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産褥早期の足湯が乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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産褥早期の足湯が乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響

Effects of

Ashiyu during early-stage postpartum period on nipple shape

and the condition of nipples and areolae

小 島 德 子(Tokuko KOJIMA)

* 抄  録 目 的 産褥早期に直接授乳をしている褥婦への足湯を継続して行い,乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす 影響を定性的に評価し検討する。 対象と方法 対象は,産褥早期に直接授乳をする褥婦25名で,無作為割り付けによる足湯群14名とコントロール 群11名の2群間比較を行った。評価指標は,ピンチテストによる乳頭形態の判別と触診による乳頭・乳 輪の状態とした。本研究は,愛知医科大学看護学部倫理委員会の承認を得て実施した。 結 果 仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値(範囲))は,足湯群2.0(2~3)日(n=5),コントロー ル群 4.5(4~5)日(n=4)であり(p<.05),扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群 2.0(2~3)日 (n=6),コントロール群4.0(3~4)日(n=5)であった(p<.05)。乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足 湯群2.0(2~3)日(n=8),コントロール群 4.5(3~5)日(n=6)であり(p<.01),乳輪「硬」が「軟」に変 化した日は,足湯群3.0(2~4)日(n=3),コントロール群4.0(4~4)日(n=1)であった。乳輪浮腫の状 態が消失した日は,足湯群3.0(3~3)日(n=2),コントロール群4.5(4~5)日(n=2)であった。 乳頭形態・乳輪の状態が「問題なし」(n=5),乳頭「軟」(n=11),乳輪「軟」(n=21)の各該当者は,両 群ともに産褥5日間その乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化はなかった。 結 論 産褥早期の褥婦への足湯により,仮性陥没乳頭・扁平乳頭は正常乳頭に,乳頭・乳輪は柔らかい状態 へとコントロール群よりも早期に変化し,乳輪浮腫は早期に消失した。このことから,産褥早期の足湯 は,褥婦の乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に良い影響を及ぼすことが示唆された。 キーワード:産褥早期,足湯,2群間比較,乳頭形態,乳頭・乳輪 2018年5月12日受付 2019年2月12日採用 2019年6月30日公開 *愛知医科大学看護学部(Aichi Medical University College of Nursing)

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Abstract Purpose

The purpose of this study is to have early-stage postpartum period mothers who are engaged in direct breast-feeding undergoAshiyu for consecutive days, and to examine and qualitatively assess the effects of this exercise on their nipple shape and the condition of the nipples and areolae.

Subjects and Method

The subjects of the study were 25 mothers engaged in direct breast-feeding during early-stage postpartum period. The subjects were randomly assigned to two groups for comparison: anAshiyu group with 14 subjects, and a control group with 11 subjects. The assessment metrics used were discernment of nipple shape through a pinch test and the condition of the nipples and areolae through palpation. The study was conducted after receiving confirmation from the Aichi Medical University College of Nursing Ethics Committee.

Results

The median of number of days in which temporarily-inverted nipples changed to ordinary nipples was 2.0 (range: 2-3; n=5) for theAshiyu group and 4.5 (4-5; n=4) for the control group (p<.05); the median number of days in which flat nipples changed to ordinary nipples was 2.0 (2-3; n=6) for theAshiyu group and 4.0 (3-4; n=5) for the control group (p<.05). The median number of days in which nipples changed from“hard” to “soft” was 2.0 (2-3; n=8) for the Ashiyu group and 4.5 (3-5; n=6) for the control group (p<.01); the median number of days in which areolae changed from“hard” to “soft” was 3.0 (2-4; n=3) for the Ashiyu group and 4.0 (4-4; n=1) for the control group. The median number of days in which any areolar edema disappeared was 3.0 (3-3; n=2) for theAshiyu group and 4.5 (4-5; n=2) for the control group.

In each case where subjects had “no problems” in nipple shape nor in nipple or areola condition, or where subjects had“soft” nipples and/or areolae, there were no changes in nipple shape nor in nipple or areola condition during the five days of postpartum, in either of the groups.

Conclusion

Administration of Ashiyu to early-stage postpartum period mothers led to the following outcomes: temporarily-inverted nipples, flat nipples changed to ordinary nipples, nipples and areolae softened more earlier than a control group, and areolar edema earlier disappeared. This suggests thatAshiyu during early-stage postpartum period has a good effect on mothers’ nipple shape and the condition of their nipples and areolae.

