小学校における学級の適正規模に関する考察
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第57巻 第1号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.57,No.1. 平成18年8月 August,2006. 小学校における学級の適正規模に関する考察 木 塚 雅 貴. 北海道教育大学釧路枚英語教育学研究室. AConsiderationofProperClassSizeinPrimaryEducation KIZUKA Masataka. DepartmentofInitialTeacherEducation&TeacherDevelopmentinEnglishLanguageEducation, KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation,1−15−55,Shiroyama,Kushiro−Shi,Hokkaido,085−8580,JAPAN. Abstract. Thepurposeofthispaperistoclarifytheproperclasssizeinprimaryeducationonthebasisof. a)tworesearchprojectswhichIwasinvoIvedwithinJapanandb)suggestionstakenfromthebasic principleofclasssizeinEngland. Thispapermakesfivepointswithregardtotheproperclasssizeinprimaryeducation: 1.Classsizeshouldbedeterminedinaccordancewiththepupils’grade.Moreprecisely,Smal1erclasses arenecessaryforyounger−gradepupilsineveryaspectoftheirschoollife. 2.Thepresent,1argerclasssizedoesnotdispleasepupilsintheuppergrades,buttheirteachersand. parentswanttheclassestobecomesmal1erinordertofacilitateeducationalefEectiveness. 3.Sma11erclassesareefEectiveinsixways−enablingtheteachertograspindividualpupils’achievement ineachlesson,enablingtheteachertounderstandthepupils,allowingsufEicienttimeforteachersto talkwiththeirpupils,helpingpupilsconcentrate,Creatinganactiveandpositiveattitudeduringa lesson,andquicklyestablishinggoodrelationshipsamongpupils. 4.InsubjectssuchasMusicandPhysicalEducation,theproperclasssizeisfromtwenty−fivetothirty pupilsperclass,butinArtandDesignandIntegratedStudies,aSizeoflessthantwenty−fivepupils. ispreferable. 5.Smallerclasssizedoesnothavemucheffectonwhetherornotpupilsformthehabitofstudyingat home. Inconclusion,inprimaryeducationfewerthanthirtypupilsperclassisrecommended,eSpeCia11yfor. pupilsinthelowergrades.. 33.
(3) 木 塚 雅 貴. Ⅰ.問題の所在 近年,国により定められた「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(標準法). に基づく学級規模が,都道府県及び市町村により独自に引き下げられてきている.これは,少人数学級編制 を自治体独自の予算に基づき行うことにより生まれている事項であり,国による予算措置を伴わずに行われ ている.上記の動きの中で,第3期中央教育審議会においても国による学級編制基準の見直しが進められつ つある.2005(平成17)年10月23日中央教育審議会総会において答申案として提出された「新しい時代の義. 務教育を創造する」の中では,「学級編制に係る学校や市町村教育委員会の権限と責任を拡大する必要がある」(1) と述べられており,具体的には「市町村へ教職員の人事権の委譲」及び「標準法による教職員定数について,. 市町村での算定に改め,学校や市町村教育委員会の判断で学級編制が弾力的に実施できるよう現行の学級編 制の仕組みの見直し」を行う必要性が明記された.すなわち,これまで標準法により縛られてきた義務教育 諸学校の学級編制は,市町村の判断に基づきより柔軟に扱われ得ることになる.. 上記の状況下においては,市町村あるいは学校による学級編制の適正規模把握が重要事項となる.なぜな らば,最も必要とされる学年段階の学級編制規模を縮小することが,特に予算面からは不可欠な事項とされ るからである.. 本稿では,筆者が関与した学級編制に関する2種類のアンケート調査の結果を中心に他の類似の調査結果 を加味し,さらに国際的視点からイギリスにおける学級編制の基本概念の検討により得られる知見を加え, 小学校における学級の適正規模を考察することを主題とする.. 関与した調査は,1996(平成7)∼2000(平成11)年に日本教育学会課題研究並びに文部省科学研究費に より行われた「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」及び2004(平成16)∼2005年に埼玉県志木市教 育委員会少人数学級編制研究会により行われた「志木市立小学校における少人数学級編制(ハタザクラぷら すプラン)小学校1,2年生25人程度学級,小学校3年生28人程度学級 実施3年目 実績と実感調査の報 告」における研究である.両調査は,質問紙により学級の適正規模を明らかにすることを企図した研究であ り,実施時期も実施対象も全く異なっている.すなわち,前者は全国規模で行われた教員・児童への抽出調 査であるのに対し,後者は1つの市の教員・児童・保護者を対象とした局所的な調査である.このような違 いはあるものの,両調査には共通した質問事項が採り入れられており,それらが示す結果の比較は興味深い と言える.なぜならば,実施時期も規模も全く異なる調査において共通の結果が看取された場合,学級編制 に関わる本質的事項をそこから導き出すことができると考えられるからである.ただ,両調査のみに基づく 結果の考察では,調査結果の客観性に疑念を差し挟まれる可能性があるため,筆者が全く関与していない類 似の調査である「鳥取県教育委員会小中学校課 30人学級の考察について」(2004年実施)の結果を参考デー タとして加え,3種類の調査いずれかに共通して含まれている質問事項への回答結果の連関性を考慮に入れ ることにより客観性を確保しつつ,小学校における学級の適正規模を明らかにする方法を採る.. 以下では,まず近年の学級編制における国の政策動向を概観し,学級編制基準に変化が起こっている背景 を捉え,次に「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」及び志木市の調査結果に基づき,学級規模に関 する教員と児童の認識を明らかにする.その上で,「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」・志木市 の調査結果・鳥取県の調査結果において比較可能な質問事項について調査結果の比較分析を行う.そして,. イギリスにおける学級編制の基本概念を捉えた後,最後に3種類の調査結果及びイギリスにおける学級編制 が示唆する事項を明らかにし,小学校における学級の適正規模を考察する.. 34.
