算数科学習指導案
神石高原町立油木小学校 指導者 和田 衣里 1 日時・場所 平成20年○月○日(○)5校時 ひまわり学級 (知的障害) 2 学年 第1学年 1名,第2学年 1名,第6学年 1名 計3名 3 単元名 「かずとすうじ (わくわくさんすう1)」 「たしざん」 (さんすう☆☆☆ (わくわく算数2上)) 4 単元について , ( ) ( ) , , ○ 本学級の児童は B児 第2学年 とC児 第6学年 は 今までに誕生日会や栽培活動など 他教科等の指導内容との関連を図り,具体的な場面を通して,数に関する経験はしている。A児 (第1学年)は,3までは読んだり数えたりすることができるが,4・5については,理解が曖 昧で,数字も整った形を書くことが難しい。10までの数唱はできるが,1対1対応はできておら ず,数概念は育っていない。B児とC児は,2位数(19まで)+1位数の繰り上がりなしの筆算 の学習をし,位を意識しながら計算する方法を学習してきた。しかし,具体物や指を使ったり絵 や図をかいたりして,計算することもあり,数が大きくなると,計算が難しくなっている。 ○ A児の「かずとすうじ」では,10までの数における数対象と数字と数詞の対応や,具体物を用 いた活動を通しての1対1対応ができることをねらいとしている。B児の「さんすう☆☆☆」で は,2位数の構成や2位数+1位数で和が30以下の筆算の形に表して計算することをねらいとし ている。C児の「わくわく算数2上」では,筆算については,位に着目させ,計算のアルゴリズ ムを身につけることで,それに従ってすれば計算できるというよさを理解することをねらいとし ている。また,具体物や半具体物を操作しながら,10のまとまりに着目させ,10集まると,1つ 上の位へ1繰り上がるという十進位取り記数法も理解することもねらいとしている。 この単元を通して数概念を捉えることで,算数的事象を自分で考える力になっていくと考えら れる。このことは,本校の求める子ども像「気づき,考え行動し,ふりかえり,発見の喜び・感 動を知る児童」の育成につながると考える。 本時では,A児は10までの数が数えられること,B児とC児は,2位数+1位数の繰り上がり のある筆算ができることをねらいとしている。 ○ 本単元の指導,本時の指導にあたっては,次の工夫をしていく。 単元における工夫 本時の工夫 (ア)学習の流れをつかませる ①学習の流れを教室に提示しておき,一人ひと りが意識できるようにさせる。 ②学習の中で今何をしているのか意識させる。 ②「もんだい」「めあて」「かんがえる」「はっぴょう」 「れんしゅう」「まとめ」のカードを使って,学習 の中で今何をしているのか意識させる。 (イ)意欲づけ(内発的動機づけ)をする ①身近なもので,児童の興味・関心のもてる課 ①「買い物ごっこをしよう」という設定で,興味 題提示をする。 をもたせ,学習しようという意欲づけをする。 ②児童間で関わりをもたせ,自分たちで学習し ていくという意識をもたせる。 ③目標に合った場面を設け,できた・やったと ③課題解決することで 「買い物ができた」とい, いう達成感・成就感をもたせたり,以前の成 う成就感をもたせる。 功感を思い出させたりする。 ④おやっという疑問をもたせ,問題意識をもた せる。 (ウ)個に応じた課題設定の工夫 ①個に応じて,少しずつ段階をおったものを設定する。 , , ②絵や写真などを使い,個に応じてわかりやす ②絵などを使い 個に応じてわかりやすく提示し く提示し,自分のめあてを意識させる。 自分のめあてを意識させる。 (エ)個の課題に合った手だての工夫 ①何をすれば課題解決できそうか一人ひとり見 ①前時との違いに気づかせ,何をすれば課題解決 通しをもたせる。 できそうか,一人ひとり見通しをもたせる。 ②目標に迫る発問を工夫する。 ③課題解決に向けて自己選択・自己決定できる ように方法を考える。 ④見て分かるわかりやすい評価をする。 ⑤言語技術(主語と述語,結論→理由,ナンバ ⑤主語と述語のある言い方で話をさせるようにす リング)や関わり発言の表現方法を掲示し, る。結論を先に述べ,理由をつけて自分の考え 活用できるようにする。 を説明させるようにする。順序を表す言い方を 使って自分の考えを説明させるようにする。 (オ)教材教具の工夫 ①既習学習を掲示し,活かせるようにする。 ①既習事項を掲示し,前の学習を活かせるように しておく。A児には,10までの数の表を掲示し ておく。B児とC児には,繰り上がりのある筆 算の方法を掲示しておく。 ②一人ひとりの目標が達成できるように具体物 ②A児には 「数の箱」やドットカードを使わせ, や半具体物を準備する。 る。B児とC児には,位ごとに色を変えた用紙 を使い,位を意識させる。位や繰り上がりのわ かりやすいマス目のある用紙を準備しておく。 具体物を準備し,操作させる。実物のお金を用 意する。硬貨の種類や数の分かりやすい値段カ ードを用意する。 5 単元の目標 ・A児…10までの数が分かる。 ・B児・C児…2位数+2位数の繰り上がりのあるたし算の筆算ができる。 【 学習指導要領 】 A児 特別支援学校(知的障害)小学部[算数] 2段階(1) B児・C児 特別支援学校(知的障害)小学部[算数] 3段階(1) 6 指導計画 A児(全22時間) 次 指 導 計 画 評 価 評価方法 5までのかず ⑨ ・具体物と数図ブロックを対応させ,1~5の個数を数える 行動観察 ことができる。 発言 ・5までの数の系列が理解できる。 1 ・具体物,数図,数字の対応の理解ができる。 ・1から5までの数字をかくことができる。 行動観察 ・おはじきを用いて,5までの数の合成・分解ができる。 発言
ノート かずあそび ⑥ ・数字に対応させて数図ブロックを並べることができる。 行動観察 3 ・10までの数の大小を比較することができる。 発言 ・ばらばらに置かれたものの数を数えることができる。 ノート ・タンバリンの音の数を数え,数字で表すことができる。 B児・C児(全16時間) 次 指 導 計 画 評 価 評価方法 1位数+1位数の繰り ・1位数+1位数の繰り上がりのある筆算ができる。 行動観察 1 上がりのあるたし算② 発言 ノート 2位数+1位数の繰り ・2位数+1位数で,一の位に繰り上がりのある筆算ができ 行動観察 2 上がりのあるたし算⑤ る。 発言 (本時1/5) ノート 2位数+2位数の繰り ・2位数+2位数の繰り上がりのない筆算ができる。 行動観察 3 上がりのないたし算④ 発言 ノート 2位数+2位数の繰り ・2位数+2位数で,一の位に繰り上がりのある筆算ができ 行動観察 4 上がりのあるたし算⑤ る。 発言 ノート 7 本時の目標 ○ 個々の目標 児童 これまでの様子 目 標 A児 あめ お手玉 おはじきなどの1~5までの数を数えたり, , ,6から10までの数を数える 具体物を並べたり,数字を書いたりすることはできる。 ことができる。 B児 1位数+1位数の繰り上がりのある筆算の形で数字を見て 2位数+1位数で,一の位 繰り上がりの1を書くことができる。 に繰り上がりのある筆算が できる。 C児 1位数+1位数の繰り上がりのある筆算で,ブロックを操 2位数+1位数で,一の位 作して10のまとまりをつくり,十の位へ1を書くことがで に繰り上がりのある筆算が きる。 できる。 8 準備物 教師:果物の模型,値段カード,買い物かご,買い物カード,硬貨 「数の箱 ,プリント,, 」 ドットカード
