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印刷工程における段取り回数最小のモデル化 (21世紀の数理計画 : 最適化モデルとアルゴリズム)

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(1)

印刷工程における段取り回数最小のモデル化

Modeling

to Minimize

Setup Frequency

in

Printing

Process

大分工業高等専門学校制御情報工学科

松本慎平 Shimpei MATSUMOTO

Department of Computer and Control Engineering,

Oita National

College ofTechnology

県立広島大学経営情報学部 上野信行 Nobuyuki UENO

Faculty

of

Management and

Information

Systems,

Prefectural

Hiroshima University 大阪大学大学院情報科学研究科 奥原浩之 Koji

OKUHARA

石井博昭

Hiroaki

ISHII

Depertment

of

Information

and

Physical Science,

Graduate School of

Information

Science and

Technology,

Osaka

University

1

はじめに

近年,

社会環境の変化の影響を大きく受けている製造業を中心に,

我々は研究を進めている. その 中のひとつとして,

実在の自動車部品製造業における生産効率改善を目的とし,

そのビジネスプロセ スの見直しに取り組んでいる $[$1$]$

.

本論文では,

自動車部品加工工程のひとつである印刷工程のスケ

ジューリング問題を対象として,

熟練者の技術的知識に基づき解法を設計する

.

また, 形式化した解 法を実装したソフトウェアを開発することによって

,

作業員への意思決定支援を実現し, 直接的な業 務効率の改善を目指す

. 生産効率を改善するためには様々な方法が考えられるが

,

ここで対象として いる製品が自動車であることから [2],

我々は生産スケジューリングに注目している

.

自動車は単価 が非常に大きい製品であるため,

在庫に関する意識が非常に高

$Aa$

.

近年の顧客嗜好の多様化に伴い, 受発注のばらつき, 緊急ジョブの突発的な割り込み, 在庫量の急激な変化など, 自動車製造業におい ても散見されるようになった.

以上が生産スケジューリングに注目した理由であり,

有効な生産順序

の獲得は不確実な要因に対する柔軟な対応を実現し

,

また,

在庫という核心的な問題に直接的にアプ

ローチできるのではないかと期待している. 我々のこれまでの取り組みから,

スケジューリング理論を現実問題に応用するために

$F$は, 理論的な 解釈だけではなく,

現場に携わる作業員の知識を含めて議論しなければ生産効率改善を十分に達成で

きないことを理解した [3]. 通常,

生産環境は時間の流れに応じて絶えず動的に変化している

.

した がって, 実際の現場では, ひとつの解法を構築したとしても,

時間の経過と共に解法の見直しを繰り

返し行う必要が生じる.

数学的に裏付けされた最適化手法や進化的手法を中心としたメタヒューリ

スティック解法は非常に有効であるが,

現場の作業員が数理的解法に関する知識を持ち合わせていな

ければ,

現場自身での解法の発展・改良は期待できな

$Aa$

.

時間の流れを意識した動的な入力を取り扱っ

た問題はこれまで多数報告されているが,

入力情報だけが動的に与えられるという想定されたモデル

であるため,

その解法の有効性も想定された状況に限られたものである

[4][5]. 高度情報化以前の社会 環境においては,

問題の外的な環境が変化するまでに十分な時間的猶予が存在していたため

,

現実的

諸問題に対する理論の応用は従来の一般的な最適化手法で十分であった

.

理論の現実問題への応用 実践から新たな知見を獲得し, モデルの再構築・拡張に役立てる理論と応用の循環は

,

社会環境の変 化の速度に順応していた. しかし近年, 現場から 「理論と応用の乖離」がとりわけ強く指摘されてい

(2)

る. その背景には,

理論の再構築が現実の変化に追いついていない点に大きな原因があるのではない

かと考えられている. 具体的には,

立案したモデルやその解法が運用段階に至った瞬間に利用不可能

になる事例が, 現場から数多く指摘されている.

実用に至らない数多くのモデルが提案される中

,

ケジューリングに対する理論的な議論自体の必要性が現場から疑問視され始めている

.

情報伝達技術 が飛躍的に向上した昨今,

状況の変化に対する時間的制約が非常に厳しくなっているため

,

従来の社

会的背景を前提とした最適化手法とは異なったアプローチが必要とされている

.

