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共創をうながす柔軟なはたらき方の検証

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Academic year: 2021

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共創をうながす柔軟なはたらき方の検証

A Research on Work Settings That Supports The Co-creation Activities

池田 晃一

Koichi Ikeda

株式会社 岡村製作所 オフィス研究所

Office Research Center, Okamura Corporation

Abstract: It is increasing that the social needs to realize Work Style Reform (The Japanese government is

led this plan). Prolonged work not only exhausts workers but also deprives them of the leeway to participate in community activities and co-creation activities. In this research, we employ a flexible work style of "time", "space" and "task", which is considered effective for avoiding prolonged work. Then, we examine how these rules are related to working hours and the psychological aspects of workers.

As a result, it became clear that the work style to increase the degree of flexibility of time, such as the flextime work, not only reduces excessive working hours but also has a positive effect on the psychological aspect. In addition, we found that teleworking and direct bounce are dramatically reduced the company's restraint time. From now on, it will be necessary to combine a flexible work style according to the type of worker's job, work content, life event.

1.共創と余裕

哲学者ハンナ・アーレントは人間の活動的生活を 「労働(Labor)」「仕事(Work)」「活動(Action)」の 3 つに分けて論じた*1. 「労働」は人間が生物として生きていくための行 為で,食事や狩猟,生殖などがこれにあたる.自ら望 んでするのではなく,しなければ生きていけない行 為である.「仕事」はものづくりなど職人的な工夫が 加わる行為がこれにあたる.目的を達成するために 具体的なものをつくり,後世に積み上げていく.「活 動」は対話を通じて他者との違いを理解し,自分が何 者であるかを確かめる行為とされる.この考えにの っとれば,私たちが,昨今つくり出そうとしている 「共創」の場は「仕事」と「活動」を行き来するも のであるといえよう. 一方,私たちの生活に目を向けると,日本人の年間 総労働時間は 1729 時間(2014 年)であり,次第に減少 傾向にあるとはいえ,ヨーロッパ各国(ドイツ 1371 時間,フランス 1473 時間,スウェーデン 1609 時間) と比較すると依然と多いことがわかる*2.生活の大 部分がアーレントのいう「労働」と「仕事」に分配 され,「活動」に十分な時間をあてられているかとい うと疑わしい. ここ数年,さまざまな企業で先進的なはたらき方 の導入が行われ,政府主導の「働き方変革」が進めら れてきている*3.ワークライフバランスの改善によ る子育て,介護世代の支援や超過労働時間の削減に よる健康経営,労働生産性の向上などがその目的と されるが,ワーカーの生活に時間的な余裕をが生ま れることで「活動」にあたる共創の場への参加が加 速し,身近な問題,地域的な問題を解決する可能性が 広がると考えられる. 本研究では,日本における従来型の定時勤務,セン ターオフィスへの出社を基本とする硬直したはたら き方ではなく,ワーカー自らが自分の状況にあわせ てはたらき方を選択する柔軟なはたらき方を導入す ることで,ワーカーの生活に生み出される「余裕」を 明らかにしようとするものである.

2.はたらき方の検証

2.1 柔軟なはたらき方の対象

弊社では 2010 年から「柔軟なはたらき方」として 「時間」「空間」「タスク」の自由度を可変させなが らはたらくスタイルを導入し,その効果,影響を明ら かにする取り組みをおこなってきた. はたらき方の柔軟度という際にはフレックスタイ ム制度や労働時間貯蓄制度など時間に関する制度,

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在宅勤務やサードプレイスの利用,直行直帰の推奨 といった場所に関する制度,沈思黙考する時間を確 保する,直近の業務以外の仕事をするなどタスクに 関する制度が存在する.それらの制度の中から,企業 として,組織として,そして個人として適切なものを 選択し,柔軟度を都度設定することが理想であると いえる(図 1). 本研究では,これら制度が労働時間と,通勤時間を 含む組織による拘束時間に与える影響を示し,状況 にあわせて適切な制度を選択する指針を構想しよう とするものである.

