理
学療法学
第32
巻 第1号26
〜
33
頁 (2005
年)骨
・
関 節 系 分
科
会
運
動器
疾患
の
理
学療法
と
基
礎研
究
の
融合
・
接 点
司 会 よ り 埼玉県立 大学 保 健 医 療 福 祉 学 部 中 山彰一
我 が 国 で.
国 民の 最 大の受診率を占め るの は疼 痛 性運動器疾 患であ り.
特に 介 護 費 用 面 か ら も 虚 弱 高 齢 者の 介 護 度の重 度 化 には疼 痛性 骨 関 節 疾 患か最大の要 因であ る と さ れ.
介 護 軽 減・
予防 と医 療 経 済 面 か ら骨 関節 疾 患へ の理 学 療 法の効 果 的戦 略 を協
会 挙げ て取り組 まね ば な らない、
.
世界 各国 も 同様 な課 題 か ら【
運動
器の ユ0年】
世界運動が,
国連 とWHO
主 導の も と,
世 界 約90
ヶ国で ス ター
ト し た.
.
そのよ うな 背 承か ら骨・
関 節系
分 科 会の メインテー
一
マ は 「運動 器疾 患の理 学 療 法と基礎 研 究の融 合・
接 点一
2 と し,
理 学 療 法i
/の 視 点 か ら6
領 域 につ い て検 討し たcj 丶沖出 実 氏 は 結 合 組 織の基 礎 研 究の観 点 か ら拘 縮 に 対 す る理 学 療 法 効 果 をCPM
と超 音 波 使 用に よ る動 物 実 験か ら検 証 し,
拘 縮予防 于段へ の有 効 性 を示 した。
河 ヒ敬 介 氏は組 織 学,
生化 学 及 び 細 胞 生 物 学 的 手法 を 用い て.
仰 張 刺 激による骨 格筋 の萎縮抑
制や 肥大の分子 メカニ ズムの 解 明か ら より効 果 的・
効 率 的 な 筋 力 低 下の.
f
防や筋力
増 強 法の開発 に繋
げ る た めの検討
を 始 め た との報 古であっ た、
、
加 藤 浩 氏は廃 用 性 筋 萎 縮 評価 と し てwavelet 変換に よ る表面筋 電図周 波 数 解 析 を股関節 疾 患 の中 殿 筋 活 動 に 応 堀 し,
筋の質 的 低.
ドの特 徴 と し て 主 に lypeI
線 維の活 動 低卜.
が 示 唆 され る との報 告であっ た。 高 柳 清美 氏は膝 十 字 靭 帯の保 存 療 法 と して特 殊 な膝 装 具 と「1)・
期 連 動 療 法 の効果をラッ ト に よ る動 物 実 験に て検 証 し,
適 切 な運 動 刺 激と 運動強度が靭 帯 修 復に必 要であるこ と を報 告 した。
沖田一
彦 氏は運 動 器 疾 患の運 動 異常を認知 理 論 に 基づい た 連 動 療 法の適 用として認 知 運 動 療 法を展 開し,
その仮 説 実 証の た めの検 証を 強 調 さ れ た。
篳:鈴 木 重行 氏は筋・
筋 膜 性 疼 痛に対 する科・
学 的評 価と し ての筋
硬 度計
,
超音 波 画像
や3
次元CT
[由i
像によ る試み か らそのP].
能 性につ いて検
証 報告さ れ た,
結 合 組織
の基 礎 研 究
の観 点
か ら 星城 大 学リハ ビ リテー
ショ ン学 部 沖田 実 は じ め に 運動 器疾 患の治 療を 進 め る 上 で 関 節 拘 縮 (以 下,
拘 縮1 は 頻 繁に直 面 する機 能 障 害である。
そして.
先 行 研 究の多く は関節 周 囲に存 在する軟 部 組 織の結 合組 織の変 化が その伸 長 性・
采 軟 性 低 卜’
を招き,
関節
可動 域 制限 につ なが る と して い る 14’
,
、
.
し か し,
拘縮の病
態に 関 し て は詳細な解 明がなさ れ てい るわ けで はな く.
拘 縮に対 する理学 療 法の効 呆につ い て も証明 さ れてい るわ けではない 。 筆 者ら はこれまで,
骨 格 筋 内に存 在 する結 合 組 織 特に そ の 主要構
成 成 分であ るコ ラー
ゲン線維
の形 態 学 的 変 化に着目 し,
拘縮の病 態 解 明と拘縮に対す る 理学 療 法の効 果 検 証を目的と し た基 礎 研 究 を 行っ てきた.
、
そこで,
本 稿で はこれまでの研 究 成 果の概 要 を紹 介し,
その成果の 理 学療 法へ の 活用・
応 用 につ い て 考 え て み たい。
骨 格 筋 内の結 合 組 織 骨 格 筋 内に存 在 す る結 合 組 織 は,
健 を 除 け ば 概 ね 筋 膜の こと を指 し、
筋 膜はコ ラー
ゲン線 維が網目状に走 行した形 態 と なっ てい る、
す な わ ち,
骨 格 筋の弛 緩 時は,
筋 膜の コ ラー
ゲン線 維 は,
様
々 な万向
に 走行して いる が,
伸 長 峙のそれ は伸 長さ れ た 方 向に ほぼ平 行 な 直 線 状の走 行とな り5}.
こ の走 行 変 化は個々 の コ ラー
ゲン線 維に 十 分 な 可 動性が 備 わっ てい る た め と考 えら れ る.
,
そ し て,
筋膜の 伸長 性 はこ の コ ラー
ゲン線維の 可 動 性 に よって確 保 され て お り,
筋 長の変 化に対 応 してい る。
不 動によ る筋 内膜コラー
ゲン線 維 網の形 態 変 化 ラッ ト足 関 節 を 最 大 底 屈 位で1
,
2
,
4
,
8
,
12
週 間 ギプスで 不 動 化し.
不 動 期 間の 延 長に伴 う関 節可動 域 制 限の 進 行 状 況 と 弛 緩 位で不 動 化さ れ た ヒラメ筋
の筋
内 膜コ ラー
ゲン線維
網の形 態 変 化 を検 索 した6.