以上は, 我々が解法 の一般的有用性・頑健性を

「現場の知識上に期待するに至った経緯である

.

本論文では,

現場に介在する熟練者の経験的な知識を基礎として

[6] 数理モデルと解法を設計する

.

本論文で目指していることは,

解法を実装した知的ソフトウェアの導入による直接的な意思決定支援

と同時に,

熟練者の暗黙的な技術的知識の形式化である

.

すなわち, ソフトウェアという媒体を用い て,

現場に対する問題の導入・運用を実践することによって,

モデル化時点では記述できなかった不

可視な要素の明確化, 新たな要素の発見・獲得, そして更なるモデルの拡張である. 本論文の構成を 述べる.

2

章では印刷工程の概要を説明する

.

なお,

現状分析から問題発見の過程については省略し

ている.

3

章では分析結果に基づいた問題の定式化を示し

, 4

章では熟練者の知識に基づいた解法を

記述する. 5 章では数値実験の結果を示し,

6

章ではまとめと今後の課題を述べる

.

2

印刷工程

我々は

Business

Process

Modelling

を用いて [7] 生産工程全体に対する分析を行$Aa$, 自動車部品工

場全体の業務フローを明らかにした

.

ここで得られた分析結果を踏まえ, 印刷工程が生産効率改善に

最も貢献する対象として位置付けられている

.

その主な理由は, 印刷工程の生産リードタイムが他の 工程と比較して長い点,

大部分の処理が熟練者の経験的な技術に依存しているという点である

.

印刷工程の概要を図

1

に示す

.

印刷工程は, 印刷機, 乾燥機,

半製品の一時保管場所によって構成

されている. それぞれの製品は個別に処理されるのではなく

,

1枚の生産シートで同時に処理される. 通常,

1

枚の生産シートで

15

個の製品が処理される

.

それぞれの製品は一意の製造番号によって区別 されており,

1

枚の生産シートは同一種類の製品のみで構成されている

.

なお, 製品のサイズはそれぞ れ異なっているため,

1

枚の生産シートから取り出される生産数は製品の種類に依存する

.

以降, 本 論文で述べる 「生産シート」 と「製品」 は同義である. 各生産シートは,

様々な種類のインクを用いた文字版での多重印刷

(重ね塗り塗り) によって処理さ れる. 例えば, 代表的な生産シートでは, 15回多重印刷される. 多重印刷とは, ある時刻において任

意のインクと文字版によって印刷されたとき

,

処理された時間以降において再度塗り重ねる処理を決

められた回数まで繰り返すことを意味する.

すなわち, ひとつの生産シートは, 複数回の印刷処理を 必要とする. また, 印刷処理に付随して,

印刷されたインクを乾燥させる処理も必要となる.

同様の

形態で構成されるスケジューリングは,

リエントラントスケジューリングと定義されている

.

本論文 では,

1

回の印刷・乾燥処理を

1

工程と記述する

. 印刷工程では複数種類の生産シートを取り扱ってい

るが, 多重塗り回数 (工程回数) や,

各工程で用いるインク・文字版の種類は生産シートごとに異なっ

ている. ここで,

ひとっ生産ロットは複数枚の生産シートにより構成されている

.

1工程においては,

生産ロットに含まれる全ての生産シートは必ず印刷されるものとする

.

したがって, 印刷順序は, 生 産ロット単位で計画される. 工程が切り替わった際 すなわちインクと文字版の種類を取り替える際

,

段取り作業が発生する. 段取り作業には, 時間や手間 (段取りコスト) が発生するため, 段取り作業は生産リードタイムに影響 を与える. なお,

段取りコストはインク・文字版の種類に応じて異なっている

.

したがって, 同一種 類のインクと文字版による工程をまとめることで

,

すなわち, 複数の生産シートにおける同一種類の

インク文字版を用いる工程を連続してスケジュールすることにより

,

段取り作業の回数を削減する ことができる. 現在, 生産順序の計画は, 熟練者の経験則により行われている

.

本論文の目的は, こ こで行われている段取り回数の最小の知識を形式化し

,

ソフトウェアによる計画作業の自動化によっ

(3)

FromPrevious$Manufacm\dot{\mathfrak{n}}ng$Process To Next Manufacturing Process 図1: 印刷工程の概要 て,

熟練者に対する意思決定を支援することである

.