2.2 実験概要

実験は企画開発系のワーカー14 名を対象に柔軟 なはたらき方期間(4 週間),センターオフィス,定時勤 務を基本とした通常期間(1 週間)にわたって行った. 本実験で採用した制度,ワーカーに提供されている 環境は表 1 のようになっている. この状況において,スケジューラを用い,作業内容, 作業時間,作業場所の記録を行った.スケジューラに 記載されたデータをもとに図 3 のように就労の状況 を可視化し,どのような状態ではたらいていたのか を本人にフィードバックするとともに,そこにあら われた工夫を拾い上げた. また,期間中の各日業務終了時に,心理的な状態を 聴くアンケートを課した.アンケートの項目は表 1 の ようになっており,島津ら*4が考案したワークエンゲ ージメントに関するアンケートを参考に作成した. この記録から各制度の利用と勤務時間,拘束時間,心 理的状態の変化の関係を明らかにする.

2.3 検証した制度<時間に関するもの>

ⅰ)中抜け可のコアなしフレックス制度 フレックスタイム制度には一定の出社時間を規定 したコアありと完全に自由に時間をスライドできる コアなしが存在する(図 3).今回は,午前 5 時から午後 10 時までの間で労働時間を自由に配分できるコア なしを採用し,さらに勤務時間内での中抜けを許可 した.中抜けが可能になることでワーカーは,保育園 の送迎や役所での手続き,通院などを仕事以外の活 動をおこなうことができる. ⅱ)労働時間貯蓄制度 労働時間貯蓄制度はドイツなどヨーロッパで広く 図 1.はたらき方の柔軟度設定と制度 配布ツール グループウエア(Notes,Office365) PC:ノートPC、タブレットPC スマートフォン(会社支給) Skype 表 1.被験者に与えられた環境 図 2.勤務実態の可視化 表 2.日ごとアンケートの質問項目 図 3.中抜け可のコアなしフレックスタイム

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採用されている制度で,超過労働時間を労働時間の 貯蓄とみなし,他の勤務日に分単位で休憩として引 き出し可能にする制度である(図 4).半日,全日単位で の代休ではないので,個人のライフイベントや仕事 の繁閑にあわせて柔軟に利用することができるとと もに,雇用側としても超過労働時間が減少するため 賃金を抑えることができる.

2.4 検証した制度<空間に関するもの>

ⅰ)在宅勤務制度 前日までに管理者の許可が得られた場合,在宅で の勤務を認めた.在宅勤務は通勤がなくなるため,拘 束時間の削減に有効だと考えられる. ⅱ)レンタルオフィスの利用 前日までに管理者の許可が得られた場合,レンタ ルオフィスでの勤務を認めた.レンタルオフィスは 通勤経路上に存在するため,移動が効率的におこな われ,拘束時間の削減に有効だと考えられる. ⅲ)センターオフィス外他拠点の積極利用 社内他拠点や取引先などではたらいた方が効率が 良いと考えられた場合,積極的にオフィス外を利用 してはたらくことを推奨した.自宅近辺に社内他拠 点がある場合には,そこを利用してはたらくことが できるため,拘束時間の減少につながる. ⅳ)直行直帰の推奨 オフィスに立ちよる要件がない場合には出社せず, 直接現場に向かい,オフィスに寄って帰る必要がな い場合には直帰を推奨した.

2.5 検証した制度<タスクに関するもの>

ⅰ)召集日の設定 時間や場所が異なる状態ではたらく中でも,週に 半日程度全員が集まる時間帯を設定し,会議や事務 作業をおこなうことにした(図 5).FtoF のコミュニケ ーションが不可欠な作業や紙の書類をやり取りする 作業などはこの日に集中しておこなうことにより, 業務に支障があらわれない. ⅱ)ブロック時間取得の推奨 週に 1 回以上は 4.5 時間以上集中して主業務に従事 する時間(ブロック)を確保するように推奨した.オフ ィスにいる際には電話や周りからの話しかけにより, 作業が細切れになりがちなため,集中する時間を意 識的に確保し,周囲もそれに配慮し,業務に没頭でき るようにした.