)/
.
t
なお,
詳細 な 方 法に つ い ては紙 面の 関係 も あ り,
こ こ では割 愛 する。
結 果 とし て,
関 節叮動域 制 限は不 動 期 間の延 長 に 伴い 著 し く な り,
特 に 不 動’
t
週 後 以 降 の 制 限 は 著し かっ た、
ま た,
筋 内 膜コ ラー
ゲン線 維 網の形 態をみる と,
対 照 群 や 不 動L2
週 後のそ れ は 筋 線 維の長 軸 方 向 に 対 して縦 走 するコ ラー
ゲン線 維 が 多 かっ たが.
不 動4週 後 以 降は多 くの コ ラー
ゲン線 維 が 筋 線維の長 軸 ノi
向に対 して横 走 してい た 〔図 1),
.
つ ま り,
不動4週後以 降 は 個々 の コ ラー
ゲ ン線維の 可動 性 が減少 し ている と推察さ れ,
この変化は関節可動域 制 限 が 薯 し くなる [1.
}ma
と同 期 して認めら れる こと か ら拘 縮の 病 態と捉え ら れると思わ れる。
拘 縮に対 する 理学
療 法の効果上 記の
所
見 を・
つ の パ ラ メー
y と し,
持 続 的 他 動運動 〔CoriLinues
passivc meLion ;CPM
)と超 音 波 療 法に よ る拘縮の予防 効 果を検 討し た
。
具 体 的に はラ ッ ト足関 節を最大底 届 位 で4
週間 不動 化 する過 程で.
週5
日の頻 度で麻 酔 を 行い.
角速 度⊥O
°
秒で1
[3D
分間CPM
を 実 施 する群 1:CPM
群) と1MHz
,
1W
甜 !〔:1−Ltの 条 件 で1
日15
分 間 超 音 波 を 照射す る 群 超 音波 群〕を 設定し た。
そ して,
関節可動域 と 筋 内 膜 コ ラー
ゲン線維 網の形 態 を不 動のみの群 (不 動齣 と 比 較 した、
関 節 可 動 域はCPM 群,
超 音 波 群ともに不 動 群より約2『 高 値を示 し,
これら2
群の筋 内 膜コ ラー
ゲン線 維 網 は 不 動 群 と は 異 な り,
筋 線 維σ)長 軸 方 向に対し て縦 走し てい た 〔図2
)、
し た がっ て,
CPM
や超 音 波は不 動に よ るコ ラー
ゲン線 維の可動 性 減 少 を あ対 照 群
運動 器 疾 患の理 学 療 法と巫礎 研究の融 合・
接 点不 動
2 週 後
不
蜘 週 後
不 動 12 週 後
Lt7 図1 不 動による筋 内 膜コ ラー
ゲン線 維 網の形 態変化対 照 群
不 動 群
CPM
群
超
奮
波
群
図2
不動に よ る筋 内膜コ ラー
ゲン線 維 網の形 態 変化に対 するCPM
と超 音 波の効 果28 理’ デ:症
6
去・
: }: 日蒔32巻 第1.
写一
る 提 度 予 防 す ること が 可 能 で,
こ の こと が 関節可動 域 制限の進 行抑制 につ な が り,
拘縮の 予 防手 段と し て効果 が あ ること が不 1唆 された.
お わ りに 以E
のよ うに,
今 回紹 介 したコ ラー
ゲン線 維の可 動 性 減 少に 起 因し たコ ラー
ゲン線維
網の形 態 変 化は.
拘 縮の 進 行 過 程の一
病 態と捉え ること がで き る と 思 わ れ.
これ は拘
縮の治療
を進め てい く ヒでも重 要 な 知 見と考 えて い る。
そして,
こ の知 見 をパ ラメー
タに活用・
応用することで拘 縮に紂する 理学 療 法 効 果 を 検 証 し た 基 礎 デー
タの提 示 が卩∫能 に な る と思 わ れ る,
た だ.
現 時 点では拘 縮進 行 時にコ ラー
ゲン線 維の 可動 性 減 少が 生 じ るメ カニ ズムや拘 縮に対 す る理 学 療 法 効 果 を 検証 した基 礎デー
タの 蓄 積は不 十 分であ り,
こ の ことが 今 後の裸題である。
文献
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al1⊂L hyatLu’
oll[lll i卩1 rat sロ1eus】
T]
uscle、
J
Nluscle Res (〕el1){eLil 25:159
−
⊥66,
2004.
基 礎 的
研究 手 法 を
用い た理学 療 法
に か かわる骨 格 筋
の 研 究名古
屋大学
医 学部
保 健学科
河上 敬 介,
宮 津 真 寿 美 我々 は,
組 織 学,
牛化 学お よび細 胞生物 学 的 手 法をE
]い て,
臨 康 で 頻 繁 に直面 す る筋 萎 縮の 抑 制や筋肥大に焦 点 を 当て,
「仲 張 刺 激 に よ る 骨格 筋の萎縮抑 制や 肥大の分∫.
メ カニ ズム の 解 明1
を テー
マ に研 究を行っ てい る。
実 験 動 物 を 用いた組 織 学 的 研 究 「筋 は 運動によ り肥 大 して,
筋 丿Jは増 強する、
また,
運 動 し ない と萎 縮し て、
筋jJ
は低 下 する:
1
こ の様 な 地球.
[’
.
では 常 識 的 な こ と が・
歩 宇 宙 空 問 に 出 る と そ う と もい え な く な る.
,
1
ロ シ ア の宇 宙ス テー
ショ ンで 4 ケ月 過 ご し た宇 宙 飛行 十の 筋組 織 は帰還時40%低 下して いた一
とい う記 事を 見 た.
,
こ の宇 宙 飛 行 士は別に飛 行 船で 4ケ 間寝て いた わけではな く,
様々な 任 務 のために活 動してい た はずである。
こ の事より,
筋は使う だ け で は 〔収縮 きせ る だ け で は}細 くな るこ.
ヒ もある とい うこと が わ か る.
これ を 理解
す る た め に は 「重 力1
が鍵に な る。
地球
上,
即 ち重 力 ドで筋 を 収 縮 させ る と,
筋に は収縮 力に対し て 応力と い う張 力1
伸張 刺 激〕 が働 く,.
しか し無 重力 ドでは,
その応 力 は ほ と ん ど ない,
筋は伸 張 刺 激 を十 分に受け て,
は じめ て,
細 く な ら ない し.
強 く な るの で は ない か と考え ら れ る。
こ の仮説 が 正 しい と す る な ら ば,
「.
我々が 臨 床 で よ く 用い る ス トレッチン グ :1伸張 刺激 } を 加 え る と筋は 細 く な ら ないの ?」 とい う疑 問 が生じる/
.