なお, 本論文での目的は, 生産ロット間での段 取り回数の最小である. 1回の印刷処理が終了した生産シートは, 作業員によって印刷機から取り出され, 乾燥機へと移動 される. 乾燥時間は,

利用されたインク・文字版・生産シートの種類によって異なっている

.

なお, 乾 燥機の処理順序は,

印刷機での処理順序と異なっていてもかまわな

$Aa$

.

すなわち, 印 il」機と乾燥機の 間に,

図 1 のとおり一時的な保存場所である

$\ovalbox{\tt\small REJECT}$くッファーが存在する. $\nearrow\backslash \backslash \backslash$

ッフ.アー$\ovalbox{\tt\small REJECT}h$, 乾燥機と印刷機 の間にも存在する. 作業員は,

バッファーに設置されている全ての生産ロットの中からひとつの種類

の生産ロットを選択することにより,

生産ロットの印刷と乾燥を繰り返し行う

.

印刷工程には, 大きく分けて

2

種類の印刷機械がある

.

ひとつは自動印刷機, もうひとつは半自動 印刷機である. 自動印刷機では複数枚の生産シートを自動で処理し

,

半自動印刷機では生産シートを

1 枚ずつ手動で取り付けて印刷する.

図1では,

自動・半自動印刷機をひとつの印刷機として表現し

ている. 自動印刷機は,

複数枚の生産シートを自動的に処理することができるため

,

多くの生産シー

トを持つロットを処理する際に有効である.

印刷工程における大部分の処理は, 自動印$\beta|$」機によるも のである. 半自動印刷機の処理は, 小ロットの印刷, 自動印刷機で処理できない製品の印刷や

,

印$\varpi|$

J

枚数の調整を行うために主に使用される

.

半自動印刷機は,

自動印刷機と比較して印刷するスピード

は遅い反面, 細かい印刷が可能である. また, 半自動印刷機の処理は, 不良品の削減に貢献している. ビジネスプロセス分析の結果より, 本論文では,

自動印刷機の処理を対象にするだけで十分であると

いうことを理解した. また,

バッファーの設置場所や乾燥処理順序計画などは重要な要素であるが

,

本論文では,

インク替えの段取り回数最小化のみに注目し問題を簡潔に理解する

.

モデルで利用するデータについて述べる

. 数値実験において使用するデータ

$\ovalbox{\tt\small REJECT}h$, 生産シート印刷経 歴から収集して作成する. 生産シート印刷経歴は,

データ分析に使用できる唯一の情報である.

生産 履歴の分析として, まず, ロット選択の現状把握を把握した

.

具体的には, 数種類の製品は数十種類 のロットに分割されているが,

それぞれのロットはをどの期日に生産されているのか生産履歴表から

明らかにした. ここでの問題は,

ロット選択及びそれぞれのロットにどの程度生産シートを含めるか

,

そのロットのどこまで処理するかである

.

すなわち,

同様の処理を持つロットをいかに選択するか力

$\grave*$ 目 的となる. 問題設定の流れとして,

現場で行われている生産ロット分割状況を分析し

,

生産計画期間 を定義した. なお, 別々のロットに分割する理由は,

緊急の注文を受けたときに対応するためである

.

本論文は, 改善の段階を 「 $1$ 日の処理に関する問題」,「 $1$ 生産期間の商品選択問題」, 「ロット分割 決定問題」 として明確化した.「$1$ 日の処理に関する問題」 は, インク・文字版の種類, 工程順序 (生

(4)

産ロット $x$ の$x_{i}$ 番目の処理は, 生産ロット $y$ の$y_{i}$番目の前後跳間に存在しなければならない) など を制約に持っ段取り回数の最小化問題となる.「$1$ 生産期間の商品選択問題」では, 生産ロットを選択 し, 各生産ロットのどこまでの工程を1生産期間での処理対象とするかになる.「ロット分割決定問題」 では, 内示からのズレに対する未達率最小化問題となる. すなわち, 受注の変動は不確実なものであ るので, 当初内示で想定していた以上の注文を受けることがある. この場合, 受注に対して製品を即 納することが難しくなるが, 我々はこの確率を未達率と定義している. ここでは通常のロットサイズ 問題と異なり, 在庫コストは議論の対象に含まない. 我々が対象とする段取り最小は, ロット分割決 定の後の計画であることが理解できる. なお, 印刷工程では, 自動印刷機の処理の後, 半自動印刷機 での処理が全ての生産シートに対して行われている. 半自動印刷機においても,

