Title
韓国における「第二次経済開発五ヶ年計画」の概観
Author(s)
宮城, 辰男
Citation
沖大論叢 = OKIDAI RONSO, 8(1): 87-122
Issue Date
1968-01-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/10997
韓国における
﹁第二次経済開発五ヶ年計画﹂
宮
日
次
はし
カZ1
主一
、
﹁第一次五ヶ年計画﹂の実績と反省
一
一
、
﹁第二次五ヶ年計画﹂の概要
、
今
後
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の概観
城
辰
男 近年韓国を訪問したw
-W
ロストウは、韓国経済のめぎましい発展を、次のように表現している。今や韓国は、発 展途上にある他の多くのアジア諸国より、はるかにすぐれた展望をもって、﹁テイク・オフ﹂の段階に突入した、 と。や﹀オーバーな表現である。が、韓国は、一九六五年頃から経済の安定基調を取り戻し、ある程度﹁離陸﹂の為 の基礎的諸条件を整備したことは確かである。 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観 i¥ 七沖大論叢 i¥ 入 ところで戦後における韓国経済の歩みを大きく段階区分するならば、復興期と発展期に分けることができるであろ ぅ。すなわち生産力が戦前水準に回復した一九五七年頃を境として、復興期から発展期に突入したといってよいであ ろう。しかしながら経済建設が本格的段階に入ったのは、朴政権になってからのこと﹀いわれている。 その問、韓国は、解放(一九四五年八月一五日)、非劇的南北分断、大韓民国の成立(一九四八年八月十五日)、 韓国動乱勃発(一九五
O
年六月二五日)、停戦協定(一九五三年七月二七日成立)、四月革命(一九六O
年)、軍事 革命(一九六一年)等々、 と大きく揺れ動いた。特に韓国動乱による経済的被害は甚大であった。 か﹀る混乱と動揺 の中で、韓国の経済建設は著しく遅れるに至った。 さて、韓国において、綜合経済計画なるものが樹立されたのは、 一九六二年をもって、暗矢とする。これを契機と し て 、 ﹁経済第一主義﹂が打ち出された。しかし第一次五ヶ年計画は、政策の不備、経験の浅さ等から、実施過程に おいて、多くの腔朕をおかした。本格的経済計画は、 一九六七年を始年度とする第二次計画に持ち越されることにな った。国民的エネルギーも第一次、第二次経済計画の実施を契機として、次第に、政治問題から、経済建設の方向へ 流れ初めたように思われる。 それはともあれ、向う四、 五年、韓国経済は、第二次計画を軸として、回転することに な る で あ ろ う 。 本稿においては、特に﹁第二次経済開発五ヶ年計画﹂に焦点を当てつ¥韓国経済の現状とビジョン、及ぴ今後の 課題等について、概観することにする。ァ 、
﹁
第
一
次
五
ヶ
年
計
画
﹂
の実績と反省
第二次五ヶ年計画(一九六七年J
一九七一年)を検討する前に、第一次計画(一九六三年J
一九六六年)の実績を 一瞥することにしよう。第二次計画は、いわば第一次計画の延長であり、多くの点で共通する問題点を持っているか ら で あ る 。 まづ、期間中における成長の諸指標及ぴ変動率についてみると、次の如くである(付表一参照)
o
G
N
P
の年平均成 長率は、七、六%で、かなり高く、一九五二J
一九六一年の日本の年平均成長率一O
、五%、よりはや h 低いが、台 湾の七、五%に匹適するものである。しかし、パ l キャピタGNP
は、人口増加率二、九%を反映して、年平均四、 六%に止まっている。一九六五年度の一人当国民総生産は、二万七千五百ウォンニ米ドル H 二 七 二 ウ ォ ン ) 、 米 ド ル に換算すると、約一一一ドルとなる。(韓国年鑑、一九六七年による)。高度成長国とはいえ、一般康民の生活水準 は 、 極 め て 低 位 に あ る 。 産業別にこれをみると、鉱工業が年平均一五・三%、農林・水産業四・八%、社会資本その他サービス業(土木建 築、電力、水道及び衛生事業、通信、運輸及び保管業、その他サービス業)七・一%の成長率で、鉱工業セクターの 成長率が、特に顕著である。 製造業部門の年平均成長は率、期間中一四・三%、その中でも、輸送用機械(三六・三%)、電気機械(三0
・ 七 %)、ガラス及び土石製品(一二一・七%)、化学製品(一四・七%)、紙類及び同製品(二了 O M W ) 等の成長率が特 に著るしい。なお、主要基幹産業の生産状況は、付表二の通りである。 か、﹀る急速な経済規模の拡大は、部門聞にも変動をひき起した。すなわち、一九六二年と一九六五年度の産業構造 を比べると、鉱工業部門一六・八%から一二・六%へ、農林・水産業部門三六%から三八弘へ、社会資本その他サl
韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観 i¥ 九沖大論議 九
。
ピ ス 業 四 七 、 五 % か ら 四 O % へ と 、 それぞれかなりの変化をきたしている。 一九六五年度の商品輸出総額は、 一 億 七 千 五 百 万 米 ド ル で 、 一九六一年度の四千 次に商品輸出入についてみると、 百万米ドルと比べると、実に四倍以上の増加となっている。他方一九六五年度の輸入総額は、 四億六千三百万米ドル で、輸入超過は、二億八千八百万ドル、 一九六六年度のそれは、七億一千六百万米ドルで輸出入ののギャラプは、実 に四億六千六百万ドルにも達している ( 韓 国 経 済 白 書 、 一九六七年による) このような経常収支の赤字は、大部分、公共及び民間援助等によって、 カバーされている現状である。輸出額の対 一九六二年度の二・四%から六五年度には六・O%に上昇し、他方一九六四年J
六五年度の輸入対G
N
GNP
ギ は 、P
