C A N C E R 11
(2002),p.
49-52国際甲殻類学評議員会 International Crustacean Council
について
朝 倉
はじめに 国際甲殻類学評議員会(International Crustacean
Council,
以 下ICCoun
と 略 ) は,1998
年 に オ ラ ン ダ の ア ム ス テ ル ダ ム で の 国 際 甲 殻 類 学 会International Crustacean Congress (Chairman
はUniversity of Amsterdam
のFrederic Schram
氏 ) で発足した.その設立の目的は,T he Crustacean
Society
をはじめとする甲殻類の国ごとあるいは 地域的な 学 会の協力と情報交換を推進すること で,メンバーは国あるいは地域的な甲殻類の組織 の代表からなり,その活動としてはInternational
Crustacean Congress
の開催をつかさどることに ある .私は,オーストラリアのメルポルンでおこ なわれた第5
回の国際甲 殻 類学 会(Chairman
はM u seu m
Victoria
のGary C. B .
Poore
氏)におい て,日本甲殻類学会の代表としてICCoun
の会議 に出席した .その時の概要も含めてICCoun
につ いて,ここで紹介したい .設立の経緯
この
ICCoun
設立時(1998
年 ) に加盟したのはT he
Crustacean Society, T h e Brazilian Crustacean
Society (B C S),
The Crustacean Society of China
(C S C ),
Groupe d'Etudes et de
R eflections sur
!'Evolution des Crustaces (G E R E C),
日本甲殻類 学会であった .そしてICCoun
の会腋は,それぞ れの組織の代表者によりおこなわれた. ところでこのICCoun
設立以前に,International
Crustacean Congress
は,す でに3
回開催されて いたわけであるが,それらは毎回任意の異なる団 体が運営 していたもので,特定の継続性のある団Akira A SAKURA: O n the International Crustacean
Council
彰
体があ ったわけではない . アムステルダムでは, その時の開催時に,国あるいは地域的な甲殻類の 組織に協力をよびかけたことが,ICCoun
設立の きっかけとな っている .活動の概要
最初に述べたように,ICCoun
は, nternal:!onal
1
Crustacean
Congress
の開催と運営について協議 する場である.その概要については,The Crustacean
Society
の 会 長 で あ っ た コ ペ ン ハ ー ゲ ン 大 学 のJens
H 0eg
氏によ って,たびたび同会の情報誌で あるT he Ecdysiast
で語られているので,少なか らず知 っている方もおられると思われる . また その内容をホームページ(http:// w w w.vims.edu/
tcs/
ecdysiast.htm)
で読むことができる . ただしICCoun
の 規 約 に つ い て , 公 的 な ひ ろ く読まれているJournal
な ど に 公 表 さ れ た も の は な い が , ア ム ス テ ル ダ ム 時 に つ く ら れ た 草 案 と い う も の は , 存 在 す る . それはU niversity of
Amsterdam
のFrederic Schram
氏 の 文 責 に な るものである .そして現在もある程度はその草案に 沿 った形で,暫定的に運営されている .それが将 来どのような形で成文化 されて公表になるかはわ からないが,現在のところの暫定的な運営形態に ついて以下に紹介する. メ ン バ ー お よ び 役 員 現 在 の と こ ろ ,
ICCoun
の 代 表 者 はT he
Crustacean Society
の会長がつとめている.そし て会議には,各団体の代表者,すなわち上記の団 体,B C S, CSC, GEREC,
日本甲殻類学会のほか,Colloquium Crustacea Decapoda Mediterranea,
G e r m a n Carcinologist, World Association of
Copepodology,
ま た そ の 時 の. Internal:!onal
50 国際甲殻類学評議貝会International Crustacean Councilについて
Crustacean Congressの 代 表 者 ,次 期 同 会 の 代 表 者, European Crustacean Conferenceの代表者が 参加している.
規 約 の 草 案 に よ る と , 当 初 はT he Crustacean Societyのregional governor も, ICCoun の 会 議 に出席することになっていたようであるが, メル ボ ル ン の 会 議 で は, T h e Crustacean Societyの会 議は 別 におこなわれたため , そのようなこと はな かった .
International Crustacean Congress 運営の方針
これまで, International Crustacean Congress
は,特に定まった開催方針はなく,開催時期もさ ま ざ ま で あ っ た 第1回目はインドのErnakulum で1965年 に , 第2回 は そ の15年 後 の1980年 に オ ー ス ト ラ リ ア の シ ド ニ ー で , 第3回は やはり オ ー ス ト ラ リ ア の ク イ ー ン ズ ラ ン ド で1990年に お こなわれ,それまではInternational Crustacean Conference とよ ん で い た . そ の 次 の 第4回のア ムステルダム大会は ,1998年に開催され, しかし 第5回のメルボルン大会はわずか3年後の2001年 におこなわれている . ICCounの 会 議 で の 申 し 合 わ せ 事 項 と し て は , 今後は5年ごとに開催するのが望ましいとし,そ の 他 の 国 際 的 な 甲 殻 類 の 学 会 ,例 えばEuropean Crustacean Conferenceな ど は , そ の 間 の 期 間 を 埋めるような形でスケジュールを組むことに よっ て, 甲殻類の国際的な学会が一時期に集中しない よ うにするのが望 まし いとしている . メルボルンでの I C C o u n の会議 メルポルンでのICCounの会議 で 話 し 合 わ れ た 結 果 の 概 要 に つ い て は , す で に そ の 一 部 がJens H oeg会 長 に よ っ てT he Ecdysiast誌 で 公 表 さ れ ているので,概要はご存知の方もおられると思う が ,日 本甲殻類学会の 会員の皆様が必ずしも全員 T h e Ecdysiast誌をと っているわけではないので , ここで紹介したい . 日時は2001年7月13日(金) の午後1: 30から4 :00
ま で , 場 所 は U niversity of VictoriaのZoology Departmentの 会 議 室 で お こ な わ れ た . 出席者は 以下の人たちである . なお今回は中国の人たちは
欠席した .