3.柔軟なはたらき方と時間変化

3.1 柔軟なはたらき方と総労働・拘束時間

上記の柔軟なはたらき方の制度を導入した期間と, センターオフィス,定時出社を基本とした期間の総 労働時間,総拘束時間の比較をおこなったのが図 6 で ある. 一人当たり削減された労働時間は 11.64 分/日であ った.これを 100 名のオフィスに換算すると,月で 459.8 時間,年で 5,518.6 時間の削減になる.日本人の 年間平均労働時間を約 1,750 時間とすると,約 3 名分 の労働時間を削減することができることになる. 一人当たり削減された拘束時間は 33.36 分/日であ った.これを 100 名のオフィスに換算すると,月で 図 5.召集日設定の考え方 図 6.柔軟なはたらき方と総労働時間の変化 図 4.労働時間貯蓄制度の考え方

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1,289.4 時間,年で 15,474.0 時間の削減になる.

3.2 個別の制度と時間変化

ⅰ)在宅勤務と総労働時間,総拘束時間 在宅勤務を行った被験者の実施日と非実施日の総 労働時間,通常期間の労働時間の比較したのが図 7 で ある.また,在宅勤務を行った被験者の実施日と非実 施日,通常期間の総拘束時間の比較したのが図 8 であ る.労働時間は通常勤務時より短くなっているが,制 度を利用しない日とあまり変わらない.一方,拘束時 間は通常期間と比較して 90 分ほど短くなっている ことがわかる. ⅱ)労働時間貯蓄制度と総労働時間 超過労働時間を休憩に振り替える労働時間貯蓄制 度を利用した被験者の実施日と非実施日,通常期間 の総労働時間の比較をおこなった.実際の利用は一 人当たり 0.57 回/週であり,42.05 分の短縮であった. ⅲ)中抜け可のコアなしフレックス制度と総労働時間,総 拘束時間 中抜け可のコアなしフレックスタイム制度を利用 した被験者の実施日と非実施日,通常期間の総労働 時間の比較をおこなったのが図 9 である.また,中抜 けを認めたコアなしフレックスタイム制度を利用し た被験者の実施日と非実施日,通常期間の総拘束時 間の比較をおこなったのが図 10 である.制度利用日 の労働時間が通常期間より長くなっていることがわ かる.拘束時間には変化が見られない. ⅳ)オフィス外拠点利用と総労働時間,総拘束時間 センターオフィス以外の他拠点を利用した被験者 の実施日と非実施日,通常期間の総労働時間を比較 したのが図 11 である. センターオフィス以外の他拠点を利用した被験者 の実施日と非実施日,通常期間の総拘束時間を比較 したのが図 12 である.総拘束時間は 50 分以上減少し ており,削減効果があると考えられる. ⅴ)直行直帰と総労働時間,総拘束時間 オフィスに出社せず,直行直帰を利用した被験者 図 7.在宅勤務制度の利用と総労働時間の変化 図 8.在宅勤務制度の利用と総拘束時間の変化 図 9.中抜け可のコアなしフレックス制度の利用と 総労働時間の変化 図 10.中抜け可のコアなしフレックス制度の利用と 総拘束時間の変化

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図 14.直行直帰の利用と総拘束時間の変化 図 15.レンタルオフィスの利用と総労働時間の変化 図 16.レンタルオフィスの利用と総拘束時間の変化 図 13.直行直帰の利用と総労働時間の変化 図 11.オフィス外拠点の利用と総労働時間の変化 図 12.オフィス外拠点の利用と総拘束時間の変化

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の実施日と非実施日,通常期間の総労働時間を比較 したのが図 13 である.また,オフィスに出社せず,直行 直帰を利用した被験者の実施日と非実施日,通常期 間の総拘束時間を比較したのが図 14 である.労働時 間は 10 分程度の削減だが,拘束時間は 60 分近く短縮 されることが分かった. ⅵ)レンタルオフィス利用と総労働時間,総拘束時間 通勤経路上にあるレンタルオフィスを利用した被 験者の実施日と非実施日,通常期間の総労働時間を 比較したのが図 15 である.また,通勤経路上にあるレ ンタルオフィスを利用した被験者の実施日と非実施 日,通常期間の総拘束時間を比較したのが図 16 であ る.労働時間,拘束時間ともに大きく減少しており,効 率的な執務や移動に寄与していたと考えられる.