Key words: early-stage postpartum period, Ashiyu, two-group comparison, nipple shape, nipples and areolae

Ⅰ.緒   言

母乳育児の確立には,直接授乳がスムーズに行われ ることが必要であり,母親の乳頭形態が影響すると言 われている(永井,1981;立岩,1984)。影響する内 容として,乳頭形態が扁平・陥没であるために児の吸 着や吸啜ができず,乳房に乳汁のうっ滞・うっ積を来 たしていること(細川他,1988,p.201),陥没乳頭が 授乳困難の要因になっていること(佐藤他,2010, p.70),扁平乳頭が乳汁の分泌不良の因子であること (立岩,1984,p.454)があげられている。そのため, 妊娠中からの乳頭の手入れが必要であることが,先行 研究において報告されている(今泉,2011;木戸他, 2017;日下部他,2005;小塩,2015;柴倉他,2002)。 また,乳頭形態は,妊婦の母乳育児に対する不安のみ でなく美容上の見地からも精神的な影響を与えるとい うことを考慮しなければならない。現在,妊婦の乳頭 に対しては出生まで手入れすることなく,自然にして おくことが最良の準備と考えられている(水野他, 2012,p.36)。出生後は,乳汁産生能力を高めるため, 早期接触や産褥早期からの頻繁な授乳が重要となる (水野,2010,p.1587)。 乳頭形態について先行研究では,足が冷たくなりや すい妊婦に小乳頭及び陥没乳頭が見られること(たつ の,2005,p.714),冷えの自覚がある褥婦に扁平乳頭 及び陥没乳頭が見られること(畑佐他,2008,p.96) が,報告されている。高田ら(2000)は,主観的な冷 感への対応には,血流を良くすることが最も有効であ ると温浴を対応例に挙げている(p.73)。著者は,妊婦 の乳頭に対して出生までは何ら介入せず,出生後の介 入として全身の血液循環を促す効果を有する足湯に着 目した(松原,2001;竹本他,2007)。足湯は,「湯に 浸かる」という文化的習慣を持つ日本人にとって耳馴 染みがあり,かつ日常生活の中で容易に取り入れるこ

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とができるケアである。 日本において足湯の研究はごくわずかであり,多く の研究が足浴に関するものであった。母性看護領域に おける足浴に関する先行研究では,下肢浮腫に対する 改善効果(樋口他,2005),乳輪を柔らかくし乳頭伸 展性の増加及び乳頭亀裂予防効果(奥山他,2003), 乳房皮膚温の上昇効果(小西他,2006),乳輪温の上 昇 及 び 乳 頭 ・ 乳 房 が 柔 ら か く な る 効 果(小 西 他, 2010)などが報告されている。そのため,足浴の効果 が乳房の状態にも関連すると推測されるが,直接授乳 の成否の決め手となる乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態 に及ぼす影響は明らかにされていない。 本研究は,産褥早期に直接授乳をしている褥婦への 足湯を産褥1日目から継続して行い,乳頭形態と乳頭 ・乳輪の状態に及ぼす影響を定性的に評価し検討する ことを目的とした。 [用語の定義] 足湯:湯に足を浸した状態を保つことで,足を洗う 行為・マッサージを伴わないもの(岡本他,2010)。 使い方においては,足湯<足浴<看護技術などのよう に抽象的な視点の階層を上げ,抽象度を上げた‘足浴’ と区別をしている。本研究では,「湯に浸かる」という 単一な技術の効果を検討する必要があるため,他の技 術と併用される‘足浴’ではなく足湯を採用している。 英訳においても足湯を“Ashiyu”として用い,foot bath

としないこととする。 産褥早期:出産後の入院期間中の時期で,出産後か ら産褥5日目までの時期(石村他,2010)。 母乳育児:母親が自身の母乳を直接授乳し児に与え 発育を促していくこと。 乳頭形態:本研究において判別する内容は,真性陥 没乳頭・仮性陥没乳頭・扁平乳頭の有無である。 乳頭・乳輪の状態:本研究において判別する内容 は,乳頭・乳輪の硬さ,及び乳輪浮腫の有無である。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究デザイン 研究デザインは,非盲検化フィージビリティ研究で ある。対象を無作為割り付けにより2群に分け,一方 を足湯群,もう一方をコントロール群とした。割り付 け方法は封筒法で,密封された不透明な封筒を使用 した。 2.研究の対象 実施期間中(後述)の分娩予約者のうち,以下の選 択基準を満たし,かつ除外基準にあてはまらない産褥 早期に直接授乳をする褥婦を対象とした。 選択基準は,母乳育児を希望する経腟分娩後の褥婦 で,除外基準は日本語文章の理解が不可能な褥婦及び 研究参加時の年齢が20歳未満の褥婦とした。