率は、下降傾向をたどっている。 ( 韓 国 年 鑑 、 一九六七年による) 商品輸出の急激な上昇にともなって、輸出構造にもかなりの変化がみられる。すなわち、製造業産品の全輸出額中 に 占 め る 比 本 は 、 一 九 六 二 年 度 の 一 八 % か ら 、 一 九 六 五 年 度 に は 、 一 挙 に 六 一 % に 上 昇 し た 。 一 九 六 二 年J
一 九 六 五 年の聞の輸出の増加額一三四百万米ドルの中、三四百万米ドルが、 一次産品及び原料で、残り一億米ドルは、製造業 産品によるものであった。 輸出増大の主要商品は、織物、衣類、合板、鋼板、 タイヤl
、 鉄 鉱 、 ゴム製品、重石、生糸、水産物等となってい る。韓国は、今や一次産品の輸出国から、 工業製品輸出国へと完全に脱皮したことを示している。勿論工業産品輸出 額は、他の先進国と比較すると極めて低位にあることは事実であるが、 工業化への旺盛な意欲の程が、うかy
え る 。 以上第一次計画による成果を概観したのであるが、 それは、製造業部門を中核とする、生産の拡大、発展、輸出増 大の中に象徴的に表現されているように思われる。 ところで、韓国において、綜合経済計画が、策定されたのは、これが、初めてのケ l ス で あ っ た 。 し た が っ て 第 一次計画の実施は、まさに韓国経済の夜明であり新しい転機をなすものであるといってよいであろう。しかし、政策の 不備、経験の浅さ等から、計画実施過程において、多くの膿朕をおかした。最も困難な問題は、物価騰貴の問題であ っ た 。 一 九 六 二
J
一九六五年の卸売物価は、前年度比で平均一八・七%宛騰貴した。特に一九六四年度のそれは、三 回・七%にも達した。その為韓国政府は、 一 九 六 四 年 三 月 、 ついに第一次計画に対する補完計画なるものを発表せざ る を 得 な か っ た 。 インフレーションは、投資財源の調達と、その合理的配分を困難にした。政府当局は、補完計画に基づいて、金利 の適正佑、財政の健全化、貿易の自由化促進、為替レl
トの適正化、安定化等、一連の安定政策を実施した。その結 果、インフレーションは、殆んど去勢され、一九六五年の卸売物価は前年度比で、一
0
・
0
%
、
一九六六年度のそれ は、七%にと Y ま る こ と に な っ た 。 しかしある程度安定基調を取り戻したとはいえ、七%という上昇率は、まだかなり高いものといわなければならな ぃ。ちなみに、沖縄における一九六一年を基準とする一九六五年度の、消費者物価指数は、総合で一O
八・九%に過 ぎなかった。(沖縄経済の現状一九六五年度)。その他韓国経済は、人口増加の問題、貿易収支の極端なアンバランス の問題、資本調達の問題等、当面幾多の難問題を抱えているが、これらの諸問題は、引き続き、第二次計画に持越さ れ る こ と に な っ た 。一
、
﹁
第
二
次
計
画
﹂
の概要
第一次計画の経験と反省に基づいて、より精巧に、 より現実的に策定されたのが、 いわゆる第二次計画(一九六七 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観 九沖大論叢 九
J
一九七一年)であるといえよう。しかし、その底に流れる計画作成上の発想は、第一次のそれを踏襲しているよう に思われる。すなわち出発点は、資金量であり、調達し得る内資や外資の金額によって、開発規模と内容が決定され る。この考え方は、明らかに、国連報告書﹁低開発諸国の経済開発の諸方策﹂等にみられる、 いわゆる巨視的成長論 的接近法に基づいたものと思われる。 さてその接近法の是非はさておき、こ﹀においては、第二次計画作成上の特徴ともいうべき点に焦点を当て﹀みよ , ﹁ ノ 。 まづ計画作業は三つの面から進められている、といってもよいであろう。第一は総量計画であり、第二は部門別計 画であり、そして第三は、投資事業計画である。第一の総量計画の中では、計画の巨視的諸目標(
G
N
P
、 輸 出 入 、 投資、消費、貯蓄等)が設定され、目標相互間の均衝を保持するよう配慮されている。第二においては、各産業部門 の生産量と、これに対応する資金需要量が細かく推定されている。第三においては、事業の収益性、一雇用効果、国際 収支効果、経済成長効果、技術性等が、検討、分析され、同じ部門内での投資の優先順位が決定されている。以上三 つの面から作業が進められ、最後に綜合調整がなされる仕組みである。 ところで、計画の作成作業には、経済企画院を中心として、各種の分料作業部会がこれに当っている。 作 業 部 会 は、財政、金融、貿易、鉱工業、農林、水産業、鉱工業計画評価等の各分料作業部会に分かれ、各作業部会は、 そ れ ぞれ、関係官庁の専門家、民間の専門家、USOM(
アメリカ援助庁)及び米独の顧問団等のメンバーによって構成 されている。これらの一流の専門家達によって構成された、各作業部会は、経済企画院で推定された資料をもとにし て、各面から分析、検討を加える。 そして最後に﹁第二次経済開発五ヶ年計画作成のための合同会議﹂と﹁経済計画諮問委員会﹂において、綜合的立場から検討、調整がなされる。 諮問委員会は、関係各省の次宮、国策銀行の副総裁、学界、言論界、経済問題研究機関、各経済団体の代表者遥に よって構成された、最高の権威ある委員会である。 このように、長い時間と、多くの専門家達の頭脳と熱意を結集して誕生してきたのが、いわゆる第二次計画であ る
。
付 第二次計画の基本目標 以上のような作成経過をへて生まれてきた、第二次計画は、韓国経済の長期的ピヲョンの上に立った、極めて雄大 かつ意欲的な計画となっている。すなわち、韓国は、一九八0
年代の初めまでに、投資財源の完全な圏内調達、完全 雇用の達成、貿易収支の均衡化、近代化のための経済基盤の整備等を通じて、経済的自立体制の確立をめぎしてい る。第二次計画は、いわば此の長期展望へ接近するための一課程に過ぎない。 きて第二次計画によると、期間中には、市場経済の長所を生かしつ¥政府の誘導政策によって、国民経済をより 活発に動かし、能率的に次の諸目標を達成するものとしている。ω