/
こ の疑 問 を解 明 す る に はヒ トで の実 験 は 難 し く.
実 験 動 物 を 用い た組 織 学 的 研 究 が 適 してい る.
なぜな らば,
前 述 した応 力 も含め筋に仲 張 刺 激が加 わ;1
にくい 状 態 を つ くる た め に我々が使
っ てい るの は.
運動 神
経を切 除す る方
法 に よ る筋
萎縮モ デ ル ラ ッ トである,
当然,
ヒ トに伸 経 切 除 術 を 施 行 する こと は許さ れ ない か ら である.
こ の モデルラッ トの筋 に周 期 的 伸 張 刺 激 を 加え る と萎縮抑制 効 果 が あ るこ と を.
筋の 重 量 や 筋 線 維 の 断 画 積の測 定 お よ び 生 化 学 的 予 法 を 用いた 筋の タ イ プ悚 討に よりに確 忍 した。
培 養筋 管 細 胞 を用いた 細胞 生 物 学 的研 究 そ れでは,
伸張 刺 激はなぜ筋 萎 縮 抑 制 効 果があるの か ?こ の 疑 問 を解 決 するため に は分 了メ カニ ズムを 明ら か にする 必要が あ り,
実 験動物
個 体) を用いた研 究には限 界が あるtt な ぜ な ら ば,
ホル モ ンや成 長 因子 などの筋の周 りの環 境 をコ ン トロー
ルする必 要がある か ら である。
ま た.
分 子 メ カニ ズムを 明 ら か にする ために 用い る様々な試 薬は,
投与す る と筋 以外に も影響 を お よ ぼ し 実 験 動 物 が 死 に 至 る 場 合 も 多い か ら で あ るtt
そ こ で,
培 養 筋 管 細 胞を川い た細 胞生物 学 的 研 究 が 必 要になる。
ちなみ に,
シリコ ン膜 ヒに培 養 した 筋 管細 胞 も,
周期 的 な 仲張 刺 激 を 加 えると肥 大 するこ とがわかっ てい る級
、
筋の 大 きさ は筋 内の 蛋 白 質 〔ア ク チンや ミ オ シンな ど)の合 成 と分 解との バ ラン ス によ り維 持さ れて いる,
よ・
って,
そのバ ラ ン スが壊れ た とき肥 大や萎 縮が発牛する.
,
た とえば,
蛋 自 質合 成の促 進 または分 解 の抑 制の命 令系 〔シ グナ リン グ) を う け る と筋は 肥Jc
す る。
近 年,
これ らを 制御 するシグ ナ リン グの 立役者 がい くつ か わ かっ てきた、.
シ グ ナ リン グ’
に か か わ る 立役 者 〔分r・
1
は多 種 多 様で あ る が.
まず 我々 が着 日し た分 子は八kl というメ ッセン ジャー
であ る、
、
その理 山 は,
筋 管 細 胞の実 験では ないが,
機 械 刺 激 に よりAkt
が活 性 化さ れ る細 胞があるこ と,
機 械 刺 激に よ る 結 果の報 告で は ないが,
Akt
が活性
化さ れ る と筋
肥 大のん 進や 筋 萎縮の抑 制のため の シ グナ リン ゲが働 き 出すこと が近 年 報 告 されてい るから であるLt 1/
。
そこ で早 速 培 養 筋 管 細 胞に周 期 的 伸 張 刺 激 を 加 えたところ,
思っ
た と お りAkt
の活 性が 上 がっ
たtt
現在こ の 伸 張 刺 激 とAkt
に 関連 する様々 な 因 子 につ い て 検 討を は じ め た ところ で あ る.
分子か ら臨床
へ 当 然.
筋の外 的 環 境 をコ ントロー
ルした細 胞 生 物 学 的 畊 究で 明 らかにな・
った事 実 が,
臨 床でも同 様におこるか ど うか はわか ら ない,
.
そこで 我々は 手 始 め に,
動 物モ デル (個 体 ) で も 細 胞 と 同 様 に,
伸 張 刺 激 に よ りAkt
が活性 化さ れ てい るこ と を確 認 し た.
,
実 験 と しては前述 し た よ うに困 難なこと も 多いが,
近 年の研 究 技 術の 発 展にともない 叮能 なことも出て きた.
即 ち.
細 胞で明ら かにな りつ つ ある分 子Sカニ ズムが個 体でも通 用す るかを確 認し始め た,
.
これ ら に実験か ら.
患 者様の筋 肉は.
どの ような分了・
メ カニ ズムで細 くなっ た り太 くなっ
た りするのか が 明ら か に な る の もそう 遠い話で は ない と思 う,.
その稲 果.
よ り 効 果 的・
効 率 的な筋 力 低 ドの予 防や筋 力 増 強法の 開 発につ な が ると 考える「
埋学 療 法の疑 問 を 解 決す る ため の方 法 とし てヒ ト で は できない方 法である か ら実 験動 物で,
実 験 動 物で できない運動 器 疾 患の理 学 療 法と基 礎 研 究の融 合
・
接 点 29E凹G旧w (轍a
.
Lttbpbi【鳴
lleCb圏
1、
.
}従 来
の手 法
一
FFT
analvsis一
fast
Fourier
tran5笵rm 「FF↑)
1
’
・
卩
”
VF
l、1,
c羞
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ご wavetet trensfo「m P F−“
幽
m贐
t,
L
新
し い
手 法
一
wavelet analvsis一
2
次
元
情 報
Frequency
Power
3
次
元
情 報
Frequency
P
。werTime
図3 従 来の周 波 数 解 析 とWT
を 用い た11
.
?問 周 波 数 解 析 筋の質 的 評 価 法の一
.
つ としてEMG
周 波 数 解 析は よく知ら れ ている.
しか し,
従 来の高 速フ
ー
リエ 変 換 〔fast
Fourier
transform :FFT
〕を用い た手 法では,
解 析 信 号 波 形の定常性が仮 定さ れ てい る た め
,
研究の多 くは静 的 収 縮 〔等尺性 収 縮)下 での測 定に制 限 さ れ てい た.
・
ノi
.
wT
は 解 析 信 号 波 形の非定常性を仮 定し てい る た め,
動的収 縮下 (等 張性 収 縮 下}での測 定が凵亅.
能となった.
また,
パ ワー
スペ クトル解 析におい て type n線 維の筋 活 動は,
パ ワー
スペ クトルの 高 周 波 帯 成 分 を.