サンプルサイズは,standardized effect size=0.8 を 使用して算出した(Hulley, et al., 2013)。2群で正規分 布に従う連続変数の平均値を t 検定で比較する場合, 有意水準 0.05,検出力 0.8 となるように計算した結果 から各群15名が必要とされた。実施期間(後述)の条 件から,最終的に足湯群 14 名,コントロール群11 名 となった。 3.実施期間 平成24年3月19日~8月31日 4.実施場所 東海地方にある助産所1か所 5.データ収集方法 研究を開始するに先立って,助産院長に研究目的を 説明し,協力を要請した。 助産院長が研究対象候補のすべての褥婦に,研究者 の訪問受け入れを依頼した。研究対象候補の褥婦から 訪問の同意を得られた後,研究者は褥婦に産褥1日目 の面会をし,本研究の目的及び内容を口頭と文書にて 説明した。「封筒法」によって割り付けられた群につい て,インフォームドコンセントを得た。 研究者は対象者の基礎データを収集した。研究実施 期間は,産褥 1 日目からそれに続く 5 日間であった。 この間のデータ収集スケジュールは,一人の研究者が 実験の手順のとおりに実施した。介入及び評価指標の 測定は,同一の研究者が実施した。 1)基本的属性 対象者の分娩時の年齢,身長,非妊時体重BMI,分 娩時体重BMI,体重増加量,出生時体重,初・経産の 別,月経周期,下肢冷感,乳型,乳頭形態,乳頭の状 態(硬さ),乳輪の状態(硬さ),乳輪の状態(浮腫)に ついて収集した。 2)評価指標 「正常乳頭」は,佐世ら(2012)によると直径及び側 壁の長さがおよそ1.0cm程度の円柱状で突出している

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ものとされている(p.653)。本研究の対象者に対して, 正常乳頭から逸脱している状態をピンチテスト(pinch test)にて分類し,評価した。この評価指標は,ピン チテストによる乳頭形態の判別と触診による乳頭・乳 輪の状態(硬さの判別・浮腫の有無)とした。 ピンチテストとは,親指と人差指で乳輪を乳頭基部 に向けて圧迫し,乳頭の形態をみることである(我部 山他,2009,p.105)。判別は,「真性陥没乳頭」はピン チテストにて乳頭が突出せずさらに陥没する,「仮性 陥没乳頭」はピンチテストにて乳頭が突出する,「扁平 乳頭」はピンチテストにて少し陥没し乳頭側壁の長さ 0.4cm以下としている。 触診による乳頭・乳輪の硬さの判別は,「硬」は鼻翼 の硬さ,「中」は口唇の硬さ,「軟」は耳たぶの硬さとし ている。また,「乳輪浮腫」は指圧により体液が周囲に 移動し圧窩を残すものとし,その有無を確認した。 3)環境設定 評価指標の測定は,室温 24~26°C,湿度 50~60%, 無風状態に設定した褥室で実施した。敷いてある布団 の上に円座クッションを使用し,座位の姿勢で測定 した。 4)介入と測定の流れ 足湯群に対して,介入前(足湯前)に評価指標を測 定した。次に,足湯(介入)を実施した。足湯は,室 温 25~26°C,湿度 60~70%,無風状態に設定した浴 室で実施した。褥室から浴室までの移動距離は 10m で,褥婦は歩いて移動した。体位は浴槽内に背板付き の産褥椅子を用いた座位の姿勢であった。その後,褥 婦は浴室から褥室まで歩いて移動し臥位安静とした。 介入終了2時間後(足湯終了2時間後),評価指標を測 定した。 足湯の条件は,全身の血液循環の促進を目的とし て,先行研究の結果(玄田,1979;高橋他,2010)を 参考に,以下のように設定した。湯温は 42°C,浸漬 時間は 20 分間,浸漬部位を対象者の膝下高に調節し た。湯量は,股下長の個人差を産褥椅子の下に置く硬 めのバスマット及び産褥椅子の座面上に置くパットを 用いて,対象者の膝下まで浸漬する量に調節した。足 湯終了直後は,皮膚表面からの熱放散を低下させるた め,浸漬部位に 25°C の水シャワーをサッとかけ,直 ちに乾いたタオルで拭くこととした。足湯中,顔面に 発汗が見られる場合はタオルを用い,軽く押さえなが ら汗を吸引し,発汗によって不感蒸泄以上に熱が奪わ れないように注意した。足湯終了後においても,全身 に発汗が見られる場合は,タオルで軽く押さえながら 褥室へ移動した。 コントロール群に対しても,介入前(足湯前)に評 価指標を測定した。次に,臥位安静(介入)とした。 引き続き褥室において敷いてある布団の上に臥位の姿 勢とし,介入終了2時間後(足湯終了2時間後)まで臥 位安静とした。その後,評価指標を測定した。 従属変数への影響が一定となるよう,以下のように 剰余変数を統制した。研究実施期間は,先行研究(樋 口他,2005)を参考に,産褥 1 日目から継続して実施 した。開始時刻は,自律神経活動の影響を受けないよ うに,褥婦の朝食後1時間かつ授乳後30分を経過して いることとした。本研究では,新生児の吸着・吸啜状 態,授乳回数,授乳所要時間を統制しない剰余変数と した。研究の実施中(約 2 時間 30 分)は,新生児を助 産師に預けた。 6.分析 対象者の属性は,記述統計及び足湯群とコント ロール群の2群間の均一性を確認するため,対応のな いt検定及びχ2 検定を行った。乳房形態及び乳頭・乳 輪の状態が変化した日の比較は,両群の介入前におけ る乳房の観察所見より Mann-Whitney の U 検定を行っ た。この観察時期は,研究を開始した時点(産褥 1日 目の介入前)からの経日的変化をみるため,介入前の 1時点とした。乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態の経日 的変化・経時的変化(介入前後)を視覚的に描いて比 較した。この観察時期は,研究を開始した時点(産褥 1日目の介入前)からの経時的変化を含むため,介入 前と介入後の2時点とした。 統計ソフト SPSS Statistics ver.25を用い,有意水準 を5%未満とした。 7.倫理的配慮 本研究は,愛知医科大学看護学部倫理委員会の審査 ・承認を受け研究を開始した(審査承認番号35)。 対象者には,研究により不利益を受けることなく, 自由意思で研究への参加・不参加ができること,研究 参加の意思表示の撤回や中断の自由を保証することな どを口頭と文書にて説明し,同意が得られた対象者に 同意書を交わした上で実施した。 対象者に健康障害等の有害事象が発生した場合は, 直ちに足湯等を中止とし,バイタルサインのチェック 及び一般状態の観察を行うこと,健康被害等の有害事

