったら?とお客さんに声をかけてくれるようになった。雪の日に は、両隣で雪かきをしてくれる暖かい関係もできてきた。 高齢者から子どもまでサロン利用が多い。近くの小学校からも放課後、子 ども達がランドセルを家においてからやってくる。校長先生からも「学校で 図16 なごみの家での体操教室 図提供:なごみの家. 見せる顔と地域で見せる顔は違うものですから、気がついたことがあれば教 えてください。」と子どもたちの居場所として理解されている。.

(6) デザイン学研究特集号  Vol.28-2 No.104. 4.5. なごみの家 小岩. 建物;鉄筋コンクリート6階建て 1階部分使用 延床面積;約48㎡ 家賃;165,000円/月 改修費用;4,180,000円 開所日;平成28年5月. 福祉の場所として、小岩の商店街の路面店で、小岩の区民館の前にある駐 輪場の管理人事務所が「なごみの家」に適していると決めた。駐輪場の管理 図17 なごみの家 小岩. 人さん達は、別の空き家に移動して頂いた。改修は壁を張り替えたのとトイ レをバリアーフリーに直し、玄関ドアを引き戸に変えたのみである。施設が 狭く多世代交流は無理で年間子どもは10人ほどである。オムツ替の場所や、 安全なスペースがなく、ここでの交流は難しい。また、個別相談のスペース もないが、個別相談は多数ある。毎月50件程あり、内容も様々で、健康の相 談では、健康診断の通知を看護師に相談、精神的相談では、つらさを話す。 認知症の方が鍵をなくした∼と迷い込んでくる。と多岐に渡る。対応は、ケ. 図18 なごみの家 小岩 百人一首 図提供:なごみの家. アマネ、ケースワーカーに関係者につなぐ。また、関係者による「ケア会 議」を開き、相談者の属性に合わせて、会議メンバーを招集している。江戸 川区から渡される「地域見守り名簿[注3]」を元に、小岩の地域をボラン ティアさんとなごみの家の職員とで「お変わりありませんか?」と御用聞き にお伺いしている。見守り隊は7∼8人で水・木曜日に定期的に行う。何が 不安か聞き、それをフィードバックして、適切な情報を与え、適切なシステ ムにつなげている。不安なことには個別に対応し、 「地域支援会議」を地域 のボランティア、医師、介護事業者、町会、自治会、民生委員、児童委員、 警察・消防などが協力関係を築き、情報共有の為に年間3∼4回開いている。 このサロンの楽々ストレッチ体操の高齢女性(75歳以上)の集まりでは、 ほとんど独り暮らしの方だが、初めてここで会い、友達同士になり、他の日 にはランチをしたり、具合が悪いかと声をかけあうなどを見ると、1つ居場 所があると仲間づくりにつながっている。自主的なグループ(なごみの家の ボランティア中心)に下小岩会館を借りて、居場所「下小岩ほっとサロン」 立ち上げて毎回25名くらい参加がある。1年が経ち軌道にのってきている。 「なごみの家」の波及効果が、徐々に広がり見せてきている。. 5.考察 縮小社会の中、上記の3つの事例から学ぶことは、地域での実情に合った 「住まい方」を作り連携していくことである。その連携から次の事業に発展 させ、大きな仕組みへとつなげているのが、「ぐるんとびーの構想」、「なか にわ PJ」や「江戸川区のなごみの家のプロセス」に現れている。縮小社会. に何もせずに地域格差を待つのではなく、次の一手として「住まい方」を見 直すことが良い契機になる。3者に共通し、眼から鱗だったのが、健常者と 言われる私たちは、飲み屋、スポーツジム、温泉にも気軽にいけるが、障が い・高齢から、諦めなくてはならない事実である。人口が膨張する時代に効 率化の弊害から、街に排除されていた人々がいた。この暗黙にできた約束事 は過去のものにしたい。すべての人をサポートし、みんなが使えるようにシ ステムを創ることで、街の各所の利用が促進され、事業を回して行く「流 れ」が生まれる。また、高齢者、障がい者が元気で街で暮らすことの周辺へ. 3)江戸川区の「地域見守り名簿」の対象は75歳以上の一 人暮らし、障害手帳、重介護の方で、 「見守りをお願い します」と、自ら手挙げ方式で返信してきた方である。 小岩地区で対象は2,300軒. の効果が「社会の循環」という形で現れる。高齢でも、障がいがあっても、 住民みんなが進んで働き、街ごと活性していく自らの「まちづくり」の仕掛 けをその地域の実情に合わせ作り出す知恵がこれからは重要である。. 59.

(7)

参照

関連したドキュメント

関係会社の投融資の評価の際には、会社は業績が悪化

Q7 

むしろ会社経営に密接

夫婦間のこれらの関係の破綻状態とに比例したかたちで分担額

、「新たに特例輸入者となつた者については」とあるのは「新たに申告納税

「海にまつわる思い出」「森と海にはどんな関係があるのか」を切り口に

今後の取組みに向けての関係者の意欲、体制等

また、船舶検査に関するブロック会議・技術者研修会において、