・
方type I線 維の筋 活 動は低 周 波 帯 成 分 を 反 映すると考 えら れて い る,
その ため一
般 的に収 縮 強 度の増 大に伴 うMPF の.
ヒ昇 〔高 周 波 帯 成 分の増 大 )は、
主にtypell
線維
の筋 活 動が大 き く関与し た結果と考え ら れ てい る.
か ら細 胞 を川い た方 法で研 究 してい るの で あ り,
患 者 様に対 す る 理 学 療 法の 発 展 を 望 ん で 研 究 を 行っ てい る。
即 ち,
我 々は.
基 礎 研 究を行っ てい るの では なく基礎 的な手 法を 用い た 臨床 研 究 を行っ て い る の である、
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廃 用 性 筋 萎 縮 評 価 と
して
の表 面 筋 電 図 周 波 数 解 析
占備 [司際 大学 保 健 科 学部 理 学 療 法 学 科加
藤 浩
研究 の背 景 近 年の整 形外 科 領 域にお ける運 動 器 疾 患に対する’
」
再生医 療t’
の研 究は め ざましい。
骨をつ な ぐ技 術,
骨をつ くる技 術.
そ し て 関節 機 能 を再 建 する技 術は 飛 躍的に進 歩し てい る、
.
し か し.
身 体’
連動 器”
とし て の再 生に は,
骨・
関節 機能の 冉建に加えtt
筋”
の 果たす 役 割も 大 き く、
理学 療 法の 治 療 技 術の向
トは 骨・
関 節 疾 患の手 術 治 療 成 績 を左 右 する一
つ の鍵を握っ てい る一
し か し廃 用 性筋萎 縮 を き た し た ド肢 整 形 外 科 疾 患に おける 手術 後 理学 療 法と し て は,
主 に 重 錘負荷 な ど に よ る申.
純 な筋 丿丿 増 強 トレー
ニ ング が行わ れて い るにす ぎず,
これ ら トレー
ニ ン グ である程 度の筋 力の回復が得ら れて も,
実 際の歩 行におい て 跛 行や荷重 時の 関節不安 定 性が残 存 し.
卜.
肢 運 動 機 能 低 卜’
に伴 う八DL 障 害が改薺
さ れてい ない痂 例 を し ば し ば経
験 する。
こ の こと は手 術 療 法 後,
重錘負
荷な どに よ る 量 的 な筋力
増強 トレー
ニ ン グだ けで は,
最 終 凵標である ADL 能力 までは改 善し得 ない こと を示唆 し てい る)
/
す なわち単 純に”
筋 力図復tt=”
有 効に活 用し得る筋 力の向
lt
”
に は な ら ない と焉うこ と で あ るtt
そこ で手術 療 法 後の 理 学 療 法に求め られ るもの は,
従
来の 量 的 な筋 丿J増 強 トレー
ニ ング に加 え,
別の質 的 な 筋 刀 向上を図る理 学療 法プ ロ グラムを 作 成 するこ とである.
し か し,
現 状で はADL
と 関 連 す る 領 域 での関 節・
筋 機 能 評 価 に 関 す る 科 学 的 評 価 法 は,
ほ と ん ど確立 さ れ てい ない た め,
筋の 質 的向ヒ を 評価 す る 予 段 が 十 分 で ない、
そこで 今 必 要 な もの は,
ADI
.
に 直 結 したあ らゆる動 的.
条件 卜.
でfi
・
†測できる新 しい 質 的 筋 活 動 評 価 法 を 開 発 し.
その評 価 幕 準に沿っ た理 学 療 法 治療プロ グ ラムを確 立 する ことで あ る、
新しい解 析 手 法の導 入 (図3)近 年 我 々は世 界に先 駆けて wavetet 変 換 〔wavetet tranS
−
form
:以 下WT
:ト
とよ ば れ る最 新の 工学 技 術 を 表 面 筋 電 図 〔EMG
) 周波 数 解 析に応用 し.
健 常 者 と中 殿 筋 跛 行 を 呈 する股 関 節 疾 患 患 者を対 象に歩 行le
,
Z
脚 期の中 殿筋
筋活 動
か ら時
々30
理 学 療 法 学 第32
巻 第1写 MPI,変イ匕量〔 35 25 15.
、・
51f ) 20304 〔〕 511 60 Lypじn線 維 径〔μm 〕 図4
Lypc,
11
SR
維径 と歩行 時、
Z
脚期のMPF
変 化 量 〔踵 接地0
.
1
秒 前か ら 立脚 相
30
% ま で の問でMPF
の最小値と最1
(flt
〔 を求めその差 分をMPF 変 化量 と した)との相 関 typeH
線 維 径が太い 症 例ほど,
歩 行 時の鍾 接 地 直 後にお けるMPF
の変 化 量が高い ことを示 して い る.
刻々と変 化 する平 均 周 波 数 〔Me 評m power i’
requen 〔y :以 ド MPF }を 計 測 したtt
.
その結 果,
健常 者では 踵接地[自:後にMPF の 急 激 な ヒ昇 が 認 め ら れ たのに対し,
股 関節疾 患 愚 者では 認め ら れなかっ た.
, そこで股 関 節 疾患患片
の跛行の 原 因 と な り得
る 筋の質 的 低 下の特 徴として主 にtypeH
線 維 を 支 配す る運 動 単 位の活 動 状 態の低 下 が 示 唆 された。
股 関 節 疾 患 患 者の中 殿 筋の 組織形 態学的 特 徴 手 術 中に中殿 筋の筋生検を行い組織形 態学的 分 析 か ら.
歩 行 時 立 脚 期のMPF
変 化の意 義につ い て検 討 した.
.
その結 果,
踵接
地直後
のMPF
の 上昇に は typeH
線 維の線 維 径 が 深 く関 連 し て お り.
WT 周 波 数 解 析は lype II線
維の運動}桝
・
:・
:の活
動状態 及 び筋線 維の萎縮 評 価に有 効である結 論を得た 〔図4海 現 在の研究 現 在の研 究として実 際に筋の質 的向.
ヒを図る理 学 療 法プロ グ ラムを作 成 するため,
中 殿 筋 跛 行 を畢 す る股 関 節 疾 患 患 者を対 象に神経 生 理 学 的アブロー
チ 法 を 利用 した 下 肢 筋 群の トレー
ニ ン グ法の有効性を検 討し てい る.