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象の改善が見られない場合は,助産院の嘱託医への連 絡を助産院長に依頼すること,保険診療による対応と なることを説明した。

Ⅲ.結   果

1.基本的属性 対象者の属性を,表1に示した。 今回,25名の対象者から産褥5日間の入院予定での 研究参加の同意を得たが,11 名の対象者が乳汁分泌 の状態及び新生児体重増加が良好であったため,対象 者の希望により早期退院となった。対象者数の経日的 変化は,産褥2日目まで足湯群14名・コントロール群 11名,産褥 3 日目は足湯群 13 名・コントロール群 11 名,産褥4日目は足湯群11名・コントロール群10名, 産褥 5 日目は足湯群 5 名・コントロール群 9 名であっ た。早期退院の対象者数は,足湯群が 9 名,コント ロール群は2名であった。 表1 対象者の属性 項 目 全体 n=25 ■ 足湯群 n=14 ■コントロール群 n=11

Mean (SD) Mean (SD) Mean (SD)

分娩時の年齢(歳)a 33.5 (3.0) 34.0 (2.4) 32.9 (3.7) 身長(cm)a 159.6 (4.8) 160.0 (4.2) 159.2 (5.6) 非妊時体重BMI(kg/m2a 20.3 (1.6) 20.3 (1.6) 20.3 (1.6) 分娩時体重BMI(kg/m2a 24.1 (2.1) 24.3 (1.8) 23.8 (2.4) 体重増加量(kg)a 9.3 (2.3) 10.3 (2.0) 8.1 (2.1) 出生時体重(g)a 3098.2 (391.9) 3167.0 (413.9) 3011 (361.5) n (%) n (%) n (%) 初・経産の別b 初産 7 (28.0) 3 (21.4) 4 (36.4) 1回経産 18 (72.0) 11 (78.6) 7 (63.6) 月経周期b 25~38日迄 16 (64.0) 10 (71.4) 6 (54.5) 39日以上 9 (36.0) 4 (28.6) 5 (45.5) 下肢冷感b 24 (96.0) 14 (100.0) 10 (90.9) 無 1 (4.0) 0 (0.0) 1 (9.1) 乳型b IIa 6 (24.0) 3 (21.4) 3 (27.3) IIb型 10 (40.0) 5 (35.7) 5 (45.5) III型 9 (36.0) 6 (42.9) 3 (27.3) 乳頭形態b 問題なし 5 (20.0) 3 (21.4) 2 (18.2) 仮性陥没乳頭 9 (36.0) 5 (35.7) 4 (36.4) 扁平乳頭 11 (44.0) 6 (42.9) 5 (45.5) 乳頭の状態(硬さ)b 11 (44.0) 6 (42.9) 5 (45.5) 硬 14 (56.0) 8 (57.1) 6 (54.5) 乳輪の状態(硬さ)b 21 (84.0) 11 (78.6) 10 (90.9) 硬 4 (16.0) 3 (21.4) 1 (9.1) 乳輪の状態(浮腫)b 問題なし 21 (84.0) 12 (85.7) 9 (81.8) 乳輪浮腫 4 (16.0) 2 (14.3) 2 (18.2) 観察時期:研究を開始した時点(産褥1日目の介入前)