3

っの改善の段階が 考えられる. さらに, 半自動印刷機では, 処理速度の都合上生産能力に制約があるため, 自動印刷機 以上のロット分割が必要となる. 本論文の対象は自動印刷機であるため, 同じ種類の製品の別の生産 ロットは同一種類のものとして見なす. 今後, 半自動印刷機も対象にした場合は, 別々の生産ロット として考慮しなければならない. また, 半自動印刷機では, 同一種類の別のロットは同じ日に生産さ れているという事実を明らかにした. これは自動印刷機にはない制約である.

3

定式化

ここでのスケジューリング問題は,

MRP.

印刷マスター. 生産能力などの入カデータ考慮して実行 される. MRP では部品No. ごとの納期と生産数量を確認し, 印刷マスターでは部品ごとのインク・文 字版を確認する. この 2 つのデータと制約条件として生産能力が加わり, 生産計画が作成される. 生 産履歴の分析から, 生産計画期間を1週間に設定した. 集合

.

T- 時刻 $;T=\{0,1,2, \cdots, t\}$

.

.

$N-$ ジョブ (生産ロット) の集合

:

$N=\{1,2, \cdots,n\}$

.

$\bullet$ $M_{i}-$ ジョブ$i$ のオペレーション (

処理) の集合 ; $i\in N,$ $M_{i}=\{1,2, \cdots, mi\}$

.

$\bullet$

C-

インクの種類の集合 ; $C=\{1,2, \cdots, c\}$

.

$\bullet$ $P_{i}^{a}-$ ジョブ$i\in N$ の実行可能なオペレーションの集合. $\bullet$ $P_{i}^{c}-$ ジョブ$i\in N$ の処理が完了したオペレーションの集合.

.

$P_{i}^{d}-$ ジョブ$i\in N$ の処理が不可能なオペレーションの集合.

変数

.

$O_{ij^{-}}$ ジョブ義の$i$ 番目のオペレーションで用いられるインク; $O_{ij}\in C,$ $i\in N,j\in M_{i}$

.

.

$D-$ ダミーオペレーション. 時刻$t$ における $D$ , 時刻 $t+1$ における $O_{ij}$ と同様である. すな

わち, もし$\omega(t)=D$ と $\omega(t+1)=O_{ij}$ が与えられたとき, $D=O_{ij}$ となる.

関数

.

$\omega(t)$ - 時刻 $t$ における $O_{ij}$ を返すスケジューリング順列関数. ただし, $\omega(0)$ のときは$D$ を返す.

.

$f(O_{ij}, O_{kl})-$ もし $O_{ij}=O_{ki}$ の場合は$0$ を返し, $O_{ij}\neq O_{kl}$ の場合は 1 を返す関数.

前提条件

.

時間制約は考慮しない. 無限の生産能力を有する1ステージ 1機械で構成される.

.

時間$t\in T$ において, ジョブ$i$ のオペレーション $O_{ij}$ は必ず処理される. すなわち, 機械遊休時

間は考慮しない. なお, 2つ以上のオペレーションは同時に処理されない. また, 各ジョブの各

(5)

表 1: 入力情報の一例

.

1 生産スケジュールにおいて, ジョブ及びそのオペレーションの数, オペレーションで用いるイ ンクの種類は既知であり, 入力情報として事前に与えられる.

.

段取りコスト時間, 段取りの際のインク間の距離, ジョブのオペレーションを割り付けるため の時間コストは考慮しない. 理解を簡単にするため, 段取り回数だけに注目した単純な問題 とする. $M$

inimize

$\sum_{k=0}^{t}f(\omega(k),$$\omega(k+1))$, (1) Subject to $\sum_{l=1}^{n}m_{i}=t$, (2) $O_{ij}\prec O_{ij+i}$

,

(3)

$\omega(k)\in P_{i}^{c},\omega(k+1)\in P_{i}^{a}$

,

$k\in T,$$i\in N,j\in M_{i},j\neq m_{i}$

.