食 糧 を 自 給 す る 。ω
化学、鉄鋼及び機械工業を建 設して、工業高度佑の基礎を造る一方、工業生産を倍加する。ω
七億米ドルの輸出を達成し、輸入代替ぞ促進して、 画期的な国際収支改善の基盤をつくる。ω
雇用を増大する一方、家族計画の推進によって、人口増加を抑制する。ω
国民所得を画期的に増加させる。とくに農家所得の向上を図る。ω
化学及び経営技術を振興させ、人的資源を培養し て、技術水準と生産性を高める。 更に以上の諸目標を具体的に数字で示すと、次の知くである。 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観 九 =沖大論叢 九 四 経済の規模拡大と構造改善
ω
経 済 の 規 模 は 、 一 九 六 五t
一九七一年の聞に五O%拡大する。ω
一人当り国民所得は、三一%伸びる。ω
計画期 闘中の年平均成長率は、農林、水産業五%、非農林、水産業、 か ら 二 七 % へ と 進 出 す る 。ω
雇 用 は 、 八%となる。鉱工業のGNP
に占める比本は、ニ二% 一九六五年の八百五O万人から二二%増加し、 一千四十万人となる。完全失業 率 は 、 七、四%(一九六五年)から五、O%へと減少する。鉱工業部門の雇用は、全体の九%から一二%以上の比重 と な る 。 自立度の向上ω
輸出は商品五億五千万米ドル、貿易外収入一億六千九百万米ドル、計七億二千万米ドルとなる。したがって、 米国からの援助がなくても、総輸入九億六千二百万米ドル中、自力による輸入が七五%に伸びる。ω
総才入に対する 一九六五年の七六%から九四%へと向上する。ω
投資財源の自力調達率は、一九六五年度の四八 圏 内 収 入 の 比 率 は 、 % か ら 七 二 % に な る 。 国民生活と基本需要の充足ω
食 糧 は 、 一 O 二 百 万M/T
に達する総需要が自給される。 一 人 当 り 一 日 の 消 費 量 は 、 一九六五年の三・六合か ら三、八合へと増加する。ω
一人当り年間綿織物の消費量は、約三米水準を維持する。化学繊維の生産量は、 一 九 六 五 年 の0
・七見から一、三同へ倍加する。附計画期間中八十三万三千一戸の住宅を建設する。 基礎工業の拡充ω
工業生産は二倍となる。軽工業対重工業の相対比は、 一九六五年の七二対二八から六六対三四になる。ω
一 九 七一年までの基礎工業部門の生産増加率は、次の通りとなる(一九六五年度を基準として)。鉄鋼材二・六倍、石油類三・四倍、佑学肥料(窒素質) 五 ・
O
倍 、 セメント二・八倍、電動機二・五倍、自動車一七・一倍、造船能力二・ ゴ 一 倍 。 社会資本の拡充と国土の保全ω
電力生産は、三、二五O
百 万 問 調 出 か ら 七 、 七 九 七 開 封 副 向 と な る 。 一人当り電力消費は、八七問調向から一九二 四 二O
百万屯/粁へ、上昇する。ω
話 阿 君 国 へ と 倍 加 す る 。ω
総 貨 物 輸 送 量 は 、 五 、 八 一O
百万屯/粁から、九、 l土 二四七千回線から八八四千回線へと、コ了六倍になる。ω
二万一千以上の国民学校教室を新築する。 以上第二次計画における基本的目標を具体的に数字であげてみた。 日 生産、投資、貿易及び雇用計画 第二次計画期間中における経済成長率は、年平均七%で、 かなり高いものとなっている。この数字は、他の発照途 上にあるアジア諸国の経済計画における年平均成長率と比較しても、台湾の七・四%を除く、他のどの国よりも高 し、。
一 人 当 国 民 総 生 産 は 、 一九六五年の二万七千五百ウォンから、 一九七一年度には、三万六千百ウォンになる見込 で あ る 。 ( 付 表 三 参 照 ) ( 以 上 は 同 ︼ 雪 印 刷R
o
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崎 、 な 悶 ,E
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可 同 町 。 き さ 礼 町b
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どによるものだヵ
、
t 一九六六年度の一人当GNP
は、三万五千四百八十二ウォンとなっている。) 産業別年平均成長率をみると、農林、水産業五%、鉱工業一0
・七%、社会資本・その他サービス業六・六%とな 一 九 六 七 年 度 経 済 白 書 に よ る と 、 っている。第二次計画においても、鉱工業セクターが、成長の主導的役割をになっていることがわかる。 部門別生産計画によると、各部門とも大巾な生産増が見込まれている。すなわち、農林・水産部門は、食糧増進と 水産物の振興を通じて、期間中(一九六五J
一九七一年)三七%の増加、このうち農業部門三一%、水産業一四 OMW 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観 九 五 @沖大論叢
。
九 ノ、 % 、 金 属 工 業 一 四 三 % 、 の増となる。鉱工業部門にあっては、総生産水準が、九三%の増加、とくに、化学肥料四三一%、化学工業一 セメント一二四%、機械工業一一入%、繊維工業九四%の増加が目だつ(付表四参照)。社 五六 会資本・その他サービス業部門については、部門全体として六四%増、 その中で、電力、土木建築、通信、運輸部門 が 、 そ れ ぞ れ 、 一 三 三 % 、 一 一 三 % 、 七 O %、
五 七 % の 増 加 と な る 。 主要品目の生産計画によると(付表五参照)、増加率(一九六五J
一 九 七 一 年 ) の 最 も 著 し い 品 目 は 、 ナ イ ロ ン 糸 、 自動車、肥料、精油、各種電気、各種内燃機関等となっている。 生産物の量的増大と併せて、新規品目の生産計画も注目をひく。そのうち主要な品目は、化学パルプ、ソl
ダ 灰 、 ポリエチレン、ポリスタイゲン等である。が、量的にはまだ微々たるものである。 エ チ レ ン 、p