BMI(体格指数:Body Mass Index)。BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)) 体重増加量(kg)=分娩時体重-非妊時体重 乳型:IIa型=おわん型下垂伴わない,IIb型=おわん型下垂している,III型=下垂が著しい 乳頭形態:ピンチテスト(pinch test)により判別する。 仮性陥没乳頭=ピンチテストにて乳頭が突出する。 扁平乳頭=ピンチテストにて少し陥没する。乳頭側壁の長さ0.4cm以下。 乳頭・乳輪の硬さ:硬=鼻翼の硬さ,軟=耳たぶの硬さ 乳輪浮腫=指圧により体液が周囲に移動し圧窩を残すもの。 a:対応のないt検定結果は,すべてn.s.である。n.s.:not significant b:χ2検定結果は,すべてn.s.である。n.s.:not significant 注)パーセンテージ(%)は小数第2位を四捨五入しており,その合計値は必ずしも 100にはならない。

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対象者の属性において足湯群・コントロール群の2 群間に有意差は認められなかった。 分娩時の年齢(平均値±標準偏差)は,足湯群34.0± 2.4歳(n=14),コントロール群 32.9±3.7歳(n=11)で あった。 下肢冷感は,「有」が24名(足湯群14名(100%)・コ ン ト ロ ー ル 群 10 名(90.9%)),「無」は 1 名(コ ン ト ロール群(9.1%))であった。 乳型は,IIb型が10名(足湯群5名(35.7%)・コント ロール群 5 名(45.5%)),次いで III 型が 9 名(足湯群 6 名(42.9%)・コントロール群3名(27.3%)),IIa型が6 名(足 湯 群 3 名(21.4%)・ コ ン ト ロ ー ル 群 3 名 (27.3%))であった。 乳頭形態は,扁平乳頭が 11 名(足湯群 6 名(42.9%) ・コントロール群5名(45.5%)),次いで仮性陥没乳頭 が 9 名(足湯群 5 名(35.7%)・コントロール群 4 名 (36.4%))であった。 乳頭の状態(硬さ)は,「硬」が 14 名(足湯群 8 名 (57.1%)・コントロール群 6 名(54.5)),「軟」は 11 名 (足湯群 6 名(42.9%)・コントロール群 5 名(45.5%)) であった。一方,乳輪の状態(硬さ)は,「軟」が 21 名 (足 湯 群 11 名(78.6%)・ コ ン ト ロ ー ル 群 10 名 (90.9%)),「硬」は 4 名(足湯群 3 名(21.4%)・コント ロール群1名(9.1%))であった。 乳輪の状態(浮腫)は,問題なしが 21 名(足湯群 12 名(85.7%)・コントロール群9名(81.8%)),乳輪浮腫 は 4 名(足湯群 2 名(14.3%)・コントロール群 2 名 (18.2%))であった。 乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態において,該当する 問題の数は複数を含み,その内訳は 3 つ該当が 5 名 (20%(足湯群 3 名・コントロール群 2 名)),2 つ該当 が 8 名(32%(足湯群 5 名・コントロール群 3 名)),1 つ該当が 11 名(44%(足湯群 5 名・コントロール群 6 名)),該当なしが1名(4%(足湯群))であった。 研究開始時点の乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態 (ベースライン)で,足湯群・コントロール群の2群間 に有意差は認められなかった。 2.乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態が変化した日 乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態がより良い形態・状 態へと変化した日を,表2に示した。 表2の対象者は,表1(対象者の属性)の仮性陥没乳 頭(9名),扁平乳頭(11 名),乳頭「硬」(14 名),乳輪 「硬」(4 名),乳輪浮腫(4 名)の該当者(延べ人数 24 名)である。 仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値(範 囲))は,足湯群 2.0(2~3)日(n=5),コントロール 群4.5(4~5)日(n=4)であり,足湯群に有意差を認め た(p=.016)。扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は, 足 湯 群 2.0(2~3)日(n=6), コ ン ト ロ ー ル 群 4.0 (3~4)日(n=5)であり,足湯群に有意差を認めた (p=.017)。乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群 2.0(2~3)日(n=8),コントロール群 4.5(3~5)日 (n=6)であり,足湯群に有意差を認めた(p=.001)。 乳頭(形態・硬さ)については,すべて有意差を認め, 足湯群がコントロール群よりも早く変化した。 乳 輪「硬」が「軟」に 変 化 し た 日 は, 足 湯 群 3.0 (2~4)日(n=3),コントロール群4.0(4~4)日(n=1) であった。乳輪浮腫の状態が消失した日は,足湯群 3.0(3~3)日(n=2),コントロール群 4.5(4~5)日 表2 乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態が変化した日 (単位:産褥日数) 項 目 足湯群 n=14 ■ コントロール群 n=11