4

解法

表1は, 段取り回数最小の問題に与えられる入力情報の一例を示している. 各行はジョブ(アルファ ベット大文字で表記), 各列はオペレーション(アルファベット小文字で表記) を表している. 全ての実 験に対して, 入力情報は表 1 の形式で与えられる. ひとつの入力情報は, 10から25のオペレーショ ンを有する 10 から 20 のジョブにより構成されており, ジョブの総数は生産事例に応じて異なってい る. 前提条件より, 得られるスケジュールは一次元の順列であることを理解できる. 本論文では, 解法を次のとおり評価した. もし, 数値実験の結果が現場で得られた解と同様であれ ば, 熟練者の経験的な知識は正しく可視化 (形式化) されたと仮定する. 逆の場合であれば, 経験的な 知識の形式化は不十分であると考え, $\backslash$ 選択ルールを増やして同様の結果が得られるまで繰り返す. 本 論文では, 選択ルールを優先度形式で設定した. また, 実際の生産履歴から作成した事例を用いて数 値実験を行った. 現場での利便性を考慮し, MS-Excel

VBA

を用いてシステムを開発した.

41

選択ルール ここでは, 経験的な知識を選択ルールとして記述する. 選択ルールとは, 時刻$t$ こおいて, どのオ ペレーションを割り付けるかを決定するものである.

(6)

Step 1:

ジョブ $\forall i\in N$ のオペレーション $O_{i1},$ $O_{i2},$

$\cdots,$$O_{im_{i}}$ に対して, もし初期状態であれば, $\forall O_{i1}\in$

$P_{i}^{a};i\in N$ と $\forall O_{ij}\in P_{i}^{d},$$P_{i^{C}}=\emptyset;i\neq 1,$$i\in N$

として初期化する. また, ジョブ $i$ の実行可能なオペ

レーションを示すため $h^{i}$

を定義し, $h^{i}=1;i\in N$ とする. したがって, $0_{ij}=O_{ih_{i}}$ である. 初期状

態以外の場合, $\forall O_{ih_{i}};i\in N,$ $h_{i}\in M_{i}$ は以下によって与えられる.

$O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$

,

(4)

$\{\begin{array}{l}if h_{i}=m_{i} P_{i}^{l}=\emptyset,otherwise \{O_{ih_{*}\cdot+1}, O_{ih_{i}+2}, \cdots, O_{im}i\}\in P_{i}^{d},\end{array}$

(5)

$\{\begin{array}{l}if h_{i}=1 P_{i}^{c}=\emptyset,otherwise \{O_{ih_{i}-1}, O_{ih_{i}-2}, \cdots, O_{i1}\}\in P_{i}^{\epsilon},\end{array}$

(6)

Step

2:

オペレーション$\forall O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ に対して, 以下に従って優先度$PL(\cdot)$ を決定する.

If $\omega(t-1)=O_{kl}$ and $O_{kl}=O_{ih_{i}}$

then

$PL(O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a})=1,t>1,k\in N,l\in M_{i},O_{kl}\in P_{k}^{c}$

,

(7)

else if $\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{ih_{i}},$$O_{kl})=0$ then

$PL(O_{ih_{t}}\in P_{i}^{a})=2,$$k\in N,l\in M_{i},$$O_{kl}\in P_{k}^{d},i\neq k$

,

(8)

else

if

$O_{ih_{i}}=O_{kh_{k}+2}$

then

$PL(O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a})=X,$$O_{kh_{k}+2}\in P_{k}^{d},$$k\in N,i\neq k$

,

(9)

otherwise, i.e.$\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{ih_{i}},$$O_{k1})>0$ then

$PL(O_{ih_{i}} \in P_{i}^{a})=\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{ih_{i}},$ $O_{kt})$, (10)

$k\in N,$$l\in M_{i},$$O_{k1}\in P_{k}^{d},i\neq k$

.

ここで, $X$ には極めて大きな値が設定される.

