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特集企画「東南アジアの高等教育機関における専門日本語教育事情」について

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Academic year: 2021

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特集

特集企画「東南アジアの高等教育機関における

専門日本語教育事情」について

池田 隆介

1 今回の『専門日本語教育研究』では、「東南アジ アの高等教育機関における専門日本語教育事情」に 焦点を当てた特集を企画いたしております。海外の 実情への知見を深めていくことは、専門日本語教育 学会にとっても意義ある教育、研究を推進するため にも不可欠な作業です。それを再認識したのが、一 昨年の本誌特集注です。その際には、人材育成とい う観点から海外の日本語教育の実情を特集企画とし てとりあげ、日本語教育を取り巻く環境の変化や課 題について具体的な事例を紹介することができまし た。その際、ターゲットとなったのは中国語圏の日 本語教育でした。最も日本語学習者が豊富な中国語 圏の学習事情を把握することの大切さは言うまでも ありませんが、今後は他地域における事情を把握す ることも重要になってくると思われます。今号にお いては、日本語学習者数が増加しており、また、日 本国内からの関心度も高まっている東南アジアの事 情を紹介することとしました。 本企画のもととなったのは、2018 年 3 月に名古屋 大学にて開催された第 20 回専門日本語教育学会研 究討論会における招待講演です。講演では、タイの 高等教育機関における日本語教育の実情が報告され ましたが、機関の具体的な取り組みや当該地域にお ける日本語教育の位置付けなど、日本語教育研究者 ならでの貴重な情報を数多く披露していただきまし た。そこで、今号特集では、上記招待講演でご登壇 いただいたユパカー・フクシマ先生(カセサート大 学)、トーンディノック・スカンヤー先生(プリン ス・オブ・ソンクラー大学)というタイの大学で研 究職に就かれているお二方と、ベトナムのグエン ソ ン ラン アイン先生(ハノイ大学)を加えた3氏か ら寄稿をいただきました。 ユパカー・フクシマ先生からは、カセサート大学 の事例をもとにタイの大学におけるビジネス日本語 コースの現状と課題についての論考をいただきまし た。日系企業への就職を視野に入れたビジネス日本 語教育への需要が高まっているというポジティブな 背景とともに、タイの大学においてビジネス日本語 教育を展開することの困難点とその克服に向けた考 察をご提示いただきました。 トーンディノック・スカンヤー先生は、タイ南部 の大学において展開される日本語教育の現状と課題 を説明されています。「専攻」ではなく、「一般教 養科目」の枠組みで展開される日本語教育を事例に、 タイの高等教育機関の中でも、地方における独特の 課題が存在していると指摘されています。 ベトナムのグエン ソン ラン アイン先生からは、 日本語教育の教育観・学習観の変遷を踏まえつつ、 ベトナムの大学における日本語教育の行く末につい ての展望をまとめていただきました。自律性を重視 したベトナムの言語教育政策が日本語教育の現場に 大きな変化と課題をもたらしているという実情が、 ハノイ大学などの事例をもとに具体的に説明されて います。 今後、日本の経済活動やコミュニティにおいて、 タイやベトナム出身の日本語学習者は、より一層存 在感を増していくはずです。それぞれの状況に応じ た専門日本語教育への需要もますます高まっていく でしょう。その際、高等教育機関においても3氏が 述べられているような実情があることを把握し、目 的の妥当性と実行可能性を兼ね備えた専門日本語教 育の内容やアプローチについて、日本国内の都合に 拘泥せずに国内外の関係者が協働して検討していく ことが重要となると思われます。本特集企画がその 一助となれば幸いです。 注 『専門日本語教育研究』第 18 号特集企画「海外の大学 における人材育成と専門日本語教育―現状と展望―」 1 北九州市立大学 基盤教育センターひびきの分室教 授、『専門日本語教育研究』編集委員長

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