、
これ は背 臥 位で 股 関節 内 転,
屈 曲,
外 旋 位か ら膝 関節を伸展 位の ま ま,
股 関 節の外 転,
伸 展,
内旋 運動 を 同 時に行 う もの で,
こ の トレー
一
ニ ング は筋の質 的 低 下の一
特 徴と して 考 えられる lype U線 維の運 動 単 位の活 動 性 の 向ヒ.
及び 大殿 筋ヒ部線
維や大腿筋 膜 張 筋 とい っ た その他の 股 関節 外転 筋群 と中殿筋
との協
調性の改 善 を期 待するものであるn本 研 究の
・
部は明 治 安山厚生事
業 団 健康
医科
学 研究 助 成 〔200・
0 及びH
本 学 術 振 興 会 科 学 研究 費 補助 金 :1:課 題 番 号16700434
:12004 ]によ り行わ れて い る.
.
膝 靭 帯 損傷
の修 復
にお け る 運 動療 法
の重
要性
一
前 十 字 靭 帯 (
ACL
) 新 鮮 損 傷
に対 す
る関
節
制 動
と 運動
が靭帯 再 生
に及 ぼす 影 響
一
埼玉県 立 大 学 保 健 医療 福 祉 学 部 理 学 療 法 学 科 (前・
札 幌 医 科 丿(学保健 医 療 学 部 理学 療 法学科) 高 柳 清 美 は じ め に 受 傷より2
週 間 以 内の前1.
字 靭 帯 1:以 下ACL
)完 全 断 裂は,
脛 骨の 前 方 動 揺を制 動す る膝装具 〔Kyu「〔エ装 具}によ り保 存 的に治 癒 しうることをこれ まで に報 告 してき た。
保 存 的 治療の 長 期 的 成 績に 関する報 告は少ない が,
手
術 侵襲
を加
え ない,
メ カノレ セ プ ター
が 温存
さ れ る,
再 断裂の修 復が 叮能といっ た利 点があ り,
再 建 予術 を 行わない場 合に選 択さ れてもよ い方 法で ある。
し か し,
装 具 製 作に おける高 度技 術の必要性.
低い採 算 性な ど,
本治 療法
が 広 く一
般の臨床
で 選択さ れ ない 要因が存
在 する、
損傷
ACL
の保存
治療
成 績を向
上 さ せ る た めの 臨床
・
基 礎 研 究と,
本 装 具の改 良 あるいは新 しい 装 具の開発 は 保存 治 療 が普 及 するため の重 要 課題である,
.
今[司、
ACL
断 裂に おける 保 存 的 治 療 の 基 礎 研 究 と し て 動 物 実 験モデルを 考 案 し,
その力 学的安 定 性に関す る検 討を行っ た.
.
[実 験1
] 前 十 字 靭 帯 新 鮮 損 傷に対 する関 節 制 動 と運 動が靭 帯 再 生に及ほ:
す 影 響週齢30週
,
H
本白
色 家 兎24羽 を対 象と し た,
.
動 物の取り扱 いは札 幌 医 科大学 動 物 実 験 指 針に従っ た.
ACL 切 断 後 人1:靭 帯 補 強 を 行い,
3
週間の関 節固定 後に 関節運動 を 白 山に し た群 〔Fx
群 :n=
12
)と,
ACL
切断後
人 工靭帯補
強 を行
い,
術直
後より関 節 運 動 を 自 由にした群 (Fr
群; n−
12:1 の比 較 を 行 っ た。 両 群ともに ACL を 切離 後.
大 腿 骨 顆 部 後 万と脛 骨 粗 面 近傍に 骨孔 をあ け,
人 ⊥ 靱帯を 用い て内側 お よ び外側のACL
補 強 靭 帯 を 再 建 した.
人 工 靭 帯 はモ ノ フ ィ ラ メン トナ イロ ンを 18本 編 ん で 作 製 し.
骨 トン ネル を2同 通 し て 輪 状 に し て,
二 重再 建と し た。
ACL の 走行に近 似 させ た膝 関 節 包 外の内・
外 側4
本の人⊥ 靭 帯によ り.
脛 骨の前 万 引 出 し と回旋 を 制動 する よう考
案し た。
評価
は 正常
肢,
補 強 肢そ れ ぞ.
れ に対し,
膝
90°
屈 曲 位で脛 骨 近 位部にlkg の牽 引を加え た前 方 引 き出 しX 線 撮 影 を行っ た、
.
村 瀬らの方 法に準じた中 点 計 測 法によ り,
脛 骨の前 方 引 出し に対 する力学 的 安 定性 を評 価し た。
補 強肢は手 術 直 前.
八CL
切 断 直 後,
補 強 直 後,
平 均12
週経 過 後の4
回 測 定し た.
徒 手 評 価で は,.
IE常 肢と補 強 肢の前.
方引 き 出 しに差 が 認め ら れなかo た が,
ACL
切 断 肢の前 方 引 き 出し は顕 著で あっ た。
中 点 計 測 法 に よ る 前 方 引 出 し 値 は,
手 術 直 前113
.
6
±4
.
6
〔平 均±SD
:1 %,
り」断 直 後で 176.
6± 18.
7%、
補 強 直 後ll6.
9土 7.
9%,
12週経 過 後IZ5.
1± 17.
2%で.一
元配 置 分 散 分 析の結 果,
群 間に有 意 差が認め ら れた、
因 子 間 検 定で切 断 肢 と他の一
こ 者 問に有 意 差が認め ら れ.
ACL
を切 断 すると有 意に脛 骨の 前 方引出しが大 き くなっ た,
切断 直 前,
補 強 直 後,
12週後間 に は 有 意 差 が 認 め られ ず.
関 節 包 外 補 強 に よ り脛 骨の前 方 引 出 し が制 動さ れ,
12週間 経 過 後 もほ と ん ど制 動 効 果:こ変 化が認め ら れなかった。
図
5
はACL
切 断し た[自:後の膝関節 を示し.
図6
はACL
切 断 お よ び補強手術後12
週経過 し た 典 型 的 な膝関節 を示 し てい るtt 関 節 内に治 癒し た と思わ れる ACT.
が観 察さ れ た,,
装 具 治 療の動 物 実 験モ デ ルは,
〔:D 牽 引 機 構の構 造上,
小 動 物用の牽 引 機 構の製 作が 困難,
(2
,長期間の装具装 着が不 可 能 の理由に より成 功し てい ない.