Step 3:

最小の優先度$\min\{PL(O_{ih_{i}}), O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}\}$ を持っオペレーション$O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ を持っジョブ$i$ が選択さ

れる. $\omega(t)=O_{ih_{i}}$ に割り付けられ, 同時に, $h_{i}$ は $h_{i}arrow h_{i}+1$, 時刻 $t$ は$tarrow t+1$ とそれぞれ更新

される. もし $\forall P_{i}^{a}=\emptyset$ならば, 処理を終了し, それ以外ならば

Stepl

へ戻る. なお, 同一の優先度

が与えられたオペレーションは, 任意の順番で割り付けられる.

理解を容易にするため, 優先度$PL(\cdot)$ の設定規則に関して説明する. もし時刻 $t-1$, すなわち直前

の時刻において, オペレーション$O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ と同一種類のインクを用いるオペレーション$O_{kl}\in P_{l}^{c}$

割り付けられているならば, $\forall O_{ih_{i}}$ は優先度$PL(O_{ih_{i}})=1$が式(7) によって与えられる. 式(7) では,

直前のオペレーションで使用されたインクと同一種類のインクを用いるオペレーションを直後に計画

することによって, 段取り回数の削減を目指している. もし, オペレーション$O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ と同一種類

のインクを用いるオペレーション $O_{kl}\in P_{l}^{c}$が生産スケジュール (入力情報) になかったとき, $\forall O_{ih_{\{}}$

は式 (8) によって $PL(O_{ih_{i}})=2$ が与えられる. 本論文が式 (8) を記述した理由は, 次の通りである.

(7)

図 2: 選択ルールと経験則との比較

ションは段取り削減に貢献できない. したがって, 式 (8) のノレーノレによって, 全体的な段取り削減の

可能性を高めている. もし, オペレーション $O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ と同一種類のインクを用いるオペレーション

がジョブ $i\neq k$ において $0_{ih_{i}}$ から 2 つ後, すなわち $O_{ih_{1}}=O_{kh_{k}+2}\in P_{k}^{d}$ であったとき,

$\forall O_{ih_{i}}$ は式

(9) により $PL(O_{ih_{i}})=X$ が与えられる. この/1/–ノレで与えられた条件$|$は, 経験則を観察すること

$|$こ

よって得られたものである.

本論文において最も重要な知識であると同時に

,

不確かなノレーノレでもあ

る. もし, オペレーション $O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ と同一種類のインクを用いるオペレーション

Okl

$\in$

P

ぞが多数存

在していた場合, $\forall O_{ih_{i}}$ は式(10) によって $PL(O_{ih_{i}})= \sum_{k\in N}\sum_{l\in 1}f(0_{ih:},$

$O_{kt})$ が与えられる. $O_{ih_{i}}$

と同一種類を用いるオペレーションが未割り当てのオペレーション集合

$P_{i}^{d}$ に多く残されていること を評価し, $0_{ih}$. の割り付け時刻を遅らせることにより,

段取り回数削減の可能性を高めている.

数値実験では,

熟練者の経験則によって得られた結果と選択ノレーノレによって結果をそれぞれ比較し

た. ここで,

本論文は典型的な

11

の事例情報を入力情報に用いた

.

これら入力情報は) 現実の生産

環境において頻繁に出現する例である

.

実験の結果を図

2

に示す

.

図 2 より, 1つを除いた全ての問 題において,

選択ルールは経験則よりも良い解を得ていることが確認された

.

また, 全ての事例にお けるスケジュール順列は, 両者ともほぼ同様であった. 数値実験の結果から, 経験則の知識である選 択ルールは, ほぼ形式化できたのではないかと考えられる.

経験則による解よりも良い解を得られた

理由として,

次のふたつの理由を考えることができる

.

ひとつ目$h$, 熟練者が勘に頼っている曖昧な 知識は, コンピュー

タにより忠実に再現できる点である

.

ふたつ目 $\ovalbox{\tt\small REJECT}h$, 経験則に頼っている限り, 手

順の見落としやミスが必ず発生する点である

.

計算機の処理は完全な再現性を持っている

.

この点は,

知識を形式的なルールで表現する大きな利点ではないかと考えられる.

42

改善法 様々な種類の入力情報を与えながら

,

問題を繰り返し解くことによって, 本論文は選択ノレーノレ (従 来法) の実験結果を観察した. 観察の結果, 本論文は

Step2

における選択ノレーノレをより厳密にするこ

とで従来の選択ルールに改善の余地があることを発見した.

