四国医誌 25巻2号 3 ~33 9
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,52 6991 (平8〕 33アカントアメーパの電子顕微鏡による形態学的観察
第
2
報抗アメーパ剤による培養アカントアメーパの形態変化
矢 野 雅 彦 , 塩 田
洋 , 加 藤 俊 彦 , 三 村 康 男
徳島大学医学部眼科学教室(主任・ 三村 康 男 教 授〉 (平成8年1 月 23 日受 付)E
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アカントアメーパ角膜炎は,原生動物であるアカン トアメーパ属によ って発症する角膜感染症でありN
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ら7419( ),n
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ら5197( )によって初め て報告された.わが国においては,石橋ら988(1 〕が初 めて報告し,我々も本症の6例を経験し報告した(塩 田ら,,8891 ,0991 ,1991 4199 .鎌田ら, 199 5). 本疾患の治療には,薬物療法 と手術療法と があ るが, まず第一に薬物療法を充分に行なうことが重要で,現 在までにフラ ジオマイシン, フルコナ ゾーノレ等の種々 の薬剤が有効であったと報告されている〔t
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ら, 1 9 8 5 ;石橋ら, 8981 .塩田ら,1991 ).しかし特 効薬的 な薬剤は無く,失明に至る症例も多かった.近年, コ ンタク トレンズの洗浄や プーノレの消毒に使用される,p
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ら, 9219 ;a
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ら, ).3991 これらの薬剤によるアカ ン トア メーバの形態変化を電 子顕徴鏡 (以下電顕と略す〉的に検討す ることを目的 として,我々は,先にn v
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における培養アカント アメーパの形態を観察し報告した (矢野ら, 5199 ).今 回, フラジオマイシンおよびPHMB
添加によ る培養 アカン トアメーパの形態変化を検討 した. 実験材料及び方法 プラスチ ック製組織培養用 フラスコ(岩城硝子社製,7
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用〉を用いて,アカントアメーパ角膜炎の患者角3 4 矢 野 雅 彦 , 塩 田 洋 , 加 藤 俊 彦,三 村 康 男 膜から分離したAcanthamoeba iinalletsac を, 37 ℃の Peptone-Y eosucGlt-eas (以下PYG と略す〉液体培地 で培養した.培養後,栄養体は分裂を繰り返して7~01 日間で約l06/mm3 の濃度になる.約2 週間で増殖は停 止し,栄養体は次第に嚢子に変化する.前報(矢野ら, 1 9 9 5 )では,この培養開始から2 週間目の栄養体を検 体とした.臨床的にフラジオマイシンは, .50 ~ 1
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PHMB は, 020. %で,アカントアメーパに有効とさ れている(塩田ら, 8891 : Larkin ら, 9291 : Jones ら, 1 9 9 3 : Varga ら,3991 ).今回,この培養 2 週間目の栄 F i g . 1 Tsoitehozrop 7 syda retfa uerxsope ot 0 . 3% f.nicyomidar A number fo llmas v a c u o l e s (V ) aedppear dnuora eht usleucn (N ). K: karyosome, M: m,iadronchoti PM : plasma membrane F i g . 2 Teszoitphoro 12 syda retfa seruxope ot 0 . 3% f.nicyomdiar steoiphozTor became s m a l l e r. However, eht plasma membrane (PM ) was .dneaintaim E : e,mslaoptc N n u c l e u s 養体にフラジオマイシンを0 .05 %, 01. %, 03. %にな るように,また, PHMB を02.00 %, 6000. %, 200. %になるように加え,+ 5 ℃に保ちながら 1 日2 , 3 日, 7 日, 1 日目に透過型電顕で観察した.ただし, 02 20. % PHMB のみはアメーパの変性が早く起こるため, 培養8時間後にも観察を行なった.なお参考のため, 光学顕徴鏡(以下光顕と略す〉 にても平行してこれら 薬剤添加後のアカントアメー パを観察した. アカントアメーパは,前報と同様にPYG 培地から 低速の遠沈(102 G, 0 分間〉で集め, pH 71 .4 の燐酸 F i g . 3 Ttehozoirop 3 dsay retfa uerxsope ot 0.002% PHMB. A number fo lalms v a c u o l e s (V ) aredppea ahteenb eht plasma membrane (PM ). The plasma membrane
was deptursid ta some scealp (arrows ). A : a,dohoptnac DV : evitsegid ,leoucav N n u c l e u s I .必 F i g . 4 Ctys 1 day retfa uerxsope ot 006% .O PHMB xocystE (Ex ) and stcydoen (En ) were niht and ralullecartni serutcurts were d e g e n e r a t e d .