(4) 小学枚における学級の適正規模に関する考察. Ⅰ.近年の学級編制に関する国の政策 学級編制に関わる国の政策動向が大きく転換されつつあることは,前項の冒頭で述べた通りである.この 背景は,文部科学省により2005年8月に出された「今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告)」 の中で明確に述べられており,以下の2点が重要な柱として捉えられるであろう. ① 義務教育における1学級当たりの児童・生徒数並びに教員1人当たりの児童・生徒数(教員対児童・ 生徒数の比)を世界的視野で捉えた場合,日本の状況が好ましいとは考えられないこと. ② 現実的には,かなりの数の道府県において少人数学級編制がすでに実施されていること. 上記それぞれの事項について,具体的には以下のような状況を見出すことができる. ① 日本の1学級当たりの児童・生徒数は,初等教育28.7人・前期中等教育34.2人であり,OECD加盟 国中韓国についで2番目に多い水準である.OECD加盟国の平均値は,初等教育21.9人・前期中等教 育23.6人であり,日本との禿離が見出される.また,日本の教員1人当たりの児童・生徒数は,初等教 育20.3人・前期中等教育16.2人であり,OECD加盟国中韓国・トルコ・メキシコに次いで4番目に多 い水準である.OECD加盟国の平均値は,初等教育16.6人・前期中等教育14.4人であり,日本との開 きがある(2).. ② 文部科学省による「少人数学級の実施調査(平成17年度)」(3)によれば,小学校低学年では41道府県, 小学校中学年では13府県,小学校高学年では12府県,中学校では27府県がすでに少人数学級編制を実施 している.すなわち,小学校低学年に限って言えば,全国の約80%以上の道府県が少人数学級編制を実 施しており,もはや少人数学級編制は例外ではなく,寧ろ主流である. 以上の理由が背景となり,「今後の学級編制及び教職員配置について(中間報告)」がなされたと捉えるこ とが可能であろう.すなわち,国際的に見ても国内の状況に鑑みても,標準法に基づく40人学級が再検討の 盤上に載る状況が到来しているのである.. Ⅱ.学級規模の認識 小学校における適正学級規模認識に閲し以下では,「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」並びに 志木市が2004年3月に公表した「平成14年度志木市立小学校低学年25人程度学級編制実施∼その実態及び実. 感調査結果∼」の結果を検討することとする(4). 「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」において行った無作為抽出による全国4,663名の小学校教 員に対するアンケート調査の結果(表1中各学年の左側の数値)及び「平成14年度志木市立小学校低学年25 人程度学級編制実施」における志木市立小学校中・高学年担任66名に対するアンケート調査の結果(表1中 各学年の右側の数値)は,以下に示す通りである. 表1/ト学校学年段階別適正学級規模の認識 低. 学. 年. 高 学 年. 中 学 年. 20人以下. 53.3%. 31.9%. 22.8%. 21∼25人. 33.6%. 42.4%. 42.5%. 33.4%. 37.7%. 30.3%. 24.2%. 28.8%. 53.0%. 38.9%. 50.0%. 26∼30人. 9.2%. 31人以上. 0.6%. 無回答. 3.3%. 合 計. 100%. 1.5%. 2.3%. 12.1%. 1.5%. 3.6%. 100%. 100%. 14.6%. 5.2%. 9.1%. 10.6%. 3.6%. 100%. 100%. 100%. 35.