9 学習過程 A児 B児・C児 評価方法 つ 1 問題把握をする。 具体物を見て,問題が分かる。 T : 問 題 を 聞 き ま し か 「 む ょう 」。 お買い物ごっこをします。 ひまわり果物屋には,バナナ15円,くり6円,りん ご18円,さくらんぼ4円の果物があります。 (A児へ)絵を見て同じ果物を準備しましょう。 (B児・C児へ)2つの果物を買います。合わせてい くらになるでしょう。 ○主語と述語のある言い方で話をさせるようにする。 (エ)⑤ ○「お買い物ごっこをしよう」という設定で,興味をも たせ,学習しようという意欲につなげる。(イ)① 2 今日の課題をつか 自分のめあてが分かる。 む。 ○個に応じて分かりやすく提示し,自分のめあてを意識 させる。(ウ)② 1つずつかぞえよう 2つの計さんのしかたを かんがえよう。 ○10までの数の表を掲示し,○式を言わせてから,たし 前時の学習を活かせるよ 算になる理由を言わせ うにしておく。(オ)① る。(エ)⑤ ○前時との違いに気づかせ る。(エ)① ○繰り上がりのある筆算の 方法を掲示し,既習の学 習を活かせるようにして おく。(オ)① ☆繰り上がりの1を書く ように確認させる。 ○何をすれば課題解決できそうか,一人ひとり見通しを もたせる。(エ)① さ 3 数や計算の仕方を 絵カードを見ながら,同 2つの値段のたし算の筆 ☆<A児>6か ぐ 考える。 じ果物を同じ数だけ取り 算をする。 ら10までの る T : 自 分 の 問 題 を 考「 出し,お店の準備する。 (B児)バナナとくり 数を数える ・バナナ6本 15+6=21 21円 ことができ えましょう 」。 ・りんご7個 (C児)りんごとさくらんぼ る 。 ( 行 動 ・さくらんぼ8個 18+4=22 22円 観察) ・くり9個 ○実物のお金を用意する。 ☆<B児C児> (オ)② 一の位に繰 ○10までの数の表を掲示し ○位ごとに色を変えた用紙 り上がりの
る。 だ 4 自分の考えを発表 自分の考えを発表する。 自分の考えを発表する。 し する。 ☆具体物を使って説明させ あ T : 自 分 の や っ た や「 る。 ○結論を先に述べ,順序を う り方を発表しましょ ○結論を先に述べ,自分の 表す言い方を使って自分 考えを説明させるように の考えを説明させるよう う 」。 する。(エ)⑤ にする。(エ)⑤ ○お店屋さんをする。 ○お客さんになり,計算し T : 買 い 物 ご っ こ を「 硬貨の種類と数を示した た金額を支払う。 しましょう 」。 値段カードを用意する。 ○実物のお金を用意する。 (オ)② (オ)② B児とC児の支払ったお 金と値段カードをマッチ ングさせる。 ○お客さんになり,買い物 ○お店屋さんをする。 カードの果物を数だけ買 A児が買った果物と買い う。 物カードをマッチングさ せる ○課題解決することで 「買い物ができた」という成就, 感をもたせる。(イ)③ 5 練習問題をする。 ○6~10の数を数える。 ○繰り上がりのあるたし算 ☆<A児>6か の筆算をする。 ら10までの T : 練 習 問 題 を し ま「 ○10までの数の表を掲示し ○位ごとに色を変えた用紙 数を数える しょう 」。 ておき,前の学習を活か を使い 位を意識させる, 。 ことができ せるようにしておく。(オ) (オ)② る 。 ( 行 動 ① ○位や繰り上がりのわかり 観察) ○困ったときは 「数の箱」, やすいマス目のある用紙 ☆<B児C児> やドットカードを使わせ を準備しておく。(オ)② 一の位に繰 る。(オ)② ☆繰り上がりの1を書かせ り上がりの る。 ある筆算が ま 6 学習のまとめをす 分かったことを発表する。 できる (プ。 と る。 ☆個々のめあてに沿ったまとめを言わせる。 リント) め T : 今 日 の 学 習 の ま「 ○主語と述語を使って発表させるようにする。(エ)⑤ ・ぼくは,1ずつ数えまし ・ぼくは 「繰り上がりの とめをしましょう 」。 , た。 ある時は,繰り上がりの ・ぼくは,6から10を数え 1を書いて,十の位を全 ました。 部たす」ということが分 かりました。 10 評価の観点 ○ 個に応じて分かりやすい課題提示をして見通しをもたせることができたか ○ 個の課題にあった手だてができたか ○ 一人一人の目標が達成できるような教材・教具であったか