アカントアメー パー の電子顕微鏡による形態学的観察
緩衝食塩水 (phosphate derfefub enilas )で2回洗浄 遠沈した後, BSA (bovine serum albumin )で、懸濁, 遠沈した.次に,この沈誼に2.5% ク’ルターノレアルデヒ ドを加え,ヘマトクリ ッ ト遠沈器 (00010, G, 5 分間〉 でtellep とした. このtellep を1% オスミウム酸で 後固定,エタノールの系列を用いて脱水し,アセトン・ エポ ック 812 を用いて包埋した.薄切された切片は,酢 酸ウラン,クエン酸鉛で染色し,日本電子 JEM-1200EX 型透過型電子顕微鏡を用いて観察した. F i g . 5 Tesoithozrop 8 hsruo retfa uerosxpe ot 0.02% PHMB. The plasma membrane
(PM ) was .detpursid K : k,aryosome N : n u c l e u s j 523S 籍 軍 ’ 急 車 長 室 罷 現 議 主 主 d F u p A L F i g . 6 Tesoithozrop 3 dsay retfa uerosxpe ot 0.02% PHMB. The plasma membrane (PM ) was tmosal tsol and ralullecartni o r g a n e l l a were osla tsol tcepex karyosome CK ). 3 5 結 果 1 フラジオマイシンによる変化 1 • 1 0.05 %フラジオマイシン添加 薬剤を添加しない場合,培養後2週間目では,光顕 で観察すると多くの栄養体は培地底に付着していた. 0 . 0 5 %フラジオマイシンを加えて 1 日目には,ほとん どの栄養体が培地底から浮遊した.電顕による観察で は,アカント突起の減少が見られたが,細胞内の形態 変化はあまり認められなかった. 7 日目には,少数の 栄養体に細胞質内の軽度の空胞形成が見られた.1 日2 目には多くの細胞が小型化し, ミトコンドリアや脂肪 滴の消失,核の変性などが認められたが,ほぼ正常に 嚢子化するものも認められた. 1•2 0.1% フラジオマイシン添加 0 . 1 %フラジオマイシンを加えて 1 日目には,培地 底からの浮遊とアカント突起の減少が見られたが,細 胞内の形態変化は顕著ではなかった. 3~7 日目にな ると,細胞質内に空胞形成が認められる細胞が出現し た. 空胞形成はまず核の周囲に著明で,やがて徐々に細 胞表面に向かつて増加した.アカント突起は減少した が形質膜は保たれており,細胞表面付近の細胞質も比 較的正常に保たれていた.薬剤無添加の栄養体の細胞 質内に認められた多くのミトコンドリアや脂肪滴は減 少したが,核や核小体は保たれているものが多かった. また,嚢子化するものが少数認められた. 1 日目には2 細胞の小型化が著明で,栄養体の大きさは通常30 ~04 μであるものが, 01 μ以下に縮小していた. アカント突起, ミトコンドリア,指肪滴はほとんど 認められず,核も変性するものが多かったが,形質膜 は保たれていた. 1 ・3 03. %フラジオマイシン添加 0 . 1 %フラジオマイシン添加の場合と同様に, 1 日 目には培地底からの浮遊, 7日目には核周囲の細胞質 内の空胞形成(図1 ), 1 日目には細胞の小型化が認め2
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2 to 04巳心O') アカントアメーパの薬剤による形態変化 Table 1 薬剤添加後の時間および日数 21 日 0.05% フラジオマイシン 7 日 3 日 アカント突起の減少 1 日 培地底からの浮遊(光顕) アカント突起の減少 8 時間 n. d . 剤 j 薬 アカント突起の減少 核周囲の細胞質に空胞形成 培地底からの浮遊 (光顕) アカント突起の減少 n .d 0.1% フラジオマイシン アカント突起の減少 核周囲の細胞質に空胞形成 培地庭からの浮遊(光顕) アカント突起の減少 n.d . 