以下に記述するノレー/レを「改善法 $1$ と 定義する. この方法を熟練者に提示することで,

より有効な生産順序を実際に得ることが可能である.

具体的には, 式 (9) に非効率な選択ルールが存在するため

,

以下に示すとおり式 (9) を改善した. な お, Steplと

Step3

は従来法と同様である

.

(8)

改善法 lStep 2:

オペレーション$\forall O_{h_{i}j}\in P_{i}^{a}$ に対して, 以下に従って優先度 $PL(\cdot)$ を決定する.

If $\omega(t-1)=O_{kl}$ and $O_{kl}=O_{h_{i}j}$ then

$PL(O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a})=1,$$t>1,$$k\in N,$$l\in M_{i},$$O_{kl}\in P_{k}^{c}$, (11)

else if $\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{ih_{i}},$$O_{kl})=0$ then

$PL(O_{ih_{*}}$

.

$\in P_{i}^{a})=2,$$k\in N,$$l\in M_{i},$$O_{kl}\in P_{k}^{d},$$i\neq k$ (12)

else if $O_{ij}=O_{k}i$

then

$PL(O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a})=X$

,

(13)

$O_{kl}\in P_{k}^{d},$$k\in N,$$l=h_{k}+1,$$h_{k}+2,$

$\cdots,$$h_{k}+h^{s},$ $i\neq k$

,

otherwise $PL(O_{ih_{i}} \in P_{i}^{a})=\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{ih}:’ O_{kl})$

,

(14) $k\in N,$$l\in M_{i},$$O_{kl}\in P_{k}^{d},$$i\neq k$

,

ただし, $h^{s}=3$

.

式(11)$(12)(14)$ は, 式 (7) (8) (10) と同様に理由によりそれぞれ与えられている. 式(13) が与えられ

た理由は次の通りである. もし, オペレーション$O_{ih_{i}}\in P_{i}^{a}$ と同一種類のインクを用いるジョブ$i\neq k$

のオペレーション $O_{kl}\in P_{l}^{c}$ が1つ後から $h^{s}$ 後までに存在していれば, $\forall O_{h_{i}j}$ は後でスケジュールす

るよう $X$ が与えられる.

本論文では, もうひとつの改善法を提案する. 上に示した改善法を「改善法$1$」, ここで示す改善法

を「改善法$2$ とする. Step 1, Step 3は「改善法$1$ と同様であるので, 以下には Step2 のみを記

述する.

改善法 2Step 2:

オペレーション$\forall O_{h_{i}j}\in P_{i}^{a}$ に対して, 以下に従って優先度 $PL(\cdot)$ を決定する.

If $\omega(t-1)=O_{kl}$ and $O_{k}i=O_{h_{i}j}$ then

$PL(O_{h_{i}j}\in P_{i}^{a})=1,$$t>1,$$k\in N,$$l\in M_{i},$$O_{kl}\in P_{k}^{c}$

.

(15)

式 (15) によって優先度が与えられたオペレーションを $O_{h_{i}j}\in PR^{a}$ とし, 優先度が与えられていな

いオペレーション $O_{h_{i}j}\in PR^{b}$ として区別する. ここで, $PR^{a}$ $PR^{b}$ は処理ごとに更新される.

オペレーション$\forall O_{h_{\dot{t}}j}\in P_{i}^{a},\forall O_{h_{i}j}\in PR^{b}$ に対して, まず繰り返しパラメータ $h$ を $h=h^{s}$ で初期

化する. 本論文では, 3 つのパターン $h^{s}=3,4,5$ の場合を検討した. オペレーション$\forall O_{h_{i}j}\in P_{i}^{a}$ に

対して, 以下に従って優先度 $PL(\cdot)$ を決定する.

If $O_{h_{i}j}=O_{kl}$ then

$PL(O_{h_{i}j}\in P_{i}^{a})=X-h,$$O_{kl}\in P_{k}^{d},$ $k\in N,$$l=j+h,$$i\neq k$

.

(16)

繰り返しパラメータを更新し, $harrow h-1$ とする. もし $h\neq 0$ ならば,

Step2

の最初から繰り返す

.