・v
・c
、 燐 酸 質 肥 料 、 以上の生産計画が、もし予定通り達成されるならば、産業構造及び工業構造における高度化が、 一 層 促 進 さ れ る こ とは当然である。計画によると、 一九七一年度における各部門聞の構成比は、農林・水産業三四、鉱工業二六・八、 社会資本・その他サービス業三九・二となる。 一 九 六 五 年 の そ れ は 、 そ れ ぞ れ 三 八 ・0
、 一 二 ・ 七 、 四0
・ 二 一 で あ っ た。重工業部門と軽工業部門の相対比は、既に﹁基本目標﹂のところでみたとおりである。なお詳しい数字について は 付 表 六 参 照 。 さてこのような生産増加計画を実行に移し、経済近代化への基礎がためをする為には、莫大な資金量を必要とす る。所要財源の調達如何が計画の成否を左右することになる。計画によると、 一 九 六 七J
一九七一年の総投資所要額 lま 九、八OO億ウォン ( 一 九 六 五 年 価 格 ) となっている。これは、期間中のGNP
の一九・O%に該当する。第一 次計画期間中の投資実績一三・九%からすると、 かなり意欲的な数字である。 投資財源の調達計画によると、期間中の投資所要総額九、 八OO億ウォンのうち、園内貯蓄(六、 O 二 九 億 ウ オン)が六一・五%、海外貯蓄(三、七七二億ウ ォン)が 三九・五% を担当す ることになっ て い る 。 海外貯 蓄の主なる 項目は、長期資本導入、外国 援助 、余剰農産物、技術援助、対日請 求権資 金、民間贈与 等である 。 計画期間中の国内貯蓄の中、 民間 貯蓄が、三、八 三 九億ウォン、政府貯蓄が二、 貯蓄の占める比率が大きくなっている。此の政府民 間別の 比 率 は 、 る 。 し か し 、 一 八 九 億ウォン で、相対的に民間 ﹁第一次五ヶ年計画﹂の それとは全く対象 的であ それでも政府貯蓄の占めるウエイトは、先進資本主語国のそれより、はるかに高い。 政府の財政収支は、付表七 の通り であるが、財政収入源としては、租 税収 入が最も大 き く 、 その外、税 外 雑 収 入 、 援助受入及ぴ対日請求権等が主な項目となってい る。租 税計画につ い て は 、 年次別増加 計画を たて、租税 負 担 率 を 一 九六五年の八・八%から、 一 九 七 一 年 度 に は 、 一 四 ・ 二 % に 高めることにしている。 海外財源は、投資財源の中でその比重を漸減し、 産業別投資毘分(1965年価格) 単 位
:
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億ウォン 第一表 構成比%1
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出所 :The Second Five. Year Economic Development Plan1967 ,_1971 そのかわり圏内貯蓄のウエイトが増大することになるが、計画に ト 4 4 h v ・ と 、 アメリカその他の外国援助は、年々減少し、 一 九 七O年 の二五百万 米 宅 ド ル を 最 後 に 終結 する。余剰 農産物の 導 入 も 、 食糧の自給 体制の確 立に伴なっ て 、 打 ち 切 ら れ る ことになってい る 。 し た が っ て 、 海外貯 蓄の有力項 目として 、 対日請求権資金、長期低利借款が、 ク ロ ー ズ ア ッ プ して来る ( 付 表 八 参 照 ) 。1
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以上投資財源の調達計画についてみてきたのであるが、今度は投資配分計画 に視点を移 そ う 。 第二次計画においては、社会資 本の拡充 を 背 景 に 、 第二次産 業の急速な発 展 に 主 眼 を お い て 、 資金 を配分してい るよう に思われ る。第一表 の産業別投資配分は、これを示している。ちなみに、 第 一 次計画における投資 配分は、農林・水産業一七・二%、鉱工業三四・O%、社会資本・その他サ l 緯 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観7
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1
農 林 ・ 水 産 業 鉱 工 業 社会資本その他 サ ー ビ ス 業 総 投 資 九 七沖大論叢 ピス業四八・八 M初 で あ っ た 。 九 i¥ 次に部門聞における、内資外資の比重をみると、農業部門においては、投資所要額全体の八O%以上が、内資によ って占められているのに対し、製造業部門のそれは、僅か三二%が内資で、残り六八%が外資によって、充当される ことになっている。電源開発投資、交通部門投資等の社会資本関係の投資における内外資本の比率は、大体半々とな 江参照)。このことは、経済成長効果、国際収支効果の高い部門及び産業基盤造成部門に、 っ て い る 。 ( 付 表 9 、 四 、 外資が集中していることを示している。 単位:百万米弗
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期間中合計 金額I
構(成%比) 金額I
構(成%)比 金 額I
構(成%比) 原資材3