(5) 木 塚 雅 貴. 両者の調査結果から,共通する興味深い事項を読み取ることができる.すなわち,低学年・中学年・高学 年それぞれに適正と考えられる学級規模が存在し,学年段階が上がるにつれて,1学級当たりの許容人数が 増加しており,学級編制は学年段階に応じて行われる必要性があるということである.また,「学校・学級 の適正編制に関する総合的研究」における適正学級規模に関する認識は,低学年・中学年においては志木市 のそれよりも一段階小規模を指向している(表1中の太字箇所)が,高学年ではほぼ一致している.特に低 学年に関しては両者の調査結果が大きく異なっている印象を受けるが,これは志木市の調査の場合,すでに 25人程度学級という条件が設定されているのに対して,「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」では そのような設定がなく行われている点に見出される相違点と考えることができるであろう.にもかかわらず,. 志木市の場合も低学年では20人以下を望む割合が30%以上あることは,低学年の学級編制においては20人以 下を視野に入れる必要性があることを示唆していると言えるであろう.中学年に関しても,許容範囲に一段 階ずれが見られるが,これは志木市の場合実際に低学年において25人程度学級が実施されている現実を調査 対象の教員が知っていることに起因すると考えられるであろう.高学年に関しては,ほぼ同様の結果となっ ている.すなわち,26∼30人程度を上限とし,21∼25人程度を理想と考えており,さらに31人以上を許容す る割合が低・中学年よりも増えている点も共通している.. 両調査とも教員への質問と類似の事項を児童にも尋ねているので,次にその結果を考察することとする. 「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」においては,自分たちが所属する学級規模が適切か否かに閲 し,無作為抽出により全国の小学校5年生5,184名に尋ねている.「多すぎる」・「やや多すぎる」・「ちょ うどよい」・「やや少なすぎる」・「少なすぎる」の5段階により回答を求めており,31∼35名学級に所属 している児童の75.5%が「ちょうどよい」を選んでいる.一方「平成14年度志木市立小学校低学年25人程度 学級編制実施」では,高学年児童406名を対象とした高学年における望ましい学級規模を尋ねており,53.9% の児童が31人以上を選んでいる.志木市の場合,高学年は少人数学級編制の対象からは外れているため,自 分たちは25人程度学級編制の対象とはなっておらず,31人以上の規模の学級に所属していることになるが, その状況を許容している結果となっている.上記に見られる両者の結果は,結局同様の事項を物語っている と捉えられるであろう.すなわち児童自身にとっては,高学年であれば31名以上の学級編制であっても問題 が少ないと認識してい. るということである.また,2005年2月に実施された「志木市立小学校における少人. 数学級編制(ハタザクラぷらすプラン)小学校1,2年生25人程度学級,小学校3年生28人程度学級 実施 3年目 実績と実感調査の報告」(志木市3・4年生(25人程度学級経験者)児童悉皆調査)の結果によれば, 調査対象の1,172名の児童のうち,「教室で勉強するとき,あなたは,何人ぐらいのクラスがもっともよいと 考えますか」という質問に対する回答は,1・2年生の平均値が24.6人,3・4年生の平均値が28.2人,5・ 6年生の平均値が30.7人であった.この調査結果からも,高学年においては30人以上の人数が児童により許 容されることが捉えられ得るであろう.. 教員調査と児童調査の結果は,学級規模に関する教員と児童の認識に禿離があることを示しているが,教 員調査と児童調査の結果から捉えられる事項としては,少人数学級編制は低学年及び中学年を中心として行 われることが焦眉の急であること及び高学年児童に関しては教員が考える程少人数学級編制に対する必要性 を児童は見出していない,ということを挙げることができるであろう.教員・児童における学級規模の認識 から共通して捉えられる事項は,学年段階に応じた学級規模による学級編制が求められているということである.. Ⅳ.アンケート調査の結果分析 以下では,「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」,「志木市立小学校における少人数学級編制(ハ. 36.
(6) 小学枚における学級の適正規模に関する考察. タザタラぷらすプラン)実施3年目 実績と実感調査」及び鳥取県教育委員会小中学校課により2004年10月 に実施された「30人学級の実施に伴う教育効果アンケート調査結果」に基づき,各アンケート調査に共通す る質問事項を抽出し結果の比較検討を行う.3種類の調査総てが教員に対する調査を実施しており,3種類 の調査総てあるいはいずれか2種類の調査において類似の質問事項が見出される.また,「学校・学級の適正 編制に関する総合的研究」及び志木市の調査では,児童に対する調査を実施しているため,類似の質問事項 が存在している.さらに,志木市の調査及び鳥取県の調査では,保護者に対する調査を実施しており,類似 の質問項目が見出される.従って,教員に関しては3種類の調査結果を可能な範囲で比較し,児童・保護者 に関しては,それぞれ2種類ずつの結果を可能な範囲で比較することにより全体的な傾向を捉えることとす る.. 1.教師に対するアンケート調査結果 児童の学習・生活面に関して,「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」(全国)において見出される. 他の2つの調査と連関する質問事項及びその結果は,以下の通りである.. 表2 学級規模と学級の状況(全国). 学習の過程でつまずいている児童を見 つけやすい 集中できていない児童が多い. 20人以下. 21∼30人. 31∼35人. 35∼43人. 全 体. 96.3%. 87.7%. 74.6%. 65.6%. 80.2%. 43.8%. 49.3%. 57.8%. 64.0%. 54.2%. 31.6%. 56.4%. 66.0%. 69.5%. 54.2%. 22.8%. 28.8%. 35.2%. 37.1%. 31.7%. 70.9%. 49.9%. 38.5%. 35.2%. 46.2%. 65.2%. 55.9%. 52.7%. 61.1%. 49.9%. 38.5%. 35.2%. 46.2%. 授業中児童一人当たりの発言回数が少 ない いらいらしている児童が多い 授業以外で児童との会話が十分できて いる 児童一人ひとりの気持ちが理解できる 75.3% 授業以外で児童との会話が十分できて いる. 70.9%. (アンケート中の回答「そう思う」・「どちらかと言うとそう思う」の合計により集計) 児童の学習・生活面に関して,「志木市立小学校における少人数学級編制」(志木市)において見出される. 他の2つの調査と連関する質問事項及びその結果は,以下の通りである.. 表3 25人学級における学級の状況(志木市) かなり増えた 増えた 子ども1人あたり,授業以外の場面で 1日に声をかける回数は増えましたか 授業で子どもを個別に指導できる機会 が増えましたか 教師が子どもの考えていることを理解 できる時間的余裕が増えましたか 様々な場面で,子ども一人一人が活躍 することが以前より増えましたか. 変わらない. 減った かなり減った. 23.2%. 66.7%. 1.4%. 0%. 1.4%. 27.5%. 58.0%. 2.9%. 0%. 1.4%. 21.7%. 50.7%. 17.4%. 0%. 1.4%. 26.1%. 63.8%. 1.4%. 0%. 1.4%. 37.