それ以外ならば $(h=0),$ $PR^{a}$ $PR^{b}$ を更新し, オペレーション$\forall O_{h_{i}j}\in P_{i}^{a},$$\forall O_{h_{i}j}\in PR^{b}$ に対し

て, 以下に従って優先度 $PL(\cdot)$ を決定する.

else

if $\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{h_{i}i},$$O_{kl})=0$ then

$PL(O_{h_{\{j}}\in P_{i}^{a})=2,$$k\in N,$$l\in M_{i},$ $O_{kl}\in P_{k}^{d},i\neq k$

,

(17)

otherwise $PL(O_{h_{i}j} \in P_{i}^{a})=\sum_{k\in N}\sum_{l\in l}f(0_{h_{i}j},$$O_{kl})$

,

(18)

(9)

表2: 改善法1と改善法2の比較 式(13) のとおり選択/レーノレをより詳細に記述することによって, (13) は式(16) のとおり書き換 えられている.

5

数値実験

改善法1と改善法2を比較した結果を, 表2に示す.

2

で入力情報として用いている

19

の事例 は, 最近1ケ月の実際の生産で用いられたものである. 1から18の事例は1日の履歴, 事例 19 はある 一週間の履歴に基づき作成されている. 表2より,

全ての事例において改善法

2

は改善法

1

よりも良い結果が得られていることを確認でき

る. 実験結果より, 選択ルールをより詳細に記述することによって, 従来の選択ルールを改善するこ とができたと言える. すなわち, 曖昧な処理にルールを追加する手続きを繰り返すことで

,

生産効率 を改善できる可能性を示すことができた.

表 2 で紹介していない数値実験も含めた全ての事例の段取

り回数の平均値を比較した結果, 従来法では 726 回, 改善法1では602回, 改善法2では463回で あった. 従来法と比較して,

改善法

1

は約

83%

の段取り回数の削減を達成し

,

また, 改善法2では改 善法1からさらに約77%の改善, 従来法と比較すると約 64%の改善を達成した. この改善をわかりや すく記述すると,

現在の生産現場では

1

回の段取りに約

20

分必要としているので

,

数値実験で得られ た26回の段取り削減は単純に考えると26回 $\cross 20$分 $=520$分 $\approx 8.5(h)$ の生産リードタイム削減につ ながると考えることができる. しかし, 本論文ではインク取替に関する段取り回数削減だけを考慮し た単純なモデルで議論しているため, 厳密な意味では同様の最適化を得ることはできない

.

本論文の 有効性を示すためには, 図1で紹介した様々な要素を追加し, より厳密なモデルを構築しなければな らない. 我々の改善に向けたアプローチは, 解法を中心とした問題の設計であるので, 本論文の成果 は, 今後の基礎として位置付けることができる

.

(10)

6

おわりに

本論文では,

現場に介在する熟練者の経験的な知識を基礎として数理モデルと解法を設計した.

後の課題として, まず, 問題の拡張と更なる知識の獲得を検討する

.

具体的には, 表2でえられた事 例19の結果を見てみると,

改善法

2

の段取り回数は改善法

1

の結果の半分以下である

.

スケジュール

期間が長い場合は改善法

2

はより有効であると考えることができる

.

スケジューリング期間が長けれ ば長いほど, 対象となる生産ロットの数も増える傾向にある

.

おそらく, 改善法1での問題は, 各生

産ロットに優先度を個別に与えられない点にあるのではないかと考えられる.

したがって, 同様の優

先度が与えられた状況に限って分析する必要もあるのではないかと考えられるため

,

この状況に限っ て,

実際の現場で熟練者はどのように評価しているのかを調査し

,

知識の獲得を進めながら解法を組 み立てていく. その他,

本論文は経験則を前方向からの選択ルールといった形式で記述したが,

利用

回数のインクに注目した再帰的な知識の記述も可能である

.

したがって, 今後の課題として, 今まで とは異なった方法に基づいた知識の記述と

,

問題の拡張を検討する.

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表 1: 入力情報の一例 . 1 生産スケジュールにおいて, ジョブ及びそのオペレーションの数 , オペレーションで用いるイ ンクの種類は既知であり, 入力情報として事前に与えられる
図 2: 選択ルールと経験則との比較
表 2: 改善法 1 と改善法 2 の比較 式 (13) のとおり選択 / レーノレをより詳細に記述することによって , 式 (13) は式 (16) のとおり書き換 えられている

参照

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