n Median (range) n Median (range) p 仮性陥没乳頭の変化日a 5 2.0 (2~3) 4 4.5 (4~5) 0.016* 扁平乳頭の変化日b 6 2.0 (2~3) 5 4.0 (3~4) 0.017* 乳頭 「硬」の変化日c 8 2.0 (2~3) 6 4.5 (3~5) 0.001** 乳輪 「硬」の変化日d 3 3.0 (2~4) 1 4.0 (4~4) 0.500 乳輪浮腫の消失日e 2 3.0 (3~3) 2 4.5 (4~5) 0.333 観察時期:介入前の1時点 a~eの対象者は,表1の仮性陥没乳頭・扁平乳頭・乳頭「硬」・乳輪「硬」・乳輪浮腫の該当者 a:仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日 b:扁平乳頭が正常乳頭に変化した日 c:乳頭が「硬」の状態から「軟」に変化した日 d:乳輪が「硬」の状態から「軟」に変化した日 e:乳輪浮腫の状態が消失した日 Mann-Whitney U Test. * p<0.05, ** p<0.01

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(n=2)であった。乳輪(硬さ・浮腫)については有意 差を認めなかった(順にp=.500,p=.333)が,変化し た日は足湯群がコントロール群よりも早かった。 3.乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態の経日的・経時的 変化 乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態の経日的変化・経時 的変化を,図1に示した。 図1の対象者は,表1(対象者の属性)の仮性陥没乳 頭(9名),扁平乳頭(11 名),乳頭「硬」(14 名),乳輪 「硬」(4 名),乳輪浮腫(4 名)の該当者(延べ人数 24 名)である。 仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群が 産褥2日目 3名・3日目2名,コントロール群は産褥 4 日目2名・5日目2名であった。介入前後では,産褥2 日目 1名・ 3 日目 1 名が介入終了 2時間後に変化した。 仮性陥没乳頭の 9 名全員(足湯群 5 名・コントロール 群 4 名)が乳頭「硬」を合併しており,乳頭が「硬」か ら「軟」への変化後に仮性陥没乳頭は正常乳頭に変化 した。 扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群が産褥 2日目4名・ 3日目2名,コントロール群は産褥3日目 2名・4日目3名であった。介入前後では,産褥2日目 4名・3日目1名が介入終了2時間後に変化した。扁平 乳頭の 11 名全員(足湯群 6 名・コントロール群 5 名) は,乳頭「軟」の状態であった。 乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群が産褥 2 日目6名・ 3日目2名,コントロール群は産褥3日目 1 名・ 4 日目 2 名・ 5 日目 3 名であった。介入前後では, 産褥2日目3名・3日目2名が介入終了2時間後に変化 した。 乳輪「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群が産褥 2 日目1名・3日目1名・4日目1名,コントロール群は 産褥4日目1名であった。介入前後では,産褥3日目1 名が介入終了2時間後に変化した。 乳輪浮腫が消失した日は,足湯群が産褥3日目2名・ コントロール群は産褥4日目1名・5日目1名であった。 介入前後では,産褥3日目2名全員が介入終了2時間後 に消失した。 乳頭形態や乳輪の状態に問題がなく,かつ乳頭・乳 輪が「軟」状態の足湯群1名は,産褥5日間その乳頭形 態及び乳頭・乳輪の状態に変化はなかった。また,い ずれかに該当した 24 名(足湯群 13 名,コントロール 群11名)は,それぞれ該当しない問題について産褥5 日間その乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化はな かった。

Ⅳ.考   察

1.乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態の変化 仮性陥没乳頭の変化日・扁平乳頭の変化日・乳頭 「硬」の変化日は,足湯群の方がコントロール群より も 2 日早く,また乳輪「硬」の変化日・乳輪浮腫の消 失日も足湯群はコントロール群よりも1日早く改善の 変化が見られた。両群において直接授乳及び頻繁な授 乳の条件は同じであり,これらの変化は足湯による影 響と考えられる。 奥山ら(2003)は,産褥1日目から隔日の足浴(浸漬 部位:三陰交のツボまでの設定)を実施し,産褥 3日 目の介入後,産褥 5 日目の介入後に,乳頭「硬」から 「軟」への経時的変化を報告している(p.37)。また, 小西ら(2010)も,奥山ら(2003)と同じ条件の足浴に 足マッサージを併用し,産褥 3 日目の介入後に乳頭 「軟」の傾向を示したと述べている(p.389)。本研究 は,産褥 1日目から継続した足湯(浸漬部位:膝下高 までの設定)を実施しており,足湯群が産褥 2日目に おいて乳頭が有意に「軟」となっている。そのうち 3 名は産褥2日目の介入前にすでに「軟」となり,産褥1 日目の 1 回の足湯が効果を促したと推察された。ま た,他の 3 名は産褥 2 日目の介入前に「中」に変化し, 同日介入終了2時間後に3名全員が「軟」に変化してい る。先行研究との比較により「湯に浸かる」足湯は, 足マッサージを併用せずとも乳頭の状態に良い影響を 及ぼしていると考えられた。 また,本研究が先行研究と比較して有意な結果を得 られた要因は,膝下高までの浸漬部位と継続した足湯 と考えられる。水中では深さに比例した水の重力に応 じて圧力を受ける(嶋田他,2010,p.136)。本研究の 「湯に浸かる」足湯は,浸漬部位を膝下高までと設定 していたため,血管や筋肉に静水圧がかかり,血流を 促進させることから乳房への血流が多くなったと推察 される。下腿への浸漬水位の違いは,体温調節機能に 関係することが示唆されている(藤平他,2014)。藤 平ら(2014)は,下腿の中央部付近までの水位の方が, 外内果の直上よりも温熱終了直後の体温が高いことを 報告している(p.50)。足湯により,皮膚温が上昇し, 体温が上昇することで基礎代謝が上昇する。すると血 液の循環が促進される。乳頭は妊娠とともに硬化する

