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[講演要旨] 日本の大規模崩壊は地震でどのくらい発生しているのか

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Academic year: 2021

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(1)歴史地震 第 24 号(2009) 150 頁. [講演要旨]日本の大規模崩壊は地震でどのくらい発生しているのか 株式会社 防災地理調査* 今村隆正・大石雅之・角谷ひとみ. §1. はじめに 平成 20 年(2008 年)岩手・宮城内陸地震や平成 16 年(2004 年)新潟県中越地震等においても見られた とおり,山地の多い日本では地震によって斜面崩壊 が発生する危険性が極めて高い.大規模崩壊は人 の生命・財産への直接的な被害とともに,地形を大き く変形させたり、ライフラインを長期間に渡り不通にし たりするなど社会的な影響が大きい.したがって,過 去の大規模崩壊を調査し,その特徴を明らかにする ことは非常に重要である.筆者らは,日本で過去に発 生した大規模崩壊の事例を収集・整理し,今後どのよ うな調査をすることが,大規模崩壊の特徴をより理解 し今後の防災・減災に役立つかについて検討を行っ た. §2. 整理手法 今回は主に文献をもとに事例を収集した.文献は, 大規模崩壊の事例を網羅的に取りまとめたもの(建設 省土木研究所,1995 など)を中心とし,47 都道府県す べての都道府県史についても調査した.ここでは崩 壊土砂量が 106m3 以上とされている事例及び正確な 土砂量が算出されていなくとも 106m3 以上と推定され るものを大規模崩壊として取りあげた. §3. 大規模崩壊の主たる誘因 今回収集した事例は約 100 事例で,その内の約 50%以上が地震による大規模崩壊であり,降雨による 大規模崩壊は約 30%であった.このことから,大規模 崩壊の誘因として地震は最も重要であることが改めて 明らかになった. また天然ダムの形成を伴う事例では,降雨を誘因 とするものが約 30%であるのに対し,地震を誘因とす るものが約 70%と多かった.なお,大規模崩壊の事例 の内,約 40%が天然ダムの形成を伴うものであった. 崩壊土砂量では,降雨による大規模崩壊では 107m3 未満の事例がほとんどである一方,地震を誘因 とするものは 107m3 以上の事例も多い. また,誘因となった地震は,マグニチュード 6.5 以上 の地震が約 90%以上と圧倒的に多く,地震のタイプで は海溝型よりも直下型の方が多い.. *. §4. 地震と大規模崩壊に関する研究の課題 大規模崩壊の発生年別事例数をみると,過去にさ かのぼるほど事例数が少ない.これは古い時代のも のほど記録が少ないのが理由であり,大規模崩壊の 発生自体が少なかったとは言い難い.しかしながら, 今回のように統計的に大規模崩壊の特徴を明らかに することを試みるうえでは,記録の少ない古い時代の 事例についても出来る限り収集して,大規模崩壊の 特徴を把握することに努めなければならない.大規模 崩壊は必ずしも地震そのものの規模や震央距離の近 さによって発生事例数が決定されるのではなく,局地 的な地質や揺れの大きさが大きく影響しているものと 考えられる. 崩壊土砂量と,マグニチュードや震央距離との関 係を見ると,必ずしも明瞭な相関を示さなかった.これ は比較的局地的な地震でも大規模崩壊が発生して いる可能性が十分あることを意味しており,このような 事例を詳細に調査するためには,地域に特化した詳 細な史料調査をする必要がある.市町村史はもちろ んのこと,その地域の慰霊碑・史跡,伝承調査などが 必要である.実際,例えば寛文二年(1662)の琵琶湖 西岸地震による町居崩れや,宝暦元年(1751)の高田 地震による名立崩れなどについては,それぞれ今 村・他(2002),井上・今村(1999)が詳細な地域史料 調査,聞き取り調査などによってその概要を明らかに してきた. 今後,過去の大規模崩壊に関する研究は,このよ うに地道な地域研究的手法に基づいたアプローチを 考慮に入れて,今まで埋もれていた事例を網羅し,そ の特徴を明らかにして今後の防災・減災に役立つデ ータとして蓄積していくことが重要であると言える. 引用文献 井上公夫・今村隆正(1999):高田地震(1751)と伊賀上野 地震による土砂移動,歴史地震,15 号,82-97. 今村隆正・井上公夫・西山昭仁(2002):琵琶湖西岸地 震(1662)と町居崩れによる天然ダムの形成と決壊,歴 史地震,18 号,52-58. 建設省土木研究所(1995):平成 6 年度地震時の土砂 災害防止技術に関する調査業務報告書(その 3)− 地震による土砂生産,災害及び対策の検討−,第 2 編大規模土砂移動編.. 〒206-0033 東京都多摩市落合 1-2-5 パステルプラザ 705 電子メール:[email protected]. - 150 -.

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