0.3% フラジオマイシン 泳 場 課同w・師団 細胞質の空胞の増加 細胞質成分の漏出 変性嚢子(+〉 細胞質の穎粒状変性 細胞の輪郭は保たれる 変性嚢子(+ ) 細胞質の空胞の増加 細胞質成分の漏出 変性嚢子(+) 細胞質の頼粒状変性 細胞の輪郭は保たれる 変性嚢子(+) 形質膜の部分的欠損 形質膜付近の細胞質に空胞形成 変性嚢子(+〉 培地庭からの浮遊 (光 顕 〉 アカント突起の減少 ミ トコンドリアの変性 n.d. 0 .002% PHMB 形質膜が徐々に消失 細胞質の頼粒状変性 変性嚢子(+) 培地底からの浮遊 (光顕 〉 形質膜の断裂 細胞質の頼粒状変性 ミトコンドリアの変性 n.d. 0.006% PHMB 予雪崩 蒋同州- M44 瀬川品 細胞の形態を認めない 細胞の形態を認めない 形質膜の消失 細胞質の頼粒状変性 カリオソームのみ残存 嚢子を認めない 形質膜の消失 細胞質の穎粒状変性 変性嚢子(+) 培地底からの浮遊(光顕) 形質膜の断裂 細胞質の穎粒状変性 ミトコンドリアの変性 0.02% PHMB PHMB
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not done 細胞の小型化 形質膜は保たれる 正常嚢子(+ 〉 細胞の小型化 形質膜は保たれる 正常嚢子(+ 〉 細胞の小型化 形質膜は保たれる 正常嚢子(+ 〉 核周囲の細胞質に空胞形成 形質膜は保たれる 正常嚢子 ( +) 核周囲の細胞質に空胞形成 形質膜は保たれる 正常嚢子(+〉 核周囲の細胞質に空胞形成 形質膜は保たれる 正常嚢子 ( +〉珊 燃 アカントアメーパーの電子顕徴鏡による形態学的観察 られた(図2 ). 2 PHMB による変化 2
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1 0200. % PHMB 添加 光顕で観察すると, 20.00 % PHMB を加えて1 日 目には,フラジオマイシンを加えた時と同様に,ほと んどの栄養体が培地底から浮遊した.電顕による観察 では, 1 日目からアカント突起の減少やミトコンドリ アの変性が認められた. 3日目頃から形質膜の部分的 な欠損(図 3 ,矢印〉が現われ,細胞表面付近の細胞質 中に空胞形成が起こり徐々に増加した(図3).嚢子化 するものも少数認められたがその嚢子の壁は薄く,内 部構造も細胞質が頼粒状になって粗く, ミトコンドリ アや脂肪滴が見られないなど正常(矢野ら,9591 )とは 異なっていた. 2 • 2 0.006 % PHMB 添加 光顕で観察すると, 60.00 % PHMB を加えて1 日 目には,ほとんどの栄養体が培地底から浮遊した.電 顕による観察では,多くの栄養体が形質膜の断裂を起 こしていた. ミトコンドリアや脂肪滴はほとんど認められず,細 胞質は頼粒状に変性していた.核やカリオソームは比 較的保たれていたが, 3 日目以後には消失するものが 多くなった.また嚢子化する細胞も少数見られたが, その嚢子の壁は薄く,内部構造も正常とは異なり栄養 体と同様の穎粒状の変性が認められた(図4). その後 2 1 日経過しても,なお変性した細胞の輪郭は保たれて し 、Tこ. 2 • 3 0 0. 2 % PHMB 添加 0 . 0 2 % PHMB を加えると,その直後に,アメーパ は培地底から浮遊し,光顕でも明らかに形態が桑実様 に変化するのが認められた.電顕による観察では, 8 時間後には,形質膜の断裂, ミトコンドリア,脂肪滴, 核の変性,細胞質の頼粒状の変性が認められた(図 5 ).これらの所見は, 6000. % PHMB 添加後1 日目 と同様であった.また少数の嚢子が見られたがその嚢 子壁は非常に薄く,内部構造も正常とは異り栄養体と 同様の変性が見られた. 1~3日目には,形質膜がほ とんど消失し,細胞質は頼粒状の成分が残存するのみ であった(図6 ). ミトコンドリア,脂肪滴,核などは 消失し,カリオソームのみはしばしば認められた.嚢 子化する細胞は全く無く, 7日目以後には細胞の形態 が全く認められなくなった。 これらの結果を表1にまとめた. 