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胎内・乳幼児期被爆者の被爆者意識と親子関係との関連

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Academic year: 2021

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(1)論文題名. 胎内・乳幼児期被爆者の被爆者意識と親子関係との関連. I.問題と目的. 専攻. 学校教育学専攻. コース. 臨床心理学コース. 学籍. M080581. 氏名. 佐藤真菜美. 皿 結果.  被爆者の被爆体験による心理的影響に関する. ○被爆者が証言にいたるプロセス. 先行研究として,Li舟㎝,R.(1971)の研究が挙.  M−GTAでの分析の結果,24の概念を生成し,. げられる.Li此。n,R.(1971)は,被爆者の聞き. 15のカテゴリーを生成した.以下,文章中ではカ. とり調査から,「特殊な死との遭遇,放射能後遺. テゴリーを【】,概念を《 》,定義を[〕,. 症による消えることのない恐1市,異常な体験を理. バリエーションを『』で示す.. 解し克服しようとする芯と,その努力が生んだ複. <ストーリーライン>. 雑な心理的もつれ」といった,一連の心理学的現.  胎内・乳幼児期被爆者は,放射能の影響や社会. 象を明弓かにした.また,放射能の遺伝子への影. 的な偏見・差別といった《被爆による人生の影響. 響は,世代を超えた被害を被爆者にもたらす.そ. 》をはっきりと自覚していない状態では,《被爆. のため,自身が被爆者であることを子どもに話さ. 者意識の希薄さ》が生じる.しかし,自身が被爆. ない親も少なくない.. 者であるという表面的な認識は持っているため,.  被爆体験の継承は社会的に重要な課題である.. 《被爆体験による人生の影響》は漠然と意識さ. しかし,胎内・乳幼児期被爆者への被爆体験の継. れている.《被爆による人生への影響》を自覚し. 承活動は、あまり注目されていない。そこで本研. ている胎内・乳幼児期被爆者と同様に自覚してい. 究では,胎内・乳幼児被爆者が被爆者意識を形成. ない被爆者も【つながりへの希求を持つ】を意識. し,証言を語るに至るプロセスを明らかにするこ. 内に内包していると考えられる.しかし,胎内・. とを目的とした、特に被爆者の親子関係について. 乳幼児期被爆者は被爆体験について【語ることの. 注目し分析を行う.. 低抗感】を持っているため,【つながりへの希求】. n.研究方法. は行動と結びっくことは少ない.. 対象:NG0ピースボート主催のrヒバクシャ地.  社会的に被爆体験を【語ることが求められる状.  球一周証言の航海」に参加した,定年退職の年. 況】が発生することで,胎内・乳幼児期被爆者は.  齢になるまで被爆証言を語らなかった胎内・乳. 【語ることの抵抗】を持ちつつも,【つながりへ.  幼児期被爆者29名(男性12名,女性17名). の希求】を行動へと移していく.しかし,胎内・.  であり,平均年齢66,2歳であった.. 乳幼児期被爆者は,被爆体験を語ることができな. 調査期間:2008年12月上句から2009年1月中. いため,【語ることが求められる状況】に身を置.  句であった.. いたとき,【仲間との出会い】や原爆に関する【知. 調査方法:1回または2回,40分から60分の半. 識・情報の獲得1を行うと同時に,【記憶のない.  構造化面接であった.. ことの負い目を持つ】.. 調査の手続き:研究の目的を説明した上で,研究.  【記憶がないことの負い目を持】ちながらも,. への同意を得た.その後,半構造化面接を行った.. 胎内・乳幼児期被爆者は被爆体験を理解するため. 132一.