今回,
関 節 包 外にウ サギのiF常ACL
の走 行に沿っ て 人 工靭帯を補 強し,
脛 骨の前
万引出 し を 制 動 させ た。 こ の方 法で,
術 直 後か ら関 節 運 動,
体重負
荷,
身
運動 器疾 患の理学 療 法と 基礎研究の 融合
・
接 点3
⊥ 図5
ACL
切断 直 後.
ACL
の大腿骨 付 着 部 近 く で 切 断 図6ACL
切断12週後.
連続し たACL
が観 察さ れ る,
体 活 動 を 可 能とし,
人ACL
損 傷に おける装 貝 療 法に近 似し た モ デ ルを 作 製 した。b
後,
脛 骨の前方 引 出 しと回旋 を制 動 する こ の モ デルに より,
切 断AUL
にお ける保 存 的 治 癒の有 無,
治 癒 過 程の牛体
⊥学・
組 織 学・
神
経 生理学的研 究を行
い たい と 思 t,
て いる。
[実 験2] 前 十字 靱 帯 切 断 後の免 荷 運 動が断 裂 靭 帯に及ぼ す 影 響膝
関節 制 動の機 能 を 有し ない 装具の装 着に よっ
て断 裂ACL
が治 癒し た報吉
や,
理学 療法
を施 彳∫し ない 消極的な保存療 法
に より治 癒し た報告が散 見さ れ る, 実験2
の目的は,
早 期か ら の 関 節 制 動を しない 自 由 免荷 運 動の保 有 療 法に よ・
,て.
関節と断 裂ACL
がどのように変 化 する かを明 ら か にすること,
お よ びACL
に お け る線 維 芽細 胞の動 態を観 察 するこ と で あ6
,
、
週 齢30
週 の 日 木 白 色 家 兎6
羽 を 対 象 と し た。
膝 内 側 よ り 皮 切・
侵 入 し,
膝蓋骨を 脱 臼 させACL
を薙 認 後.
大腿 骨 付 着 部 でACL
を完全 に 切離し た,
膝蓋骨を 整復し関 節包・
皮 膚を 縫 合 した後.
同 側の足 部のサ イム 切断 を 行っ た.
8
週 経 過 後 屠 殺L ,
形 態 的 お よび 組 織 学 的 検 査 を 行っ た。
1例 は感 染に より死
L ,
残り5羽 は全例変 形 件 膝 関節
疔 を 出 現 し な かり た、
滑 膜が一
部 連 続す る 例 が認め ら れ た が,
ACL に、
全 例 退 縮して いた。
また,
全 例 膝の不 安 定 性 が 認め ら れ たL’
,
な 蒜 議 は1
.
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鵡 慧 職 奪 裂ザ
噺 蠶 舞顎
鼠
臨 寡 ガ.
胆
.
翼 み 燬臨
辱 馳 継 爆ボ
.
へ酬
斜 要醸
麟瀞
騒 憲 船蕭
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離
撫
・
・
藷
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無
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翼
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タ
』
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鞐舮
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遣
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瞬
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駐
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齪
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暇
事
戸
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弗
照
舮
諮
恥
・
碍
母
響置
即
甲
再
鰹
嚇趣
.
無
瓢
融
・
需
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『
・
r野
酉
・
・
轍
.
』
馬
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匸
・
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ガ 離r
擁
譜
! ;薯
・
蓼・
珮
.
,
誤.
噸r
駄
.
雫
戸
F
田
「
町
「
層
匸
咲
遣
図 7 退 縮 し たACL
に 観察さ れ たアボ トー
シス.
茶 色に染まっ てい る lT )の が aPOPtosis を起こし た
線
維芽
細胞
.
退 縮し た n,
CL の組 織 化 学 的 検査の結 果,
アポ トー
シス Capop−
losis) を 発生 した細 胞 が 多 数 認め ら れ た 1図7)、
検杳 し たACL
の すべ て に ア ポ トー
シスが 認 め ら れ た.
繰 り返 す 靭 帯の 過剰
な伸張
はアポ トー
シスを 誘導
し靭 帯 を 退縮させ る ことが明 らか となっ た,
お わ り にACL
断 裂 に お け る 保存的 治療の 動物実 験モデル は あ る程 度 ヒ トの治 療 に 近似 した 結 果 を 得 るこ とができた.
今 後,
閲 節 制 動 と運動に よ るACL
修 復 過 程の解 明 (血 管 系・
神 経 系・
コ ラー
ゲンな ど),
治癒 靭 帯の力 学 的 特 性 〔補 強期 間 な ど),
保 存 療 法に関 する因 子と治癒 靭 帯の関 連性
を明ら か に し,
ACL
断 裂 治 療における運動 療 法の有 効 件と.
運動 療 法を中心 と し た保 存 療 法の確 立 を目指し たい と 考える、
運 動 器 疾 患 の 理学
療 法
と基
礎 研 究 の融 合
・
接 点
一
認 知 科 学
の視 点
から
一
広 島 県 立 保 健 福 祉 大 学 沖田一
彦 理 学療 法が 応 用科 学だ と す れ ば,
そ れ が 「何 を 基 礎 と し一
,
それ を 「どう応 用 する か一
はきわ めて重 要 な問 題と な る。
運動 器 疾 患に対 する理 学 療 法は,
整 形 外 科にお け る保 存・
術 後 療 法 とし て発 展 し てきた経 緯があ り,
生 物 学 t.
biology
} および連 動 学 〔kmesiology
;’
をその主 要 な 基 礎 とし てきた.
その結 果,
筋や関 節の病理の克服,
あるいは そ れ ら の廃用の予防 が そ の仕
事の主体となっ てい る現 状がある.一
方,
1960
年 代に イ タIJア で その ア イデアが出 され,
1970ff
代に 脳卒中片麻 痺に対 する治 療 法 とし て出発し た 認知 運 動 療 法 Cuognitive thera[x・
utlc exerase :CTE
: は 認 知 理 論Ccog
−
njtivetheory 〕 に 基づ く治 療 体 系で あ る が.
ユ980年 代に は 運 動 器の障 害にまでその適 用 が拡大 さ れて い る、
し か し,
多 くの理 学 療 法 士 (以下,
PT
) は一
巾 弗 神 経 疾 患になら とも か く,
な ぜ 運 動 器 疾 患に’
認 知卩
’
が 問 題 と なる のか一
とい うr
卩象 を もつ で あ ろう。
その理由は 以 下の ごと くである,
ま ず
.