(7) 木 塚 雅 貴. より早くなった 早くなった 変わらない 遅くなった より遅くなった. 4月以降,個々の子どもの集団適応は. 15.9%. 以前より早くなったとお考えですか. 58.0%. 0%. 18.8%. 0%. とてもよく括 よく活動して 変わらない あまりよく括 よく活動して 勤していない いない. 勤している いる 生活班で掃除,給食などにおける自分 の役割がはっきりし,よく活動してい. 62.3%. 8.7%. 0%. 0%. るとお考えですか. 児童の学習・生活面に関して,「30人学級の実施に伴う教育効果アンケート調査結果」(鳥取県)において. 見出される他の2つの調査と連関する質問事項とその結果は,以下の通りである.. 表4 30人学級における学級の状況(鳥取県) 発言回数が多くなった. 65.5%. 集中して学習に取り組むようになった. 46.5%. 係活動や当番活動・生徒会活動などにおいて一人一人が責任を持って取り組むようになった. 48.6%. 給食の準備が早くでき,食べる時間が増えた. 38.7%. 教員に話しかける回数が増えた. 60.6%. 表2の「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」における「学習の過程でつまずいている児童を見つ けやすい」と連関する質問事項として,表3の志木市における調査では「授業で子どもを個別に指導できる 機会が増えましたか」が見出される.すなわち,個別指導をする機会が増えれば,それだけ各児童の学習上 のつまずいている点を容易に把握し得ることは,自明であろう.「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」. の調査結果では,21∼30人の学級規模を担当している90%近い教員が肯定的評価を出しており,志木市の調 査結果においても25人程度学級に対する肯定的評価を85%程度の教員が出していることに鑑みるとき,少人 数学級編制がもたらす効果は,児童に寄り添った指導にあることが捉えられる.. 表2の「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」における「集中できていない児童が多い」は,表3 の志木市の調査では「子どもの1時間の授業の集中力は,40人学級の子どもと比較して持続できるようになっ たと思いますか」に,表4の鳥取県の調査では「集中して学習に取り組むようになった」にそれぞれ該当す る.志木市では62%が,鳥取県では46%が肯定的に捉えている.両者に見られる数値の禿離は,「学校・学 級の適正編制に関する総合的研究」における調査結果が説明している.すなわち,31∼35人学級では,集中 できていると感じる児童の割合が21∼30人学級と比べて8%程度減っており,さらに同調査の「いらいらし ている児童が多い」は,31∼35人学級では21∼30人学級と比べて7%程度増えていることから,31∼35人学 級が集中できない環境により近づいていることが捉えられる.見方をかえれば,21∼30人学級においても, 21人に近い学級と31人に近い学級とでは,集中できる環境にあるか否かに差が出てくることが考えられるで あろう.志木市と鳥取県の調査結果に見られる肯定的回答の差異は,志木市が25人程度学級であるのに対し 鳥取県は30人学級であり,1学級の人数における差に起因する結果と捉えることができるであろう.すなわ ち,31人に近づくことにより,集中できない割合が増加して来ることになるのである.以上から,少人数学 級編制における教育効果の違いが,30人を境として現れるということが見川されるであろう.従って,児童 がより集中することができる環境を準備するためには,30人ではなく,25人程度が望まれるということにな. 38.