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要 鴇 入 翰 2表 資料:The Second Five・Year Economic Development Plan. 1967'""1971 貿易闘係についての計画の概要は、次の如くである。国際収支は、依然 として、赤字基調が続くものとみる。しかし輸出入構造の高度佑にともな って、商品輸出全体に占める工業産品の比重は、一九六五年の六二・三% 一九七一年には、更に七三・六%へと上昇する。また期間中の商品 輸出の増加率は、年平均一七%、国民総生産に対する輸出依存度も、 か ら 、 九 六 五 年 の 五 ・ 三 % か ら 、 一九七一年には=了五%に上昇することを期待 し て い る 。 一九七一年の商品輸出入目標は、前述の通りである。 輸入需要の面においては、第二表の示す通り、機械類を含む資本財輸入 が激増し、総輸入額に対する構成比は、 一九六五年の一五%から三七・五 %に上昇する。原材料及び消費財の輸入は相対的に減少する。 最後に人口と雇用問題に対する第二次計画の内容をのぞいてみよう。人 口問題は、韓国経済にとって、依然として最も困難な問題の一つである。第二次計画においては、人口の自然増加率を、 一 九 六 五年のニ・七% か ら 二%に抑制す る こ と を目標としてい る 。 計 画期間中の産業別雇用増加率は、農林・水産部門、 年 平均二%、鉱工 業部門 九%、社会 資本及び サービス 業部門五 拍 内外を見込んでいる。鉱工業部門の雇用増が特に 著 し い 。 一九六五年の失業者は、六七万 七 千 人と推定され、失 業 率 は七・四%であった。 これには、相当数にのぼると思われる潜在失業者は、含まれてい な い。第二次計画におい て は、失業率五% におさ えることにしている。 雇用構造は、期間中に、農水・林産業五八%、鉱工業一二%、社 会資本及 びサービス 業 二 九%と、漸次 近代 化の方 向を志向することになる。因みに一九六五年のそれは、それぞれ、六三%、九%、ニ七%であった。 以上が生産計画、資金計画及び貿易、雇用問題を中心として、巨視的にみた第二次計画の概要である。 日 開発政策の基本方向 韓国における第二次計画の政策的課題は、
ω
圏内投資財源を如何に 調達 す る か 、ω
動員され た投資財源を如何に効 率的に配分するか、∞経済の安定基調を如何に維持するか、ω
過剰人口問題を知何に解決 す る か、∞輸出の増 進等 に 要約することができるであろう。以上の課題は、現在、韓国経済が当面す る 、最も重 要な問題で も あ る 。 きて韓国政府は、如何なる政策手段によって、これらの課題を最も 効果 的に解決しよ う と 、 意 図してい るのであろ うか。次にその骨子を列記することにしよう。 ) - E 且 ( 租税政策(
A
)
間接税に対する課税対象を拡大し、税率の適正化を図る(韓国は他の発展途上のア ヲ ア 諸国と同様、間接税 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 爾 ﹂ の 概 観 九 九沖大論叢
一
OO 重点主義をとっている。)( B
)
所得税の課税を正確にする一方、所得の増加にともなって、免税点を漸次引上げる。(
C
)
現行所得税の累進率を高めて、負担の公正を期すとともに、綜合所得税制度を段階的に採個別する。(
D
)
新税源を捕えるよう努力する。( E
)
酒税率を引上げ、等級差を拡大し、現行の従量税を従価税に変更する。(
F
)
政府投資機関を課税対象とし、その経営合理化を促進する。( G
)
税 務 行 政 の 強 佑 。( H
)
地方附加税は、国税に移譲して行政の重複を避ける。 (2) 財政投融資政策 国民経済の成長を刺戟、誘導する。社会資本の拡充を図り、民間資本の限界効本を高める。民間投資の不足部分を 補 完 し 、 ﹁私的企業者精神﹂の喚起を図る。 (3) 金融政策( A
)
金融機構の整備、再編成を通じて、合理的な運用を期す。(
B
)
金融構造を拡大、多様化して、預金の吸収化を図る。(
C
)
金利の格差を縮少して、金利体系を合理的に再調整し、複雑な現行金利構造を単純化する。( D
)
私金融市場(闇金融)の資金を、公金融機関に誘導し、生産的投資に向ける。(
E
)
貯蓄性預金の増大を図り、産業資金を円滑に供給して、産業の私金融依存度を減少せしめる。(
F
)
資本市場の健全育成を図る。物価の安定は、開発計画の成否を左右する鍵で あ る として、次の 如き項目 をあげてい る 。 物価政策
(
A
)
物資需給の円滑化を図 る 。(
B
)
通貨面からく る 物 価圧力を除去す る 。(
C
)
流通機構を組織、系列化し、自由で公正な価格競争を通じて、物価の安定を図 る 。(
D
)
農産物価格安定の為の﹁穀価安定基金﹂ の設 置 と 、(
E
)
賃金及び公共料金の適正化に務める。ω
人口対策及び雇用増大策 ﹁ 糧 穀 備蓄制 ﹂の合理的 運営を図 る 。(
A
)
臨床的、助言的、及び大衆宣伝の方法によって、出生の抑制を図る。(
B
)
人口の都市集中化れ ソ ウ ルにおいては、年平均一五%内外の 増加率 )を抑制す る。その為 の方策として、① 衛星都市を建設して、大都市人口の分散を図 る。@工 場が過度に密 集 し ている大都市 の 、工場施設の盤 張を抑制 し て、新聞都市に工場を誘致する 。 ③開墾、定着 事業 を 通 じ て 、 農業部門自 体で労働力を吸収する。(
C
)
ー高度資本集約的事業の推進とともに、他方、労働集約的産業も 育成 して、雇用の極 大 化 を 図 る 。(
D
)
開墾、干拓、道路及び治水事業等を促進して、農村での雇用の増大を図る。(
E
)
海外労働需要を調査して、労働力の出稼ぎを促進する。 輸出増加政策(
A
)
国際競争力の強化策として、企業経営の合理伯、技術の向上、適正価格の維持、 厳格 な品質管理、製品 規格 の標準化、クレームの迅速な処理を図る。 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観。
沖大論叢
。
(
B
)
輸出産業公団の設立、輸出業者協会の結成、貿易振興会社の機能強化等を通じて、側面的に競争力の強化を 図 る 。(
C
)
輸出奨励策としては、①租税の減免@低利輸出信用の供与③輸出産業に対する特別減価償却制度の実施⑪電 気及ぴ運賃料率の割引などが、主な項目である。(
D
)
商品輸出における、対米依存度を是正し、他の先進諸国及ぴ開発途上諸国にも市場を拡大する。(
E
)