CTE
では,
運動 器を「晴報
器官」
と と らえる視 点 を 重 視 して い る。
これ自体は決 して新 しい考 え方ではな く,
運 動32 理学 療 法 学 第32巻 第1号
覃
⊃ [亟
陣
丶
争
体 の 細 分 化 障e
>
丶.
_ 一__
/
趣 曝
・…
1
ヱー
ミ
:
_一.
藤
〆
.
1−
=・
.
匳 函
て
:
1
i
運動プログラ ム中枢.
ヒ
Σ璽
情 報 伝達 異 常1
医
慰
〕匪牙劃
麟
羮
畫「
・
#
・(
瀦
羹
)
ン 丶一_
↓
塵
房
図8 情 報 器 官 と し て の 運 動 器 の 障害が 引 き起こす運動戦略の異 常
u
文献P より) 器 に 広 く 分 布 す るメカノ レ セ プ ター
CmechanorecePt
{}1・
)が 運 動に関わ る情 報を申 枢 神 経系
に送っ てい ること は.
占
く か ら知ら れてい る。
閊 題 は,
運 動 器の損傷 や 廃 用 によりその一
情 報 器 官1
とし ての 機 能が低’
ドし た と き,
運 動 命 令 を 出 す 中 枢 神経 系に 「何が起こ る か」であるtt運 動は身 体全体の動きの シス テ ム と し て 起 こ る
.
そ れ は外見 ヒい くら単 純に み える運 動であっ ても.
き わ めて合 理 的に身 体 を細 分 化 〔fraglnentation
) し て使用することで実 現 して い る.
.
例え ば.
眉 を単.
に外
転する場
合 を 考 えても,
ヒ腕 骨.
肩 甲骨.
体 幹の諸 筋は.
運 動を達 成す る た め に き わ め て複雑 かつ 合 理 的 に収 縮 してい る。 しかし,
ひ と た び肩の機 構の一
部が損 傷を受
け る と,
た と え 個々 の筋 力や 関節可動 域が 回復してきても,
固 定 的 な 代 償 運 動 し か行 えない こと が少なくない tt 中枢 神経 系が各運動器 か らの・
貫 し た 情 報 を も と に ど の 筋 を どの よ うに収 縮 させるかを決 定して いる とすれ ば.
た と え その・
部
に損 傷が起こっ
た と しても.
そこか らの情 報の減 少・
変 化 は,
中枢 神経系
の運動命令
に 異常
をき たす可能性が高い、
その 結 果,
協 調さ れ た動き が失わ れ た り痛み が 発生 すると 考 えら れ る 〔図8
〕.
また,
それ ら の情 報が完全に消 失し た り他の部fl
ン.
か らの情 報とあ ま りにも 食い違っ て い る場 合には.
運動を 起こ せ ない こと も起こりうるPt.
t
以 上 が 運 動 器の 障害に 対 して 認知理論に基づい た運 動 療 法の 適 用 が 必 要 と な る 理 由 で あ る。
む ろ ん.
現 段 階 で はこれ ら は仮 説の域 を出て いない一 運 動 器 疾 患の認知 過 程の異 常 」をテー
マ と し た研 究 な ど,
現 時 点では ほ とんど皆 無で あ る、
.
しか し.
先に 述べ た代 償運動の 問題の ように,
これ まで我々が 基 礎とし てき た生物学 や 運動 学の視 点で は説 明がつ かず,
した がっ て治 療の 決 定 打に欠 け る 運動 器の 障 害は驚 く ほ ど多い、
、
よっ て,
我々は,
h
記の仮 説に基 づ き.
認知 理論に関す る 基 礎 的 な デー
タをPT
の立場か ら解 釈 し、
それ を治 療アブロー
チに展 開する こ と で,
その仮 説 を検 証してい くべ きではない だろう か.
最 近の認矧科 学の発展に は 凵を見 張るものがある
.
.
そ れ は,
認 知心理学.
脳 科 学,
神 経生 理学,
現象
学な どの周 辺領域 を 幅 広 く巻 き込 むことで,
知 覚,
注 意,
記 憶といっ た認 知の外 在 化 可能な単 位か ら,
イメー
ジ,
意 識,
意 図 など,
主体に内 在化さ れ てい る 問 題 に 研究の対象が 広 がって き てい る。
臨 床 のPT
が.
これ らの 知 見 を”
基 礎卩
層
と し,
臨床に お け る問題 を自らの手で 解決 して い く必 要 が あ る.
,
参 考 文 献 11PHnre F 〔小 池 美納・
訳、
宮 本 省 モ・
編 〕 認知運 動療 法講義.
協 liil医書1「口阪、
2004.
筋
・
筋 膜 性 疼 痛
に対
す
る 理学療
法
の画 像
に よ る 効果
検 証 の 試 み 名古 屋 大学 医学 部 保 健 学 科 鈴 木 重 行1
.
従 来の疼 痛 評 価 法筋
・
筋 膜 性 疼 痛 を代表
とする軟 部 組 織に対 する痛みの評 仙 は,
従 来,
痛みの程 度を10Clnの 直 線上に示してもらうVAS (Visuahnalr ,g scaltt.
視 覚 的アナロ グ ス ケー
一
ル },
数段 階の痛 み の 強 さ を 表 す 言 葉を直 線上 に 記載し 選 択 さ せ るVRS
lVerbal
rating sca [e〕,
治療前
の 蒲み あ るい は今
ま で経験 した 最 高の 痛み を10 と して、
現 在い くつ か を 尋 ねるNRS
ごNUincrk:al mlirlg s【:ulelb.
痛みを 表す 102の言 葉 を3
群に分 類し
,
さ らに各 群の中で痛みを 表す 言栗 を5
点 尺 度で示 し,
「亨葉 か ら 痛 みの 程度 を 評価す るMPQ
〔McGill
pain questio【maille.
マ ク ギル疼 痛 質 問 表:1.
評 価の スケー
ルが言葉0)代わ り に 笑顔 か ら泣 き顔 まで の顔つ き を評 価 するFace scale.
など が・
般 的 である。
1999
年
か ら20
〔}1
年
ま でのド1
際 疼 痛 学会
誌Pah156
誌か ら研究 に使用 さ れ た疼
痛の指 標につ いて調査 し た、
、
その結 果,
使用 さ れた指 標は123指 標 (重 複 を 含 む1
で.