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群 群 n 介入前 介入後 介入前 介入後 介入前 介入後 介入前 介入後 介入前 介入後 足湯群 ● 退院 (n=5) ● 院 退 ● ● ● コントロール群 ● (n=4) ● ● ● 足湯群 ● (n=6) ● 退院 院 退 ● 院 退 ● 院 退 ● 院 退 ● コントロール群 ● (n=5) ● ●退院 ● ● 退院 足湯群 ● (n=8) ● 退院 ● 院 退 ● △ 院 退 ● △ 院 退 ● △ △ ● △ ● コントロール群 ● (n=6) ● ● ● ● ● 足湯群 ● 退院 (n=3) △ ● 退院 ● ● 足湯群 △ ● (n=2) △ ● 退院 コントロール群 ● (n=2) ● 観察時期:介入前と介入後(介入終了後2時間後)の2時点 a~eの対象者は,表1の仮性陥没乳頭・扁平乳頭・乳頭「硬」・乳輪「硬」・乳輪浮腫の該当者 a:●は,仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(時)を示す。 b:●は,扁平乳頭が正常乳頭に変化した日(時)を示す。 c:△は中(口唇の硬さ),●は軟(耳たぶの硬さ)の状態にそれぞれ変化した日(時)を示す。 d:△は中(口唇の硬さ),●は軟(耳たぶの硬さ)の状態にそれぞれ変化した日(時)を示す。 e:△は乳輪浮腫の指圧により痛みなし,●は乳輪浮腫の状態が消失した日(時)をそれぞれ示す。 ●から伸びている横線(-)は,同じ状態であることを示す。 産褥1日目 産褥2日目 産褥3日目 産褥4日目 産褥5日目 乳 輪 浮 腫 e コントロール群 (n=1) 仮 性 陥 没 乳 頭 a 扁 平 乳 頭 b 乳 頭 硬 c 乳 輪 硬 d 図1 乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態の経日的・経時的変化