(8) 小学枚における学級の適正規模に関する考察. るであろう.. 表2の「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」における「授業中児童一人当たりの発言回数が少な い」は,表3の志木市の調査では「様々な場面で,子ども一人一人が活躍することが以前より増えましたか」 に,表4の鳥取県の調査では「発言回数が多くなった」に該当すると考えられる.すなわち,志木市の場合 「活躍することが増えることは,発言が増えることに繋がる」と解釈することができるからである.志木市 の90%,鳥取県の65%の教員が肯定的に捉えており,この点は「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」. において,学級規模が小さくなるにつれ発言回数が増えていることが明確に示されていることとも一致して いる.特に,21∼30人の学級規模と31∼35人学級規模では10%程度発言回数に関する割合が異なっている ことが「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」から捉えられ,30人を境とした学級規模の縮小に関わ る効果が明らかになっていると考えられるであろう.また,志木市と鳥取県の数値の禿離は,直前の質問項 目同様31人により近い学級の差として現れていると考えられるであろう.. 表2の「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」における「授業以外で児童との会話が十分できてい る」は,表3の志木市の調査では「子ども1人あたり,授業以外の場面で1日に声をかける回数は増えまし たか」に,表4の鳥取県では「教員に話しかける回数が増えた」にそれぞれ該当する.志木市では90%の教 員が,鳥取県では60%の教員が肯定的に捉えている.この質問においても両者の間に禿離が見られるが,こ の点は再び「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」に基づき解釈することができる.すなわち「児童 との会話」に関しては,21∼30人学級と31∼35人学級の間に12%程度の開きがあり,30人を境として効果に 隔たりがあることが見出される.この点は,既述のように志木市の学級と鳥取県の学級では,31人に近い学 級か否かの差を背景として理解することが可能であろう.会話が十分にできるためには,30人以下ではなく 25人程度が望まれるということになるであろう. 表2の学校・学級の適正編制に関する総合的研究」における「児童一人ひとりの気持ちが理解できる」は,. 表3の志木市の調査では「教師が子どもの考えていることを理解できる時間的余裕が増えましたか」に該当 する.「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」では,21∼30人規模の学級を担当する教員の65%が, 志木市の調査では教員の70%が肯定的に捉えている.すなわち,異なる調査にもかかわらずほぼ同数の割合 が肯定的に捉えていることから,少人数学級編制における一定の効果が得られていると考えることができる であろう.. 表3の志木市の調査「生活蛙で掃除,給食などにおける自分の役割がはっきりし,よく活動しているとお 考えですか」は,表4の鳥取県の「係活動や当番活動・生徒会活動などにおいて一人一人が責任を持って取 り組むようになった」並びに「給食の準備が早くでき,食べる時間が増えた」に該当する.志木市では85% の教員が肯定的に捉えているが,鳥取県ではそれぞれ50%弱と40%弱が肯定的に捉えているに過ぎない.「学 校・学級の適正編制に関する総合的研究」には,類似の質問事項が存在していないため充分な説明をするこ とはできないが,先に考察した事項同様31人に近い学級か否かという影響があることが推測される.. 以上は,主に児童の学習・生活面に関わる点から捉えた事項である.次に,学校教育の最大の目的である 教科指導の面から,少人数学級編制が生み出す教育効果を捉えるために,「学校・学級の適正編制に関する 総合的研究」及び志木市の調査に見出される類似の質問事項を比較検討することとする. 「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」(全国)における質問事項の中に,「次の教育活動を行う場. 合,もっとも効果的だと思われる学級規模はどの程度ですか」という問いがある.この間いに対する回答区 分の中から,志木市の調査と比較可能な事項の結果を表5に示す.. 39.
(9) 木 塚 雅 貴 表5 教育活動においてもっとも効果的と思われる学級規模(全国) 10人以下. 11∼15人. 16∼20人. 21∼25人. 26∼30人. 31∼35人. 36∼40人. 無回答. 3.6%. 10.1%. 31.2%. 31.2%. 18.8%. 3.1%. 1.2%. 0.8%. 図工の指導. 4.1%. 13.2%. 34.1%. 29.9%. 15.7%. 2.2%. 0.2%. 0.6%. 音楽の指導. 1.2%. 5.0%. 24.1%. 33.3%. 29.0%. 5.5%. 1.2%. 0.7%. 体育の指導. 0.6%. 2.9%. 21.1%. 35.3%. 32.9%. 5.9%. 0.8%. 0.5%. 教科の枠を越 えた総合的な 学習の指導. 表5に基づき作成された「学年段階別に見た教育活動と効果的学級規模」の関係において,顕著な結果が 現れている音楽と体育を表6に示す.. 表6 学年段階別に見た教育活動と効果的学級規模(全国) 10人以下 11∼15人 16∼20人 21∼25人 26∼30人 31∼35人 36∼40人. 音楽指導. 体育指導. 4.4%. 0.9%. 29.6%. 5.4%. 1.1%. 7.0%. 1.6%. 低学年. 1.1%. 6.1%. 27.1%. 35.9%. 24.5%. 中学年. 1.2%. 5.5%. 24.9%. 32.4%. 高学年. 1.2%. 3.5%. 21.0%. 32.2%. 33.5%. 低学年. 0.7%. 3.1%. 23.9%. 37.2%. 29.5%. 5.3%. 0.4%. 中学年. 0.2%. 