1つ の論 文に疼 痛 評 価 と して使 用された指 標 数は3
.
5
±L9
であっ た.
.
最 も 多 く使 用 さ れ た 指 標 はV
八S
で,
以 ド,
MPQ
,
NRT
の順 で あっ た.
、
こ ら れの指 標は 急性 痛,
慢 性 痛の ど ち ら に も優 劣 無 く使 川さ れて いた。
2
.
客 観 的 デー
タ収 集は でき ないの か ?L
述 し た指 標は あくまで症例の卞観に頼っ てい る た め,
客 観 的なデー
タ とL
ては言い難 く,
疼 痛が 改善 することによ り 変化 する客 観 的 な指 標 が求め られる、
現 在,
わ れ わ れ が取り組ん で い る筋・
筋 膜 を代 表とする軟 部 組 織に由 来 する疼痛に対する理 学療 法の効果検証の試 み につ いて 画 像 を 中 心 と し て紹 介 する.
1)push
・
puU gauge に よ る疼 痛 閾 値 測定
push
−
pult gauge に よ る疼 痛 閾 値 測 定は軟 部 組 織 をプ ロー
ブで押 し 込ん だ ときの疼 痛 閾 値 を 測 定 する万法である,現 在
,
わ れ わ れ は 疼 痛 閾 値 測 定の た めにAIKOH
製CPU
ゲー
ジCMODEL9
.
500〕 を使用 し てい る、
、
本 測定 方 法は軟lll
三組 織に対 し,
常 に 同・
方 向 に 押 し 込 む こ と が 求 め ら れ るので.
技 術 的 に 習 熟す る 必 要 が あ るtt
わ れ わ れの研 究では部 位に も 依存す る が,
3−
5%の誤差範 囲で測 定でき ること が分かっ て いるpush
.
puU
gauge は軟 部 組 織に山 来 する疼 痛に対する理 学 療 法の効 果 判定 の指 標の 1つ と し て活 用できる と考 えてい る、
2
} 三 次 元cT
画 像に よ る軟 部組織 評価三 次 元
CT
〔以 下,
3DCT ) は前
額 面,
矢状 面 か らの 画像
情運動 器疾 患の 理学 療 法と 基 礎 研 究の 融 合
・
接 点33
報が加え ら れ,
立 体 画 像 を 作 製 す るこ と が できる (図9
,
日立 〆 ディコ,
Pront
(].
XEL
31〕CT
に よ る 立体 画 像は360
り
どの 万 向にも回 転 することができ,
任 意の位 置で,
筋・
筋 膜を代 表と する軟 部 組 織の浅 層 か ら深 届 までを任 意の深 さで観 察でき るこ と.
が大 きな特 徴であ る。
さ ら に,
3DCT は軟部
組織
の 機 能 的 変 化につ い て,
客 観 的 な 情 報を画 像と して提 供して くれ る と と も に,
筋の 幅や長さ,
指 定し た吊 位の 面積や容 積 さら に CT 値の 検出 な ど数 値 をしめすこともμr
能である。
し た がっ て,
理 学 療 法士 に とっ て は画 像だ け で なく、
客 観 的デー
ダに基づい た軟
部 図9 {次 元CT
画 像に よ る評 価 肘 立 腹 臥 位で撮 影 左L
:水平 面 左ド:前額面 右上 :矢 状 面 右下 三次元CT
組 織 評価が叮 能である の で,
被 爆 量の問 題が無け れ ば有 用 性が 高い と考
え る.
3) 超音 波 画 像に よ る 評価超 音 波 診 断 装 置 によ る 血流 動 態 変化は従 来
,
大 血管
を対象
と した 評価に用い られ,
筋・
筋 膜の近傍 を 走 行 する小血管の1匝荒 を捉え る こ と が 困 難 で あった。
近 年.
医 用機器の開発は 目覚し く,
小血管の撮 影が 叮能と なって き た (図 le),
、
超音波 診 断 装il
に よるrf
[L流 変 化の指 標と して,
最 高血 流 速,
拡 張 末 期 最 低 血 流,
平 均 流 速,
駆 出 時 間.
Pulsatility index 〔搏 動 係 数).
Resistance
Index
l:抵 抗 係 数:・
.
血 管 断 面 積,
Slroke Votume(11i
・
ISIt
出量 ),
Flow
V
{,1ume
〔1
分 間駆山景1
な ど が計 測で きる。 特に
Slroke
Vnlu[ne では 1.
,
’
1〔X}mt 単 位の変 化が分析
で き る の で.
疼 痛 緩 解 後の軟部 組wa
[fi1
流改 善 を 評 価 するために は有 用である と考え る、わ れ わ れ は過 度な 運動によ る右 腰 部 腸 肋 筋の疼 痛 が 原 因 と 考 えられる症 例 を対 象として
,
DNIC Cdiffuse【1〔,xiousinhibLtcF
ry controls )ア プロ
ー
チ と [D ス トレッ チ ングUndMdual
muscle stretching ) に よ る 理学 療 法 前 後の血 流 動 態 と可動 域 につ い て評価
し.
超 音 波 画像
診 断 装 置 (「i
立メ デ ィコ,
EUB
−
6500
) が軟 部 組 織の客 観 的評 価として有 用である か試み た、 そ の 結 果.
表1の ごとく各指 標に おいて改 善が認めら れ,
従 来の 可動域変 化と と も に 血 流動態 変 化 が 理 学 療 法の効 果 判定の 指 標 として有 用である可 能 性が伺え た,
ま と め筋
・
筋
膜性 疼
痛に対 する 理学療 法
の効 果 検 証の試みとし て,
おもに[山1
像を用いた方法を紹 介し た.
,
特に,
超爵
波画像は非侵 襲であると ともに,
習 熟 すれ ば理 学療 法十自身がデー
タ抽出でき るので
,
EBPT
ぐevid(:ncebnsed
physical thel・
apy )の観 点 か らも有 用である と考え る。
表1
血 流 と 可 動 域変 化一
.
一
治 療 前 治療 後 最 高血流 速 〔Vp
,
crn/s ) 21.
8 30.
3.
平 均 流 速 〔Vm
,
crl1/s)11
.
3
11
.
9
搏 動 係 数 〔PD
L93
2.
56
Stroke
volume6V
.
mD O、
05 0.
09FIDW
voiume IFV,
L
!min )D
O
.
Ol
ESLR