外国投資家による、直接及び合作投資の積極的誘致を図る。 以上第二次計画における、主要な政策手段を列挙してみた。一
一
一
、
A.. 寸後
の
課
題
第二次計画の内容は、これまでみてきたように、極めて野心的であり、且つ希望に満ちたものである。しかし他の 発展途卜.国と同様、経済的のみならず社会的にも、まだ多くの面で後進性を内包している。その中でも、今後の韓国 経済における重要課題は、凡そ次の如く集約できるであろう。ω
投資財源の確保と、その効率的配分、ω
過剰人口と 雇 用 の 拡 大 、ω
安定基調の維持、これである。これらの諸問題は、発展途上にある他の多くのアツア諸国経済にち、 多かれ少なかれ、共通する課題でもある。 付 投資財源の確保 此の間題に対する一般的困難性は、ω
圏内貯蓄が、絶体額においても、国民所得に対する比率においても、低水準に あ る 。
ω
したがっ・て、海外貯蓄に対する依存度が、絶体的 K も相対的にも高い、というとこ ろ にあろう。第二次計 画によると、計画期間中の投資所 要 総額のうち、海外貯蓄の占める比 率 は 、 三九、五%になっている。が、この比平 は、他の発展途上にあるアジア諸国の開発計画における、平均対外資本依存度三O%と比較しても、かなり高い対外 依 存 性 を 示 し て い る 。 第二次計画は、海外財源の漸減傾向を予測し、強力な圏内貯蓄の増強策を打ち出している。しかし、庖大な顕在 的、潜在的失業人口、低生産力、低実質所得、デモン ス トレーション効果、インフレーション傾向、金融機構の 不整 等、韓国経済の厳しい現実を考慮に入れる時、圏内財源の伸ぴに、多くを期待することは、甚だ非現実的といわなけ れ ば な ら な い 。 次に﹁第一次五ヶ年計画﹂の投資配分計画と第二次計画とのそれとを比較してみよう。第 一 次計画の産業別投資計 画は、次表の通りであるが、第二次計画のそれとの聞に著しい相違がみられる。 まづ第一次計画における、産業別投資配分計画によ る と、第一次産業一七、二%、第二次産業三四、O%、 第三次 産業四八、八%となり、第二次計画においては、それぞれ、一三、四%、 二 九 、 五 % 、 五 七 、 一 % と な っ て い る 。 内外資本の比率についてみるに、第一次計画においては、第一次、第二次、第三次産業とも内資が圧倒的に大き 計画の内外資本の比率は内資六て く、全体としても、七一一、四%が内資で、僅か、二七、六%が外資に依存しているに過ぎない。これに対し、第二次 五%で、相対的に内資の占める比率は低下し、対外資本依存度 五 % 、 外 資 三 九 、 が 急 増 し て い る 。 以上両計画の投資配分計画、及び内資、外資の投資財源調達計画における相違は、われわれに、次の如き 事実を提 示してくれる。すなわちω
第二次計画においては、農業生産への投資が、相対的に消極化している。ω
第二次計画に 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観一
O 三神大論叢
一
O 四 おける投資財源の大半が、、社会資本の拡充'に向けられ、第一次]第二次産業への資金配分が相対的に ρ低下しているω
第二次計画においては、投潰財源のうち、内資の占める比率が後退し、外資の相対比が急増している。ω
こ の こ と 「第一次五ヶ年計画」の産業別投資計画 (1961年価格) 産 業 部 門 別 金 額 外資内資別 l 政府民間別構成比 ~I円一責点瓦「民間
億ウォン7
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.
2
億ウォンl億ウォンi
億ウォン 億ウオシ 第1
次 産 業5
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8
1
第 S表 注:金哲著、韓国の人口と経済、2
4
4
頁による、は、第↓次計画の投資財源調達計画における過度の圏内資金重点主義が 、 そ の 実 施 過 程 布 、 多く の困難に逢 着し、第 二次計画において、その修正を余儀なくされたものと見るべ‘きであ ろ う 。 きて、か h る修正ほ、韓国経済の厳しい現実分析の上に立った結果だと 思わ れ る 。 が 、 今後と も、計画通りの 高度 経済成長を維持し、産業落盤の拡充を推進していく為には、外資に積極的に依存せざるを得 な い状態に あ る ことは否 定できない。だとすると、 ! 問題は、外資を如何に効率的に、経済発展の為に誘導しっ、、圏内財源の充実を図ってい くかにあるといえよう。
口
過剰人口と雇用の拡大 韓国における過剰人口問題は極め ・ て深刻である。此の問題の深刻さは、経済規模とλ
口規模との極端な ア ン パラン スから生まれる。戦後、特にその不均衡が拡大したのは、(
A
)
ニ
OO万人近くの海外 人口の引 揚 げ 、 ︿B
)
一
O O 万人近くの北韓国人口の南下、(
C
)
死亡率の低下に伴う、人口の宙然増加率の上昇によるものとされている 、 。 六六年一O月一日現在の韓国の総人口は約二千九百万人、人口密度、 二九七人 、 自 然 増 加 率 一 ( 対 前 年 度 比 ) 一 一、七% 九 となっているご九六七年度、韓国経済白書によるコ さて第二次計画によると、期間中の人口の自然増加率を、二、O%程度に圧えること に し、その為の方策 と し て 、 教育、大衆宣伝等による方法を考えている。しかしこのようなお組末 な 人 口 対策によっ て、計画 目標を短期 的に達成 し得るであろうか。いき﹀か疑問である。 一般的に、次の如き入口の自然増加傾向が み ら れる。すなわち F 、 農 業技術の故善 寸 工業化、運輸通信の発達、一公共保健対策が進b
につれて、当然死亡率の低下現象が現われるが内出生 経済発展の初期の段階にある諸国においては、 軸 開 国κ
お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観 市 O 五神大論叢
一