3.4%. 20.6%. 35.4%. 33.7%. 5.7%. 1.0%. 高学年. 0.8%. 2.3%. 19.3%. 33.7%. 36.2%. 6.6%. 1.1%. 志木市の質問項目には,「少人数学級での指導の効果が上がっていると思われる教科等はどれですか」が見 出される.「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」と関連する教科等を抜粋すると,表7のようになる.. 表7 少人数学級で指導効果が上がっていると思われる教科等(志木市) 体育 61.4%. 音楽 52.9%. 図工 48.6%. 総合的な学習の時間14.3%. 両者の結果から,興味深い事項を読み取ることができる.志木市の結果では,半数以上の教員が体育・音 楽に関しては効果が上がっていると答えている.この点について,「学校・学級の適正編制に関する総合的 研究」においても同様の回答が見出される.すなわち,表5において体育・音楽の効果的な学級規模は,そ れぞれ21∼25人が最大回答範囲であり,次に多い回答範囲は26∼30人になっている.両回答範囲を合わせる と,体育では68%,音楽では62%になる.この点を志木市に当てはめて考えると,志木市では25人程度学級 であることから,21∼25人と26∼30人を合わせた範囲にほぼ収まることになる.両調査結果を総合的に考え ると,体育・音楽における効果的な学級規模は25人前後となり,25∼30人を含めた範囲を許容する結果とな ることが捉えられるであろう.さらに表6の結果を勘案することで,体育と音楽に関してより明確な事項を 見出し得る.表6を見ると,体育・音楽いずれも低・中学年においては21∼25人の範囲を中心として,体育 では26∼30人を含めた範囲が望まれ,音楽では低学年が16∼20人を含めた範囲を,中学年では25∼30人を含 めた範囲が望まれている.特に音楽では,低学年ではより少人数学級編制が求められている反面,体育では より大きな学級規模でも問題がないことが捉えられる.高学年では,体育・音楽ともに26∼30人の範囲が最 大回答範囲になっていることから,高学年においてはいずれの教科も人数が増えることに問題が少ないこと が理解される.一方図工では,表7から捉えられるように,志木市の回答結果は過半数を下回る程度にとど まっている.この点は,表5の「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」を参照することで,明らかな. 40.
(10) 小学枚における学級の適正規模に関する考察. 理由が捉えられる.すなわち,図工で最も望まれる学級規模は16∼20人であり,それに続く21∼25人を合わ せると64%の回答が含まれることになる.換言すれば,志木市の教員の回答は,「学校・学級の適正編制に 関する総合的研究」と一致する結果であったことが捉えられる.すなわち,志木市の教員の51.4%が効果を 感じていなかった背景には,25人程度学級よりも少ない人数が望まれていることが隠されているのである. さらに,総合的な学習の時間では,表7の志木市の調査結果はわずか14.3%が効果を認めているに過ぎない.. この点も,表5の「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」を参照することで明らかな理由が捉えられ る.すなわち,16∼20人並びに21∼25人の範囲がほぼ同数であり,両範囲を合わせると62%が含まれる.図 工と同様,25人程度学級よりも小さい規模が望まれることになるのであり,志木市の結果もこの点を反映し ていることが推測される. 以上から,教科指導における適正学級規模は,音楽・体育においては25∼30人程度であること,及び図工・ 総合的な学習においては25人よりも少ない人数が求められていることが理解されるであろう.. 学習・生活面及び教科指導面全体から言えることは,30人を越えない範囲での学級編制が求められている とともに,学年段階及び教科により効果的な学級規模が変化してくることである.. 2.児童に対するアンケート調査結果. 児童の学級規模認識に関しては,「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」と志木市の調査が共通す る質問事項を挙げている.両調査結果をまとめると,以下の表8になる.(表中の左側が「学校・学級の適 正編制に関する総合的研究」の調査結果であり,右側が志木市の調査結果である.). 表8 児童の学級規模認識 志 木 市 の 調 査. 学校・学級の適正編制に関する総合的研究 ク ラ ス の 人 数 は 多すぎる. 7.4%. どちらかといえば多すぎる. 12.4%. ちょうどよい. 65.6%. とても多い. 4.6%. 多い. 9.7%. ちょうどよい. 69.9%. どちらかといえば少なすぎる. 8.4%. 少ない. 13.5%. 少なすぎる. 4.0%. とても少ない. 2.1%. その他. 1.5%. 無回答. 0.7%. 無答他. 0.2%. 両者の質問事項はほぼ等しいため,結果の比較検討が容易である.「学校・学級の適正編制に関する総合 的研究」では,全国の小学校5年生児童5,184名(男子51.6%・女子48.2%・無回答0.2%)を対象とした無 作為抽出調査であり,志木市の調査では,志木市内の全小学校8校の3・4年生児童1,117名(3年生47.3%・ 4年生49.0%・無答他3.8%,男子52.4%・女子47.4%・無答他0.2%)を対象とした無作為抽出調査である. 調査時期及び調査対象が全く異なっているにもかかわらず,結果が極めて類似している点が興味深い.すな わち,大半の児童は自分たちが現在所属している学級規模を適切と感じており,問題を感じている割合は少 ないということである.この点は,Ⅲ.で捉えた「学級規模の認識」において,両調査の結果が類似してい たこと,すなわち30名以上の学級に属していながらもその学級規模を適切と感じている割合が高かったこと がすでに捉えられており,本質間事項と一致する結果が見出せる.結局学習者にとっては,自分たちが所属 している学級規模が適正なのであり,表1の結果を勘案すると,30名程度の人数であれば問題はないという ことが言えるであろう.. 41.