(2) に【自己認識の補完作業】を行う.1自己認識の. イメージ」の拒否から「漂流」に至っていた1胎. 補完作業】によって,胎内・乳幼児期被爆者は1同. 内・乳幼児期被爆者が被爆者としての「立場」を. 胞意識】【役割意識】【被爆者意識】が自覚されは. 自覚した後には,「社会的に押しつけられた被爆. じめる.しかし,被爆体験を語ることができない. 者のイメージヘの反発」から,被爆者であること. 胎内・乳幼児期被爆者は【被爆者意識の否認】を. の否認を行っていた、また,「主体の形成」を遂. 行うため,【被爆者意識】を上手く意識できない. げた胎内・乳幼児期被爆者は,被爆者と語ること. ことがある.胎内・乳幼児期被爆者は【被爆者意. によって,家族や周囲が変化することへの拒否感. 識】と【被爆者意識の否認】を自問しつつ,次第. から,被爆体験を語ることについて躊躇していた、. に【同胞意識の広がり】や【文脈を理解する】気.  また,本研究のr精神的再形成」の過程から,. 持ちが強くなる.その後,胎内・乳幼児期被爆者. 胎内・乳幼児期被爆者は記憶がないことの負い目. は,これまでの被爆者像とは異なる1新しい形の. を持ち,被爆体験記憶を補完するために,強度の. 証言】を形成していく.. 被爆体験記憶を持つ被爆者の語りを取り入れて.  証言を行うことは,自身が被爆者であることを. いくことが明らかになった.そして,胎内・乳幼. 表明していくことである(【社会的表明への動. 児期被爆者が,白身の被爆体験を形作っていく際. き】).そのため,表明に伴う家族や周囲との1変. に,同胞意識,役割意識,被爆者意識が影響して. 化への不安】が胎内・乳幼児期被爆者につきまと. いることが明らかになった.特に同胞意識は,胎. う.しかし,【新しい形の証言】は,社会に対し. 内・乳幼児期被爆者が被爆者であるために感じて. て《平和への訴え》や《特別意識の超越》,《被. いたr死への不安」と向き合うきかっけになって. 爆者理解の啓蒙》を表明していくことである.胎. いると考えられる.. 内・乳幼児期被爆者は【変化への不安】を持ちつ.  胎内・乳幼児期被爆者は,社会・個人的歴史の. つも,【社会的表明への動き1に向かう.. なかからr被爆者」としての自身の意味づけを行.  【変化への不安】【語ることの抵抗感】【記憶が. い,自身の言葉で語ることができる被爆体験を見. ないことの負い目】【被爆者意識の否認】は,胎. 出していた.被爆体験の基盤として,強度の被爆. 内・乳幼児期被爆者が生きていくなかで持ち続け. 体験記憶を持っ被爆者の話を取り入れていた.ま. る葛藤である.そのため,この一連の流れを「葛. た,世界の歴史や核の現状を学ぶなかで人間意識. 藤をのりこえるプロセス」とした.. や世界像の拡大(Li免。n,R.,1971)が生じ,世界. 1V.考察. におけるヒバクシャという社会的立場を発見し.  本研究から,被爆体験記憶がない,あるいは断. ていた.. 片的である胎内・乳幼児期被爆者が白身と被爆体.  そして,これまでの親との関係や,被爆者とし. 験との関係について「精神的再形成」に至るには,. ての物語を形作ることで,死者との繋がりを見出. r葛藤をのりこえるプロセス」を経ることが明ら. すことは被爆者意識の形成に影響を与えていた.. かになった.r葛藤を乗り越えるプロセス」は,. これからの子どもとの関係を考えることが,被爆. 胎内・乳幼児期被爆者がr精神的再形成」のうち. 者として証言を行うかの意志決定に影響を与え. のどの段階に留まっているかによって,葛藤の内. ていることが示された.. 容に違いがあることが見出された..  本研究は,これまであまり注目されてこなかっ.  葛藤の内容としては,胎内・乳幼児期被爆者は,. た,記憶がないけれども被害者である者が,被害. 「精神的再形成」の初期の段階では「心理的無抵. 体験を形作るための研究に寄与したといえる.. 抗(あきらめ)」や「罪意識」,被爆体験を思い出.          主任指導教員  岩井圭司. すような出来事との関わりによって生じる「死の.          指導教員    岩井圭司. ユ33一.

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