○ 参考資料
特別支援学校(知的障害)
小学部
学習指導要領解説
[算数] 1 目 標 具体的な操作などの活動を通して,数量や図形などに関する初歩的なことを理解し,それらを 扱う能力と態度を育てる。 2 内 容 ○1段階 (1)具体物の有無が分かる。 (2)身近にあるものの数量に関心をもつ。 (3)身近にあるものの形の違いに気付く。 ○2段階 (1)身近にある具体物を数える。 (2)身近にあるものの長さやかさなどを比較する。 (3)基本的な図形や簡単な図表に関心をもつ。 (4)一日の時の移り変わりに気付く。 ○3段階 (1)初歩的な数の概念を理解し,簡単な計算をする。 (2)身近にあるものの重さや広さなどが分かり,比較する。 (3)基本的な図形が分かり,その図形を描いたり,簡単な図表を作ったりする。 (4)時計や暦に関心をもつ。 A 児 2段階(1) 身近にある具体物を数える。 ① 各段階の(1)に示す内容は,1段階では「数量の基礎 ,2・3段階では「数と計算」の観」 点から示している。 ② 2段階の「身近にある具体物を数える」は 「数を数える 「一対一対応をする 「分類する」, 」 」 などの内容が挙げられる。 「数を数える」では,1~ 10 の範囲で,一つずつ数詞を獲得していくことを指導する。その 際,手を触れたり,動かしたり,両手で囲ったりしながら正確に対応させていくことが大切であ ( , , 。)。 る 例えば 大型の積み木などを積んで数を数えたり 比べたりして多い少ないが分かること また,順序数を唱えたり,数字を読んだり書いたりするなどの数詞の活用を,日常生活経験の中 で繰り返し学習することが大切である。集合数の理解は,具体的な事物を加えたり減らしたりす ることなどの活動(例えば,5までの数で,合わせていくつ,いくつといくつに分けられるなど を具体物や積み木に置き換えて理解すること)を経て,加法・減法の基礎理解につながる重要な 指導内容である。 「一対一対応をする」では,数の多少が分かり,多い方(少ない方)を指すことを指導する。 例えば,給食の配膳やプリント配布などの生活場面において「同じ 「足りない 「余っている」」 」 の確かめを確実にすることなどである。 「分類する」では,1段階の指導を踏まえて,形,色,大きさに加え用途や目的や機能等に着 目することが大切である。 B児・C児 3段階(1) 初歩的な数の概念を理解し,簡単な計算をする。 ① 各段階の(1)に示す内容は,1段階では「数量の基礎 ,2・3段階では「数と計算」の観」その逆の減法を意味する)の加減算や乗法・除法の意味の理解などを取り扱う。簡単な「加法 ・ 減法」の計算においては,合併(合わせていくつ ・増加(~を入れるといくつ ,求残(残) ) り はいくつ ・減少(いくつ減った ・求差(いくつ違う ・不足(いくつ足りない)など,日常) ) ) 生 。 , ( , 活の中でそれを用いる場合やその意味について理解することが大切である また 用語 例え ば 合わせていくつ,みんなでいくつ,残りはいくつ,違いはいくつなど ・記号(+-= ・) ) 式な どの理解や筆算の方法を含む計算方法についての指導や,計算技能の向上を図ることも重要 であ る。特に活動場面を通じて具体的に指導したり,具体物を使って繰り返し指導するなど,計 算が それぞれ用いられる場面で生かされるように配慮することが大切である。