(11) 木 塚 雅 貴. 3.保護者に対するアンケート調査結果. 志木市の調査と鳥取県の調査において共通して見出される質問事項とその結果は,表9のようにまとめる ことができる.(表中上段が志木市の質問事項・結果であり,下段が鳥取県の質問事項・結果である.). 表9 保護者から見た少人数学級における教育効果 そう思う 新しい学級の中で,子どもどうし,. すぐ仲良くなった 家庭学習の習慣が身についた. どちらともいえない そう思わない. 無答他. 65.9%. 30.7%. 3.0%. 0.4%. 17.8%. 58.8%. 20.5%. 3.0%. 子どもが入学して先生や友だちに早く馴染むことができた. 47.6%. 家庭学習の習慣が身についてきている. 15.2%. 志木市の調査は,市内全小学校8校の1∼4年生の保護者1,474名を対象とした調査であり,鳥取県の調 査は,抽出小学校6校の1・2年生それぞれ任意の1学級ずつの保護者を対象とした調査である.志木市の 質問事項である「新しい学級の中で,子どもどうし,すぐ仲良くなった」と類似の質問事項と考えられる鳥 取県の「子どもが入学して先生や友だちに早く馴染むことができた」を比較すると,保護者は1学級の人数 が少なくなったことにより,子どもが学級に適応するために要する時間が短くなったと感じている割合が高 いことが捉えられる.両調査の質問事項が必ずしも同等の内容ではないため,完全な比較を行うことは適切 ではないが,志木市が25人程度学級,鳥取県が30人学級という違いがあるにもかかわらず,保護者の認識の 傾向は一致している.学級への適応に関する保護者の認識は,表3に記載した志木市が教員対象に行った質 問事項である「4月以降,個々の子どもの集団適応は以前より早くなったとお考えですか」の結果とも一致 している.すなわち,教員・保護者ともに,学級の人数が少なくなることにより,子どもの適応が早くなっ たと感じていることは,少なくとも捉えられる事項であろう.一方家庭学習に関しては,志木市と鳥取県で ほぼ同様の質問事項が挙げられているが,いずれの結果も家庭学習の習慣が身についていることを肯定する 回答は少数かつほぼ同数であり,従って少人数学級編制が家庭学習の習慣には大きく影響していないことが 一様に捉えられる結果である.. Ⅴ.イギリスにおける学級編制 本項では,イギリスの公立学校(maintainedstateschool)における学級編制について考察し,日本の学 級編制に対する示唆を見出すこととする.. イギリスの学級編制に関する最近の法律は,TheSchooIsStandardsandFrameworkAct1998であり, 1997年の総選挙の際,労働党Blair政権が公約(manifesto)として1学級の人数削減を碇示したことに始ま. る.この法律では,2OO2年9月からKeyStagel(5∼7歳)の1学級の人数を最大でも3O人とすること が定められている(5).しかし,それ以外の学年段階における学級編制に関する基準は存在していない.従っ て,例えば小学校段階(primaryeducation)の後半に位置するKeyStage2(8∼11歳)では,30人を上 限とする規定が適用にはならないため,極端に言えば1学級の人数が何人でも法的には問題がないことにな る.2005年のイギリスの小学校の1学級の構成人数は,表10(6)のようになる.. 42.