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が,乳頭・乳輪に対する血液循環の促進が直接授乳に 必要な乳首の伸展性や搾乳容易度を良好な状態にして いる(林,1996)。本研究結果より,膝下高までの浸 漬部位が血液循環の促進に有用であったことが示唆さ れる。 産褥期には乳汁の分泌開始に伴い,組織の酸素消費 量 が 増 加 す る な ど 代 謝 の 亢 進 が 起 こ り(石 村 他, 2010,p.28)乳房への血流が多くなるが,継続した足 湯によりさらに血流が促進したと推察される。先行研 究の隔日実施の足浴(奥山他,2003)及び足浴・足 マッサージ(小西他,2010)は,本研究のコントロー ル群と類似した傾向があると考えられた。産褥早期に 乳房への関連を目的に足湯を実施する場合,隔日の3 日間(産褥 1 日目・ 3 日目・ 5 日目)よりも毎日の 5 日 間(産褥1日目~5日目)の方が,有効であると推察さ れた。基礎代謝が上昇するほど体温を上げるために は,連続した加温が必要である。樋口ら(2005)は, 帝王切開術後 2 日目から連続 5 日間の足浴を実施し, 下肢浮腫に対して術後 3 日目~5 日目に有意な改善効 果がみられたことを報告している(p.31)。 小西ら(2010)の研究結果から,乳頭が柔らかく なってから乳汁分泌量は増加していることが示唆され た(p.391)。渡邉ら(1993)は,乳汁分泌の良い人は乳 腺組織の血液循環・代謝が活発で乳房皮膚温が高いこ とを報告している(p.468)。畑佐ら(2008)も,冷えな し群は授乳回数や母乳分泌量が多く,乳房皮膚温を高 く維持できたと述べている(p.96)。一方,たつの (2005)は,温まりにくいと訴える妊婦は乳腺の発育 が 悪 く, 乳 汁 分 泌 が 少 な い こ と を 指 摘 し て い る (p.714)。石村ら(2010)の研究においても,乳房表面 の温度が上昇しない場合,乳汁分泌は不良であること が観察されている(p.29)。広義にとらえた乳輪部は, 血管と神経が多く分布している。本研究の「湯に浸か る」,「膝下高までの浸漬部位」,「継続」の足湯による 温熱効果から全身の血液循環が良好となり,血管が数 多く分布する乳輪の血管拡張が促され,乳輪「軟」と なり,乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化を与えた ものと考えられる。児は有効な吸啜を行い易く,その 吸啜刺激にてプロラクチンが分泌され,乳汁産生のた めさらに血流が増加するという正の影響を及ぼしたと も考えられた。 2.本研究の限界と今後の課題 本研究の限界は,以下のことが考えられる。 研究対象者数は,統計学的に計算した結果,30 名 (各群 15 名)が必要であったのに対し,実施期間の条 件から25名(足湯群:14名,コントロール群:11名) となり,必要予定数を満たさなかったことがあげられ る。また,25 名の研究対象者のうち,11 名は対象者 の希望による早期退院(途中脱落)となり,産褥 5 日 目まで完遂できなかったことがあげられる。 本研究の評価指標はソフトエンドポイントであり, かつ看護介入には盲検化やプラセボに相当する介入は 不可能であることから,盲検性は保たれていないこと があげられる。 生体観察に当たっての注意点として,対象者の反応 は,体調・気分・サーカディアンリズム(概日リズ ム)の変化によって,いつも同じにはならないことが あげられる。対象者が異なれば,さらなる反応の違い が生じてくる。また本研究は,産褥早期の計測時期の 条件が加わり,同一対象者への再検証が不可能である ことがあげられる。 今後は,対象者の生体としての恒常的な反応を得る ために,すべての剰余変数を一定に保ち変化させない ことや可能な限り剰余変数の無関与性の確保を行い, 観察・触診条件の整備と対象者数の増加により,本研 究の信頼性を高めていくことが課題である。

Ⅴ.結   論

直接授乳をしている産褥早期の褥婦への足湯が乳頭 形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響を比較検討した 結果,以下のことが明らかになった。 1. 仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値) は,足湯群 2.0日,コントロール群4.5日であり, 足湯群に有意差を認めた。 2. 扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群2.0 日,コントロール群4.0日であり,足湯群に有意 差を認めた。 3. 乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群 2.0 日,コントロール群4.5日であり,足湯群に有意 差を認めた。 4. 乳輪「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群 3.0 日,コントロール群4.0日であった。 5. 乳輪浮腫の状態が消失した日は,足湯群 3.0 日, コントロール群4.5日であった。 出生後の介入(足湯)により,仮性陥没乳頭・扁平 乳頭は正常乳頭に,乳頭・乳輪は柔らかい状態へとコ

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ントロール群よりも早期に変化し,乳輪浮腫は早期に 消失した。このことから,産褥早期の足湯は,褥婦の 乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に良い影響を及ぼすこと が示唆された。乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に対し て,出生後の介入に足湯は有効であり,母乳育児の確 立をめざす褥婦への支援になると推察された。 謝 辞 本研究にご協力くださいました 25 名の褥婦様及び ご家族の皆様,研究施設の皆様に深く感謝申し上げま す。また,本研究を進めるにあたりご指導をください ました一宮研伸大学看護学部の田辺圭子教授,元愛知 医科大学看護学部の箆伊久美子教授に心より感謝申し 上げます。なお,本研究は第 28 回日本助産学会学術 集会において発表した内容に一部加筆・修正したもの である。 利益相反 論文内容に関し開示すべき利益相反の事項はない。 文 献 藤平保茂,中村美砂,久利彩子(2014).温水での下腿浴 における身体への影響には水位が関係するか 温熱 終了直後の比較を通して.日本未病システム学会雑 誌,20(1),49-53. 玄田公子(1979).足浴の生体に及ぼす影響.滋賀県立短 期大学学術雑誌,(20),112-115. 畑佐樹里,鎌田香奈子,荒川愛子,岡田優美,下島亜紀 子,寺西亜砂美他(2008).冷え性と乳房皮膚温の関 連 母乳分泌における一考察.日本看護学会論文集 母性看護,(38),95-96. 林栄子(1996).妊娠中の乳房管理.周産期医学,26(4), 504-508. 樋口敏美,梅崎文子,中島佳緒里(2005).腹式帝王切開 術後の下肢浮腫に対する足浴の有効性.日本看護学 会論文集 母性看護,(36),29-31. 細川さやか,阿部喜代江,五十嵐祥江,玉川静香,森俊 彦,舟木憲一(1988).産褥期における乳頭形態不良 と母性準備期の乳頭形態との関連.母性衛生,29(2), 201-205.

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参照

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