4.柔軟なはたらき方と心理変化

4.1 柔軟なはたらき方と心理的影響

柔軟なはたらき方を採用した期間と,通常期間に おいて,各日業務終了時におこなったアンケート結 果を比較したのが図 17 である. 全 7 項目において顕著な差は見受けられなかった. ワーカーの属性別でみると,柔軟期間においては管 理者層に心理的にプラスの影響があらわれる一方で, 一般社員は若干のマイナスの影響があらわれた.通 勤時間別にみると,通勤時間が 1 時間以上のワーカー は柔軟期間において心理的にプラスの影響が顕著に 表れるが,1 時間以下のワーカーは大きな変化がない ことが分かった.

4.2 個別の制度と心理的影響

ⅰ)在宅勤務と心理的影響 在宅勤務を行った被験者の実施日と非実施日の心 理的状況を比較したのが図 18 である. 全 7 項目に顕著な差は見受けられなかった.ワーカ ーの属性をみると,通勤時間が長いワーカほど実施 日の心理面にプラスの影響があらわれていた. 実験の全期間修了後におこなった実験に関するア ンケートからは「在宅勤務は時間間隔が薄れがちで 長時間働いていしまう」といった意見や,「オフィス で勤務するよりも阻害要因が少ないため集中してし まい,精神的に疲労が増える」といったマイナス面を 指摘する意見が見受けられた. ⅱ)労働時間貯蓄制度と心理的影響 労働時間貯蓄制度を利用した被験者の実施日と非 実施日の心理的状況を比較したのが図 19 である. 図 17.柔軟なはたらき方と心理面への影響 図 18.在宅勤務制度の利用と心理面への影響 図 19.労働時間貯蓄制度の利用と心理面への影響

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業務の計画的な遂行に関する項目についてのみ利 用日にプラスの傾向があらわれている. ⅲ)コアなしフレックス(中抜け可)と心理的影響 中抜けを認めたコアなしフレックスタイム制度を 利用した被験者の実施日と非実施日の心理的状況を 比較したのが図 20 である. 全項目において利用日のほうが心理的に満たされ た状態になっているが,特に仕事への誇り以外の6 項目において,明らかなプラスの影響を見て取るこ とができる. ⅳ)他拠点利用と心理的変化 センターオフィス以外の他拠点を利用した被験者 の実施日と非実施日の心理的状況を比較したのが図 21 である. 全項目において利用日のほうが心理的に満たされ た状態になっているが,特に仕事への熱心な取り組 み以外の6項目において,明らかなプラスの影響を 見て取ることができる. ⅴ)直行直帰と心理的変化 オフィスに出社せず,直行直帰を利用した被験者 の実施日と非実施日の心理的状況を比較したのが図 22 である. 全項目において利用日の心理的状態にプラスの影 響があらわれていることがわかる. ⅵ)サードプレイス利用と心理的変化 通勤経路上にあるサードプレイスを利用した被験 者の実施日と非実施日の心理的状況を比較したのが 図 23 である. 仕事への誇り,仕事後の活力感の 2 項目以外におい て利用日のほうが心理的にプラスの状態にあったこ とがわかる. 個別に行った実験に関するアンケートからは「居 心地が良くなく,長時間はたらくのには向いていな 図 20.中抜け可のコアなしフレックス利用と 心理面への影響 図 21.オフィス外他拠点利用と心理面への影響 図 22.直行直帰制度の利用と心理的影響 図 23.レンタルオフィスの利用と心理的影響

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い」といった意見や「孤立感を感じる」といった意 見が見受けられた.