O 六 率は、伝統的社会慣習により容易に低下しない。事実、ECAFE
の報告によれば、アジア低開発地域の人口増加率 は、一九二O年J
一九三O年平均一、O%、一九三O年J
一九四O年平均一、二%、一九五O年J
一九五六年平均 一九八O年までの年平均増加率は、およそ三、八%をくだらないであろうと推定して 一 、 七 % 、 と そ れ ぞ れ 上 昇 し 、、
' p o pLV. , もし以上の人口増加に対する一般的傾向を肯定するとするならば、韓国における人口問題の将来は、益々厳しさを 増すものと思われる。経済規模の急速な拡大発展が、今後一層要請される似所である。 ところで、高度経済成長を達成するためには、資本集約的方法を選ばなければならない、ということは、当然であ ろう。しかし多くの生産分野において、近代的技術が採用されると、労働/資本比が低くなる。 は、雇用の造出を低下せしめる。 つまり、このことは、発展の初期の段階にある固においては、 低い労働/資本比 一人当り所得増加の 極大化と同時に、雇用増加の極大化は、両立しがいいものであり、二律背反的なものであることを意味する。人口過 剰の低開発固における急速な工業化と、雇用拡大との聞には、相矛盾する二つの要素が内在していることは明らかで あろう。この矛盾を、如何に調和していくか。尾大な顕在的、及び潜在的失業者を抱えている韓国経済にとって、正 (一九六五年度の失業率(完全失業者)は七、四%と推定され、その他 に相当数の潜在失業者の存在が予題される。完全失業者に対する失業率は、金哲氏の推計より、はるかに下回ってい に当面の重要課題といわなければならない。 る 。 ) 次に金哲氏の﹁第一次五ヶ年計画﹂における雇用問題、 に対する結論をみてみよう。氏によれば(
A
)
第一次産業 部門での新規雇用の増大は殆んど期待できない。この部門での広汎な不完全就業のために、労働力需要の増大が、新 規雇用の増加を意味しない。( B
)
農村で、新しい失業人口を抱えこむ余地は残されていない。( C
)
増加する労働人口は、第二次、第三次産業において雇用されなければならないが、第一次計画のような経済計画が実施されるとし て も 、 そこでの雇用増加はこれを控え目に見なければならない。
(
D
)
したがって、増加した労働力人口の約半数以 下しか雇用佑きれず、失業人口は増加すべき条件にある。 氏の雇用問題に対する見解は)厳しい現状分析から、極めて非観的になっている。しかし、韓国の人口問題又は雇 用問題が極めて厳しい現実下にあることは事実であり、そして、第二次計画においても、基本的には同じ立場にある ﹂ と ら -否 定 す る こ と は で き な い で あ ろ う 。 最後にヌセクサのいわゆる偽装失業に関する理論を如何にして、韓国経済に適用するかの問題について検討してみ その﹁資本創出的計画への動員﹂の可 能性を示唆レている。たしかにヌリクセの言う如く、人口の一O
J
三O
%
を占める偽装失業が経済建設へ動員できる ょ う 。 衆 知 の 如 く 、 ヌルクセは、偽装失業を﹁滞在的貯蓄源泉﹂としてとらえ、 とするならば、経済開発計画を大きく前進せしめることは間違いない。ところで、これまでアジアの発展途上諸国に おいて、この理論が、適用されてきたであろうか。残念ながら答は否である。社会主義的経済建設を標梼する、 イ ー ノ ド、ピルマにおいですら、 ﹁潜在的貯蓄源泉﹂の闘員どころか、属大な失業人口を抱えて附吟しているのが現状であ る。資本主読経済を志向し、前近代的社会構造をもっ、発展途上国においては、なおさら多くの困難性を伴うであろ ぃ ﹁ ノ 。 要するにヌルクセの偽装失業の動員構想は、強力な国家統制、計画経済を前提とする時、 はじめて現実性を帯びて 来るように思われる。市場経済を前提とする、 ヌルクセの雇用対策はか﹀る観点に立つ時、極めて非現実的にならざ る を 得 な い 。 事 実 、 ヌルクセの雇用計画は、皮肉にも中共において実践されているとみるべきであろう。 韓国における第二次計画の前提は、あくまで市場経済の原則に立ちつ也、政府の誘導政策によって、経済発展を促 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観一
O 七沖大論叢
一
O λ 進するところにある。か込る前提に立って、 , 失業労働力に対 事 る 明 雇 用 組 織 い の 編 成 、 又 は偽装失業者 の ﹁資 本 創 出 的計画へ の 動員﹂が、果して可能か、どうか。と、 に も政策主現実 間町ギ ヤ -ッ ヲ を 感 ず る 。 同 安定基調の維持 第二次計画 に お け る 通貨安定策の基本は﹁インフレ 1 は勿論、デフレl
の 凶力を 伴なう こ と な く 、経 済 活 動 を円滑 ぱ遂行できる適正量の流動性を供給するにある﹂ 。更 に物価の安定策としては、﹁穀価 安定基 金﹂の設置、 運 営 、 ' 穀 備 蓄 制 ﹂ の 合理的運営、流通 機 構の整備、公正取引の確保、物資 の安定 的需給など をあげ て い る 。 糧 ところで、このような物価安定策によって、 韓 国 経 済におけるイ ン フ レ l 現 象 が 、 根本的に 克服で き る で あ ろ う か。インフレ 1 現象が存在するという ζ と は 、 そ こ に 、 それを惹き起 す諸 要因があ るからであ る 。 したがっ て 、こ れ らの原因を除去しな い 限り、表面、安定的 に み え て も 、 イ ン フ レl
庄 力は、依 然と して 存在する 筈であ る 。 さてイ ン フ レ l 凹力の是非に イつ いては後述す る ことにして、まず原因の分析から始 め よ う 。 一般に開 発途 上国 に お イ ン フ レ ーション の 最 大 の 原 因 は、有効需給聞のギャップに ある といえよう。超 過需 要発生の主な 要 因としては、ω
開発需要 の旺盛化 に伴なう 財政 赤字の累埼現象、ω
貯蓄慣習に欠けていること、ω
低所得のため、限界消費性向が高いこと、ω