3 7 考 察 アカントアメーパ角膜炎は,原生動物であるアカン トアメーパ属によって発症する角膜感染症であり, Nagington ら(1,)479 senoJ ら7591( )が,初めて報 告している.その後次第に症例が増加し,米国では 1 9 8 8 年までに002 例以上が報告され,発症の3大危険 因子は,角膜外傷,汚染された水との接触,コンタク トレンズ装用とされている(Sene-Grrhet ら,.)9891 治療法としては,薬物療法と手術療法とがある.本 疾患は,角膜やコンタクトレンズからアメーパを分離 同定することが困難で,細菌,真菌などの他の角膜感 染症,特に単純へルベスウイルスの感染と誤診される ことも多く,失明に至り摘出された眼球や角膜の病理 組織検査で初めてアメーパ感染と診断された症例も報 告されている(Nagington ら,4791 ).たとえアメーバ 感染と確定診断され,種々の抗生物質や抗真菌剤が使 用されても,進行した症例では薬物治療が非常に困難 であるsneJo( ら, ;5791 Moore ら, 5891 ).その原 因は,アカントアメーパには栄養体と嚢子の2つの形 態があり,飢餓,pH の変化などによって栄養体は容易 に嚢子に変化し,この嚢子は外壁と内壁から成る厚い 二重壁を持つため乾燥や薬剤に抵抗し,環境が再び適 当な条件になると脱嚢して栄養体になるためで、ある. そのため, 0981 年代前半にアメーパを除去する目的 で,角膜移植術を施行された症例もあるが,移植片に 再発を起こすことが多い(Moore ら,.)5891 1 9 8 0 年代後半になり,アカントアメーパ角膜炎の初 期症状や分離同定法が一般に認識されるようになると, 他疾患との誤診も減少し早期診断が可能になった. Wright ら(1598 )は初めて薬物のみでの治療に成功 し,アカントアメーパ角膜炎の治療においては薬物療 法を充分に行い,角膜内のアカントアメーパを根絶し てから角膜移植術を行なうべきであると述べている. 本邦では石橋ら(1898 )が初めて報告したが,やはり薬 物療法を徹底的に行なうことと病巣部のebridementd が重要であると強調している.我々も,本症治療の第 一選択は薬物療法であると考えており,まず種々の抗 生物質や抗真菌剤を投与することにしている. フラジオマイシンは,アミノ配糖体系抗生物質で, リボゾームに作用し遺伝暗号の翻訳を障害して蛋白合 成を阻害する.今回,フラジオマイシンによるアカン トアメーパ栄養体の形態変化を光顕によって検討した ところ, 050.%
,
1.0,
%
30. %すべてで, 1 日目から 多くの栄養体が培地底から浮遊している.電顕による3 8 矢 野 雅 彦 , 塩 田 洋 , 加 藤 俊 彦 , 三 村 康 男 観察では, 1日目には,薬剤無添加の栄養体と比較し シン添加の場合まず核の周辺から出現したが, PHMB てアカント突起の減少が認められたのみで,細胞内に の場合細胞表面から出現した.これは, PHMB により はあまり変化は見られない.薬剤を無添加の場合,培 形質膜が障害され,その部分から細胞成分が漏出した 養後2週間目では光顕で観察すると多くの栄養体は培 ためで、はないかと考えられる. 0600. %ならびに 20.0 地底に付着しており,その後次第に培地中に浮遊する %では,形質膜の障害がさらに高度で明らかな断裂が 栄養体が増加し,嚢子化していくことが多い.したが 認められるようになり,細胞内の脂肪滴, ミトコンド って,大きな形態変化は見られないものの栄養体の活 リア,核の変性もより高度になる. 動性が低下し,培地底への付着力が弱まり浮遊するの さらにPHMB では,フラジオマイシンと比較して ではなし、かと考えられる. 正常な嚢子化が起こりにくいように思われる.アカン 7 日目以後には,細胞質内に空胞を生じる栄養体が トアメーパ角膜炎が難治性である原因は,嚢子が種々 少数出現する.この空胞は最初,核の周辺に多く次第 の薬剤に対して抵抗力を持つためである.したがって, に細胞質の表面に増加する. 1.0 %と 3.0 %では, 3 栄養体の正常な嚢子化を間害したり,嚢子そのものを ~7 日目から同様の空胞形成のある栄養体が明らかに 死滅させられる薬剤は,アカントアメーパ角膜炎の早 増加し, 12 日経過すると細胞全体が著明に収縮する. 