胎内・乳幼児期被爆者の被爆者意識と親子関係との関連
2
0
0
全文
(2) に【自己認識の補完作業】を行う.1自己認識の. イメージ」の拒否から「漂流」に至っていた1胎. 補完作業】によって,胎内・乳幼児期被爆者は1同. 内・乳幼児期被爆者が被爆者としての「立場」を. 胞意識】【役割意識】【被爆者意識】が自覚されは. 自覚した後には,「社会的に押しつけられた被爆. じめる.しかし,被爆体験を語ることができない. 者のイメージヘの反発」から,被爆者であること. 胎内・乳幼児期被爆者は【被爆者意識の否認】を. の否認を行っていた、また,「主体の形成」を遂. 行うため,【被爆者意識】を上手く意識できない. げた胎内・乳幼児期被爆者は,被爆者と語ること. ことがある.胎内・乳幼児期被爆者は【被爆者意. によって,家族や周囲が変化することへの拒否感. 識】と【被爆者意識の否認】を自問しつつ,次第. から,被爆体験を語ることについて躊躇していた、. に【同胞意識の広がり】や【文脈を理解する】気. また,本研究のr精神的再形成」の過程から,. 持ちが強くなる.その後,胎内・乳幼児期被爆者. 胎内・乳幼児期被爆者は記憶がないことの負い目. は,これまでの被爆者像とは異なる1新しい形の. を持ち,被爆体験記憶を補完するために,強度の. 証言】を形成していく.. 被爆体験記憶を持つ被爆者の語りを取り入れて. 証言を行うことは,自身が被爆者であることを. いくことが明らかになった.そして,胎内・乳幼. 表明していくことである(【社会的表明への動. 児期被爆者が,白身の被爆体験を形作っていく際. き】).そのため,表明に伴う家族や周囲との1変. に,同胞意識,役割意識,被爆者意識が影響して. 化への不安】が胎内・乳幼児期被爆者につきまと. いることが明らかになった.特に同胞意識は,胎. う.しかし,【新しい形の証言】は,社会に対し. 内・乳幼児期被爆者が被爆者であるために感じて. て《平和への訴え》や《特別意識の超越》,《被. いたr死への不安」と向き合うきかっけになって. 爆者理解の啓蒙》を表明していくことである.胎. いると考えられる.. 内・乳幼児期被爆者は【変化への不安】を持ちつ. 胎内・乳幼児期被爆者は,社会・個人的歴史の. つも,【社会的表明への動き1に向かう.. なかからr被爆者」としての自身の意味づけを行. 【変化への不安】【語ることの抵抗感】【記憶が. い,自身の言葉で語ることができる被爆体験を見. ないことの負い目】【被爆者意識の否認】は,胎. 出していた.被爆体験の基盤として,強度の被爆. 内・乳幼児期被爆者が生きていくなかで持ち続け. 体験記憶を持っ被爆者の話を取り入れていた.ま. る葛藤である.そのため,この一連の流れを「葛. た,世界の歴史や核の現状を学ぶなかで人間意識. 藤をのりこえるプロセス」とした.. や世界像の拡大(Li免。n,R.,1971)が生じ,世界. 1V.考察. におけるヒバクシャという社会的立場を発見し. 本研究から,被爆体験記憶がない,あるいは断. ていた.. 片的である胎内・乳幼児期被爆者が白身と被爆体. そして,これまでの親との関係や,被爆者とし. 験との関係について「精神的再形成」に至るには,. ての物語を形作ることで,死者との繋がりを見出. r葛藤をのりこえるプロセス」を経ることが明ら. すことは被爆者意識の形成に影響を与えていた.. かになった.r葛藤を乗り越えるプロセス」は,. これからの子どもとの関係を考えることが,被爆. 胎内・乳幼児期被爆者がr精神的再形成」のうち. 者として証言を行うかの意志決定に影響を与え. のどの段階に留まっているかによって,葛藤の内. ていることが示された.. 容に違いがあることが見出された.. 本研究は,これまであまり注目されてこなかっ. 葛藤の内容としては,胎内・乳幼児期被爆者は,. た,記憶がないけれども被害者である者が,被害. 「精神的再形成」の初期の段階では「心理的無抵. 体験を形作るための研究に寄与したといえる.. 抗(あきらめ)」や「罪意識」,被爆体験を思い出. 主任指導教員 岩井圭司. すような出来事との関わりによって生じる「死の. 指導教員 岩井圭司. ユ33一.
(3)
関連したドキュメント
平均的な消費者像の概念について、 欧州裁判所 ( EuGH ) は、 「平均的に情報を得た、 注意力と理解力を有する平均的な消費者 ( durchschnittlich informierter,
87)がある。二〇〇三年判決については、その評釈を行う Schneider, Zur Annahme einer konkludenten Täuschung bei Abgabe einer gegenteiligen ausdrücklichen Erklärung, StV 2004,
—Der Adressbuchschwindel und das Phänomen einer „ Täuschung trotz Behauptung der Wahrheit.
My name Is Jennilyn Carnazo Takaya, 26 years of age, a Filipino citizen who lived in Kurashiki-shi Okayama Pref. It happened last summer year
プログラムの内容としては、①各センターからの報 告・組織のあり方 ②被害者支援の原点を考える ③事例 を通して ④最近の法律等 ⑤関係機関との連携
上記⑴により期限内に意見を提出した利害関係者から追加意見書の提出の申出があり、やむ
本学は、保育者養成における130年余の伝統と多くの先達の情熱を受け継ぎ、専門職として乳幼児の保育に
今後の取組みに向けての関係者の意欲、体制等