国際的所 得 隔 差 からけ
る
、
インフレ 1 現象は、必 然 的なものとされて い る 。韓国もそ の 例 外で は な い 。 ﹁デモンストレーション効果﹂等があげられ よ う 。ω
については、もう少し説明を要すると思われる。すなわち、財 政赤字 増加の最大の 要因 は 、 経済開 発支出の増 加 傾向にある。その他国防費、一般行政費、債務 費の増 加傾向なども 無視で きない。も し 投 資 財 源の調達が、 予定通 り 金大現できなかった場合(その可能性は充分ある)、 そ れによって 、 ひき起される、貯 蓄と投資 の 、 ギ ャ ッ プは 、 当 然財 / 、 ヲ 匂 、政支出の増加によって、補填されざるを得ないであろう。さもないと計画自体を修正し、発展のテンポを低下させざ る を 得 な い 。 次応供給面についてみるに、最も重要な問題は、
ω
食糧需給聞におけるギャップであろう。一九六六年度の韓国に おける食糧品の輸入総額は、七千二百万米ドルで、これは、輸入総額の一o
、一%である。これを一九七一年迄に、 完全な自給体制にするというのである。しかるに現実は極めて厳しいものがある。食糧供給の増加は極めて停滞的、 一人当たり耕地面は狭陸(約一一、五エーカー)、国土の八O%が山で、耕地面積の拡大は、今後河川流域、山、干拓 等に、これを求めなければならない状態にある。食糧に対する限界消費性向の上昇傾向、高い人口増加率、投資配分 における、農業セクターへの消極的姿勢等を考慮に入れると、計画期間中における、食糧自給体制の確立は、まこと に容易ならぬものがあるように思われる。ω
経済開発投資の増加率と、消費財生産の培加率との聞のギャップも、亦インフレーションの誘発要因になると考 えられる。すなわち、第二次計画における、全投資額の五七、 一%が社会資本の拡充・強化に当てられているという そのま h 生産増となって、実現しないことは勿論であ 事実に注目しなければならない。このセクターへの投資は、 る。輸入代替産業によって、消費財が生産されているとはいえ、数量的には、いまだ低水準にある。しかも消費財の 輸入は、外貨不足などの為、需要増加に応じて、弾力的に拡大しえない状態にある。 以上、有効需給聞のギャップを中心に、インフレl
同力の分析を行なったが、最後に経済開発における、インフレ ーν
z
ンの有効性について考えてみよう。これには多ぐの議論がある。大きく三つに分けると、 一つは、経済発展に とって、インフレーションを利用することを可とする理論であり、他はそれを不可とする理論である。 の問題応深く立ち入る余裕をもたないが、簡単に要旨だけを述べることにする。 いまこ﹀で此 (詳し︿は、原覚天著﹁現代アヲア 韓 国 に お け る ﹁ 第 二 次 経 済 開 発 五 ヶ 年 計 画 ﹂ の 概 観一 。 九
沖大論議
一 一
o
経済論﹂ニ四O
J
二六一頁参照) 前者の論拠を整理すると、ω
﹁ある程度のインフレl
庄力は、大規模な発展計画の一時的結果として、すなわち総 貨幣所得を増加せしめる投資それ自体の一時的副産物としてうけとるべきであって、 誤った財政金融政策。の副産物としてうけとるべきではないだろう﹂ (一般に考えられるような)"
ンは否定するが﹁広範囲にわたって、 ( モl
リス‘ドップ) ω
極端なインフレl
シ ョ インフレーションは、強制貯蓄のエンヲンとして有効でありうるし、またこん にちの多くの低開発諸国ではこの意味で有効となっていることをわれわれは認めなければならない﹂ ( ラ グ ナl
・ ヌ ルクセ) 後 者 の 論 拠 は 、ω
一般に低開発国は、多︿の失業者が存在するので、ケインズ的論法が、適用されそうにみえる。 ところがそうではない。先進国が不況に直面した場合とは異なっている。低開発諸国にとっての難点は、貨幣需要の 不足というよりか、根本的には、財の供給不足にある。それは、生産の組織、設備、あるいは熟練の欠如に起因す ( ユ ! ? ン ・ ス テ イ レ イ ) ・ e るω
インフレーションは、恋意的に投資の方向をゆがめる。そうして経済的浪費を発生させる。 困を鈍らぜる。人聞の活動を、生産部門から非能率的投機に向ける。円ヤコブ・ヴァイナl
)
以上が、両者の代表的見解の要旨であるが、いづれも野放し状態におかれた激しいインフレーションを不可として 一般に経済効率の誘 い る 点 に お い て は 、 共 通 し て い る 。 要 一 は 、 インフレーションの程度の問題であろう。どの程度にインフレーションを 管理するか。レかも開発計画の方向にそって、如何にそれを政策的に誘導するか。過度のインフレーションは、貯蓄 の減退を誘発し、輸入の増加←貿易収支の悪化←外貨保有高の減少←計画の修正または挫折という悪循環現象をもた ちしかねない。事実その可能性は充分考えられるのである。以上、韓国における第二次計画を概観し、今後の基本的課題についてみてきた。われ われは 、前半において、韓国 経済の明るい面に焦点をあて、後半において、その暗い面をみたよ うに思 う 。 す な わ ち 、 開発 計画自体は、極 め て 意 欲的で、明日への希望に満ちたものであった。しかし他方において、計画と厳しい現 実との聞 に横たわる 、 ギャップの 大きさを感ずる。 ともあれ、韓国経済は、前進しなければならないだろう。長い伝統と歴史ぞもつ韓国は、最近になって初めて、経 済的貧困の中から、新しい発展を目指して進み始 め た の で あ る 。 ﹁私的企業者精神﹂は芽ぱえつ h あ る 。それはや が て線となり、場となって、全国ぞうずめつくすで あろ う 。 ﹁ 国 家 企 業者精 神 ﹂ が 、 そ れ を如何 に刺戟し、如何 に 適 切 に誘導し、促進するか、韓国における、今後の経済発展の鍵は、こ ﹀ ら あ たりにあるといえよう。 参 考 文 献 及 び 資 料 。 室 町
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