5.柔軟なはたらき方と仕事の変化

在宅勤務や直行直帰をおこないやすくするために, 会議や事務処理を特定日に集中させる召集日の設定 は,取引先や他部門との調整が難しいなど徹底する ことが難しいことがわかった.自己ですべてのスケ ジュールをコントロール可能な状況には至っておら ず,関係者の間で時間をかけてコンセンサスを得て いく必要があると考えられる. 一方,ブロック時間制の推奨については,通常勤務 時と比較して,集中して長時間一つの仕事をする回 数が,週当たり 1.5 倍以上に増えた.特定の作業のた めに連続する一定のボリュームの時間をあてること は,召集日を設定するよりは難易度が低かったと考 えられる.さらに,こうしたブロック時間があらわれ やすい状況をみてみると,他拠点や在宅などオフィ ス外ではたらいていることが多いことが分かった. これは,集中作業をおこなうために邪魔が入らない ような場所に移動していたことが考えられる.

6.

柔軟なはたらき方の効果

本研究においては共創の場,共創活動への参加を うながすため,超過労働時間および拘束時間を削減 するためのはたらき方の検証をおこなった. 在宅勤務やオフィス外の拠点の利用,直行直帰制 度を利用してはたらくことは,日ごとの単位でみる と 10 分単位での削減と影響が少ないが,これが月, 年と積み重なっていくことで大きな差が生まれてく る.在宅勤務は長時間集中作業に陥ることによる不 満の声も聴かれたが,それ以外の制度利用では心理 的な面でプラスの傾向があらわれることが分かった. この結果から,移動時間を意識したり,業務に適した 環境を選択することは効率よくはたらくことの第一 歩になると考えられる. また,中抜け可のコアなしフレックスタイム制度 の利用に関しては心理面でプラスの影響が出るもの の,労働時間は増加する傾向があることがわかった. 自分の状況にあわせて時間を変化させてはたらくこ とは必ずしも超過労働時間の削減にはつながらない と考えられる. 一方,在宅勤務やオフィス外拠点の利用,直行直帰 は総拘束時間の削減に効果があることがわかった. 会社によって拘束される時間が削減されることによ り,地域活動や育児介護などに時間をあてることが できるようになり,共創活動に従事する余裕も生ま れてくるのではないかと考えられる. 召集日の設定や集中して作業にあたるブロック時 間の設定については,個人だけでなく,一緒に仕事を おこなう組織内,企業内,そして社会といった関係者 の意識と制度の普及が前提となる.お互いが効率よ く,能力を発揮してはたらくためには,当然のことで あるが,相手の状況や状態を把握し,事情を理解した うえでルールを決める必要があるだろう.

7.今後の展開

今回の結果から,単一の制度を導入するのではな く,時間,空間の自由度を高める制度を準備し,ワーカ ーが自らの状況にあわせて,はたらき方を設計して いくことが重要であるといえる. 共創活動への参加を促し,分野や利害を超えた討 議を引き起こし,実践的な課題を解いていくために は,そのために費やす,時間や体力を確保することが 何より重要である.ただ,個人個人の状況や性質によ って,適したはたらき方は異なるために,単一の制度 を適用することでは,問題は解決できない. 今後は柔軟なはたらき方がもつ時間の短縮効果だ けでなく,アウトプットの質や量の変化について調 査をおこない,生産性の向上についてアウトプット 面からも明らかにしていくとともに,特定の条件を 抱えたワーカーを対象に,はたらき方の制度の組み 合わせ方について考えていきたい.

参考文献

[1] ハンナ・アーレント:『活動的生』ダイヤモンド社, (2006 年) [2]独立行政法人労働政策研究・研修機構:『データブッ ク国際労働非核 2016』(2016 年) http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2016/doc uments/Databook2016.pdf [3] 厚生労働省:『働き方改革の実現に向けて』 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148 322.html [4] 島津明人:『ワーク・エンゲイジメントに注目した自 助と互助』総合病院精神医学 22(1), 20-26,一般社団法 人 日本総合病院精神医学会(2010 年) [5]古川靖洋:『テレワーク導入による生産性向上戦略』 千倉書房(2016 年) [6] 伊賀泰代:『生産性 ― マッキンゼーが組織と人材 に求め続けるもの』ダイヤモンド社(2016 年) [7]ラズロ・ボック:『ワーク・ルールズ!』東洋経済新報 社(2015 年)

参照

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