Jens T . H 0eg: President, I C C o u n ; President, T h e Crustacean Society (University of Copenhagen, Denmark)
Pierre Noel: Presidnt, Groupe d'Etudes et de Reflections sur !'Evolution des Crustaces ( M u s e u m National d'Histoire Naturelle, Paris, French)
G a r y C. B. Poore: C h a i r m a n , Organizing Committee, Fifth International Crustacean Conference ; President-El ect, T h e Crustacean Society ( M u s e u m Victoria, Australia)
Maria T hessalou-Legaki: President, Colloquium Crustacea D e c a p o d a Mediterran ea (University of Athens, Greece)
Geoff Boxshall: President, World Association of Copepodology (The Natural History M useu m, London, U K )
Krzystof Z泣dzewski: Chairman, Organizing Committee, Fourth European Crustacean Conference (University oftodz, Poland) A n g e lika B r a n d t : Pre sid e nt, G e r m a n
Carcinologist (Zoological Institute and Zoological M u s e u m, Germany)
Sergio Bueno: President, T h e Brazilian Crustacean Society (U niversity of San Paulo, Brazil)
朝 倉 彰 :日本甲殻類学会 (千葉県立中央博物館 ) 司会 ・進行役はJens T. H 0 e g氏がつとめ,以下 のような報告ならびに議論があ った.
1 . C C D M (Colloquium Crustacea D ecapoda M editerranea ), W A C (World Association of Copepodology) が新たにICCounに 加 盟 し た そ れぞれの代表者である Maria T hessalou-Legaki女 史 お よ びGeoff Boxshall氏 が紹介され,また両氏 より加盟の挨拶があ った.
2. 次 期 の 第 6 回 International Crustacean Congressは, Douglas Neil氏 が ホ ス ト と な っ て
U niversity of Glasgow (U K) か ら 誘 致 が 来 て い る. このこと, - ついて, Internat:Jonal Crustacean CongressのClosing CeremonyでDouglas N eil氏
朝 倉 彰 51
A
B
c
図1
A : 2001 年の国際甲殻類学評議員会がおこなわれたオーストラリアのメルボルン大学 .
B : 2000-2001 年 度 のT h e Crustacean Societyお よ び 国 際 甲 殻 類 学 評 請 員 会 の 会 長 のJens T. H 0eg氏
(右, University of Copenhagen, D enmark)
C : 2001 年の国際甲殻類学会メルボルン大会の代表者で 2002-2003年度のT he Crustacean Society会長の
52
国際甲殻類学評議員会International Crustacean Council
について が,誘致の講演を10
分おこな った.これについて 検討し,ICCoun
として,正式にお願いすること にした .次回は2005
年となる .3. 1998
年のアムステルダム大会の時は,今回 のオ ース トラリアの次は, プラジ ルということが 強く示唆されていた. しかしプラジルが開催を断 念した理由について ,結局 プラジ ル国内の態勢が 整わなかったと ,Sergio Bueno
氏か ら説明があ っ た.4 .
日本開催の可能性も打診 されたが,そのこ とについては,主として財政的な理由により次回 は難しいとの日本甲殻類学会の評議員会での結論 を,朝倉が説明した .5
.
University of Glasgow
の2005
年大会の後に ついては, まだ予定は決ま っていない.その次は2010
年の開催ということになり ,以 降5
年ごとに2015
年,2020
年と開催する .2010
年大会の可能性 については,プラジル,日本とも国内で検討して ほしい.6 .
今 回 オ ー ス ト ラ リ ア 大 会 の 成 果 に つ い て,Proceedings
を出 す か ど う か に つ い て は ,Poore
氏 か ら の 説 明 で , ア ム ス テ ル ダ ム 大 会 のProceedings
が相当に大部で ,今回もしそれと同 等 の ものをつくろうとすると,あま りに も大部 になりすぎる , コ ス ト が か さ み す ぎ る , 編 集 が 大変すぎる ,と の理由により,オーストラリア大 会 全体 の も の は , つ く ら な い . ただし,Plenary
session
の 話 題 , お よ び一部のシンポジウム (例 え ばRafael Lemaitre
とChirs Tudge
の 主 催 し たAnomuran Symposium)
で は,それぞれ独自に出 版する予定になっている .7.
次 期T h e Crustacean Society S u m m e r
Meeting
は,Fourth European Crustacean
Conference
と ジ ョ イ ン ト でKrzystof Z
泣dzewski
氏 が ホ ス ト と な り,U niversity of
Lodi (Poland)
でおこなう .