期治療や再発の防止に有効である.多くの抗生物質や これらは,フラジオマイシンの蛋白合成阻止の結果と 抗真菌剤は,アメーパの栄養体には有効であっても嚢 考えられる.フラジオマイシン添加の場合,PHMB 添 子に対しては効果の弱L、ものが多い.しかし, PHMB 加時と異なって形質膜は最後まで保たれており,細胞 は低濃度でも嚢子を死滅させることが可能であると報 内の成分が漏出することはなく,栄養体の形態変化は 告されており (rkinLa ら,2991 ),このことはPHMB PHMB よりも,より緩徐に起こる. がアカントアメーパ角膜炎の有用な治療薬になりうる また少数ではあったが,ほぼ正常に嚢子化するもの ことを示唆している.しかしいずれにしても進行し も認められる.作用発現が緩徐なため,栄養体が嚢子 た症例の治療は困難で,たとえ薬物療法でアメーパを に変化する時間的余裕があるためで,これがアカント 根絶できても,高度な角膜混濁が残れば最終的には角 アメーパ角膜炎をフラジオマイシンで治療した場合の 膜移植術が必要になる.アカントアメーパ角膜炎の完 再発の原因となるものと考えられる. 成期に出現する特徴的な輪状浸潤,輪状潰蕩,円盤状 L a r k i n ら2919( )は,新しい種類の抗アメーパ剤で 角膜炎,円盤状角膜潰蕩やコンタクトレンズ装用の既 ある PHMB を使用し, 6例中5例に良好な結果を得 往に留意すれば,本症の診断は決して困難ではない. たと報告している.われわれも最近経験した本症の1 したがって薬物療法のみで本症を治癒可能にするため 例に対し,米国ベイラー医科大学眼科nesJo 教授から には,早期診断,早期治療が最も重要であると考えら 供与されたPHMB を使用し,良好な結果を得ている れる. (鎌田ら,.)5991 PHMB は,図7に示すような構造式を持つ多因子 のeniduaigb で,米国では一般にプールや下水の消毒 剤, コンタクトレンズの消毒薬などとして使用されて いたが,これまで感染症の治療薬として使用されたこ とはなかった.大腸菌を用いた実験で,PHMB はその 形質膜に作用し,細胞成分を漏出させ生存に必要な呼 吸酵素を阻害すると言われているseon(J ら, 3991 ). 大 腸 菌 を 用 い た 別 の 実 験 で は , 陽 性 に 荷 電 し た PHMB 分子が,形質膜の陰性に荷電した酸性燐脂質 と結合し,形質膜の二層構造を歪めることが報告され ている(Broxton ら, 4891 ; Iaedk ら,.)4891 今回, PHMB によるアカントアメーパ栄養体の形 態変化を電顕によって検討したところ, 20.00 %の濃 度では, 3 日目頃から形質膜の部分的欠損と付近の細 胞質中に空胞形成が認められた.空胞はフラジオマイ 結 量五 回 目 PYG 培地中の培養アカントアメーパに PHMB お よびフラジオマイシンを加え,アカントアメーパの形 態変化を透過型電子顕微鏡を用いて観察した.PHMB は,早期から形質膜の断裂を起こし栄養体の変性が著 明で,かつ嚢子にも有効であり,アカントアメーパ角 膜炎の有効な治療薬になるものと考えられた. 謝 辞 本研究を行なうに当たり,試料作製に助言をいただ きました伊藤義博博士, PHMB ならびにフラジオマ イシンを提供してくださいましたsoneJ 教授と日本 化薬株式会社に深謝致します.
39 L a r k i n , D . P ., K.F ,ntognivli S . and t,raD .J.K G . 2199( ) : Treatment fo A canthamo eba k e r a t i t i s with polyhexamethylene b i g u a n i d e . ,l.molahthOp ,99 518 191
Moore , M. B ., McCulle y, J.P ., Luckenbach , M .,
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