(12) 小学枚における学級の適正規模に関する考察 表10 イギリスの小学校の1学級の人数. Key Stage 1. Key Stage 2. 25.6人. 27.3人. 98.7%. 98.3%. 31−35人. 1.3%. 1.6%. 36人以上. 0.1%. 0.1%. 1学級の平均人数 1−30人. 1学級の構成人数の割合. KeyStagel・KeyStage2ともに,ほぼ総ての学級が30人以下に収まっているが,極めて興味深い点は, 法的に規定があるKeyStagelにおいても,30人以上の学級がわずかではあるが存在していることである. この点は,Departmentfor Education and Skills(DfES)の資料でも「例外的(exceptions)」とされて いるが,1学級の人数が30人以上でも問題がないと学校が判断する限り許容されているようであり,厳密な 規定としては機能していないと言えるであろう.また1学級の平均人数は,当然のことながら学級編制基準 が存在するKeyStagelの方が少なくなっている. 学級編制に関してイギリスで採られている基本的な考え方は,上記から理解できるように,小学校の学年 段階の最初の時期に少人数学級を導入していることに現われていると言える.すなわち,日本の低学年に該 当する学年段階において30人より少ない学級編制が施行されているのである.また,イギリスにおいて公表 されているデータにおける重要な点として表10から捉えられるように,1学級の平均人数にとどまらず,全 国の1学級の構成人数の割合を示していることである.すなわち,単なる1学級の平均人数は,極端に1学 級の人数が多い学校と少ない学校が存在する場合それらに左右された結果となってしまうため,現実の姿を 把握することが難しくなってしまうが,一定の範囲の人数の区分に入っている学校の割合が捉えられれば, 実態がより明確に捉えられるであろう.従って,DfESのデータ一に基づけば,イギリスの小学校は基本的 に30人より少ない人数の学級編制であると結論づけることができるであろう.. 以上から,イギリスの小学校における法的な学級編制基準は,小学校低学年における30人以下の学級編制 が定められているに過ぎないが,現実的には低学年以外も大部分の小学校で30人より少ない人数の学級編制 が行われていることが捉えられるであろう.. Ⅵ.結 語 本稿の主題は,筆者が関与した学級編制に関する2種類のアンケート調査結果を中心に他の類似の調査結 果を加味し,さらに国際的視点からイギリスにおける学級編制の基本概念の検討により得られる知見を加え,. 小学校における学級編制の適正規模を考察することであった.本稿における考察により,30人より少ない人 数の学級規模が望ましいことが捉えられ,特に30人より少ない人数の学級編制に閲し,以下の5点が明らか となった.. ①児童の学習・生活面並びに教科指導面いずれにおいても,学年段階を考慮しながら1学級の人数を定め ることが必要であり,その場合特に低学年で少人数学級編制を導入することが求められる.. ②高学年の児童は,必ずしも現状の学級編制に問題があるとは考えていないが,教員・保護者の視点から は教育効果に鑑み,少人数学級編制が求められている. ③少人数学級編制の効果は,次の6点において顕著となっている. ・個別指導を通して,児童の学習状況の把握が容易に行われ得る. ・児童が授業に集中して取り組むことができる.. 43.
(13) 木 塚 雅 貴. ・児童が授業に参加する環境が整えられ,授業中の発言回数が増える. ・児童理解を行うことが容易になる. ・児童との会話を充分に行うことができる. ・児童が学級に早く溶け込むことができる.. ④教科指導における効果的な学級編制の人数は,音楽・体育では25∼30人程度であるが,図工及び総合的 な学習の時間においては,25人よりも少ない人数が求められている. ⑤家庭学習の習慣については,少人数学級編制の波及効果としては限定的である.. 以上から,小学校において少人数学級編制を行う際,30人より少ない人数の学級規模が特に低学年におい て必要とされていること並びに30人より少ない人数の少人数学級編制における効果が明らかとなった.. 注 釈 1.文部科学省ホーム・ページ(http://www.mextgo.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/toushin/05082602/002.htm)による. 2.数値は,文部科学省ホーム・ページ(http://www.mext.go.jp/)による.なお,日本の1学級当たりの児童・生徒数は国 公立学校での平均学級規模(2002年)であり,教員1人当たりの児童・生徒数は国公私立学校での平均値(2002年)である. 3.文部科学省ホーム・ページ(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/toushin/05082602/002.htm)による.. 4.「志木市立小学校における少人数学級編制(ハタザクラぷらすプラン)小学校1,2年生25人程度学級,小学校3年生28 人程度学級 実施3年目 実績と実感調査の報告」においては,学級規模の認識に関わる質問項目が存在していないため, 2002年に実施された調査の結果を用いている. 5.DepartmentforEducationandSkills(DfES)のホーム・ページ(http://wwdfes.gov.uk/rsgateway/DB/SBU/bOOO222/030−01.htm) 及び(http://www.politics.co.uk/issues/class−Size−$2973193.htm)による. 6.DepartmentforEducationandSkills(DfES)のホーム・ページ(http://wwdfes.gov.uk/rsgateway/DB/SBU/bOOO222/030−01.htm) のデータに基づく.なお,イギリスの場合の算定基準日は,毎年1月の特定日となっている.. 参考文献 桑原敏明研究代表.1999.『学校・学級の適正編制に関する総合的研究』第二次中間報告書.文部省科学研究費報告書. 桑原敏明研究代表.2000.『学校・学級の適正編制に関する総合的研究』最終報告書.文部省科学研究費報告書. 桑原敏明編.2002.『学級編制に関する総合的研究』.多賀出版. 埼玉県志木市教育委員会少人数学級編制研究会.2005.「志木市立小学枚における少人数学級編制(ハタザクラぷらすプラン) 実施3年目 実績と実感調査」.志木市教育委員会. 鳥取県教育委員会小中学校課.2004.「30人学級の考察について」.. (釧路校助教授). 44.
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